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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131958
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220831BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031233
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉本 尚人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 弘通
(72)【発明者】
【氏名】伊東 淳一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大貴
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CB01
5H006CB08
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC02
5H006DC05
5H730AS05
5H730AS11
5H730BB13
5H730CC05
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD21
5H730FD31
5H730FF09
5H730FG07
(57)【要約】
【課題】出力電力の一定化を図る。
【解決手段】電力変換システム10では、制御回路4は、PFM信号生成部42と、誤差補償部44と、制御部41と、を含む。PFM信号生成部42は、オン時間指令値tonに基づくオン時間Tonを有するPFM信号を生成する。誤差補償部44は、リアクトルL1のインダクタンスLと、直列回路の両端電圧検出値VDCと、DC-DCコンバータ3の出力電圧検出値Voutと、DC-DCコンバータ3の出力電流検出値Ioutと、オン時間指令値tonと、を用いて誤差電流値Icomを求める。制御部41は、インダクタンスLと、出力電流指令値Iout1と誤差電流値Icomとを足し合わせた誤差補償後の出力電流指令値Iout2と、両端電圧検出値VDCと、出力電圧検出値Voutと、を用いてオン時間指令値tonを決定し、決定したオン時間指令値tonをPFM信号生成部42へ出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換して出力する整流器と、
リアクトルと、スイッチング素子と、コンデンサとパワーデカップリングコンデンサとの直列回路と、を有し、前記整流器から出力される前記直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力するDC-DCコンバータと、を備え、
前記DC-DCコンバータは、
前記スイッチング素子をPFM制御することによって前記DC-DCコンバータの出力電流を制御する制御回路を有し、
前記制御回路は、
オン時間指令値に基づくオン時間を有するPFM信号を生成するPFM信号生成部と、
前記リアクトルのインダクタンスと、前記直列回路の両端電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電流の検出値と、前記オン時間指令値と、を用いて誤差電流値を求める誤差補償部と、
前記インダクタンスと、出力電流指令値と前記誤差電流値とを足し合わせた誤差補償後の出力電流指令値と、前記両端電圧の検出値と、前記出力電圧の検出値と、を用いて前記オン時間指令値を決定し、決定した前記オン時間指令値を前記PFM信号生成部へ出力する制御部と、を含む、
電力変換システム。
【請求項2】
交流電圧を直流電圧に変換して出力する整流器と、
リアクトルと、スイッチング素子と、コンデンサとパワーデカップリングコンデンサとの直列回路と、を有し、前記整流器から出力される前記直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力するDC-DCコンバータと、を備え、
前記DC-DCコンバータは、
前記スイッチング素子をPFM制御することによって前記DC-DCコンバータの出力電圧を制御する制御回路を有し、
前記制御回路は、
オン時間指令値に基づくオン時間を有するPFM信号を生成するPFM信号生成部と、
前記リアクトルのインダクタンスと、前記直列回路の両端電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電流の検出値と、前記オン時間指令値と、を用いて誤差電圧値を求める誤差補償部と、
前記インダクタンスと、出力電圧指令値と前記誤差電圧値とを足し合わせた誤差補償後の出力電圧指令値と、前記両端電圧の検出値と、前記出力電流の検出値と、を用いて前記オン時間指令値を決定し、決定した前記オン時間指令値を前記PFM信号生成部へ出力する制御部と、を含む、
電力変換システム。
【請求項3】
前記DC-DCコンバータは、降圧チョッパ回路である、
請求項1又は2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記整流器は、PFC回路である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記整流器は、
リアクトルと、2つ又は4つの半導体スイッチング素子と、を含むブリッジレスPFC回路であり、
前記制御回路は、前記整流器の前記リアクトルに流れる入力電流の波形が三角波状となり、かつ、前記入力電流が上限値になる時点と下限値になる時点との間で前記入力電流の向きが変わるように、前記2つ又は4つの半導体スイッチング素子を制御する、
請求項4に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記整流器は、
前記交流電圧を全波整流するダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、を有する、
請求項4に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記DC-DCコンバータの前記リアクトルに流れるリアクトル電流の波形が三角波状となり、かつ、前記リアクトル電流が上限値になる時点と下限値になる時点との間で前記リアクトル電流の向きが変わるように、前記スイッチング素子を制御する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換システムに関し、より詳細には、DC-DCコンバータを備える電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電力変換装置として、パワーデカップリング機能を有する昇降圧型(Buck-Boost型)PFCコンバータを開示している。特許文献1に開示されている電力変換装置は、交流電源により供給される交流電圧である入力電圧を直流電圧である出力電圧に変換する。電力変換装置は、ダイオードブリッジと、インダクタと、ダイオードと、バッファキャパシタ(パワーデカップリングコンデンサ)と、出力キャパシタと、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、制御部と、を備える。制御部は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のスイッチング制御を行う。制御部は、出力電圧の制御とともに、バッファキャパシタによる電力補償制御を行う。なお、特許文献1には、一例として、バッファキャパシタのキャパシタンスを100μFとすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-162261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パワーデカップリングコンデンサを有するDC-DCコンバータを備える電力変換システムでは、パワーデカップリングコンデンサのキャパシタンスの小キャパシタンス化を図ったときに出力電力の一定化が難しい場合がある。
【0005】
本開示の目的は、出力電力の一定化を図ることが可能な電力変換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様の電力変換システムは、整流器と、DC-DCコンバータと、を備える。前記整流器は、交流電圧を直流電圧に変換して出力する。前記DC-DCコンバータは、リアクトルと、スイッチング素子と、コンデンサとパワーデカップリングコンデンサとの直列回路と、を有する。前記DC-DCコンバータは、前記整流器から出力される前記直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力する。前記DC-DCコンバータは、制御回路を有する。前記制御回路は、前記スイッチング素子をPFM制御することによって前記DC-DCコンバータの出力電流を制御する。前記制御回路は、PFM信号生成部と、誤差補償部と、制御部と、を含む。前記PFM信号生成部は、オン時間指令値に基づくオン時間を有するPFM信号を生成する。前記誤差補償部は、前記リアクトルのインダクタンスと、前記直列回路の両端電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電流の検出値と、前記オン時間指令値と、を用いて誤差電流値を求める。前記制御部は、前記インダクタンスと、出力電流指令値と前記誤差電流値とを足し合わせた誤差補償後の出力電流指令値と、前記両端電圧の検出値と、前記出力電圧の検出値と、を用いて前記オン時間指令値を決定し、決定した前記オン時間指令値を前記PFM信号生成部へ出力する。
【0007】
本開示に係る一態様の電力変換システムは、整流器と、DC-DCコンバータと、を備える。前記整流器は、交流電圧を直流電圧に変換して出力する。前記DC-DCコンバータは、リアクトルと、スイッチング素子と、コンデンサとパワーデカップリングコンデンサとの直列回路と、を有する。前記DC-DCコンバータは、前記整流器から出力される前記直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力する。前記DC-DCコンバータは、制御回路を有する。前記制御回路は、前記スイッチング素子をPFM制御することによって前記DC-DCコンバータの出力電圧を制御する。前記制御回路は、PFM信号生成部と、誤差補償部と、制御部と、を含む。前記PFM信号生成部は、オン時間指令値に基づくオン時間を有するPFM信号を生成する。前記誤差補償部は、前記リアクトルのインダクタンスと、前記直列回路の両端電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電圧の検出値と、前記DC-DCコンバータの出力電流の検出値と、前記オン時間指令値と、を用いて誤差電圧値を求める。前記制御部は、前記インダクタンスと、出力電圧指令値と前記誤差電圧値とを足し合わせた誤差補償後の出力電圧指令値と、前記両端電圧の検出値と、前記出力電流の検出値と、を用いて前記オン時間指令値を決定し、決定した前記オン時間指令値を前記PFM信号生成部へ出力する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電力変換システムは、出力電力の一定化を図ることが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、実施形態1に係る電力変換システムの回路図である。図1Bは、同上の電力変換システムにおける制御回路のブロック図である。
図2図2は、同上の電力変換システムの動作説明図である。
図3図3は、同上の電力変換システムにおけるDC-DCコンバータの動作説明図である。
図4図4は、同上の電力変換システムにおける整流器の動作説明図である。
図5図5A~5Hは、同上の電力変換システムにおける整流器に流れる入力電流の経路の説明図である。
図6図6は、同上の電力変換システムにおけるDC-DCコンバータの動作説明図である。
図7図7A~7Hは、同上の電力変換システムにおけるDC-DCコンバータのリアクトルに流れる電流の経路の説明図である。
図8図8は、同上の電力変換システムの動作波形のシミュレーション結果を示す図である。
図9図9Aは、実施形態2に係る電力変換システムの回路図である。図9Bは、同上の電力変換システムにおける制御回路のブロック図である。
図10図10Aは、変形例1に係る電力変換システムの回路図である。図10Bは、変形例2に係る電力変換システムの回路図である。図10Cは、変形例3に係る電力変換システムの回路図である。図10Dは、変形例4に係る電力変換システムの回路図である。図10Eは、変形例5に係る電力変換システムの回路図である。
図11図11Aは、変形例6に係る電力変換システムの回路図である。図11Bは、変形例7に係る電力変換システムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係る電力変換システム10について、図1A~8に基づいて説明する。
【0011】
(1)電力変換システムの全体構成
電力変換システム10は、図1Aに示すように、整流器2と、DC-DCコンバータ3と、を備える。整流器2は、交流電圧Vinを直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ3は、リアクトルL1、2つのスイッチング素子Q5,Q6、コンデンサCo及びパワーデカップリングコンデンサCcを有する。DC-DCコンバータ3は、整流器2から出力される直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力する。電力変換システム10では、第2直流電圧がDC-DCコンバータ3の出力電圧である。DC-DCコンバータ3は、制御回路4を更に有する。制御回路4は、スイッチング素子Q5,Q6をPFM(Pulse Frequency Modulation)制御することによってDC-DCコンバータ3の出力電流を制御する。
【0012】
交流電圧Vinは、交流電源から電力変換システム10に入力される。交流電源は、例えば、商用電源である。この場合、交流電圧Vinは、正弦波状の交流電圧である。
【0013】
電力変換システム10は、例えば、負荷回路5の電源装置として適用することができる。負荷回路5は、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)の直列回路であるが、これに限らない。なお、図1Aでは、負荷回路5に関しては、LEDの図記号を1つだけ図示してある。
【0014】
(2)電力変換システムの詳細
電力変換システム10は、上述のように、整流器2と、DC-DCコンバータ3と、を備える。また、電力変換システム10は、第1入力端子11、第2入力端子12、第1出力端子13及び第2出力端子14を更に備える。電力変換システム10は、例えば、第1入力端子11と第2入力端子12との間に交流電源が接続されて交流電源からの交流電圧Vinが入力される。
【0015】
整流器2は、例えば、PFC回路(Power Factor Correction)である。整流器2は、より詳細には、ブリッジレスPFC回路であり、リアクトルL0と、4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4と、を有する。以下では、説明の便宜上、半導体スイッチング素子Q1、半導体スイッチング素子Q2、半導体スイッチング素子Q3及び半導体スイッチング素子Q4を、それぞれ、第1半導体スイッチング素子Q1、第2半導体スイッチング素子Q2、第3半導体スイッチング素子Q3及び第4半導体スイッチング素子Q4と称することもある。整流器2では、第1半導体スイッチング素子Q1と第2半導体スイッチング素子Q2との直列回路と、第3半導体スイッチング素子Q3と第4半導体スイッチング素子Q4との直列回路と、が並列接続されている。また、整流器2では、第1半導体スイッチング素子Q1と第2半導体スイッチング素子Q2との接続点が、リアクトルL0を介して第1入力端子11に接続されており、第3半導体スイッチング素子Q3と第4半導体スイッチング素子Q4との接続点が、第2入力端子12に接続されている。
【0016】
整流器2では、4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の各々は、制御端子、第1主端子及び第2主端子を有する。4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の制御端子は、制御回路4に接続されている。4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4は、制御回路4から与えられる制御信号に応じてオン、オフされる。
【0017】
4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の各々は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。より詳細には、4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の各々は、nチャネルMOSFETである。4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の各々では、制御端子、第1主端子及び第2主端子が、それぞれ、ゲート端子、ドレイン端子及びソース端子である。
【0018】
整流器2では、第1半導体スイッチング素子Q1のソース端子及び第2半導体スイッチング素子Q2のドレイン端子がリアクトルL0を介して第1入力端子11に接続され、第3半導体スイッチング素子Q3のソース端子及び第4半導体スイッチング素子Q4のドレイン端子が第2入力端子12に接続されている。
【0019】
また、整流器2は、4つのダイオードD1,D2,D3,D4を有する。以下では、説明の便宜上、ダイオードD1、ダイオードD2、ダイオードD3及びダイオードD4を、それぞれ、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3、及び第4ダイオードD4と称することもある。第1ダイオードD1は、第1半導体スイッチング素子Q1に逆並列接続されている。第2ダイオードD2は、第2半導体スイッチング素子Q2に逆並列接続されている。第3ダイオードD3は、第3半導体スイッチング素子Q3に逆並列接続されている。第4ダイオードD4は、第4半導体スイッチング素子Q4に逆並列接続されている。
【0020】
整流器2では、4つのダイオードD1,D2,D3,D4は、4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4それぞれのMOSFETの寄生ダイオードである。4つのダイオードD1,D2,D3,D4の各々は、アノード及びカソードを有する。4つのダイオードD1,D2,D3,D4の各々のアノードとカソードは、4つの半導体スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のうち対応する半導体スイッチング素子の第2主端子(ソース端子)と第1主端子(ドレイン端子)にそれぞれ接続されている。
【0021】
DC-DCコンバータ3は、スイッチング方式のDC-DCコンバータであり、2つのスイッチング素子Q5,Q6を有する。より詳細には、DC-DCコンバータ3は、リアクトルL1と、2つのスイッチング素子Q5,Q6と、コンデンサCoと、パワーデカップリングコンデンサCcと、を有する。DC-DCコンバータ3は、降圧チョッパ回路である。以下では、説明の便宜上、スイッチング素子Q5、スイッチング素子Q6を、それぞれ、第1スイッチング素子Q5、第2スイッチング素子Q6と称することもある。
【0022】
DC-DCコンバータ3では、第1スイッチング素子Q5と第2スイッチング素子Q6との直列回路が、整流器2の高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に接続されている。より詳細には、第1スイッチング素子Q5と第2スイッチング素子Q6との直列回路が、整流器2の第3半導体スイッチング素子Q3と第4半導体スイッチング素子Q4との直列回路に並列接続されている。また、DC-DCコンバータ3では、第2スイッチング素子Q6の両端間にリアクトルL1とコンデンサ(出力コンデンサ)Coとの直列回路が接続されている。DC-DCコンバータ3では、コンデンサCoの一端が第1出力端子13に接続され、コンデンサCoの他端が第2出力端子14に接続されている。また、DC-DCコンバータ3では、パワーデカップリング機能を持たせるために、パワーデカップリングコンデンサCcが、整流器2の高電位側の出力端と、リアクトルL1とコンデンサCoとの接続点と、の間に接続されている。これにより、DC-DCコンバータ3では、パワーデカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの直列回路が、整流器2の高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に接続されている。より詳細には、DC-DCコンバータ3では、デカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの直列回路が、第1スイッチング素子Q5と第2スイッチング素子Q6との直列回路に並列接続されており、リアクトルL1が、第1スイッチング素子Q5と第2スイッチング素子Q6との接続点と、パワーデカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの接続点と、の間に接続されている。なお、DC-DCコンバータ3では、パワーデカップリングコンデンサCcのキャパシタンスが、コンデンサCoのキャパシタンスよりも大きい。一例では、パワーデカップリングコンデンサCcのキャパシタンスが10μFであり、コンデンサCoのキャパシタンスが2.2μFであるが、これらの値に限定されない。
【0023】
DC-DCコンバータ3では、2つのスイッチング素子Q5,Q6の各々は、制御端子、第1主端子及び第2主端子を有する。2つのスイッチング素子Q5,Q6の制御端子は、制御回路4に接続されている。2つのスイッチング素子Q5,Q6は、制御回路4からそれぞれに与えられる制御信号に応じてオン、オフされる。
【0024】
2つのスイッチング素子Q5,Q6の各々は、例えば、MOSFETである。より詳細には、2つのスイッチング素子Q5,Q6の各々は、ノーマリオフ型のnチャネルMOSFETである。2つのスイッチング素子Q5,Q6の各々では、制御端子、第1主端子及び第2主端子が、それぞれ、ゲート端子、ドレイン端子及びソース端子である。
【0025】
また、DC-DCコンバータ3は、2つのダイオードD5,D6を有する。ダイオードD5は、第1スイッチング素子Q5に逆並列接続されている。ダイオードD6は、第2スイッチング素子Q6に逆並列接続されている。
【0026】
DC-DCコンバータ3では、2つのダイオードD5,D6は、2つのスイッチング素子Q5,Q6それぞれのMOSFETの寄生ダイオードである。2つのダイオードD5,D6の各々は、アノード及びカソードを有する。2つのダイオードD5,D6の各々のアノードとカソードは、2つのスイッチング素子Q5,Q6のうち対応するスイッチング素子の第2主端子(ソース端子)と第1主端子(ドレイン端子)にそれぞれ接続されている。
【0027】
制御回路4は、2つのスイッチング素子Q5,Q6をPFM制御することによってDC-DCコンバータ3の出力電流を制御する。制御回路4は、第1スイッチング素子Q5に第1制御信号を与える第1ドライブ回路と、第2スイッチング素子Q6に第2制御信号を与える第2ドライブ回路と、を有しており、第1ドライブ回路及び第2ドライブ回路それぞれに、後述のPFM信号生成部42で生成されたPFM信号が入力される。第1ドライブ回路は、PFM信号生成部42からのPFM信号に基づく第1制御信号により第1スイッチング素子Q5をオン、オフする。また、第2ドライブ回路は、PFM信号生成部42からのPFM信号に基づく第2制御信号により第2スイッチング素子Q6をオン、オフする。第1制御信号は、制御回路4から与えられるオン時間Ton(図3参照)に基づき第1スイッチング素子Q5をオンする。DC-DCコンバータ3では、第1スイッチング素子Q5がオンであり第2スイッチング素子Q2がオフである期間中にリアクトル電流IL1が増加する。その後、制御回路4は、第1スイッチング素子Q5を含む上アームと第2スイッチング素子Q6を含む下アームとの短絡を防止する第1デッドタイムを介して第2スイッチング素子Q6をオンする。第1デッドタイムとは、第1スイッチング素子Q5と第2スイッチング素子Q6との両方がオフの期間を意味する。DC-DCコンバータ3では、第1スイッチング素子Q5がオフであり第2スイッチング素子Q6がオンである期間中にリアクトル電流ILが減少する。DC-DCコンバータ3は、リアクトル電流IL1がゼロとなるタイミングを検出するゼロクロス検出回路を備えている。ゼロクロス検出回路の検出結果は、制御回路4へ出力される。ゼロクロス検出回路は、第1スイッチング素子Q5がオフであり第2スイッチング素子Q6がオンである期間中にリアクトル電流IL1がゼロとなるタイミングを検出する。その後、制御回路4は、リアクトル電流IL1がゼロになった後、リアクトル電流IL1が負電流指令値で決まる大きさの負電流になるまで第2スイッチング素子Q6のオン状態を維持させる。その後、制御回路4は、第2デッドタイムを介して第1スイッチング素子Q5をオンする。第2デッドタイムとは、第1スイッチング素子Q5と第2スイッチング素子Q6との両方がオフの期間を意味する。
【0028】
制御回路4は、図1Bに示すように、PFM信号生成部42と、誤差補償部44と、制御部41と、を含む。制御回路4には、パワーデカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの直列回路の両端電圧VDCの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutの検出値とが、入力される。電力変換システム10は、直列回路の両端電圧VDCを検出する電圧検出回路と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutを検出する出力電圧検出回路と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutを検出する出力電流検出回路と、を備えている。
【0029】
PFM信号生成部42は、オン時間指令値tonに基づくオン時間Ton(図3参照)を有するPFM信号を生成する。
【0030】
誤差補償部44は、リアクトルL1のインダクタンスLと、パワーデカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの直列回路の両端電圧VDCの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutの検出値と、オン時間指令値tonと、を用いて誤差電流値Icomを求める。より詳細には、誤差補償部44は、下記の式(1)により、誤差電流値Icomを求める。
【0031】
Icom={ton×(VDC-Vout)}/(2×L)-Iout・・・式(1)
制御部41は、リアクトルL1のインダクタンスLと、出力電流指令値Iout1と誤差電流値Icomとを足し合わせた誤差補償後の出力電流指令値Iout2と、パワーデカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの直列回路の両端電圧VDCの検出値と、出力電圧Voutの検出値と、を用いてオン時間指令値tonを決定し、決定したオン時間指令値tonをPFM信号生成部42へ出力する。制御部41は、式(2)により、オン時間指令値tonを求める。
【0032】
ton=(2×L×Iout2)/(VDC-Vout)・・・(式2)
上述の説明から分るように、制御回路4では、制御部41がPFM信号生成部42へスイッチング素子Q5,Q6のオン時間Tonの指令値tonを与えるが、誤差補償部44が、フィードバックされたオン時間指令値tonを用いてDC-DCコンバータ3の出力電流Ioutの誤差を補償する。なお、制御回路4は、LPF(Low Pass Filter)43を含む。LPF43は、制御回路4において誤差補償としてオン時間指令値tonをフィードバックしていることによる再帰演算を防止するための遅れ要素である。制御部41からPFM信号生成部42へ出力されるオン時間指令値tonは、LPF43を通して誤差補償部44に入力される。
【0033】
制御回路4の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、1又は複数のコンピュータを有している。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御回路4の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ(磁気ディスク)等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0034】
図2は、電力変換システム10において、交流電圧Vin、入力電流Iin、入力電力Pin、パワーデカップリングコンデンサCcの両端電圧Vc、パワーデカップリングコンデンサCcに流れる電流Ic、パワーデカップリングコンデンサCcの両端電圧Vcと電流Icとの積で求まる電力Pc、出力電圧Vout、出力電流Iout及び出力電力Poutの関係を示した模式図である。
【0035】
図2から、電力変換システム10では、入力電力Pinが交流電圧Vinの2倍周波数で脈動していることが分かる。また、パワーデカップリングコンデンサCcでは、交流電圧Vinの正の最大値付近で電荷の充電が行われ、交流電圧Vinの負の最大値付近で電荷の放電が行われるので、パワーデカップリングコンデンサCcの電流Icが交流となり、パワーデカップリングコンデンサCcの電力Pcが交流電力となることが分かる。図2中のドットハッチングは電荷が充電されることを模式的に示しているだけである。また、図2から、電力変換システム10では、出力電圧Vout、出力電流Ioutそれぞれが一定化され、出力電力Poutも一定化されることが分かる。
【0036】
(3)電力変換システムの動作
(3.1)整流器の動作
以下では、整流器2の動作例について図4及び5に基づいて説明する。
【0037】
図4は、制御回路4から4つの半導体スイッチング素子Q1~Q4それぞれに与えられる制御信号(ゲート信号)と、入力電流Iinとの関係を示している。
【0038】
制御回路4は、整流器2のリアクトルL0に流れる入力電流Iinの波形が三角波状となり、かつ、入力電流Iinが上限値になる時点と下限値になる時点との間で入力電流Iinの向き(極性)が変わるように、4つの半導体スイッチング素子Q1~Q4を制御する。
【0039】
より詳細には、制御回路4は、第1期間(図4の期間T8と期間T1とを含む)、第2期間(図4の期間T2と期間T3とを含む)、第3期間(図4の期間T4と期間T5とを含む)及び第4期間(図4の期間T6と期間T7とを含む)の制御を繰り返す。第1期間は、4つの半導体スイッチング素子Q1~Q4のうち第2半導体スイッチング素子Q2及び第3半導体スイッチング素子Q3のみをオンさせる期間である。第2期間は、第1期間の後に4つの半導体スイッチング素子Q1~Q4の全てをオフさせる期間である。第3期間は、第2期間の後に第1半導体スイッチング素子Q1及び第4半導体スイッチング素子Q4のみをオンさせる期間である。第4期間は、第3期間の後に4つの半導体スイッチング素子Q1~Q4の全てをオフさせる期間である。
【0040】
図5A,5B,5C,5D,5E,5F,5G及び5Hには、それぞれ、図4における期間T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7及びT8のときの入力電流Iinの電流経路を示してある。なお、図4及び5A~5Hは、交流電圧Vinが正の期間のときの動作説明図であるが、交流電圧Vinが負の期間のときの動作も同様である。
【0041】
整流器2では、期間T1には、図5Aに点線矢印で示す経路で入力電流Iinが流れる。すなわち、整流器2では、入力電流Iinは、第1入力端子11-リアクトルL0-第2半導体スイッチング素子Q2の経路と、第3半導体スイッチング素子Q3-第2入力端子12の経路と、で流れる。
【0042】
整流器2では、期間T2には、図5Bに細い破線矢印で示す2つの経路で入力電流Iinが流れる。この細い破線矢印で示す2つの経路のうち一方の経路は、第1入力端子11-リアクトルL0-第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1、の経路であって第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1の放電を行う経路であり、他方の経路は、第1入力端子11-リアクトルL0-第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2、の経路であって、第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2の充電を行う経路である。また、期間T2には、図5Bに太い破線矢印で示す2つの経路で入力電流Iinが流れる。この太い破線矢印で示す2つの経路のうち一方の経路は、第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3-第2入力端子12の経路であって第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3の充電を行う経路であり、他方の経路は、第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4-第2入力端子12の経路であって第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4の放電を行う経路である。期間T2には、第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1の放電と、第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2の充電と、第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3の充電と、第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4の放電と、が行われる。
【0043】
整流器2では、期間T3には、図5Cに点線矢印で示す経路で入力電流Iinが流れる。すなわち、整流器2では、入力電流Iinは、第1入力端子11-リアクトルL0-第1ダイオードD1の経路と、第4ダイオードD4-第2入力端子12の経路とで流れる。整流器2では、期間T2から期間T3に遷移した時点で、第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1の放電と、第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2の充電と、第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3の充電と、第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4の放電と、が完了する。その後、期間T4へ遷移することで全ての半導体スイッチング素子Q1~Q4がゼロ電圧スイッチングとなる。
【0044】
整流器2では、期間T4には、図5Dに点線矢印で示す経路で入力電流Iinが流れる。すなわち、整流器2では、入力電流Iinは、第1入力端子11-リアクトルL0-第1半導体スイッチング素子Q1の経路と、第4半導体スイッチング素子Q4-第2入力端子12の経路とで流れる。
【0045】
整流器2では、期間T5には、図5Eに点線矢印で示す経路で入力電流Iinが流れる。すなわち、整流器2では、入力電流Iinは、第2入力端子12-第4半導体スイッチング素子Q4の経路と、第1半導体スイッチング素子Q1-リアクトルL0-第1入力端子11の経路で流れる。期間T5において入力電流Iinが負の方向に流れるので、次の期間T6において第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1の充電と、第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2の放電と、第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3の放電と、第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4の充電と、が可能となる。
【0046】
整流器2では、期間T6には、図5Fに太い破線矢印で示す2つの経路で入力電流Iinが流れる。この太い破線矢印で示す2つの経路のうち一方の経路は、第2入力端子12-第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3、の経路であって第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3の放電を行う経路であり、他方の経路は、第2入力端子12-第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4、の経路であって、第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4の充電を行う経路である。また、期間T6には、図5Fに細い破線矢印で示す2つの経路で入力電流Iinが流れる。この細い破線矢印で示す2つの経路のうち一方の経路は、第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1-リアクトルL0-第1入力端子11、の経路であって第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1の充電を行う経路であり、他方の経路は、第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2-リアクトルL0-第1入力端子11、の経路であって第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2の放電を行う経路である。期間T6には、第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1の充電と、第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2の放電と、第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3の放電と、第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4の充電と、が行われる。
【0047】
整流器2では、期間T7には、図5Gに点線矢印で示す経路で入力電流Iinが流れる。すなわち、整流器2では、入力電流Iinは、第2入力端子12-第3ダイオードD3の経路と、第2ダイオードD2-リアクトルL0-第1入力端子11の経路とで流れる。
【0048】
整流器2では、期間T8には、図5Hに点線矢印で示す経路で入力電流Iinが流れる。すなわち、整流器2では、入力電流Iinは、第2入力端子12-第3半導体スイッチング素子Q3の経路と、第2半導体スイッチング素子Q2-リアクトルL0-第1入力端子11の経路とで流れる。整流器2では、期間T6において第1半導体スイッチング素子Q1の寄生容量C1の充電と、第2半導体スイッチング素子Q2の寄生容量C2の放電と、第3半導体スイッチング素子Q3の寄生容量C3の放電と、第4半導体スイッチング素子Q4の寄生容量C4の充電と、が行われてるので、期間T5から期間T8に遷移する際に、全ての半導体スイッチング素子Q1~Q4がゼロ電圧スイッチングとなる。
【0049】
(3.2)DC-DCコンバータの動作
以下では、DC-DCコンバータ3の動作例について図6及び7に基づいて説明する。
【0050】
図6は、制御回路4から2つのスイッチング素子Q5,Q6それぞれに与えられる制御信号(ゲート信号)と、リアクトルL1に流れるリアクトル電流IL1との関係を示している。
【0051】
制御回路4は、DC-DCコンバータ3のリアクトルL1に流れるリアクトル電流IL1の波形が三角波状となり、かつ、リアクトル電流IL1が上限値になる時点と下限値になる時点との間でリアクトル電流IL1の向き(極性)が変わるように、2つのスイッチング素子Q5,Q6を制御する。
【0052】
より詳細には、制御回路4は、第1期間(図6の期間T8と期間T1とを含む)、第2期間(図6の期間T2と期間T3とを含む)、第3期間(図6の期間T4と期間T5とを含む)及び第4期間(図6の期間T6と期間T7とを含む)の制御を繰り返す。第1期間は、2つのスイッチング素子Q5、Q6のうちスイッチング素子Q5のみをオンさせる期間である。第2期間は、第1期間の後に2つのスイッチング素子Q5、Q6の両方をオフさせる期間である。第3期間は、第2期間の後に2つのスイッチング素子Q5,Q6のうちスイッチング素子Q6のみをオンさせる期間である。第4期間は、第3期間の後に2つのスイッチング素子Q5、Q6の両方をオフさせる期間である。
【0053】
図7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G及び7Hには、それぞれ、図6における期間T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7及びT8のときの電流経路を示してある。
【0054】
DC-DCコンバータ3では、期間T1には、図7Aに点線矢印で示す経路でリアクトル電流IL1が流れる。すなわち、DC-DCコンバータ3では、リアクトル電流IL1は、スイッチング素子Q5-リアクトルL1の経路で流れる。
【0055】
DC-DCコンバータ3では、期間T2には、図7Bに破線矢印で示す2つの経路でリアクトル電流IL1が流れる。この破線矢印で示す2つの経路のうち一方の経路は、スイッチング素子Q5の寄生容量C5-リアクトルL1、の経路であってスイッチング素子Q5の寄生容量C5の充電を行う経路であり、他方の経路は、スイッチング素子Q6の寄生容量C6-リアクトルL1、の経路であって、スイッチング素子Q6の寄生容量C6の放電を行う経路である。期間T2には、スイッチング素子Q5の寄生容量C5の充電と、スイッチング素子Q6の寄生容量C6の放電と、が行われる。
【0056】
DC-DCコンバータ3では、期間T3には、図7Cに点線矢印で示す経路でリアクトル電流IL1が流れる。すなわち、DC-DCコンバータ3では、リアクトル電流IL1は、ダイオードD6-リアクトルL1の経路で流れる。DC-DCコンバータ3では、期間T2から期間T3に遷移すると、スイッチング素子Q5の寄生容量C5の充電と、スイッチング素子Q6の寄生容量C6の放電と、が完了する。したがって、期間T1から期間T4へ遷移する際に全てのスイッチング素子Q5,Q6がゼロ電圧スイッチングとなる。
【0057】
DC-DCコンバータ3では、期間T4には、図7Dに点線矢印で示す経路でリアクトル電流IL1が流れる。すなわち、DC-DCコンバータ3では、リアクトル電流IL1は、スイッチング素子Q6-リアクトルL1の経路で流れる。
【0058】
DC-DCコンバータ3では、期間T5には、図7Eに点線矢印で示す経路でリアクトル電流IL1が流れる。すなわち、DC-DCコンバータ3では、リアクトル電流IL1は、リアクトルL1-スイッチング素子Q6の経路で流れる。期間T5においてリアクトル電流IL1が負の方向に流れるので、次の期間T6においてスイッチング素子Q5の寄生容量C5の放電と、スイッチング素子Q6の寄生容量C6の充電と、が可能となる。
【0059】
DC-DCコンバータ3では、期間T6には、図7Fに破線矢印で示す2つの経路でリアクトル電流IL1が流れる。この破線矢印で示す2つの経路のうち一方の経路は、リアクトルL1-スイッチング素子Q5の寄生容量C5、の経路であってスイッチング素子Q5の寄生容量C5の放電を行う経路であり、他方の経路は、リアクトルL1-スイッチング素子Q6の寄生容量C6、の経路であって、スイッチング素子Q6の寄生容量C6の充電を行う経路である。期間T6には、スイッチング素子Q5の寄生容量C5の放電と、スイッチング素子Q6の寄生容量C6の充電と、が行われる。
【0060】
DC-DCコンバータ3では、期間T7には、図7Gに点線矢印で示す経路でリアクトル電流IL1が流れる。すなわち、DC-DCコンバータ3では、リアクトル電流IL1は、リアクトルL1-ダイオードD5の経路で流れる。
【0061】
DC-DCコンバータ3では、期間T8には、図7Hに点線矢印で示す経路でリアクトル電流IL1が流れる。すなわち、DC-DCコンバータ3では、リアクトル電流IL1は、リアクトルL1-スイッチング素子Q5の経路で流れる。DC-DCコンバータ3では、期間T6においてスイッチング素子Q5の寄生容量C5の放電と、スイッチング素子Q6の寄生容量C6の充電と、が行われてるので、全てのスイッチング素子Q5,Q6がゼロ電圧スイッチングとなる。
【0062】
(3.3)電力変換システムの動作波形
図8は、電力変換システムのシミュレーション結果の一例を示す。図8において左側の各波形は、電流誤差補償を行っていない場合(Icomp=0の場合)の交流電圧Vin、入力電流Iin、パワーデカップリングコンデンサCcの両端電圧Vc、リアクトル電流IL1及び出力電流Ioutそれぞれの波形を示している。図8において右側の各波形は、制御回路4において電流誤差補償を行った場合の交流電圧Vin、入力電流Iin、パワーデカップリングコンデンサCcの両端電圧Vc、リアクトル電流IL1及び出力電流Ioutそれぞれの波形を示している。図8から、電流誤差補償を行うことにより系統電源(交流電源)の2倍周波数成分の脈動が抑制され出力電流Ioutが一定化されていることが分かる。
【0063】
(4)まとめ
実施形態1に係る電力変換システム10は、整流器2と、DC-DCコンバータ3と、を備える。整流器2は、交流電圧Vinを直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ3は、リアクトルL1と、2つのスイッチング素子Q5,Q6と、コンデンサCoとパワーデカップリングコンデンサCcとの直列回路と、を有する。DC-DCコンバータ3は、整流器2から出力される直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ3は、制御回路4を有する。制御回路4は、2つのスイッチング素子Q5,Q6をPFM制御することによってDC-DCコンバータ3の出力電流を制御する。制御回路4は、PFM信号生成部42と、誤差補償部44と、制御部41と、を含む。PFM信号生成部42は、オン時間指令値tonに基づくオン時間Tonを有するPFM信号を生成する。誤差補償部44は、リアクトルL1のインダクタンスLと、直列回路の両端電圧VDCの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutの検出値と、オン時間指令値tonと、を用いて誤差電流値Icomを求める。制御部41は、インダクタンスLと、出力電流指令値Iout1と誤差電流値Icomとを足し合わせた誤差補償後の出力電流指令値Iout2と、両端電圧VDCの検出値と、出力電圧Voutの検出値と、を用いてオン時間指令値tonを決定し、決定したオン時間指令値tonをPFM信号生成部42へ出力する。これにより、実施形態1に係る電力変換システム10は、パワーデカップリングコンデンサCcを備えた構成において、出力電流Ioutを一定化することが可能となり、出力電力Poutの一定化を図ることが可能となる。また、実施形態1に係る電力変換システム10は、交流電圧Vinの2倍周波数成分の脈動を抑制することが可能となる。
【0064】
(実施形態2)
以下では、実施形態2に係る電力変換システム10aについて、図9A及び9Bに基づいて説明する。なお、実施形態2に係る電力変換システム10aに関し、実施形態1に係る電力変換システム10と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0065】
電力変換システム10aは、電力変換システム10における制御回路4の代わりに、制御回路4aを備える。制御回路4aの実行主体は、制御回路4と同様、コンピュータシステムを含んでいる。
【0066】
制御回路4aは、図9Bに示すように、PFM信号生成部42aと、誤差補償部44aと、制御部41aと、を含む。制御回路4aには、直列回路の両端電圧VDCの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutの検出値とが、入力される。電力変換システム10aは、直列回路の両端電圧VDCを検出する電圧検出回路と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutを検出する出力電圧検出回路と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutを検出する出力電流検出回路と、を備えている。
【0067】
PFM信号生成部42aは、オン時間指令値tonに基づくオン時間Ton(図3参照)を有するPFM信号を生成する。
【0068】
誤差補償部44aは、リアクトルL1のインダクタンスLと、パワーデカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの直列回路の両端電圧VDCの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutの検出値と、オン時間指令値tonと、を用いて誤差電圧値Vcomを求める。より詳細には、誤差補償部44aは、下記の式(3)により、誤差電圧値Vcomを求める。
【0069】
Vcom=(2×L×Iout)/ton-VDC+Vout・・・式(3)
制御部41aは、リアクトルL1のインダクタンスLと、出力電圧指令値Vout1と誤差電圧値Vcomとを足し合わせた誤差補償後の出力電圧指令値Vout2と、パワーデカップリングコンデンサCcとコンデンサCoとの直列回路の両端電圧VDCの検出値と、出力電流Ioutの検出値と、を用いてオン時間指令値tonを決定し、決定したオン時間指令値tonをPFM信号生成部42aへ出力する。制御部41aは、式(4)により、オン時間指令値tonを求める。
【0070】
ton=(2×L×Iout)/(VDC-Vout2)・・・(式4)
上述の説明から分るように、制御回路4aでは、制御部41aがPFM信号生成部42aへスイッチング素子Q5,Q6のオン時間Tonの指令値tonを与えるが、誤差補償部44aが、フィードバックされたオン時間指令値tonを用いてDC-DCコンバータ3の出力電圧Voutの誤差を補償する。なお、制御回路4aは、LPF43aを含む。LPF43aは、制御回路4aにおいて誤差補償としてオン時間指令値tonをフィードバックしていることによる再帰演算を防止するための遅れ要素である。制御部41aからPFM信号生成部42aへ出力されるオン時間指令値tonは、LPF43aを介して誤差補償部44aに入力される。
【0071】
以上説明した実施形態2に係る電力変換システム10aは、整流器2と、DC-DCコンバータ3と、を備える。整流器2は、交流電圧Vinを直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ3は、リアクトルL1と、2つのスイッチング素子Q5,Q6と、コンデンサCoとパワーデカップリングコンデンサCcとの直列回路と、を有する。DC-DCコンバータ3は、整流器2から出力される直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ3は、制御回路4aを有する。制御回路4aは、2つのスイッチング素子Q5,Q6をPFM制御することによってDC-DCコンバータ3の出力電圧を制御する。制御回路4aは、PFM信号生成部42aと、誤差補償部44aと、制御部41aと、を含む。PFM信号生成部42aは、オン時間指令値tonに基づくオン時間Tonを有するPFM信号を生成する。誤差補償部44aは、リアクトルL1のインダクタンスLと、直列回路の両端電圧VDCの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電圧Voutの検出値と、DC-DCコンバータ3の出力電流Ioutの検出値と、オン時間指令値tonと、を用いて誤差電圧値Vcomを求める。制御部41aは、インダクタンスLと、出力電圧指令値Vout1と誤差電圧値Vcomとを足し合わせた誤差補償後の出力電圧指令値Vout2と、両端電圧VDCの検出値と、出力電流Ioutの検出値と、を用いてオン時間指令値tonを決定し、決定したオン時間指令値tonをPFM信号生成部42aへ出力する。これにより、実施形態2に係る電力変換システム10aは、パワーデカップリングコンデンサCcを備えた構成において、出力電圧Voutを一定化することが可能となり、出力電力Poutの一定化を図ることが可能となる。また、実施形態2に係る電力変換システム10aは、交流電圧Vinの2倍周波数成分の脈動を抑制することが可能となる。
【0072】
(変形例)
上記の実施形態1、2は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1、2は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、整流器2は、図10A~10Eのいずれかの回路構成を有していてもよい。
【0074】
図10Aに示す変形例1に係る電力変換システム10bは、整流器2が、ダイオードブリッジ21と、昇圧チョッパ回路22と、を含んでいる点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。ダイオードブリッジ21は、4つのダイオードD1~D4をブリッジ接続して構成されており、交流電源1の交流電圧を全波整流する。昇圧チョッパ回路22は、インダクタL22と半導体スイッチング素子Q22との直列回路と、半導体スイッチング素子Q22に逆並列接続されているダイオードD22と、インダクタL22と半導体スイッチング素子Q22との接続点とDC-DCコンバータ3との間に接続されているダイオードD23と、を有する。半導体スイッチング素子Q22は、例えば、MOSFETであり、より詳細には、nチャネルMOSFETである。
【0075】
図10Bに示す変形例2に係る電力変換システム10cは、変形例1に係る電力変換システム10bと略同じであり、昇圧チョッパ回路22において半導体スイッチング素子Q23がダイオードD23に並列接続されている点のみ変形例1に係る電力変換システム10bと相違する。
【0076】
図10Cに示す変形例3に係る電力変換システム10dは、整流器2が、ダイオードブリッジにより構成されている点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。
【0077】
図10Dに示す変形例4に係る電力変換システム10eは、整流器2が、実施形態1に係る電力変換システム10の整流器2における第3半導体スイッチング素子Q3及び第4半導体スイッチング素子Q4を有していない点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。変形例4では、整流器2は、ブリッジレスPFC回路である。
【0078】
図10Eに示す変形例5に係る電力変換システム10fは、実施形態1に係る電力変換システム10の整流器2における第1半導体スイッチング素子Q1及び第3半導体スイッチング素子Q3を有していない点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。
【0079】
また、DC-DCコンバータ3は、例えば、図11A及び11Bのいずれかの回路構成を有していてもよい。変形例5では、整流器2は、ブリッジレスPFC回路である。
【0080】
図11Aに示す変形例6に係る電力変換システム10gは、実施形態1に係る電力変換システム10のDC-DCコンバータ3におけるスイッチング素子Q6を有していない点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。また、電力変換システム10gは、コンデンサCoがスイッチング素子Q5とリアクトルL1との直列回路に並列接続されており、パワーデカップリングコンデンサCcが、ダイオードD6とリアクトルL1との直列回路に並列接続されている点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。
【0081】
図11Bに示す変形例7に係る電力変換システム10hは、実施形態1に係る電力変換システム10のDC-DCコンバータ3におけるスイッチング素子Q5を有していない点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。また、電力変換システム10hは、コンデンサCoがダイオードD5とリアクトルL1との直列回路に並列接続されており、パワーデカップリングコンデンサCcが、スイッチング素子Q6とリアクトルL1との直列回路に並列接続されている点で、実施形態1に係る電力変換システム10と相違する。
【0082】
(その他の変形例)
例えば、4つの半導体スイッチング素子Q1~Q4及び2つのスイッチング素子Q5,Q6の各々は、nチャネルMOSFETに限らず、pチャネルMOSFETであってもよい。また、4つの半導体スイッチング素子Q1~Q4及び2つのスイッチング素子Q5,Q6の各々は、MOSFETに限らず、例えば、バイポーラトランジスタ又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。
【0083】
(態様)
以上説明した実施形態1、2及び変形例等から、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0084】
第1の態様に係る電力変換システム(10;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)は、整流器(2)と、DC-DCコンバータ(3)と、を備える。整流器(2)は、交流電圧(Vin)を直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ(3)は、リアクトル(L1)と、スイッチング素子(Q5,Q6)と、コンデンサ(Co)とパワーデカップリングコンデンサ(Cc)との直列回路と、を有する。DC-DCコンバータ(3)は、整流器(2)から出力される直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ(3)は、制御回路(4)を有する。制御回路(4)は、スイッチング素子(Q5,Q6)をPFM制御することによってDC-DCコンバータ(3)の出力電流を制御する。制御回路(4)は、PFM信号生成部(42)と、誤差補償部(44)と、制御部(41)と、を含む。PFM信号生成部(42)は、オン時間指令値(ton)に基づくオン時間(Ton)を有するPFM信号を生成する。誤差補償部(44)は、リアクトル(L1)のインダクタンス(L)と、直列回路の両端電圧(VDC)の検出値と、DC-DCコンバータ(3)の出力電圧(Vout)の検出値と、DC-DCコンバータ(3)の出力電流(Iout)の検出値と、オン時間指令値(ton)と、を用いて誤差電流値(Icom)を求める。制御部(41)は、インダクタンス(L)と、出力電流指令値(Iout1)と誤差電流値(Icom)とを足し合わせた誤差補償後の出力電流指令値(Iout2)と、両端電圧(VDC)の検出値と、出力電圧(Vout)の検出値と、を用いてオン時間指令値(ton)を決定し、決定したオン時間指令値(ton)をPFM信号生成部(42)へ出力する。
【0085】
第1の態様に係る電力変換システム(10;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)は、出力電力(Pout)の一定化を図ることが可能となる。
【0086】
第2の態様に係る電力変換システム(10a;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)は、整流器(2)と、DC-DCコンバータ(3)と、を備える。整流器(2)は、交流電圧(Vin)を直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ(3)は、リアクトル(L1)と、スイッチング素子(Q5,Q6)と、コンデンサ(Co)とパワーデカップリングコンデンサ(Cc)との直列回路と、を有する。DC-DCコンバータ(3)は、整流器(2)から出力される直流電圧である第1直流電圧を第2直流電圧に変換して出力する。DC-DCコンバータ(3)は、制御回路(4a)を有する。制御回路(4a)は、スイッチング素子(Q5,Q6)をPFM制御することによってDC-DCコンバータ(3)の出力電圧を制御する。制御回路(4a)は、PFM信号生成部(42a)と、誤差補償部(44a)と、制御部(41a)と、を含む。PFM信号生成部(42a)は、オン時間指令値(ton)に基づくオン時間(Ton)を有するPFM信号を生成する。誤差補償部(44a)は、リアクトル(L1)のインダクタンス(L)と、直列回路の両端電圧(VDC)の検出値と、DC-DCコンバータ(3)の出力電圧(Vout)の検出値と、DC-DCコンバータ(3)の出力電流(Iout)の検出値と、オン時間指令値(ton)と、を用いて誤差電圧値(Vcom)を求める。制御部(41a)は、インダクタンス(L)と、出力電圧指令値(Vout1)と誤差電圧値(Vcom)とを足し合わせた誤差補償後の出力電圧指令値(Vout2)と、両端電圧(VDC)の検出値と、出力電流(Iout)の検出値と、を用いてオン時間指令値(ton)を決定し、決定したオン時間指令値(ton)をPFM信号生成部(42a)へ出力する。
【0087】
第2の態様に係る電力変換システム(10a;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)は、出力電力(Pout)の一定化を図ることが可能となる。
【0088】
第3の態様に係る電力変換システム(10;10a;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)では、第1又は2の態様において、DC-DCコンバータ(3)は、降圧チョッパ回路である。
【0089】
第4の態様に係る電力変換システム(10;10a;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)では、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、整流器(2)は、PFC回路である。
【0090】
第4の態様に係る電力変換システム(10;10a;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)では、力率を改善しつつ出力電力(Pout)の一定化を図ることが可能となる。
【0091】
第5の態様に係る電力変換システム(10;10a;10e;10f;10g;10h)では、第4の態様において、整流器(2)は、リアクトル(L0)と、2つ又は4つの半導体スイッチング素子(Q1,Q2,Q3,Q4)と、を含むブリッジレスPFC回路である。制御回路(4;4a)は、整流器(2)のリアクトル(L0)に流れる入力電流(Iin)の波形が三角波状となり、かつ、入力電流(Iin)が上限値になる時点と下限値になる時点との間で入力電流(Iin)の向きが変わるように、2つ又は4つの半導体スイッチング素子を制御する。
【0092】
第5の態様に係る電力変換システム(10;10a;10e;10f;10g;10h)では、2つ又は4つの半導体スイッチング素子(Q1,Q2,Q3,Q4)の全部をゼロ電圧スイッチングすることが可能となる。
【0093】
第6の態様に係る電力変換システム(10b;10c)では、第4の態様において、整流器(2)は、交流電圧(Vin)を全波整流するダイオードブリッジ(21)と、ダイオードブリッジ(21)の出力電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路(22)と、を有する。
【0094】
第6の態様に係る電力変換システム(10b;10c)では、力率を改善しつつ出力電力(Pout)の一定化を図ることが可能となる。
【0095】
第7の態様に係る電力変換システム(10;10a;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)では、第1~6の態様のいずれか一つにおいて、制御回路(4;4a)は、DC-DCコンバータ(3)のリアクトル(L1)に流れるリアクトル電流(IL1)の波形が三角波状となり、かつ、リアクトル電流(IL1)が上限値になる時点と下限値になる時点との間でリアクトル電流(IL1)の向きが変わるように、スイッチング素子(Q5,Q6)を制御する。
【0096】
第7の態様に係る電力変換システム(10;10a;10b;10c;10d;10e;10f;10g;10h)では、スイッチング素子(Q5,Q6)をゼロ電圧スイッチングすることが可能となる。
【符号の説明】
【0097】
1 交流電源
2 整流器
21 ダイオードブリッジ
22 昇圧チョッパ回路
3 DC-DCコンバータ
4、4a 制御回路
41、41a 制御部
42、42a PFM信号生成部
43、43a LPF
44、44a 誤差補償部
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h 電力変換システム
Co コンデンサ
Cc パワーデカップリングコンデンサ
D1 第1ダイオード
D2 第2ダイオード
D3 第3ダイオード
D4 第4ダイオード
D5 ダイオード
D6 ダイオード
Iin 入力電流
Iout 出力電流
Iout1 出力電流指令値
Iout2 出力電流指令値
IL1 リアクトル電流
L0 リアクトル
L1 リアクトル
Q1 第1半導体スイッチング素子
Q2 第2半導体スイッチング素子
Q3 第3半導体スイッチング素子
Q4 第4半導体スイッチング素子
Q5 第1スイッチング素子
Q6 第2スイッチング素子
ton オン時間指令値
Vc 電圧
Vcomp 誤差電圧値
DC 両端電圧
Vin 入力電圧(交流電圧)
Vout 出力電圧(第2直流電圧)
Vout1 出力電圧指令値
Vout2 出力電圧指令値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11