(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131960
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220831BHJP
G06Q 10/06 20120101ALI20220831BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06Q10/06 302
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031236
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】小牟田 治
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 敦史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
5L049AA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業管理者の判断によることなく倉庫リソースの最適化を図りながら自動的に物流施設内の工程計画を生成し、工程計画に基づいた作業実績を複数の物流施設間で比較する。
【解決手段】プロセッサとプロセッサに接続された記憶部とを有し、複数物流施設の作業実績を管理する管理システムは、物流施設情報と、複数の出荷オーダからなる出荷オーダ情報と、出荷のために必要な作業の工程に関する作業ネットワーク情報と、作業に利用できる複数のリソースに関するリソース情報と、物流施設毎の日々の作業実績データとを保持し、出荷オーダ情報を取得すると、所定の条件及び作業ネットワーク情報に基づいて、対応する作業を複数のタスクに分類し、リソース情報に基づいてタスク毎に工程へのリソースの割り当てを含む工程計画を、物流施設毎に生成し、生成された工程計画に基づいて実行された作業実績データを物流施設毎に出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶部とを有し、複数の物流施設の作業実績を管理する管理システムであって、
前記記憶部は、物流施設情報と、複数の出荷オーダからなる出荷オーダ情報と、出荷のために必要な作業の工程に関する作業ネットワーク情報と、作業に利用できる複数のリソースに関するリソース情報と、前記物流施設毎の日々の作業実績データとを保持し、
前記プロセッサは、
前記出荷オーダ情報を取得すると、所定の条件及び前記作業ネットワーク情報に基づいて、対応する作業を複数のタスクに分類し、前記リソース情報に基づいて、前記タスク毎に、前記工程への前記リソースの割り当てを含む工程計画を、前記物流施設毎に生成する工程計画部と、
生成された前記工程計画に基づいて実行された前記作業実績データを前記物流施設毎に出力する出力部と、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管理システムであって、
前記作業ネットワーク情報は、出荷のために必要な前記作業の工程の順序を示す情報を含み、
前記リソース情報は、前記各工程における前記各リソースの生産性を示す情報を含み、
前記工程計画部は、
前記タスク毎に、前記各工程に割り当てた前記リソースの数量と、前記生産性と、前記タスクに分類された前記出荷オーダの物量と、に基づいて、前記各工程の所要時間を計算し、
前記作業ネットワーク情報に含まれる順序に従って其々の工程が開始され、前記所要時間経過後に終了するように前記工程計画を生成する、
ことを特徴とする管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理システムであって、
前記出力部は、前記工程計画と前記作業実績データとの乖離内容を出力する、
ことを特徴とする管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の管理システムであって、
前記物流施設情報は、前記物流施設で取り扱う商品特徴情報を含み、
前記出力部は、前記商品特徴情報と前記乖離内容とを関連付けて出力する、
ことを特徴とする管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の管理システムであって、
前記出力部は、日々の作業の間に、突発的に発生する作業遅延要因を取得すると、環境的、人為的、外的要因に分類して、前記乖離内容と関連付けて出力する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の管理システムであって、
前記プロセッサは、
前記工程計画と前記作業実績データとの乖離内容を、前記複数の物流施設で比較し、最も前記工程計画通りに実施できた前記作業実績データ、前記工程計画よりも最も短時間で実施できた前記作業実績データ、前記工程計画よりも最も経費が少なく実施できた前記作業実績データの少なくとも一つを抽出する抽出手段と、
を更に備えることを特徴とする管理システム。
【請求項7】
プロセッサと、前記プロセッサに接続され、物流施設情報と、複数の出荷オーダからなる出荷オーダ情報と、出荷のために必要な作業の工程に関する作業ネットワーク情報と、作業に利用できる複数のリソースに関するリソース情報と、物流施設毎の日々の作業実績データとを保持する記憶部とを有し、複数の物流施設の作業実績を管理するコンピュータが実行する管理方法であって、
前記出荷オーダ情報を取得すると、所定の条件及び前記作業ネットワーク情報に基づいて、対応する作業を複数のタスクに分類し、前記リソース情報に基づいて、前記タスク毎に、前記工程への前記リソースの割り当てを含む工程計画を、前記物流施設毎に生成するステップと、
生成された前記工程計画に基づいて実行された前記作業実績データを前記物流施設毎に出力するステップと、
を備えることを特徴とする管理方法。
【請求項8】
プロセッサと、前記プロセッサに接続され、物流施設情報と、複数の出荷オーダからなる出荷オーダ情報と、出荷のために必要な作業の工程に関する作業ネットワーク情報と、作業に利用できる複数のリソースに関するリソース情報と、物流施設毎の日々の作業実績データとを保持する記憶部とを有し、複数の物流施設の作業実績を管理するコンピュータに、
前記出荷オーダ情報を取得すると、所定の条件及び前記作業ネットワーク情報に基づいて、対応する作業を複数のタスクに分類し、前記リソース情報に基づいて、前記タスク毎に、前記工程への前記リソースの割り当てを含む工程計画を、前記物流施設毎に生成するステップ、
生成された前記工程計画に基づいて実行された前記作業実績データを前記物流施設毎に出力するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流施設における作業の生産性を比較、評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物流作業の合理化を図るシステムとして、例えば、特許文献1には、各種の倉庫、工場、配送センタ、港湾貨物施設等の物流施設において、現場作業員が行う入庫、検品、ピッキング、出庫等の作業別に時間や費用等を計測・換算して得られた作業履歴情報を管理活用するシステムが開示されている。
また、このような物流作業の中でも、倉庫におけるシステムとして、例えば、特許文献2に記載されたシステムがある。このシステムは、出荷オーダをデータベースに蓄積し、出荷アイテム、梱包単位(例えば、ケース又はピース)といった出荷作業要素毎に分類し、ピッキング、搬送、2次仕分の各作業時間の定量化解析を行い、出荷リードタイムが最小となる括りの組み合わせを求めることにより、出荷オーダの括りを決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6007288号公報
【特許文献2】特開2002-154615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、現場作業員毎に割り当てられた端末から取得した作業実績を中央システムで管理する。現場作業員は、作業完了毎に端末に対して作業実績の入力作業を行う必要があり、人為的なミスに対策ができなかった。また、他にも、作業実績を取得できる作業履歴情報は、現場作業員が実施するものに限られているため、AGV(Automatic Guided Vehicle)等の自動設備に関する情報取得は、別途行う必要があった。
また、従来の出荷作業工程作成では、出荷オーダの括りの作業着手順序は検討されておらず、作業管理者が順序を決定していた。つまり、倉庫毎、作業管理者毎に異なる判断で作業順序が決定されており、工程別の評価が可能であったとしても、倉庫全体の効率を評価することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、作業管理者の判断によることなく倉庫リソースの最適化を図りながら自動的に物流施設内の工程計画を生成し、この工程計画に基づいた作業実績を、複数の物流施設間で比較、検討することが可能な管理システム、管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶部とを有し、複数の物流施設の作業実績を管理する管理システムであって、
前記記憶部は、物流施設情報と、複数の出荷オーダからなる出荷オーダ情報と、出荷のために必要な作業の工程に関する作業ネットワーク情報と、作業に利用できる複数のリソースに関するリソース情報と、前記物流施設毎の日々の作業実績データとを保持し、
前記プロセッサは、
前記出荷オーダ情報を取得すると、所定の条件及び前記作業ネットワーク情報に基づいて、対応する作業を複数のタスクに分類し、前記リソース情報に基づいて、前記タスク毎に、前記工程への前記リソースの割り当てを含む工程計画を、前記物流施設毎に生成する工程計画部と、
生成された前記工程計画に基づいて実行された前記作業実績データを前記物流施設毎に出力する出力部と、
を備えることを特徴とする管理システムを提供する。
【0008】
本発明によれば、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶部とを有し、複数の物流施設の作業実績を管理する管理システムは、前記記憶部が、物流施設情報と、複数の出荷オーダからなる出荷オーダ情報と、出荷のために必要な作業の工程に関する作業ネットワーク情報と、作業に利用できる複数のリソースに関するリソース情報と、前記物流施設毎の日々の作業実績データとを保持し、前記プロセッサが、前記出荷オーダ情報を取得すると、所定の条件及び前記作業ネットワーク情報に基づいて、対応する作業を複数のタスクに分類し、前記リソース情報に基づいて、前記タスク毎に、前記工程への前記リソースの割り当てを含む工程計画を、前記物流施設毎に生成し、生成された前記工程計画に基づいて実行された前記作業実績データを前記物流施設毎に出力する。
【0009】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラム等の他のカテゴリであっても同様の作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、倉庫リソースの最適化を図りながら、自動的に工程計画を生成し、この工程計画に基づいた作業実績を倉庫設備間で比較して出力することができるため、工程内の個々の倉庫設備内のリソースを直接比較して見直すことが可能となり、作業計画に対する本質的な生産性評価を、同種のリソース(人、設備等)を有する複数の物流施設間で比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例の管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例のサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施例のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例の管理システムが実行する処理の概要の説明図である。
【
図5】本発明の実施例の管理システムが保持する出荷オーダ情報の説明図である。
【
図6】本発明の実施例の管理システムによるタスク生成の説明図である。
【
図7】本発明の実施例の管理システムによって生成される工程計画の説明図である。
【
図8】本発明の実施例の管理システムが実行する処理の詳細を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0013】
図1は、本発明の実施形態の管理システムの構成を示すブロック図である。
本実施形態の管理システム100は、複数の物流施設の作業実績を管理するシステムであり、サーバ装置101及びクライアント装置102からなる。サーバ装置101及びクライアント装置102は、ネットワーク104を介して、倉庫管理システム(Warehouse Management System、WMS)103、複数のリソース機器105及び管理者端末106と接続される。
【0014】
倉庫管理システム103は、顧客からの出荷オーダの管理及び倉庫内の物品の在庫管理等を行う。倉庫管理システム103は、一般的な倉庫で運用されているものと同様のものであって良いため、詳細な説明は省略する。管理システム100は、倉庫管理システム103から出荷オーダ等を取得して、作業計画を作成し、それに従って作業指示を各リソース機器105に送信する。管理システム100に含まれるサーバ装置101及びクライアント装置102の構成については後述する。
【0015】
各リソース機器105は、倉庫内の作業を実現するためのリソースに対応する。例えば、倉庫内で人手による作業が行われる場合、その作業を行う作業員がリソースであり、それに対応するリソース機器105は、例えば、その作業員が使用する端末装置(ハンディターミナル等の作業員端末)である。
あるいは、倉庫内の作業を行うためにマテリアルハンドリング機器等が使用される場合には、そのような機器がリソースであり、かつ、それ自体がリソース機器105に相当する。マテリアルハンドリング機器の例として、物品を搬送するコンベア、物品を格納した棚を搬送する(Automated Guided Vehicle、AGV)及び棚から物品をピッキングするピッキングロボット等が挙げられる。
また、作業を行う作業場所(作業ステーション)及び作業台等をリソースとして扱ってもよく、その場合、作業場所及び作業台等に対応する機器(例えば、作業員に情報を提示する端末等)があればそれらをリソース機器105としても良い。
【0016】
管理者端末106は、システムの管理者が所持する端末である。管理者端末106は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末等である。管理者端末106は、管理者が管理する倉庫における管理システム100が出力する倉庫毎の作業実績データ、工程計画と作業実績データとの乖離内容等を表示する。
【0017】
ネットワーク104は、管理システム100と倉庫管理システム103との通信、管理システム100と各リソース機器105との通信、管理システム100と管理者端末106との通信、及び、サーバ装置101とクライアント装置102との通信を可能にするものである限り、どのような種類のものであっても良い。また、それらの通信は、有線通信又は無線通信のいずれか又はそれらの組み合わせであっても良い。
【0018】
図2は、本発明の実施例のサーバ装置101の構成を示すブロック図である。
本実施例のサーバ装置101は、プロセッサ201、メモリ202、記憶媒体203、入力装置204、出力装置205及び通信装置206を有する。
【0019】
プロセッサ201は、メモリ202に格納されたプログラムに従って、サーバ装置101を制御する。
【0020】
メモリ202は、例えば、半導体メモリであり、プロセッサ201によって実行されるプログラム、プロセッサ201によって参照されるデータ及びプロセッサ201が実行する処理の結果として取得されたデータ等を格納する。記憶媒体203に格納されたプログラム及びデータの少なくとも一部が、必要に応じてメモリ202にコピーされても良いし、取得されたデータが必要に応じてメモリ202から記憶媒体203にコピーされても良い。
図2の例では、メモリ202にリソース制御システム(RCS)監視プログラム207及びタスク生成プログラム208が格納される。これらは、それぞれ、後述するリソース監視及びタスク生成を実現するためのプログラムである。これらのプログラムに従って実行される処理については後述する。
【0021】
記憶媒体203は、例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクのような不揮発性の記憶媒体である。記憶媒体203に格納されるリソース制御システムデータベース(RCSDB)209については後述する。
【0022】
入力装置204は、管理システム100の操作者からの入力を受ける。具体的には、入力装置204は、例えば、キーボード、ボタン又はポインティングデバイス等を含んでも良い。
【0023】
出力装置205は、管理システム100の操作者に情報を出力する。具体的には、出力装置205は、例えば、画像表示装置等を含んでも良い。例えば、メモリ202に格納されたプログラムに従う処理の結果として生成された情報の少なくとも一部が出力装置205を介して出力されても良い。
【0024】
通信装置206は、有線又は無線のネットワーク104を介して倉庫管理システム103、クライアント装置102及びリソース機器105とのデータのやり取りを可能とするための装置であり、例えば、LAN(Local Area Network)アダプタ等を含んでも良い。例えば、記憶媒体203に格納される情報の少なくとも一部が通信装置206を介して入力されても良いし、メモリ202に格納されたプログラムに従う処理の結果として生成された情報の少なくとも一部が通信装置206を介して出力されても良い。
【0025】
図3は、本発明の実施例のクライアント装置102の構成を示すブロック図である。
本実施例のクライアント装置102は、プロセッサ301、メモリ302、記憶媒体303、入力装置304、出力装置305及び通信装置306を有する。
【0026】
プロセッサ301は、メモリ302に格納されたプログラムに従って、クライアント装置102を制御する。
【0027】
メモリ302は、例えば、半導体メモリであり、プロセッサ301によって実行されるプログラム、プロセッサ301によって参照されるデータ、及びプロセッサ301が実行する処理の結果として取得されたデータ等を格納する。記憶媒体303に格納されたプログラム及びデータの少なくとも一部が、必要に応じてメモリ302にコピーされても良いし、取得されたデータが必要に応じてメモリ302から記憶媒体303にコピーされても良い。
図3の例では、メモリ302に工程計画生成プログラム307が格納される。これは、後述する工程計画の生成を実現するためのプログラムである。このプログラムに従って実行される処理については後述する。
【0028】
記憶媒体303は、例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクのような不揮発性の記憶媒体である。
図3の例では、記憶媒体303に物量・リソース情報308及び工程計画309が格納される。物量・リソース情報308は、工程計画生成プログラム307による工程計画の生成の基となるデータであり、例えば、作業対象である物量と倉庫内で利用可能なリソースの数量、及び、それぞれのリソースの生産性を示す情報を含む。工程計画309は、工程計画生成プログラム307によって生成されるデータである。これらの内容については後述する。
【0029】
入力装置304は、管理システム100の操作者からの入力を受ける。具体的には、入力装置304は、例えば、キーボード、ボタン又はポインティングデバイス等を含んでも良い。
【0030】
出力装置305は、管理システム100の操作者に情報を出力する。具体的には、出力装置305は、例えば、画像表示装置等を含んでも良い。例えば、メモリ302に格納されたプログラムに従う処理の結果として生成された情報の少なくとも一部が出力装置305を介して出力されても良い。
【0031】
通信装置306は、有線又は無線のネットワーク140を介してサーバ装置101及びリソース機器105とのデータのやり取りを可能とするための装置であり、例えば、LANアダプタ等を含んでも良い。例えば、記憶媒体303に格納される情報の少なくとも一部が通信装置306を介して入力されても良いし、メモリ302に格納されたプログラムに従う処理の結果として生成された情報の少なくとも一部が通信装置306を介して出力されても良い。
【0032】
なお、
図1から
図3の例では、管理システム100が一つのサーバ装置101と一つのクライアント装置102とによって構成される例を説明したが、管理システム100は例えば、一つのサーバ装置101と複数のクライアント装置102とによって構成されても良いし、サーバ装置101とクライアント装置102とを統合した一つの計算機システムによって構成されても良い。また、倉庫管理システム103も
図2又は
図3と同様の計算機システムによって実現することができる。
【0033】
図4は、本発明の実施例の管理システム100が実行する処理の概要の説明図である。
複数の顧客401からの複数の出荷オーダ403は、倉庫管理システム103の在庫管理システム又は販売管理システムを経て管理システム100に入力される。ここで、一つの出荷オーダ403とは、一つの配送先に同じタイミングで配送される1以上の品目の商品のオーダの集合である。管理システム100は、出荷オーダ403に応じた商品の出荷を行うための作業指示を含む指示情報404を生成する。出荷オーダ403から指示情報を生成する手順は、従来知られている方法によって実現できるため、その詳細な説明は省略する。
【0034】
管理システム100は、指示情報404に基づいてタスク生成405を行う。その結果、タスク情報406が生成される。このとき、タスク情報データベース410及び作業ネットワーク情報マスタ411が参照される。タスク情報データベース410及び作業ネットワーク情報マスタ411は、例えば、サーバ装置101のRCSDB209に含まれても良い。
このRCSDB209には、これらの他にも、物流施設情報及び物流施設毎の日々の作業実績を示す作業実績データが格納される。物流施設情報は、物流施設に関する情報であり、例えば、名称、種別、所在地、取り扱う商品に関する情報である商品特徴情報等である。作業実績データは、例えば、タスクの各工程作業に要した時間や経費、タスク全体に要した時間や経費、工程計画に対する実際の作業の達成率といったものである。
【0035】
タスク生成405及び生成されるタスク情報406については後述する。ここでは、複数の出荷オーダ403を複数のタスクに分類する例を説明する。これによって、各出荷オーダ403に対応する指示情報404が、各出荷オーダ403に対応するタスクに分類される。生成されたタスク情報406は、タスク情報データベース410に格納される。
【0036】
その後、管理システム100は、タスク情報406に基づいて工程計画生成407を行う。その結果、工程計画408が生成される。工程計画生成407及び生成される工程計画408については後述する。
【0037】
管理システム100は、工程計画408及び指示情報404に基づいて、指示データ配信409を行う。具体的には、指示情報404に含まれる作業指示を、生成された工程計画408に従って、作業に対応するリソース機器105に、適切なタイミング(例えば、工程計画408に従って作業が実行されるタイミング)で配信する。
【0038】
管理システム100は、作業実績データ配信412を行う。具体的には、配信された工程計画408に従って実行された作業実績を、物流施設毎に、管理者端末106に、適切なタイミング(例えば、工程計画408に従って作業が実行されたタイミング)で配信する。
【0039】
図5は、本発明の実施例の管理システム100が保持する出荷オーダ情報の説明図である。
例えば、管理システム100は、顧客401からの出荷オーダ403に必要な項目を追加した出荷オーダ情報500を生成してそれをタスク情報DB410に格納しても良い。
図5に示す出荷オーダ情報500は、複数の出荷オーダ501(例えば、出荷オーダ1_501-1、出荷オーダ2_501-2、・・・出荷オーダn_501-n)を含む。これらのいずれにも共通する説明をする場合、これらを総称して単に出荷オーダ501と記載する。
【0040】
なお、通常、一つの出荷オーダ403に対応する複数の出荷オーダ501が生成される。例えば、一つの出荷オーダ403に応じて出荷される商品が複数の出荷箱に分けて梱包される場合には、出荷箱ごとに出荷オーダ501が生成される。また、一つの出荷オーダ403に応じて商品を出荷するまでに複数の工程(例えば、ピッキング、検品、梱包)の作業が行われる場合には、工程ごとに出荷オーダ501が生成される。
図5の例において、各出荷オーダ501は、項目として、出荷梱包キー511-1、出荷伝票番号511-2、タスク番号511-3、作業種別511-4、生産性511-5、前アクティビティ511-6、次アクティビティ511-7、出庫数511-8、個口情報511-9、出荷日511-10、作業日511-11、出荷先情報511-12、運送業者情報511-13、業者切離し時間511-14、緊急フラグ511-15、出荷止めフラグ511-16、箱情報511-17、ギフトフラグ511-18、工程計画生成部作業開始時間511-19、工程計画生成部作業終了時間511-20及び商品情報511-21を含む。
【0041】
出荷梱包キー511-1は、当該出荷オーダ501に応じて出荷される商品を梱包する出荷箱毎に採番されるキー情報である。例えば、出荷梱包キー511-1の値(番号)を示すバーコードが印刷されたシールを出荷箱に貼付して出荷箱を識別しても良い。
【0042】
出荷伝票番号511-2は、当該出荷オーダ501に対応する出荷オーダ403を識別する番号である。オーダが出荷(納品)単位と同一となる(すなわち、一つの出荷オーダ403に応じて出荷される商品は、同一の出荷先に同一のタイミングで出荷される)為、出荷伝票番号511-2は納品伝票番号として使用されても良い。
なお、一つの出荷オーダ403に応じて出荷される商品が複数の出荷箱に分けて梱包される場合、出荷箱ごとに出荷オーダ501が生成され、それぞれの出荷オーダ501の出荷梱包キー511-1は互いに異なる値となり、出荷伝票番号511-2は同一の値となる。
【0043】
タスク番号511-3は、タスク生成405の結果として付与されるタスクの固有番号である。後述するように、複数の出荷オーダ501を優先条件及び平滑化条件等に基づいて分類することによってタスクが生成される。
【0044】
作業種別511-4は、当該出荷オーダ501に対応する作業の種別(例えば、工程)を示す。例えば、ある出荷オーダ403に応じて商品を出荷するために、ピッキング、検品及び梱包の各工程の作業を行う必要がある場合、当該出荷オーダ403に対応する三つの出荷オーダ501が生成され、それぞれの作業種別511-4として、ピッキング、検品及び梱包を示す値が登録される。本実施例において、作業種別とは、工程、及び、後述するアクティビティと同義である。
生産性511-5は、工程毎の単位時間当たりの物量の消化能力を示す。ここで、物量はピース数、箱数又は伝票数等のいずれであっても良いが、本実施例では、箱を物量の単位としている。なお、実際の生産性は、商品の種類等、種々の条件によって変動しうる。例えば、人が作業を行う工程の場合、作業員の熟練度及び疲労度等によっても変動しうる。そのような精密な生産性を使用しても良いが、本実施例の生産性511-5は、工程ごとに一律に適用される平均生産性である。これは、例えば、過去の実績から計算されたものであっても良い。
【0045】
前アクティビティ511-6は、当該出荷オーダ501に対応する工程(すなわち当該出荷オーダ501の作業種別511-4が示す工程)の前に実行される工程を示す。また、次アクティビティ511-7は、当該出荷オーダ501に対応する工程の次に実行される工程を示す。例えば、ピッキング、検品、梱包の順に作業を行う必要がある場合、検品に対応する出荷オーダ501の作業種別511-4は「検品」、前アクティビティ511-6は「ピッキング」、次アクティビティ511-7は「梱包」となる。
なお、このような工程作業の順序を示す情報は、作業ネットワーク情報マスタ411に含まれる。管理システム100は、作業ネットワーク情報マスタ411を参照して、必要な工程に対応する出荷オーダ501を生成して、それぞれの前アクティビティ511-6及び次アクティビティ511-7の値を登録する。
【0046】
出庫数511-8は、後述する商品情報511-21における数量の合計値である。
【0047】
個口情報511-9は、出荷オーダ403に応じて出荷される商品が梱包される箱に関する情報である。例えば、一つの出荷オーダ403に応じて出荷される全商品が一つの出荷箱にまとめて梱包される場合には、その出荷箱に対応する出荷オーダ501の個口情報511-9の値は「1/1」となる。一つの出荷オーダ403に応じて出荷される商品が二つの出荷箱に分けて梱包される場合には、それぞれの出荷箱に対応する出荷オーダ501の個口情報511-9の値は「1/2」及び「2/2」となる。
【0048】
出荷日511-10は、当該出荷オーダ501に含まれる商品が出荷される日を示す。
【0049】
作業日511-11は、当該出荷オーダ501に含まれる商品を出荷するための作業をする日であり、出荷日当日又はそれより前の日となる。
【0050】
出荷先情報511-12は、当該出荷オーダ501に応じて商品を届ける先(納品先)を示す。
【0051】
運送業者情報511-13は、商品の運送を請け負う業者を示す。
【0052】
業者切離し時間511-14は、運送業者が商品を引き取りに来る時間である。すなわち、業者切離し時間511-14は、倉庫からの商品の出荷予定時刻と考えても良い。
【0053】
緊急フラグ511-15は、他の出荷オーダ501より急いで出荷することを示すフラグである。
【0054】
出荷止めフラグ511-16は、倉庫内に作業指示が出されたものの、その後、取りやめになったことを示すフラグである。
【0055】
箱情報511-17は、出荷箱の大きさを示す情報である。具体的には、箱情報511-17は、出荷箱のサイズ(縦、横、高さ)を示す情報であっても良いし、例えば、「大」「中」「小」など、大きさを示す名称又は記号であっても良い。
【0056】
ギフトフラグ511-18は、ギフト用の包装、例えば、のし添付又は化粧箱への梱包などといった特別な作業を指示する情報である。
【0057】
工程計画生成部作業開始時間511-19及び工程計画生成部作業終了時間511-20は、それぞれ、工程計画生成407によって算出された、当該出荷オーダ501に対応する工程作業の開始時間及び終了時間を示す。
【0058】
商品情報511-21は、当該出荷オーダ501に含まれる商品(すなわち、出荷オーダ403に応じて出荷される商品のうち、当該出荷オーダ501に対応する出荷箱に梱包されて出荷される商品)に関する情報である。一つの出荷箱に複数品目(例えば、n品目)の商品が梱包される場合、商品情報511-21は複数品目(例えば、1番目からn番目まで)の商品に関する情報を含む。具体的には、商品情報511-21は、商品の品目を識別する商品コード、商品の名称を示す商品名、及び数量を含む。前述のように、一つの出荷オーダ501に含まれる全品目の数量の合計が、出庫数511-8として登録される。
【0059】
図5に示す出荷オーダ501は、業者切離し時間511-14、緊急フラグ511-15及び出荷止めフラグ511-16が優先条件であることを示す情報と、箱情報511-17及びギフトフラグ511-18が平滑化条件であることを示す情報とを含んでいる。これらの情報は、後述するタスク生成405において参照される。また、タスク生成405においては、後述するように商品情報511-21も参照される。
【0060】
図6は、本発明の実施例の管理システム100によるタスク生成405の説明図である。
本実施例においてタスクとは、複数の出荷オーダ501の集合である。倉庫のリソースは、タスクごとに割り当てられる。タスク生成405は、複数の出荷オーダ501を複数のタスクに分類する処理である。このとき、同一の出荷箱に対応する複数の出荷オーダ501(例えば、ある出荷箱で出荷される商品のピッキング、検品及び梱包にそれぞれ対応する三つの出荷オーダ501)は必ず同一のタスクに分類される。
また、本実施例ではタスクグループが設定されても良い。タスクグループとは、同一の優先条件が設定された出荷オーダ501からなる1以上のタスクの集合である。
【0061】
管理システム100は、処理の対象となる複数の出荷オーダ501(例えば、ある期間に蓄積された出荷オーダ403から生成された出荷オーダ501)を取得すると、この複数の出荷オーダ501を、それらに指定された優先条件及び平滑化条件(いずれも
図5参照)に基づいて、タスクに分類する。
【0062】
具体的には、管理システム100は、優先条件の値が同一の出荷オーダ501を同一のタスクグループに分類する。優先条件は、出荷オーダ501に対応する工程作業の優先度に関する条件である。例えば、業者切離し時間511-14が早い出荷オーダ501ほど早く作業を行う必要がある。また、緊急フラグ511-15が緊急を示す値である出荷オーダ501の作業は他の出荷オーダ501の作業より優先して行う必要がある。また、出荷止めフラグ511-16が出荷の取りやめを示す値である出荷オーダ501の作業は先送りして、他の出荷オーダ501の作業を優先して行うことが望ましい。
【0063】
さらに、管理システム100は、各タスクグループに分類された出荷オーダ501を、各タスクグループ内の複数のタスクに分類する。このとき、管理システム100は、同一の平滑化条件が設定された出荷オーダ501が当該タスクグループ内の複数のタスクに平均的に分散されるように、分類する。
【0064】
平滑化条件は、出荷オーダ501の属性のうち、タスク間で分散されるべき属性、すなわち、タスク間で平滑化(平準化)することで全体の作業効率が向上すると考えられる属性を示す。
図5の例では、箱情報511-17及びギフトフラグ511-18が平滑化条件に該当する。
【0065】
例えば、それぞれのタスクに割り当てられる作業場所に大きいサイズの出荷箱のための自動封緘機と小さいサイズの出荷箱のための自動封緘機とが1台ずつ設置されており、一方のタスクに大きいサイズの出荷箱の出荷オーダ501が集中し、もう一方のタスクには小さいサイズの出荷箱の出荷オーダ501が集中した場合、それぞれの作業場所において自動封緘機の作業に渋滞が発生して全体としての生産性が低下する場合がある。ギフト用の包装についても同様である。このため、同一の平滑化条件が設定された出荷オーダ501を複数のタスクに平均的に分散することによって、全体の作業効率が向上することが期待できる。
【0066】
例えば、出荷箱のサイズが「大」である出荷オーダ501をいずれかのタスクに分類しようとするときに、対象の全ての出荷オーダ501における、サイズ「大」の出荷箱の出荷オーダ501の比率と、各タスクに既に分類されている出荷オーダ501における、サイズ「大」の出荷箱の出荷オーダ501の比率とを比較し、後者の方が小さいタスクを分類先として選択しても良い。これによって、例えば、タスクごとにそれぞれに含まれる出荷箱のサイズ「大」「中」「小」の出荷オーダ501の比率を計算した場合に、その比率がタスク間で均等に近づくように、それぞれの属性(例えば、出荷箱サイズ「大」「中」「小」)をもった出荷オーダ501がタスク間に分散される。ギフト用の包装についても同様の方法で分散することができる。
【0067】
図6の例では、優先条件として業者切離し時間511-14(すなわち出荷時刻)が、平滑化条件として箱情報511-17が、それぞれ参照されている。この例において、出荷時刻が17:00である出荷オーダ1、2、3、5、6、8はタスクグループ(Gr)1に分類される。出荷時刻が18:00である出荷オーダ4、7、9、10はタスクグループ2に分類される。すなわち、異なる優先条件が設定された出荷オーダに対応する作業は同一のタスクに分類されない。
【0068】
タスクグループ1に分類された出荷オーダのうち、大サイズの出荷箱に対応する出荷オーダ1、3、6は、タスクグループ1内のタスク11、12、13に分散して分類される。一方、タスクグループ1に分類された出荷オーダのうち、小サイズの出荷箱に対応する出荷オーダ2、5、8も、同様に、タスクグループ1内のタスク11、12、13に分散して分類される。
タスクグループ2に分類された出荷オーダのうち、大サイズの出荷箱に対応する出荷オーダ7、9は、タスクグループ2内のタスク21、22に分散して分類される。一方、タスクグループ2に分類された出荷オーダのうち、小サイズの出荷箱に対応する出荷オーダ4、10も、同様に、タスクグループ2内のタスク21、22に分散して分類される。
【0069】
これによって、いずれのタスクも、大サイズの出荷箱の出荷オーダと小サイズの出荷箱の出荷オーダを一つずつ含むこととなり、特定のリソースへの負荷の集中等による作業効率の低下が防止される。また、優先条件が同一の出荷オーダを同一のタスクグループにまとめることによって、適切なタイミングで出荷箱が完成する工程計画を生成することができる。
【0070】
さらに、管理システム100は、出荷オーダ501の商品情報511-21を参照して、タスクに含まれる商品の品目の偏りが大きくなるように、出荷オーダ501をタスクに分類しても良い。例えば、ある出荷オーダ501を複数のタスクのいずれかに分類しようとするときに、それぞれのタスクに既に1以上の出荷オーダ501が分類されていれば、分類対象の出荷オーダ501の出荷箱と、それぞれのタスクに既に分類されている出荷オーダ501の出荷箱との間で、同一品目の商品の重複率を計算し、重複率が最も高いタスクに分類対象の出荷オーダ501を分類しても良い。
このとき、重複率は、例えば、(品目が重複する商品数)/(分類対象の出荷箱の商品数+タスクに既に分類されている商品数+1)によって計算しても良い。
【0071】
前述のように、作業員、作業に使用する機器及び作業場所といったリソースはタスクごとに割り当てられるため、タスクに含まれる商品の品目に偏りがあると、例えば、ピッキングのために商品の棚を搬送する回数が削減されるなどによって、全体の作業効率が向上することが期待できる。
【0072】
図7は、本発明の実施例の管理システム100によって生成される工程計画の説明図である。
図4の工程計画生成407において、管理システム100は、それぞれのタスクの工程計画を物流施設毎に生成する。具体的には、それぞれのタスクに含まれる物流施設情報と、出荷オーダ501の生産性511-5と、商品情報511-21から特定される物量と、それぞれのタスクに割り当てるリソース量と、に基づいて、物流施設毎の各工程の所要時間を計算することができる。
【0073】
管理システム100は、タスクグループ内の全てのタスクの工程作業が、当該タスクグループの出荷時刻までに終了するように、工程計画を作成する。このとき、管理システム100は、各工程が作業ネットワーク情報マスタ411に規定された順序で開始され、上記の方法で計算された所要時間の経過後に終了するように、工程計画を作成する。そのための具体的な方法は限定しないが、例えば、割り当てるリソース量を変更しながら、全ての工程作業が出荷時刻までに終了する工程計画が得られるまで、所要時間の計算を繰り返しても良い。
【0074】
図7には、同一のタスクグループに属するタスク1からタスク4の4つのタスクの工程計画の例を、バーチャートによって示す。この例において、切り離し時間は16時である。また、バーの上に表示された数字は、それぞれの工程作業に割り当てられた作業員の人数(すなわちリソース量)である。また、それぞれのタスクにおいて、ピッキング、検品及び梱包の作業が順次行われる。
この例では、12時に、タスク1のピッキングが開始される。その時点で割り当てられる作業員の数は13人である。その後、ピッキングがある程度進捗した時点で、13人中の6人が、ピッキングが終了した商品の検品を開始する。その時点で、ピッキングを行う作業員の数は7人に減少する。さらにその後、検品がある程度進捗した時点で、ピッキングを行う7人のうち3人と、検品を行う6人のうち2人とが、検品が終了した商品の梱包を開始する。その後、全ての商品のピッキングが終了すると、ピッキングを行っていた作業員4人のうち2人は検品に、残りの2人は梱包に移動する。その後、全ての商品の検品が終了すると、検品を行っていた6人全員が梱包に移動する。その後、全ての商品の梱包が終了すると、タスク1の全ての作業が終了する。
この例では、タスク1に終始13人の作業員が割り当てられている。このため、例えば、13人でピッキングを行い、全ての商品のピッキングが終了したら13人で検品を開始する、といった工程計画を作成することも可能である。しかし、その場合、ピッキングが終了してまだ検品されていない商品の仮置きのために多くの空間を使用する必要がある。そこで、上記のように、前工程(例えば、ピッキング)がある程度進捗したところでリソースの一部を移動させて次工程(例えば、検品)を開始することで、仮置きの空間を節約しながら作業を進捗させることができる。前工程がどの程度進捗した時点で次工程を開始するかを示すパラメータは、例えば、あらかじめ物量・リソース情報308等に含まれていても良いし、工程計画を作成するときに与えても良い。
図7の例では、タスク1の工程作業が開始された後で、タスク2及びタスク3の工程作業が開始される。これらの工程作業も、タスク1と同様に、前工程がある程度進捗した時点で次工程が開始されるように計画される。
さらに、
図7の例では、タスク1の全ての工程作業が終了したら、タスク1に割り当てられていた作業員が、タスク4の工程作業を開始する。タスク4の工程作業も、タスク1と同様に、前工程がある程度進捗した時点で次工程が開始されるように計画される。また、タスク2及びタスク3の工程作業が全て終了すると、それぞれに割り当てられていた作業員がタスク4に移動してタスク4の工程作業を行うように計画される。
図7の例では、タスク2及び3の工程作業は、タスク1より遅れて開始される。これによって、タスク2及び3に割り当てられる作業員の拘束時間が短くなり、コストが削減される。管理システム100は、リソースの単価情報(例えば、作業員の時給)を参照して、全体のコストが最小になるように工程計画を生成しても良い。リソースの単価情報は、物量・リソース情報308に含まれても良い。
【0075】
管理システム100は、生成した工程計画における各タスクの各工程の開始時間及び終了時間(それぞれ、
図7の各工程のバーの始端及び終端の時刻)を、対応する出荷オーダ501の工程計画生成部作業開始時間511-19及び工程計画生成部作業終了時間511-20に登録する。
【0076】
図8は、本発明の実施例の管理システム100が実行する処理の詳細を示すシーケンス図である。
【0077】
図8に示すリソース制御システム(RCS)監視部801及びタスク生成部802は、それぞれ、サーバ装置101のプロセッサ201がメモリ202内のリソース制御システム監視プログラム207及びタスク生成プログラム208を実行することによって実現される機能ブロックである。したがって、以下の説明においてこれらの各部が実行する処理は、実際にはプロセッサ201がメモリ202内のプログラムに基づいて実行する。
【0078】
同様に、工程計画生成部803は、クライアント装置102のプロセッサ301がメモリ302内の工程計画生成プログラム307を実行することによって実現される機能ブロックである。したがって、以下の説明において工程計画生成部803が実行する処理は、実際にはプロセッサ301がメモリ302内のプログラムに基づいて実行する。
【0079】
RCSDB209は、作業指示及び作業実績の少なくとも一方が入力されると(ステップ811)、それらに基づいて格納されているデータを更新する(ステップ812)。例えば、サーバ装置101が倉庫管理システム103から出荷オーダ403を入力された場合に、それらをRCSDB209に追加する。また、サーバ装置101が倉庫管理システム103から作業実績として、例えば、どのタスクのどの工程作業までが終了したかといった情報を入力された場合、それに基づいてRCSDB209内の作業実績データを更新する。これによって、その時点で受けている出荷オーダ403に対応する作業のうちまだ実行されていないものがどれであるかを特定することが可能になる。
また、サーバ装置101が倉庫管理システム103から作業実績として、例えば、タスクの各工程作業に要した時間や経費、タスク全体に要した時間や経費、工程計画に対する実際の作業の達成率といった情報を入力された場合、それに基づいてRCSDB209内の作業実績データを更新する。これによって、生成された工程作業と、複数の物流施設間における実際の作業との乖離に基づいたベストプラクティスを比較することが可能になる。
【0080】
RCS監視部801は、RCSDB209を定期的に監視して(ステップ813)、データを取得する(ステップ814、815)。そして、RCS監視部801は、タスク生成部802にタスク生成を指示する(ステップ816)。例えば、RCS監視部801は、その時点で受けている出荷オーダ403に対応する作業のうち、まだいずれのタスクにも分類されていないものを対象とするタスク生成を指示しても良いし、まだ実行されていないものを対象とするタスク生成を指示しても良い。
【0081】
タスク生成部802は、指示に従ってタスク生成を実行し(ステップ817)、生成したタスク情報をRCSDB209に格納する(ステップ818、819)。また、この時までに新たな作業実績が得られていれば、それに従ってRCSDB209内の作業実績データが更新される(ステップ819)。
【0082】
上記のタスク生成の処理は、
図4のタスク生成405に相当する。このとき、タスク生成部802は、タスク生成の対象となる出荷オーダ403について、新たなタスクを生成しても良いし、既に生成されているタスクに分類しても良い。例えば、タスク生成部802は、一度タスク生成を行った後、新たに取得された出荷オーダ403について新たにタスク生成を行う場合、新たに取得された出荷オーダ403に対応する作業を新たに生成したタスクに分類しても良いし、既に生成されているタスクに分類しても良い。上記のタスク生成によって、少なくとも
図5のタスク番号511-3が決定し、その値がRCSDB209内の出荷オーダ511に登録される。
【0083】
一方、倉庫作業の管理者804は、クライアント装置102の工程計画生成部803を起動する(ステップ820)。工程計画生成部803は、RCSDB209からタスク情報及び実績情報を取得し(ステップ821、822)、取得した情報から工程計画生成入力データを生成して(ステップ823)、工程計画を生成する(ステップ824)。
このとき、工程計画生成部803は、RCSDB209から取得した情報に基づいて、まだ工程計画が生成されていないタスクを対象として工程計画を生成しても良い。あるいは、工程計画生成部803は、実績情報を参照して、まだ工程計画が生成されていないタスクだけでなく、工程計画が作成されたもののまだ実行されていないタスクも対象として工程計画を生成しても良い。後者の場合、生成された工程計画と実際の進捗との間に乖離が生じていても、残りの全ての作業を対象としてその時点で最適と考えられる工程計画を生成することで、乖離を吸収して、全体の作業効率を改善することができる。
【0084】
また、工程計画生成部803は、生成された工程計画と実際の進捗との間の乖離を監視し、例えば、乖離の大きさが所定の基準を超えるなど、乖離が所定の条件を満たした場合に、工程計画が作成されたもののまだ実行されていないタスクも対象として工程計画を生成しても良い。
【0085】
ステップ824における処理は、
図4の工程計画生成407として説明したものである。その後、工程計画生成部803は、生成した工程計画を描画する(ステップ825)。例えば、工程計画生成部803は、
図7に示すようなバーチャートを描画して、それをクライアント装置102の出力装置305から出力しても良い。管理者804は、このようなバーチャートを参照して、生成された工程計画が適切かどうかを判断し、必要があれば工程計画を変更したり、条件を変更して再実行を指示したりすることができる。
【0086】
その後、工程計画生成部803は、生成した工程計画に従うスケジュールを登録する(ステップ826)。これによって、スケジュールデータがRCSDB209に送信され、格納される(ステップ827、828)。その結果、工程計画生成の対象となったタスクの工程計画生成部作業開始時間511-19及び工程計画生成部作業終了時間511-20(
図5)に、生成された工程計画に従う値が登録される。また、この時までに新たな作業実績が得られていれば、それに従ってRCSDB209内の作業実績データが更新される(ステップ828)。
【0087】
その後、工程計画生成部803は、必要に応じて、生成した工程計画をRCSDB209から登録結果を取得することができる(ステップ829)。
【0088】
その後、RCS監視部801は、RCSDB209を定期的に監視して(ステップ830)、データを取得する(ステップ831、832)。そして、RCS監視部801は、生成された工程計画に基づいて決定した適切なタイミングで、各リソース機器105に作業を指示するための指示データを送信する(ステップ833)。
【0089】
具体的には、対象のリソースが作業員である場合、RCS監視部801は、例えば、作業内容を記載したテキスト図面等を表示するためのデータを指示データとして送信しても良い。また、対象のリソースがピッキングロボットなどの機器である場合には、それらを制御するためのデータを指示データとして生成して送信しても良い。
【0090】
RCS監視部801は、実行された工程計画と、実際の作業実績との間の乖離内容を監視して(ステップ830)、データ(乖離内容)を取得し(ステップ831)、この乖離内容を、複数の物流施設で比較し、所定の条件を満たす作業実績データを抽出する(ステップ834)。
乖離内容は、例えば、工程計画における時間と実際の作業実績における時間との乖離、工程計画における費用と実際の作業実績における費用との乖離、工程計画に対する実際の作業実績の達成率等である。
所定の条件は、例えば、最も工程計画通りに実施できたもの(例えば、時間や費用の乖離が最も少ないものや、達成率が最も高いもの)、工程計画よりも最も短時間で実施できたもの(例えば、工程計画よりも実際の作業実績における時間が短いもののうち、最も短時間のもの)、行程計画よりも最も経費が少なく実施できたもの(例えば、工程計画よりも実際の作業実績における経費が少ないもののうち、最も少ないもの)等である。
比較の方法は、例えば、複数の物流施設において、同一の出荷商品と、同一の出荷個数との出荷オーダ情報500における工程計画と、作業実績データとを比較する等であり、単純に、物流施設毎の工程計画と作業実績データとを比較すること、物流施設毎の工程計画における時間と作業実績データにおける時間とを比較すること、物流施設毎の工程計画における経費と作業実績データにおける経費とを比較すること等である。
【0091】
RCS監視部801は、抽出した作業実績データ及び乖離内容を、物流施設毎に出力する(ステップ834)。具体的には、RCS監視部801は、クライアント装置102の出力装置305から、管理者804が所持する管理者端末106に作業実績データを物流施設毎に出力する。RCS監視部801は、併せて、この作業実績データと工程計画との乖離内容を物流施設毎に出力する。
なお、RCS監視部801は、この乖離内容に、この作業実績データにおける物流施設の物流施設情報を関連付けて出力しても良い。その結果、RCS監視部801は、作業実績データと、乖離内容と、物流施設情報とを出力する。
またRCS監視部801は、この乖離内容に、この作業実績データにおける物流施設の作業遅延要因を関連付けて出力しても良い。この場合、RCS監視部801は、日々の作業の間に、突発的に発生する作業遅延要因を取得すると、これを環境的要因、人為的要因、外的要因に分類する。作業遅延要因は、例えば、作業員の業務ミス、部品の不足、特定設備の過剰負荷、キャパシティ不足、納期の遅延等である。RCS監視部801は、このような作業遅延を、内容に応じて、環境的要因、人為的要因、外的要因に其々を分類する。RCS監視部801は、この作業実績データにおける物流施設において発生した分類後の作業遅延要因を乖離内容と関連付けて出力しても良い。その結果、RCS監視部801は、作業実績データと、乖離内容と、分類後の作業遅延要因とを出力する。
また、RCS監視部801は、単に、生成された工程計画に基づいて実行された作業実績データを、物流施設毎に出力しても良い。この場合、RCS監視部801は、上述したステップ834の処理を実行せず、各物流施設において、生成された工程計画に基づいて実行された作業実績データを、各物流施設の物流施設情報に関連付けて出力する。
【0092】
これによって、各リソースが適切なタイミングで制御され、倉庫内の作業が最適化される。また、管理者804は、このような作業実績データ及び乖離内容参照して、生成された工程計画が適切かどうかを判断し、必要があれば工程計画を変更したり、条件を変更して再実行を指示したりすることができる。また、管理者804は、生成された工程作業と、複数の物流施設間における実際の作業との乖離に基づいたベストプラクティスを比較することが可能になる。
【0093】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0094】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば、集積回路で設計する等によってハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0095】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。
【符号の説明】
【0096】
100 管理システム
101 サーバ装置
102 クライアント装置
103 倉庫管理システム
104 ネットワーク
105 リソース機器
106 管理者端末