IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-燃料電池ユニット 図1
  • 特開-燃料電池ユニット 図2
  • 特開-燃料電池ユニット 図3
  • 特開-燃料電池ユニット 図4
  • 特開-燃料電池ユニット 図5
  • 特開-燃料電池ユニット 図6
  • 特開-燃料電池ユニット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131897
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20220831BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220831BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031125
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水草 遼
(72)【発明者】
【氏名】吉房 敬二
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA39
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127EE01
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制できる燃料電池ユニットを提供すること。
【解決手段】燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック30をフレーム11に固定するためのブラケット40を有する。ブラケット40は、燃料電池スタック30の最下面30aより下側に配置されて燃料電池スタック30に取り付けられた取付部41と、取付部41から下側に延出し、かつフレーム11に固定された脚部42と、を有する。気液分離器23は、燃料電池スタック30の片側に配置され、かつ燃料電池スタック30の最下面30aよりも下側に配置された延出部23aを有する。鉛直方向Zに沿った取付部41とフレーム11との間であり、かつ脚部42と並ぶ位置に希釈器24が配置されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に複数の燃料電池セルが積層されている燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックから排出されたアノードオフガスが流入する気液分離器と、
前記燃料電池スタックから排出されたカソードオフガス、及び前記気液分離器から排出された前記アノードオフガスが流入する希釈器と、
前記燃料電池スタック、前記気液分離器、及び前記希釈器が搭載されるフレームと、を有する燃料電池ユニットであって、
前記燃料電池スタックを前記フレームに固定するためのブラケットを有し、
前記ブラケットは、前記燃料電池スタックの最下面より下側に配置されて前記燃料電池スタックに取り付けられた取付部と、
前記取付部から下側に延出し、かつ前記フレームに固定された脚部と、を有し、
前記気液分離器は、前記燃料電池スタックの前記積層方向の片側に配置され、かつ前記燃料電池スタックの前記最下面よりも下側に配置された延出部を有し、
鉛直方向に沿った前記取付部と前記フレームとの間であり、かつ前記脚部と並ぶ位置に前記希釈器が配置されていることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記積層方向の端部に前記脚部を有し、前記脚部と前記延出部は前記積層方向に並んでいる請求項1に記載の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記鉛直方向及び前記積層方向に直交する方向を水平方向とし、前記ブラケットは、前記水平方向の両端部に前記脚部を有し、前記脚部は前記フレームの上面に接する固定片を含み、前記固定片は前記フレームに固定されており、前記固定片は前記鉛直方向に前記燃料電池スタックに重なる位置に配置されている請求項1又は請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記燃料電池スタックの前記最下面には防振部材が固定され、前記防振部材は取付プレートに保持されており、前記取付プレートの下面に前記ブラケットの前記取付部が取り付けられている請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池ユニットは、フレームに搭載される燃料電池、気液分離器、及び希釈器を有する。気液分離器は、燃料電池から排出される水及び水素を含むアノードオフガスから液体の水を分離する。希釈器は、燃料電池から排出されるアノードオフガスとカソードオフガスを混合させて水素を希釈する。燃料電池から排出される水を自重で気液分離器に流入させるため、気液分離器は、燃料電池の下面よりも下側に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-137565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気液分離器で分離された水を自重で希釈器に流入させるため、希釈器は気液分離器の下側に配置される。すると、燃料電池の下面よりも下側には、気液分離器と希釈器が鉛直方向に並んで配置され、燃料電池ユニットが鉛直方向に大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための燃料電池ユニットは、積層方向に複数の燃料電池セルが積層されている燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックから排出されたアノードオフガスが流入する気液分離器と、前記燃料電池スタックから排出されたカソードオフガス、及び前記気液分離器から排出された前記アノードオフガスが流入する希釈器と、前記燃料電池スタック、前記気液分離器、及び前記希釈器が搭載されるフレームと、を有する燃料電池ユニットであって、前記燃料電池スタックを前記フレームに固定するためのブラケットを有し、前記ブラケットは、前記燃料電池スタックの最下面より下側に配置されて前記燃料電池スタックに取り付けられた取付部と、前記取付部から下側に延出し、かつ前記フレームに固定された脚部と、を有し、前記気液分離器は、前記燃料電池スタックの前記積層方向の片側に配置され、かつ前記燃料電池スタックの前記最下面よりも下側に配置された延出部を有し、鉛直方向に沿った前記取付部と前記フレームとの間であり、かつ前記脚部と並ぶ位置に前記希釈器が配置されていることを要旨とする。
【0006】
これによれば、水を含むアノードオフガスを燃料電池スタックから気液分離器に流入させるため、気液分離器には延出部が存在する。燃料電池ユニットでは、この延出部の真下に希釈器を配置するのではなく、脚部と並ぶように燃料電池スタックの下側に希釈器を配置している。
【0007】
したがって、燃料電池スタックと、気液分離器と、希釈器とが鉛直方向に一列に並んで配置される場合と比べると、鉛直方向への燃料電池ユニットの大型化を抑制できる。そして、希釈器と、その希釈器の上に配置された燃料電池スタックの干渉を回避するため、燃料電池スタックはブラケットの脚部によってフレームから嵩上げされている。つまり、燃料電池スタックをフレームに固定するためにブラケットを有していても、そのブラケットを有効利用して燃料電池ユニットの大型化を抑制できる。
【0008】
また、気液分離器の延出部が、燃料電池スタックの最下面より下側に配置されていても、燃料電池スタックの最下面からはブラケットが張り出している。したがって、燃料電池スタックと気液分離器とブラケットは、延出部とブラケットの脚部により、それらを安定した状態でフレーム上に配置できる。特に、燃料電池スタックをフレームに組付ける際に、燃料電池スタックが倒れることがないため、組付け作業が容易となる。
【0009】
燃料電池ユニットについて、前記ブラケットは、前記積層方向の端部に前記脚部を有し、前記脚部と前記延出部は前記積層方向に並んでいてもよい。
これによれば、燃料電池スタックの最下面より下側に気液分離器の延出部を配置することができ、水の排出が容易になる。
【0010】
燃料電池ユニットについて、前記鉛直方向及び前記積層方向に直交する方向を水平方向とし、前記ブラケットは、前記水平方向の両端部に前記脚部を有し、前記脚部は前記フレームの上面に接する固定片を含み、前記固定片は前記フレームに固定されており、前記固定片は前記鉛直方向に前記燃料電池スタックに重なる位置に配置されていることを要旨とする。
【0011】
これによれば、燃料電池スタックの最下面とフレームの上面とは、脚部によって鉛直方向に離れる。このため、フレームの上面に配置される固定片と、燃料電池スタックの最下面との間に、固定片をフレームに固定するための作業スペースを確保できる。よって、ブラケットを用いて燃料電池スタックを嵩上げすることで、水平方向の燃料電池スタックの寸法内で燃料電池スタックをフレームの上面に固定できる。
【0012】
燃料電池ユニットについて、前記燃料電池スタックの前記最下面には防振部材が固定され、前記防振部材は取付プレートに保持されており、前記取付プレートの下面に前記ブラケットの前記取付部が取り付けられていてもよい。
【0013】
これによれば、ブラケットによって燃料電池スタックがフレームに固定された構造において、防振部材によって燃料電池スタックに伝わる振動を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の燃料電池ユニットを模式的に示す斜視図。
図2】燃料電池スタック、気液分離器、ブラケット、希釈器を示す斜視図。
図3】燃料電池スタック、気液分離器、ブラケット、希釈器を示す正面図。
図4】燃料電池ユニットを示す側面図。
図5】燃料電池ユニットを示す断面図。
図6】希釈器及びブラケットを示す断面図。
図7】ブラケットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。燃料電池ユニットは産業車両に搭載される。
図1図3に示すように、燃料電池ユニット10は、フレーム11と、エアコンプレッサ21と、配電部22と、気液分離器23と、希釈器24と、燃料電池スタック30と、ブラケット40と、を有する。
【0017】
図示しないが、燃料電池ユニット10は、燃料電池ユニット10の外部に設けられた水素供給源と、燃料電池スタック30のアノードとを接続するアノードガス供給路と、燃料電池スタック30のカソードと、エアコンプレッサ21とを接続するカソードガス供給路と、を有する。
【0018】
また、燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック30のアノードと気液分離器23を接続する第1排出路16と、気液分離器23と希釈器24を接続する第2排出路17と、を有する。第1排出路16と、気液分離器23と、第2排出路17は、燃料電池スタック30と希釈器24を接続するアノードオフガス排出路18を構成する。燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック30の図示しないカソードと希釈器24を接続するカソードオフガス排出路19を有する。
【0019】
さらに、燃料電池ユニット10は、気液分離器23と燃料電池スタック30を接続する水素再循環路27を有する。水素再循環路27の途中には、水素再循環ポンプ28が配置されている。
【0020】
燃料電池ユニット10が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいい、X軸と平行な方向を水平方向Xともいう。水平方向Xは、底板12の長辺方向に平行である。また、Y軸と平行な方向を奥行方向Yともいう。奥行方向Yは、底板12の短辺方向に平行である。したがって、奥行方向Yは、水平方向X及び鉛直方向Zの両方に直交する方向である。
【0021】
フレーム11は、底板12と、底板12から立ち上がる複数本の柱13と、複数本の柱13に支持される支持板14と、を備える。柱13が底板12から立ち上がる方向は、鉛直方向Zに平行である。底板12は、長四角板状である。複数本の柱13は、底板12の短辺方向の片側半分に配置されている。
【0022】
エアコンプレッサ21は、底板12の第1長縁部12b寄りの上面12aに配置されている。エアコンプレッサ21は、支持板14の下に配置されている。希釈器24は、底板12の第2長縁部12c寄りの上面12aに配置されている。エアコンプレッサ21と希釈器24は、底板12の奥行方向Yに並んでいる。
【0023】
配電部22は、支持板14の上面14aに配置されている。
ブラケット40は、底板12の第2長縁部12c寄りの上面12aに配置されている。ブラケット40は、燃料電池スタック30の最下面30aに固定された取付プレート50に固定されている。なお、取付プレート50は1枚だけであるが、奥行方向Yに分けて取付プレート50を複数設けてもよいし、水平方向Xに分けて取付プレート50を複数枚設けてもよい。
【0024】
燃料電池スタック30は、ブラケット40によって底板12の上面12aに固定されている。燃料電池スタック30は、鉛直方向Zの希釈器24よりも上に配置され、燃料電池スタック30と希釈器24は鉛直方向Zに一列に並んでいる。
【0025】
詳細に図示しないが、燃料電池スタック30は、積層方向Aに複数の燃料電池セル31を積層したものである。燃料電池スタック30の積層方向Aは、燃料電池スタック30の板厚方向である。燃料電池スタック30は、積層方向Aの一方に第1端面30bを有し、積層方向Aの他方に第2端面30cを有する。燃料電池スタック30は、第1端面30bを燃料電池ユニット10の奥行方向Yの中央に位置させ、第2端面30cが燃料電池ユニット10の奥行方向Yの外端面となるように配置されている。
【0026】
なお、燃料電池セル31は、固体分子型燃料電池である。燃料電池スタック30は、燃料ガスと、酸化剤ガスとの化学反応によって発電を行う。燃料電池スタック30では、水素ガスを燃料ガス、空気中の酸素を酸化剤ガスとして発電が行われる。
【0027】
気液分離器23は、アノードオフガスに含まれる液体の水を水素から分離する。気液分離器23は、燃料電池スタック30の片側に配置されている。気液分離器23は、燃料電池スタック30の第1端面30bにボルト等で固定されていてもよく、ブラケットを介して取り付けられていてもよい。気液分離器23は、鉛直方向Zの上部が燃料電池スタック30と奥行方向Yに重なり合っている。気液分離器23は、燃料電池スタック30の最下面30aよりも下側に配置された延出部23aを有する。気液分離器23は、奥行方向Yの燃料電池スタック30と配電部22との間に配置されている。
【0028】
燃料電池ユニット10において、図示しないアノードガス供給路には、水素供給源から燃料電池スタック30に向けてアノードガスが流動する。アノードガスは水素ガスである。
【0029】
図示しないカソードガス供給路には、エアコンプレッサ21から燃料電池スタック30に向けて、大気中の酸素を含む空気がカソードガスとして流動する。
図3及び図4に示すように、第1排出路16は、燃料電池スタック30の下部から気液分離器23に向けて下り傾斜した部位を有する。第1排出路16には、燃料電池スタック30から気液分離器23に向けてアノードオフガスが流動する。アノードオフガスには、燃料電池スタック30で未反応の水素と、水素と酸素とが反応したときの水が主に含まれている。
【0030】
第2排出路17は、気液分離器23の下端部となる延出部23aの下端部から希釈器24に向けて延びている。第2排出路17には、気液分離器23により分離されたアノードオフガスが流動する。したがって、アノードオフガス排出路18の出口となる第2排出路17の出口からは、水の分離されたアノードオフガスが希釈器24へ排出される。
【0031】
カソードオフガス排出路19には、燃料電池スタック30から希釈器24に向けてカソードオフガスが流動する。カソードオフガスには、燃料電池スタック30で未反応の酸素を含む空気と、水素と酸素とが反応したときの水が主に含まれている。
【0032】
希釈器24には、燃料電池スタック30から排出されたアノードオフガス及びカソードオフガスが流入する。希釈器24は、流入したアノードオフガスをカソードオフガスで希釈した排出ガスを排出する。排出ガスは、アノードオフガスとカソードオフガスの混合ガスである。希釈器24には、排出ガスを希釈器24から排出するための排出管25が接続されている。
【0033】
水素再循環路27は、気液分離器23と燃料電池スタック30のアノード側を接続する。水素再循環路27は、気液分離器23からの水素の一部をアノードガスとして水素再循環ポンプ28によって燃料電池スタック30に戻す。気液分離器23からの残りの水素は、アノードオフガスとして希釈器24へと流れる。
【0034】
図6に示すように、希釈器24は、長尺な容器26を有する。容器26の長手方向へ直線状に延びる仮想線を軸線Lとする。容器26は軸線Lが水平方向Xに延びるように底板12に配置されている。
【0035】
希釈器24の長手方向の第1端部24aには、第2排出路17の出口側の端部が接続されている。希釈器24の長手方向の第2端部24bには、カソードオフガス排出路19の出口側の端部が接続されている。希釈器24の第2端部24bには、希釈器24から排出ガスを排出する排出管25が接続されている。
【0036】
次に、取付プレート50及び防振部材51について説明する。
図5及び図6に示すように、取付プレート50には、複数の防振部材51が取り付けられている。取付プレート50は長四角の金属板である。取付プレート50の長辺方向は水平方向Xに一致する。取付プレート50の水平方向Xの寸法は、燃料電池スタック30の水平方向Xの寸法より小さい。取付プレート50の奥行方向Yの寸法は、燃料電池スタック30の奥行方向Yの寸法と同じ又は小さい。
【0037】
防振部材51は取付プレート50に保持されている。防振部材51は、弾性部材の一例であるゴム製である。防振部材51は円筒状である。そして、取付プレート50に一体の防振部材51を貫通したボルト52は、燃料電池スタック30の最下面30aに螺合されている。これにより、防振部材51が燃料電池スタック30の最下面30aに接触した状態で固定されている。また、防振部材51に一体の取付プレート50が燃料電池スタック30の最下面30aに固定されている。
【0038】
次に、ブラケット40について説明する。
ブラケット40は、燃料電池スタック30をフレーム11の上面12aに固定するための部材である。
【0039】
図6及び図7に示すように、ブラケット40は、取付部41と、三つの脚部42と、を有する。また、三つの脚部42のうち、取付部41の長辺方向の両側に位置する脚部42の各々は固定片43を含む。
【0040】
取付部41は、長四角板状である。取付部41の長辺方向は水平方向Xに一致する。取付部41の水平方向Xの寸法は、燃料電池スタック30の水平方向Xの寸法より小さい。取付部41の奥行方向Yの寸法は、燃料電池スタック30の奥行方向Yの寸法と同じ又は小さい。
【0041】
取付部41は、防振部材51が挿通される挿通孔41aを有する。挿通孔41aは、取付部41の長辺方向に二つ、2列に並んで設けられる。言い換えれば、挿通孔41aは、取付部41の短辺方向に二つ、2列に並んで設けられている。取付部41は、ボルト挿通孔41bを複数有する。ボルト挿通孔41bは、取付部41の長辺方向に二つ、2列に並んで設けられる。言い換えれば、ボルト挿通孔41bは、取付部41の短辺方向に二つ、2列に並んで設けられている。ボルト挿通孔41bに挿通されたボルト44は、取付プレート50に螺合されている。これにより、ブラケット40が取付プレート50に固定されている。また、取付部41の上面が取付プレート50の下面に取り付けられている。つまり、燃料電池スタック30の最下面30aより下側には、取付プレート50を介してブラケット40が取り付けられている。
【0042】
三つの脚部42は、積層方向Aにおける取付部41の一方の端部に位置する長縁部と、水平方向Xにおける取付部41の両端部に位置する短縁部とから下方へ延設されている。三つの脚部42のうち、取付部41の二つの短縁部から延設された脚部42の各々は固定片43を有する。固定片43は、脚部42に対し直交する板状である。固定片43の下面は、底板12の上面12aに接している。
【0043】
固定片43を貫通したボルト45は底板12に螺合されている。これにより、ブラケット40は底板12に固定されている。上記のように、燃料電池スタック30の最下面30aに取付プレート50が固定されている。取付プレート50にブラケット40が固定され、そのブラケット40が底板12に固定されている。したがって、燃料電池スタック30は、取付プレート50をブラケット40と燃料電池スタック30の間に挟んでブラケット40によって底板12に固定されている。
【0044】
燃料電池スタック30の最下面30aと、フレーム11の底板12の上面12aとは、脚部42によって離れている。このため、フレーム11の底板12の上面12aに配置される固定片43と、燃料電池スタック30の最下面30aとの間には間隙Kが確保されている。つまり、燃料電池スタック30は、ブラケット40の鉛直方向Zへの寸法により、底板12の上面12aから嵩上げされている。このため、燃料電池スタック30の最下面30aは、底板12の上面12aより高い位置にある。
【0045】
鉛直方向Zのブラケット40の寸法は、燃料電池スタック30の最下面30aからの延出部23aの張り出し寸法より若干大きい。ブラケット40の内側には収容空間Sがある。収容空間Sは、取付部41と三つの脚部42によって画定されている。鉛直方向Zの収容空間Sの寸法は、底板12の上面12aと取付部41の内面41cの間の寸法である。水平方向Xの収容空間Sの寸法は、取付部41の一方の短縁部から他方の短縁部までの寸法である。そして、水平方向X、奥行方向Y、及び鉛直方向Zの収容空間Sの寸法は、水平方向X、奥行方向Y、及び鉛直方向Zの希釈器24の寸法のいずれよりも大きい。
【0046】
ブラケット40の収容空間Sには希釈器24が収容されている。希釈器24は、底板12の上面12aのうち、ブラケット40が固定された箇所の内側に配置されている。したがって、希釈器24は、ブラケット40の取付部41の内面41cと底板12の上面12aとの間に配置されている。
【0047】
燃料電池ユニット10では、底板12から鉛直方向Zに沿ってブラケット40、取付プレート50、防振部材51、及び燃料電池スタック30の順番で下から上に並んでいる。そして、ブラケット40、取付プレート50、防振部材51、及び燃料電池スタック30によって、燃料電池ユニット10の鉛直方向Zの寸法が決まっている。
【0048】
燃料電池ユニット10の鉛直方向Zの寸法を決める一つの部材であるブラケット40の内側に希釈器24が配置されている。つまり、希釈器24は、燃料電池ユニット10の鉛直方向Zの寸法を決めていないといえ、希釈器24によって燃料電池ユニット10の鉛直方向Zの寸法が大きくなることはない。
【0049】
燃料電池ユニット10において、気液分離器23の延出部23aの下端部は、底板12の上面12aに近接している。つまり、ブラケット40の最下面である固定片43の下面と、気液分離器23の延出部23aの下端部とは、底板12の上面12aに沿ったほぼ同じ位置にある。
【0050】
取付部41の長縁部から延設された脚部42は、積層方向A、つまり奥行方向Yに希釈器24及び延出部23aと並んでいる。また、取付部41の短縁部から延設された二つの脚部42は、水平方向Xに希釈器24と並んでいる。
【0051】
図1図5に示すように、燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック30、ブラケット40、希釈器24、エアコンプレッサ21、及び配電部22の各々の長辺方向が水平方向Xに延びる細長な形状である。また、燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック30、ブラケット40、希釈器24、エアコンプレッサ21、及び配電部22の各々の短辺方向が奥行方向Yに延びる幅狭な形状である。そして、燃料電池ユニット10は、水平方向X、奥行方向Y、及び鉛直方向Zにコンパクトに纏められた形状である。
【0052】
上記実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)水分を含むアノードオフガスを燃料電池スタック30から気液分離器23に流入させるため、気液分離器23には燃料電池スタック30の最下面30aよりも下方に配置された延出部23aが存在する。燃料電池ユニット10では、この延出部23a及び第2排出路17の真下に希釈器24を配置するのではなく、脚部42と並ぶように燃料電池スタック30の真下に希釈器24を配置している。
【0053】
したがって、燃料電池スタック30と、気液分離器23と、希釈器24とが鉛直方向Zに一列に並んで配置される場合と比べると、鉛直方向Zへの燃料電池ユニット10の大型化を抑制できる。
【0054】
そして、底板12に固定された希釈器24と、その上に配置された燃料電池スタック30の干渉を回避するため、燃料電池スタック30はブラケット40によって底板12から嵩上げされている。
【0055】
つまり、燃料電池スタック30を底板12に固定するためにブラケット40を追加しても、そのブラケット40の内側を収容空間Sとして有効利用して燃料電池ユニット10の大型化を抑制できる。
【0056】
(2)燃料電池スタック30の第1端面30b側に気液分離器23が配置され、その気液分離器23の延出部23aが、燃料電池スタック30の最下面30aより下側に配置されている。しかし、燃料電池スタック30の最下面30aからはブラケット40が張り出している。したがって、燃料電池スタック30と気液分離器23とブラケット40とは、延出部23aとブラケット40の脚部42により、それらを安定した状態でフレーム11の底板12に配置できる。したがって、燃料電池ユニット10の組立時、燃料電池スタック30をフレーム11に組付ける際に燃料電池スタック30が倒れることがないため、燃料電池スタック30の組付け作業が容易となる。
【0057】
(3)ブラケット40は、取付部41の長縁部から延設された脚部42を有し、この脚部42と延出部23aは積層方向Aに並んでいる。このため、燃料電池スタック30の最下面30aより下側に気液分離器23の延出部23aを配置することができ、気液分離器23からの水の排出が容易になる。
【0058】
(4)ブラケット40において、水平方向Xの両端部の脚部42は固定片43を有する。各固定片43は鉛直方向Zに燃料電池スタック30に重なる位置に配置されている。燃料電池スタック30の最下面30aと底板12の上面12aとは、脚部42によって鉛直方向Zに離れる。このため、固定片43と、燃料電池スタック30の最下面30aとの間に、固定片43をボルト45で底板12に固定するための作業スペースとして間隙Kを確保できる。よって、ブラケット40を用いて燃料電池スタック30を嵩上げすることで、水平方向Xの燃料電池スタック30の寸法内で燃料電池スタック30をフレーム11に固定できる。
【0059】
例えば、各固定片43が、燃料電池スタック30の水平方向Xの両端よりも外側にはみ出す場合は、各固定片43は鉛直方向Zに燃料電池スタック30に重ならなくなる。このような場合と比べると、ブラケット40を水平方向Xに小型化でき、燃料電池ユニット10全体を水平方向Xに小型化できる。
【0060】
(5)燃料電池スタック30の最下面30aには防振部材51を保持した取付プレート50が固定されている。そして、この取付プレート50の下面にブラケット40の取付部41が取り付けられている。このため、ブラケット40と燃料電池スタック30の間に防振部材51を配置でき、防振部材51によって燃料電池スタック30に伝わる振動を低減できる。
【0061】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 燃料電池スタック30の最下面30aに、ブラケット40の取付部41が直接取り付けられていてもよい。この場合、防振部材51及び取付プレート50は、燃料電池ユニット10から削除される。
【0062】
○ 水平方向Xの取付プレート50の両端部、及びブラケット40の固定片43の両端部は、水平方向Xの燃料電池スタック30の両端からはみ出していてもよい。
○ 固定片43を底板12に固定する方法は、ボルト45による螺合以外でもよく、固定片43を底板12に固定する方法は溶接でもよい。
【0063】
○ ブラケット40の脚部42から固定片43を削除し、脚部42の下端部を底板12に溶接して、ブラケット40を底板12に固定してもよい。
○ ブラケット40の長縁部から延設された脚部42に固定片43を設けてもよい。
【0064】
○ 積層方向Aにおけるブラケット40の他方の端部に位置する長縁部からも脚部42を延設してもよいし、積層方向Aにおけるブラケット40の他方の端部に位置する長縁部のみに脚部42を延設してもよい。要は、ブラケット40を底板12に固定することができれば、脚部42の数、形状は変更してもよく、実施形態に限定されない。
【0065】
○ 積層方向Aにおけるブラケット40の両端部に位置する長縁部から脚部42を延設しなくてもよい。この場合、脚部42は、水平方向Xのブラケット40の両端部のみに設けられる。
【0066】
○ 希釈器24の容器26の形状は細長に限らず、変更してもよい。容器26の形状に合わせてブラケット40の形状は変更される。
○ 気液分離器23の全体が燃料電池スタック30の最下面30aよりも下側に配置されていてもよい。この場合、気液分離器23の全体が延出部23aとなる。そして、鉛直方向Zへの気液分離器23の寸法に合わせてブラケット40の鉛直方向Zの寸法が調節される。
【0067】
○ ブラケット40の取付部41とフレーム11の底板12との間に希釈器24が配置されていれば、希釈器24は取付部41に固定されていてもよい。
○ 燃料電池ユニット10は、フレーム11に水素供給源を備えていてもよい。
【0068】
○ 燃料電池ユニット10は、気液分離器23によって分離された水を排出するための排水タンクを備えていてもよい。この排水タンクは、フレーム11に搭載されていてもよいし、燃料電池ユニット10が搭載される産業車両に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
A…積層方向、X…水平方向、Y…積層方向と一致する奥行方向、Z…鉛直方向、10…燃料電池ユニット、11…フレーム、12a…上面、23…気液分離器、23a…延出部、24…希釈器、30…燃料電池スタック、30a…最下面、31…燃料電池セル、40…ブラケット、41…取付部、42…脚部、43…固定片、50…取付プレート、51…防振部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7