(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131867
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】炭素材造粒物および炭素材造粒物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/05 20170101AFI20220831BHJP
C09C 1/44 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
C01B32/05
C09C1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031056
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】奥村 修平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 亘
(72)【発明者】
【氏名】阪下 晋平
【テーマコード(参考)】
4G146
4J037
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB03
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC22B
4G146AC23B
4G146AC30A
4G146AC30B
4G146BA18
4G146BC03
4G146BC23
4G146BC33A
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4G146BC34B
4G146CB04
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4J037AA01
4J037BB07
4J037BB14
4J037BB22
4J037DD05
4J037EE35
4J037EE43
4J037EE47
(57)【要約】
【課題】ハンドリング性に優れる炭素材造粒物および上記炭素材造粒物の製造方法が提供される。
【解決手段】本発明の炭素材造粒物は炭素材粒子が凝結した構造を有し、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%である粒子径D50が、1μm以上100μm以下である炭素材造粒物。さらに本発明の炭素材造粒物を製造する製造方法は、原料樹脂を炭化して炭化物を得る炭化工程と、前記炭化物を粉砕して炭素材スラリーを得る粉砕工程と、前記炭素材スラリーを噴霧乾燥して炭素材造粒物を得る造粒工程と、を含む、炭素材造粒物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素材粒子が凝結した構造を有する炭素材造粒物であって、
レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%である粒子径D50が、1μm以上100μm以下である、
炭素材造粒物。
【請求項2】
請求項1に記載の炭素材造粒物において、
前記炭素材粒子が、一次粒子、一次粒子が凝集した二次粒子、またはその混合物を含む、炭素材造粒物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の炭素材造粒物において、形状が真球状又は略球状である、炭素材造粒物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の炭素材造粒物において、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および重合性高分子量体から選択される1種または2種以上の材料の炭化物を含む、炭素材造粒物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の炭素材造粒物において、微小圧縮試験機を用いて測定した圧縮破壊強度が1kPa以上200kPa以下である、炭素材造粒物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の炭素材造粒物において、パウダテスタを用いて測定した緩めかさ密度および固めかさ密度より以下式(3)にて算出される圧縮度が5%以上30%以下である、炭素材造粒物。
(式(3))
圧縮度(%)=(1-(緩めかさ密度(g/cm3)/固めかさ密度(g/cm3)))×100
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の炭素材造粒物において、パウダテスタを用いて測定した安息角が20°以上50°以下である、炭素材造粒物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の炭素材造粒物において、パウダテスタを用いて測定した崩潰角が5°以上20°以下である、炭素材造粒物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の炭素材造粒物を製造する製造方法であって、
原料樹脂を炭化して炭化物を得る炭化工程と、
前記炭化物を粉砕して炭素材スラリーを得る粉砕工程と、
前記炭素材スラリーを噴霧乾燥して炭素材造粒物を得る造粒工程と、
を含む、炭素材造粒物の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の炭素材造粒物を製造する製造方法であって、
前記粉砕工程が、
前記炭化物を乾式粉砕して予備粉砕物を得る予備粉砕工程と、
前記予備粉砕物を湿式粉砕して前記炭素材スラリーを得る微粉砕工程と、
を含む、炭素材造粒物の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の炭素材造粒物の製造方法であって、
前記予備粉砕工程をロッドミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、サイクロンミル、ローラーミル、ピンミル、ハンマーミルおよびパルペライザーから選択される1種または2種以上の装置を用いて行う、炭素材造粒物の製造方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の炭素材造粒物の製造方法であって、
前記微粉砕工程を高圧ホモジナイザーおよびビーズミルから選択される1種または2種の装置を用いて行う、炭素材造粒物の製造方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の炭素材造粒物の製造方法であって、
前記微粉砕工程における分散媒が水、有機溶剤またはその混合物である、炭素材造粒物の製造方法。
【請求項14】
請求項9~13のいずれか1項に記載の炭素材造粒物の製造方法であって、
前記炭化工程を不活性ガス雰囲気下、かつ炭化温度が400℃以上1500℃以下で行う、炭素材造粒物の製造方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか1項に記載の炭素材造粒物の製造方法であって、
前記造粒工程における乾燥温度が100℃以上300℃以下である、炭素材造粒物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素材造粒物および炭素材造粒物の製造方法に関する。より具体的には、熱硬化性樹脂をはじめとする原料樹脂を炭化することにより製造される着色剤用の炭素材造粒物および炭素材造粒物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形材料用の黒色着色剤としては、カーボンブラックやチタン系黒色顔料、黒色酸化鉄(鉄黒)をはじめとする遷移金属化合物などが使用されている。
【0003】
一例として、特許文献1には、樹脂成分への分散性に優れ、体積固有抵抗値が高く、遮光性に優れた半導体封止材を形成することのできる半導体封止材用の黒色着色剤として好適なカーボンブラック着色剤が記載されている。
別の例として、特許文献2には、インナーリード間やワイヤー間などの電気的導通による電気的不良を抑止し、更に成形性、信頼性、レーザーマーキング性などに優れた半導体封止材用の着色剤および樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-52279号公報
【特許文献2】特開2007-134361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献に記載されているような従来の黒色着色剤は、粒径が数十~数百nmという非常に微細な粒子であるために、飛散性、凝集性および付着性が非常に高く、ハンドリング性が悪いという難点があった。そのため、作業環境の汚染、成形材料への均一な分散が困難および接粉部への粒子付着等の課題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ハンドリング性が良好な炭素材造粒物を提供することを目的とする。
また本発明は、上記炭素材造粒物の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
上記のような黒色着色剤を人為的に造粒し、飛散性および凝集性を低下させることによってハンドリング性を向上させた造粒物とした。また、成形用樹脂組成物に配合する際に上記樹脂組成物中に均一に分散させるべく、公知の混錬機の剪断応力で容易に解砕・分散可能な造粒物とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
【0009】
本発明によれば、
炭素材粒子が凝結した構造を有する炭素材造粒物であって、
レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%である粒子径D50が、1μm以上100μm以下である、
炭素材造粒物が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
原料樹脂を炭化して炭化物を得る炭化工程と、
上記炭化物を粉砕して炭素材スラリーを得る粉砕工程と、
上記炭素材スラリーを噴霧乾燥して炭素材造粒物を得る造粒工程と、
を含む、炭素材造粒物の製造方法
が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンドリング性に優れる炭素材造粒物および上記炭素材造粒物の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0013】
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
【0014】
本明細書中、「凝集」とは、ファンデルワールス力や静電付着力等の現象によって粒子が自然に固まる現象を指す。また、「凝結」とは、凝集とは異なり、人為的な操作や方法によって粒子を固めることを指す。さらに、「一次粒子」とは、粉体生成時にその粉体を構成する粒子で、分子間の結合がそのまま残っているものを指す。「二次粒子」とは、上記一次粒子が凝集したものを指す。
【0015】
本明細書中、「平均粒径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%である粒子径D50を指す。
【0016】
<炭素材造粒物>
まず、本実施形態の炭素材造粒物について説明する。
【0017】
本実施形態の炭素材造粒物は、炭素材粒子が凝結した構造を有する。
【0018】
従来の炭素材は粒径が数十~数百nmという非常に微細な粒子である。そのため、飛散性、凝集性および付着性が非常に高く、普段の取り扱い時に粒子が飛散することで作業環境の汚染などが発生する。
また、上記炭素材粒子を例えば樹脂組成物等に機械的に混練させた際、樹脂組成物内でファンデルワールス力や静電付着力等によって凝集してしまうと、機械的な混練によって分散させることは非常に困難になる。その結果、最終的な樹脂組成物に均一に分散させることができず、色ムラが発生することとなる。
【0019】
そこで、上記炭素材粒子を人為的に造粒することによって、飛散性および凝集性を低下させ、ハンドリング性を向上させた炭素材造粒物とした。本実施形態における炭素材造粒物は上記特性を低下させることによって、作業環境の汚染防止および接粉部への粒子付着防止が可能となり、結果としてハンドリング性が向上する。また、成形用樹脂組成物に配合する際に上記樹脂組成物中に均一に分散させるべく、公知の混錬機の剪断応力で容易に解砕・分散可能な造粒物とした。
【0020】
ここで、「炭素材粒子」とは、一次粒子、一次粒子が凝集した二次粒子、またはその混合物を含むことが好ましい。
炭素材粒子は、微細な炭素材の一次粒子が凝集したために解砕が困難になった二次粒子の他、粒径が比較的大きいために凝集力が低い一次粒子を含むため、広い粒度分布となる。その場合、例えば樹脂組成物等に上記炭素材粒子を混練した場合、混練前に上記炭素材粒子が凝集してしまい、混練した樹脂組成物に色ムラが発生する傾向にあった。
【0021】
一方で、本実施形態のように、上記炭素材粒子を人為的に造粒し、「炭素材造粒物」とすることにより、例えば上記炭素材造粒物を樹脂組成物等に混練した場合、混練時のローターによる剪断応力によって上記炭素材造粒物が微細な一次粒子および二次粒子の形状である上記炭素材粒子に解砕され、上記炭素材粒子が樹脂組成物内に比較的均一に分散する。その結果、樹脂組成物の色ムラを防止できる効果がある。
【0022】
本実施形態における炭素材造粒物は、平均粒径D50の下限値が、好ましくは1μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは10μmである。
上記D50を上記下限値以上にすることで、炭素材造粒物の飛散性、凝集性および付着性が低下し、ハンドリング性が向上する。
また、本実施形態における炭素材造粒物は、平均粒径D50の上限値が、好ましくは100μmであり、より好ましくは90μmであり、さらに好ましくは80μmである。
上記D50を上記上限値以下にすることで、成形用の樹脂組成物に混合した際に着色のムラが低下する。
【0023】
本実施形態における炭素材造粒物は、体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が10%である粒子径D10が0.5μm~50μmであることが好ましく、2μm~45μmであることがより好ましく、5μm~40μmであることがさらに好ましい。
上記D10が上記数値範囲内にあることで、炭素材造粒物を樹脂組成物に混練する際のハンドリング性が向上する。
【0024】
また、本実施形態における炭素材造粒物は、体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が90%である粒子径D90が3μm~150μmであることが好ましく、8μm~140μmであることがより好ましく、16μm~130μmであることがさらに好ましい。
上記D90が上記数値範囲内にあることで、炭素材造粒物を樹脂組成物に混練した際に炭素材造粒物が樹脂組成物中に均一に分散し、樹脂組成物の色ムラを防止できる。
【0025】
本実施形態における炭素材造粒物の下記式(1)で表される粒径分布は、0.9~4.0であることが好ましく、0.9~3.0であることがより好ましく、0.9~2.5であることがさらに好ましい。
粒径分布が上記数値範囲内であることで、炭素材造粒物を樹脂組成物に混練した際に炭素材造粒物が樹脂組成物中に均一に分散し、樹脂組成物の色ムラを防止できる。
粒径分布=(D90-D10)/D50 ・・・式(1)
【0026】
本実施形態における炭素材造粒物の形状は真球状又は略球状であることが望ましい。上記炭素材造粒物の形状を上記形状のいずれかにすることで、炭素材造粒物の流動性が向上し、また、凝集性および付着性が低下することから、ハンドリング性が向上するため好ましい。
【0027】
ここで、「真球状」とは、円形度が0.8~1.0であることを指し、「略球状」とは、円形度が0.6~0.8であることを指す。なお、「円形度」とは、観測された粒子像の面積と同面積を有する円の周長を粒子像の周長で割ったものであり、1に近い程真円に近い。粒子像の面積をS、周長をLとすると、以下の式(2)で表わすことができる。
円形度=(4πS)1/2/L ・・・式(2)
【0028】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態では、圧縮破壊強度に優れる。具体的には、微小圧縮試験機を用いて測定した圧縮破壊強度の下限値が、好ましくは1kPaであり、より好ましくは5kPaであり、さらに好ましくは10kPaである。上記圧縮破壊強度を上記下限値以上にすることにより、通常の取り扱い時に容易に解砕されず、ハンドリング性が向上するため好ましい。
また、圧縮破壊強度の上限値が、好ましくは200kPaであり、より好ましくは150kPaであり、さらに好ましくは100kPaである。上記圧縮破壊強度を上記上限値以下にすることにより、成形用樹脂組成物に混錬した際に上記炭素材造粒物が容易に解砕し、上記成形用樹脂組成物中に均一に分散されるため好ましい。
【0029】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態では、圧縮度に優れる。なお、本明細書において、圧縮度(%)は以下式(3)にて算出される。
圧縮度(%)=(1-(緩めかさ密度(g/cm3)/固めかさ密度(g/cm3)))×100 ・・・式(3)
ここで、緩めかさ密度とは炭素材造粒物の質量をその占めるかさ体積で割った密度を示し、例えば正弦波の振動により容器内に空気を含んだ炭素材造粒物を自由落下させることにより容器内に充填し、その質量と容器の体積から求めることができる。また、固めかさ密度とは緩めかさ密度の測定で容器内に充填した炭素材造粒物を、タッピングすることによって固めた後に測定した密度を示す。
なお、これらの緩めかさ密度および固めかさ密度の測定には、パウダテスタ等公知の方法および装置が使用できる。
【0030】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態における圧縮度としては、具体的には5%~30%が好ましく、より好ましくは10%~30%であり、さらに好ましくは15%~30%である。
上記圧縮度が上記上限以下だと、炭素材造粒物の流動性が好適になる。また、上記圧縮度が上記下限以上だと炭素材造粒物のハンドリング性が良好になる。
【0031】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態では、凝集度に優れる。なお、本明細書において凝集度(%)とは、上記炭素材造粒物2gを三段に重ねた篩に入れ、所定の時間に一定の振動を与えた後に各篩上に残る重量から、以下の式(4)で表される。
凝集度(%)=((上段篩の残重量(g))/2+3(中段篩の残重量(g))/10+(下段篩の残重量(g))/10)×100 ・・・式(4)
【0032】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態における凝集度としては、具体的には10%~50%が好ましく、より好ましくは10%~40%であり、さらに好ましくは10%~30%である。
上記凝集度が上記上限以下だと、炭素材造粒物の流動性が好適になる。また、上記凝集度が上記下限以上だと炭素材造粒物のハンドリング性が良好になる。
【0033】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態では、分散度に優れる。なお、本明細書において分散度(%)とは、一定量の上記炭素材造粒物を一定の高さから自由落下させた際の、落下前の重量と下に置いたウォッチグラス上に落下せずに飛散した重量の割合であり、以下の式(5)で表される。
分散度(%)=(飛散した重量(g)/落下前の重量(g))×100 ・・・式(5)
【0034】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態における分散度としては、具体的には10%~50%が好ましく、より好ましくは10%~40%であり、さらに好ましくは10%~30%である。
上記分散度が上記上限以下だと、炭素材造粒物の飛散性が抑制され、かつ流動性が好適になる。また、上記凝集度が上記下限以上だと炭素材造粒物のハンドリング性が良好になる。
【0035】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態における、上記流動性とハンドリング性のバランスは安息角および崩潰角からも確認できる。
なお、本明細書において安息角(°)とは、正弦波の振動によって炭素材造粒物を自由落下させることで堆積層を形成させ、上記堆積層の自由表面が水平となす角度を指す。また、崩潰角(°)とは、上記堆積層における上記安息角に同一の衝撃を3度与えて崩潰させることによって形成された崩潰面の傾斜角を指す。
【0036】
本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態における安息角としては、具体的には20°~50°が好ましく、より好ましくは25°~40°であり、さらに好ましくは25°~35°である。
【0037】
また、本実施形態における炭素材造粒物のより好ましい形態における崩潰角としては、具体的には5°~20°が好ましく、より好ましくは5°~15°であり、さらに好ましくは5°~10°である。
【0038】
<炭素材造粒物の製造方法>
続いて、本実施形態の炭素材造粒物の製造方法について説明する。
【0039】
本実施形態における炭素材造粒物は、好ましくは以下の3つの工程を含む製造方法により製造することができる。
即ち、原料樹脂を炭化して炭化物を得る炭化工程と、
上記炭化物を粉砕して炭素材スラリーを得る粉砕工程と、
上記炭素材スラリーを噴霧乾燥して炭素材造粒物を得る造粒工程とを有することが望ましい。
【0040】
以下、本実施形態における炭素材造粒物の製造方法での各工程について、より詳細に説明する。
【0041】
(炭化工程)
まず、炭化工程では、原料樹脂組成物を炭化することによって原料樹脂組成物の炭化物を得る。原料樹脂組成物の炭化物を得る方法としては、好ましくは不活性ガス雰囲気下で熱処理可能な設備を用いる。上記不活性ガスとしては窒素、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの公知の気体が使用できる。
【0042】
上記炭化工程における炭化温度は、400℃~1500℃が好ましい。また、最終成形体の用途に応じて上記炭化温度を調整することにより、本実施形態における炭素材造粒物の電気的特性を調整することができる。炭素材造粒物の体積抵抗率を上げる場合、上記炭化温度は400℃~750℃がより好ましく、500℃~700℃がさらに好ましい。逆に、炭素材造粒物の体積抵抗率を下げる場合、上記炭化温度は750℃~1500℃がより好ましく、800℃~1500℃がさらに好ましい。
【0043】
また、上記炭化工程における炭化時間は特に限定されないが、好ましくは1時間~24時間であり、より好ましくは1時間~12時間であり、さらに好ましくは1時間~6時間である。
【0044】
本実施形態における炭素材造粒物の原料樹脂組成物としては特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び、その他の高分子材料から選ばれるもの(以下、単に「主成分樹脂類」ということがある)を含有することができる。
なお、本発明の原料樹脂組成物は、主成分樹脂類として一種類の樹脂のみを用いる場合もあるが、便宜上、これも原料樹脂組成物と呼称することとする。
【0045】
ここで熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、アニリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などの含窒素樹脂、あるいはフラン樹脂などが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
その他の高分子材料としては特に限定されないが、例えば、石油ピッチ、石炭ピッチ、紡糸用ピッチ等の重合性高分子量体などが挙げられる。
上記主成分樹脂類は、単独あるいは二種類以上を併用することができる。
【0046】
本実施形態における原料樹脂組成物においては、このような主成分樹脂類として熱硬化性樹脂を用いる場合には、その硬化剤を併用することができる。
熱硬化性樹脂の硬化剤としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合にはヘキサメチレンテトラミン、エポキシ樹脂を用いる場合は、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン等のポリアミン化合物、酸無水物、イミダゾール化合物などを用いることができる。
なお、通常硬化剤を併用する熱硬化性樹脂であっても、本発明の原料樹脂組成物においては、硬化剤を併用しないで用いることができる。
【0047】
本実施形態における原料樹脂組成物においては、上記主成分樹脂類のほか、添加剤を配合することができる。
ここで添加剤としては特に限定されないが、例えば、200~800℃にて炭化処理した炭素材前駆体、黒鉛及び黒鉛変性剤、有機酸、無機酸、含窒素化合物、含酸素化合物、芳香族化合物、及び、非鉄金属元素などを挙げることができる。
上記添加剤は、用いる主成分樹脂類の種類や性状などにより、単独あるいは二種類以上を併用することができる。
【0048】
本実施形態の炭化工程において使用できる熱処理可能な設備としては、特に限定されるものではなく、公知の設備を選択することができる。公知の設備としては、例えば回分式の電気炉もしくはロータリーキルン、ローラーハースキルン等の連続炉が挙げられる。
上記設備は、上記炭素材造粒物に求める物性や上記炭素材造粒物の製造効率などにより、単独あるいは二種類以上を併用することができる。
【0049】
(粉砕工程)
次いで、粉砕工程を行う。粉砕工程では、炭化工程で得られた炭化物を粉砕し、炭素材スラリーを得る。この際、粉砕工程として上記炭化物を乾式粉砕して予備粉砕物を得る予備粉砕工程と、上記予備粉砕物を湿式粉砕して上記炭素材スラリーを得る微粉砕工程を有することが望ましい。
【0050】
以下、粉砕工程における各工程の詳細について説明する。
【0051】
(予備粉砕工程)
予備粉砕工程では、炭化工程で得られた炭化物を乾式粉砕することで、予備粉砕物を得る。予備粉砕物の粒径は特に限定されないが、1μm~100μmになるまで乾式粉砕を行うことが好ましく、1μm~80μmがより好ましく、1μm~50μmがさらに好ましい。
【0052】
予備粉砕工程に用いる装置は特に限定されないが、例えばロッドミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、サイクロンミル、ローラーミル、ピンミル、ハンマーミルおよびパルペライザーなどの公知の装置を用いることができる。
上記設備は、予備粉砕物の物性やハンドリング性などにより、単独あるいは二種類以上を併用することができる。
【0053】
(微粉砕工程)
微粉砕工程では、予備粉砕工程で得られた予備粉砕物をさらに湿式粉砕することで、炭素材スラリーを得る。炭素材スラリー中に含まれる炭素材粒子の粒径は特に限定されないが、0.05μm~0.5μmになるまで湿式粉砕を行うことが好ましく、0.05μm~0.4μmがより好ましく、0.05μm~0.3μmがさらに好ましい。
【0054】
微粉砕工程に用いる装置は特に限定されないが、例えば高圧ホモジナイザーおよびビーズミルなどの公知の装置を用いることができる。
上記設備は、炭素材スラリーの物性やハンドリング性などにより、単独あるいは二種類を併用することができる。
また、炭素材スラリー中の炭素材粒子をさらに微細化する観点からは、ビーズミルを用いることが好ましい。
【0055】
上記微粉砕工程においてビーズミルを使用する場合、用いるビーズの材質は特に限定されず、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ジルコンビーズ、ガラスビーズ、高クロム炭素鋼ビーズなどの公知の材質のビーズを用いることができる。この中でも、金属コンタミ、耐摩耗性、粉砕効率の観点からはジルコニアビーズを用いることが好ましい。
【0056】
また、上記ビーズ径としては、予備粉砕物の粒径や硬度に応じて選択してよく、例えば0.03mm~1mmである。また、粒径の異なるビーズを2種類以上併用してもよい。
【0057】
上記湿式粉砕時に予備粉砕物を分散する分散媒としては、水、有機溶剤もしくはその混合物を用いることが好ましい。上記有機溶剤としては沸点が120℃以下の公知の有機化合物を使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等のアルコール類、アセトン、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノンなどのケトン類が挙げられる。
【0058】
湿式粉砕時の炭素材スラリーの濃度としては、1重量%~50重量%が好ましく、1重量%~40重量%がより好ましく、1重量%~30重量%がさらに好ましい。
炭素材スラリーの濃度が上記上限以下であることによって、炭素材スラリーの流動性が増し、予備粉砕物をより良好に粉砕できるため好ましい。また、炭素材スラリーの濃度が上記下限以上であることによって、予備粉砕物の粉砕効率が向上するため好ましい。
【0059】
(造粒工程)
最後に、造粒工程では、粉砕工程で得られた炭素材スラリーを乾燥室内で噴霧乾燥して炭素材造粒物を得る。
噴霧乾燥の方法としては特に限定されないが、例えばスプレードライヤ等を用いて噴霧乾燥することができる。
【0060】
スプレードライヤを用いる場合、乾燥室内に電気ヒータ等で温めたガスを送り込み、ノズルを用いて炭素材スラリーを乾燥室に噴霧することが好ましい。炭素材スラリーを噴霧することによって、炭素材スラリーが分散媒の表面張力によって球状又は略球状になる。これにより、炭素材スラリー中の炭素材粒子が球状又は略球状に凝結し、分散媒が乾燥することによって炭素材造粒物が望ましい形状となる。
【0061】
炭素材スラリーを乾燥室内に噴霧する際に用いるノズルとしては、特に限定されるものではなく、液滴噴霧が可能な公知のノズルを用いることができる。公知のノズルとしては、例えば、二流体ノズル、加圧ノズル、ディスクアトマイザ等を用いることができる。
噴霧に用いるガスとしては特に限定されないが、乾燥室内のガスと同じ種類のガスを用いることが望ましい。
また、この際のガス圧は0.1MPa~0.5MPaが好ましく、0.1MPa~0.4MPaがより好ましく、0.1MPa~0.3MPaがさらに好ましい。
【0062】
造粒工程における乾燥温度は、好ましくは100℃~300℃であり、より好ましくは125℃~250℃であり、さらに好ましくは150℃~250℃である。乾燥温度が上記上限以下であることによって、炭素材スラリーに用いた分散媒の突沸が起きず、炭素材造粒物の形状がより均一になるため好ましい。また、乾燥温度が上記下限以上であることによって、乾燥がスムーズになるため好ましい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0064】
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
【0065】
<実施例1>
(炭化物の調整)
フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製:PR-51464)を窒素雰囲気下で1300℃で2時間炭化することで炭化物を得た。
【0066】
(炭素材スラリーの調整)
その後、得られた炭化物をジェットミルで粉砕し、平均粒径D509.8μmの予備粉砕物を得た。上記予備粉砕物10重量部を水90重量部に分散し、Φ0.3mmのジルコニアビーズを用いた湿式ビーズミルでさらに微粉砕することで、平均粒径D50が0.33μmの炭素材粒子が濃度10重量%で分散された炭素材スラリーを得た。
【0067】
(炭素材造粒物の製造)
上記炭素材スラリーをスプレードライヤ(熱風入口温度:150℃、ガス:エアー、二流体ノズル微粉化エアー圧:0.2MPa)を用いて噴霧乾燥し、炭素材造粒物を得た。実施例1の炭素材造粒物の平均粒径D50は12.6μmであった。この炭素材造粒物の圧縮破壊強度および粉体特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0068】
<実施例2>
実施例1で得られた炭化物をジェットミルで粉砕後、さらにΦ1.0mmジルコニアビーズを用いた乾式ビーズミルで粉砕し、平均粒径D501.3μmの予備粉砕物を得た。上記予備粉砕物15重量部を水85重量部に分散し、Φ0.1mmのジルコニアビーズを用いた湿式ビーズミルでさらに微粉砕することで、平均粒径D50が0.14μmの炭素材粒子が濃度15重量%で分散された炭素材スラリーを得た。上記炭素材スラリーを実施例1と同様の方法で炭素材造粒物を得た。実施例2の炭素材造粒物の平均粒径D50は21.2μmであった。この炭素材造粒物の圧縮破壊強度および粉体特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0069】
<実施例3>
実施例1で得られた炭化物を実施例2の方法で粉砕し、平均粒径D501.3μmの予備粉砕物を得た。上記予備粉砕物20重量部を水80重量部に分散し、Φ0.1mmのジルコニアビーズを用いた湿式ビーズミルでさらに微粉砕することで、平均粒径D50が0.16μmの炭素材粒子が濃度20重量%で分散された炭素材スラリーを得た。上記炭素材スラリーを実施例1と同様の方法で炭素材造粒物を得た。実施例3の炭素材造粒物の平均粒径D50は34.1μmであった。この炭素材造粒物の圧縮破壊強度および粉体特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0070】
<比較例1>
実施例1で得られた炭素材造粒物を、ジェットミルを用いて平均粒径D50が0.32μmの炭素材粒子に解砕処理したものについて、圧縮破壊強度および粉体特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0071】
<比較例2>
実施例2で得られた炭素材造粒物を、ジェットミルを用いて平均粒径D50が0.15μmの炭素材粒子に解砕処理したものについて、圧縮破壊強度および粉体特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0072】
<比較例3>
実施例1で得られた炭化物をジェットミルで粉砕し、平均粒径D50が11.2μmの炭素材粒子を得た。この炭素材粒子の圧縮破壊強度および粉体特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0073】
<比較例4>
実施例1で得られた炭化物を実施例2の方法で粉砕し、平均粒径D501.3μmの予備粉砕物を得た。上記予備粉砕物3重量部を水97重量部に分散し、Φ0.1mmのジルコニアビーズを用いた湿式ビーズミルでさらに微粉砕することで、平均粒径D50が0.12μmの炭素材粒子が濃度3重量%で分散された炭素材スラリーを得た。上記炭素材スラリーを実施例1と同様の方法で炭素材造粒物を得た。この際、二流体ノズルの微粉化エアー圧は0.25MPaに変更した。比較例4の炭素材造粒物の平均粒径D50は0.86μmであった。この炭素材造粒物の圧縮破壊強度および粉体特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0074】
(粒子径および粒子径分布の測定方法)
実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子の粒子径および粒子径分布測定のために、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA-950)を使用した。炭素材造粒物または炭素材粒子を、分散媒であるノニオン系界面活性剤に分散して超音波処理することにより、測定液を調整した。
【0075】
(圧縮破壊強度の評価方法)
実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子の圧縮破壊強度の評価のために、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、MCT-210)を使用した。試験機にセットした試料一粒を圧縮した際の降伏点での荷重(mN)とJIS R 1639-5で規定される以下の式(6)から圧縮破壊強度を算出した。以下式において、圧縮破壊強度はCS(kPa)、荷重はP(N)、粒子径はd(mm)で表す。
CS=2.48(P/(πd2) ・・・式(6)
【0076】
(粉体特性およびハンドリング性の評価方法)
実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子の各種粉体特性およびハンドリング性は、粉体特性評価装置パウダテスタ(ホソカワミクロン株式会社製、PT-X)を用いて測定した。
【0077】
(安息角)
実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子を、目開き710μmの篩に通し、振幅1.5mmで振動させながら、開口部の径7mmの漏斗を用いて、該テーブル面の中央部7.5cm上から円形テーブル上に落下させることで堆積層を形成させ、堆積層の自由表面と水平面が成した角を測定した。
【0078】
(崩潰角)
上記安息角測定後、円形テーブルにショッカーで3回衝撃を与えることで崩潰させ、崩潰した堆積層の自由表面が水平面と成した角を測定した。
【0079】
(緩めかさ密度)
パウダテスタ付属のバット、タッピングリフトバー、固定シュート、シュートブラケット、目開き710μmの篩、および0.01gまで正確に計量した100ccの嵩密度測定カップをパウダテスタ本体に取り付けた。実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子200ccをシュート上部にセットした振幅1.5mmで振動する篩より注ぎ入れ、試料が完全に測定カップを満たすよう、あふれさせた。測定カップから盛り上がった余分な炭素材造粒物または炭素材粒子をパウダテスタ付属の金属ブレードで擦りきり、炭素材造粒物または炭素材粒子の入った測定カップの重さを0.01gまで正確に量り、測定カップの容積で割ることで緩めかさ密度を算出した。
【0080】
(固めかさ密度)
上記緩めかさ密度の測定に用いた、炭素材造粒物または炭素材粒子を充填した測定カップに専用キャップを取り付け、上記と同様にして炭素材造粒物または炭素材粒子100ccを更に注ぎ入れ、試料を専用キャップからあふれさせた。ストローク18mmで180回タッピングした後、専用キャップを取り外した。測定カップから盛り上がった炭素材造粒物または炭素材粒子を金属ブレードで擦りきり、炭素材造粒物または炭素材粒子の入った測定カップの重さを0.01gまで正確に量り、測定カップの容積で割ることで固めかさ密度を算出した。
【0081】
(凝集度)
三段に重ねた篩(上段:目開き355μm、中段:目開き250μm、下段:目開き150μm)をセットし、実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子2gを上段の篩に入れ、振幅1mmの振動を60秒与えた後に、残った篩後の残重量を測定し、以下式(4)を用いて凝集度を算出した。
凝集度(%)=((上段篩の残重量(g))/2+3(中段篩の残重量(g))/10+(下段篩の残重量(g))/10)×100 ・・・式(4)
【0082】
(分散度)
実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子10gを61cmの高さから自由落下させ、に置いたウォッチグラス上に落下せずに飛散した重量を測定し、以下式(5)を用いて分散度を算出した。
分散度(%)=(飛散した重量(g))/落下前の重量(g))×100 ・・・式(5)
【0083】
(流動性)
実施例および比較例の炭素材造粒物または炭素材粒子10gを薬包紙上に秤量し、数度薬包紙を揺らすことで炭素材造粒物または炭素材粒子の流動性を以下の基準で評価した。
〇・・・秤量時および揺らした後の粉体の山の高さが10mm未満
△・・・秤量時の粉体の山の高さが10mm以上、揺らした後の粉体の山の高さが10mm未満
×・・・秤量時および揺らした後の粉体の山の高さが10mm以上
【0084】
【0085】
実施例1~3で得られた炭素材造粒物の圧縮破壊強度は、いずれも100kPa未満であり、樹脂組成物等への混練時の剪断応力で容易に解砕、分散できるものであった。
また、粉体特性およびハンドリング性の評価結果より、比較例の炭素材微粒子および炭素材造粒物と比較して、凝集性、分散性(粉塵の飛散性)、流動性等も改善され、ハンドリング性が向上した。