(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131933
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】可搬型電子機器用調整具および可搬型電子機器収納具
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220831BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
G06F1/16 313B
G06F1/16 313C
H05K5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031188
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】506413694
【氏名又は名称】株式会社クロンティップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB02
4E360AC23
4E360EA12
4E360EC12
4E360ED27
4E360GB46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可搬型電子機器を操作しやすく長時間の使用であっても疲れにくくする可搬型電子機器用調整具及びそれを備えた可搬型電子機器収納具を提供する。
【解決手段】マルチスタンド1において、手前側高さ調整部12(121、122R)は、手前側高さ調整状態では、手前面1221と、奥面1223が第1山折り線1212、第2山折り線1222で折り曲げられた状態になり、手前側収容状態では、手前側高さ調整状態よりも前記山折り線の高さ位置が低くなる。奥側高さ調整部13は、奥側高さ調整状態では、奥側奥面133と奥側手前面131が奥側山折り線132で折り曲げられた状態になる。奥側収容状態では、奥側高さ調整状態よりも奥側山折り線の高さ位置が低くなる。手前側高さ調整部と奥側高さ調整部とは、それぞれ独立して状態変化が可能なものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型電子機器の設置状態を調整する可搬型電子機器用調整具であって、
ベース板と、
前記ベース板の奥行き方向手前側に一辺が接続された手前側第1面および左右方向に延在した手前側山折り線で該手前側第1面とつながった手前側第2面を有し、手前側収容状態と手前側高さ調整状態との間で状態変化が可能な手前側高さ調整部と、
前記ベース板の奥行き方向奥側に一辺が接続された奥側第1面および左右方向に延在した奥側山折り線で該奥側第1面とつながった奥側第2面を有し、奥側収容状態と奥側高さ調整状態との間で状態変化が可能な奥側高さ調整部とを備え、
前記手前側高さ調整部は、前記手前側高さ調整状態では、前記手前側第1面と前記手前側第2面が前記手前側山折り線で折り曲げられ該手前側山折り線を頂として該手前側第1面と該手前側第2面が傾斜した状態になり、前記手前側収容状態では、該手前側高さ調整状態よりも該手前側山折り線の高さ位置が低くなるものであり、
前記奥側高さ調整部は、前記奥側高さ調整状態では、前記奥側第1面と前記奥側第2面が前記奥側山折り線で折り曲げられ該奥側山折り線を頂として該奥側第1面と該奥側第2面が傾斜した状態になるものであり、前記奥側収容状態では、該奥側高さ調整状態よりも該奥側山折り線の高さ位置が低くなるものであり、
前記手前側高さ調整部と前記奥側高さ調整部とは、それぞれ独立して状態変化が可能なものであることを特徴とする可搬型電子機器用調整具。
【請求項2】
前記手前側高さ調整部は、前記手前側高さ調整状態では、前記奥側高さ調整状態における前記奥側高さ調整部と異なる高さにもなるし、同じ高さにもなるものであることを特徴とする請求項1に記載の可搬型電子機器用調整具。
【請求項3】
前記手前側高さ調整部は、第1高さ調整部と第2高さ調整部が左右方向に並んで設けられたものであり、
前記第1高さ調整部および前記第2高さ調整部それぞれは、手前面と奥面の間に左右方向に延在した山折り線を有するものであり、
前記手前側高さ調整状態において、前記第1高さ調整部の前記山折り線の位置が、前記第2高さ調整部の該山折り線の位置よりも手前側であって、該第1高さ調整部の該山折り線が、該第2高さ調整部の前記手前面よりも高い位置にあり、
前記第1高さ調整部における前記奥面で、前記可搬型電子機器の手前側の縁を受け止めることを特徴とする請求項1又は2に記載の可搬型電子機器用調整具。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか1項記載の可搬型電子機器用調整具と、
前記可搬型電子機器用調整具に対して開閉自在なカバー板とを備え、
前記可搬型電子機器用調整具と前記カバー板との間に前記可搬型電子機器の収納スペースが設けられていることを特徴とする可搬型電子機器収納具。
【請求項5】
前記ベース板の左縁部に一端が取り付けられ、該ベース板の右縁部に他端が取り付けられた連結部材を備え、
前記連結部材は、前記カバー板の左縁部と、該カバー板の、閉じた状態で前記可搬型電子機器用調整具側になる内面とは反対側の外面側と、該カバー板の右縁部とを経由したものであって、長さ調節が自在なものであることを特徴とする請求項4に記載の可搬型電子機器収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型電子機器の設置状態を調整する可搬型電子機器用調整具およびその可搬型電子機器用調整具を備えた可搬型電子機器収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンやタブレット端末あるいはモバイル端末と称される可搬型電子機器の設置角度を調整することができる調整部材は、従来より種々提案されている(例えば、特許文献1及び2等参照)。これらの提案は、可搬型電子機器を机の上に置いて使用することを前提にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-38993
【特許文献2】特開2014-107654
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可搬型電子機器は持ち運ぶことを前提にした電子機器であるため、使用する場所は様々であり、机がある場所に限られない。机がない場所では、操作者の膝の上に載せて操作する場合がある。この場合、操作者の体型や姿勢によっては可搬型電子機器を操作しにくいことがある。また、長時間の操作によって操作者が疲れてしまうこともある。あるいは、机がある場所であっても、その机の高さが操作者の体型に合っておらず、同様に、可搬型電子機器を操作しにくいことや、長時間の操作によって操作者が疲れてしまうことがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、様々な使用場面で、可搬型電子機器を操作しやすく長時間の使用であっても疲れにくくすることができる可搬型電子機器用調整具およびその可搬型電子機器用調整具を備えた可搬型電子機器収納具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する可搬型電子機器用調整具は、
可搬型電子機器の設置状態を調整する可搬型電子機器用調整具であって、
ベース板と、
前記ベース板の奥行き方向手前側に一辺が接続された手前側第1面および左右方向に延在した手前側山折り線で該手前側第1面とつながった手前側第2面を有し、手前側収容状態と手前側高さ調整状態との間で状態変化が可能な手前側高さ調整部と、
前記ベース板の奥行き方向奥側に一辺が接続された奥側第1面および左右方向に延在した奥側山折り線で該奥側第1面とつながった奥側第2面を有し、奥側収容状態と奥側高さ調整状態との間で状態変化が可能な奥側高さ調整部とを備え、
前記手前側高さ調整部は、前記手前側高さ調整状態では、前記手前側第1面と前記手前側第2面が前記手前側山折り線で折り曲げられ該手前側山折り線を頂として該手前側第1面と該手前側第2面が傾斜した状態になり、前記手前側収容状態では、該手前側高さ調整状態よりも該手前側山折り線の高さ位置が低くなるものであり、
前記奥側高さ調整部は、前記奥側高さ調整状態では、前記奥側第1面と前記奥側第2面が前記奥側山折り線で折り曲げられ該奥側山折り線を頂として該奥側第1面と該奥側第2面が傾斜した状態になるものであり、前記奥側収容状態では、該奥側高さ調整状態よりも該奥側山折り線の高さ位置が低くなるものであり、
前記手前側高さ調整部と前記奥側高さ調整部とは、それぞれ独立して状態変化が可能なものであることを特徴とする。
【0007】
この可搬型電子機器用調整具によれば、前記手前側高さ調整部と前記奥側高さ調整部とで、手前側の設置高さ位置と、奥側の設置高さ位置を別々に調整することができる。この結果、様々な使用場面に合わせて、可搬型電子機器の設置角度を調整することができるとともに可搬型電子機器の設置高さ位置も調整することができ、可搬型電子機器が操作しやすくなり、長時間の使用であっても疲れにくくなる。
【0008】
前記可搬型電子機器には、ノートパソコンやタブレット端末あるいはモバイル端末と称されるものが広く含まれる。例えば、入力機器に対して表示画面が開閉自在な二つ折り構造であって、表示画面の開き角度を調整することができる可搬型電子機器があげられる。
【0009】
前記ベース板の奥行き方向手前側とは、例えば、前記ベース板の、奥行き方向半分よりも手前側であればよく、前記ベース板の奥行き方向奥側とは、例えば、前記ベース板の、奥行き方向半分よりも奥側であればよい。
【0010】
前記手間側第1面と前記手前側第2面のうちいずれか一方の面が相対的に手前側の面になり他方の面が相対的に奥側の面になる。例えば、前記ベース板の奥行き方向手前側に一辺が接続された手前側第1面が、相対的に手前側の面であってもよい。この場合、前記手前側第1面は、前記ベース板の手前側端部に一辺が接続されたものであってもよい。同様に、前記奥側第1面と前記奥側第2面のうちいずれか一方の面が相対的に手前側の面になり他方の面が相対的に奥側の面になる。例えば、前記ベース板の奥行き方向奥側に一辺が接続された奥側第1面が、相対的に奥側の面であってもよい。この場合、前記奥側第1面は、前記ベース板の奥側端部に一辺が接続されたものであってもよい。
【0011】
前記奥側第1面と前記奥側第2面の前後方向(奥行き方向)の長さは同じであってもよい。
【0012】
前記手前側第1面と前記手前側第2面が近づくほど前記手前側山折り線の高さが高くなる。同様に、前記奥側第1面と前記奥側第2面が近づくほど前記奥側山折り線の高さが高くなる。
【0013】
前記ベース板は、前記手前側第2面の、前記手前側山折り線とは反対側の端部を係止する手前側係止部と、前記奥側第2面の、前記奥側山折り線とは反対側の端部を係止する奥側係止部を有するものであってもよい。さらに、前記手前側係止部と前記奥側係止部は、左右方向に延在したものであってもよい。
【0014】
また、前記手前側高さ調整部は、前記手前側収容状態では、前記手前側第1面と前記手前側第2面が水平状態になるものであり、前記奥側高さ調整部は、前記奥側収容状態では、前記奥側第1面と前記奥側第2面が水平状態になるものであってもよい。なお、前記水平状態には、完全な水平状態(180度の状態)の他、略水平状態(例えば、170度程度の状態)も含まれる。
【0015】
また、上記可搬型電子機器用調整具において、
前記手前側高さ調整部は、前記手前側高さ調整状態では、前記奥側高さ調整状態における前記奥側高さ調整部と異なる高さにもなるし、同じ高さにもなるものであってもよい。
【0016】
こうすることで、設置角度は水平のまま設置高さ位置を調整することもできる。また、例えば、前記手前側高さ調整部は、前記手前側高さ調整状態では、前記奥側高さ調整状態における前記奥側高さ調整部よりも、低くなってもよい。あるいは反対に、高くなってもよい。
【0017】
また、上記可搬型電子機器用調整具において、
前記手前側高さ調整部は、第1高さ調整部と第2高さ調整部が左右方向に並んで設けられたものであり、
前記第1高さ調整部および前記第2高さ調整部それぞれは、手前面と奥面の間に左右方向に延在した山折り線を有するものであり、
前記手前側高さ調整状態において、前記第1高さ調整部の前記山折り線の位置が、前記第2高さ調整部の該山折り線の位置よりも手前側であって、該第1高さ調整部の該山折り線が、該第2高さ調整部の前記手前面よりも高い位置にあり、
前記第1高さ調整部における前記奥面で、前記可搬型電子機器の手前側の縁を受け止めることを特徴とする態様であってもよい。
【0018】
この態様によれば、前記可搬型電子機器が、手前側が低く奥側が高くなるように傾斜した状態で設置された場合であっても、該可搬型電子機器が、手前側にずり落ちることを前記第1高さ調整部における前記奥面によって防止することができ、該可搬型電子機器が安定した傾斜姿勢で保持される。
【0019】
なお、前記第2高さ調整部は、前記手前面と前記奥面の前後方向(奥行き方向)の長さが異なるものであり、前記第1高さ調整部は、前記手前面と前記奥面の前後方向の長さが同じものであってもよい。
【0020】
上記目的を解決する可搬型電子機器収納具は、
前記可搬型電子機器用調整具と、
前記可搬型電子機器用調整具に対して開閉自在なカバー板とを備え、
前記可搬型電子機器用調整具と前記カバー板との間に前記可搬型電子機器の収納スペースが設けられていることを特徴とする。
【0021】
なお、前記収納スペースは、前記カバー部に取り付けられた第1ポケット部であってもよい。すなわち、前記カバー板は、閉じた状態で前記可搬型電子機器用調整具側になる内面に前記第1ポケット部が取り付けられたものであってもよく、さらには、該内面とは反対側の外面に第2ポケット部が取り付けられたものであってもよい。
【0022】
また、上記可搬型電子機器収納具において、
前記ベース板の左縁部に一端が取り付けられ、該ベース板の右縁部に他端が取り付けられた連結部材を備え、
前記連結部材は、前記カバー板の左縁部と、該カバー板の、閉じた状態で前記可搬型電子機器用調整具側になる内面とは反対側の外面側と、該カバー板の右縁部とを経由したものであって、長さ調節が自在なものであってもよい。
【0023】
この可搬型電子機器収納具によれば、前記連結部材の長さを変えることで、前記ベース板に対する前記カバー板の開き角度を調整することができる。この結果、ノートパソコンの表示画面の開き角度に合わせて前記カバー板の開き角度も調整することができるようになる。
【0024】
なお、前記連結部材は、長尺なものであり、紐状のものであってもよいし帯状のものであってもよい。
【0025】
さらに、前記連結部材は、前記カバー板が閉じた状態で前記外面側から前記ベース板に回り込んで該ベース板に固定されたものであってもよい。こうすることで、閉じた状態の前記カバー板が不用意に開くことを防止することができるようになる。なお、固定方法は、係止であってもよいし、嵌合であってもよいし、磁力を利用してもよいし、面ファスナーを利用してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、様々な使用場面で、可搬型電子機器を操作しやすく長時間の使用であっても疲れにくくすることができる可搬型電子機器用調整具およびその可搬型電子機器用調整具を備えた可搬型電子機器収納具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の可搬型電子機器用調整具の一実施形態に相当するマルチスタンドの平面図である。
【
図2】手前側高さ調整部、奥前側高さ調整部および中央高さ調整部それぞれが高さ調整状態になったマルチスタンドを示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す収容状態のマルチスタンドに、ベース板に設けられた複数本の係止突条部と、手前側折返片と、奥側折返片を示した図である。
【
図4】本実施形態のマルチスタンドにおける、手前側高さ調整部の状態と奥側高さ調整部の状態を組み合わせた例を右側から模式的に示す図である。
【
図5】中央高さ調整部の異なる状態を模式的に示す断面図である。
【
図6】(a)は開いた状態のマルチ収納具の斜視図であり、(b)は(a)に示すマルチ収納具に可搬型電子機器(ノートパソコン)を設置したときの斜視図であり、(c)は第1中央係止切込部、第1奥係止切込部および第2奥係止切込部を奥側から見た様子を示した図である。
【
図7】(a)は開いた状態のマルチ収納具におけるマルチスタンドの別の状態を示す斜視図であり、(b)は(a)に示すマルチ収納具にノートパソコンを設置したときの斜視図であり、(c)は(a)に示すマルチ収納具3を裏側から見たときの斜視図である。
【
図8】(a)は開いた状態のマルチ収納具におけるマルチスタンドの別の状態を示す斜視図であり、(b)は内側ポケット部に(a)においてマルチスタンドの上に載置されていたノートパソコン全体が収納された様子を示す図である。
【
図9】(a)は13インチの表示画面を有するノートパソコンをマルチスタンドと内側ポケット部の間に挟んで収納した状態を示す図であり、(b)は17インチの表示画面を有する17インチノートパソコンをマルチスタンドと内側ポケット部の間に挟んで収納した状態を示す図であり、(c)は(b)に示す、17インチノートパソコンを収納したマルチ収納具を、ベース板側から見た図である。
【
図10】(a)はカバー板を閉じた状態から180度反転させた状態のマルチ収納具を真上から見た図であり、(b)はマルチ収納具を閉じた状態に維持する連結紐の係止の仕方の別例を示す図であり、(c)は(b)に示すマルチ収納具をベース板側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の可搬型電子機器用調整具の一実施形態に相当するマルチスタンドの平面図である。
【0030】
図1に示すマルチスタンド1は、ノートパソコンやタブレット端末あるいはモバイル端末と称される可搬型電子機器を載せ、その可搬型電子機器の設置状態を調整するものである。この
図1では、図の下方を手前側と称し、上方を奥側と称する。手前側は、マルチスタンド1に可搬型電子機器を載せて使用するユーザ側になる(以下においても同じ。)。また、手前側から奥側に向かう奥行き方向は、奥側から手前側に向かう方向と区別することなく前後方向と称する場合がある(以下においても同じ。)。このマルチスタンド1は、矩形状のベース板11と、矩形状の左手前側高さ調整部12Lと、矩形状の右手前側高さ調整部12Rと、矩形状の左奥側高さ調整部13Lと、矩形状の右奥側高さ調整部13Rと、矩形状の中央高さ調整部14を有する。左手前側高さ調整部12Lと、右手前側高さ調整部12Rの構成は同じであり、両者を区別する必要がないときは手前側高さ調整部12と称し、両者の総称とする。また、左奥側高さ調整部13Lと、右奥側高さ調整部13Rの構成も同じであり、両者を区別する必要がないときは奥側高さ調整部13と称し、両者の総称とする。
図1では、各部の区別をわかりやすくするために、手前側高さ調整部12には左下がりのハッチングを施し、奥側高さ調整部13には右下がりのハッチングを施してある。また、中央高さ調整部14には、クロスハッチングを施してある。なお、ベース板11はハッチングを施していない部分になり、
図1ではわずかにしか見えていない。
【0031】
矩形状の手前側高さ調整部12は、複数の縦長の長方形状の高さ調整部が左右方向に並んで設けられたものである。すなわち、第1高さ調整部121、その左側に左側第2高さ調整部122L、その右側に右側第2高さ調整部122Rが設けられたものである。第1高さ調整部121は、第1手前面1211と、第1山折り線1212と、第1奥面1213を有する。第1山折り線1212は、左右方向に延在した線であって、第1手前面1211と第1奥面1213の境界線になる。すなわち、第1山折り線1212は、第1手前面1211と第1奥面1213の間で左右方向に延在した線である。
図1に示す、第1手前面1211も第1奥面1213も水平状態にある。第1手前面1211と第1奥面1213が水平状態にある第1高さ調整部121の状態は、第1手前面1211と第1奥面1213が初期位置に収容された収容状態である。
【0032】
左側第2高さ調整部122Lと右側第2高さ調整部122Rは同じ構成であり、第2手前面1221と、第2山折り線1222と、第2奥面1223を有する。第2山折り線1222は、左右方向に延在した線であって、第2手前面1221と第2奥面1223の境界線になる。すなわち、第2山折り線1222は、第2手前面1221と第2奥面1223の間で左右方向に延在した線である。
図1に示す、第2手前面1221も第2奥面1223も水平状態にある。第2手前面1221と第2奥面1223が水平状態にある左側第2高さ調整部122Lの状態も、第2手前面1221と第2奥面1223が水平状態である右側第2高さ調整部122Rの状態も、第2手前面1221と第2奥面1223が初期位置に収容された収容状態である。
【0033】
奥前側高さ調整部13は、奥側手前面131と、奥側山折り線132と、奥側奥面133を有する。奥側山折り線132も左右方向に延在した線であって、この奥側山折り線132は、奥側手前面131と奥側奥面133の境界線になる。
図1に示す、奥側手前面131も奥側奥面133も水平状態にある。奥側手前面131と奥側奥面133が水平状態にある奥前側高さ調整部13の状態は、奥側手前面131と奥側奥面13321が初期位置に収容された収容状態である。
【0034】
中央高さ調整部14は、中央手前面141と、中央山折り線142と、中央奥面143を有する。中央山折り線142も左右方向に延在した線であって、この中央山折り線142は、中央手前面141と中央奥面143の境界線になる。なお、手前側高さ調整部12と奥前側高さ調整部13の境よりも、中央山折り線142の方が奥側に位置している。
図1に示す、中央手前面141も中央奥面143も水平状態にある。中央手前面141と中央奥面143が水平状態にある中央高さ調整部14の状態は、中央手前面141と中央奥面143が初期位置に収容された収容状態である。
【0035】
図2は、手前側高さ調整部、奥前側高さ調整部および中央高さ調整部それぞれが高さ調整状態になったマルチスタンドを示す斜視図である。この
図2では、左斜め下側が手前側になり、右斜め上側が奥側になる。なお、
図2では、手前側高さ調整部12、奥前側高さ調整部13および中央高さ調整部14それぞれにハッチングは施していない。
【0036】
図2では、
図1ではわずかにしか見えていなかったベース板11がなり見えている。このベース板11の手前側縁部11fのうち中央部分には、左右方向に延在した三角突出部111が設けられている。この三角突出部111は断面形状が三角形であり、中央高さ調整部14が設けられた左右方向の位置に一致している。
【0037】
また、ベース板11には、左右方向に延在した複数本の係止突条部が複数本設けられている。
【0038】
図3は、
図1に示す収容状態のマルチスタンドに、ベース板に設けられた複数本の係止突条部と、手前側折返片と、奥側折返片を示した図である。なお、この
図3でも、手前側高さ調整部には左下がりのハッチングを施し、奥側高さ調整部には右下がりのハッチングを施してある。また、中央高さ調整部には、クロスハッチングを施してある。図の煩雑さをなくすため、
図1で記した符号は極力省略してある。
【0039】
収容状態のマルチスタンド1では、真上から見たときに、本来であれば、係止突条部も手前側折返片も奥側折返片も、各高さ調整部12,13,14によって覆われていることで見ることができないが、この
図3では、係止突条部は点線で表し、前側折返片と奥側折返片は灰色で示している。
【0040】
図2では、左手前側高さ調整部12Lに対応した領域に左第1手前係止突条部LF1、右手前側高さ調整部12Rに対応した領域に右第1手前係止突条部RF1、左奥側高さ調整部13Lに対応した領域に左第1奥係止突条部LB1、右奥側高さ調整部13Rに対応した領域に右第1奥係止突条部RB1が示されている。また、中央高さ調整部14に対応した領域には、第1中央係止突条部C1と第2中央係止突条部C2が示されている。第2中央係止突条部C2は、第1中央係止突条部C1よりも手前側に設けられたものである。
図2では、この第2中央係止突条部C2の左端に、わずかに係止突条部が見えているが、見えない部分を点線で示すと、第2中央係止突条部C2の左側の延長線上には左第2手前係止突条部LF2が設けられている。この左第2手前係止突条部LF2は、左第1手前係止突条部LF1と平行関係にある。また、第2中央係止突条部C2の右側の延長線上には点線で示すように右第2手前係止突条部RF2が設けられている。この右第2手前係止突条部RF2は、右第1手前係止突条部RF1と平行関係にある。さらに、左第1奥係止突条部LB1よりも奥側には、点線で示すように、左第1奥係止突条部LB1と平行に左第2奥係止突条部LB2が設けられており、右第1奥係止突条部RB1よりも奥側には、同じく点線で示すように、右第1奥係止突条部RB1と平行に右第2奥係止突条部RB2が設けられている。
【0041】
また、
図3に示すように、収容状態のマルチスタンド1では、左第2手前係止突条部LF2および右第2手前係止突条部RF2は第1山折り線1212に隣接している。また、左第2奥係止突条部LB2および右第2奥係止突条部RB2はが奥側山折り線132に隣接している。さらに、第1中央係止突条部C1は中央山折り線142に隣接している。
【0042】
図2に示す縦長の長方形状の第1高さ調整部121は、第1手前面1211の手前側縁部1211eがベース板11の手前側縁部11fに接続している。また、縦長の長方形状の左側第2高さ調整部122Lも右側第2高さ調整部122Rも、第2手前面1221の手前側縁部1221eがベース板11の手前側縁部11fに接続している。
【0043】
また、
図3に示すように、ベース板11の左端部から右端部にかけて手前側折返片151が設けられている。第1奥面1213の奥側縁部1213eと第2奥面1223の奥側縁部1223eは、この手前側折返片151に接続している。手前側折返片151と奥側縁部1213e,1223eの境1511は手前側折返片151が手前側に突出するように折り曲げられている。手前側折返片151は、中央部分151Cでは手前側への突出長が短く、第1奥面1213の奥側縁部1213eが接続した左側部分151Lと、第2奥面1223の奥側縁部1223eが接続した右側部分151Rそれぞれでは、手前側への突出長L1が長くなっている。この突出長L1は、左第2手前係止突条部LF2あるいは右第2手前係止突条部RF2とベース板11の手前側縁部11fとの距離以下であり、手前側高さ調整部12(
図1参照)が、後述する第2手前側高さ調整状態になると、左側部分151Lが左第2手前係止突条部LF2と手前側縁部11fの間に収まり、右側部分151Rが右第2手前係止突条部RF2と手前側縁部11fの間に収まり、手前側高さ調整部12の高さの変動が抑えられる。また、収容状態のマルチスタンド1では、手前側折返片151の左側部分151Lの突出先端縁(手前側の縁)は、左第2手前係止突条部LF2に隣接しており、手前側折返片151の右側部分151Rの突出先端縁(手前側の縁)は、右第2手前係止突条部RF2に隣接している。
【0044】
以上説明したように、第1奥面1213および第2奥面1223が手前側折返片151に接続していることで、第1高さ調整部121と、左側第2高さ調整部122Lと、右側第2高さ調整部122Rは一体になる。
【0045】
図2に示す高さ調整状態の第1高さ調整部121では、第1手前面1211と第1奥面1213が第1山折り線1212で折り曲げられ第1山折り線1212を頂として第1手前面1211と第1奥面1213が傾斜した状態にある。この高さ調整状態では、第1奥面1213の奥側縁部1213eが左第1手前係止突条部LF1に係止され、第1奥面1213がこれ以上奥側に移動しないようになっている。これにより、第1高さ調整部121は、この高さ調整状態を維持することができる。また、
図2に示す高さ調整状態の、左側第2高さ調整部122Lでも右側第2高さ調整部122Rでも、第2手前面1221と第2奥面1223が第2山折り線1222で折り曲げられ第2山折り線1222を頂として第2手前面1221と第2奥面1223が傾斜した状態にある。この高さ調整状態では、第2奥面1223の奥側縁部1223eが左第1手前係止突条部LF1に係止され、第2奥面1223がこれ以上奥側に移動しないようになっている。これにより、左側第2高さ調整部122Lも右側第2高さ調整部122Rも、この高さ調整状態を維持することができる。
【0046】
さらに、第1高さ調整部121は、第1奥面1213の奥側縁部1213eが点線で示す左第2手前係止突条部LF2に係止されるまで、第1奥面1213を第1手前面1211側に引き寄せて第1奥面1213と第1手前面1211の角度を狭めることができる。また、左側第2高さ調整部122Lおよび右側第2高さ調整部122Rも、第2奥面1223の奥側縁部1213eが点線で示す左第2手前係止突条部LF2に係止されるまで、第2手前面1221と第2奥面1223の角度を狭めることができる。第1奥面1213の奥側縁部1213eが左第2手前係止突条部LF2に係止されるとともに第2奥面1223の奥側縁部1223eが左第2手前係止突条部LF2に係止された状態も、高さ調整状態(以下、第2手前側高さ調整状態と称する。)であるが、この第2手前側高さ調整状態では、
図2に示す高さ調整状態(以下、第1手前側高さ調整状態と称する。)よりも、第1山折り線1212の高さ位置も第2山折り線1222の高さ位置も高くなる。
【0047】
上述のごとく、第1高さ調整部121と、左側第2高さ調整部122Lと、右側第2高さ調整部122Rは一体であるため、それぞれの状態変化は連動して生じる。また、左手前側高さ調整部12Lと右手前側高さ調整部12Rといった組で見た場合にも、左手前側高さ調整部12Lと右手前側高さ調整部12Rそれぞれは一本の手前側折返片151に接続している。この結果、手前側高さ調整部12(
図1参照)といった全体で、
図1に示す収容状態と、
図2に示す第1手前側高さ調整状態と、不図示の第2手前側高さ調整状態との間で状態変化が可能である。
【0048】
図2に示す矩形状の左奥側高さ調整部13Lは、奥側奥面133の奥側縁部133eがベース板11の奥側縁部11bに接続している。同じく、矩形状の右奥側高さ調整部13Rは、奥側奥面133の奥側縁部133eがベース板11の奥側縁部11bに接続している。
【0049】
図3に示すように、ベース板11の左端部から右端部にかけて奥側折返片152も設けられている。左奥側高さ調整部13Lにおける奥側手前面131の手前側縁部131eは、この奥側折返片152の左側部分に接続し、右奥側高さ調整部13Rにおける奥側手前面131の手前側縁部131eは、この奥側折返片152の右側部分に接続している。奥側折返片152と手前側縁部131eの境1521は奥側折返片152が奥側に突出するように折り曲げられている。奥側折返片152は、中央部分152Cでは奥側への突出長が短く、左奥側高さ調整部13Lにおける奥側手前面131の手前側縁部131eが接続した左側部分152Lと、右奥側高さ調整部13Rにおける奥側手前面131の手前側縁部131eが接続した右側部分151Rそれぞれでは、奥側への突出長L2が長くなっている。この突出長L2は、左第2奥係止突条部LB2あるいは右第2奥係止突条部RB2とベース板11の奥側縁部11bとの距離以下であり、奥側高さ調整部13(
図1参照)が、後述する第1奥側高さ調整状態になると、左側部分152Lが左第2奥係止突条部LB2と奥側縁部11bの間に収まり、右側部分152Rが右第2奥係止突条部RB2と奥側縁部11bの間に収まり、奥側高さ調整部13の高さの変動が抑えられる。また、収容状態のマルチスタンド1では、奥側折返片152の左側部分152Lの突出先端縁(奥側の縁)は、左第2奥係止突条部LB2に隣接しており、奥側折返片152の右側部分152Rの突出先端縁(奥側の縁)は、右第2奥係止突条部RB2に隣接している。
【0050】
以上説明したように、左奥側高さ調整部13Lの奥側手前面131と右奥側高さ調整部13Rの奥側手前面131それぞれが共通の奥側折返片152に接続していることで、左奥側高さ調整部13Lと右奥側高さ調整部13Rは一体になる。以下、左奥側高さ調整部13Lと右奥側高さ調整部13Rを区別せずに奥側高さ調整部13として説明を続ける。
【0051】
図2に示す高さ調整状態の奥側高さ調整部13では、奥側手前面131と奥側奥面133が奥側山折り線132で折り曲げられ奥側山折り線132を頂として奥側手前面131と奥側奥面133が傾斜した状態にある。この高さ調整状態では、奥側手前面131の手前側縁部131eが、左第1奥係止突条部LB1または右第1奥係止突条部RB1に係止され、奥側手前面131がこれ以上手前側に移動しないようになっている。これにより、奥側高さ調整部13は、この高さ調整状態を維持することができる。
【0052】
さらに、奥側高さ調整部13は、奥側手前面131の手前側縁部131eが点線で示す左第2奥係止突条部LB2または右第2奥係止突条部RB2に係止されるまで、奥側手前面131を奥側奥面133側に引き寄せて奥側手前面131と奥側奥面133の角度を狭めることができる。奥側手前面131の手前側縁部131eが左第2奥係止突条部LB2または右第2奥係止突条部RB2に係止された状態も、高さ調整状態(以下、第2奥側高さ調整状態と称する。)であるが、この第2奥側高さ調整状態では、
図2に示す高さ調整状態(以下、第1奥側高さ調整状態と称する。)よりも、奥側山折り線132の高さ位置が高くなる。
【0053】
奥側高さ調整部13は、
図1に示す収容状態と、
図2に示す第1奥側高さ調整状態と、不図示の第2奥側高さ調整状態との間で状態変化が可能である。
【0054】
図2に示す矩形状の中央高さ調整部14は、中央奥面143の中央縁部143eがベース板11の奥側縁部11bに接続している。
図2に示す高さ調整状態の中央高さ調整部14では、中央手前面141と中央奥面143が中央山折り線142で折り曲げられ中央山折り線142を頂として中央手前面141と中央奥面143が傾斜した状態にある。この高さ調整状態では、中央手前面141の手前側縁部141eが、第1中央係止突条部C1に係止され、中央手前面141がこれ以上手前側に移動しないようになっている。これにより、中央高さ調整部14は、この高さ調整状態を維持することができる。
【0055】
さらに、中央高さ調整部14は、中央手前面141の手前側縁部141eが第2中央係止突条部C2に係止されるまで、中央手前面141を中央奥面143から離して中央手前面141と中央奥面143の角度を広げることができる。中央手前面141の手前側縁部141eが第2中央係止突条部C2に係止された状態も、高さ調整状態(以下、第2中央高さ調整状態と称する。)であるが、この第2中央高さ調整状態では、
図2に示す高さ調整状態(以下、第1中央高さ調整状態と称する。)よりも、中央山折り線142の高さ位置が低くなる。
【0056】
中央高さ調整部14は、
図1に示す収容状態と、
図2に示す第1中央高さ調整状態と、不図示の第2中央高さ調整状態との間で状態変化が可能である。
【0057】
続いて、マルチスタンド1の様々な使い方について説明する。
【0058】
図4は、本実施形態のマルチスタンドにおける、手前側高さ調整部の状態と奥側高さ調整部の状態を組み合わせた例を右側から模式的に示す図である。この
図4では、左側が手前側になり、右側が奥側になる。また、
図4では、中央高さ調整部14(不図示)は、
図1に示す収容状態である。
【0059】
図4(a)は、
図1に示す収容状態のマルチスタンド1の右側面を模式的に表した図になる。この
図4(a)には、ベース板11と、そのベース板11の手前側縁部11fに設けられた三角突出部111が示されている。さらに、ベース板11に設けられた係止突条部が、手前側(左側)から、右第2手前係止突条部RF2、右第1手前係止突条部RF1、右第1奥係止突条部RB1、右第2奥係止突条部RB2の順で示されている。また、一番上には、収容状態の右側第2高さ調整部122Rと、同じく収容状態の右奥側高さ調整部13Rが示されている。右側第2高さ調整部122Rは、手前側(左側)から、第2手前面1221、第2山折り線1222および第2奥面1223で構成されていることが示されている。また、右奥側高さ調整部13Rは、手前側(左側)から、奥側手前面131、奥側山折り線132および奥側奥面133で構成されていることも示されている。さらに、右側第2高さ調整部122Rと右第1手前係止突条部RF1との間には、手前側折返片151が挟み込まれており、
図4(a)では、その手前側折返片151のうちの右側部分151Rが示されている。なお、右側部分151Rの真ん中辺りに記された線は、中央部分151Cの手前側の縁を参考までに表した線になる。また、右奥側高さ調整部13Rと右第1奥係止突条部RB1との間には、奥側折返片152が挟み込まれており、
図4(a)では、その奥側折返片152のうちの右側部分152Rが示されている。なお、右側部分152Rの真ん中辺りに記された線は、中央部分152Cの奥側の縁を参考までに表した線になる。
【0060】
図4(b)は、手前側高さ調整部12(右側第2高さ調整部122R)は収容状態であり、奥側高さ調整部13(右奥側高さ調整部13R)は第1奥側高さ調整状態であるマルチスタンド1の右側面を模式的に表した図になる。この
図4(b)には、奥側手前面131の手前側縁部131eが、右第1奥係止突条部RB1に係止されている様子が示されている。側方から見ると、第1奥側高さ調整状態の右奥側高さ調整部13Rは二等辺三角形を形作っている。
【0061】
図4(b)~同図(f)には、可搬型電子機器NPが模式的に示されている。
図4(b)~同図(f)にそれぞれ示す可搬型電子機器NPは、入力手段が設けられた本体部KBに対して表示画面DSが開閉自在な二つ折り構造のノートパソコンである。各図には、本体部KBと、表示画面DSの一部が模式的に示されている。
図4(b)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、可搬型電子機器NPの本体部KBの手前側縁KBeが三角突出部111に受け止められ、その本体部KBの奥側は、第1奥側高さ調整状態である右奥側高さ調整部13Rの奥側山折り線132の上に載せられ、本体部KBは手前側が低く奥側が高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
【0062】
図4(c)は、手前側高さ調整部12(右側第2高さ調整部122R)は収容状態であり、奥側高さ調整部13(右奥側高さ調整部13R)は第2奥側高さ調整状態であるマルチスタンド1の右側面を模式的に表した図になる。この
図4(c)には、奥側手前面131の手前側縁部131eが、右第2奥係止突条部RB2に係止されている様子が示されている。側方から見ると、第2奥側高さ調整状態の右奥側高さ調整部13Rは略正三角形を形作っており、奥側折返片152の右側部分152Rが、右第2奥係止突条部RB2とベース板11の奥側縁部11bの間に収まっている。
図4(c)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、本体部KBは、手前側が低く奥側が、
図4(b)よりもさらに高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
【0063】
図4(d)は、手前側高さ調整部12(右側第2高さ調整部122R)は第1手前側高さ調整状態であり、奥側高さ調整部13(右奥側高さ調整部13R)は第2奥側高さ調整状態であるマルチスタンド1の右側面を模式的に表した図になる。この
図4(d)には、第2奥面1223の奥側縁部1223eが、右第1手前係止突条部RF1に係止されている様子が示されている。また、
図4(d)には、第1高さ調整部121も示されている。
図4(d)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、可搬型電子機器NPの本体部KBの手前側縁KBeが、この第1高さ調整部121の第1奥面1213に受け止められ、その本体部KBの奥側は、第2奥側高さ調整状態である右奥側高さ調整部13Rの奥側山折り線132の上に載せられ、本体部KBは手前側が低く奥側が高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
図4(d)に示す可搬型電子機器NPは、
図4(b)に示す可搬型電子機器NPよりも全体が持ち上がった状態で傾斜している。
【0064】
図4(e)は、手前側高さ調整部12(右側第2高さ調整部122R)は第1手前側高さ調整状態であり、奥側高さ調整部13(右奥側高さ調整部13R)も第1奥側高さ調整状態であるマルチスタンド1の右側面を模式的に表した図になる。この
図4(e)に示すマルチスタンド1の状態は、
図3に示したマルチスタンド1の状態と同じである。
図4(d)にも、第1高さ調整部121が示されており、第1高さ調整部121の第1山折り線1212の高さ位置は、右側第2高さ調整部122Rの第2山折り線1222の高さ位置よりもわずかに高い。なお、第2山折り線1222の高さ位置を第1山折り線1212の高さ位置に揃えるように設計してもよい。また、第1手前側高さ調整状態である第1高さ調整部121における第1山折り線1212の高さ位置と、第1奥側高さ調整状態である右奥側高さ調整部13Rにおける奥側山折り線132の高さ位置は、ほぼ同じ高さである。なお、奥側山折り線132の高さ位置を第1山折り線1212の高さ位置よりも高くなるように設計してもよい。
図4(e)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、可搬型電子機器NPの本体部KBは、第1手前側高さ調整状態である第1高さ調整部121における第1山折り線1212と、第1奥側高さ調整状態である右奥側高さ調整部13Rにおける奥側山折り線132それぞれの上に載せられ、本体部KBがほぼ水平状態のまま全体が持ち上がった状態で設置される。
【0065】
図4(f)は、手前側高さ調整部12(右側第2高さ調整部122R)は第2手前側高さ調整状態であり、奥側高さ調整部13(右奥側高さ調整部13R)も第2奥側高さ調整状態であるマルチスタンド1の右側面を模式的に表した図になる。この
図4(f)には、第2奥面1223の奥側縁部1223eが、右第2手前係止突条部RF2に係止されている様子が示されている。
図4(f)にも、第1高さ調整部121が示されており、側方から見ると、第2手前側高さ調整状態の第1高さ調整部121は略正三角形を形作っており、手前側折返片151の右側部分151Rが、右第2手前係止突条部RF2とベース板11の手前側縁部11fの間に収まっている。第2手前側高さ調整状態である第1高さ調整部121における第1山折り線1212の高さ位置と、第2奥側高さ調整状態である右奥側高さ調整部13Rにおける奥側山折り線132の高さ位置は、ほぼ同じ高さである。
図4(f)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、可搬型電子機器NPの本体部KBは、第2手前側高さ調整状態である第1高さ調整部121における第1山折り線1212と、第2奥側高さ調整状態である右奥側高さ調整部13Rにおける奥側山折り線132それぞれの上に載せられる。
図4(f)に示す可搬型電子機器NPは、
図4(e)に示す可搬型電子機器NPよりも高く持ち上がっている。なお、
図4(d)に示すように、可搬型電子機器NPの本体部KBの手前側縁KBeを第1高さ調整部121の第1奥面1213に受け止めさせ、わずかに傾斜した状態に設置することも可能である。この場合であっても、可搬型電子機器NP全体は高く持ち上がっている。
【0066】
なお、マルチスタンド1は、手前側高さ調整部12が第1手前側高さ調整状態であり奥側高さ調整部13が収容状態である場合や、手前側高さ調整部12が第2手前側高さ調整状態であり奥側高さ調整部13が収容状態である場合や、手前側高さ調整部12が第2手前側高さ調整状態であり奥側高さ調整部13が第1奥側高さ調整状態である場合といった、手前側が高く奥側が低い態様も取り得る。
【0067】
図5は、中央高さ調整部の異なる状態を模式的に示す断面図である。この
図5は、マルチスタンド1を左右方向中央の位置で断面した図になり、左側が手前側になり、右側が奥側になる。
【0068】
図5(a)は、
図1に示す収容状態のマルチスタンド1の断面を模式的に表した図になる。この
図5(a)には、ベース板11と、そのベース板11に設けられた、三角突出部111と、第2中央係止突条部C2と、第1中央係止突条部C1が示されている。また、ベース板11の上には中央高さ調整部14が示されている。この中央高さ調整部14は、収容状態であり、手前側(左側)から、中央手前面141、中央山折り線142および中央奥面143で構成されていることが示されている。
【0069】
図5(b)は、中央高さ調整部14が第2中央高さ調整状態であるマルチスタンド1の中央断面を模式的に表した図になる。この
図5(b)には、中央手前面141の手前側縁部141eが、第2中央係止突条部C2に係止されている様子が示されている。側方から見ると、第2中央高さ調整状態の中央高さ調整部14は二等辺三角形を形作っている。
【0070】
図5では、
図4に示した可搬型電子機器NPは示されていないが、
図5(b)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、可搬型電子機器の本体部の手前側縁が三角突出部111に受け止められ、その本体部の奥側は、第2中央高さ調整状態である中央高さ調整部14の中央山折り線142の上に載せられ、本体部は手前側が低く奥側が高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
【0071】
図5(c)は、中央高さ調整部14が第1中央高さ調整状態であるマルチスタンド1の中央断面を模式的に表した図になる。
図5(c)に示す中央高さ調整部14の状態は、
図3に示した中央高さ調整部14の状態と同じである。この
図5(c)には、中央手前面141の手前側縁部141eが、第1中央係止突条部C1に係止されている様子が示されている。側方から見ると、第1中央高さ調整状態の中央高さ調整部14は略正三角形を形作っている。
図5(c)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、本体部が、手前側が低く奥側が、
図5(b)よりもさらに高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
【0072】
なお、中央高さ調整部14を第1中央高さ調整状態にする場合には、中央手前面141の手前側縁部141eが第1中央係止突条部C1に係止できるように、第1中央係止突条部C1の奥側のスペースを確保する必要があり、奥側高さ調整部13を
図3に示すように第1奥側高さ調整状態にしておくか、あるいは第2奥側高さ調整状態にしておく必要がある。
【0073】
図5(d)及び同図(e)は、係止突条部を追加した変形例のマルチスタンドの中央断面を模式的に表した図になる。なお、変形例の説明でも、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
【0074】
この変形例では、左第1奥係止突条部LB1と右第1奥係止突条部RB1の間に中央第1奥係止突条部CB1が追加され、左第2奥係止突条部LB2と右第2奥係止突条部RB2の間に中央第2奥係止突条部CB2が追加されている。すなわち、中央第1奥係止突条部CB1の前後方向の位置は、左第1奥係止突条部LB1および右第1奥係止突条部RB1の前後方向の位置に一致している。また、中央第2奥係止突条部CB2の前後方向の位置は、左第2奥係止突条部LB2および右第2奥係止突条部RB2の前後方向の位置に一致している。中央第1奥係止突条部CB1は、第1中央係止突条部C1よりも奥側であって中央第2奥係止突条部CB2よりも前側である。
図5(d)には、中央手前面141の手前側縁部141eが、この中央第1奥係止突条部CB1に係止されている様子が示されている。
図5(d)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、本体部が、手前側が低く奥側が、
図5(c)よりもさらに高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
【0075】
図5(e)には、中央手前面141の手前側縁部141eが、中央第2奥係止突条部CB2に係止されている様子が示されている。
図5(e)に示す状態のマルチスタンド1に可搬型電子機器を載置すると、本体部が、手前側が低く奥側が、
図5(d)よりもさらに高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
【0076】
以上説明したように、本実施形態のマルチスタンド1は、手前側の高さ調整と奥側の高さ調整を別々に行うことができる。このため、可搬型電子機器NPを水平状態に保ったまま設置高さを調整することや、手前側が低く奥側が高くなった傾斜状態あるいは手前側が高く奥側が低くなった傾斜状態で設置高さを調整することができる。さらに、傾斜角度の調整も行うことができる。したがって、椅子に腰掛けた状態で膝の上で可搬型電子機器NPを操作する場合や、あぐらをかいた足の上で可搬型電子機器NPを操作する場合や、事務机の上で可搬型電子機器NPを操作する場合や、新幹線等の座席に設けられた簡易テーブルの上で可搬型電子機器NPを操作する場合等、様々な場面で本実施形態のマルチスタンド1を使用し、可搬型電子機器NPの設置状態を使用状況に合わせて調整することで、可搬型電子機器が操作しやすくなり、また、長時間の使用であっても疲れにくくなる。
【0077】
続いて、本発明の可搬型電子機器収納具の一実施形態に相当するマルチ収納具について説明する。本実施形態のマルチ収納具は、マルチスタンドとそのマルチスタンドに対して開閉自在なカバー板を備える。
【0078】
図6(a)は、開いた状態のマルチ収納具の斜視図であり、同図(b)は同図(a)に示すマルチ収納具に可搬型電子機器(ノートパソコン)を設置したときの斜視図である。以下のマルチ収納具の説明でも、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
【0079】
図6に示すマルチ収納具3が備えるマルチスタンド1は、
図1に示すマルチスタンド1の左手前側高さ調整部12Lにおける右側第2高さ調整部122Rが省略されるとともに右手前側高さ調整部12Rにおける左側第2高さ調整部122Lも省略されている。すなわち、
図6に示すマルチスタンド1の左手前側高さ調整部12Lは、第1高さ調整部121と左側第2高さ調整部122Lとで構成されている。なお、左側第2高さ調整部122Lの方が、第1高さ調整部121よりも左右方向の幅が長い。また、
図6に示すマルチスタンド1の右手前側高さ調整部12Rは、第1高さ調整部121と右側第2高さ調整部122Rとで構成されている。なお、右側第2高さ調整部122Rの方が、第1高さ調整部121よりも左右方向の幅が長い。
【0080】
また、
図6(a)に示すマルチスタンド1では、ベース板11は、基板をクロロプレンゴムで覆ったものになり、係止突条部に代えて、係止切込部がそれぞれ設けられている。
【0081】
図6(c)は、第1中央係止切込部、第1奥係止切込部および第2奥係止切込部を奥側から見た様子を示した図である。この
図6(c)では、紙面手前側が奥側になる。
【0082】
図6(c)に示す第1中央係止切込部NC1は、第1中央係止突条部C1に代えて設けられた係止切込部である。
図6(c)に示す第1奥係止切込部NB1は、左第1奥係止突条部LB1と右第1奥係止突条部RB1と
図5(b)に示した中央第1奥係止突条部CB1をつなげて設けられた係止切込部である。
図6(c)に示す第2奥係止切込部NB2は、左第2奥係止突条部LB2と右第2奥係止突条部RB2と同じく
図5(b)に示した中央第2奥係止突条部CB2をつなげて設けられた係止切込部である。例えば、中央高さ調整部14における中央手前面141の手前側縁部141eが、第1中央係止切込部NC1に差し込まれることで係止され、中央手前面141がこれ以上手前側に移動しなくなり、中央高さ調整部14は第1中央高さ調整状態を維持することができる。
【0083】
図6(a)に示すマルチスタンド1は、
図3に示すマルチスタンド1と同じように、手前側高さ調整部12は第1手前側高さ調整状態であり、奥側高さ調整部13も第1奥側高さ調整状態である。なお、中央高さ調整部14が、材質の特性上、若干持ち上がっているように見えるが高さ調整状態ではない。
図6(a)に示すマルチスタンド1は、
図4(e)に示すマルチスタンド1と同じ状態であり、同図(b)に示すように、ノートパソコンNP13は水平状態を保ったまま全体が持ち上がった状態でマルチスタンド1設置されている。
【0084】
図7(a)は、開いた状態のマルチ収納具におけるマルチスタンドの別の状態を示す斜視図であり、同図(b)は同図(a)に示すマルチ収納具にノートパソコンを設置したときの斜視図である。
【0085】
図7(a)に示すマルチスタンド1では、中央高さ調整部14における中央手前面141の手前側縁部141eが、
図6(c)に示す第1中央係止切込部NC1に差し込まれ、中央高さ調整部14は第1中央高さ調整状態になっている。なお、手前側高さ調整部12および奥側高さ調整部13が、材質の特性上、若干持ち上がっているように見えるが、いずれも高さ調整状態ではない。したがって、
図7(a)に示すマルチスタンド1は、
図5(c)に示すマルチスタンド1と同じ状態であり、
図7(b)に示すように、ノートパソコンNP13は、本体部KB’の手前側縁KBe’が三角突出部111に受け止められ、その本体部KB’の奥側は、中央高さ調整部14の中央山折り線142の上に載せられ、本体部KB’が手前側が低く奥側が高くなるように傾斜した姿勢で設置される。
【0086】
カバー板31には、閉じた状態でマルチスタンド1側になる内面に内側ポケット部41が取り付けられている。
図7(a)に示す斜視図では、マルチスタンド1に対して100度程度開いた状態のカバー板31の内面に取り付けられた内側ポケット部41が見えている。内側ポケット部41は、カバー板31の内面のほぼ全域を覆うように取り付けられており、大ポケットを形成している。
【0087】
図7(c)は、同図(a)に示すマルチ収納具3を裏側から見たときの斜視図である。
【0088】
この
図7(c)に示すように、カバー板31の内面と反対側の外面には、外側左ポケット部42L、外側右ポケット部42Rおよび外側下ポケット部42Uが取り付けられている。以下、これら外側のポケット部を総称して外側ポケット部と称する場合がある。内側ポケット部41にしても外側ポケット部にしてもクロロプレンゴム製のものであり、柔軟性と伸縮性に富んだものになっている。このため、各ポケット部のサイズよりも若干大きな物であっても各ポケット部に収納可能な場合がある。
【0089】
マルチ収納具3は、マルチスタンド1とカバー板31の他に、連結紐32も有する。この連結紐32の一端は、マルチスタンド1のベース板11の左縁部の中間位置の付近に取り付けられており、その他端は、ベース板11の右縁部の中間位置の付近に取り付けられている。また、カバー板31の左縁部の中間位置の付近には左通し孔31Lhが設けられており、右縁部の中間位置の付近には右通し孔31Rhが設けられている。連結紐32は、左通し孔31Lhと、カバー板31の外面側(外側ポケット部側)と、右通し孔31Rhを経由したものである。また、連結紐32には、長さ調整具321が設けられており、詳細は後述するが、カバー板31の外面側(外側ポケット部側)でループ部を作ることにより、連結紐32の、ベース板11の左取付位置と左通し孔31Lhを結ぶ長さ及びベース板11の右取付位置と右通し孔31Rhを結ぶ長さを調整することができる。これらの長さを長くとることで、マルチスタンド1に対するカバー板31の開き角度を大きくすることができる。
【0090】
図8(a)は、開いた状態のマルチ収納具におけるマルチスタンドの別の状態を示す斜視図である。
【0091】
図8(a)に示すマルチ収納具3におけるマルチスタンド1は、手前側高さ調整部12も、奥側高さ調整部13も、中央高さ調整部14もいずれも収容状態であり、そのマルチスタンド1の上にノートパソコンNP13が載置されている。また、
図8(a)では、マルチスタンド1に対して100度程度開いた状態のカバー板31の内面に取り付けられた内側ポケット部41に紙の資料DPが差し込まれ、本体部KB’に設けられたキーボードやポインティングデバイス等の入力機器を操作しながら、その資料DPを確認することができる。したがって、カバー板31と内側ポケット部41は資料立てとしても機能する。
【0092】
図8(b)は、内側ポケット部に、同図(a)においてマルチスタンドの上に載置されていたノートパソコン全体が収納された様子を示す図である。このノートパソコンNP13は、13インチの表示画面DSを有するものであったが、14インチの表示画面DSを有する14インチノートパソコンであっても、内側ポケット部41が左右方向に少し引っ張られるだけで、14インチノートパソコン全体を内側ポケット部41内に収納可能である。さらに、15インチの表示画面DSを有する15インチノートパソコンであっても、内側ポケット部41が左右方向にかなり引っ張られ、高さ方向には内側ポケット部41からはみ出るものの15インチノートパソコンを内側ポケット部41に収納可能である。
【0093】
図9(a)は、13インチの表示画面を有するノートパソコンをマルチスタンドと内側ポケット部の間に挟んで収納した状態を示す図である。
【0094】
この
図9(a)では、ノートパソコンNP13を収容状態のマルチスタンド1の上に載せ、カバー板31を閉じた状態が示されている。
図9(a)に示すように、マルチスタンド1とカバー板31はシート状の襠部33によって繋がれている。この襠部33は、一般的なノートパソコンの厚み以上の長さを有する。
図9(a)に示すノートパソコンNP13は、マルチスタンド1と内側ポケット部41の間に挟まれた状態である。すなわち、
図8(b)に示すように、ノートパソコンNP13は、内側ポケット部41に収納されていない。
【0095】
また、
図9(a)には、外側左ポケット部42L、外側右ポケット部42Rおよび外側下ポケット部42Uといった外側ポケット部が示されている。
図9(a)に示すマルチ収納具3では、カバー板31の外面側(外側ポケット部側)で、連結紐32に、長さ調整具321によってループ部32Rが形成されており、このループ部32Rがマルチスタンド1のベース板11側に回り込んでいる。
図9(a)では見えないが、ベース板11側に回り込んだループ部32Rの先端は、ベース板11に係止され(
図9(c)参照)、カバー板31が開かないようになっている。ノートパソコンNP13を内側ポケット部41に収納した場合であっても似たような状態で、マルチ収納具3にノートパソコンNP13を収納することができる。したがって、本実施形態のマルチ収納具3によれば、マルチスタンド1とカバー板31との間に可搬型電子機器の収納スペースが設けられていることになる。
【0096】
図9(b)は、17インチの表示画面を有する17インチノートパソコンをマルチスタンドと内側ポケット部の間に挟んで収納した状態を示す図である。
【0097】
17インチノートパソコンNP17は、高さ方向(上下方向)ではマルチ収納具3内に収められているが、左右方向ではマルチ収納具3からはみ出している。連結紐32は、17インチノートパソコンNP17の、左右方向にはみ出した両端部を回り込むようにして保持している。17インチノートパソコンNP17は、内側ポケット部41に収納することは不可能であるが、このように、マルチスタンド1と内側ポケット部41の間に挟んで収納することは可能である。
【0098】
なお、
図9(b)にも、外側左ポケット部42L、外側右ポケット部42Rおよび外側下ポケット部42Uといった外側ポケット部が示されている。また、長さ調整具321によって形成されたループ部32Rがマルチスタンド1のベース板11側に回り込んでいる様子も示されている。
【0099】
図9(c)は、同図(b)に示す、17インチノートパソコンを収納したマルチ収納具を、ベース板側から見た図である。
【0100】
図9(c)には、ベース板11の、各種高さ調整部(12~14)が設けられた側とは反対側になる外面112が示されている。この外面112には、係止部1121が設けられている。ベース板11の外面112に回り込んだループ部32Rの先端は、その係止部1121に引っ掛けられ、ベース板11に係止される。これにより、マルチ収納具3が閉じた状態に維持される。なお、
図10(a)は、カバー板を閉じた状態から180度反転させた状態のマルチ収納具を真上から見た図である。
【0101】
図9(a)に示すシート状の襠部33によって、カバー板31を閉じた状態から180度反転させ、ベース板11の外面112に、カバー板31に取り付けられた外側ポケット部を接触させた状態にすることができる。
図10(a)に示すマルチ収納具3は、カバー板31の存在を意識せず、
図1に示すマルチスタンド単品のようにマルチスタンド1を使用することができる。
【0102】
また、
図10(a)に示すマルチ収納具3を膝の上に載せると、カバー板31に取り付けられた内側ポケット部41が膝に接することになる。内側ポケット部41の中にクッション材を入れておけば、膝の形状に馴染み、マルチ収納具3が膝上でより安定する。また、長時間のキーボード入力によって膝が痛くなることも低減される。なお、内側ポケット部41を形成するクロロプレンゴムでもある程度のクッション性はあるが、内側ポケット部41自体をクッション性の高い材料で形成してもよい。
【0103】
図10(b)は、マルチ収納具を閉じた状態に維持する連結紐の係止の仕方の別例を示す図であり、同図(c)は、同図(b)に示すマルチ収納具をベース板側から見た図である。
【0104】
この別例でも、連結紐32は、左通し孔31Lhと、カバー板31の外面側(外側ポケット部側)と、右通し孔31Rhを経由したものであり、さらに、カバー板31の外面側からのベース板11側に回り込んでいる。
【0105】
図9に示す例では、長さ調整具321は、カバー板31の外面側(外側ポケット部側)に位置していたが、この別例では、長さ調整具321は、ベース板11の外面112側に位置し、長さ調整具321がベース板11の外面112に設けられた係止部1121に引っ掛けられ、連結紐32がベース板11に係止されている。こうすることによっても、マルチ収納具3が閉じた状態に維持される。なお、係止に限らず、ベース板11の外面112に固定手段を設けるとともに連結紐32に被固定部材を取り付けておき、固定手段に被固定部材を固定させることでもマルチ収納具3を閉じた状態に維持することができる。固定の仕方としては、ボタンであってもよいし、バックルであってもよいし、マグネットであってもよいし、面ファスナーであってもよい。
以上説明したように、本実施形態のマルチ収納具3は、カバー板31やベース板11の大きさよりも大きな表示画面を有する可搬型電子機器であっても収納することができ、さらに、
図1~
図5を用いて説明したマルチスタンド1と同じように機能するマルチスタンド1を可搬型電子機器と一緒に持ち運ぶことができるため、可搬型電子機器NPの設置状態を、移動先での様々な使用場面に合わせて調整することができ、その結果、可搬型電子機器が操作しやすくなり、また、長時間の使用であっても疲れにくくなる。
【0106】
なお、本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。たとえば、本実施形態の手前側高さ調整部12では、第1手前面1211の手前側縁部1211eと第2手前面1221の手前側縁部1221eがベース板11の手前側縁部11fに接続し、第1奥面1213の奥側縁部1213eと第2奥面1223の奥側縁部1223eが前後方向に移動可能なものであったが、第1奥面1213の奥側縁部1213eと第2奥面1223の奥側縁部1223eがベース板11に接続し、第1手前面1211の手前側縁部1211eと第2手前面1221の手前側縁部1221eは前後方向に移動可能なものであってもよい。また、奥側高さ調整部13では、奥側奥面133の奥側縁部133eがベース板11の奥側縁部11bに接続し、奥側手前面131の手前側縁部131eが前後方向に移動可能なものであったが、奥側手前面131の手前側縁部131eがベース板11に接続し、奥側奥面133の奥側縁部133eが前後方向に移動可能なものであってもよい。さらに、中央高さ調整部14では、中央奥面143の中央縁部143eがベース板11の奥側縁部11bに接続し、中央手前面141の手前側縁部141eが前後方向に移動可能なものであったが、中央手前面141の手前側縁部141eがベース板11に接続し、中央奥面143の中央縁部143eが前後方向に移動可能なものであってもよい。
【0107】
また、左奥側高さ調整部13Lと右奥側高さ調整部13Rそれぞれが、左手前側高さ調整部12Lのように左右方向に隣接して複数に分けられたものであってもよい。あるいは、左手前側高さ調整部12Lと右手前側高さ調整部12Rそれぞれが、第1高さ調整部121、左側第2高さ調整部122Lおよび右側第2高さ調整部122Rが一体になったものであってもよい。さらには、中央高さ調整部14を省略したものであってもよい。
【0108】
また、手前側高さ調整部12の水平状態を維持するため、手前側折返片151とベース板11それぞれに、磁石や面ファスナーといった取外自在な接着手段を対向して設けてもよい。また、奥前側高さ調整部13の水平状態を維持するため、奥側折返片152とベース板11それぞれに、磁石や面ファスナーといった取外自在な接着手段を対向して設けてもよい。さらに、中央高さ調整部14の水平状態を維持するため、中央手前面141の手前側先端部とベース板11それぞれに、磁石や面ファスナーといった取外自在な接着手段を対向して設けてもよい。
【0109】
さらに、手前側高さ調整部12にしても、奥側高さ調整部13にしても、中央高さ調整部14にしても、収容状態は、水平状態であったが、必ずしも水平状態である必要はなく、高さ調整状態よりも山折り線の高さ位置が低くなっている状態であればよい。したがって、
図6(a)に示す中央高さ調整部14や
図7(a)に示す手前側高さ調整部12および奥側高さ調整部13のように若干持ち上がっている状態であっても、収容状態としてもよい。なお、
図6(a)に示す中央高さ調整部14であっても、
図7(a)に示す手前側高さ調整部12および奥側高さ調整部13であっても、カバー板31が閉められマルチスタンドの上にノートパソコン等の可搬型電子機器が収納されると、可搬型電子機器の重みによっていずれの高さ調整部12~14も水平状態になる。
【符号の説明】
【0110】
1 マルチスタンド
3 マルチ収納具
11 ベース板
12 手前側高さ調整部
12L 左手前側高さ調整部
12R 右手前側高さ調整部
121 第1高さ調整部
1211 第1手前面
1212 第1山折り線
1213 第1奥面
122L,122R 第2高さ調整部
1221 第2手前面
1222 第2山折り線
1223 第2奥面
13 奥側高さ調整部
13L 左奥側高さ調整部
13R 右奥側高さ調整部
131 奥側手前面
132 奥側山折り線
133 奥側奥面
14 中央高さ調整部
141 中央手前面
142 山折り線
143 中央奥面
31 カバー板
32 連結紐
33 襠部
C1 第1中央係止突条部
C2 第2中央係止突条部
LB1 左第1奥係止突条部
RB1 右第1奥係止突条部
LB2 左第2奥係止突条部
RB2 右第2奥係止突条部
LF1 左第1手前係止突条部
RF1 右第1手前係止突条部
LF2 左第2手前係止突条部
RF2 右第2手前係止突条部
NB1 第1奥係止切込部
NB2 第2奥係止切込部
NC1 第1中央係止切込部
NP 可搬型電子機器
NP13 ノートパソコン
NP17 17インチノートパソコン