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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131973
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】擬似刀剣玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20220831BHJP
   A63H 5/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A63H33/00 C
A63H5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031263
(22)【出願日】2021-02-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】荒川 賢一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 優
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA15
2C150DF02
(57)【要約】
【課題】興趣性を向上させた擬似刀剣玩具を提供する。
【解決手段】擬似刀剣玩具は、刀剣用の鞘を模した鞘部3と、鞘部3に着脱可能に構成された刀剣の柄を模した柄部2とを含み、柄部2は、鞘部3に装着される被装着部を備え、鞘部3は、被装着部5を収容可能に装着する第1凹部を備え、鞘部3に装着された第1状態の柄部2は、鞘部3の長さ方向であって被装着部5を第1凹部から露出させる第1方向に所定の距離移動する第1移動の後、被装着部5の少なくとも一部を鞘部3に対して第1方向とは異なる第2方向に変位させた状態で第1方向にさらに移動する第2移動がなされたことを条件として、鞘部3から取り外し可能である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刀剣用の鞘を模した鞘部と、前記鞘部に着脱可能に構成された刀剣の柄を模した柄部とを含む擬似刀剣玩具であって、
前記柄部は、前記鞘部に装着される被装着部を備え、
前記鞘部は、前記被装着部を収容可能に装着する第1凹部を備え、
前記鞘部に装着された第1状態の前記柄部は、前記鞘部の長さ方向であって前記被装着部を前記第1凹部から露出させる第1方向に所定の距離移動する第1移動の後、前記被装着部の少なくとも一部を前記鞘部に対して前記第1方向とは異なる第2方向に変位させた状態で前記第1方向にさらに移動する第2移動がなされたことを条件として、前記鞘部から取り外し可能である、擬似刀剣玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第2方向への前記変位は、前記鞘部の前記長さ方向を軸として前記柄部を回転させる方向の変位である、擬似刀剣玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第1凹部は、前記鞘部に装着されていない前記柄部の前記被装着部を、前記回転前の前記柄部の向きおよび前記回転後の前記柄部の向きのどちらでも前記第1凹部に挿入可能な形状を有している、擬似刀剣玩具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の擬似刀剣玩具において、
演出出力部をさらに備え、
前記第1移動がなされたことに応じて、前記演出出力部から第1演出が出力される、擬似刀剣玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第2移動がなされたことに応じて、前記演出出力部から第2演出が出力される、擬似刀剣玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の擬似刀剣玩具において、
前記柄部には、使用者が前記柄部を把持した状態で押圧可能な位置に操作部が設けられ、
前記演出出力部は、前記第1状態で前記操作部を操作したときと操作していないときで、前記第1演出または前記第2演出の少なくとも一方の演出を異なる演出に変更して出力する、擬似刀剣玩具。
【請求項7】
請求項6に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第1状態でない場合、前記操作部への操作は、検出されない、擬似刀剣玩具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の擬似刀剣玩具において、
前記被装着部は、押圧されることで前記第1状態であることを検出する第1押圧スイッチを有し、前記第1状態では前記鞘部の一部が前記第1押圧スイッチを押圧している、擬似刀剣玩具。
【請求項9】
請求項8に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第1押圧スイッチへの押圧が解除されたことに基づいて、前記第1移動がなされたことが検出される、擬似刀剣玩具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の擬似刀剣玩具において、
前記被装着部は、押圧されることで前記第1移動がなされたことを検出する第2押圧スイッチを有し、
前記第1移動がなされたことに応じて前記鞘部の一部が前記第2押圧スイッチを押圧する、擬似刀剣玩具。
【請求項11】
請求項10に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第2押圧スイッチが押圧された後、その押圧が解除されたことに基づいて、前記第2移動がなされたことが検出される、擬似刀剣玩具。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の擬似刀剣玩具において、
前記被装着部は、前記被装着部の外側に付勢され、前記鞘部の前記第1凹部内において前記鞘部の一部に押圧されることで前記被装着部の内側に移動する被押圧部を有し、
前記鞘部は、前記第1凹部内に前記第1移動がなされた位置で前記被押圧部の少なくとも一部を収容することで前記被装着部の前記第1方向への移動を規制する第2凹部を有する、擬似刀剣玩具。
【請求項13】
請求項12に記載の擬似刀剣玩具において、
前記鞘部は、前記第1凹部内で前記被装着部が前記第2方向へ変位することに応じて前記被押圧部を押圧する押圧部を有する、擬似刀剣玩具。
【請求項14】
請求項13に記載の擬似刀剣玩具において、
前記鞘部は、前記第1状態における前記被押圧部の少なくとも一部を収容することで前記被装着部の前記第1方向への移動を規制する第3凹部を有する、擬似刀剣玩具。
【請求項15】
請求項14に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第3凹部は、前記第2凹部よりも前記被押圧部を収容する容積が小さい、擬似刀剣玩具。
【請求項16】
請求項15に記載の擬似刀剣玩具において、
前記第1状態における前記被装着部の前記第1方向への移動の規制は、前記柄部に前記第1方向への所定の力を加えることで解除可能である、擬似刀剣玩具。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の擬似刀剣玩具において、
前記柄部は、把持部と鍔部とを備え、
前記被装着部は、前記鍔部を挟んで前記把持部と反対側に設けられており、
前記被装着部の前記第1方向の長さは、前記把持部の前記第1方向の長さより短い、擬似刀剣玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似刀剣玩具に関し、特に、柄部と、柄部に対して着脱可能な鞘部とを備えた擬似刀剣玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な武器の形態に対応した擬似刀剣玩具が流通している。例えば特許文献1には、本体部と鞘部とからなる刀剣玩具において、本体部の刀身部が鞘部に挿入された状態にあるか否かによって、出力する音声の種類を決定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-183991号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単に刀身部および把持部から成る擬似刀剣玩具に比べ、柄部と鞘部とを備えた擬似刀剣玩具では抜刀による動作を楽しむことができる。擬似刀剣玩具の構造や演出を出力するタイミングなどを工夫し、剣士を演じる際の没入感をより高めることで、擬似刀剣玩具の興趣性を向上することが求められる。
【0005】
本願の主な目的は、興趣性を向上させた擬似刀剣玩具を提供することにある。その他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0007】
一実施の形態における擬似刀剣玩具は、刀剣用の鞘を模した鞘部と、前記鞘部に着脱可能に構成された刀剣の柄を模した柄部とを含む擬似刀剣玩具であって、前記柄部は、前記鞘部に装着される被装着部を備え、前記鞘部は、前記被装着部を収容可能に装着する第1凹部を備え、前記鞘部に装着された第1状態の前記柄部は、前記鞘部の長さ方向であって前記被装着部を前記第1凹部から露出させる第1方向に所定の距離移動する第1移動の後、前記被装着部の少なくとも一部を前記鞘部に対して前記第1方向とは異なる第2方向に変位させた状態で前記第1方向にさらに移動する第2移動がなされたことを条件として、前記鞘部から取り外し可能である。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、興趣性を向上させた擬似刀剣玩具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態における擬似刀剣玩具を示す正面図である。
図2】実施の形態における柄部、鞘部および刀身部の組み合わせを示す正面図である。
図3】実施の形態における柄部を示す斜視図である。
図4】実施の形態における柄部を示す斜視図である。
図5】実施の形態における鞘部を示す斜視図である。
図6】実施の形態におけるフローチャートである。
図7】実施の形態における鞘部から柄部を抜く動作を説明する正面図である。
図8】実施の形態における鞘部から柄部を抜く動作を説明する側面図である。
図9】実施の形態における鞘部を一部破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
以下に、図1図9を用いて、本実施の形態における擬似刀剣玩具1について説明する。
【0012】
図1に示されるように、擬似刀剣玩具1は、ユーザが把持可能である柄部2と、刀剣用の鞘を模した鞘部3と、少なくとも1つ以上の刀身部4とを備える。
【0013】
鞘部3は、柄部2に対して着脱可能である。また、刀身部4は、柄部2に対して着脱可能である。図2には、左から右に向かって順に、鞘部3が柄部2に装着されている様子、刀身部4が柄部2に装着されている様子、および、柄部2に柄部3および刀身部4のいずれも装着されていない様子を示している。刀身部4は、その外観が刀剣の一部を構成する武器部材として作製されている。刀身部4が柄部2に装着された場合、ユーザは、これらを刀剣(日本刀)として認識できる。
【0014】
柄部2は、刀剣の柄を模したものである。柄部2は、鍔部2aと、主にユーザによって把持されるための把持部2bと、把持部2bの長さ方向(Z方向)において、鍔部2aを挟んで把持部2bとは反対側に延在する突出部である被装着部5とを含む。言い換えれば、被装着部5と把持部2bとの間に鍔部2aが設けられている。柄部2に鍔部2aが設けられていることで、ユーザは、鍔部2aの先の被装着部5に鞘部3または刀身部4を装着すればよいと認識できる。被装着部5のZ方向における長さは、把持部2bのZ方向における長さより短くしておくことが好ましい。そのようにしておくことで、ユーザが柄部2を把持した状態で振り回してもユーザの周囲に害が及ぶ可能性が低くなり、安全性が向上する。
【0015】
なお、ここでは把持部2bおよび被装着部5のそれぞれの長さ方向をZ方向とし、鍔部2aの平面に沿う2つの方向をX方向およびY方向としている。X方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する。Y方向は、日本刀の刃先と峰とを結ぶ方向である。
【0016】
刀身部2は、被装着部5が収納される凹部(図示しない)を有しており、Y方向における刀身部2の両端には、当該凹部内と外部との間で貫通する孔部が設けられている。図2に示すように、刀身部4が柄部2に装着されているとき、被押圧部7は当該孔部に嵌合し、当該孔部の開口部近傍において露出する。このように被押圧部7が当該孔部に嵌合することで、刀身部4は被装着部5に固定される。
【0017】
柄部2は、Y方向における側面に操作部SW3を有し、X方向において被装着部5とは反対側の端部(日本刀における頭)に電源部SW4を有している。
【0018】
操作部SW3は、例えばスイッチであり、ユーザが操作可能であり、柄部2の外周に設けられ、鍔部2aの近くに設けられている。すなわち、柄部2には、ユーザが柄部2を把持した状態で押圧可能な位置に操作部SW3が設けられている。操作部SW3は、演出出力部から演出を出力させるためにユーザが操作する部分である。
【0019】
電源部SW4は、例えばスイッチであり、ユーザが操作可能であり、被押圧部7と反対側に位置し、柄部2の他方の端部付近に設けられている。ユーザが電源部SW4を押す度に、電源部SW4は、オン状態(SW4_ON)またはオフ状態(SW4_OFF)に切り替えられる。
【0020】
演出出力部は、例えばスピーカであり、柄部2の内部に設けられ、複数の演出を出力するために設けられている。ここでは、複数の演出は、例えば台詞または効果音などの音である。
【0021】
図1および図3に示すように、柄部2には、押圧スイッチ(判定部)SW1、押圧スイッチ(判定部)SW2、操作部SW3、電源部SW4、一対の被押圧部7、制御部(図示しない)および演出出力部(図示しない)などの部材が設けられている。
【0022】
一対の被押圧部7は、Y方向において被装着部7を挟むように設けられている。また、被押圧部7は、外部から押圧されることで、Y方向における被装着部7の内側に収納されるように移動可能である。被押圧部7は、例えば被装着部7内に設けられたバネなどにより、Y方向において被装着部7の外側へ移動する向きに付勢されている。したがって、外部から押圧されていないとき、被押圧部7は被装着部5の側面から外側へ突出している。
【0023】
図3に示すように、押圧スイッチSW1は、被装着部5において鍔部2a近傍に設けられている。押圧スイッチSW1は、被装着部5に形成さえ、Z方向に延在する溝5c内の端部であって、把持部2b側の端部に設けられている。押圧スイッチSW1はZ方向において把持部2b側とは反対側(被装着部5の先端側)に付勢されており、Z方向において押圧されたときには、把持部2b側に押し込まれる。
【0024】
押圧スイッチSW2は、X方向に外側に向かって付勢されており、外部から押圧されたときには、X方向において被装着部5の内側に押し込まれるように移動する。
【0025】
図3および図4では、X方向における被装着部5の両側の側面をそれぞれ示している。図3および図4に示すように、X方向(日本刀の幅方向)において、被装着部5の両側の側面には、日本刀における平地と鎬地との境の鎬筋(稜線)がZ方向に延在して設けられている。このように、被装着部5の少なくとも一部は、刀剣の刀身部を模したデザインを有している。そのため、ユーザは被装着部5を刀身の一部として認識することが可能であり、剣士を演じる際のユーザの没入感を向上させることが可能である。
【0026】
図5は、鞘部3の鯉口側を示す斜視図である。図5に示すように、鞘部3は、鞘部3に被装着部5を装着する際に被装着部5を収容可能に装着する凹部6を備えている。ここでは、凹部6内に被装着部5の全体が収容され、これにより柄部2が鞘部3に装着されている状態を、第1状態と呼ぶ。凹部6内のX方向における1つの側面には、凹部6の中心(鞘部3の中心軸)側に突出する突出部8a、8bが設けられている。突出部8aは、凹部6の開口部近傍に位置しており、突出部8bは、突出部8aよりもZ方向において凹部6の奥側に位置している。また、突出部8a、8bは、Z方向において重ならない位置に配置されており、互いに離間している。
【0027】
次に、図6のフローチャートを参照しながら、本実施の形態における擬似刀剣玩具1を使用する際の擬似刀剣玩具1の動作について説明する。
【0028】
図6のフローチャートにおいて、最初に擬似刀剣玩具1は待機状態である(ステップS1)。ここでいう待機状態は、上述した第1状態、つまり被装着部5が鞘部3に完全に収容されている状態である。
【0029】
このとき、ユーザが操作部SW3を操作した場合(ステップS2)、演出出力部は演出4を出力する(ステップS11)。第1状態でない場合、操作部SW3への操作は検出されない。これは、ユーザが操作部SW3を操作したことに応じて演出出力部で出力される演出4は、被装着部5が鞘部3に完全に収容されている状態であることに対応する演出である、即ち、刀身が鞘に完全に収容されていることを模擬した状態であることに対応する演出であり、第1状態でない他の状態において操作部SW3への操作が検出され対応する演出が出力されると興趣性が低下するため、興趣性が低下する演出が出力されることを防止することを目的としたものである。
【0030】
次に、柄部2を鞘部3から取り外す際の動作、つまり抜刀を行うための動作について説明する。本実施の形態の擬似刀剣玩具1は、抜刀する際の勢いで鞘部3または柄部2がユーザの手から離れて飛ぶことに起因してユーザおよびユーザの周囲に害が及ぶことのないよう、柄部2を1方向に引き抜くという1つの動作のみでは抜刀が行えない構造を有している。具体的には、鞘部3から被装着部5を抜き出そうとすると、被装着部5の一部が鞘部3の凹部6内で当接し、被装着部5の移動が制限される。このように、第1状態から鞘部3に対して被装着部5をZ方向(鞘部の長さ方向)であって被装着部5を鞘部3から露出する方向に所定の距離L(図7参照)だけ移動(第1移動)させ、被装着部5の一部を凹部6から露出させることを、ここでは「鯉口を切る」と呼ぶ。また、鯉口を切った状態を第2状態と呼ぶ。
【0031】
図7には、左側に第1状態の鞘部3および柄部2を示し、右側に第2状態の鞘部3および柄部2を示している。
【0032】
第1状態において、図5を用いて説明した突出部8aは、図7に示すように、押圧スイッチSW1を押圧している状態(SW1_ON)にある。言い換えれば、押圧スイッチSW1は、押圧されることで第1状態であることを検出するものである。また、第1状態において、図5を用いて説明した突出部8bは、図7に示すように、押圧スイッチSW2を押圧していない状態(SW2_OFF)にある。
【0033】
第1状態において、被押圧部7は、一部を除き被装着部5内に押し込まれて収容されている。鞘部3の凹部6内には、Y方向の両側面のそれぞれに比較的浅い凹部6aが設けられており、被押圧部7の当該一部(先端)は凹部6a内に収容されている。凹部6内のY方向の両側面のそれぞれには、凹部6aと、凹部6aに対しZ方向において鯉口側に並ぶように比較的深い凹部6bが設けられている。凹部6aは凹部6bよりも浅く、被押圧部7を収容する容積が小さい。
【0034】
Z方向に並ぶ凹部6aと凹部6bとの間には、凹部6の中心側に突出する突出部6cが設けられている。このため、第1移動を行うときには、突出部6cによる押圧によって被押圧部7がさらに被装着部5の内側に押し込まれる程度の力を加えて被装着部5を引き抜く必要がある。すなわち、凹部6aおよび突出部6cは、被装着部5のZ方向であって被装着部5を鞘部3から露出する方向への移動を規制する。
【0035】
当該移動の規制は、柄部2にZ方向であって被装着部5を鞘部3から露出する方向への所定の力を加えることで解除可能である。鞘部3に対して被装着部5を第1移動させると、被押圧部7は凹部6aから取り出され、その後、鞘部3および被装着部5は第2状態となる。すなわち、第1移動後は、被押圧部7は凹部6b内に収容され、被装着部5のZ方向であって被装着部5を鞘部3からさらに露出する方向への移動は凹部6bと被押圧部7との嵌合により規制される。第1状態から第2状態となる過程において、突出部8aは、押圧スイッチSW1の押圧を解除する。これにより押圧スイッチSW1はオフ状態(SW1_OFF)となる。言い換えれば、押圧スイッチSW1への押圧が解除されたことに基づいて、制御部は第1移動がなされたことが検出する。また、第1状態から第2状態となる過程において、突出部8bは、押圧スイッチSW2を押圧する。これにより押圧スイッチSW2はオン状態(SW2_ON)となる。つまり、被装着部5は、押圧されることで第1移動がなされたことを検出する押圧スイッチSW2を有し、第1移動がなされたことに応じて鞘部3の一部である突出部8bが、押圧スイッチSW2を押圧する。
【0036】
上記のように、ユーザは鞘部3に対して被装着部5を第1移動させることで、鯉口を切る(ステップS3)。鯉口を切ると、押圧スイッチSW1はオフ状態(SW1_OFF)となり、押圧スイッチSW2はオン状態(SW2_ON)となる。柄部2内の制御部はこれを検出し、演出出力部は演出1を出力する(ステップS4)。上記のように被装着部5の少なくとも一部は刀剣の刀身部を模したデザインを有しているため、ユーザは鯉口を切ることで刀身部の一部を露出させ、剣士を演じるような没入感を得ることができる。演出1の出力内容は、ステップS2で操作部SW3を操作したか否かにより変更されてもよく、そのようにしておくことで擬似刀剣玩具1の興趣性がさらに向上する。
【0037】
被押圧部7は、鍔部2aとは反対側に斜面を有しているため、第2状態から凹部6内に被装着部5を押し込んで第1状態に戻すこと、つまり刀を収めることが可能である(ステップS5)。刀を収めた場合、演出出力部は演出5を出力する(ステップS12)。
【0038】
第2状態から抜刀を行うためには、まず、被装着部5の少なくとも一部を鞘部3に対して、第1移動を行った方向であるZ方向とは異なる第2方向に変位させる必要がある。この変位を、例えば、鞘部3に対する柄部2の軸回転とすることが可能である。図8には、左から右に向かって順に、鯉口を切った第2状態、柄部2を軸回転させた第3状態、鞘部3から柄部2を抜き出した第4状態の鞘部3および柄部2を示している。図8に示すように、柄部2の軸回転は、鞘部3および柄部2の中心軸であって、鞘部3および柄部2の長さ方向(Z方向)に延在する軸を中心軸として行う。回転角度は、例えば20度であり、それ以上の回転は規制される。つまり、例えば20度より大きく回転させようとしても、被装着部5の表面が凹部6内の側面に当接して回転は規制される。なお、第3状態では、突出部8bは押圧スイッチSW2を押圧しているため、押圧スイッチSW2はオン状態(SW2_OFF)である。
【0039】
図9に、鞘部3をY方向およびZ方向に沿う面で破断させた斜視図を示す。図9に示す凹部6の側面は、図5に示す凹部6の側面の反対側の面である。図9に示すように、凹部6の側面には、鞘部3の中心軸側に突出し、凹部6の周方向に延在する突出部(リブ)が複数形成されている。この突出部のうち、凹部6bに繋がる突出部である押圧部6dは、第2状態から柄部2を軸回転させた際に、被押圧部7が回転移動する方向に向かって徐々に突出する高さが高くなっている。このため、柄部2を軸回転(変位)させ、第2状態から第3状態に移行するとき、この軸回転に応じて被押圧部7は押圧部6dにより押圧され、被装着部5内に収容される。よって、被押圧部7の鞘部3内での係止(被押圧部7と凹部6bとの嵌合)が解除されるため、第3状態の柄部2は鞘部3に移動を規制されずに鞘部3から取り外すことができる。すなわち、第3状態から被装着部5をZ方向であって被装着部5を鞘部3からさらに露出する方向に移動(第2移動)させることで、抜刀を行う(ステップS6)。言い換えれば、第3状態から鞘部3に対し柄部2をZ方向であって被装着部5を鞘部3から露出する方向にさらに移動する第2移動がなされたことを条件として、被装着部5を鞘部3から取り外せる。
【0040】
抜刀により第3状態から第4状態となるとき、突出部8bによる押圧スイッチSW2の押圧は解除されるため、押圧スイッチSW2はオフ状態(SW2_OFF)となる。制御部は押圧スイッチSW1のオフ状態(SW1_OFF)および押圧スイッチSW2のオフ状態(SW2_OFF)を検出し、演出出力部は演出2を出力する(ステップS4)。すなわち、制御部は、押圧スイッチSW2が押圧された後、その押圧が解除されたことに基づいて、第2移動がなされたことを検出する。演出2の出力内容は、ステップS2で操作部SW3を操作したか否かにより変更されてもよく、そのようにしておくことで擬似刀剣玩具1の興趣性がさらに向上する。
【0041】
被装着部5を凹部6内で軸回転させた第3状態で抜刀せず、ユーザが柄部2から手を離すと、柄部2は当該軸回転とは反対方向に軸回転し、第2状態に戻る。これは、被押圧部7を付勢する力により押圧部6dが押され、被押圧部7が凹部6b内に戻る方向に移動するためである。これにより、ユーザが第3状態の柄部2または鞘部3から手を離して(第3状態の柄部2または鞘部3のどちらかのみを把持した状態で)擬似刀剣玩具を振り回すなどしても、鞘部3から柄部2が抜け出ることを防ぐことができる。
【0042】
次に、抜刀を行った第4状態から、鞘部3の凹部6内に被装着部5を装着(収容)する動作、つまり刀を納める動作(納刀動作)を行う(ステップS8)。このとき、鞘部3に対する柄部2の上記軸回転方向の傾きは、第1状態のように鞘部3に対し柄部2を回転させていない傾きであってもよく、第2状態のように鞘部3に対し柄部2を回転させた傾きであってもよい。言い換えれば、凹部6は、鞘部3に装着されていない柄部2の被装着部5を、回転前の柄部2の向きおよび回転後の柄部2の向きのどちらでも凹部6に挿入可能な形状を有している。
【0043】
すなわち、突出部8a、8bは、ステップS8の納刀動作において、図3に示す溝5c内を通る。ここで、溝5cの幅は、Z方向において被装着部5の先端側から把持部2b側に向かって徐々に小さくなっている。被装着部5の先端側の溝5cの開口幅は大きいため、被装着部5が軸回転前の向きであっても軸回転後の向きであっても、突出部8a、8bは溝5c内に入る。溝5cの幅が、把持部2b側に向かうにつれて小さくなる箇所では、溝5cの表面に斜面5a、5bがそれぞれ設けられている。納刀動作において被装着部5が軸回転後の向きである場合には、突出部8aは斜面5aに当たって軌道を修正され、突出部8bは斜面5bに当たって軌道を修正されるため、被装着部5を凹部6内に完全に収容することができる。
【0044】
ステップS8の納刀動作では、押圧スイッチSW2はオフ状態(SW2_OFF)から一回オン状態(SW2_ON)となり、その後再びオフ状態(SW2_OFF)となる。また、被装着部5を凹部6内に完全に収容されたとき、押圧スイッチSW1はオン状態(SW1_ON)となる。これにより、制御部は納刀を検出し、演出出力部は演出3を出力する(ステップS9)。
【0045】
以上により、擬似刀剣玩具1は待機状態、つまり第1状態に戻る(ステップ10)。
【0046】
本実施の形態では、柄部と鞘部とを有する擬似刀剣玩具を用いて、抜刀による動作を楽しむことができ、擬似刀剣玩具の興趣性を向上させることができる。
【0047】
このような擬似刀剣玩具を用いた遊びの動作として抜刀を行う場合、抜刀時に柄部または鞘部を意図せず飛ばしてしまうことが考えられる。しかし、本実施の形態の擬似刀剣玩具は、柄部を1方向に引き抜くという1つの動作のみでは抜刀が行えない構造を有しているため、ユーザおよびユーザの周囲への安全性を確保できる。
【0048】
以上、本願の発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本願の発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0049】
例えば、上記実施の形態では、擬似刀剣玩具1が刀剣(日本刀)の形態を示す場合を例示したが、鞘部3、刀身部4および柄部2の外観を他の武器部材とすることも可能である。すなわち、擬似刀剣玩具1は、例えば直刀、曲刀または諸刃の剣などのような他の武器形態であってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、複数の演出は台詞および効果音のような音を含んでいたが、複数の演出は、更に他の音を含んでいてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態では、複数の演出として音を例示したが、複数の演出は、光または振動などを含んでいてもよい。例えば、鞘部3、刀身部4または柄部2に、発光機器または振動機器を備えさせ、制御部によってこれらの機器を制御させることもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 擬似刀剣玩具
2 柄部
2a 鍔部
2b 把持部
3 刀身部
5 被装着部
6 凹部
7 被押圧部
【0053】
SW1、SW2 押圧スイッチ
SW3 操作部
SW4 電源部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9