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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131893
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】栽培システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A01G9/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031121
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂 幸憲
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029JA02
2B029KB03
2B029MA01
2B029MA06
2B029PA06
2B029PA10
2B029SA01
2B029SF08
(57)【要約】
【課題】設備コストを抑えつつも、各栽培空間を栽培物の生育に適した環境とすることができ、さらには、各栽培空間に配置された栽培物を栽培棚から容易に取り出すこと。
【解決手段】第1栽培棚21に設けられた送風機構23は、第1栽培棚21の両側部の一方から第1栽培棚21の栽培空間18を通過させ、第2栽培棚22の両側部の一方から第2栽培棚22の栽培空間18に空気が流入するように送風を行う。したがって、第2栽培棚22に送風機構23が設けられていなくても、第2栽培棚22の各栽培空間18に配置された栽培物17に向けて空気が送り出される。また、各第1栽培棚21における奥行方向に位置する両側部が開放されており、各第2栽培棚22における奥行方向に位置する両側部も開放されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間に設置されるとともに栽培物が配置される栽培空間を有する栽培棚と、
前記室内空間の温度及び湿度を調整する空調装置と、を備え、
前記栽培棚は、上下方向に対して直交する方向である第1方向の長さが、前記上下方向に対して直交し、且つ前記第1方向に対しても直交する方向である第2方向の長さよりも長くなっており、
前記栽培棚には、前記栽培空間が前記第1方向に複数並設されており、
前記栽培棚における前記第2方向に位置する両側部は開放されており、
前記室内空間に前記栽培棚が複数設置されている栽培システムであって、
前記複数の栽培棚は、前記各栽培棚の前記第2方向がそれぞれ一致した状態で前記第2方向に並設されており、
前記複数の栽培棚は、
前記栽培棚の両側部の一方から前記栽培空間に向けて空気を送風する送風機構が設けられた第1栽培棚と、
前記送風機構を有していない第2栽培棚と、を含み、
前記第1栽培棚と前記第2栽培棚とは、前記第2方向に並んで配置され、
前記送風機構は、前記第1栽培棚の両側部の一方から前記第1栽培棚の栽培空間を通過させ、前記第2栽培棚の両側部の一方から前記第2栽培棚の栽培空間に空気が流入するように送風を行うことを特徴とする栽培システム。
【請求項2】
前記室内空間には、前記第1栽培棚が複数設置されるとともに前記第2栽培棚が複数設置されており、
前記複数の第1栽培棚及び前記複数の第2栽培棚は、前記第2方向に交互に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培システム。
【請求項3】
前記栽培棚に設けられるとともに前記送風機構から送り出されて前記各栽培空間を通過した空気の流れ方向を変更する第1ルーバ機構を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の栽培システム。
【請求項4】
前記栽培棚に隣接した状態で立設された壁部に設けられるとともに前記送風機構から送り出されて前記各栽培空間を通過した空気の流れ方向を変更する第2ルーバ機構を備えたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の栽培システム。
【請求項5】
前記室内空間における前記栽培棚よりも上方に位置する上部空間の空気の流れを整流する第1整流機構を備えたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の栽培システム。
【請求項6】
前記室内空間における前記栽培棚よりも前記第1方向で側方に位置する側方空間の空気の流れを整流する第2整流機構を備えたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の栽培システム。
【請求項7】
前記送風機構の駆動を制御する送風制御部と、
前記室内空間の栽培環境情報を取得する栽培環境取得部と、を備え、
前記送風制御部は、前記栽培環境取得部によって取得された前記栽培環境情報に基づいて、前記送風機構の駆動を制御することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の栽培システム。
【請求項8】
前記送風制御部は、明期と暗期と区別し、前記送風機構における暗期での駆動頻度が明期での駆動頻度よりも少なくなるように前記送風機構を制御することを特徴とする請求項7に記載の栽培システム。
【請求項9】
前記第1整流機構の駆動を制御する第1整流制御部と、
前記室内空間の栽培環境情報を取得する栽培環境取得部と、を備え、
前記第1整流制御部は、前記栽培環境取得部によって取得された前記栽培環境情報に基づいて、前記第1整流機構の駆動を制御することを特徴とする請求項5に記載の栽培システム。
【請求項10】
前記第2整流機構の駆動を制御する第2整流制御部と、
前記室内空間の栽培環境情報を取得する栽培環境取得部と、を備え、
前記第2整流制御部は、前記栽培環境取得部によって取得された前記栽培環境情報に基づいて、前記第2整流機構の駆動を制御することを特徴とする請求項6に記載の栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、野菜や果実、花木等の植物、又はキノコのような栽培物を室内空間で栽培する栽培システムが知られている。栽培システムは、室内空間に設置される栽培棚を備えている。栽培棚は、栽培物が配置される栽培空間を有している。栽培システムは、室内空間の温度及び湿度を調整する空調装置を備えている。栽培棚は、上下方向に対して直交する方向である第1方向の長さが、上下方向に対して直交し、且つ第1方向に対しても直交する方向である第2方向の長さよりも長くなっている。栽培棚には、栽培空間が第1方向に複数並設されている。
【0003】
このような栽培棚において、例えば特許文献1では、栽培棚の第1方向に位置する両端部を開放し、栽培棚の第2方向に位置する両側部を閉塞している。そして、栽培棚の第1方向の両端部に位置する両開口部の一方から他方に向けて空気を流すことで、栽培棚の各栽培空間の温度及び湿度を均一にしている。これによれば、各栽培空間が栽培物の生育に適した環境になるため、各栽培空間に配置された栽培物それぞれの生育を均一に促すことができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、栽培棚が、栽培棚の第2方向に位置する両側部が閉塞されている構成であると、複数の栽培空間のうち、栽培棚の第1方向の両端部に位置する栽培空間にそれぞれ配置された栽培物以外の栽培物を、栽培棚から取り出すことが困難となる虞がある。そこで、例えば特許文献2のように、栽培棚における第2方向に位置する両側部が開放されている栽培棚が従来から知られている。栽培棚の両側部の一方には、送風機構が設けられている。送風機構は、各栽培空間に配置された栽培物それぞれに向けて空気を送り出す。これによれば、栽培空間が第1方向に複数並設された栽培棚であっても、送風機構から送り出される空気によって各栽培空間が栽培物の生育に適した環境としつつも、各栽培空間に配置された栽培物を栽培棚から容易に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-82995号公報
【特許文献2】特許第6374368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、室内空間に栽培棚が複数設置されている栽培システムの場合、各栽培棚の両側部の一方に送風機構がそれぞれ設けられていると、設備コストが増大してしまう。したがって、設備コストを抑えつつも、各栽培空間を栽培物の生育に適した環境とすることができ、さらには、各栽培空間に配置された栽培物を栽培棚から容易に取り出すことができる栽培システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する栽培システムは、室内空間に設置されるとともに栽培物が配置される栽培空間を有する栽培棚と、前記室内空間の温度及び湿度を調整する空調装置と、を備え、前記栽培棚は、上下方向に対して直交する方向である第1方向の長さが、前記上下方向に対して直交し、且つ前記第1方向に対しても直交する方向である第2方向の長さよりも長くなっており、前記栽培棚には、前記栽培空間が前記第1方向に複数並設されており、前記栽培棚における前記第2方向に位置する両側部は開放されており、前記室内空間に前記栽培棚が複数設置されている栽培システムであって、前記複数の栽培棚は、前記各栽培棚の前記第2方向がそれぞれ一致した状態で前記第2方向に並設されており、前記複数の栽培棚は、前記栽培棚の両側部の一方から前記栽培空間に向けて空気を送風する送風機構が設けられた第1栽培棚と、前記送風機構を有していない第2栽培棚と、を含み、前記第1栽培棚と前記第2栽培棚とは、前記第2方向に並んで配置され、前記送風機構は、前記第1栽培棚の両側部の一方から前記第1栽培棚の栽培空間を通過させ、前記第2栽培棚の両側部の一方から前記第2栽培棚の栽培空間に空気が流入するように送風を行う。
【0008】
上記栽培システムにおいて、前記室内空間には、前記第1栽培棚が複数設置されるとともに前記第2栽培棚が複数設置されており、前記複数の第1栽培棚及び前記複数の第2栽培棚は、前記第2方向に交互に並んで配置されているとよい。
【0009】
上記栽培システムにおいて、前記栽培棚に設けられるとともに前記送風機構から送り出されて前記各栽培空間を通過した空気の流れ方向を変更する第1ルーバ機構を備えているとよい。
【0010】
上記栽培システムにおいて、前記栽培棚に隣接した状態で立設された壁部に設けられるとともに前記送風機構から送り出されて前記各栽培空間を通過した空気の流れ方向を変更する第2ルーバ機構を備えているとよい。
【0011】
上記栽培システムにおいて、前記室内空間における前記栽培棚よりも上方に位置する上部空間の空気の流れを整流する第1整流機構を備えているとよい。
上記栽培システムにおいて、前記室内空間における前記栽培棚よりも前記第1方向で側方に位置する側方空間の空気の流れを整流する第2整流機構を備えているとよい。
【0012】
上記栽培システムにおいて、前記送風機構の駆動を制御する送風制御部と、前記室内空間の栽培環境情報を取得する栽培環境取得部と、を備え、前記送風制御部は、前記栽培環境取得部によって取得された前記栽培環境情報に基づいて、前記送風機構の駆動を制御するとよい。
【0013】
上記栽培システムにおいて、前記送風制御部は、明期と暗期と区別し、前記送風機構における暗期での駆動頻度が明期での駆動頻度よりも少なくなるように前記送風機構を制御するとよい。
【0014】
上記栽培システムにおいて、前記第1整流機構の駆動を制御する第1整流制御部と、前記室内空間の栽培環境情報を取得する栽培環境取得部と、を備え、前記第1整流制御部は、前記栽培環境取得部によって取得された前記栽培環境情報に基づいて、前記第1整流機構の駆動を制御するとよい。
【0015】
上記栽培システムにおいて、前記第2整流機構の駆動を制御する第2整流制御部と、前記室内空間の栽培環境情報を取得する栽培環境取得部と、を備え、前記第2整流制御部は、前記栽培環境取得部によって取得された前記栽培環境情報に基づいて、前記第2整流機構の駆動を制御するとよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、設備コストを抑えつつも、各栽培空間を栽培物の生育に適した環境とすることができ、さらには、各栽培空間に配置された栽培物を栽培棚から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態における栽培システムの全体構成を示す模式図。
図2】栽培システムの全体構成を示す模式図。
図3】栽培システムを第1方向から見た模式図。
図4】送風機構、照明装置、及び栽培物の位置関係を示す模式図。
図5】空気ノズルの断面図。
図6】栽培システムの電気的構成を示すブロック図。
図7】別の実施形態における栽培システムを第1方向から見た模式図。
図8】別の実施形態における栽培システムを第1方向から見た模式図。
図9】別の実施形態における栽培システムを第1方向から見た模式図。
図10】別の実施形態における栽培システムの全体構成を示す模式図。
図11】別の実施形態における栽培システムの全体構成を示す模式図。
図12】別の実施形態における栽培システムの全体構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、栽培システムを具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。
(栽培システム10の全体構成)
図1及び図2に示すように、栽培システム10は、複数の栽培棚11を備えている。各栽培棚11は、植物工場12の室内空間13に設置されている。したがって、室内空間13には、栽培棚11が複数設置されている。
【0019】
植物工場12は、二酸化炭素ガス供給装置14を備えている。二酸化炭素ガス供給装置14は、二酸化炭素ガスボンベ14aを有している。二酸化炭素ガスボンベ14a内には、二酸化炭素ガスが貯留されている。そして、二酸化炭素ガスボンベ14a内の二酸化炭素ガスは、導入配管15を介して室内空間13内に導入される。栽培システム10は、空調装置16を備えている。空調装置16は、室内空間13内に設置されている。空調装置16は、室内空間13の温度及び湿度を調整する。
【0020】
(栽培棚11の構成)
各栽培棚11は、栽培物17が配置される栽培空間18を各段に有する多段式である。各栽培棚11において、上下方向に対して直交する方向である第1方向を栽培棚11の左右方向とし、上下方向に対して直交し、且つ左右方向に対しても直交する方向である第2方向を栽培棚11の奥行方向とする。各栽培棚11は、左右方向の長さが奥行方向の長さよりも長くなっている。各栽培棚11の左右方向に位置する両端部は開放されている。また、各栽培棚11の奥行方向に位置する両側部は開放されている。各栽培棚11には、栽培空間18が左右方向に複数並設されている。
【0021】
(栽培物17について)
本実施形態において、各栽培棚11の栽培空間18に配置される栽培物17は、例えば、野菜、果実、又は花木等の植物である。栽培物17は、栽培容器19に収容されている。栽培容器19は、例えば、栽培パレットである。各栽培容器19は、各栽培空間18にそれぞれ配置されている。各栽培物17は、各栽培容器19に収容された状態で、各栽培棚11の各栽培空間18に配置されている。したがって、各栽培物17は、栽培棚11の各段にそれぞれ配置されることにより、上下方向及び左右方向に所定の間隔をおいて配置されている。
【0022】
(照明装置20の構成)
各栽培棚11は、照明装置20を備えている。照明装置20は、栽培物17に対して光を照射する。照明装置20は、栽培棚11の各段において、各栽培空間18の上方であって、且つ栽培物17に対して上下方向に重なる位置に配置されている。なお、図1及び図2では、説明の都合上、栽培棚11の最も上段の照明装置20のみ図示しており、栽培棚11における最も上段以外の各段に配置されている照明装置20の図示を省略している。照明装置20は、例えば、発光ダイオード(LED)や蛍光灯等からなる。照明装置20は、栽培物17の光合成に必要な所定波長の光を栽培物17に向けて照射する。
【0023】
(第1栽培棚21及び第2栽培棚22について)
図3に示すように、複数の栽培棚11は、各栽培棚11の奥行方向がそれぞれ一致した状態で奥行方向に並設されている。複数の栽培棚11は、第1栽培棚21と、第2栽培棚22と、を含む。第1栽培棚21には、送風機構23が設けられている。第2栽培棚22は、送風機構23を有していない。室内空間13には、第1栽培棚21が複数設置されている。また、室内空間13には、第2栽培棚22が複数設置されている。複数の第1栽培棚21及び複数の第2栽培棚22は、栽培棚11の奥行方向に交互に並んで配置されている。したがって、第1栽培棚21と第2栽培棚22とは、栽培棚11の奥行方向に並んで配置されている。
【0024】
(送風機構23の構成)
図1図2及び図3に示すように、送風機構23は、送風機24と、複数の空気ノズル25と、を有している。送風機24は、二酸化炭素が混合された室内空間13の空気を各空気ノズル25に送り出す。送風機24は、第1栽培棚21の天井に複数設置されている。各空気ノズル25は、第1栽培棚21の各段にそれぞれ設けられている。各空気ノズル25は、第1栽培棚21の各段において、空気ノズル25の長手方向が第1栽培棚21の左右方向に一致した状態で配置されている。また、各空気ノズル25は、第1栽培棚21の各段において、各栽培空間18に対応してそれぞれ配置されている。送風機24と各空気ノズル25とは、配管26によって接続されている。配管26は、送風機24から送り出された室内空間13の空気を各空気ノズル25に分配する。
【0025】
(空気ノズル25の構成)
図4及び図5に示すように、空気ノズル25は、円筒状である樹脂製のノズル本体27を有している。ノズル本体27は、噴出口28を有している。噴出口28は、空気を栽培物17に向けて噴き出す。ノズル本体27は、ノズル本体27の周方向に所定の間隔をおいて、噴出口28を複数有している。空気ノズル25は、濾材29を有している。濾材29は、円筒状である。濾材29は、例えば、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンからなる帯状の不織布を用いて形成されている。濾材29は、各噴出口28から噴き出される室内空間13の空気に含まれる異物を捕捉する。濾材29の目の大きさは、空気に含まれる埃、塵、又はカビの胞子等の異物が通過できない大きさであるとともに、空気が通過できる大きさになっている。
【0026】
図4に示すように、空気ノズル25は、第1栽培棚21の奥行方向に位置する両側部の一方に設けられている。空気ノズル25は、栽培物17に対して斜め上方であり、且つ照明装置20よりも側方に配置されている。各噴出口28は、第1栽培棚21の奥行方向に位置する両側部の他方に向いている。そして、各噴出口28から室内空間13の空気が噴き出されることにより、第1栽培棚21の奥行方向に位置する両側部の一方から各栽培空間18に向けて空気が送風される。したがって、送風機構23は、栽培棚11の奥行方向の一方から栽培空間18に向けて空気を送風する。
【0027】
(空気の流れについて)
図1図2及び図3に示すように、送風機構23は、第1栽培棚21の奥行方向に位置する両側部の一方から第1栽培棚21の各栽培空間18を通過させ、空気の流れ方向で隣り合う第2栽培棚22の奥行方向に位置する両側部の一方から第2栽培棚22の各栽培空間18に空気が流入するように送風を行っている。なお、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も上流側に位置する栽培棚11は、第1栽培棚21である。また、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する栽培棚11は、第2栽培棚22である。
【0028】
(第1ルーバ機構30の構成)
栽培システム10は、第1ルーバ機構30を備えている。第1ルーバ機構30は、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22に設けられている。第1ルーバ機構30は、第2栽培棚22の奥行方向に位置する両側部の他方に設けられている。
【0029】
第1ルーバ機構30は、細長平板状の羽根31と、羽根31を支持する支持部32と、を有している。支持部32は、第2栽培棚22の奥行方向に位置する両側部の他方に取り付けられている。羽根31は、第2栽培棚22の各段にそれぞれ設けられている。各羽根31は、第2栽培棚22における各栽培空間18に対して斜め下方の部位から離間するにつれて上方に向かって延びるように傾斜した状態で支持部32に支持されている。
【0030】
そして、第1ルーバ機構30は、送風機構23から送り出されて各栽培空間18を通過した空気の流れ方向を変更する。具体的には、第1ルーバ機構30の各羽根31は、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れを、上方に向けて変更する。
【0031】
(第1整流機構33の構成)
栽培システム10は、第1整流機構33を備えている。本実施形態において、第1整流機構33は、室内空間13に設置された送風機である。第1整流機構33は、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22よりも下流側に配置されている。第1整流機構33は、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22に対して、斜め上方に配置されている。そして、第1整流機構33は、室内空間13における栽培棚11よりも上方に位置する上部空間34の空気の流れを整流する。第1整流機構33は、上部空間34の空気を、各栽培空間18を流れる空気の流れ方向とは逆方向へ流す。
【0032】
(栽培システム10の電気的構成)
図6に示すように、栽培システム10は、制御装置35を備えている。制御装置35は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。また、制御装置35は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成される記憶部35aを備えている。さらに、制御装置35は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0033】
制御装置35は、二酸化炭素ガス供給装置14、空調装置16、送風機構23の送風機24、及び第1整流機構33と電気的に接続されている。制御装置35は、二酸化炭素ガス供給装置14、空調装置16、送風機構23の送風機24、及び第1整流機構33それぞれの駆動を制御可能に構成されている。
【0034】
栽培システム10は、温度センサ36、湿度センサ37、及び二酸化炭素濃度センサ38を備えている。温度センサ36は、室内空間13の温度を検出する。温度センサ36は、制御装置35に電気的に接続されている。制御装置35は、温度センサ36により検出された温度に関する情報を受信する。制御装置35の記憶部35aには、温度センサ36により検出された温度に基づいて、空調装置16、送風機構23の送風機24及び第1整流機構33それぞれの駆動を制御する制御プログラムが予め記憶されている。
【0035】
湿度センサ37は、室内空間13の湿度を検出する。湿度センサ37は、制御装置35に電気的に接続されている。制御装置35は、湿度センサ37により検出された湿度に関する情報を受信する。制御装置35の記憶部35aには、湿度センサ37により検出された湿度に基づいて、空調装置16、送風機構23の送風機24及び第1整流機構33それぞれの駆動を制御する制御プログラムが予め記憶されている。
【0036】
二酸化炭素濃度センサ38は、室内空間13の二酸化炭素濃度を検出する。二酸化炭素濃度センサ38は、制御装置35に電気的に接続されている。制御装置35は、二酸化炭素濃度センサ38により検出された二酸化炭素濃度に関する情報を受信する。制御装置35の記憶部35aには、二酸化炭素濃度センサ38により検出された二酸化炭素濃度に基づいて、二酸化炭素ガス供給装置14、空調装置16、送風機構23の送風機24及び第1整流機構33それぞれの駆動を制御する制御プログラムが予め記憶されている。したがって、制御装置35は、送風機構23の駆動を制御する送風制御部として機能するとともに、第1整流機構33の駆動を制御する第1整流制御部としても機能する。
【0037】
栽培システム10は、栽培物17を撮影するカメラ39を備えている。カメラ39は、制御装置35に電気的に接続されている。制御装置35は、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データに関する情報を受信する。制御装置35の記憶部35aには、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データに基づいて、二酸化炭素ガス供給装置14、空調装置16、送風機構23の送風機24及び第1整流機構33それぞれの駆動を制御する制御プログラムが予め記憶されている。
【0038】
温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサにより検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データは、室内空間13の栽培環境情報である。したがって、温度センサ36、湿度センサ37、二酸化炭素濃度センサ38、及びカメラ39は、室内空間13の栽培環境情報を取得する栽培環境取得部である。そして、制御装置35は、栽培環境取得部によって取得された栽培環境情報に基づいて、二酸化炭素ガス供給装置14、空調装置16、送風機構23の駆動、及び第1整流機構33の駆動を制御する。
【0039】
制御装置35は、照明装置20と電気的に接続されている。制御装置35は、照明装置20の点灯と消灯とを切り換える。そして、栽培システム10では、制御装置35によって、照明装置20を点灯させて栽培物17に光を照射させたり、照明装置20を消灯させたりすることにより、栽培物17が光合成を行う昼の時間である明期と、栽培物17が光合成を行わない夜の時間である暗期と、を人工的に作り出している。
【0040】
制御装置35の記憶部35aには、照明装置20の点灯状態と消灯状態とを区別することにより、栽培システム10の明期と暗期とを区別し、送風機構23における暗期での駆動頻度が明期での駆動頻度よりも少なくなるように送風機構23を制御する制御プログラムが予め記憶されている。
【0041】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
送風機24から配管26を介して各第1栽培棚21の各段にそれぞれ設けられた各空気ノズル25の噴出口28から各第1栽培棚21の各栽培空間18に配置された栽培物17に向けて、温度及び湿度が調整された室内空間13の空気が噴き出す。このとき、空気が濾材29を通過する際に、空気に含まれる埃、塵、又はカビの胞子等の異物が濾材29により捕捉され、除去される。
【0042】
また、制御装置35は、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、送風機構23の駆動を制御する。したがって、各第1栽培棚21の各栽培空間18及び各第2栽培棚22の各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境とするために必要となる各第1栽培棚21の各栽培空間18に流入する空気の量や、各第2栽培棚22の各栽培空間18に流入する空気の量が精度良く調整される。
【0043】
各第1栽培棚21に設けられた送風機構23が、各第1栽培棚21の両側部の一方から各第1栽培棚21の各栽培空間18を通過させ、各第2栽培棚22の両側部の一方から各第2栽培棚22の各栽培空間18に空気が流入するように送風を行う。これにより、各第2栽培棚22に送風機構23が設けられていなくても、各第2栽培棚22の各栽培空間18に配置された栽培物17に向けて空気が送り出される。その結果、送風機構23から送り出される空気によって、各第1栽培棚21の各栽培空間18及び各第2栽培棚22の各栽培空間18が栽培物17の生育に適した環境となる。
【0044】
第1ルーバ機構30の各羽根31によって、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れが、上方に向けて変更される。これにより、室内空間13の空気が撹拌され易くなる。そして、第1ルーバ機構30によって上方に流れた空気は、第1整流機構33によって、室内空間13の上部空間34を、各栽培空間18を流れる空気の流れ方向とは逆方向へ流れる。これにより、室内空間13全体の空気が効率良く循環する。また、上部空間34に暖かい空気が滞留してしまうことが抑制されている。また、制御装置35は、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、第1整流機構33の駆動を制御する。したがって、室内空間13全体の空気が効率良く循環する。
【0045】
(効果)
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)例えば、第2栽培棚22にも第1栽培棚21と同様に送風機構23を設ける場合に比べると、設備コストを抑えることができる。そして、第1栽培棚21に設けられた送風機構23が、第1栽培棚21の両側部の一方から第1栽培棚21の栽培空間18を通過させ、第2栽培棚22の両側部の一方から第2栽培棚22の栽培空間18に空気が流入するように送風を行う。したがって、第2栽培棚22に送風機構23が設けられていなくても、第2栽培棚22の各栽培空間18に配置された栽培物17に向けて空気を送り出すことができる。その結果、送風機構23から送り出される空気によって、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境とすることができる。そして、各第1栽培棚21における奥行方向に位置する両側部が開放されており、各第2栽培棚22における奥行方向に位置する両側部も開放されている。このため、各第1栽培棚21の各栽培空間18に配置された栽培物17を各第1栽培棚21から容易に取り出すことができ、各第2栽培棚22の各栽培空間18に配置された栽培物17を各第2栽培棚22から容易に取り出すことができる。以上により、設備コストを抑えつつも、各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境とすることができ、さらには、各栽培空間18に配置された栽培物17を栽培棚11から容易に取り出すことができる。
【0046】
(2)複数の第1栽培棚21及び複数の第2栽培棚22が、栽培棚11の奥行方向に交互に並んで配置されている構成は、各第1栽培棚21の各栽培空間18、及び各第2栽培棚22の各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境とする上で好適である。具体的には、栽培システム10を、第2栽培棚22を複数使用する組み合わせとすることで、設備コストをさらに抑えることができる。
【0047】
(3)栽培システム10は、第2栽培棚22に設けられるとともに送風機構23から送り出されて各栽培空間18を通過した空気の流れ方向を変更する第1ルーバ機構30を備えている。これによれば、第1ルーバ機構30によって、送風機構23から送り出されて各栽培空間18を通過した空気の流れを変更することができるため、室内空間13の空気が撹拌され易くなり、室内空間13の温度を均一にし易くすることができる。また、第1ルーバ機構30が第2栽培棚22に設けられているため、各栽培空間18を通過した空気の流れを効率良く変更することができる。
【0048】
(4)栽培システム10は、室内空間13における栽培棚11よりも上方に位置する上部空間34の空気の流れを整流する第1整流機構33を備えている。これによれば、第1整流機構33によって、室内空間13の上部空間34の空気の流れを整流することができるため、室内空間13全体の空気を効率良く循環させることができる。また、上部空間34に暖かい空気が滞留してしまうことを抑制することができる。
【0049】
(5)第2栽培棚22には送風機構23が設けられていないため、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境とするには、第1栽培棚21の各栽培空間18に流入する空気の量や、第2栽培棚22の各栽培空間18に流入する空気の量を精度良く調整する必要がある。そこで、制御装置35が、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、送風機構23の駆動を制御する。これによれば、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境とするために必要となる第1栽培棚21の各栽培空間18に流入する空気の量や、第2栽培棚22の各栽培空間18に流入する空気の量を精度良く調整することができる。
【0050】
(6)制御装置35は、明期と暗期と区別し、送風機構23における暗期での駆動頻度が明期での駆動頻度よりも少なくなるように送風機構23を制御する。これによれば、例えば、栽培物17として、光合成を行う植物を栽培する際には、光合成を行わず植物が空気をあまり必要としない暗期での送風機構23の駆動頻度を少なくすることができる。したがって、コストを抑えることができる。
【0051】
(7)制御装置35が、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、第1整流機構33の駆動を制御する。このため、室内空間13全体の空気が効率良く循環する。その結果として、各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境にし易くすることができる。
【0052】
(8)空気ノズル25は、噴出口28から噴き出される室内空間13の空気に含まれる異物を捕捉する濾材29を有している。これによれば、空気が濾材29を通過する際に、空気に含まれる埃、塵、又はカビの胞子等の異物が濾材29により捕捉され、除去される。したがって、栽培物17に異物が付着してしまうことを抑制することができるため、栽培物17の生育に適した環境とすることができる。
【0053】
(9)空気ノズル25は、栽培物17に対して斜め上方であり、且つ照明装置20よりも側方に配置されている。よって、例えば、空気ノズル25が、照明装置20を介して栽培物17に対して上下方向に重なる位置に配置されている場合に比べて、空気ノズル25の噴出口28から噴き出された空気の全てが、照明装置20から発せられる熱によって温められ難くなる。したがって、温度の低い空気を噴出口28から栽培物17に向けて噴き出すことができる。
【0054】
(変更例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
図7に示すように、栽培システム10は、第2ルーバ機構40を備えていてもよい。第2ルーバ機構40は、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22に隣接した状態で立設された壁部41に設けられている。第2ルーバ機構40は、複数の羽根31Aを有している。複数の羽根31Aは、壁部41に支持されている。各羽根31Aは、壁部41における第2栽培棚22の各段に対応する部位にそれぞれ設けられている。各羽根31Aは、第2栽培棚22における各栽培空間18に対して斜め下方の部位から離間するにつれて上方に向かって延びるように傾斜した状態で壁部41に支持されている。
【0056】
そして、第2ルーバ機構40は、送風機構23から送り出されて各栽培空間18を通過した空気の流れ方向を変更する。具体的には、第2ルーバ機構40の各羽根31Aは、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れを、上方に向けて変更する。これにより、室内空間13の空気が撹拌され易くなる。
【0057】
これによれば、第2ルーバ機構40によって、送風機構23から送り出されて各栽培空間18を通過した空気の流れを変更することができるため、室内空間13の空気が撹拌され易くなり、室内空間13の温度を均一にし易くすることができる。また、第2ルーバ機構40が第2栽培棚22に隣接した状態で立設された壁部41に設けられているため、第2ルーバ機構40を設けるために栽培棚11の設計を変更する必要が無い。
【0058】
図8に示すように、第1ルーバ機構30が、例えば、全ての第2栽培棚22に設けられていてもよい。これによれば、送風機構23から送り出されて各第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れが、各第1ルーバ機構30によってそれぞれ変更されるため、室内空間13の空気がさらに撹拌され易くなり、室内空間13の温度をさらに均一にし易くすることができる。
【0059】
図9に示すように、第1ルーバ機構30が、例えば、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22以外の第2栽培棚22に設けられていてもよい。そして、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22に隣接した状態で立設された壁部41に第2ルーバ機構40が設けられていてもよい。
【0060】
図10に示すように、第1ルーバ機構30の各羽根31Bが、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れを、栽培棚11の左右方向へ変更する構成であってもよい。
【0061】
例えば、栽培システム10は、各栽培棚11の奥行方向がそれぞれ一致した状態で奥行方向に並設されて構成される栽培棚11の群が、栽培棚11の左右方向に複数並設されるように、複数の栽培棚11が室内空間13に設置されていてもよい。そして、第1ルーバ機構30の各羽根31Bは、第2栽培棚22における各栽培空間18に対して離間するにつれて栽培棚11の左右方向の一方で隣り合う栽培棚11に向かって延びるように傾斜した状態で支持部32に支持されている。
【0062】
そして、第1ルーバ機構30の各羽根31Bは、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れを、栽培棚11の左右方向の一方で隣り合う栽培棚11に向けて変更する。
【0063】
図11に示すように、栽培システム10は、室内空間13における栽培棚11よりも左右方向で側方に位置する側方空間45の空気の流れを整流する第2整流機構46を備えていてもよい。第2整流機構46は、室内空間13に設置された送風機である。制御装置35は、第2整流機構46に電気的に接続されている。制御装置35は、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、第2整流機構46の駆動を制御する。よって、制御装置35は、栽培環境取得部によって取得された栽培環境情報に基づいて、第2整流機構46の駆動を制御する。したがって、制御装置35は、第2整流機構46の駆動を制御する第2整流制御部としても機能する。
【0064】
これによれば、第2整流機構46によって、室内空間13における栽培棚11よりも左右方向で側方に位置する側方空間45の空気の流れを整流することができるため、室内空間13全体の空気を効率良く循環させることができる。
【0065】
また、制御装置35が、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、第2整流機構46の駆動を制御する。このため、室内空間13全体の空気が効率良く循環する。その結果として、各栽培空間18を栽培物17の生育に適した環境にし易くすることができる。
【0066】
図11に示すように、第1ルーバ機構30は、室内空間13における栽培棚11よりも左右方向で両側方の一方に位置する側方空間45側に向けて延びる第1羽根47aと、室内空間13における栽培棚11よりも左右方向で両側方の他方に位置する側方空間45側に向けて延びる第2羽根47bと、を有していてもよい。
【0067】
第1羽根47aは、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れを、室内空間13における栽培棚11よりも左右方向で両側方の一方に位置する側方空間45に向けて変更する。また、第2羽根47bは、第1栽培棚21の各栽培空間18及び第2栽培棚22の各栽培空間18を通過する空気の流れ方向において、室内空間13で最も下流側に位置する第2栽培棚22の各栽培空間18を通過した空気の流れを、室内空間13における栽培棚11よりも左右方向で両側方の他方に位置する側方空間45に向けて変更する。
【0068】
図12に示すように、栽培システム10は、栽培棚11の奥行方向で、第1栽培棚21と第2栽培棚22とが1つずつ並んで配置されている構成であってもよい。要は、第1栽培棚21及び第2栽培棚22が、栽培棚11の奥行方向に交互に並んで配置されていなくてもよい。なお、例えば、図12に示す実施形態では、空調装置16は、第1栽培棚21と第2栽培棚22との間の空間である中央空間48に向けて送風を行っている。
【0069】
・実施形態において、第1ルーバ機構30の各羽根31が支持部32に対して可動する可動式であってもよい。この場合、制御装置35は、第1ルーバ機構30の各羽根31の角度を変更する駆動部と電気的に接続されている。そして、制御装置35が、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、駆動部の駆動を制御することにより、各羽根31の角度を制御する。
【0070】
図7に示す実施形態において、第2ルーバ機構40の各羽根31Aが支持部32に対して可動する可動式であってもよい。この場合、制御装置35は、第2ルーバ機構40の各羽根31Aの角度を変更する駆動部と電気的に接続されている。そして、制御装置35が、温度センサ36により検出される温度、湿度センサ37により検出される湿度、二酸化炭素濃度センサ38により検出される二酸化炭素濃度、カメラ39により撮影された栽培物17の画像データなどに基づいて、駆動部の駆動を制御することにより、各羽根31Aの角度を制御する。
【0071】
・実施形態において、栽培システム10は、第1ルーバ機構30を備えていない構成であってもよい。
・実施形態において、栽培システム10は、第1整流機構33を備えていない構成であってもよい。
【0072】
・実施形態において、空気ノズル25が濾材29を有していない構成であってもよい。
・実施形態において、空気ノズル25は、第1栽培棚21の各段にそれぞれ設けられていなくてもよく、例えば、第1栽培棚21において、空気ノズル25が1段置きに設けられていてもよい。また、第1栽培棚21において、空気ノズル25が任意の段に設けられていてもよい。
【0073】
・実施形態において、第1栽培棚21に設置される送風機24の数は特に限定されるものではない。
・実施形態において、送風機構23として、例えば、送風ファンを適用してもよい。要は、送風機構23の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0074】
・実施形態において、栽培システム10は、栽培環境取得部として、例えば、光量子センサ、風速センサ、飽差センサ、ECセンサ、pHセンサ、液滴センサ、振動センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、照度センサ、荷重センサ等を備えていてもよい。そして、制御装置35は、これら各種センサにより検出される栽培環境情報に基づいて、送風機構23の駆動、及び第1整流機構33の駆動を制御するようにしてもよい。
【0075】
・実施形態において、制御装置35は、室内空間13の栽培環境情報以外に、植物工場12周辺の気象データや、生産計画、人員データ、経費データ等の各種情報に基づいて、送風機構23の駆動、及び第1整流機構33の駆動を制御するようにしてもよい。
【0076】
・実施形態において、制御装置35は、AI技術を利用して、送風機構23の駆動、及び第1整流機構33の駆動を制御するようにしてもよい。
・実施形態において、送風機構23は、第1栽培棚21に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0077】
・実施形態において、栽培棚11は、多段式でなくてもよい。
・実施形態において、複数の第1栽培棚21及び複数の第2栽培棚22は、栽培棚11の奥行方向に交互に並んで配置されていたが、これに限らない。例えば、複数の第1栽培棚21及び複数の第2栽培棚22が、1台の第1栽培棚21に対して、第2栽培棚22が奥行方向に1台以上並んで配置されている組み合わせで、栽培棚11の奥行方向に並んで配置されていてもよい。
【0078】
・実施形態において、栽培物17として、例えば、キノコを適用してもよい。キノコを栽培物17として栽培空間18に配置する場合、その栽培空間18には、栽培物17に対して光を照射する照明装置20は無くてもよい。また、例えば、全ての栽培空間18に、キノコを栽培物17として配置する場合、植物工場12は、二酸化炭素ガス供給装置14を備えていなくてもよい。そして、植物工場12は、室内空間13の二酸化炭素ガスを室内空間13の外部へ排出するための排気装置を備えていてもよい。これによれば、キノコの菌床培養が行われることによりキノコから放出される二酸化炭素ガスを、排気装置によって室内空間13の外部へ排出することができるため、室内空間13の二酸化炭素ガスの上昇を抑えることができ、室内空間13をキノコの生育に適した環境とすることができる。
【0079】
・実施形態において、栽培物17として、例えば、キノコと、野菜、果実、又は花木等の植物と、を同時に栽培するようにしてもよい。この場合、植物工場12は、二酸化炭素ガス供給装置14に加えて、室内空間13の二酸化炭素ガスを室内空間13の外部へ排出するための排気装置をさらに備えていてもよい。例えば、植物の光合成が盛んに行われて、室内空間13の二酸化炭素濃度が予め定められた下限値を下回ったときには、二酸化炭素ガス供給装置14から室内空間13に供給される二酸化炭素ガスの量を増やす。一方で、例えば、キノコの菌床培養が盛んに行われて、室内空間13の二酸化炭素濃度が予め定められた上限値に達したときには、排気装置によって室内空間13の二酸化炭素ガスを室内空間13の外部へ排出する。このように、室内空間13の二酸化炭素濃度を調整することにより、室内空間13をキノコ及び植物の生育に適した環境とすることができる。
【符号の説明】
【0080】
10…栽培システム、11…栽培棚、13…室内空間、16…空調装置、17…栽培物、18…栽培空間、21…第1栽培棚、22…第2栽培棚、23…送風機構、30…第1ルーバ機構、33…第1整流機構、34…上部空間、35…制御装置(送風制御部、第1整流制御部、第2整流制御部)、36…栽培環境取得部である温度センサ、37…栽培環境取得部である湿度センサ、38…栽培環境取得部である二酸化炭素濃度センサ、39…栽培環境取得部であるカメラ、40…第2ルーバ機構、41…壁部、45…側方空間、46…第2整流機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12