(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131980
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】養液吸出機、および水耕栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20220831BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031273
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000211592
【氏名又は名称】株式会社日立産機中条エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】片野 浩
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314PB41
2B314PB54
2B314PB59
2B314PB64
(57)【要約】
【課題】
水耕栽培トレイから迅速かつ安定した培養液の吸い出しを行う、自動化ラインに対応した養液吸出機を提供する。
【解決手段】
吸出ノズルを待機位置から吸出位置へ移動させ、前記吸出ノズルを用いて栽培用トレイから培養液を吸い出す養液吸出機であって、前記吸出ノズル12は、先端に1つまたは複数の突起14を備え、前記突起によりトレイ底面と吸出ノズルの先端との間隔を一定に保持することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸出ノズルを待機位置から吸出位置へ移動させ、前記吸出ノズルを用いて栽培用トレイから培養液を吸い出す養液吸出機であって、
前記吸出ノズルは、先端に1つまたは複数の突起を備え、前記突起によりトレイ底面と吸出ノズルの先端との間隔を一定に保持することを特徴とする養液吸出機。
【請求項2】
請求項1に記載の養液吸出機において、
前記吸出ノズルは、先端部の径を、ノズルの配管部よりも大きくしたことを特徴とする養液吸出機。
【請求項3】
請求項1に記載の養液吸出機において、
前記吸出ノズルは、吸出ノズルを待機位置に移動したときに配管内の培養液による滴をためる滴ポケットを有することを特徴とする養液吸出機。
【請求項4】
請求項3に記載の養液吸出機において、
前記滴ポケットは、樹脂収縮チューブで形成したことを特徴とする養液吸出機。
【請求項5】
請求項1に記載の養液注入機において、
前記吸出ノズルは、ノズルの先端部に液面センサーを備え、前記液面センサーを樹脂収縮チューブで取り付けたことを特徴とする養液吸出機。
【請求項6】
請求項1に記載の養液吸出機において、
前記吸出ノズルは、配管の先頭部を略90度折り曲げた形状であることを特徴とする養液吸出機。
【請求項7】
請求項1に記載の養液吸出機において、
前記吸出ノズルは、配管の先頭部を略90度折り曲げた形状で、駆動モータにより待機位置と吸出位置とを移動するものであり、吸出位置から待機位置へ移動する途中において一時停止し、吸出ノズル内の残液を排水することを特徴とする養液吸出機。
【請求項8】
培養液を吸出ノズルを用いて水耕栽培用トレイから吸い出す養液吸出機であって、
配管の先頭部を略90度折り曲げた、液面センサーを備える吸出ノズルと、前記吸出ノズルを上下方向に1軸で回転可能で複数位置に位置決め停止可能な駆動機構と、を備える吸出ノズルユニットと、
ポンプを収納したポンプユニットと、
前記各ユニットの制御を行う制御ユニットと、
を備える養液吸出機。
【請求項9】
請求項8に記載の養液吸出機において、
前記吸出ノズルは、先端に1つまたは複数の突起を備え、前記突起によりトレイ底面と吸出ノズルの先端との間隔を一定に保持することを特徴とする養液吸出機。
【請求項10】
請求項8に記載の養液吸出機において、
前記ポンプユニットは、ポンプを複数台並列運転するものであり、
前記制御ユニットは、前記液面センサーの動作時間によりポンプの故障を判別することを特徴とする養液吸出機。
【請求項11】
請求項8に記載の養液吸出機において、
前記制御ユニットは、液面センサーが動作してからあらかじめ設定した時間を加算したタイミングでポンプを停止させることを特徴とする養液吸出機。
【請求項12】
請求項8に記載の養液吸出機において、
前記吸出ノズルは、駆動モータにより、待機位置と吸出位置とを移動するものであり、吸出位置から待機位置へ移動する途中において、一時停止し、吸出ノズル内の残液を排水することを特徴とする養液吸出機。
【請求項13】
水耕栽培用トレイと、
前記水耕栽培用トレイを搬送するコンベヤと、
請求項1~12の何れか1項に記載の養液吸出機と、
を備える水耕栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培用トレイ(水耕パネル)等から培養液を吸い出す養液吸出機に関する。
【0002】
ここでいう水耕栽培用トレイは、培養液を入れたままコンベヤなどで自動搬送可能な栽培用トレイを指す。そして、水耕栽培の自動化に対応した栽培用トレイであり、移植用トレイならびに定植用トレイを指すものである。
【背景技術】
【0003】
野菜栽培の自動化に伴い、最新の野菜工場では自動搬送対応の水耕栽培用トレイを用いて栽培の自動化を図っている。
【0004】
自動搬送対応の水耕栽培用トレイは、重量の軽量化と立体栽培棚の高さを低くするため、薄型形状をしている。トレイに注入する養液量も最適量を一定に注入することが求められる。また、野菜に水分と養分が吸収されるために、収穫までには培養液の入れ替えが必要である。トレイを用いた野菜栽培の自動化ラインにおいては、培養液の注入と吸い出しを自動で行う養液注入機、養液吸出機が不可欠である。
【0005】
なお、栽培トレイの上には苗パネルが載っていて、培養液の注入ならびに吸い出しはその苗パネルに設けた注入穴や吸出穴から行うが、この注入穴や吸出穴から光が入ると光合成により藻が繁殖するため開口穴はできるだけ小さいほうが望ましい。
【0006】
なお、自動搬送に対応する水耕栽培用トレイに、培養液を自動で注入する養液注入機ならびに養液吸出機は例をみない。
【0007】
自動搬送用ではないが、特許文献1には、水耕液を送給する栽培ベッド上面に栽培パネルを設置し、栽培パネルに培地体を支持させて作物を育成する水耕栽培装置であって、肥料タンクの液肥等を水と混合して水耕液を構成する液タンクを備え、循環ポンプにより水耕液を液タンクから送水管を介して栽培ベッドに供給し、栽培ベッドから配水管により水耕液を液タンクに循環させるようにした水耕栽培装置、が開示されている。(
図1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
自動搬送対応の水耕栽培用トレイから培養液を吸い出す際には、短時間で培養液を吸い出すとともに、残液量を少なくする必要がある。
図9に、下向き吸出ノズル2を用いて栽培用トレイ4から培養液6を吸い出す図を示す。
図9(a)に示すように、栽培用トレイ4に対して吸出ノズル2の位置が高い場合には、培養液を吸い込む有効断面積が大きく、配管内の負圧が低いため、吸出ノズル2がトレイの底面に吸い付く力は働かないが、トレイ内の残液量が多くなる。他方、栽培用トレイ4に対して吸出ノズル2の位置が低い場合には、
図9(b)に示すように、トレイに残る残液量は少なくなるが、吸い込む有効断面積が小さく配管内の負圧が高くなり、吸出ノズル2がトレイの底面に吸い付こうとする。そして、
図9(c)に示すように、吸出ノズル2がトレイの底面に吸着すると、吸い出しができなくなる。また、空気を吸い込むと吸い出し能力が低下し、最後には吸い出しができなくなる。また、トレイの底面に吸い付こうとする力とノズルを支持する駆動モータの保持力とが干渉して振動が発生する場合がある。
【0010】
本発明は、水耕栽培用トレイから迅速かつ安定した培養液の吸い出しを行う、自動化ラインに対応した養液吸出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための、本発明の「養液吸出機」の一例を挙げるならば、
吸出ノズルを待機位置から吸出位置へ移動させ、前記吸出ノズルを用いて栽培用トレイから培養液を吸い出す養液吸出機であって、前記吸出ノズルは、先端に1つまたは複数の突起を備え、前記突起によりトレイ底面と吸出ノズルの先端との間隔を一定に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水耕栽培用トレイから迅速かつ安定した培養液の吸い出しを行う、自動化ラインに対応した養液吸出機を提供することができる。
【0013】
上記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例の養液吸出機をコンベヤに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】実施例の養液吸出機を示す正面図、側面図および上面図である。
【
図3】実施例の養液吸出機の吸出ノズルユニットを示す正面図および上面図である。
【
図4】実施例の養液吸出機の吸出ノズルを示す正面図、側面図、底面図、および正面断面図である。
【
図5】実施例の養液吸出機の吸出ノズルユニットの各位置を示す図である。
【
図6】実施例の養液吸出機の吸出ポンプユニットの正面図、側面図および上面図である。
【
図7】実施例の養液吸出機の、電気系のブロック構成図である。
【
図8】実施例の養液吸出機を用いた水耕栽培システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし主旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
以下に説明する発明の構成において、同一または類似する構成または機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
【0016】
図1に、本発明の実施例の養液吸出機を、水耕栽培用トレイを上部に有するコンベヤに取り付けた斜視図を示す。図において、水耕栽培用トレイ200を搬送するコンベヤ400の側部に、養液吸出機100が取り付けられている。また、
図2に、養液吸出機を示し、
図2(a)は正面図、
図2(b)は側面図、
図2(c)は上面図である。
【0017】
養液吸出機100は、吸出ノズルを有する吸出ノズルユニット10と、吸出ノズルを通して培養液を吸い出すポンプユニット30と、吸出ノズルユニットおよびポンプユニットを制御する制御ユニット40から構成されている。
【0018】
図3に、本実施例の吸出ノズルユニットを示し、
図3(a)はその正面図を、
図3(b)は上面図を示す。吸出ノズルユニット10は、先端を略90度折り曲げた吸出ノズル12と、吸出ノズル12を初期位置と吸出位置とに駆動する駆動モータ26と、電気信号を伝達する防水中継コネクタ28を備えている。図に示すように、吸出ノズル12は、略垂直な初期位置から、先端部を栽培パネル210の注入穴212から栽培用トレイ200に入れた吸出位置へ、駆動モータ26により駆動される。駆動モータ26は、初期位置と吸出位置との間の途中の位置で停止可能な、例えばステッピングモータで構成される。
【0019】
吸出ノズルユニット10の吸出動作は、次の通りである。
起動指令が入力されると、吸出ノズル12を回転移動させて、栽培パネル210の吸出穴212に挿入し、トレイ底面高さ位置で停止する。
吸出ポンプを起動させて、培養液220を吸い出す。
液面センサーが水位を検知したら、制御装置が動作し、吸い出しを停止する。
吸出ノズル12を排水位置まで上昇させ、吸出ノズル内の培養液が排出されるまで、停止する。
初期位置まで吸出ノズルを戻して、動作を終了する。
【0020】
図4に、本実施例の吸出ノズルの先端部の拡大図を示す。
図4(a)は側面図、
図4(b)はその底面図、
図4(c)は正面図、
図4(d)は正面断面図である。吸出ノズル12は、パイプ(配管)の先端部を略90度折り曲げて形成する。吸出ノズル12の先端に密着防止用の突起14が設けてあり、トレイの底面とノズル先端との距離を一定に維持する。密着防止用の突起14は1個若しくは複数個設ける。密着防止用の突起14を設けることにより、ポンプ吸引によりノズルがトレイ底面に引き寄せられて密着することを防止し、吸引面積を一定に保ち、吸出効率を低下させないようにしている。吸出動作では最終的にノズルからエアーを吸うようになり、吸出効率が極端に低下する。トレイ底面とノズルとの間隔を大きくすると残水量が増し、小さくすると吸出効率が低下して時間がかかる。ポンプ能力に適した隙間に相当する突起をあらかじめのノズル先端に設けることで、トレイ底面との距離を容易に維持できる。そして、振動を低減し安定した吸い出しを行うことができる。
【0021】
吸出ノズル12は、ノズル先端のパイプ径を拡大してパイプ断面積を増やす。すなわち、図に示すように、パイプの径φD1に対してノズル先端の径φD2を大きくする。一方で、トレイ底面とノズル先端の間隔を小さくしてトレイの残水量を減らすように調整する。これにより、吸引面積を確保しつつ残水量を少なくできる。
【0022】
吸出ノズル12の材料は、弱アルカリ性の養液に浸食されることがなく、安価な塩化ビニル製のパイプが好ましい。吸出ノズル12は、φ2mmの小径の液面検出センサー18をポリエチレン収縮チューブ22で固定し、ノズル外径を最小に仕上げている。これにより、栽培パネル210の注入穴212の径を小さく抑えることができる。注入穴212を小さくすることにより、栽培用トレイ200内に光が入ることによる、藻の繁殖を抑えることができる。
【0023】
吸出ノズル12を用いて吸い出す場合、吸出ポンプを停止した後にノズル内に溜まった培養液が排出される。そのため、ノズル上昇時に液だれが発生する恐れがある。吸出終了後に吸出ノズル12を上昇端まで戻す過程で一旦停止させて、積極的に排水を行う制御を行う。排水停止位置は、吸出ノズルの先端部が栽培パネルの穴に近い位置とし、栽培パネルの上面には滴下しないようにする。
【0024】
さらに、図に示すように、滴を受ける滴ポケット24をノズルに設け、栽培パネル210への養液滴下を防止する。滴ポケット24は、樹脂収縮チューブ22で形成すればよい。
【0025】
図5に、吸出ノズルユニットの各位置の状態を示す。
図5(a)の吸出位置では、吸出ノズル12を栽培用トレイ200に入れて、培養液をトレイから吸い出す。
図5(b)の排水位置では、吸出ノズル12を水面よりも高い排水位置で停止させて、ノズル内部の培養液を排水する。すなわち、吸出終了後に吸出ノズル12を上昇させ戻す過程で一旦停止させて、ノズル先端から排水を行う。
図5(c)の中間位置(注入位置と初期位置との間の位置)では、吸出ノズル12の先端に少量の滴23がつく。
図5(d)の、吸出ノズル12が垂直となる初期位置では、吸出ノズル先端の滴は傾斜したノズルを伝わって滴ポケット24に入るため、吸出ノズルユニットを汚すことがない。
【0026】
図6に、本実施例の養液吸出機の吸出ポンプユニットを示す。
図6(a)はカバーをとった正面図、
図6(b)はカバーをとった左側面図、
図6(c)は右側面図、
図6(d)は上面図である。図に示すように、本実施例のポンプユニット30は、第1のポンプ32および第2のポンプ34とポンプを2台備え、並列運転を可能としている。
【0027】
自動化ラインにおける養液注入機や養液吸出機はラインタクト内で短時間に注入ならびに吸い出しを行う必要があるだけでなく、多くの工程が連動しているため故障によりラインを停止させないようにする必要がある。
【0028】
この対応として、安価なポンプ2台を並列運転することで必要とする流量を確保する。そして、ポンプ2台運転時と1台運転時での液面センサーが動作するまでの時間差が生じることに着目し、液面センサーの動作時間によりポンプ1台故障を判別して警報表示する。また、ポンプ1台運転で液面センサーが動作してから適正液量となるまでのポンプ動作時間をあらかじめ設定しておき、ポンプ動作停止タイミングを自動切換えすることにより、ポンプが1台故障しても安定して稼働を継続できるようにする。このことにより、ポンプ1台が故障しても自動化ラインを停止させることなく、自動化ラインが稼働していない時間に計画的にポンプ交換のメンテナンス作業を実施できる。
【0029】
図7に、本実施例の養液吸出機の電気系のブロック構成図を示す。
制御ユニット40内には、制御装置42を備え、制御装置42にはタイマ44を備えている。吸出ノズル12に設けた液面センサー18から、栽培用トレイ200内の液面の検出信号が制御装置42に入力される。制御装置42は、ポンプユニット30の第1のポンプ32および第2のポンプ34の運転を制御する。また、制御装置42は、吸出ノズルユニット10の駆動モータ26を制御して、注入ノズルユニット10の停止位置を変更する。操作部46は、必要な操作指令を入力する。
【0030】
養液吸出機において吸出終了タイミングは、エアーを吸い込み始めたタイミングでは残水量がまだ多いため、エアーを吸いつつさらに吸い込み動作を継続する必要がある。養液の吸い出しが進んでトレイ内の液量が減少すると、液が吸出ノズルに集まりにくくなる。このことは培養液トレイの底にわずかに傾斜を設けていても解消されない。また、トレイ内の液量が少ない状態で吸い上げ能力の高いポンプで吸い出そうとすると、ノズル周囲に液が集合して満たされるスピードを超えるためエアーを吸う状態が発生する。エアーを吸う状態のトレイ内の水位では吸い出しが十分ではなく、ポンプを停止すると水位が均等になるがノズル周囲の水位はかえって停止前より高くなる。また、エアーを吸い込むとノズル内に吸い上げられた養液が逆流して排出されるため、ノズル吸い込み口周囲の水面に波立ちが発生し、水位が上下変動する。
【0031】
なお、エアーを吸う現象が間欠的に発生した場合では吸出効率が低下しつつも吸い出させているため、ポンプの動作を継続することでさらに残水量は減らすことができる。しかし、吸出効率の低下に伴い単位時間当たりの吸出量が大幅に少なくなるため、適当なタイミングで吸い出しを中止する必要がある。このタイミングを安定して実行するための制御が必要である。つまり、エアーを吸い込む状態では液面が上下するため、液面センサーの動作でポンプを停止させる制御では停止タイミングが安定しないという問題がある。
【0032】
本実施例の養液吸出機では、液面センサーの取付位置をエアーが混入しない位置とし、液面センサーが動作してからあらかじめ設定しておいたポンプ停止までの時間を加算したタイミングでポンプを停止させる制御とすることで、停止タイミングを安定させる。また、この制御にすることで、トレイ内の液量に左右されずに最適なポンプ停止タイミングとすることが可能となる。停止タイミングの調整は、制御装置42内のタイマ44により行う。
【0033】
本実施例の養液吸出機は、吸出ノズル12を前後上下など2軸以上に動作させる複雑な構造ではなく、回転方向の一軸だけで吸出ノズルの上下を行う単純な構造のノズル駆動ユニットとする。そして、コンベヤからの幅方向の出張り寸法を抑えたレイアウトとすることで、コンパクト化と低価格化を図った養液吸出機となる。
【0034】
本実施例の養液吸出機は、トレイ内に培養液がない場合には吸出動作を行わない。また、吸出ノズルが下降したときに液面センサー18が培養液を検知ない場合は、吸出動作を行わないで完了させ、ポンプの空運転を防止するとともに、無駄時間を防止する。
【0035】
図8に、本実施例の養液吸出機を用いた水耕栽培システムの一例を示す。
図8(a)は正面図、
図8(b)は側面図、
図8(c)は上面図である。コンベヤ400上には、コンベヤで搬送される栽培用トレイ200を有し、コンベヤ400の側部に、本実施例の養液吸出機100と、養液注入機300が向かい合うように取り付けられている。なお、図示していないが、コンベヤ400は左右に続いており、コンベヤ400の先には多数の栽培用トレイを置く栽培棚を備えている。
【0036】
水耕栽培システムにおいて、移植時には養液注入機で栽培トレイに培養液を注入し、入れ替え時には溶液注入機および養液吸出機を用いて培養液の入れ替えを行い、収穫時には養液吸出機を用いて培養液の吸い出しを行う。
【符号の説明】
【0037】
10…吸出ノズルユニット
12…吸出ノズル
14…突起
18…液面センサー
22…収縮チューブ
23…滴
24…滴ポケット
26…駆動モータ
28…防水中継コネクタ
30…ポンプユニット
32…第1のポンプ
34…第2のポンプ
40…制御ユニット
42…制御装置
44…タイマ
46…操作部
100…養液吸出機
200…栽培用トレイ
210…栽培パネル
212…注入穴
220…培養液
300…養液注入機
400…コンベヤ