(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131863
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/871 20180101AFI20220831BHJP
F24F 11/49 20180101ALI20220831BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20220831BHJP
【FI】
F24F11/871
F24F11/49
F24F11/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031051
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧嶋 亮
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA33
3L260CB24
3L260CB87
3L260DA10
3L260EA08
3L260EA09
3L260FA15
3L260FB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1ファン運転時に所望のファンを回転させる。
【解決手段】室外機にて、第一IPMは、第一ファンモータ及び第二ファンモータの二つのファンモータのうちの一方に第一駆動電力を供給、第二IPMは他方に第二駆動電力を供給、第一ファンモータは第一ファンに連結、第二ファンモータは第三IPMに対して第一ファンよりも近傍に配置されている第二ファンに連結、IPM温度センサは判定モードにおいて第三IPMの温度を監視、コントローラは第一駆動電力を供給しているときの第三IPMの温度と、第二駆動電力を供給しているときの第三IPMの温度とに基づいて、第一IPM及び第二IPMのうちの何れが第二ファンモータに接続されている所望電力供給部であるかを判定し、第一IPM及び第二IPMのうち所望電力供給部のみを動作させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、
前記圧縮機に圧縮機駆動電力を供給する圧縮機電力供給部と、
第一ファンモータ及び第二ファンモータの二つのファンモータと、
前記二つのファンモータのうちの一方のファンモータに第一駆動電力を供給する第一電力供給部と、
前記二つのファンモータのうちの他方のファンモータに第二駆動電力を供給する第二電力供給部と、
前記第一ファンモータに連結された第一ファン、及び、前記第二ファンモータに連結され、前記圧縮機電力供給部に対して前記第一ファンよりも近傍に配置された第二ファンの二つのファンと、
判定モードにおいて、前記圧縮機電力供給部の温度を監視する温度監視部と、
前記判定モードにおいて、前記第一電力供給部が前記第一駆動電力を供給しているときの前記温度である第一温度と、前記第二電力供給部が前記第二駆動電力を供給しているときの前記温度である第二温度とに基づいて、前記第一電力供給部及び前記第二電力供給部のうちの何れが前記第二ファンモータに接続されている所望電力供給部であるかを判定し、前記判定モードの後の運転モードにおいて、前記二つのファンのうちの一方のファンのみを回転させるときには、前記第一電力供給部及び前記第二電力供給部のうち前記所望電力供給部のみを動作させるコントローラと、
を具備する空気調和機の室外機。
【請求項2】
前記コントローラは、前記判定モードにおいて、
前記圧縮機電力供給部に前記圧縮機駆動電力の供給を開始させ、
前記第一電力供給部に前記第一駆動電力の供給を開始させ、
前記第一駆動電力の供給開始時点から第一時間経過後に前記第一温度を検出し、
前記第一温度の検出後に前記第一電力供給部に前記第一駆動電力の供給を停止させ、
前記第一駆動電力の供給停止後に前記第二電力供給部に前記第二駆動電力の供給を開始させ、
前記第二駆動電力の供給開始時点から第二時間経過後に前記第二温度を検出し、
前記第二温度が前記第一温度未満であるときは、前記第二電力供給部が前記所望電力供給部であると判定し、
前記第二温度が前記第一温度以上であるときは、前記第一電力供給部が前記所望電力供給部であると判定する、
請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記コントローラは、前記判定モードにおいて、
前記第二時間が経過する前の前記第二温度が、前記第一時間経過後の前記第一温度よりも第一所定値以上低下したときは、前記第二時間経過前に前記第二電力供給部が前記所望電力供給部であると判定し、
前記第二時間が経過する前の前記第二温度が、前記第一時間経過後の前記第一温度よりも第二所定値以上上昇したときは、前記第二時間経過前に前記第一電力供給部が前記所望電力供給部であると判定する、
請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
前記第一ファン及び前記第二ファンは、前記判定モードにおいて、所定回転数で回転し、
前記コントローラは、前記判定モードにおいて、外気温度が閾値未満であるときの前記所定回転数を、前記外気温度が前記閾値以上であるときの前記所定回転数よりも小さい回転数に設定する、
請求項2または3に記載の室外機。
【請求項5】
前記圧縮機電力供給部は、IPM(Intelligent Power Module)であり、
前記温度監視部は、前記IPMに内蔵されている、
請求項1から4の何れか一項に記載の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機(以下では単に「室外機」と呼ぶことがある)は、圧縮機、熱交換器及び膨張弁等が順次配管にて接続されている冷媒回路と、ファンモータによって回転するファンと、発熱量が大きい部品を格納した電装品箱(以下では「発熱電装品箱」と呼ぶことがある)とを有する。発熱量が大きい部品の一例として、インバータ基板が挙げられる。ファンが回転することで、室外機内に外気が取り込まれ、熱交換器において冷媒と外気とが熱交換され、熱交換後の外気が室外機の外へ排出される。
【0003】
室外機の中には、二つのファンを有するものがある。以下では、二つのファンを有する室外機を「2ファン室外機」と呼ぶことがある。2ファン室外機では、空気調和機の室内機(以下では単に「室内機」と呼ぶことがある)が設置された空間の温度が設定温度付近に達した場合等に、二つのファンのうちの何れか一方のファンのみを回転させて他方のファンを停止させることで、室外機内に取り込む外気の量を減少させて熱交換器における熱交換量を減少させるとともに、室外機の消費電力を抑制している。以下では、2ファン室外機において、二つのファンを同時に回転させる運転を「2ファン運転」と呼び、二つのファンのうちの何れか一方のファンのみを回転させる運転を「1ファン運転」と呼ぶことがある。
【0004】
2ファン室外機での1ファン運転時に回転させるファンの選択では、発熱電装品箱の冷却効果の低下を防ぐために、二つのファンのうち、発熱電装品箱に対してより近傍に配置されている一方のファンが選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2ファン室外機では、工場での組立て時や、メンテナンス作業におけるファンモータの交換時等に、人為的なミスにより、ファンモータへ駆動電力を供給するための配線が、二つのファンの各々を回転させる二つのファンモータの間で取り違えられてしまうことがある。二つのファンモータの間で配線の取り違えが発生すると、1ファン運転時に、室外機のコントローラが発熱電装品箱のより近傍に配置されている一方のファンのみを回転させようとしても、他方のファンが回転することになってしまうため、発熱電装品箱の冷却が困難になってしまう。
【0007】
そこで、本開示は、1ファン運転時に所望のファンを回転させることができる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の室外機は、圧縮機と、圧縮機電力供給部と、第一ファンモータ及び第二ファンモータの二つのファンモータと、第一電力供給部と、第二電力供給部と、前記第一ファンモータに連結された第一ファン及び前記第二ファンモータに連結された第二ファンの二つのファンと、温度監視部と、コントローラとを有する。前記圧縮機電力供給部は、前記圧縮機に圧縮機駆動電力を供給する。前記第二ファンは、前記圧縮機電力供給部に対して前記第一ファンよりも近傍に配置されている。前記第一電力供給部は、前記二つのファンモータのうちの一方のファンモータに第一駆動電力を供給する。前記第二電力供給部は、前記二つのファンモータのうちの他方のファンモータに第二駆動電力を供給する。前記温度監視部は、判定モードにおいて、前記圧縮機電力供給部の温度を監視する。前記コントローラは、前記判定モードにおいて、前記第一電力供給部が前記第一駆動電力を供給しているときの前記温度である第一温度と、前記第二電力供給部が前記第二駆動電力を供給しているときの前記温度である第二温度とに基づいて、前記第一電力供給部及び前記第二電力供給部のうちの何れが前記第二ファンモータに接続されている所望電力供給部であるかを判定する。また、前記コントローラは、前記判定モードの後の運転モードにおいて、前記二つのファンのうちの一方のファンのみを回転させるときには、前記第一電力供給部及び前記第二電力供給部のうち前記所望電力供給部のみを動作させる。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、1ファン運転時に所望のファンを回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施例1の室外機の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施例1の室外機の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施例1の室外機の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施例1の室外機の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施例1の室外機の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施例1の室外機における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の実施例1の判定モードの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の実施例1の運転モードの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の実施例1の室外機の動作例の説明に供する図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施例1の室外機の動作例の説明に供する図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施例2の判定モードの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本開示の実施例2の室外機の動作例の説明に供する図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施例2の室外機の動作例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成及び同一の処理が行われるステップには同一の符号を付す。
【0012】
[実施例1]
<室外機の構成>
図1~
図5は、本開示の実施例1の室外機の構成例を示す図である。
【0013】
図1~
図3に示すように、室外機1は、業務用マルチエアコン等に用いられる大型の室外機で、直方体形状の筐体10を有する。室外機1は上吹出型の室外機であるため、筐体10の上部に送風機室20が配置され、送風機室20の下部に機械室30が配置されている。
【0014】
送風機室20は、正面パネル231、左側面パネル232、右側面パネル233、背面パネル234及び天面パネル235によって囲まれており、送風機室20の内部には、第一ファン210a及び第二ファン210bの二つのファンが横並びに配置されている。以下では、第一ファン210a及び第二ファン210bの二つのファンを「ファン210」と総称することがある。また、送風機室20の天面パネル235には、第一ファン210aのための第一ファンガード220aと、第二ファン210bのための第二ファンガード220bとが設けられている。
図4及び
図5に示すように、送風機室20は、筐体10の正面から見て左側の空間である左送風機室20Lと、筐体10の正面から見て右側の空間である右送風機室20Rとに区分けされる。左送風機室20Lに第一ファン210aが配置され、右送風機室20Rに第二ファン210bが配置される。
【0015】
機械室30は、正面、左側面、右側面及び背面で囲まれた空間で、
図1及び
図2には、正面30a,右側面30b及び左側面30cのみが示されている。機械室30の底面には底板301が配置され、機械室30の上面は送風機室20に通じている。
【0016】
図4及び
図5に示すように、機械室30の正面30a側の上部には第一電装品箱321及び第二電装品箱322が配置される。第一電装品箱321及び第二電装品箱322は、機械室30の正面30aの左端部30Lから右端部30Rにかけて機械室30の全幅に渡る大きさを有している。機械室30の正面30aの中央には、筐体10の剛性を高めるためにセンターピラー40が設けられている。センターピラー40によって機械室30の正面30aは左側と右側とに分けられ、第一電装品箱321は機械室30の正面30aの左側(左端部30Lとセンターピラー40との間)に配置され、第二電装品箱322は機械室30の正面30aの右側(右端部30Rとセンターピラー40との間)に配置されている。第一電装品箱321と第二電装品箱322とはセンターピラー40を挟んで離れて配置されており、二つの電装品箱間において互いに及ぼす熱の影響が小さくなっている。以下では、第一電装品箱321及び第二電装品箱322の二つの電装品箱を「電装品箱320」と総称することがある。
【0017】
図2及び
図4に示すように、第一電装品箱321の正面には第一電装品箱カバー321aが取り付けられ、第二電装品箱322の正面には第二電装品箱カバー322aが取り付けられている。第一電装品箱カバー321a及び第二電装品箱カバー322aは着脱可能で、第一電装品箱カバー321a及び第二電装品箱カバー322aを取り外すと、
図5に示すように、電装品箱320の内部が露出する。第一電装品箱カバー321aには、第一電装品箱321に収納された部品を点検するための小窓321bが設けられている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、機械室30の正面30aは仮想的に2行×2列の四面に分割されており、四面の各々に対して、第一サービスパネル311と、第二サービスパネル312と、第三サービスパネル313と、第四サービスパネル314とが取り付けられている。第一サービスパネル311、第二サービスパネル312、第三サービスパネル313、及び、第四サービスパネル314は、室外機1のメンテナンス時等に取り外し可能である。第一サービスパネル311及び第二サービスパネル312によって電装品箱320の正面30a側が覆われる。また、第三サービスパネル313及び第四サービスパネル314によって圧縮機350等の正面30a側が覆われる。以下では、第一サービスパネル311、第二サービスパネル312、第三サービスパネル313、及び、第四サービスパネル314の四枚のサービスパネルを「サービスパネル310」と総称することがある。各サービスパネル310は、それぞれ、左辺の二箇所及び右辺の二箇所の合計四箇所で機械室30の正面30a側にネジ止めされる。
【0019】
図3には、四枚のサービスパネル310と、電装品箱320とを取り外して、機械室30の内部を露出させた状態が示されている。機械室30は、左送風機室20Lの下方に位置する左機械室300Lと、右送風機室20Rの下方に位置する右機械室300Rとに区分けされる。よって、第一ファン210aによって左側面30cから左機械室300Lに取り込まれた外気の殆どが左送風機室20Lへ流れ込み、第二ファン210bによって右側面30bから右機械室300Rに取り込まれた外気の殆どが右送風機室20Rへ流れ込む。よって、第一ファン210aが回転するときは左機械室300Lに取り込まれた外気があたることにより主に第一電装品箱321が冷却され、第二ファン210bが回転するときは右機械室300Rに取り込まれた外気があたることにより主に第二電装品箱322が冷却される。
【0020】
また、
図3に示すように、機械室30内には第一圧縮機351、第二圧縮機352、及び、熱交換器36等が収納される。第一圧縮機351及び第二圧縮機352はそれぞれ圧縮機収納箱(コンプレッサーボックス)353内に収納されている。以下では、第一圧縮機351及び第二圧縮機352の二つの圧縮機を「圧縮機350」と総称することがある。
【0021】
上記のように、室外機1は、第一ファン210a及び第二ファン210bの二つのファンと、第一圧縮機351及び第二圧縮機352の二つの圧縮機とを有する。第一圧縮機351及び第二圧縮機352は、インバータ制御による可変速圧縮機である。このため、
図4及び
図5に示すように、室外機1は、第一ファン210aに連結されて第一ファン210aを回転させる第一ファンモータFMaと、第一ファンモータFMaの駆動用の第一モータドライブ基板521と、第一圧縮機351の駆動用の第一インバータ基板511と、第一インバータ基板511用の第一平滑回路基板531とを有する。また、室外機1は、第二ファン210bに連結されて第二ファン210bを回転させる第二ファンモータFMbと、第二ファンモータFMbの駆動用の第二モータドライブ基板522と、第二圧縮機352の駆動用の第二インバータ基板512と、第二インバータ基板512用の第二平滑回路基板532とを有する。第一平滑回路基板531及び第二平滑回路基板532は電解コンデンサを有する。
【0022】
また、第一モータドライブ基板521には第一IPM(Intelligent Power Module)21が搭載され、第二モータドライブ基板522には第二IPM22が搭載され、第一インバータ基板511には第三IPM11が搭載され、第二インバータ基板512には第四IPM12が搭載される。IPMは電力用半導体素子である。
【0023】
第一IPM21及び第二IPM22の一方または両方によって第一ファンモータFMa及び第二ファンモータFMbの一方または両方に駆動電力が供給されることで、第一ファン210a及び第二ファン210bの一方または両方が回転する。また、第三IPM11から供給される駆動電力により第一圧縮機351が駆動し、第四IPM12から供給される駆動電力により第二圧縮機352が駆動する。また、第一ファン210a及び第二ファン210bの二つのファンのうち、第二ファン210bが、第一インバータ基板511及び第二インバータ基板512に対してより近傍、つまり、第三IPM11及び第四IPM12に対してより近傍に配置されているファン(以下では「近傍ファン」と呼ぶことがある)である。以下では、第一ファンモータFMa及び第二ファンモータFMbの二つのファンモータを「ファンモータFM」と総称し、第一インバータ基板511及び第二インバータ基板512の二つのインバータ基板を「インバータ基板510」と総称し、第一モータドライブ基板521及び第二モータドライブ基板522の二つのモータドライブ基板を「モータドライブ基板520」と総称し、第一平滑回路基板531及び第二平滑回路基板532の二つの平滑回路基板を「平滑回路基板530」と総称することがある。
【0024】
IPMは動作することにより発熱するため、IPMが動作することによりインバータ基板510及びモータドライブ基板520は発熱する。また、平滑回路基板530に含まれている電解コンデンサもインバータ基板510の動作により発熱する。IPMの発熱量は大きい。一方で、電解コンデンサの発熱量は、IPMの発熱量に比べて小さい。このため、インバータ基板510及びモータドライブ基板520の裏面には放熱用のヒートシンクが取り付けられている一方で、平滑回路基板530には放熱用のヒートシンクが取り付けられていない。
【0025】
図5に示すように、インバータ基板510、モータドライブ基板520、及び、平滑回路基板530は、第二ファン210bの下方に位置する第二電装品箱322内に集約して配置される。
【0026】
また、
図5に示すように、第一インバータ基板511には、動作時に発熱する第三IPM11の発熱温度(以下では「IPM温度」と呼ぶことがある)を監視するIPM温度センサTS1が搭載されている。例えば、IPM温度センサTS1は、第一インバータ基板511の裏面に取り付けられたヒートシンクの温度を測定することによりIPM温度を監視する。
【0027】
ここで、第三IPM11にサーミスタが内蔵される場合には、IPM温度の監視は、IPM温度センサTS1に替えて、第三IPM11に内蔵されたサーミスタによって行われても良い。この場合、第一インバータ基板511にIPM温度センサTS1が搭載される必要はない。
【0028】
また、
図5に示すように、第一電装品箱321には、インバータ基板510及びモータドライブ基板520の動作等を制御するコントローラ50が配置されている。コントローラ50は、例えばMCU(Micro Control Unit)により実現される。また、コントローラ50は、外気温度を監視する外気温度センサTS2を有する。例えば、外気温度センサTS2は、左機械室300Lに取り込まれた外気の温度を測定することにより外気温度を監視する。また、コントローラ50は、記憶部としてのメモリ(図示せず)を有する。
【0029】
<室外機における処理手順>
図6は、本開示の実施例1の室外機における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、室外機1では、まず判定モードの処理が行われ(ステップS10)、判定モードの処理が終了した後に、運転モードの処理が行われる(ステップS50)。判定モードは、例えば、室外機1の設置時やメンテナンス時に実行され、コントローラ50に設けられたスイッチに実行開始の指示が与えられることにより開始される。
【0030】
<判定モードの処理手順>
図7は、本開示の実施例1の判定モードの処理手順の一例を示すフローチャートである。IPM温度センサTS1は、判定モードにおいて、IPM温度を監視する。判定モードの処理開始時には、第一圧縮機351及び第二圧縮機352の両方に駆動電力が供給されていない状態にある。また、判定モードの処理開始時には、第一ファンモータFMa及び第二ファンモータFMbの両方に駆動電力が供給されていない状態にある。
【0031】
図7において、ステップS100では、コントローラ50は、第一圧縮機351用の駆動電力(以下では「圧縮機駆動電力」と呼ぶことがある)を供給するように第一インバータ基板511へ指示する。第一インバータ基板511に搭載された第三IPM11は、コントローラ50からの指示に従って、第一圧縮機351への圧縮機駆動電力の供給を開始する。圧縮機駆動電力の供給に伴って、IPM温度が徐々に上昇する。
【0032】
次いで、ステップS105では、コントローラ50は、第一ファンモータFMa用の駆動電力(以下では「第一駆動電力」と呼ぶことがある)を供給するように第一モータドライブ基板521へ指示する。判定モードにおける第一駆動電力の大きさは、第一ファンモータFMa及び第一ファン210aを所定回転数ωで回転させる大きさに設定される。第一モータドライブ基板521に搭載された第一IPM21は、コントローラ50からの指示に従って、第一駆動電力の供給を開始する。
【0033】
次いで、ステップS110では、コントローラ50は、第一駆動電力の供給開始時点から所定の第一時間PT1が経過するまで待機する(ステップS110:No)。第一駆動電力の供給開始時点から第一時間PT1が経過した時点で(ステップS110:Yes)、処理はステップS115へ進む。なお、第一時間PT1は、第一駆動電力の供給開始時点からIPM温度が一定の温度に安定するまでにかかる十分な時間であり、例えば300秒である。
【0034】
次いで、ステップS115では、コントローラ50は、第一駆動電力の供給開始時点から第一時間PT1が経過した時点でのIPM温度を「第一IPM温度」として検出し、検出した第一IPM温度をメモリに記憶させる。
【0035】
次いで、ステップS120では、コントローラ50は、第一駆動電力の供給を停止するように第一モータドライブ基板521へ指示する。第一モータドライブ基板521に搭載された第一IPM21は、コントローラ50からの指示に従って、第一駆動電力の供給を停止する。
【0036】
次いで、ステップS125では、コントローラ50は、第二ファンモータFMb用の駆動電力(以下では「第二駆動電力」と呼ぶことがある)を供給するように第二モータドライブ基板522へ指示する。判定モードにおける第二駆動電力の大きさは、第二ファンモータFMb及び第二ファン210bを所定回転数ωで回転させる大きさに設定される。第二モータドライブ基板522に搭載された第二IPM22は、コントローラ50からの指示に従って、第二駆動電力の供給を開始する。
【0037】
次いで、ステップS130では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給開始時点から所定の第二時間PT2が経過するまで待機する(ステップS130:No)。第二駆動電力の供給開始時点から第二時間PT2が経過した時点で(ステップS130:Yes)、処理はステップS135へ進む。なお、第二時間PT2は、第二駆動電力の供給開始時点からIPM温度が一定の温度に安定するまでにかかる十分な時間であり、例えば300秒である。
【0038】
次いで、ステップS135では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給開始時点から第二時間PT2が経過した時点でのIPM温度を「第二IPM温度」として検出し、検出した第二IPM温度をメモリに記憶させる。
【0039】
ここで、モータドライブ基板520からファンモータFMへ駆動電力を供給するための配線が、第一ファンモータFMaと第二ファンモータFMbとの間で取り違えられていないとき、つまり、誤配線が発生していないときには、第一IPM21からの第一駆動電力が第一ファンモータFMaへ供給され、第二IPM22からの第二駆動電力が第二ファンモータFMbへ供給される。よって、誤配線が発生していないときには、第一駆動電力の供給により第一ファン210aが所定回転数ωで回転し、第二駆動電力の供給により第二ファン210bが所定回転数ωで回転する。
【0040】
一方で、モータドライブ基板520からファンモータFMへ駆動電力を供給するための配線が、第一ファンモータFMaと第二ファンモータFMbとの間で取り違えられているとき、つまり、誤配線が発生しているときには、第一IPM21からの第一駆動電力が第二ファンモータFMbへ供給され、第二IPM22からの第二駆動電力が第一ファンモータFMaへ供給される。よって、誤配線が発生しているときには、第一駆動電力の供給により第二ファン210bが所定回転数ωで回転し、第二駆動電力の供給により第一ファン210aが所定回転数ωで回転する。
【0041】
また、第三IPM11は第一圧縮機351へ駆動電力を供給することにより発熱する。一方で、第一インバータ基板511は右送風機室20Rの下方に位置する右機械室300Rに配置された第二電装品箱322に収納されているため、第二ファン210bが回転することにより右機械室300Rに取り込まれる外気によって第三IPM11が冷却される。また、第二ファン210bの回転時には多くの量の外気が右機械室300Rに取り込まれる一方で、第一ファン210aの回転時には僅かな量の外気しか右機械室300Rに流れ込まないため、第一ファン210aが回転するときよりも第二ファン210bが回転するときの方が第三IPM11の冷却効果が高い。
【0042】
ここで、インバータ基板510及びモータドライブ基板520を収納する第二電装品箱322の発熱量は、コントローラ50を収納する第一電装品箱321の発熱量よりも大きい一方で、第一ファン210a及び第二ファン210bの二つのファンのうちの第二ファン210bが近傍ファンであるため、1ファン運転時に回転させるファン(以下では「所望ファン」と呼ぶことがある)は第二ファン210bとなる。
【0043】
そこで、ステップS140では、コントローラ50は、第二IPM温度が第一IPM温度未満であるか否かを判定する。第二IPM温度が第一IPM温度未満であるときは(ステップS140:Yes)、処理はステップS145へ進み、第二IPM温度が第一IPM温度以上であるときは(ステップS140:No)、処理はステップS150へ進む。
【0044】
ステップS145では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給により第二ファン210bが回転する(誤配線:無し)と判定する。つまり、ステップS145では、コントローラ50は、モータドライブ基板520からファンモータFMへ駆動電力を供給するための配線に誤配線が無いため、所望ファンである第二ファン210bを回転させる第二ファンモータFMbに駆動電力を供給するIPM(以下では「所望IPM」と呼ぶことがある)は、第二モータドライブ基板522に搭載されている第二IPM22であると判定する。
【0045】
一方で、ステップS150では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給により第一ファン210aが回転する(誤配線:有り)と判定する。つまり、ステップS150では、コントローラ50は、モータドライブ基板520からファンモータFMへ駆動電力を供給するための配線に誤配線が有るため、所望IPMは、第一モータドライブ基板521に搭載されている第一IPM21であると判定する。
【0046】
ステップS145、または、ステップS150の処理後、処理はステップS155へ進む。
【0047】
ステップS155では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給を停止するように第二モータドライブ基板522へ指示する。第二モータドライブ基板522に搭載された第二IPM22は、コントローラ50からの指示に従って、第二駆動電力の供給を停止する。
【0048】
次いで、ステップS160では、コントローラ50は、圧縮機駆動電力の供給を停止するように第一インバータ基板511へ指示する。第一インバータ基板511に搭載された第三IPM11は、コントローラ50からの指示に従って、圧縮機駆動電力の供給を停止する。
【0049】
ステップS160の処理により、判定モードの処理手順が終了する。
【0050】
<運転モードの処理手順>
図8は、本開示の実施例1の運転モードの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0051】
図8において、ステップS505では、コントローラ50は、室外機1の運転を1ファン運転にするか2ファン運転にするかを判定する。室外機1が1ファン運転するときは(ステップS505:Yes)、処理はステップS510へ進み、室外機1が2ファン運転するときは(ステップS505:No)、処理はステップS525へ進む。
【0052】
ステップS510では、コントローラ50は、モータドライブ基板520からファンモータFMへ駆動電力を供給するための配線が、第一ファンモータFMaと第二ファンモータFMbとの間で取り違えられているか否か、つまり、誤配線が有るか否かを判定する。判定モードのステップS150で誤配線が有ると判定されているときは(ステップS510:Yes)、処理はステップS515へ進む。一方で、判定モードのステップS145で誤配線が無いと判定されているときは(ステップS510:No)、処理はステップS520へ進む。
【0053】
ステップS515では、コントローラ50は、第一駆動電力を供給するように第一モータドライブ基板521へ指示する。第一モータドライブ基板521に搭載された第一IPM21は、コントローラ50からの指示に従って、第一駆動電力を供給する。これにより、誤配線が有るときに、第一駆動電力によって第二ファン210bが回転する。
【0054】
一方で、ステップS520では、コントローラ50は、第二駆動電力を供給するように第二モータドライブ基板522へ指示する。第二モータドライブ基板522に搭載された第二IPM22は、コントローラ50からの指示に従って、第二駆動電力を供給する。これにより、誤配線が無いときに、第二駆動電力によって第二ファン210bが回転する。
【0055】
このようにして、1ファン運転時には、誤配線の有無にかかわらず、第一ファン210a及び第二ファン210bのうち近傍ファンである第二ファン210bのみを回転させて室外機1を運転することができる。
【0056】
一方で、ステップS525では、コントローラ50は、第一駆動電力を供給するように第一モータドライブ基板521へ指示するとともに、第二駆動電力を供給するように第二モータドライブ基板522へ指示する。これにより、ステップS525では、第一モータドライブ基板521に搭載された第一IPM21から第一駆動電力が供給されるのと同時に、第二モータドライブ基板522に搭載された第二IPM22から第二駆動電力が供給される。よって、2ファン運転時には、誤配線の有無にかかわらず、第一ファン210a及び第二ファン210bの両方を回転させて室外機1を運転することができる。
【0057】
ステップS515、ステップS520、または、ステップS525の処理により、運転モードの処理手順が終了する。
【0058】
<室外機の動作>
図9及び
図10は、本開示の実施例1の室外機の動作例の説明に供する図である。以下では、誤配線が無いと判定される場合の動作(
図9)と、誤配線があると判定される場合の動作(
図10)とに分けて説明する。
【0059】
<誤配線が無いと判定される場合の動作>
図9において、時刻t11で、コントローラ50は、圧縮機駆動電力の供給を第三IPM11に開始させるとともに、第一駆動電力の供給を第一IPM21に開始させる(ステップS100,S105)。
【0060】
時刻t11から第一時間PT1経過後の時刻t21で、コントローラ50は、第一IPM温度TA1を検出し、第一駆動電力の供給を第一IPM21に停止させ、第二駆動電力の供給を第二IPM22に開始させる(ステップS115,S120,S125)。
【0061】
時刻t21から第二時間PT2経過後の時刻t31で、コントローラ50は、第二IPM温度TB1を検出する(ステップS135)。
【0062】
時刻t31で検出された第二IPM温度TB1は、時刻t21で検出された第一IPM温度TA1未満であるため、時刻t31で、コントローラ50は、誤配線が無い、つまり、第一ファンモータFMaに第一モータドライブ基板521が接続され、かつ、第二ファンモータFMbに第二モータドライブ基板522が接続されており、第二IPM22が所望IPMであると判定する(ステップS140,S145)。
【0063】
<誤配線が有ると判定される場合の動作>
図10において、時刻t11で、コントローラ50は、圧縮機駆動電力の供給を第三IPM11に開始させるとともに、第一駆動電力の供給を第一IPM21に開始させる(ステップS100,S105)。
【0064】
時刻t11から第一時間PT1経過後の時刻t21で、コントローラ50は、第一IPM温度TA2を検出し、第一駆動電力の供給を第一IPM21に停止させ、第二駆動電力の供給を第二IPM22に開始させる(ステップS115,S120,S125)。
【0065】
時刻t21から第二時間PT2経過後の時刻t31で、コントローラ50は、第二IPM温度TB2を検出する(ステップS135)。
【0066】
時刻t31で検出された第二IPM温度TB2は、時刻t21で検出された第一IPM温度TA2以上であるため、時刻t31で、コントローラ50は、誤配線が有る、つまり、第一ファンモータFMaに第二モータドライブ基板522が接続され、かつ、第二ファンモータFMbに第一モータドライブ基板521が接続されており、第一IPM21が所望IPMであると判定する(ステップS140,S150)。
【0067】
以上、実施例1について説明した。
【0068】
[実施例2]
<室外機における処理手順>
実施例2の運転モードの処理手順については、実施例1(
図8)と同一であるため、説明は省略する。
【0069】
<判定モードの処理手順>
図11は、本開示の実施例2の判定モードの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11に示す処理のうち、ステップS105~S125,S135~S155の処理については、実施例1(
図7)と同一であるため、説明を省略する。
【0070】
図11において、ステップS125の処理後、第二駆動電力の供給開始時点から第二時間PT2が経過する前に(ステップS215:No)、コントローラ50は、ステップS205において、ステップS115で検出した第一IPM温度からのIPM温度の低下量(以下では「IPM温度低下量」と呼ぶことがある)が第一所定値PV1以上となったか否かを判定する。例えば、コントローラ50は、第二時間PT2より短い時間間隔で連続的に現在のIPM温度を検出し、式(1)で表される第一温度差Δtaが第一所定値PV1以上になったときに、IPM温度低下量が第一所定値PV1以上となったと判定し、式(1)で表される第一温度差Δtaが第一所定値PV1未満であるときに、IPM温度低下量が第一所定値PV1未満であると判定する。
Δta=第一IPM温度-現在のIPM温度 …(1)
【0071】
第二時間PT2の経過前にIPM温度低下量が第一所定値PV1以上となったときは(ステップS205:Yes)、ステップS135,S140の処理が行われることなく処理はステップS145へ進み、第二時間PT2の経過前のIPM温度低下量が第一所定値PV1未満であるときは(ステップS205:No)、処理はステップS210へ進む。ステップS145では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給により第二ファン210bが回転する(誤配線:無し)と判定する。なお、第一所定値PV1は、第二駆動電力の供給が開始されることによってIPM温度が低下すると判定されるのに十分な温度差であり、例えば5℃である。
【0072】
ステップS210では、第二駆動電力の供給開始時点から第二時間PT2が経過する前に(ステップS215:No)、コントローラ50は、ステップS115で検出した第一IPM温度からのIPM温度の上昇量(以下では「IPM温度上昇量」と呼ぶことがある)が第二所定値PV2以上となったか否かを判定する。例えば、コントローラ50は、第二時間PT2より短い時間間隔で連続的に現在のIPM温度を検出し、式(2)で表される第二温度差Δtbが第二所定値PV2以上となったときに、IPM温度上昇量が第二所定値PV2以上になったと判定し、式(2)で表される第二温度差Δtbが第二所定値PV2未満であるときに、IPM温度上昇量が第二所定値PV2未満であると判定する。
Δtb=現在のIPM温度-第一IPM温度 …(2)
【0073】
第二時間PT2の経過前にIPM温度上昇量が第二所定値PV2以上となったときは(ステップS210:Yes)、ステップS135,S140の処理が行われることなく処理はステップS150へ進み、第二時間PT2の経過前のIPM温度上昇量が第二所定値PV2未満であるときは(ステップS210:No)、処理はステップS215へ進む。ステップS150では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給により第一ファン210aが回転する(誤配線:有り)と判定する。なお、第二所定値PV2は、第二駆動電力の供給が開始されてもIPM温度が上昇すると判定されるのに十分な温度差であり、例えば5℃である。
【0074】
ステップS215では、コントローラ50は、第二駆動電力の供給開始時点から第二時間PT2が経過したか否かを判定する。第二時間PT2が経過していないときは(ステップS215:No)、処理はステップS205に戻り、第二時間PT2が経過したときは(ステップS215:Yes)、処理はステップS135へ進む。
【0075】
つまり、コントローラ50は、第二駆動電力の供給開始時点から第二時間PT2の経過前のIPM温度が第一IPM温度よりも第一所定値PV1以上低下したときは、第二時間PT2の経過前に、誤配線が無いと判定する。また、コントローラ50は、第二駆動電力の供給開始時点から第二時間PT2の経過前のIPM温度が第一IPM温度よりも第二所定値PV2以上上昇したときは、第二時間PT2の経過前に、誤配線が有ると判定する。
【0076】
<室外機の動作>
図12及び
図13は、本開示の実施例2の室外機の動作例の説明に供する図である。以下では、誤配線が無いと判定される場合の動作(
図12)と、誤配線が有ると判定される場合の動作(
図13)とに分けて説明する。
【0077】
<誤配線が無いと判定される場合の動作>
図12において、時刻t11で、コントローラ50は、圧縮機駆動電力の供給を第三IPM11に開始させるとともに、第一駆動電力の供給を第一IPM21に開始させる(ステップS100,S105)。
【0078】
時刻t11から第一時間PT1経過後の時刻t21で、コントローラ50は、第一IPM温度TA3を検出し、第一駆動電力の供給を第一IPM21に停止させ、第二駆動電力の供給を第二IPM22に開始させる(ステップS115,S120,S125)。
【0079】
時刻t21から第二時間PT2が経過する前の時刻t22において、時刻t1で検出された第一IPM温度TA3からのIPM温度の低下量が第一所定値PV1以上となったため、コントローラ50は、第二時間PT2の経過前の時刻t22で、誤配線が無いと判定する(ステップS205,S145)。
【0080】
<誤配線が有ると判定される場合の動作>
図13において、時刻t11で、コントローラ50は、圧縮機駆動電力の供給を第三IPM11に開始させるとともに、第一駆動電力の供給を第一IPM21に開始させる(ステップS100,S105)。
【0081】
時刻t11から第一時間PT1経過後の時刻t21で、コントローラ50は、第一IPM温度TA4を検出し、第一駆動電力の供給を第一IPM21に停止させ、第二駆動電力の供給を第二IPM22に開始させる(ステップS115,S120,S125)。
【0082】
時刻t21から第二時間PT2が経過する前の時刻t23において、時刻t1で検出された第一IPM温度TA4からのIPM温度の上昇量が第二所定値PV2以上となったため、コントローラ50は、第二時間PT2の経過前の時刻t23で、誤配線が有ると判定する(ステップS210,S150)。
【0083】
以上、実施例2について説明した。
【0084】
[実施例3]
外気温度が低いときは、外気温度が高いときに比べて、第三IPM11の動作時の温度上昇が抑制されるため、ステップS140で互いに比較される第一IPM温度と第二IPM温度との差が小さくなる。第一IPM温度と第二IPM温度との差が小さくなると、ステップS140の処理における判定精度が低下する。
【0085】
そこで、コントローラ50は、判定モードにおいて、外気温度センサTS2により監視される外気温度に基づいて、第一ファン210a及び第二ファン210bの上記の所定回転数ωを設定する。例えば、コントローラ50は、外気温度が閾値TH未満であるときの所定回転数ωを、外気温度が閾値TH以上であるときの所定回転数ωよりも小さい回転数に設定する。
【0086】
以上、実施例3について説明した。
【0087】
以上のように、本開示の室外機(実施例の室外機1)は、圧縮機(実施例の第一圧縮機351)と、圧縮機電力供給部(実施例の第三IPM11)と、第一ファンモータ(実施例の第一ファンモータFMa)及び第二ファンモータ(実施例の第二ファンモータFMb)の二つのファンモータと、第一電力供給部(実施例の第一IPM21)と、第二電力供給部(実施例の第二IPM22)と、第一ファンモータに連結された第一ファン(実施例の第一ファン210a)及び第二ファンモータに連結された第二ファン(実施例の第二ファン210b)の二つのファンと、温度監視部(実施例のIPM温度センサTS1/実施例のサーミスタ)と、コントローラ(実施例のコントローラ50)とを有する。第二ファンは、圧縮機電力供給部に対して第一ファンよりも近傍に配置されている。圧縮機電力供給部は、圧縮機に圧縮機駆動電力を供給する。第一電力供給部は、二つのファンモータのうちの一方のファンモータに第一駆動電力を供給する。第二電力供給部は、二つのファンモータのうちの他方のファンモータに第二駆動電力を供給する。温度監視部は、判定モードにおいて、圧縮機電力供給部の温度(実施例のIPM温度)を監視する。コントローラは、判定モードにおいて、第一電力供給部が第一駆動電力を供給しているときの圧縮機電力供給部の温度(以下では「第一温度」と呼ぶことがある)と、第二電力供給部が第二駆動電力を供給しているときの圧縮機電力供給部の温度(以下では「第二温度」と呼ぶことがある)とに基づいて、第一電力供給部及び第二電力供給部のうちの何れが第二ファンモータに接続されている所望電力供給部(実施例の所望IPM)であるかを判定する。また、コントローラ50は、判定モードの後の運転モードにおいて、二つのファンのうちの一方のファンのみを回転させるときには、第一電力供給部及び第二電力供給部のうち所望電力供給部のみを動作させる。
【0088】
また、コントローラ50は、判定モードにおいて、圧縮機電力供給部に圧縮機駆動電力の供給を開始させ、第一電力供給部に第一駆動電力の供給を開始させ、第一駆動電力の供給開始時点から第一時間(実施例の第一時間PT1)経過後に第一温度を検出し、第一温度の検出後に第一電力供給部に第一駆動電力の供給を停止させる。また、コントローラ50は、第一駆動電力の供給停止後に第二電力供給部に第二駆動電力の供給を開始させ、第二駆動電力の供給開始時点から第二時間(実施例の第二時間PT2)経過後に第二温度を検出する。また、コントローラ50は、第二温度が第一温度未満であるときは、第二電力供給部が所望電力供給部であると判定し、第二温度が第一温度以上であるときは、第一電力供給部が所望電力供給部であると判定する。
【0089】
こうすることで、第一電力供給部及び第二電力供給部の二つの電力供給部と、第一ファンモータ及び第二ファンモータの二つのファンモータとの間の配線に誤配線が有るときでも、1ファン運転時に所望ファンである近傍ファンを回転させることができる。
【0090】
また、コントローラ50は、判定モードにおいて、第二時間が経過する前の第二温度が、第一時間経過後の第一温度よりも第一所定値(実施例の第一所定値PV1)以上低下したときは、第二時間経過前に第二電力供給部が所望電力供給部であると判定する。また、コントローラ50は、判定モードにおいて、第二時間が経過する前の第二温度が、第一時間経過後の第一温度よりも第二所定値(実施例の第二所定値PV2)以上上昇したときは、第二時間経過前に第一電力供給部が所望電力供給部であると判定する。
【0091】
こうすることで、さらに早いタイミングで誤配線の有無を判定することができるので、室外機の設置やメンテナンスの作業を短時間に終えることができる。
【0092】
また、第一ファン及び第二ファンは、判定モードにおいて、所定回転数(実施例の所定回転数ω)で回転する。コントローラ50は、判定モードにおいて、外気温度が閾値(実施例の閾値TH)未満であるときの所定回転数を、外気温度が閾値以上であるときの所定回転数よりも小さい回転数に設定する。
【0093】
こうすることで、外気温度が低いときでも第一温度と第二温度との差が小さくなることを防止できるため、所望電力供給部を判定する際の判定精度の低下を抑制することができる。
【0094】
また、圧縮機電力供給部はIPMであり、温度監視部はIPMに内蔵されている。
【0095】
こうすることで、温度監視部として温度センサをIPMの外部に別途取り付ける際の取付誤差の発生を防止できるため、所望電力供給部を判定する際の判定精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 室外機
210a 第一ファン
210b 第二ファン
FMa 第一ファンモータ
FMb 第二ファンモータ
521 第一モータドライブ基板
522 第二モータドライブ基板
511 第一インバータ基板
21 第一IPM
22 第二IPM
11 第三IPM
TS1 IPM温度センサ
50 コントローラ
TS2 外気温度センサ