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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131978
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20220831BHJP
【FI】
G07D11/10 141B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031271
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】堀 竜生
【テーマコード(参考)】
3E001
3E141
【Fターム(参考)】
3E001AA01
3E001AB06
3E001BA01
3E001CA06
3E001EA06
3E001FA41
3E141AA08
3E141GA01
3E141GB06
3E141HA06
3E141KA06
3E141LA41
(57)【要約】
【課題】貨幣の収納量が規定量に達したか否かを収納部の全幅に亘って正確に検知する貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】硬貨処理装置10は、第1の方向D1に沿って並設されて、硬貨をそれぞれ収納可能な複数の出金ホッパ81a~81fと、出金ホッパ81a~81f内に集積された硬貨がフルラインFLより高く集積されているか否かを第1の方向D1に亘って検知する検知部410と、硬貨がフルラインFLまで集積した場合に、硬貨の収納量がフル状態に達したと判定する判定部420と、を備えている。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って並設されて、貨幣をそれぞれ収納可能な複数の収納部と、
前記収納部内に集積された前記貨幣が所定高さより高く集積されているか否かを前記第1の方向に亘って検知する検知部と、
前記貨幣が所定高さまで集積した場合に、前記貨幣の収納量が前記所定高さに応じた規定量に達したと判定する判定部と、
を備えていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記収納部は、
前記第1の方向に沿って延伸されたスリットが形成された一側面と、
前記一側面から前記第1の方向と垂直な第2の方向に所定奥行寸法だけ離間して配置された他側面と、
を備え、
前記検知部は、
前記所定高さに応じて設けられ、前記スリットを介して前記第2の方向に沿って設定された光路を往復した光の光路長を計測する測距センサと、
前記測距センサを前記第1の方向に水平移動可能な移動部と、
前記光路長が前記収納部の奥行寸法より短い場合に、前記貨幣が前記所定高さより高く集積されていることを検知する高さ検知部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記測距センサを前記第1、第2の方向に垂直な第3の方向に昇降可能な昇降部をさらに備え、
前記所定高さは、
前記貨幣の収納量がフル状態に対応して設定されたフルラインと、
前記貨幣の収納量がフル状態よりも所定量少なくニアフル状態に対応して設定されたニアフルラインと、
であることを特徴とする請求項2記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記測距センサを前記第1の方向に沿って往復移動させ、
前記測距センサは、往移動では、前記フルライン又はニアフルラインの何れか一方の高さに応じて設けられ、復移動では、前記フルライン又はニアフルラインの他方の高さに応じて設けられていることを特徴とする請求項3記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記収納部の側面に設けられ、前記測距センサから所定距離だけ離間して設けられた金種特定部と、
前記測距センサが計測した前記金種特定部との距離に応じて、前記収納部に収容された貨幣の金種を判定する金種判定部と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記収納部は、
記第1の方向に沿って延伸されたスリットが形成された一側面と、
前記所定高さに応じて形成された高さマーカを備え、前記一側面から前記第1の方向と垂直な第2の方向に離間して配置された他側面と、
を備え、
前記検知部は、
前記高さマーカに略正対するように設けられ、前記スリットを介して前記第2の方向に向かって前記収納部内を撮影する撮影部と、
前記撮影部を前記第1の方向に水平移動可能な移動部と、
前記撮影部が撮影した撮影画像において、前記高さマーカの少なくとも一部が前記貨幣と重なっている場合に、前記貨幣が前記高さマーカより高く集積されていることを検知する高さ検知部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記撮影部を前記第1、第2の方向に垂直な第3の方向に昇降可能な昇降部をさらに備え、
前記高さマーカは、
前記貨幣の収納量がフル状態に対応して形成されたフルラインマーカと、
前記貨幣の収納量がフル状態よりも所定量少なくニアフル状態に対応して形成されたニアフルラインマーカと、
であることを特徴とする請求項6記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記移動部は、前記撮影部を前記第1の方向に沿って往復移動させ、
前記撮影部は、往移動では、前記フルラインマーカ又はニアフルラインマーカの何れか一方に略正対して設けられ、復移動では、前記フルラインマーカ又はニアフルラインマーカの他方に略正対して設けられていることを特徴とする請求項7記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入金された貨幣を単一の金種別の貨幣と金種混合の汚損貨幣とに区分し、区分された貨幣を貯留部に一時貯留し、一時貯留されている貨幣を収容部へ収容する貨幣処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1記載の硬貨入出金機は、収納庫内に収容される硬貨の満杯状態を検知するための発光/受光の素子からなるフル検知センサを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-161123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のフル検知センサは、フル検知センサの光路から外れた箇所において硬貨が満杯状態に達していることを検知することはできないという問題があった。
【0006】
また、複数の収納庫が配置されている場合に、各収納庫にフル検知センサを配置する必要があり、コスト増が避けられないという問題があった。
【0007】
そこで、コスト増を抑制しつつ効率的に収納庫内の貨幣が所定量まで収納されていることを検知するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る貨幣処理装置は、第1の方向に沿って並設されて、貨幣をそれぞれ収納可能な複数の収納部と、前記収納部内に集積された前記貨幣が所定高さより高く集積されているか否かを前記第1の方向に亘って検知する検知部と、前記貨幣が所定高さまで集積した場合に、前記貨幣の収納量が前記所定高さに応じた規定量に達したと判定する判定部と、を備えている。
【0009】
この構成によれば、検知部が、第1の方向に亘って収納部内の貨幣が所定高さより高く集積されていることを検知可能なため、貨幣の収納量が規定量に達したか否かを収納部の全幅に亘って正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、貨幣の収納量が規定量に達したか否かを収納部の全幅に亘って正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の構成を示す斜視図。
図2】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の構成を示す一部省略正面図。
図3】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置を示す模式図。
図4】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部に硬貨が一時的に貯留されている状態を示す図である。
図5】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部から硬貨収納部に硬貨が受け渡されている状態を示す図である。
図6】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部から硬貨返却部に硬貨が受け渡されている状態を示す図である。
図7】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部から硬貨収納繰出部に硬貨が受け渡されている状態を示す図である。
図8】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である貨幣処理装置の要部のブロック図。
図9】ゲート開閉機構の構成を示す斜視図。
図10】ゲート開閉機構の要部を示す斜視図。
図11】ゲート開閉機構の構成を示す縦断面図。
図12】ゲート開閉機構の構成を示す平面図及び一部拡大図。
図13】収納量推定機構の構成を示す模式図。
図14】硬貨収納部内の硬貨が所定の収納量に達したか否かを検知する様子を示す模式図。
図15】硬貨収納部内の硬貨が異なる2つの収納量にそれぞれ達したか否かを検知する様子を示す模式図。
図16】硬貨収納部に金種リブを設けて、硬貨収納部のセット位置の適否を確認する様子を示す模式図。
図17】金種リブの構成を示す斜視図。
図18】金種リブの他の構成を示す斜視図。
図19】本発明の変形例に係る硬貨処理装置に適用される収納量推定機構の構成を示す模式図。
図20】硬貨収納部内の硬貨が所定の収納量に達したか否かを検知する様子を示す模式図。
図21】硬貨収納部内の硬貨が異なる2つの収納量にそれぞれ達したか否かを検知する様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る硬貨処理装置10について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0013】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0014】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0015】
図1、2に示すように、硬貨処理装置10は、貨幣であるバラの硬貨(以下、単に「硬貨」という)に関する処理を行う硬貨処理部11と、硬貨を所定の包装単位枚数ずつ一体に纏めた棒金(包装硬貨)に関する処理を行う棒金処理部12と、を備えている。
【0016】
[硬貨処理部]
硬貨処理部11は、外部から入金された硬貨の入金処理を行う硬貨入金部21と、硬貨入金部21から硬貨を受け入れて収納する収納処理を行うとともに収納している硬貨を外部に取り出し可能に出金する硬貨収納出金部22と、を備えている。
【0017】
硬貨入金部21は、外部から硬貨が投入されるとともに投入された硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す入金ホッパ31と、入金ホッパ31から繰り出された硬貨を搬送しつつ入金識別計数部32で真偽、金種及び正損を識別して計数する入金搬送部33と、入金識別計数部32で偽つまり受け入れ不可と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の入金リジェクト案内部34と、入金リジェクト案内部34で入金搬送部33から案内された硬貨を収容する入金リジェクト部35と、を備えている。
【0018】
入金リジェクト部35は、箱状であって、図2に示す硬貨処理装置10の装置本体41の上部ユニット42から装置前方に引き出されることで上部ユニット42から取り外し可能である。入金リジェクト部35は、装置本体41の建屋フロアに設置されるベース筐体43に対し押し込まれた上部ユニット42に装填された状態で、図1に示す入金リジェクト案内部34で案内された硬貨を収容し、上部ユニット42から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。なお、上部ユニット42は、ベース筐体43に対して装置前方に引き出し可能に連結されている。
【0019】
硬貨入金部21は、入金識別計数部32で真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の放出案内部51と、放出案内部51で入金搬送部33から案内された硬貨を外部に放出する放出部52と、を備えている。
【0020】
放出部52は、外部から図示しない収納袋が装着されることになり、装着された収納袋内に、放出案内部51で案内された硬貨を放出する。ここで、入金ホッパ31に投入された硬貨の中から設定金種の硬貨を設定枚数だけ収納袋に収納するローカル袋取り処理を行う際には、入金識別計数部32の識別結果に基づいて、放出案内部51は、収納袋が装着された放出部52に設定金種の硬貨を設定枚数だけ案内し、入金リジェクト案内部34は、設定金種以外の硬貨及び設定枚数を超える硬貨を入金リジェクト部35に案内する。なお、入金リジェクト部35に別の収納袋を装着することにより、設定金種以外の硬貨及び設定枚数を超える硬貨を袋取りすることもできる。
【0021】
硬貨入金部21は、入金識別計数部32で真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の包装案内部55を備えている。包装案内部55で案内された硬貨は棒金処理部12に搬送される。ここで、入金ホッパ31に投入された硬貨の中から設定金種の硬貨を包装して棒金とするローカル包装処理を行う際には、入金識別計数部32の識別結果に基づいて、包装案内部55は、設定金種の硬貨を棒金処理部12に案内し、入金リジェクト案内部34は、設定金種以外の硬貨を入金リジェクト部35に案内する。棒金処理部12は、硬貨処理部11から送り込まれた硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)ずつ集積させて包装する。
【0022】
硬貨入金部21は、入金識別計数部32で受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する貯留案内部61と、貯留案内部61で入金搬送部33から案内された硬貨を一時貯留する貯留部62と、を備えている。図3に示すように貯留部62は、単一金種の硬貨を貯留する金種別の貯留区分部63a~63fと、汚損硬貨を金種混合で貯留する汚損硬貨用の貯留区分部63gと、を備えている。
【0023】
図1に示す貯留案内部61は、入金搬送部33の装置前後方向に沿って直線状に設けられており、最も包装案内部55に近い側が開閉式で全金種の汚損硬貨を入金搬送部33から落下させて貯留部62に案内するように構成され、包装案内部55とは反対側では常時開の選別孔式であって汚損のない正常硬貨を小径のものから順に入金搬送部33から落下させて貯留部62に案内する。
【0024】
貯留案内部61の上述した振り分けの順番に合わせて、貯留部62は、図3に示すように、汚損硬貨を貯留する貯留区分部63g、1円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63a、50円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63b、5円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63c、100円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63d、10円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63e、500円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63fが、装置前側から後側に向けてこの順で直線状に並べられている。
【0025】
貯留部62は、貯留区分部63a~63gの側壁部分を形成する一体の貯留部本体64と、貯留区分部63a~63gの底部分を形成する底板65と、貯留部本体64を水平移動させる図示しない本体駆動モータと、底板65を水平移動させる図示しない底板駆動モータと、を備えている。
【0026】
貯留部62は、図1に示す貯留案内部61の鉛直下方が装填位置であり、図4に示すようにこの装填位置に貯留部本体64及び底板65が位置する状態で、貯留案内部61で案内された硬貨を貯留区分部63a~63gに分類して受け入れる。つまり、貯留部62は、入金ホッパ31に入金された正常硬貨を、金種別の貯留区分部63a~63fに金種別に分けて貯留するとともに、汚損硬貨を貯留区分部63gに貯留する。
【0027】
硬貨入金部21は、貯留部62が貯留区分部63a~63gに分類して貯留している硬貨を収納する硬貨収納部71を備えている。硬貨収納部71は、貯留部62が、図5に示すように、底板65を装填位置に保持した状態のまま貯留部本体64を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで収納する。
【0028】
硬貨収納部71は、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収納する図3に示す収納カセット71g、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を収納する収納カセット71a、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を収納する収納カセット71b、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を収納する収納カセット71c、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を収納する収納カセット71d、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を収納する収納カセット71e、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を収納する収納カセット71fが、装置前側から後側に向けてこの順で直線状に並べられている。
【0029】
硬貨収納部71を構成する収納カセット71a~71gは、それぞれが箱状であって、図2に示す装置本体41のベース筐体43に対し装置前方に引き出し可能となるように連結された収納引出部72に個別に着脱可能に装填されている。収納カセット71a~71gは、収納引出部72に装填された後、収納引出部72がベース筐体43に押し込まれると、貯留部62から落下する硬貨を収納可能となる。また、収納カセット71a~71gは、ベース筐体43から収納引出部72が引き出された後、この収納引出部72から取り外されることで、個別に取り出し可能となる。なお、硬貨収納部71は、硬貨を金種別に分類せずに、金種混合で一括して収納するものであっても構わない。
【0030】
硬貨入金部21は、貯留部62が貯留区分部63a~63gに分類して貯留している硬貨を外部に取り出し可能に返却する硬貨返却部75を備えている。硬貨返却部75は、貯留部62が、底板65及び貯留部本体64を収納位置に移動させた後に、図6に示すように、貯留部本体64のみをさらに側方の返却位置に移動させることで貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで収容する。
【0031】
硬貨返却部75は、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収容する図3に示す返却区分部75g、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を収容する返却区分部75a、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を収容する返却区分部75b、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を収容する返却区分部75c、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を収容する返却区分部75d、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を収容する返却区分部75e、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を収容する返却区分部75fが、装置前側から後側に向けてこの順で直線状に並べられている。
【0032】
硬貨返却部75は、箱状であって返却区分部75a~75gが一体に設けられている。硬貨返却部75は、図2に示すベース筐体43から装置前方に引き出されてベース筐体43から取り外される。硬貨返却部75は、ベース筐体43に装填された状態で貯留部62からの硬貨を収容し、ベース筐体43から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。なお、硬貨返却部75は、硬貨を金種別に分類せずに、金種混合で一括して収容するものであっても良い。
【0033】
図3に示す硬貨収納出金部22は、貯留部62が貯留区分部63a~63fに分類して貯留している硬貨を外部に出金可能に収納する硬貨収納繰出部81を備えている。硬貨収納繰出部81は、図7に示すように、貯留部62が、貯留部本体64を装填位置に保持した状態のまま底板65を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63a~63fから落下する硬貨をその分類状態のままで出金可能に収納する。
【0034】
硬貨収納繰出部81は、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81a、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81b、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81c、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81d、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81e、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81fが、装置前側から後側に向けて、この順に直線状に並べられている。
【0035】
よって、硬貨収納繰出部81は、それぞれが単一金種の硬貨を外部に出金可能に収納する金種別の出金ホッパ81a~81fを有しており、貯留部62は、入金ホッパ31に入金されて金種別の貯留区分部63a~63fに金種別に分けて貯留している硬貨を金種別に分けた状態のまま硬貨収納繰出部81の金種別の出金ホッパ81a~81fに収納可能となっている。
【0036】
すなわち、貯留部62は、硬貨を貯留するとともに貯留している硬貨の収納先を硬貨収納繰出部81と硬貨収納部71と硬貨返却部75とに選択的に切り替え可能である。そして、貯留部62は、収納先が硬貨収納繰出部81に設定されている場合には、貯留している硬貨を金種別に分けて金種別の出金ホッパ81a~81fに収納する。
【0037】
出金ホッパ81aの出金ホッパ81bとは反対側には、貯留部62が貯留部本体64を装填位置に保持した状態のまま底板65を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収納する汚損カセット82gが設けられており、出金ホッパ81fの出金ホッパ81eとは反対側には、後述する精査処理時に硬貨を貯留させる貨幣貯留部としての精査ホッパ83hが設けられている。
【0038】
出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hは、図2に示す装置本体41のベース筐体43に対し装置前方に引き出し可能となるように連結された出金繰出引出部85に着脱不可に組み込まれている。出金ホッパ81a~81fは、出金繰出引出部85がベース筐体43に押し込まれると、貯留部62の貯留区分部63a~63fから落下する硬貨を収納可能となる。
【0039】
出金ホッパ81aは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91aで計数を行いながら一枚ずつ繰り出し、出金ホッパ81bは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91bで同様に繰り出し、出金ホッパ81cは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91cで同様に繰り出し、出金ホッパ81dは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91dで同様に繰り出し、出金ホッパ81eは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91eで同様に繰り出し、出金ホッパ81fは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91fで同様に繰り出す。精査ホッパ83hは、収納している硬貨を下部の識別計数繰出部93hで金種を識別しつつ計数して繰り出す。すなわち、硬貨収納繰出部81は、硬貨を金種別に収納するとともに収納している硬貨を繰り出し可能に構成されている。
【0040】
出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hは、底部が図示しない一つの共通のベルトコンベアで構成されている。このベルトコンベアは、図8に示す繰出駆動モータ301で駆動されて回転する。
【0041】
計数繰出部91a~91fは、繰出駆動モータ301と、繰出駆動モータ301で駆動されて回転するベルトコンベアと、このベルトコンベアで送り出される硬貨の移動を規制及び許容する図示しないゲートと、ゲートを開閉する繰出ソレノイド302a~302fと、硬貨の有無を検知してゲートを通過する硬貨の枚数を計数する計数センサ303a~303fと、を備えている。計数繰出部91aが繰出ソレノイド302a及び計数センサ303aを、計数繰出部91bが繰出ソレノイド302b及び計数センサ303bを、計数繰出部91cが繰出ソレノイド302c及び計数センサ303cを、計数繰出部91dが繰出ソレノイド302d及び計数センサ303dを、計数繰出部91eが繰出ソレノイド302e及び計数センサ303eを、計数繰出部91fが繰出ソレノイド302f及び計数センサ303fを、それぞれ備えている。
【0042】
識別計数繰出部93hは、繰出駆動モータ301と、繰出駆動モータ301で駆動されて回転するベルトコンベアと、このベルトコンベアで送り出される硬貨の移動を規制及び許容する図示しないゲートと、ゲートを開閉する繰出ソレノイド302hと、ゲートを通過する硬貨の金種を識別しつつ枚数を計数する識別計数センサ303hと、を備えている。
【0043】
出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hの各ゲートは、対応する繰出ソレノイド302a~302f、302hが駆動されることで開状態となって硬貨の通過を許容し、対応する繰出ソレノイド302a~302f、302hの駆動が停止されることで閉状態となって硬貨の通過を規制する。
【0044】
計数繰出部91a~91f及び識別計数繰出部93hは、出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hの底部を構成するベルトコンベアの繰出駆動モータ301の回転速度を切り替えたり回転と回転との間の停止時間を長短切り替えたり、又は繰出ソレノイド302a~302f、302hの駆動と停止の時間間隔を適宜切り替える等により、ゲートを開いた状態で連続的に繰り出される硬貨の繰り出しの時間間隔(1枚の硬貨が繰り出されてから次の1枚の硬貨が繰り出されるまでの時間間隔)を切り替えることが可能である。
【0045】
出金ホッパ81aには、その内部の硬貨の残留を検知する図8に示す残留検知センサ304aが設けられており、同様に、出金ホッパ81bには残留検知センサ304bが、出金ホッパ81cには残留検知センサ304cが、出金ホッパ81dには残留検知センサ304dが、出金ホッパ81eには残留検知センサ304eが、出金ホッパ81fには残留検知センサ304fが、精査ホッパ83hには残留検知センサ304hが、それぞれ設けられている。
【0046】
汚損カセット82gは、図2に示す出金繰出引出部85に着脱可能に設けられている。汚損カセット82gは、出金繰出引出部85に装填された後、出金繰出引出部85がベース筐体43に押し込まれると、貯留部62の貯留区分部63gから落下する硬貨を収納可能となる。また、汚損カセット82gは、ベース筐体43から出金繰出引出部85が引き出された後、出金繰出引出部85から取り外されることで、収納した硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0047】
図3に示すように、硬貨収納出金部22は、出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hから計数しつつ繰り出された硬貨を搬送する硬貨出金搬送部101と、硬貨出金搬送部101で搬送されてきた硬貨を収容する硬貨出金部102と、硬貨出金部102に収容されている出金に適さないと判断された硬貨を案内する出金リジェクト案内部103と、出金リジェクト案内部103で硬貨出金部102から案内された硬貨を収容する出金リジェクト部104と、を備えている。
【0048】
硬貨出金部102は、箱状であって、図2に示す装置本体41の収納引出部72から装置前方に引き出されて収納引出部72から取り外し可能である。硬貨出金部102は、ベース筐体43に対して押し込まれた収納引出部72に装填された状態で硬貨を収容し、収納引出部72から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0049】
出金リジェクト部104は、箱状であって、収納引出部72から装置前方に引き出されて収納引出部72から取り外し可能である。出金リジェクト部104は、ベース筐体43に対して押し込まれた収納引出部72に装填された状態で、出金リジェクト案内部103で硬貨出金部102から案内された硬貨を収容し、収納引出部72から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0050】
図4に示すように、出金ホッパ81a~81fの計数繰出部91a~91f及び精査ホッパ83hの識別計数繰出部93hは、装置前後方向に直線状に並んで配置されており、これらの硬貨繰り出し方向の前方に、硬貨出金搬送部101を構成するベルトコンベア式の繰出側搬送路111が設けられている。また、硬貨出金搬送部101は、繰出側搬送路111の精査ホッパ83hとは反対側の端部から硬貨を受け取って繰出側搬送路111に垂直な水平方向に搬送するベルトコンベア式の出金側搬送路112を備えている。この出金側搬送路112は、繰出側搬送路111から汚損カセット82gの方向に延びている。
【0051】
繰出側搬送路111は、図8に示す搬送駆動モータ306で回転駆動されることになり、出金側搬送路112は、図8に示す搬送駆動モータ307で回転駆動されることになる。繰出側搬送路111及び出金側搬送路112は、互いに同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。繰出側搬送路111及び出金側搬送路112は、搬送駆動モータ306、307の回転速度を切り替えることで、硬貨の搬送速度が切り替え可能となっている。
【0052】
硬貨出金搬送部101は、出金側搬送路112の繰出側搬送路111とは反対側の端部に、出金側搬送路112で搬送中の硬貨の重なりを崩すローラ113と、出金側搬送路112とローラ113との間を通過して出金側搬送路112から一枚ずつ繰り出される硬貨に対して金種識別を行って計数する出金識別計数部114と、を備えている。出金識別計数部114の識別結果に基づいて、硬貨出金部102に出金すべき硬貨を収容させたり、硬貨出金部102の出金に適さない硬貨をさらに出金リジェクト案内部103で出金リジェクト部104に収容させたりする。
【0053】
出金側搬送路112と汚損カセット82gとの間には、出金側搬送路112と平行にベルトコンベア式の戻入下搬送路121が設けられており、出金側搬送路112と戻入下搬送路121との間には、出金側搬送路112で繰出側搬送路111から出金識別計数部114に向けて搬送中の硬貨を、図8に示す振分ソレノイド308で駆動されて出金側搬送路112側に揺動することで戻入下搬送路121に移動させる揺動可能な精査ゲート122が設けられている。
【0054】
戻入下搬送路121は、図8に示す搬送駆動モータ311で回転駆動されることになり、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112と同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。戻入下搬送路121の硬貨の搬送速度は、搬送駆動モータ311の回転速度を切り替えることにより切り替え可能となっている。戻入下搬送路121には、硬貨の残留を検知する図8に示す残留検知センサ312が設けられている。
【0055】
戻入下搬送路121の上側には、戻入下搬送路121で搬送されてきた硬貨を上方に搬送するベルトコンベア式の戻入縦搬送路123が設けられている。
【0056】
戻入縦搬送路123は、図8に示す搬送駆動モータ314で回転駆動されることになり、戻入下搬送路121と同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。戻入縦搬送路123の硬貨の搬送速度は、搬送駆動モータ314の回転速度を切り替えることにより切り替え可能となっている。戻入縦搬送路123には、末端位置に硬貨を計数する図8に示す計数センサ315が設けられている。
【0057】
繰出側搬送路111の上方には、これと平行にベルトコンベア式の戻入上搬送路125が設けられており、戻入上搬送路125は戻入縦搬送路123から硬貨を受け取って搬送する。戻入上搬送路125は、図8に示す搬送駆動モータ317で回転駆動されることになり、戻入縦搬送路123と同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。戻入上搬送路125の硬貨の搬送速度は、搬送駆動モータ317の回転速度を切り替えることにより切り替え可能となっている。
【0058】
出金ホッパ81a~81fの開口部には、戻入上搬送路125で搬送中の硬貨を出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hに振り分ける揺動可能な戻入ゲート126a~126fが設けられている。戻入ゲート126a~126fは、後述するゲート開閉機構127によって揺動されることにより、出金ホッパ81a~81fの開口部を開閉させる。
【0059】
図9、10に示すように、ゲート開閉機構127は、プーリー127Aと、スライダー127Bと、を備えている。プーリー127Aは、スライダー127Bの装置前後方向の後側に取り付けられている。
【0060】
スライダー127Bの下端は、ベルト駆動モータ127Cで回転駆動させる輪状のベルト127Dに取り付けられている。ベルト127Dは、戻入上搬送路125と略等しく延伸されている。また、スライダー127Bは、レール127Eによって移動が規制されている。ベルト駆動モータ127C及びレール127Eは、ベース127Fに取り付けられている。なお、図11に示すように、ゲート開閉機構127は、戻入上搬送路125の下部に収容されている。
【0061】
ベルト127Dが回転すると、戻入ゲート126a~126fの間でスライダー127Bが装置前後方向に移動する。プーリー127Aが、任意の戻入ゲート126a~126fの受け部126Aを押圧すると、図12に示すように、戻入ゲート126a~126fが、軸部126Bを中心に揺動する。また、スライダー127Bを装置前後方向の後方まで移動させれば、戻入ゲート126a~126fを切り替えることなく、精査ホッパ83hへの搬送路を形成することができる。
【0062】
戻入ゲート126aは、プーリー127Aが受け部126Aを押圧して出金ホッパ81aとは反対側に揺動すると、戻入上搬送路125で搬送されている硬貨を出金ホッパ81aに収納する一方、プーリー127Aが受け部126Aから離れて出金ホッパ81a側に揺動すると、戻入上搬送路125で搬送されている硬貨を出金ホッパ81aに収納せず、出金ホッパ81aよりも出金ホッパ81b側に移動させる。
【0063】
同様に、戻入ゲート126bは、出金ホッパ81bとは反対側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81bに収納し、戻入ゲート126cは、出金ホッパ81cとは反対側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81cに収納し、戻入ゲート126dは、出金ホッパ81dとは反対側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81dに収納し、戻入ゲート126eは、出金ホッパ81eとは反対側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81eに収納し、戻入ゲート126fは、出金ホッパ81fとは反対側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81fに収納する。
【0064】
戻入上搬送路125は、戻入ゲート126a~126fで出金ホッパ81a~81fに収納されなかった硬貨を末端位置から精査ホッパ83hに収納する。戻入上搬送路125には、硬貨の残留を検知する図8に示す残留検知センサ322が設けられている。
【0065】
繰出側搬送路111の中間位置には、小径側の3金種の硬貨を収納する出金ホッパ81a~81cから計数繰出部91a~91cで繰り出されて繰出側搬送路111で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部81側に揺動することで図1に示す棒金処理部12側に繰り出す小径側中間ゲート131と、大径側の3金種の硬貨を収納する出金ホッパ81d~81fから計数繰出部91d~91fで繰り出されて繰出側搬送路111で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部81側に揺動することで棒金処理部12側に繰り出す大径側中間ゲート132とが設けられている。大径側中間ゲート132は、精査ホッパ83hから出金繰出引出部85で繰り出されて繰出側搬送路111で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部81側に揺動することで棒金処理部12側に繰り出す。
【0066】
図3に示すように、硬貨処理部11には、硬貨処理装置10の全体を制御する制御部141と、硬貨処理装置10に電源を供給する電源部142とが設けられている。硬貨処理装置10には、図8に示すように、操作者の操作入力を受け付ける操作部145と、操作者に向けた表示を行う表示部146と、が設けられている。
【0067】
収納量推定機構400は、図13に示すように、検知部410と、判定部420と、を備えている。以下では、装置前後方向を「第1の方向D1」と称し、第1の方向D1(図13の紙面垂直方向)と垂直な出金ホッパ81aの奥行方向(図13の紙面左右方向)を「第2の方向D2」と称し、第1の方向D1及び第2の方向D2と垂直な高さ方向(図12の紙面垂直方向)を「第3の方向D3」と称す。
【0068】
検知部410は、各種ホッパ(出金ホッパ81a~81f、精査ホッパ83h、汚損カセット83g)に形成されたスリットS1を介して各種ホッパ内に集積された硬貨が所定の高さに達したことを第1の方向D1に亘って検知する。以下では、出金ホッパ81a内の硬貨を検知対象とした場合を例に説明するが、他の出金ホッパ81b~81fや精査ホッパ83h、汚損カセット83gについても同様である。
【0069】
スリットS1は、出金ホッパ81aの一側面81Aに略平行に形成されている。スリットS1は、内部に収納された硬貨の収納量がフル状態の場合における、集積された硬貨の高さ(フルライン)に対応して設けられている。また、スリットS1は、出金ホッパ81aの一側面81Aに第1の方向D1の略全幅に亘って延伸されている。スリットS1の高さは、硬貨が通過しない程度(例えば、約1mm)である。スリットS1は、光を透過する部材で閉塞されていても構わない。スリットS1は、出金ホッパ81aの一側面81Aに形成されたものに限定されない。
【0070】
検知部410は、測距センサ411と、高さ検知部412と、を備えている。
【0071】
測距センサ411は、スリットS1と略同じ高さに設けられている。測距センサ411は、移動部としてのスライダー127Bに取り付けられており、スライダー127Bとともに第1の方向D1に沿って移動可能である。なお、測距センサ411を第1の方向D1に沿って移動させる移動部は、ゲート開閉機構127と別に設けられても構わないが、スライダー127Bと兼ねることにより、戻入ゲート126a~126fの開閉に連動して測距センサ411を移動させることができる。
【0072】
測距センサ411は、非接触で対象物との距離を測定する、例えばToF(Time of Flight)技術によるセンサであり、スリットS1を介して出金ホッパ81aの内部に光を照射する発光素子と、出金ホッパ81aの他側面81B又は硬貨で反射した光を受光する受光素子と、を備えている。また、測距センサ411は、発光素子からパルス発光されたレーザ光が対象物から反射して戻ってきて受光素子により受光されるまでの時間を計測し、その遅れ時間を距離に換算することにより、対象物を被検知体として検知し、被検知体までの距離(光路長)を測定する。
【0073】
判定部420は、高さ検知部412の検知結果に応じて、硬貨の収納量が所定の規定量に達したか否かを判定する。
【0074】
[棒金処理部]
棒金処理部12は、硬貨収納出金部22から繰り出された硬貨を受け入れて所定の包装単位枚数(纏め枚数)ずつ包装して一体に纏めた棒金とする包装処理(纏め処理)を行う包装部201と、包装部201で作製した棒金を収納する棒金収納部202と、包装部201及び棒金収納部202から棒金を受け入れて外部に取り出し可能に出金する棒金出金部203と、を備えている。
【0075】
包装部201は、硬貨収納出金部22の出金ホッパ81a~81fの何れか一金種の出金ホッパから計数繰出部91a~91fの対応するもので繰り出され、繰出側搬送路111と、小径側中間ゲート131あるいは大径側中間ゲート132とで棒金処理部12に搬送されてきた硬貨を受け取って包装する。また、包装部201は、精査ホッパ83hから識別計数繰出部93hで繰り出され、繰出側搬送路111と大径側中間ゲート132とで棒金処理部12に搬送されてきた硬貨を受け取って包装する。また、包装部201は、入金ホッパ31から繰り出され、包装案内部55で棒金処理部12に案内されてきた硬貨を受け取って包装する。
【0076】
ここで、硬貨処理装置10は、出金ホッパ81a~81fのいずれかの硬貨量が所定量である包装基準値を超えると、自動包装処理を行う。この自動包装処理では、出金ホッパ81a~81fのうちの硬貨量が包装基準値を超えたものから計数繰出部91a~91fの対応するもので硬貨を繰り出す繰出処理を行い、繰出側搬送路111と小径側中間ゲート131又は大径側中間ゲート132とで棒金処理部12に搬送されてきた硬貨を包装部201で受け取って包装する。
【0077】
また、硬貨処理装置10は、入金ホッパ31に投入された硬貨を包装するローカル包装処理において、入金ホッパ31に投入された硬貨から指定された金種以外の硬貨を入金リジェクト案内部34で入金リジェクト部35に案内する一方、指定された金種の硬貨を包装案内部55で棒金処理部12に案内することになり、包装部201は、このように包装案内部55で案内された硬貨を受け取って包装する。
【0078】
包装部201は、硬貨処理部11から硬貨を受け入れるとともに受け入れた硬貨を金種識別しつつ計数して包装単位枚数(50枚)ずつ繰り出す硬貨識別計数部211と、硬貨識別計数部211から繰り出された包装単位枚数の硬貨を集積させて紙あるいは樹脂フィルムからなる包装紙を巻き回し、包装紙を切断した後に集積方向の両側の包装紙の余長部分を内側に丸めるように加締めることにより棒金とする硬貨集積包装部212と、を備えている。
【0079】
包装部201は、硬貨集積包装部212で作製されて下方に繰り出された棒金を3方向に振り分けて搬送する棒金振分搬送部213と、棒金振分搬送部213で第1の方向に振り分けられた棒金を収納する自動時端数棒金収納部214と、棒金振分搬送部213で第2の方向に振り分けられた棒金を収納するローカル時端数棒金収納部215と、を備えている。自動時端数棒金収納部214は、自動包装処理において、包装単位枚数に満たない数の硬貨を包装した端数棒金を収納し、ローカル時端数棒金収納部215は、ローカル包装処理において、包装単位枚数に満たない数の硬貨を包装した端数棒金を収納する。
【0080】
自動時端数棒金収納部214及びローカル時端数棒金収納部215は、いずれも箱状であって、装置本体41から装置前方に引き出されて取り外される。自動時端数棒金収納部214及びローカル時端数棒金収納部215は、いずれも装置本体41に装填された状態で、棒金振分搬送部213により振り分けられた端数棒金を収容し、装置本体41から取り外されることで、収容した端数棒金が外部に取り出し可能となる。
【0081】
棒金出金部203は、棒金振分搬送部213で硬貨処理部11とは反対の第3の方向に振り分けられた棒金を受け取って昇降搬送する棒金出金リフト221を備えている。棒金振分搬送部213で第3の方向に振り分けられる棒金は、端数棒金以外の棒金つまり包装単位枚数の硬貨を包装して作製した正常棒金である。棒金出金部203は、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を外部に放出する下部棒金放出口222と、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を受け取って外部に取り出し可能に収容する上部棒金出金口223と、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を外部に取り出し可能に収納する棒金一括収納部224と、を備えている。
【0082】
下部棒金放出口222は、外部に臨んで設けられており、棒金出金リフト221から受け取った棒金を図示しない受箱に向けて放出する。上部棒金出金口223は、外部に臨んで設けられており、棒金出金リフト221から受け取った棒金を外部に取り出し可能に収容する。棒金一括収納部224は、箱状であって、装置本体41から引き出されて取り外される。棒金一括収納部224は、装置本体41に装填された状態で、棒金出金リフト221から受け取った棒金を収容し、装置本体41から取り外されることで、収容した棒金が外部に取り出し可能となる。
【0083】
棒金収納部202は、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を受け取って硬貨処理部11の方向に搬送する棒金収納搬送部231と、棒金収納搬送部231から棒金を受け取って上方に搬送する棒金収納リフト232と、棒金収納リフト232で搬送されてきた棒金を受け取って金種別に分類して収納する棒金収納本体部233と、棒金収納本体部233から金種別に棒金を計数しつつ棒金出金リフト221に繰り出す棒金繰出部234と、を備えている。棒金出金リフト221は、棒金繰出部234で棒金収納本体部233から繰り出された棒金を受け取って、上部棒金出金口223及び棒金一括収納部224に振り分ける。
【0084】
硬貨処理装置10は、入金ホッパ31の図示しないシャッタを閉じ、貯留部62を空の状態でその貯留部本体64及び底板65の両方を図4に示す装填位置に位置させた状態が待機状態となっている。また、この待機状態では、精査ゲート122を、出金側搬送路112で繰出側搬送路111からの硬貨を出金識別計数部114に搬送する状態としている。
【0085】
[入金処理]
操作部145に入金処理実行の操作入力がなされると、制御部141は、入金ホッパ31のシャッタを開く。入金ホッパ31内に硬貨が投入されたことを図示しないセンサで検出すると、制御部141は、入金ホッパ31のシャッタを閉じ、入金ホッパ31によって硬貨を一枚ずつ分離した状態で入金搬送部33に繰り出し、入金搬送部33で搬送しながら、入金識別計数部32で真偽、金種及び正損を識別して計数する。
【0086】
入金識別計数部32で偽つまり受け入れ不可と識別された硬貨を入金リジェクト案内部34で入金搬送部33から案内して入金リジェクト部35に収容する。
【0087】
他方、入金識別計数部32で受け入れ可能と識別された硬貨を貯留案内部61で入金搬送部33から案内して、貯留部本体64及び底板65の両方が装填位置に位置する状態の貯留部62に分類して貯留させる。
【0088】
貯留部62は、貯留区分部63gに全金種の汚損硬貨を、貯留区分部63aに1円の正常硬貨を、貯留区分部63bに50円の正常硬貨を、貯留区分部63cに5円の正常硬貨を、貯留区分部63dに100円の正常硬貨を、貯留区分部63eに10円の正常硬貨を、貯留区分部63fに500円の正常硬貨を、それぞれ貯留することになる。
【0089】
そして、入金ホッパ31内にあった全ての硬貨が入金リジェクト部35あるいは貯留部62に至ったと判定すると、制御部141は、入金識別計数部32の識別結果から、受け入れ可能な入金硬貨の金種別の枚数データを表示部146に表示させるとともに、操作部145に了解操作及びキャンセル操作のいずれか一方の選択入力を受け付ける状態になって入金処理を終了する。
【0090】
[入金収納処理]
入金処理後、操作部145に了解操作が入力されると、制御部141は、硬貨収納繰出部81が硬貨を繰り出す繰出処理を行っているか否かを判定する。
【0091】
硬貨収納繰出部81が硬貨を繰り出す繰出処理を行っている場合には、硬貨収納繰出部81への硬貨の収納処理が禁止されている。このため、制御部141は、貯留部62を、図5に示すように、底板65を装填位置に保持した状態のまま貯留部本体64を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。
【0092】
収納部収納処理によって、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収納カセット71gが収納し、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を収納カセット71aが収納し、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を収納カセット71bが収納し、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を収納カセット71cが収納し、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を収納カセット71dが収納し、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を収納カセット71eが収納し、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を収納カセット71fが収納する。その後、制御部141は、貯留部本体64を図4に示す装填位置に戻して、収納部収納処理すなわち入金収納処理を終了する。
【0093】
一方、入金処理後、操作部145に了解操作が入力された時点で、硬貨収納繰出部81が硬貨を繰り出す繰出処理を行っていなければ、制御部141は、貯留部62の金種別の貯留区分部63a~63fに貯留している硬貨量と、硬貨収納繰出部81の金種別の出金ホッパ81a~81fに収納している硬貨量とを、金種別に加算して金種別の合計値を算出する。また、貯留区分部63gに貯留している汚損硬貨の硬貨量と、汚損カセット82gに貯留している硬貨量とを加算して汚損硬貨の合計値を算出する。そして、制御部141は、各金種別の合計値を各金種別に予め設定された上限値と比較するとともに、汚損硬貨の合計値を汚損硬貨の予め設定された上限値と比較する。
【0094】
すなわち、制御部141は、貯留区分部63aの硬貨量と出金ホッパ81aの硬貨量とを加算して1円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出し、この合計値を1円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較する。また、制御部141は、貯留区分部63bの硬貨量と出金ホッパ81bの硬貨量とを加算して50円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出し、この合計値を50円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較する。同様にして、制御部141は、5円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを5円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較し、100円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを100円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較し、10円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを10円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較し、500円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを500円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較する。また、制御部141は、貯留部62の汚損硬貨用の貯留区分部63gに貯留している硬貨量と、硬貨収納出金部22の汚損硬貨用の汚損カセット82gに収納している硬貨量とを加算して合計値を割り出し、この合計値についても汚損硬貨用に設定された上限値と比較する。
【0095】
ここで、出金ホッパ81a~81f及び汚損カセット82gには、最大収納許容量が予め設定されている。したがって、出金ホッパ81aに1円の正常硬貨を問題なく収納できる最大収納量である満杯値が出金ホッパ81aにおける1円の正常硬貨の硬貨量の上限値に設定されている。また、出金ホッパ81bに50円の正常硬貨を問題なく収納できる最大収納量である満杯値が出金ホッパ81bにおける50円の正常硬貨の硬貨量の上限値に設定されている。5円の正常硬貨、100円の正常硬貨、10円の正常硬貨及び500円の正常硬貨についても、同様である。汚損硬貨については、市場流通枚数の比率に基づき、この比率で汚損硬貨が発生すると仮定して、汚損カセット82gに問題なく収納できる硬貨の最大収納量である満杯値が硬貨量の上限値に設定されている。あるいは、大きさが最大の500円硬貨を汚損カセット82gに問題なく収納できる最大収納量である満杯値を、汚損硬貨の硬貨量の上限値に設定している。
【0096】
そして、割り出した硬貨量の金種別の合計値がいずれか一金種でも上限値を超えると、制御部141は、硬貨収納繰出部81への硬貨の収納処理を禁止する状態になり、上記した収納部収納処理を行って、貯留区分部63gの硬貨を収納カセット71gに、貯留区分部63aの硬貨を収納カセット71aに、貯留区分部63bの硬貨を収納カセット71bに、貯留区分部63cの硬貨を収納カセット71cに、貯留区分部63dの硬貨を収納カセット71dに、貯留区分部63eの硬貨を収納カセット71eに、貯留区分部63fの硬貨を収納カセット71fに、それぞれ収納する。その後、制御部141は、貯留部本体64を図4に示す装填位置に戻して、収納部収納処理つまり入金収納処理を終了する。
【0097】
つまり、制御部141は、貯留部62に分類別に貯留している硬貨を、その分類状態のまま、硬貨収納出金部22に収納すると、硬貨収納出金部22の出金ホッパ81a~81f及び汚損カセット82gのいずれかで最大収納量である満杯値を超えてしまう場合、貯留部62に分類別に貯留している硬貨を、その分類状態のまま、硬貨収納出金部22とは別の硬貨収納部71に収納する。言い換えれば、制御部141は、貯留部62の金種別の貯留区分部63a~63f及び硬貨収納繰出部81の金種別の出金ホッパ81a~81fの硬貨量の金種別の合計値が、いずれか一金種でも上限値を超えると、貯留部62に貯留している硬貨を硬貨収納部71に収納する。
【0098】
入金処理後、操作部145に了解操作が入力された時点で、硬貨収納出金部22が硬貨を繰り出す繰出処理を行っておらず、上記した貯留部62の金種別の硬貨量と硬貨収納出金部22の金種別の硬貨量との金種別の合計値が、いずれの金種についても上限値を超えず、貯留部62の汚損硬貨の硬貨量と硬貨収納出金部22の汚損硬貨の硬貨量との合計値も上限値を超えない場合に、制御部141は、硬貨収納繰出部81への硬貨の収納処理を許容する状態になり、図7に示すように貯留部本体64を装填位置に保持した状態のまま底板65を側方の収納位置に移動させて貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨収納繰出部81及び汚損カセット82gに収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0099】
この硬貨収納繰出部等収納処理によって、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を汚損カセット82gが、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を出金ホッパ81aが、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を出金ホッパ81bが、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を出金ホッパ81cが、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を出金ホッパ81dが、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を出金ホッパ81eが、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を出金ホッパ81fが、それぞれ収納する。
【0100】
その後、制御部141は、図4に示すように、底板65を装填位置に戻して、硬貨収納繰出部等収納処理つまり入金収納処理を終了する。ここで、制御部141は、この硬貨収納繰出部等収納処理を開始した後は、この硬貨収納繰出部等収納処理が終了するまでは、硬貨収納繰出部81の硬貨を繰り出す繰出処理を禁止する。そして、硬貨収納繰出部等収納処理が終了すると、硬貨収納繰出部81の硬貨を繰り出す繰出処理を許容する状態になる。
【0101】
[入金返却処理]
入金処理後、操作部145にキャンセル操作が入力されると、制御部141は、底板65及び貯留部本体64を収納位置に移動させた後に、図6に示すように、貯留部本体64のみをさらに側方の返却位置に移動させて、貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨返却部75に収容する。
【0102】
すなわち、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を返却区分部75gが、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を返却区分部75aが、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を返却区分部75bが、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を返却区分部75cが、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を返却区分部75dが、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を返却区分部75eが、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を返却区分部75fが、それぞれ収容する。その後、制御部141は、図4に示すように、底板65及び貯留部本体64を装填位置に戻して、返却処理を終了する。この状態で、硬貨返却部75は、図2に示すベース筐体43から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。
【0103】
[自動包装処理]
制御部141は、上述した硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fのそれぞれの硬貨量つまり金種別の硬貨量を金種別に設定されたニアフル値と比較する。出金ホッパ81a~81fのいずれかの硬貨量が対応するニアフル値を超えると、制御部141は、出金ホッパ81a~81fのニアフル値を超えたものから硬貨を棒金処理部12に向け繰り出す繰出処理を行って、出金ホッパ81a~81fのニアフル値を超えたものに収納している硬貨の硬貨量を、ニアフル値よりも所定値を超えて下回る量まで減らす。このとき、計数繰出部91a~91fの対応するもので包装単位枚数あるいはその倍数分の枚数を繰り出すようにする。そして、硬貨収納繰出部81から繰り出された硬貨を棒金処理部12で包装する。
【0104】
例えば、硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ81aに収納されている1円の正常硬貨の硬貨量が、1円の正常硬貨について設定されているニアフル値を超えると、繰出側搬送路111を、出金ホッパ81aから繰り出された硬貨を小径側中間ゲート131に向けて搬送する状態とし、小径側中間ゲート131を、繰出側搬送路111で搬送されてきた硬貨を棒金処理部12側に繰り出す状態として、出金ホッパ81aから硬貨をその計数繰出部91aで包装単位枚数あるいはその倍数分の枚数だけ繰り出し、出金ホッパ81aに収納されている1円の正常硬貨の硬貨量をニアフル値よりも所定値を超えて下回らせる。そして、出金ホッパ81aから繰り出された硬貨を棒金処理部12に搬送してその包装部201で包装する。出金ホッパ81b、出金ホッパ81cについても同様にする。
【0105】
また、例えば、硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ81dに収納されている100円の正常硬貨の硬貨量が、100円の正常硬貨について設定されているニアフル値を超えると、繰出側搬送路111を、出金ホッパ81dから繰り出された硬貨を大径側中間ゲート132に向けて搬送する状態とし、大径側中間ゲート132を、繰出側搬送路111で搬送されてきた硬貨を棒金処理部12側に繰り出す状態として、出金ホッパ81dから硬貨をその計数繰出部91dで包装単位枚数あるいはその倍数分の枚数だけ繰り出し、出金ホッパ81dに収納されている100円の正常硬貨の硬貨量をニアフル値よりも所定値を超えて下回らせる。そして、出金ホッパ81dから繰り出された硬貨を棒金処理部12に搬送してその包装部201で包装する。出金ホッパ81e、出金ホッパ81fについても同様にする。
【0106】
包装部201では、硬貨処理部11から受け入れた硬貨を硬貨識別計数部211で計数して包装単位枚数(50枚)の硬貨を硬貨集積包装部212に繰り出し、硬貨集積包装部212が、このように繰り出された包装単位枚数の硬貨を集積させて、その周囲に包装紙を巻き回し包装紙の両側を加締めて棒金とする。すなわち、包装部201は、硬貨収納繰出部81から繰出処理により繰り出された硬貨を集積させて包装する。
【0107】
制御部141は、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fのいずれか一つでも収納している硬貨量がニアフル値を超えると、ニアフル値を超過した出金ホッパから硬貨を繰り出す繰出処理を行うとともに、この繰出処理で繰り出された硬貨を包装部201で包装する。
【0108】
そして、このように硬貨集積包装部212で作製された棒金を、棒金振分搬送部213、棒金出金部203の棒金出金リフト221、棒金収納部202の棒金収納搬送部231及び棒金収納リフト232で搬送して棒金収納本体部233に金種別に収納させる。ここで、棒金収納本体部233の対応金種の棒金が満杯である場合、硬貨集積包装部212で作製された棒金を、棒金振分搬送部213及び棒金出金リフト221で棒金一括収納部224に収納する。
【0109】
硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ81a~81fのうちの複数の出金ホッパにおいて、収納している硬貨の硬貨量がニアフル値を超えている場合、制御部141は、いずれか一金種について繰出処理を開始したら、繰り出した全ての硬貨が、硬貨集積包装部212に送り込まれて包装されるまで待機して、次の金種について繰出処理を開始し、この金種について繰り出した全ての硬貨が、硬貨集積包装部212に送り込まれて包装されたら、次の金種について繰出処理を開始するということを繰り返して、一金種ずつ包装する。その場合、例えば、出金ホッパ81a~81fのうち、硬貨量が多いものから順に繰出処理を行う。逆に、出金ホッパ81a~81fのうち、硬貨量が少ないものから順に繰出処理を行っても良い。
【0110】
そして、硬貨収納繰出部81のすべての出金ホッパ81a~81fの硬貨量が、ニアフル値より所定値を超えて下回る状態となり、硬貨収納繰出部81から繰り出された硬貨がすべて棒金となって棒金収納本体部233あるいは棒金一括収納部224に収納されると、制御部141は、自動包装処理を終了する。
【0111】
自動包装処理としては、上記のように、出金ホッパ81a~81fの硬貨量が包装基準値よりも大きくなった場合に行われる処理以外に、棒金処理部12の棒金の収納量に応じて、出金ホッパ81a~81fから硬貨を繰り出して棒金処理部12に搬送して棒金を作製する処理もある。
【0112】
この場合、出金ホッパ81a~81fの硬貨量が、運用上必要な最小値である所定の基準値を下回らない範囲で、自動的に、出金ホッパ81a~81fから硬貨を繰り出して棒金処理部12に搬送して棒金を作製する。例えば、棒金処理部12における棒金の金種別の収納量の変化から、棒金での出金が多い金種を判別し、この金種の硬貨を硬貨処理部11から棒金処理部12に繰り出して棒金を作製する。
【0113】
ここで、硬貨処理装置10は、自動包装処理の実行中であって、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中であっても、これと並行して、上記した入金処理及び入金収納処理が可能となっている。そして、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、制御部141は、上記したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を禁止する状態になっていることから、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。すなわち、制御部141は、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と、入金収納処理において硬貨収納部71に硬貨を収納する収納部収納処理とを並行して行う。
【0114】
他方、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中にない場合、制御部141は、上記したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を許容する状態になっていることから、自動包装処理中でない場合、入金収納処理において貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。すなわち、制御部141は、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理時には、入金収納処理において、この繰出処理と並行して貯留部62によって硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う一方、この繰出処理時以外は、貯留部62によって硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0115】
なお、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行おうとした際に、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、自動包装処理の終了を待って、貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。また、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にあり、かつ、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、操作部145への入金処理の選択操作を受け付けない状態となる。
【0116】
または、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行おうとした際に、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、その旨を表示部146に表示させると共に警告音を鳴らし、最大収納量に達した収納カセット71a~71gを空の収納カセットと交換するようにユーザに促す。制御部141は、ユーザによる収納カセットの交換後に、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。このようにすることで、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と並行して、収納カセット71a~71gの交換を行うことが可能になる。
【0117】
[硬貨出金処理]
操作部145に出金させる硬貨の金種別の枚数を含む出金処理操作が入力されると、制御部141は、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fの対応する金種のものから硬貨を繰り出す繰出処理を行って硬貨出金部102に搬送する。
【0118】
例えば、出金させる硬貨に1円の正常硬貨が含まれている場合、出金ホッパ81aから硬貨をその計数繰出部91aで出金枚数だけ繰り出し、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112で搬送して、出金識別計数部114で識別しつつ計数して、硬貨出金部102に搬送する。出金ホッパ81b~81fについても同様にする。そして、出金させる全金種の硬貨をそれぞれの設定枚数繰り出すと、制御部141は、硬貨出金処理を終了する。
【0119】
その後、硬貨出金部102が、装置本体41の収納引出部72から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。すなわち、硬貨出金部102は、硬貨収納繰出部81の繰出処理により繰り出された硬貨を外部に取り出し可能に出金する。ここで、硬貨出金処理において、出金識別計数部114で、出金させる硬貨に含まれない金種の硬貨や、出金枚数を超える枚数の硬貨が検出された場合、制御部141は、硬貨出金部102に貯留していた全ての硬貨を、出金リジェクト案内部103で出金リジェクト部104に収容して、硬貨出金処理をやり直す。
【0120】
硬貨処理装置10は、この硬貨出金処理の実行中であって、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中であっても、これと並行して、上記した入金処理及び入金収納処理が可能となっている。そして、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、制御部141は、上記したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を禁止する状態になっていることから、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。すなわち、制御部141は、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と、入金収納処理において硬貨収納部71に硬貨を収納する収納部収納処理とを並行して行う。
【0121】
他方、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中にない場合、制御部141は、上述したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を許容する状態になっていることから、硬貨出金処理中でない場合、入金収納処理において貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。すなわち、制御部141は、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理時には、入金収納処理において、この繰出処理と並行して貯留部62によって硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う一方、この繰出処理時以外は、貯留部62によって硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0122】
なお、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行おうとした際に、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、硬貨出金処理の終了を待って、貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0123】
また、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にあり、かつ、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、操作部145への入金処理の選択操作を受け付けない状態となる。
【0124】
また、制御部141は、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と、入金収納処理において硬貨収納部71に硬貨を収納する収納部収納処理とを並行して行っている場合、出金させる全金種の硬貨をそれぞれの設定枚数繰り出すと、硬貨出金処理を終了し、硬貨出金部102に収容した硬貨を外部に取り出し可能にする。そして、硬貨出金部102が、装置本体41の収納引出部72から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。この状態で、制御部141は、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、その旨を表示部146に表示させると共に警告音を鳴らし、最大収納量に達した収納カセット71a~71gを空の収納カセットと交換するようにユーザに促す。制御部141は、ユーザによる収納カセットの交換後に、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。このようにすることで、装置本体41の収納引出部72から硬貨出金部102を取り外して収容されている硬貨を外部に取り出す処理と並行して、収納カセット71a~71gの交換を行うことが可能になる。
【0125】
[精査処理]
操作部145に精査処理(再勘処理)を行う旨の精査処理操作が入力されると、制御部141は、精査処理を行う金種の選択画面を表示部146に表示させて、操作部145への一金種または複数金種または全金種の選択操作を待機する。
【0126】
例えば、精査対象として全金種を選択する選択操作が入力されると、制御部141は、まず、繰出駆動モータ301を駆動して、出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hの底部の共通のベルトコンベアを回転させるとともに、搬送駆動モータ306、307、311、314、317を駆動して、繰出側搬送路111、出金側搬送路112、戻入下搬送路121、戻入縦搬送路123及び戻入上搬送路125を回転させる。
【0127】
この状態で、制御部141は、例えば、出金ホッパ81a~81fを、繰出側搬送路111の搬送方向上流側の出金ホッパ81fから、出金ホッパ81f、81e、81d、81c、81b、81aの順に、貨幣量である硬貨量を精査する。なお、これとは逆に、出金ホッパ81a、81b、81c、81d、81e、81fの順に精査しても良い。
【0128】
まず、出金ホッパ81fを精査対象として精査するため、制御部141は、精査処理の往路処理を開始し、出金ホッパ81fの計数繰出部91fの繰出ソレノイド302fを駆動し、計数繰出部91fのゲートを開いて硬貨を連続的に一枚ずつ、計数センサ303fで繰り出しを確認しながら、繰出側搬送路111に繰り出させる。
【0129】
これにより、出金ホッパ81fは、その内部の硬貨を1枚ずつ計数繰出部91fから繰出側搬送路111に繰り出し、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112により搬送し、精査ゲート122で出金側搬送路112から戻入下搬送路121に移動させて、戻入下搬送路121、戻入縦搬送路123及び戻入上搬送路125により搬送して、精査ホッパ83hに貯留させる。
【0130】
上記の繰り出し及び搬送を行うことで、最終的に、精査対象である出金ホッパ81fに収納されていた硬貨がすべて計数繰出部91fから繰り出されて出金ホッパ81fが空になったことを残留検知センサ304fで検知し、その上で、計数センサ303f、残留検知センサ312、計数センサ315及び残留検知センサ322で、出金ホッパ81fに収納されていた硬貨がすべて精査ホッパ83hに移動したことを検知すると、出金ホッパ81fの計数繰出部91fの繰出ソレノイド302fの駆動を停止させ、計数繰出部91fのゲートを閉じて、往路処理を終了する。
【0131】
次に、制御部141は、精査処理の復路処理を開始し、精査対象である出金ホッパ81fに対応する戻入ゲート126fを出金ホッパ81f側に揺動させるとともに、精査ホッパ83hの識別計数繰出部93hの繰出ソレノイド302hを駆動して、識別計数繰出部93hのゲートを開き、硬貨を連続的に一枚ずつ、識別計数センサ303hで金種識別及び計数を行いながら、繰出側搬送路111に繰り出す。
【0132】
これにより、精査ホッパ83hは、その内部の硬貨を一枚ずつ識別計数繰出部93hから識別計数センサ303hで識別及び計数しつつ繰出側搬送路111に繰り出し、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112によって搬送し、精査ゲート122で出金側搬送路112から戻入下搬送路121に移動させて、戻入下搬送路121、戻入縦搬送路123及び戻入上搬送路125によって搬送し、出金ホッパ81f側に揺動している戻入ゲート126fで精査対象である出金ホッパ81fに戻す。
【0133】
ここで、識別計数センサ303hで、精査対象である出金ホッパ81fに収納すべき金種ではない異金種硬貨を検知すると、この異金種硬貨は、出金ホッパ81fよりも上流側の出金ホッパ81a~81eに収納するものであるため、制御部141は、この異金種硬貨を計数センサ315で検知したタイミングに基づき、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、この異金種硬貨に対応する戻入ゲート126a~126eを出金ホッパ81a~81e側に揺動させて、出金ホッパ81a~81eのうちの適正な金種のものに収納する。その後、制御部141は、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126eのうちの、この異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81a~81eとは反対側に揺動させて、再び、硬貨を戻入ゲート126fで出金ホッパ81fに戻して収納する状態とする。
【0134】
上記の繰り出し及び搬送を行うことで、最終的に、精査ホッパ83hに貯留されていた硬貨がすべて識別計数繰出部93hから繰り出されて精査ホッパ83hが空になったことを残留検知センサ304hで検知し、その上で、識別計数センサ303h、残留検知センサ312、計数センサ315及び残留検知センサ322で、精査ホッパ83hに貯留されていた硬貨がすべて出金ホッパ81a~81fに移動したことを検知すると、制御部141は、復路処理を終了し、識別計数センサ303hの識別及び計数結果から、精査対象である出金ホッパ81f内の硬貨量を確定する。その後、残りの出金ホッパ81a~81eについて、出金ホッパ81e、81d、81c、81b、81aの順に、同様に往路処理と復路処理とからなる精査処理を行って硬貨量を確定する。
【0135】
なお、出金ホッパ81a~81eのいずれかの精査処理中に、識別計数センサ303hで、精査対象である出金ホッパに収納すべき金種ではない異金種硬貨を検知すると、制御部141は、戻入上搬送路125の硬貨搬送方向において、異金種硬貨が精査対象よりも上流側の出金ホッパに収納すべきものである場合、上述したように、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126dのうちの、この異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81a~81d側に揺動させて、この異金種硬貨を出金ホッパ81a~81dのうちの適正な金種のものに収納する。その後、制御部141は、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126dのうちの、異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81a~81dとは反対側に揺動させて、再び、硬貨を戻入ゲート126b~126eのうちの精査対象のもので出金ホッパ81b~81eの精査対象のものに収納する状態とする。
【0136】
また、制御部141は、戻入上搬送路125の硬貨搬送方向において、異金種硬貨が精査対象よりも下流側に出金ホッパを有する場合、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126eのうちの精査対象の金種のものを出金ホッパ81a~81eとは反対側に揺動させるとともに、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126b~126fのうちの、この異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81b~81f側に揺動させて、この異金種硬貨を出金ホッパ81b~81fのうちの適正な金種のものに収納する。その後、制御部141は、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126eのうちの精査対象のものを出金ホッパ81a~81e側に揺動させるとともに、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126b~126fのうちの、異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81b~81fとは反対側に揺動させて、再び、硬貨を戻入ゲート126a~126eのうちの精査対象のもので出金ホッパ81a~81eの精査対象のものに収納する状態とする。異金種硬貨が、すでに硬貨量が確定した出金ホッパ81a~81fのいずれかに収納される場合、制御部141は、すでに確定した硬貨量にこの異金種硬貨の枚数分を加算する。
【0137】
[硬貨収納量検知]
収納量推定機構400は、各種ホッパ(出金ホッパ81a~81f、精査ホッパ83h、汚損カセット83g)に収容された硬貨の収納量が限界に達しないように、各種ホッパ内の硬貨の収納量が所定の規定量に達しているか否かを適宜確認する。以下では、出金ホッパ81a内の硬貨を検知対象とした場合を例に説明するが、他の出金ホッパ81b~81fや精査ホッパ83h、汚損カセット83gについても同様である。
【0138】
測距センサ411が、出金ホッパ81a側に向けて光を照射した状態で、測距センサ411が出金ホッパ81aの近傍に移動すると、スリットS1を介して出金ホッパ81aの内部に光が進入した後に、出金ホッパ81aの他側面81B又は硬貨で光が反射する。測距センサ411は、反射光を受光して光路長を測定する。
【0139】
例えば、図14(a)に示すように、スリットS1を通過する光路上に硬貨が存在しない場合には、出金ホッパ81aの他側面81Bで光が反射し、測距センサ411は、出金ホッパ81aの奥行寸法と略等しい光路長Lを測定する。
【0140】
一方、図14(b)に示すように、スリットS1を通過する光路上に硬貨が存在する場合には、硬貨でレーザ光が反射し、測距センサ411は、出金ホッパ81aの奥行寸法より短い光路長L’を測定する。
【0141】
そして、測距センサ411が測定した光路長が出金ホッパ81aの奥行寸法と略等しい場合には、高さ検知部412は、出金ホッパ81a内の硬貨がフルラインまで集積されていないことを検知する。
【0142】
一方、測距センサ411が測定した光路長が出金ホッパ81aの奥行寸法より短い場合には、高さ検知部412は、出金ホッパ81a内の硬貨がフルラインまで集積されていることを検知する。
【0143】
そして、判定部420は、硬貨がフルラインまで集積されていない場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にフル状態まで収納されていないと判定する。一方、硬貨がフルラインまで集積されている場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にフル状態まで収納されていると判定する。
【0144】
また、測距センサ411が、スライダー127Bにより出金ホッパ81a内を第1の方向D1に移動することにより、1台の測距センサ411で出金ホッパ81a内を第1の方向D1に亘って硬貨の収納量がフル状態に達したか否かを把握可能である。
【0145】
さらに、測距センサ411が、スライダー127Bにより出金ホッパ81a~81fを跨ぐようにして移動可能なことにより、1台の測距センサ411で出金ホッパ81a~81fに対して硬貨の収納量がフル状態に達したか否かを把握可能である。
【0146】
なお、測距センサ411による測定に先行して、出金ホッパ81a底部の計数繰出部91aを動作させて集積した硬貨の山を崩して均すことが好ましい。これにより、本来の硬貨の収納量が規定量に達したか否かを正確に測定することができる。
【0147】
また、出金ホッパ81aの一側面81Aに互いに異なる高さのスリットS1、S2を設け、図14に示す昇降部413が、測距センサ411をスリットS1、S2間で昇降可能に設けられも構わない。昇降部413は、例えば、スライダー127Bに対して測距センサ411を昇降させるように構成されている。なお、スリットの数は、3つ以上であっても構わない。
【0148】
図15(a)は、フルラインに対応したスリットS1と、ニアフルラインに対応したスリットS2との位置関係を示す。なお、ニアフルラインは、硬貨の収納量がフル状態よりも少ないニアフル状態の場合における、集積された硬貨の高さに対応して設定されている。
【0149】
硬貨がニアフル状態まで収納されているか否かの判定は、上述したフル状態まで収納されているか否かの判定と同様の手順で行われる。すなわち、図15(a)に示すように、スリットS2を通過する光路上に硬貨が存在しない場合には、一側面81Aに対向する他側面81Bでレーザ光が反射し、測距センサ411は、出金ホッパ81aの奥行寸法と略等しい光路長Lを測定する。
【0150】
一方、図15(b)に示すように、スリットS2を通過する光路上に硬貨が存在する場合には、硬貨でレーザ光が反射し、測距センサ411は、出金ホッパ81aの奥行寸法より短い光路長L’を測定する。
【0151】
そして、測距センサ411が測定した光路長が出金ホッパ81aの奥行寸法と略等しい場合には、高さ検知部412は、出金ホッパ81a内の硬貨がニアフルラインまで集積されていないことを検知する。
【0152】
一方、測距センサ411が測定した光路長が出金ホッパ81aの奥行寸法より短い場合には、高さ検知部412は、出金ホッパ81a内の硬貨がニアフルラインまで集積されていることを検知する。
【0153】
そして、硬貨がニアフルラインまで集積されていない場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にニアフル状態まで収納されていないと判定する。一方、硬貨がニアフルラインまで集積されている場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にニアフル状態まで収納されていると判定する。
【0154】
なお、測距センサ411が第1の方向D1の何れか一方に往移動しながら光路長を測定する際に、昇降部413がフルライン又はニアフルラインの何れか一方の高さまで測距センサ411を昇降させ、測距センサ411が第1の方向D1の他方に復移動しながら光路長を測定する際に、昇降部413が、フルライン又はニアフルラインの他方の高さまで測距センサ411を昇降させるように構成すれば、測距センサ411が第1の方向D1に往復するだけで、硬貨の収納量がフル状態又はニアフル状態に達したか否かを速やかに把握できる。なお、各種ホッパに対して、硬貨の収納量がフル状態及びニアフル状態に達したか否かをそれぞれ判定する必要は必ずしもなく、例えば、往路で硬貨の収納量がフルライン状態に達していると判定された出金ホッパ81aに対しては、復路での硬貨の収納量がニアフル状態に達したか否かの判定を省略しても構わない。ニアフル状態の判定を省略して、測距センサ411の移動速度を速めることにより、各種ホッパに対する硬貨の収納量の判定に要する時間を短縮できる。
【0155】
また、図16(a)、(b)に示すように、隣り合う出金ホッパ81a~81fの隙間に、測距センサ411から互いに異なる距離に配置された金種リブ430を設け、測距センサ411が金種リブ430までの距離を測定し、図8に示す金種判定部440が、測距センサ411が測定した金種リブ430までの距離と、予め記憶された出金ホッパ81a~81f毎の測距センサ411から金種リブ430までの距離とを比較して、金種リブ430が取り付けられた出金ホッパ81a~81fの金種を特定し、この出金ホッパ81a~81fが金種に応じて予め設定された位置にセットされているか否かを判定するように構成されても構わない。そして、誤った位置にセットされた出金ホッパ81a~81fが存在する場合には、その旨をテキストや音等により報知して再取り付けを促すことにより、出金ホッパ81a~81fのセット間違えを解消することができる。
【0156】
図16(a)に示すように、第2の方向D2から視て、金種リブ430が、フルラインFL及びニアフルラインNLを跨ぐように設けられていることにより、測距センサ411が第1の方向D1に移動しながら行う光路量の測定と前後して、出金ホッパ81a~81fのセット位置の適否を確認することができる。なお、金種リブ430は、フルラインFL及びニアフルラインNLにそれぞれ配置されても構わない。また、図15には、1つの出金ホッパ81a~81fの両側にそれぞれ金種リブ430を設けた場合を図示しているが、コスト削減や取付ミス防止の観点から、1つの出金ホッパ81a~81fの片側に金種リブ430を設けても構わない。
【0157】
金種リブ430は、出金ホッパ81a~81fの成型時に金種ごとに異なる位置に形成しても構わないが、後付け可能な金種リブ430であっても構わない。このような金種リブ430としては、図17に示すような、L字状に形成され、出金ホッパ81a~81fの側面に接着される接着面431と、光を反射させる反射面432と、を備えたものであってもよいし、図18に示すような、出金ホッパ81a~81fの側面に接着される接着面433と、光を反射させる反射面434と、接着面433と反射面434とを接続する接続面435と、を備えたものであっても構わない。
【0158】
隣り合う出金ホッパ81a~81fの間に金種リブ430を配置するスペースが確保できない場合は、隣り合う出金ホッパ81a~81f同士の対向する壁面の一部を内側に凹ませて形成された凹部に金種リブ430を配置することが考えられる。
【0159】
このようにして、本実施形態に係る硬貨処理装置10は、第1の方向D1に沿って並設されて、硬貨をそれぞれ収納可能な出金ホッパ81a~81fと、出金ホッパ81a~81f内に集積された硬貨が所定高さより高く集積されているか否かを第1の方向D1に亘って検知する検知部410と、硬貨が所定高さまで集積した場合に、貨幣の収納量が所定高さに応じた規定量に達したと判定する判定部420と、を備えている構成とした。
【0160】
このような構成により、検知部410が、第1の方向D1に亘って出金ホッパ81a~81f内の硬貨が所定高さより高く集積されていることを検知可能なため、出金ホッパ81a~81fそれぞれについて貨幣の収納量が規定量に達したか否かを全幅に亘って正確に検知することができる。
【0161】
また、硬貨処理装置10は、出金ホッパ81a~81fが、第1の方向D1に沿って延伸されたスリットS1が形成された一側面81Aと、一側面81Aから第2の方向D2に所定奥行寸法だけ離間して配置された他側面81Bと、を備え、検知部410は、所定高さに応じて設けられ、スリットS1を介して第2の方向D2に沿って設定された光路を往復した光の光路長を計測する測距センサ411と、測距センサ411を第1の方向D1に水平移動可能なスライダー127Bと、光路長が出金ホッパ81a~81fの奥行寸法より短い場合に、硬貨が所定高さより高く集積されていることを検知する高さ検知部412と、を備えている構成とした。
【0162】
このような構成により、硬貨が測距センサ411の光路に干渉するように集積された場合には、測距センサ411が計測した光路長が、出金ホッパ81a~81fの奥行寸法より短くなるために、高さ検知部412は、硬貨が所定高さより高く集積されていることを検知することができる。
【0163】
また、硬貨処理装置10は、検知部410が、測距センサ411を第3の方向D3に昇降可能な昇降部413をさらに備え、所定高さは、硬貨の収納量がフル状態に対応して設定されたフルラインと、硬貨の収納量がフル状態よりも所定量少なくニアフル状態に対応して設定されたニアフルラインと、である構成とした。
【0164】
このような構成により、複数の検知部410を用意することなく、1つの検知部410で硬貨の収納量がフル状態又はニアフル状態に達したか否かを速やかに把握できる。
【0165】
また、硬貨処理装置10は、スライダー127Bが、測距センサ411を第1の方向D1に沿って往復移動させ、測距センサ411は、往移動では、フルライン又はニアフルラインの何れか一方の高さに応じて設けられ、復移動では、フルライン又はニアフルラインの他方の高さに応じて設けられている構成とした。
【0166】
このような構成により、検知部410を往復移動させるだけで、硬貨の収納量がフル状態又はニアフル状態に達したか否かを速やかに把握できる。
【0167】
また、硬貨処理装置10は、出金ホッパ81a~81fの側面に設けられ、測距センサ411から所定距離だけ離間して設けられた金種リブ430と、測距センサ411が計測した金種リブ430との距離に応じて、出金ホッパ81a~81fに収容された硬貨の金種を判定する金種判定部440と、をさらに備えている構成とした。
【0168】
このような構成により、出金ホッパ81a~81fのセット間違いを抑制することができる。
【0169】
次に、本発明の変形例に係る硬貨処理装置10の構成について、図面に基づいて説明する。なお、本変形例に係る硬貨処理装置10の構成は、以下に説明する収納量推定機構400の構成を除き、上述した実施形態に係る硬貨処理装置10と同様であり、重複する説明を省略する。
【0170】
収納量推定機構400は、検知部450と、判定部420と、を備えている。
【0171】
検知部450は、各種ホッパ(出金ホッパ81a~81f、精査ホッパ83h、汚損カセット83g)に形成されたスリットS1を介してホッパ内に集積された硬貨が所定の高さに達したことを第1の方向D1に亘って検知する。以下では、出金ホッパ81a内の硬貨を検知対象とした場合を例に説明するが、他の出金ホッパ81b~81fや精査ホッパ83h、汚損カセット83gについても同様である。
【0172】
スリットS1は、図19に示すように、出金ホッパ81aの一側面81Aに略水平に形成されている。また、一側面81Aに対向する他側面81Bには、スリットS1と略同じ高さに凸設されたフルラインマーカM1が配置されている。フルラインマーカM1の形状は、その上面に硬貨が乗った状態とならない形状であることが望ましい。また、フルラインマーカM1は、他側面81Bから出金ホッパ81a内へ凸状に形成されたものに限定されず、例えば、他側面81Bに記載されたライン等であっても構わない。スリットS1及びフルラインマーカM1は、出金ホッパ81a内に収納された硬貨の収納量がフル状態の場合における、集積された硬貨の高さ(フルライン)に対応して設けられている。スリットS1及びフルラインマーカM1は、出金ホッパ81aの第1の方向D1に亘って延伸されている。
【0173】
検知部450は、撮影部451と、高さ検知部452と、を備えている。
【0174】
撮影部451は、スリットS1を介してフルラインマーカM1を略水平に撮影するように視野が設定されたデジタルカメラ等である。撮影部451は、移動部としてのスライダー127Bに取り付けられ、スライダー127Bとともに第1の方向D1に沿って移動可能である。撮影部451が撮影する画像は、静止画又は動画の何れであっても構わない。また、撮影部451が撮影する画像は、白黒画像又はカラー画像の何れであっても構わない。
【0175】
図20(a)に示すように、撮影部451が撮影した画像Pにおいて、出金ホッパ81a内の硬貨がフルラインマーカM1の少なくとも一部と重なっていない場合には、高さ検知部452は、出金ホッパ81a内の硬貨がフルラインまで集積していないことを検知する。
【0176】
一方、図20(b)に示すように、撮影部451が撮影した画像Pにおいて、出金ホッパ81a内の硬貨がフルラインマーカM1の少なくとも一部と重なっている場合には、高さ検知部452は、出金ホッパ81a内の硬貨がフルラインまで集積されていることを検知する。
【0177】
そして、硬貨がフルラインまで集積されていない場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にフル状態まで収納されていないと判定する。一方、硬貨がフルラインまで集積されている場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にフル状態まで収納されていると判定する。
【0178】
なお、出金ホッパ81a内に互いに異なる高さのスリットS1、S2及びスリットS1、S2にそれぞれ対応するフルラインマーカM1、ニアフルラインマーカM2を設け、昇降部413が、撮影部451をスリットS1、S2間で昇降させることにより、硬貨の収納量が異なる規定量に達したか否かをそれぞれ把握することができる。なお、スリット及び高さマーカの数は、3組以上であっても構わない。
【0179】
図21(a)、(b)は、撮影部451が撮影した、フル状態の対応したフルラインマーカM1とニアフル状態に対応したニアフルラインマーカM2とを含む画像Pを示す。硬貨がニアフル状態まで収納されているか否かの判定は、フル状態まで収納されているか否かの判定と同様の手順で行われる。
【0180】
すなわち、図21(a)に示すように、撮影部451が撮影した画像Pにおいて、出金ホッパ81a内の硬貨がニアフルラインマーカM2の少なくとも一部と重なっていない場合には、高さ検知部452は、出金ホッパ81a内の硬貨がニアフルラインマーカM2まで集積していないことを検知する。
【0181】
一方、図21(b)に示すように、撮影部451が撮影した画像Pにおいて、出金ホッパ81a内の硬貨がニアフルラインマーカM2の少なくとも一部と重なっている場合には、高さ検知部452は、出金ホッパ81a内の硬貨がニアフルラインマーカM2まで集積されていることを検知する。
【0182】
そして、硬貨がニアフルラインマーカM2まで集積されていない場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にニアフル状態まで収納されていないと判定する。一方、硬貨がニアフルラインマーカM2まで集積されている場合には、判定部420は、硬貨が出金ホッパ81a内にニアフル状態まで収納されていると判定する。
【0183】
なお、撮影部451が第1の方向D1の何れか一方に往移動しながら撮影を行う際に、昇降部413が、フルライン又はニアフルラインの何れか一方の高さまで撮影部451を昇降し、撮影部451が第1の方向D1の他方に復移動しながら撮影を行う際に、昇降部413が、フルライン又はニアフルラインの他方の高さまで撮影部451を昇降するように構成しても構わない。
【0184】
また、上述した実施形態に係る硬貨処理装置10と同様に、金種リブ430を用いて出金ホッパ81a~81fの金種判定を行っても構わない。具体的には、撮影部451が金種リブ430を含む画像を撮影し、金種判定部440が画像に写る金種リブ430までの距離を算出する。そして、算出された金種リブ430までの距離と、予め記憶された出金ホッパ81a~81f毎の測距センサ411から金種リブ430までの距離とを比較して、金種リブ430が取り付けられた出金ホッパ81a~81fの金種を特定し、この出金ホッパ81a~81fが金種に応じて予め設定された位置にセットされているか否かを判定するように構成されても構わない。
【0185】
また、撮影部451から金種リブ430までの距離に基づいた金種判定に代えて、金種リブ430の形状を出金ホッパ81a~81f毎に変えたり、金種リブ430に特徴のある文字や記号や模様を施したり、カラー画像が取得可能な場合には異なる色を配色する等して出金ホッパ81a~81fの金種を形状や文字等により区別可能に構成しても構わない。金種判定部440が、出金ホッパ81a~81fを形状や文字等により区別することにより、出金ホッパ81a~81fの金種特定を精度良く行うことができる。
【0186】
また、出金ホッパ81a~81fの外部に金種リブ430を設ける代わりに、出金ホッパ81a~81f内の規定量を示すラインの色を変えたり、ラインの近傍に文字や記号や模様を付すことで、出金ホッパ81a~81fの金種を特定しても構わない。
【0187】
このようにして、本変形例に係る硬貨処理装置10は、出金ホッパ81a~81fが、第1の方向D1に沿って延伸されたスリットS1が形成された一側面81Aと、所定高さに応じて形成された高さマーカを備え、一側面81Aから第2の方向D2に離間して配置された他側面81Bと、を備え、検知部450は、高さマーカに略正対するように設けられ、スリットS1を介して第2の方向D2に向かって出金ホッパ81a~81f内を撮影する撮影部451と、撮影部451を第1の方向D1に水平移動可能なスライダー127Bと、撮影部451が撮影した撮影画像Pにおいて、高さマーカの少なくとも一部が硬貨と重なっている場合に、硬貨が高さマーカより高く集積されていることを検知する高さ検知部452と、を備えている構成とした。
【0188】
このような構成により、撮影部451が撮影した撮影画像Pにおいて、硬貨が高さマーカの少なくとも一部と重なる場合には、高さ検知部452は、硬貨が所定高さより高く集積されていることを検知することができる。
【0189】
また、硬貨処理装置10は、検知部450は、撮影部451を第3の方向D3に昇降可能な昇降部413をさらに備え、高さマーカは、硬貨の収納量がフル状態に対応して形成されたフルラインマーカM1と、硬貨の収納量がフル状態よりも所定量少なくニアフル状態に対応して形成されたニアフルラインマーカM2と、である構成とした。
【0190】
このような構成により、複数の撮影部451を用意することなく、1つの撮影部451で硬貨の収納量がフル状態又はニアフル状態に達したか否かを速やかに把握できる。
【0191】
また、硬貨処理装置10は、スライダー127Bが、撮影部451を第1の方向D1に沿って往復移動させ、撮影部451は、往移動では、フルラインマーカM1又はニアフルラインマーカM2の何れか一方に略正対して設けられ、復移動では、フルラインマーカM1又はニアフルラインマーカM2の他方に略正対して設けられている構成とした。
【0192】
このような構成により、撮影部451が装置前後方向に往復するだけで、硬貨の収納量がフル状態又はニアフル状態に達したか否かを速やかに把握できる。
【0193】
また、本実施形態では、貨幣処理装置として、硬貨を処理する硬貨処理装置を例に説明したが、本発明は、紙幣を処理する紙幣処理装置にも適用することが可能である。
【0194】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0195】
10 :硬貨処理装置
81a~81g:出金ホッパ
400:収納量推定機構
410:検知部
411:測距センサ
412:高さ検知部
413:昇降部
420:判定部
430:金種リブ(金種特定部)
440:金種判定部
450:検知部
451:撮影部
452:高さ検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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