(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132043
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】調理器具及び調理装置
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20220831BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A47J37/06 306
A47J37/06 321
A47J27/00 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159428
(22)【出願日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021030991
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】豊澤 萌子
(72)【発明者】
【氏名】河阪 雅之
【テーマコード(参考)】
4B040
4B055
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB04
4B040AC03
4B040CA05
4B040CA13
4B040CB22
4B040CB23
4B040GC06
4B055AA13
4B055BA35
4B055CA01
4B055CA71
4B055CB12
4B055CC23
4B055CC46
4B055DB21
4B055DB22
(57)【要約】
【課題】調理容器の容量を変えずに薄くできる調理器具等を提供する。
【解決手段】調理器具は、被調理物を調理するための調理容器と、調理容器を覆う調理用蓋8とを備え、調理用蓋8は蓋本体80と取手81とを備え、取手81が折り畳み可能に構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を調理するための調理容器と、前記調理容器を覆う調理用蓋とを備える調理器具において、
前記調理用蓋は蓋本体と取手とを備え、
前記取手が折り畳み可能に構成されている
調理器具。
【請求項2】
前記取手は、平面視において環状をし、その天面に前記環状の内周側と外周側を接続する溝部分を有する
請求項1に記載の調理器具。
【請求項3】
前記取手は、前記蓋本体の凹入部分に設けられている
請求項1又は2に記載の調理器具。
【請求項4】
前記蓋本体は、皿状の蓋部と、前記蓋部の開口側端に設けられた鍔部とを有し、
前記調理容器は、皿状のプレート部と、前記プレート部の開口側端から前記プレート部の平坦部分と平行な方向であって外方へ張り出す周縁部を有し、
前記鍔部は、前記取手を前記プレート部と反対側となる状態で前記調理用蓋を前記調理容器に載置した際に、前記周縁部の内周側に張り出す張出部分を有する
請求項1~3の何れか1項に記載の調理器具。
【請求項5】
前記取手が前記調理容器側に位置する状態で前記調理容器前記調理用蓋を載置した際に、前記調理用蓋は、前記蓋本体が前記調理容器に離間する状態で前記取手により支持される
請求項1~4の何れか1項に記載の調理器具。
【請求項6】
調理容器と調理用蓋とから構成される調理器具を備える調理装置において、
前記調理器具は、請求項1~5の何れか1項に記載の調理器具である
調理装置。
【請求項7】
前記調理容器を加熱するヒータと、
前記調理容器の温度を検出する温度センサと
を備え、
前記ヒータは一部が欠けた環状をし、前記温度センサは前記一部が欠けた環状の中央位置に配されている
請求項6に記載の調理装置。
【請求項8】
前記温度センサは、前記調理容器に遠近可能に支持されると共に、前記調理容器側に付勢されている
請求項7に記載の調理装置。
【請求項9】
前記調理容器は、前記ヒータ側に延伸する複数のリブを、前記ヒータの延伸方向に沿って間隔をおいて有する
請求項7又は8の何れか1項に記載の調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理容器と調理用蓋とを備える調理器具、当該調理器具を備える調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調理用蓋を備えた両面ホットプレートとして、調理時には一方側の調理プレートの開口を覆うように調理用蓋を載置し、調理後は一方側の調理プレートの内側開口部と他方側の調理プレートの内側開口部との間に調理用蓋を収容することが可能なものが開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記両面ホットプレートでは、調理用蓋を一対の調理プレートの間に収容した際の厚みが大きいという課題がある。なお、厚みは、一対の調理プレートを備えない片面ホットプレート、調理容器と調理用蓋とを備える調理器具、調理器具を備える調理装置、調理用蓋等においても薄い方が好まれる。
本発明は、調理容器の容量を変えずに薄くできる調理器具等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る調理器具は、被調理物を調理するための調理容器と、前記調理容器を覆う調理用蓋とを備える調理器具において、前記調理用蓋は蓋本体と取手とを備え、前記取手が折り畳み可能に構成されている。
本発明に係る調理装置は、調理容器と調理用蓋とから構成される調理器具を備える調理装置において、前記調理器具は、被調理物を調理するための調理容器と、前記調理容器を覆う調理用蓋とを備え、前記調理用蓋は蓋本体と取手とを備え、前記取手が折り畳み可能に構成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、調理用蓋の取手が折り畳み可能であるため、折り畳んだ際の調理用蓋を薄くできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る収容状態のホットプレートの斜視図であり、(a)は上方から見た図であり、(b)は下方から見た図である。
【
図3】展開状態のホットプレートを上方から見た斜視図であり、(a)は調理用蓋で調理プレートを塞いだ状態であり、(b)は調理用蓋を収容した状態である。
【
図4】展開状態のホットプレートを上方から見た斜視図であり、調理部の内部が分かるように調理プレートや調理用蓋を上方に移動させた状態である。
【
図5】第2調理部の断面図であり、(a)は調理用蓋で調理プレートを塞いだ状態を筐体の長手方向と直交する面で切断した図であり、(b)は調理用蓋を収容した状態を筐体の短手方向と直交する面で切断した図である。
【
図6】(a)は第1プレートと第2プレートとを重ねた状態の端部を下方から見た斜視図であり、(b)は調理プレートを配していない状態の調理部の端部を上方から見た斜視図である。
【
図7】(a)は取手が折畳状態の調理用蓋の斜視図であり、(b)は使用状態の断面図であり、(c)は折畳状態の断面図である。
【
図8】(a)は調理用蓋を第1プレートに載置した状態の断面拡大斜視図であり、(b)は調理用蓋を収容した状態の断面拡大斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る収容状態のホットプレートの斜視図であり、(a)は上方から見た図であり、(b)は下方から見た図である。
【
図10】(a)は展開状態を示す斜視図であり、(b)は展開状態であって調理用蓋と第2プレートとを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図11】展開状態のホットプレートを上方の一方側から見た斜視図であり、調理部の内部が分かるように第1プレートと第2プレートを取り外し、第1プレートと第2プレートとを反転させた状態である。
【
図12】展開状態のホットプレートを上方の他方側から見た斜視図であり、調理部の内部が分かるように第1プレートと第2プレートを取り外し、第1プレートと第2プレートとを反転させた状態である。
【
図13】(a)はヒータ周辺部の拡大斜視図であり、(b)はヒータ周辺部を上方から見た拡大図である。
【
図14】(a)は第1安全ユニットの断面拡大図であり、(b)は第1プレートの係合部が筐体の被係合部に係合する状態を示す断面拡大斜視図であり、(c)は第1保持手段の係合部が第1プレートに係合する状態を示す断面拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る第1の調理器具は、被調理物を調理するための調理容器と、前記調理容器を覆う調理用蓋とを備える調理器具において、前記調理用蓋は蓋本体と取手とを備え、前記取手が折り畳み可能に構成されている。これにより、取手を折り畳むことで薄くできる。
実施形態の別態様に係る第2の調理器具は、第1の調理器具において、前記取手は、平面視において環状をし、その天面に前記環状の内周側と外周側を接続する溝部分を有する。これにより、取手が他の板状部材(例えば、調理プレート、プライパン等である)に吸着するのを防止できる。
実施形態の別態様に係る第3の調理器具は、第1又は第2の調理器具において、前記取手は、前記蓋本体の凹入部分に設けられている。これにより調理用蓋の高さを低くできる。
実施形態の別態様に係る第4の調理器具は、第1~第3の何れかの調理器具において、前記蓋本体は、皿状の蓋部と、前記蓋部の開口側端に設けられた鍔部とを有し、前記調理容器は、皿状のプレート部と、前記プレート部の開口側端から前記プレート部の平坦部分と平行な方向であって外方へ張り出す周縁部を有し、前記鍔部は、前記取手を前記プレート部と反対側となる状態で前記調理用蓋を前記調理容器に載置した際に、前記周縁部の内周側に張り出す張出部分を有する。これにより、調理用蓋がプレート部の平坦部分と平行な方向に移動するのを規制できる。
実施形態の別態様に係る第5の調理器具は、第1~第4の何れかの調理器具において、前記取手が前記調理容器側に位置する状態で前記調理容器前記調理用蓋を載置した際に、前記調理用蓋は、前記蓋本体が前記調理容器に離間する状態で前記取手により支持される。これにより、調理用蓋を取り出しやすくできる。
【0009】
実施形態の一態様に係る調理装置は、調理容器と調理用蓋とから構成される調理器具を備える調理装置において、前記調理器具は、上記の第1~第5の何れか調理器具である。これにより、取手を折り畳むことで、装置全体を折り畳み方向において薄くできる。
実施形態の別態様に係る第2の調理装置は、第1の調理装置において、前記調理容器を加熱するヒータと、前記調理容器の温度を検出する温度センサとを備え、前記ヒータは一部が欠けた環状をし、前記温度センサは前記一部が欠けた環状の中央位置に配されている。これにより、温度センサが高温状態を検知しやすくなり、温度センサの早い応答性が得られる。
実施形態の別態様に係る第3の調理装置は、第2の調理装置において、前記温度センサは、前記調理容器に遠近可能に支持されると共に、前記調理容器側に付勢されている。これにより、温度センサを確実に調理容器に接触でき、信頼性の高い検知結果が得られる。
実施形態の別態様に係る第4の調理装置は、第2又は第3の調理装置において、前記調理容器は、前記ヒータ側に延伸する複数のリブを、前記ヒータの延伸方向に沿って間隔をおいて有する。これにより、ヒータによる加熱ムラを抑制できる。
【0010】
<第1実施形態>
ここでは、調理容器の一例としての調理プレートと調理用蓋とで構成される調理器具を備え、調理器具の一例としてのホットプレートについて説明する。
【0011】
1.全体
図1及び
図2を用いて説明する。
ホットプレートXは、第1調理部Aと、第2調理部Bと、2以上の調理プレート7と、調理用蓋8とを有し、第1調理部Aと第2調理部Bとを重ね合わせ可能であると共に第1調理部Aと第2調理部Bとの間に調理プレート7と調理用蓋8とを収容することができる。
ここでの第1調理部Aと第2調理部Bは、使用状態を基準にした平面視が矩形状、方形状、これらに似た形状をし、
図3の(a)に示すように、展開させて隣接する状態で使用される。
図3では、第1調理部Aに第1プレート71と第2プレート73(
図4参照)が配され、第2調理部Bに第1プレート72(
図4参照)と調理用蓋8とが載置されている。
第1調理部Aと第2調理部Bは、隣接する一辺でヒンジ部34により折り畳み可能に結合され、
図1に示すように、折り畳み可能に構成されている。
図1の状態を収容状態とし、
図3の状態を展開状態又は使用状態とする。
折り畳む際には、
図3の(b)に示すように、取手81が第1調理部A及び第2調理部の一方側(ここでは第2調理部Bである)の内側に位置する調理用蓋8を、つまり、裏返した調理用蓋8を第1調理部A及び第2調理部Bの一方側(ここでは第2調理部Bである)に載置し、第1調理部A及び第2調理部Bの他方側(ここでは第1調理部である)をヒンジ部34周りに回動させることで行われる。
以下、各部について説明する。
【0012】
2.調理部
第1調理部Aと第2調理部Bは、形状等が若干異なるが、同じ機能を有する部材を有している。共通部分を説明する際、第1調理部A及び第2調理部Bを単に、「第1・第2調理部」とし、第1調理部A側の構成に「A」を、第2調理部B側の構成に「B」をそれぞれ付して説明する。例えば、第1調理部Aの筐体の符号を「3A」とし、第2調理部Bの筐体の符号を「3B」とし、これらを区別する必要がない場合、筐体3A,3Bとする。
また、第1調理部Aと第2調理部Bの一方の構成が図面に現れていない場合も、「A」、「B」を付している。つまり、符号に「A」や「B」が付されている場合、図面に現れていない場合でも、その構成を有するものとする。
【0013】
第1・第2調理部A,Bは、
図4に示すように、調理プレート7を加熱するためのヒータ1A,1Bと、各ヒータ1A,1BのON/OFFや温度設定するための操作レバー2A,2Bと、操作レバー2A,2Bの操作にしたがってヒータ1A,1BのON/OFFや温度調整する温度調整ユニット4A,4B(
図5の(b)参照)を筐体3A,3Bに備える。
第1・第2調理部A,Bは、上記構成以外に、例えば、調理プレート7を保持(支持)する第1保持(支持)手段51A,51B、収容状態を保持する第2保持手段52A,52B、ヒータ1A,1Bの過度な温度上昇を防止する安全ユニット6A,6Bを備えてもよく、ここでは、これらすべてを備えている。
【0014】
(a)筐体
筐体3A,3Bは、
図4に示すように、収容状態において対向する面から凹入する凹部30A,30Bを有している。筐体3A,3Bは、展開状態の平面視形状が方形状、矩形状、これらに似た形状(ここでは方形状とする)をし、凹部30A,30Bの平面視形状も方形状、矩形状、これらに似た形状(ここではヒンジ部34と平行な方向に長い矩形状とする)をしている。
図4において、凹部30A,30Bの引き出し線の先端は、底部分31A,31Bの引き出し線と区別するために矢印としている。
筐体3A,3Bの凹部30A,30Bの底部分31A,31Bにヒータ1A,1Bが配され、ヒータ1A,1Bの中央位置に第1安全ユニット61A,61Bが設けられている。
筐体3A,3Bにおける凹部30A,30Bの開口周辺部は、
図3に示すように、矩形状の凹部30A,30Bの一方の長辺側にヒンジ部分35A,35Bが設けられ、凹部30A,30Bの一方の短辺側に操作レバー2A,2Bが設けられ、凹部30A,30Bの短辺側に第1保持手段51A,51Bが設けられ、凹部30A,30Bの他方の長辺側にハンドル部32A,32Bが設けられ、当該ハンドル部32A,32Bに第2保持手段52A,52Bが設けられている。
筐体3A,3Bは、
図5の(b)に示すように、凹部30A,30Bと外壁部33A,33Bとの間であって操作レバー2A,2Bの近傍に温度調整ユニット4A,4Bや第2安全ユニット62A,62Bを備える。
筐体3A,3Bはヒンジ部分35A,35B部を有している。ここでの第1調理部Aのヒンジ部分35Aは円筒状をし、第2調理部Bのヒンジ部分35Bは、
図5の(a)に示すように、第1調理部Aのヒンジ部分35Aの内側に嵌合する嵌合筒状部分36を有している。これにより、筐体3Aは、筐体3Bに対してヒンジ部34の筒軸周りに回動可能に連結される。
【0015】
(b)ヒータ
ヒータ1A,1Bは、
図4に示すように、展開状態の平面視において、凹部30A,30Bに対応した矩形状の短辺の中央部分が欠けたような形状をしている。ヒータ1A,1Bは、1本のシーズヒータにより構成され、その端部が凹部30A,30Bから立設した後に、底部分31A,31Bと平行な平面内を矩形状に延伸している。
【0016】
(c)操作レバー及び温度調整ユニット
操作レバー2A,2Bは、使用者の操作を受け付ける。ここでは、筐体3A,3Bの短手方向にスライド可能に構成され、一方側で通電をOFFにし、他方側に移動させるにしたがって調理プレート7が高温となる。
温度調整ユニット4A,4Bは、操作レバー2A,2Bの操作に連動するバイメタル式の温度調整器により構成されている。なお、温度調整器はヒータ1A,1Bに電気的に接続され、操作レバー2A,2Bの操作にしたがってヒータ1A,1Bの通電時間を調整する。
【0017】
(d)第1保持手段
第1保持手段51A,51Bは、調理プレート7の係合部74が係合する被係合部53A,53B(
図6参照)と、係合状態にある調理プレート7に係合する係合部54A,54B(
図3参照)とを備える。
ここでは、調理プレート7の係合部74は、
図6の(a)に示すように凹部30A,30Bの底部分31A,31Bと平行に延出する延出部分により構成され、
図6の(b)に示すように被係合部53A,53Bは延出部分(74)が挿抜可能な孔部分又は凹み部分により構成されている。収容の際には、1枚の調理プレート7に調理用蓋8を重ねた状態で、又は2枚の調理プレート7を重ねた状態で、凹部30A,30Bに収容される。このため、被係合部53A,53Bは、上下に長い形状をしている。これにより、調理プレート7の係合部74を被係合部53A,53Bに斜め方向から挿入することができ、調理プレート7や調理用蓋8(調理用蓋8は係合部を有していない)を凹部30A,30Bに容易に収容できる。なお、調理プレート7と第1保持手段51A,51Bの係合関係は逆であってもよい。
係合部54A,54Bは、
図5の(b)に示すように、凹部30A,30Bの開口側から調理プレート7や調理用蓋8の上方にスライド可能に張り出す係合片55A,55Bを備える。係合片55A,55Bは、上下に間隔をおいて係合部分56A,56B、57A,57Bを有し、1枚の状態の第1プレート71,72、第2プレート73、重ねた状態の第1プレート71と第2プレート73、第1プレート72と調理用蓋8とを重ねた状態の第1プレート72に係合する。ここでの係合部54A,54Bは、係合片55A,55Bを調理プレート7側に付勢するばね58A,58Bを備えるロック機能付きである。
被係合部53A,53Bは、
図6の(b)に示すように、凹部30A,30Bの一方の短辺側であって短手方向に間隔をおいて2個ある。2個の被係合部53A,53Bと、凹部30A,30Bの他方の短辺側の係合部54A,54Bは、2等辺三角形の3つの頂点位置にある。これにより、安定した状態で、調理プレート7を保持できる。
【0018】
(e)第2保持手段
第2保持手段52A,52Bは、
図3に示すように、第1調理部Aの筐体3Aに設けられた第1係合部59Aと、第2調理部Bの筐体3Bに設けられた第2係合部59Bとを備える。ここでは、第1係合部59Aが、ヒンジ部34と平行な仮想軸周りに回動可能であり、第2係合部59Bに係合する。なお、第1係合部59Aと第2係合部59Bの係合関係は逆であってもよい。
【0019】
(f)安全ユニット
安全ユニット6A,6Bは、
図5の(b)に示すように、少なくとも、調理プレート7に直接接触する第1安全ユニット61A,61Bと、ヒータ1A,1Bの周辺に配された第2安全ユニット62A,62Bとを備える。
【0020】
第1安全ユニット61A,61Bは、
図4に示すように、展開状態の平面視において、矩形状の短辺の一部が欠けた形状、つまり、一部が欠けた環状のヒータ1A,1Bの中央位置に配される温度センサ64A,64Bを備える。これにより、安定した温度管理が可能となる。なお、ヒータ1A,1Bの中央は、調理プレート7の中央に相当する。
第1安全ユニット61A,61Bは、
図5に示すように、取付具63A,63Bに取り付けられた温度センサ64A,64Bと、取付具63A,63Bを調理プレート7に対して遠近可能に収容するベース体65A,65Bと、ベース体65A,65B内の取付具63A,63Bを調理プレート7側に付勢する付勢体66A,66Bとを備えている。なお、ベース体65A,65Bは筐体3A,3Bの底部分31A,31Bに固定されている。
温度センサ64A,64Bは、バイメタルを利用し、閾値温度以上になると通電が遮断される。温度センサ64A,64Bは、調理プレート7が載置されていない状態では、ヒータ1A,1Bの上面(調理プレート7が載置される面)よりも上方に突出するように支持されている。これにより、調理プレート7が載置された際に、温度センサ64A,64Bが確実に調理プレート7に接触する。したがって、調理の際の温度を検知でき、開始直後の過度な温度上昇に素早く応答できる(所謂、オーバーシュートを防止できる)。
【0021】
第2安全ユニット62A,62Bは、温度調整ユニット4A,4Bのバイメタルを利用している。温度調整ユニット4A,4Bのバイメタルは、
図5の(b)に示すように、筐体3A,3Bの底部分31A,31Bと調理プレート7の裏面との間の温度を検知する。つまり、ヒータ1A,1Bの周辺雰囲気の温度を検知する。これにより、調理開始時の不安定な温度状態は第1安全ユニット61A,61Bで素早く検知し、調理開始から時間が経過した安定した温度状態は第2安全ユニット62A,62Bで検知できる。なお、第2安全ユニット62A,62Bは、筐体3A,3Bの凹部30A,30Bの周壁に設けられた貫通孔68A,68Bを介して、ヒータ1A,1Bの周辺雰囲気の温度を検知する。
【0022】
3.調理プレート
調理プレート7は、
図4に示すように、ここでは、平板状の第1プレート71,72と、半球状の凹入部73aを複数個有する第2プレート73である。なお、第1プレート71,72は同じ構成であるが、調理用蓋8を載置する方を便宜上第1プレート72とする。
第1プレート71,72及び第2プレート73は、平面視において矩形状をし、一方の短辺部分に係合部74が設けられ、他方の短辺部分に被係合部75が設けられている。係合部74は、
図6に示すように、短手方向に間隔をおいて2個あり、第1・第2調理部A,Bの被係合部53A,53Bに係合(挿入)する。
被係合部75は、
図4に示すように、他方の短辺部分であって短手方向の中央に設けられている。被係合部75は、第1プレート71,72及び第2プレート73の周縁部71b,72b,73bの上面の凹入部分により構成され、
図5の(b)に示すように、当該凹入部分に第1・第2調理部A,Bの係合部54A,54Bが係合する。
第1プレート71,72は、皿状のプレート部71a,72aと、プレート部71a,72aの開口側端からプレート部71a,72aの平坦部分71c,72cと平行な方向であって外方へ張り出す周縁部71b,72bとを有している。
第1プレート71,72は、裏面にヒータ1A,1Bの形状に対応して、
図5に示すように、裏側に延伸する複数のリブ76を有している。リブ76は、ヒータ1A,1Bの外周面に当接するように設けられ、
図6の(a)に示すように、ヒータ1A,1Bの延伸する方向に沿って間隔をおいて複数個設けられている。リブ76は、ヒータ1A,1Bが延伸する方向と直交する方向の寸法(幅)に対して、0.5~3倍の長さを有し、矩形状に近いヒータ1A,1Bに対して、その短辺と長辺の1つの辺に対して2~4個設けられている。これにより、ヒータ1A,1Bから第1プレート71,72に向かう(ここでは、ヒータ1A,1Bから外側に向かう)輻射熱を遮るリブ76が少なくなり、第1プレート71,72の加熱ムラを小さくできる。なお、リブ76は、ヒータ1Aの1Bの内側に沿って設けてもよいし、内側と外側に交互に設けてもよい。
【0023】
4.調理用蓋
調理用蓋8は、
図4及び
図7に示すように、蓋本体80と取手81とを備える。なお、取手81は、蓋本体80の内側から挿通するねじ82が取手81内の固定具83に螺合することで蓋本体80に取り付けられている。
(1)蓋本体
蓋本体80は、調理プレート7の平面視形状に対応した皿状の蓋部80aと、蓋部80aの開口側端に設けられた鍔部80bとを有する。
蓋部80aは、
図7に示すように、天板部分80cの中央部分に凹入部分80dを有している。当該凹入部分80dに取手81が設けられている。これにより、調理用蓋8の厚みを小さくできる。なお、凹入部分80dは、内側、つまり、使用時において調理プレート7側に凹入する。
【0024】
鍔部80bは、蓋部80aの開口側端から水平方向の外方へ張り出す。水平方向は、展開状態又は収容状態において、筐体3A,3Bの底部分31A,31Bや第1プレート72の平坦部分72c(
図4参照)と平行な方向である。
鍔部80bは、
図8に示すように、取手81が外側(調理プレート7と反対側)となる状態で調理用蓋8を第1プレート72に載置した際に、第1プレート72の周縁部72bの内周側に張り出す張出部分80eと、張出部分80eの外周縁から水平方向に平坦状に延伸する平坦部分80fとを少なくとも有する。張出部分80eは、
図8の(a)に示すように、第1プレート72の周縁部72bの内側に位置するように構成されている。これにより、調理用蓋8の第1プレート72に対する位置合わせが容易となる。また、調理用蓋8は、第1プレート72に対して水平方向に位置決めされる。
張出部分80eは、折り曲げ加工により円弧状に形成されている。これにより、調理用蓋8の第1プレート72への載置がスムーズに行える。また、調理用蓋8の開口側端部を補強できる。
鍔部80bは、張出部分80e、平坦部分80f以外に、平坦部分80fの水平方向の外周縁から天板部分80c側の丸められたカール部分80gを有する。これにより、調理用蓋8を使用又は収容する際の安全性を向上できる。
【0025】
(2)取手
取手81は、折り畳み可能に構成されている。具体的には、取手81は、シリコン樹脂等の弾性材料により構成されている。取手81は、
図7の(b)及び(c)に示すように、蓋本体80に固定具83を介して取り付けられる取付部84と、取手81を掴む際に把持する把持部85と、取付部84と把持部85とを折り畳み可能に接続する接続部86とを有する。
ここでの取手81は、使用時には、側面視において「T」字状をし、平面視において円形状をしている。この状態を使用状態とし、折り畳まれた状態を折畳状態とする。
取付部84は、円盤状をし、内部に段付きの貫通孔84aを有している。貫通孔84aの段差部分は蓋本体80側の開口が小さく、段差部分が固定具83と蓋本体80とで挟持される。
把持部85は平面視において環状をしている。ここでは、円環状をしている。把持部85の内周の寸法は、取付部84の外周に接続部86の厚みを加算した寸法に略等しい。
接続部86は、把持部85を取付部84に対して屈曲可能に接続する。具体的には、接続部86は、取付部84に対し外側に折り返し可能に接続し、把持部85に対し内側に折り返し可能に接続する。なお、折畳状態から使用状態にする際には把持部85を引き出し、使用状態から折畳状態にする際には把持部85を押し込む。
取手81は、把持部85の天面(蓋本体80と反対側の面)に、
図4に示すように、環状の把持部85において内周側と外周側とを接続する溝部分85aを有している。これにより、調理用蓋8を収容した際に、把持部85の天面が水分等で第1プレート72の平坦部分72cに吸着した場合でも、溝部分85aで空気が連通するため、第1プレート72から調理用蓋8を容易に取り外しできる。
固定具83は、取付部84の貫通孔84aに嵌合する大きさと形状を有している。固定具83は、取手81よりは硬い樹脂により構成され、貫通孔84a内に収まるように構成されている。これにより、固定具83が調理プレート7に接触することがなくなる。
【0026】
5.状態
(1)収容状態
第1プレート71と第2プレート73とを重ねて筐体3Aの凹部30A内に収容し、取手81を内側にして第1プレート72と共に筐体3Bの凹部30B内に調理用蓋8を収容し、第1調理部Aと第2調理部Bとを重ね合わせた状態では、
図2に示すように、調理用蓋8の取手81を高さ方向に折り畳めるため、ホットプレートXの厚みを小さくできる。
第1調理部Aを第2調理部Bに対してヒンジ部34周りに回動させて重ね合わせた際に、取手81の折り畳みが不十分であっても、取手81がシリコン樹脂で構成されているため、調理用蓋8が大きく変形するようなことを防止できる。
蓋本体80の凹入部分80dは、折畳状態の取手81を平面視したときに、取手81が収まる大きさに構成されている。これにより、折畳状態の取手81の蓋本体80からの突出量を抑えることができ、収容状態のホットプレートXの厚みを小さくできる。
【0027】
(2)使用状態
取手81と凹入部分80dとは、取手81の外周と凹入部分80d(周壁部分)との間に人の指が入るように構成されている。これにより、折畳状態の取手81を引き出しやすくできる。
収容状態において、
図8の(b)に示すように、調理用蓋8の鍔部80bが第1プレート72の周縁部72bと離間するように構成されている。具体的には、第1プレート72に折畳状態の調理用蓋8を載置した際に、蓋本体80が第1プレート72に離間するように、調理用蓋8が取手81により支持される。これにより、収容状態の調理用蓋8を取り出す際に、第1プレート72と調理用蓋8との間に指が入りやすくできる。
取手81は、
図7の(c)に示すように、折畳状態において蓋本体80の天板部分80cから張り出すように構成されている。これにより、収容状態の調理用蓋8を取り出す際に、調理用蓋8の鍔部80bの1か所を押し込むことで、取手81に対して押し込んだ部分と反対側において、第1プレート72と調理用蓋8との間隔が大きくなる。これにより、第1プレート72と調理用蓋8との間に指が入りやすくできる。
【0028】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。第1実施形態と同じ又は対応する構成の符号には、第1実施形態の符号に「200」を加算した数字を主に利用する。例えば、調理用蓋の符号は、第1実施形態の調理用蓋の「8」に「200」を加算した「208」としている。図面に現れている符号についての構成の説明がない場合は、第1実施形態の対応する構成の説明と同様とする。
【0029】
1.全体
図9及び
図10を用いて説明する。
ホットプレートX2は、第1調理部A2と、第2調理部B2と、2以上の調理プレート207と、調理用蓋208とを有し、第1調理部A2と第2調理部B2とを重ね合わせ可能であると共に第1調理部A2と第2調理部B2との間に調理プレート207と調理用蓋208とを収容することができる。
ここでの第1調理部A2と第2調理部B2は、使用状態を基準にした平面視において、隣接する方向が短い矩形状又はこれらに似た形状をし、
図10に示すように、展開させて使用される。
図10では、第1調理部A2に第1プレート271と第2プレート273とが配され、第2調理部B2に第1プレート272と調理用蓋208とが載置されている。なお、
図10の(a)は展開した状態であり、調理用蓋208の取手281が下面側にある。
第1調理部A2と第2調理部B2は、隣接する一辺でヒンジ部234により折り畳み可能に結合されている。第2実施形態においても、
図9の状態を収容状態とし、
図10の状態を展開状態又は使用状態とする。
以下、各部について説明する。
【0030】
2.調理部
第1調理部A2と第2調理部B2は、形状等が若干異なるが、第1実施形態と同様に、同じ機能を有する部材を有している。共通部分を説明する際、第1調理部A2及び第2調理部B2を単に、「第1・第2調理部」とし、第1調理部A2側の構成に「A」を、第2調理部B2側の構成に「B」をそれぞれ付して説明する。例えば、第1調理部A2の筐体の符号を「203A」とし、第2調理部B2の筐体の符号を「203B」とし、これらを区別する必要がない場合、筐体203A,203Bとする。
また、第1調理部A2と第2調理部B2の一方の構成が図面に現れていない場合も、「A」、「B」を付している。つまり、符号に「A」や「B」が付されている場合、図面に現れていない場合でも、その構成を有するものとする。
【0031】
第1・第2調理部A2,B2は、
図11及び
図12に示すように、調理プレート207(ここでは、271,273である)を加熱するためのヒータ201A,201Bと、各ヒータ201A,201BのON/OFFや温度設定するための操作レバー202A,202Bと、操作レバー202A,202Bの操作にしたがってヒータ201A,201BのON/OFFや温度調整する温度調整ユニット204A,204B(図示省略)を筐体203A,203Bに備える。
第1・第2調理部A2,B2は、上記構成以外に、例えば、調理プレート207を保持(支持)する第1保持(支持)手段251A,251B、収容状態を保持する第2保持手段252A,252B、ヒータ1A,1Bの過度な温度上昇を防止する安全ユニット206A,206Bを備えてもよく、ここでは、これらすべてを備えている。
【0032】
(1)筐体
筐体203A,203Bは、
図11及び
図12に示すように、収容状態において対向する面から矩形状に凹入する凹部230A,230Bを有し、凹部230A,230Bの底部分に、ヒータ201A,201Bと第1安全ユニット261A,261Bが設けられている。
筐体203A,203Bにおける凹部230A,230Bの開口周辺部は、凹部230A,230Bの一方の長辺側にヒンジ部分235A,235Bが設けられ、凹部230A,230Bの他方の長辺側にハンドル部232A,232Bと第2保持手段252A,252Bが設けられている。
【0033】
筐体203A,203Bは、
図11及ぶ
図12に示すように、外表面を構成する樹脂製の外筐体233A,233Bと、凹部230A,230Bを構成する金属製の内筐体236A,236Bと、外筐体233A,233Bと内筐体236A,236Bの上端の隙間を覆う樹脂製の上筐体239A,239Bとから構成されている。
筐体203A,203Bは、展開状態において底外面(設置面と対向する面又は外表面である)に、
図9に示すように、短手方向又は長手方向に延伸する突条部231A,231Bを複数本有している。これにより表面積を広くでき放熱特性を向上できる。また、突条部231A,231Bにより、外筐体233A,233Bの底壁(表壁)を補強できる。
筐体203A,203Bは、凹部230A,230Bの長手方向の一方端又は両端に段差部293A,293Bを有している。これにより、調理プレート207と凹部230A,230Bとの間の空間が小さくなり、加熱効率を高めることができる。
筐体は203A,203Bは、
図11及び
図12に示すように、第1保持手段251A,251Bの係合部254A,254Bに隣接して凹み部294A,294Bを有している。凹み部294A,294Bは、装着状態の調理プレート207の下側に指が入る大きさに構成されており、調理プレート207を凹部230A,230Bから取り出しやすくできる。また、片手で、係合部254A,254Bの解除と調理プレート207の取り外しを片手でも可能となる。
【0034】
ハンドル部232A,232Bは、
図9にも示すように、収容状態において筐体203A,203Bにより構成される箱状の1面に設けられている。ここでは、筐体203Aと筐体203Bとを連結するヒンジ部分235A,235Bと反対側の面に設けられている。
ハンドル部232A,232Bは、ヒンジ部分235A,235Bのヒンジ軸と平行な回動軸により回動可能に支持されている。
ハンドル部232A,232Bは、回動軸側から延伸する一対の延伸部分237A,237Bと、一対の延伸部分237A,237Bの先端同士を接続するハンドル部分238A,238Bとを有する「コ」字状をしている。延伸部分237A,237Bは、筐体203A,203Bに沿ってハンドル部232A,232Bが倒された際に、筐体203A,203Bの外周面に沿うように、湾曲している。これにより、使用する際にハンドル部232A,232Bが邪魔になるようなことを抑制できる。ハンドル部232A,232Bは、持ち運びの際にハンドル部232A,332Bを起こしたときにハンドル部分238A,238B同士が当接するように、筐体203A,203Bに支持されている。これにより、ハンドル部232A,232Bを持ちやすくできる。
【0035】
(2)ヒータ
ヒータ201A,201Bは、
図11及び
図12に示すように、凹部230A,230Bに対応した矩形状の一方の短辺の中央部分が欠け、他方の端辺が一方の短辺側に向かって凹入するような形状をしている。ヒータ201A,201Bは、展開状態で上方から見ると、「M」字状又はこれに似た形状をしている。
ヒータ201A,201Bは、1本のシーズヒータにより構成され、その端部が凹部230A,230Bの貫通孔を挿通するように立設した後に、凹部230A,230Bの底部分と平行な平面内をM字状に延伸している。ヒータ201A,201Bは、
図13に示すように、底部分から立設する一対の立設部211A,211Bと、立設部211A,211Bの先端から短手方向の外方へ延伸する一対の短延伸部212A,212Bと、一対の短延伸部212A,212Bから長手方向に延伸する一対の外長延伸部213A,213Bと、外長延伸部213A,213Bから短手方向の内方へ折り返された一対の半円状の折返部214A,214Bと、一対の折返部214A,214Bから長手方向に延伸する内長延伸部215A,215Bと、内長延伸部215A,215Bを連結する半円状の連結部216A,216Bとを有する。
ヒータ201A,201Bは、一対の外長延伸部213A,213B間の短手方向の中央であって、短延伸部212A,212Bと折返部214A,214Bの間の長手方向の中央が凹部230A,230Bの中央に位置するように、配されている。
図13に示すように、短手方向に隣接する外長延伸部213A,213Bと内長延伸部215A,215Bとの短手方向の間隔は、一対の内長延伸部215A,215Bの短手方向の間隔に対して、0.9~1.1の範囲にある。これにより、調理プレート207を短手方向において均等に加熱できる。
長手方向において、折返部214A,214Bと連結部216A,216Bとの長手方向の間隔L2は、短延伸部212A,212Bと折返部214A,214Bとの長手方向の間隔L1に対して、1/2以上となっている。具体的には、55~75%の範囲内にある。これにより、調理プレート207を長手方向において均等に加熱できる。
ヒータ201A,201Bは、
図13に示すように、ヒータ支持具217A,217Bにより複数箇所で支持されている。ヒータ201A,201Bの上面は、調理プレート207との接触面積を確保するために平坦面となっている。
【0036】
(3)第1保持手段
第1保持手段251A,251Bは、
図12に示すように調理プレート207の係合部274が係合する被係合部253A,253Bと、
図10の(a)に示すように係合状態にある調理プレート7に係合する係合部254A,254B(
図3参照)とを備える。
【0037】
(3-1)被係合部
ここでは、調理プレート207の係合部274は、
図11に示すように凹部230A,230Bの底部分と平行に延出する延出部分により構成され、被係合部253A,253Bは、
図12に示すように、係合部274が挿抜可能な孔部分により構成されている。ここでは、
図10の(b)に示すように第1プレート271と第2プレート273とを重ねて収容するため、
図14の(b)に示すように、上下に設けられた2個の孔部分295A,295Bにより、構成されている。これにより、1個の調理プレート207を使用する場合は、底側の孔部分295A,295Bを利用することで、調理プレート207の上下のガタツキが規制される。
また、孔部分295A,295Bは、2個の凹部を有する金属材料から構成される孔形成具291A,291Bにより構成され、孔形成具291A,291Bは、筐体203A,203Bの上筐体239A,239Bにねじ等(図示省略)により取り付けられている。これにより、係合部274と接触する孔形成具291A,291Bの耐熱性が確保される。また、孔形成具291A,291Bを金属材料で構成することで、上筐体239A,239Bを樹脂材料で構成できる。
【0038】
(3-2)係合部
係合部254A,254Bは、
図14の(c)に示すように、上下に間隔をおいて設けられた係合部分256A,256B、257A,257Bと、ストッパー部分250A,250Bを有する係合片255A,255Bと、係合片255A,255Bを調理プレート207側に付勢するばね258A,258Bと、係合片255A,255Bの下面側に設けられた金属プレート260A,260Bとを備えるロック機能付きである。金属プレート260A,260Bを備えているため、係合片255A,255Bを樹脂材料で構成しても耐熱性を確保できる。
【0039】
(4)第2保持手段
第2保持手段252A,252Bは、
図11及び
図12に示すように、ハンドル部232A,232Bの近傍に設けられている。具体的には、第2保持手段252A,252B9は、ハンドル部232A,232Bに対して回動軸の外方に設けられている。これにより、保持する際及び解除する際に、ハンドル部232A,232Bが邪魔になることが少なく、操作性を向上できる。また、ハンドル部232A,232Bの両側で保持されるので、第2保持部材が1か所に設けられるより、強固に保持できる。
第1調理部A2の筐体203Aに設けられた第1係合部259A(
図11参照)と、第2調理部B2の筐体203Bに設けられた第2係合部259B(
図12参照)とを備える。ここでは、第1係合部259Aである係合片が、ヒンジ部234やハンドル部232A,232Bと平行な仮想軸周りに回動可能に支持され、第2係合部259Bである係合棒に係合する。つまり、第2保持手段252A,252Bはバックルタイプの保持手段である。なお、第1係合部259Aと第2係合部259Bの係合関係は逆であってもよい。
【0040】
(5)安全ユニット
安全ユニット206A,206Bは、少なくとも、調理プレート207に直接接触する第1安全ユニット261A,261Bと、ヒータ201A,201Bの周辺に配された第2安全ユニット262A,262Bとを備える。
第1安全ユニット261A,261Bは、
図13等に示すように、展開状態の平面視において、一対の内長延伸部215A,215B間の短手方向の略中央であって折返部214A,214Bと連結部216A,216Bとの間の長手方向の略中央に設けられている。これにより、安定した温度管理が可能となる。
第1安全ユニット261A,261Bは、展開状態を上方から見たときに矩形状をする凹部230A,230Bの中央から立設部211A,211Bと反対側にズレている。立設部211A,211Bと反対側は、一対の内長延伸部215A,215B、連結部216A,216B及び折返部214A,214Bとがあり、温度が上昇しやすい傾向にあり、調理プレート207の高温となりやすい箇所での温度管理が可能となる。
【0041】
第1安全ユニット261A,261Bは、
図14に示すように、凹部230A,230Bに対して上下動可能な取付具263A,263Bと、取付具263A,263Bに取り付けられた温度センサ264A,264Bと、取付具263A,263Bの鍔部265A,265Bの挿通孔を通り且つ凹部230A,230Bに固定される棒状の固定具266A,266Bと、固定具266A,266Bに設けられ且つ取付具363A,263Bの鍔部265A,265Bを調理プレート207側に付勢する付勢体(バネ体)267A,267Bとを備えている。なお、付勢体267A,267Bは、固定具266A,266Bの頭部と取付具263A,263Bの鍔部265A,265Bとの間に配され、固定具266A,266Bの頭部と反対側端部が固定されている。
固定具266は、
図13の(b)に示すように、3か所以上に設けられている。ここでは、3個あり、展開状態を上方から見たときに、正三角形の頂点位置に配されている。これにより、取付具263A,263Bをバランスよく支持できる。
【0042】
第2安全ユニット262A,262Bは、第1実施形態と同様に、温度調整ユニット204A,204Bのバイメタルを利用し、筐体203A,203Bの凹部230A,230Bの周壁に設けられた貫通孔268A,268Bを介して、調理プレート207の周辺雰囲気の温度を検知する。
貫通孔268A,268Bは、
図12に示すように、段差部293A,293Bにおける凹部230A,230Bの内部側に位置する部分に設けられている。これにより、バイメタルが熱源である調理プレート207に近くなり、バイメタルの反応速度が速くなり、調理プレート207の温度を早期に安定させることができる。
【0043】
3.調理プレート
調理プレート207は、
図10に示すように、ここでは、平板状の第1プレート271と、突条部272cを有する第1プレート272と、半球状の凹入部273aを複数個有する第2プレート273である。
第1プレート271,272及び第2プレート273は、第1実施形態と同様に、係合部274(
図11参照)、被係合部275(
図11、
図14の(c)参照)とを有する。
第1プレート271,272は、第1実施形態と同様に、プレート部271a,272a、周縁部271b,272b、リブ276を有している。
第2プレート273は、第1実施形態と同様に、プレート部273cと、プレート部273cに設けられた複数個の凹入部273a、周縁部273b、リブ276を有している。
第1プレート271,272及び第2プレート273は、ヒータ201A,201Bの上面と当接する平坦状の当接部277を有している。なお、リブ276は当接部277の外周側に設けられている。
第1プレート271,272は、
図11、
図12及び
図14の(a)に示すように、第1安全ユニット261A,261Bの温度センサ264A,264Bと接触する接触部278をプレート部271a,272aの裏面に有している。接触部278は、プレート部271a,272aから下方に突出し、温度センサ264A,264Bを下方に押し下げるように設けられている。これにより、第1プレート271,272と温度センサ264A、264Bとが確実に接触する。
【0044】
<その他>
(1)構成1
第1プレート71と第2プレート73とを重ねて筐体3Aの凹部30A内に収容し、取手81を内側にして第1プレート72と共に筐体3Bの凹部30B内に調理用蓋8を収容し、第1調理部Aと第2調理部Bとを折り畳んだ状態では、
図2に示すように、調理用蓋8や第2プレート73は凹部30A,30B内に位置する。これにより、調理用蓋8と第2プレート73とが干渉することはない。
これに対し、背景技術で説明した特許文献1では、プレート43及び蓋体40が制御側本体と非制御側本体(以下、単に「本体」とする)にセットされている状態でそれぞれのツバ部が本体からはみ出る程度の大きさとなっているため、プレート43と蓋体40を本体内に収納して本体を折り畳んだ状態とした際もツバ部は本体からはみ出た状態となる。このため、プレート43と蓋体40とがツバ部で干渉して、ツバ部を傷つけるようなことが生じする。なお、プレート43のツバ部が傷つくと、コーティングの剥がれによる錆付等のおそれも生じる。
したがって、上記の構成1は、特許文献1において、ツバ部を傷つけるという課題を解決する。なお、ツバ部を傷つけるという課題に着目した場合、調理用蓋8の取手は折り畳み可能でなくてもよいし、調理用蓋8の構成、調理プレート7、安全ユニット6A,6Bの構成は特に限定するものではない。なお、特許文献1に記載の構成は当該文献の用語で説明している。
【0045】
(2)構成2
第1プレート71と第2プレート73とを重ねて筐体3Aの凹部30A内に収容し、取手81を内側にして第1プレート72と共に筐体3Bの凹部30B内に調理用蓋8を収容した状態で、第1調理部Aをヒンジ部34周りに回動させて第2調理部Bに重ね合わせた状態では、
図2に示すように、調理用蓋8の取手81が第1プレート72の平坦部分72cに当接し、さらに、取手81はシリコン樹脂により構成されている。これにより、調理用蓋8は、第1プレート72に対して摺動し難くなり、第1プレート72を傷つけるようなことを防止できる。また、取手81の平坦部分72cに当接するため、調理用蓋8は、第1保持手段51Bの係合部54Bにより係合されているだけであるが、その移動が規制される。このように、簡単な構造で調理用蓋8の移動を規制できる。
これに対し、特許文献1では、プレート43と蓋体40のツバ部同士を重ねて収納しているだけであり、ツバ部同士の位置ずれも起こり得る。そして、位置ずれした状態で本体を持ち運んだ場合には、ずれた部分に物が衝突しやすくなり、プレート43と蓋体40との摺動部分で傷がついたり、コーティングの剥がれによる錆付き等のおそれもある。
したがって、上記の構成2は、特許文献1において、持ち運びの際にプレートと蓋体とが位置ずれしやすいという課題を解決する。なお、位置ずれしやすいという課題に着目した場合、調理用蓋8の取手は折り畳み可能でなくてもよいし、調理用蓋8の構成、調理プレート7、安全ユニット6A,6Bの構成は特に限定するものではない。なお、特許文献1に記載の構成は当該文献の用語で説明している。
【0046】
(3)構成3
取手81を内側にして第1プレート72と共に筐体3Bの凹部30B内に調理用蓋8を収容する際に、取手81が第1プレート72に当接する調理器具又は調理装置において、取手81はシリコン樹脂により構成されている。これにより、調理用蓋8は、第1プレート72に対して摺動し難くなり、第1プレート72を傷つけるようなことを防止できる。
これに対し、特許文献1では、蓋把手部41は樹脂で構成されており、プレート43と蓋把手部41とが摺動すると、プレート43に傷がついたり、コーティングの剥がれによる錆付き等のおそれもある。
したがって、上記の構成3は、特許文献1において、プレートと蓋体の蓋把手部とが摺動して傷つきやすいという課題を解決する。なお、摺動による傷がつきやすいという課題に着目した場合、調理用蓋8の取手は折り畳み可能でなくてもよいし、調理用蓋8の構成、調理プレート7、安全ユニット6A,6Bの構成は特に限定するものではない。なお、特許文献1に記載の構成は当該文献の用語で説明している。また、この課題は、調理容器と調理用蓋とを備える調理器具や調理装置にも適用できる。
【0047】
(4)構成4
第1・第2調理部A,Bは、一部が欠けた環状又は環状に近い形状のヒータ1A,1Bと、前記一部が欠けた環状又は環状に近い形状の中央位置に配され且つ調理プレート7に接触する温度センサ64A,64Bを備えている。これにより、加熱開始後の温度上昇による過度な温度(オーバーシュート)となることを防止できる。
これに対し、例えば、特開2017-93727公報の特許文献2では、実施形態で説明した第2安全ユニットを備えているだけであり、加熱開始後にオーバーシュートする可能性があった。
したがって、上記の構成4は、特許文献2において、加熱開始後にオーバーシュートする可能性があるという課題を解決する。なお、オーバーシュートの課題に着目した場合、調理用蓋8、調理プレート7、第1・第2調理部A,Bの折り畳み構造等を限定するものではない。また、この課題は、調理器具とヒータとを備える調理装置にも適用できる。
【0048】
(5)構成5
第1プレート71,72は、ヒータ1A,1B側に延伸する複数のリブ76をヒータ1A,1Bの延伸方向に沿って間隔をおいて有する。これにより、ヒータ1A,1Bから第1プレート71,72に向かう輻射熱を遮るリブが少なくなり、第1プレート71,72の加熱ムラを小さくできる。
これに対し、上記特許文献2では、ヒータの延伸方向に沿ってその両側にリブを有し、輻射熱がリブで遮られた部分での加熱温度が低く、加熱ムラが生じていた。
したがって、上記の構成5は、特許文献2において、加熱ムラが大きいという課題を解決する。なお、加熱ムラに着目する場合、調理用蓋8、調理プレート7、第1・第2調理部A,Bの折り畳み構造等を限定するものではない。また、この課題は、調理器具とヒータとを備える調理装置にも適用できる。
【0049】
以上、第1及び第2実施形態を説明したが、これらの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と各変形例、各変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態等や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0050】
<変形例>
1.調理器具
調理器具は、被調理物を調理するための調理容器と、調理容器を覆う取手付きの調理用蓋とを備える調理器具であればよく、例えば、蓋つきの調理用の鍋、フライパン、やかん等であってもよい。
2.調理装置
調理装置は、調理容器を調理のため加熱できればよく、例えば、ホットプレートの他、ポット、ヒータ付きの圧力容器(圧力釜)等であってもよい。また、ホットプレートは、両面タイプであってもよいし、片面タイプであってもよい。
【0051】
3.ホットプレート
実施形態では、第1調理部Aと第2調理部Bは、ヒンジ部34を利用して回動可能に連結していたが、ヒンジ部を利用しない構造としてもよい。このような構造としては、例えば、独立状態の第1調理部Aと第2調理部Bとを重ね合わせ、バックル、ベルト等の保持部又は保持体により、重ね合わせ状態を保持するようにしてもよい。
【0052】
4.調理部
第1・第2調理部A,Bのヒータ1A,1Bは、1本のシーズヒータを利用しているが、複数本のシーズヒータを利用してもよい。第1安全ユニット61A,61Bを設ける場合は、平面視において、複数本のシーズヒータの周縁からなる図形の重心となる位置に、設ければよい。
第1・第2調理部A,Bのヒータ1A,1Bは、短辺の一部が欠けた矩形状(環状)をしていたが、一部が欠けた三角形状等の多角形の環状、一部が欠けた楕円状、円状、長円上等の形状であってもよい。
ヒータ201A,201Bの折返部214A,214Bと連結部216A,216Bは半円状をしているが、直線状をしてもよいし、半長円状、半楕円状をしてもよい。また、短延伸部212A,212B、外長延伸部213A,213B、内長延伸部215A,215Bは、直線状をしているが、湾曲してもよい。
ハンドル部232A,232Bは、収容状態においてヒンジ部分235A,235Bが設けられた面と対向する面に設けられているが、隣接する他の面に設けられてもよい。例えば、操作レバー202A,202Bが設けられている面にハンドル部を設ける場合、操作レバー202A,202Bの位置を変更したり、干渉しないようにすることで実施できるし、操作レバー202A,202Bをヒンジ部分235A,235Bと対向する面や第1保持手段251A,251Bが設けられている側の面に設けてもよい。
第2安全ユニット262A,262Bは、筐体203A,203Bの貫通孔268A,268Bを介して、調理プレート207の周辺雰囲気の温度を検知していたが、例えば、段差部293A,293Bにおける凹部230A,230Bの内部側に位置する部分に当接させて、凹部230A,230Bから伝わる熱の温度を測定してもよい。この際も、調理プレート207の段差部293A,293Bに設けることにより、バイメタルが調理プレート207と近くなり、バイメタルの反応速度が速くできる。なお、凹部230A,230Bの貫通孔268A,268Bを利用して第2安全ユニット262A,262Bをビスで凹部230A,230Bに固定するようにしてもよい。
【0053】
5.調理用蓋
(1)蓋本体
蓋本体80は、平面視において矩形状をしていたが、ホットプレート及び/又は調理プレートが円状、楕円状等をしている場合は、それらに合わせて円状、楕円状としてもよい。
蓋本体80は、凹入部分80dを有していたが、調理用蓋8の厚み(高さ)に着目しない場合は、凹入部分を有していなくてもよいし、逆に突出部分を設けてもよい。
凹入部分80dは、平面視において取手81と同様の形状をしていたが、折畳状態の取手81と干渉しない大きさであれば、その形状は取手と異なってもよい。ただし、折畳状態の取手81の把持部85の引き出しやすさを考慮すると、折畳状態の把持部85と凹入部分80dとの間に指が入る空間が形成されるのが好ましい。
(2)取手
取手81は、平面視において円形状をしているが、折り畳み可能であれば、他の形状であってもよい。ただし、折り畳みと引き出しとの繰り返し使用の耐久性を考慮すると、円形状が好ましい。
【符号の説明】
【0054】
X ホットプレート
A 第1調理部
B 第2調理部
1 ヒータ
3 筐体
4 温度調整ユニット
6 安全ユニット
7 調理プレート
8 調理用蓋