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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132071
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】パネルを固定するための治具と方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193161
(22)【出願日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2021029926
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】日村 みのり
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174BA01
2E174DA14
2E174DA34
(57)【要約】
【課題】パネルを安全に低コストで固定するための治具と方法を提供する。
【解決手段】この治具は、第1の方向に延伸するフレーム、パネル固定具、および少なくとも一つのドライバユニットを備える。ドライバユニットは、フレームに着脱可能なように連結される。パネル固定具は、アーム、パネルホルダ、第1の吊環、および第2の吊環を有する。アームは、フレームの第1の側において第1の方向に垂直な第2の方向に延伸し、一端がフレームに着脱可能なように連結される。パネルホルダは、アームの他端に連結される。第1の吊環は、アームの上記一端側に配置され、アーム上においてアームに直接または間接的に連結される。第2の吊環は、上記他端側に配置され、パネルホルダと直接または間接的に連結される。ドライバユニットは、電動ドライバを保持しながら第1の側において第2の方向に可逆的にスライドするスライドシャフトを有するスライド機構を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延伸するフレーム、
パネル固定具、および
前記フレームに着脱可能なように連結される少なくとも一つのドライバユニットを備え、
前記パネル固定具は、
前記フレームの第1の側において前記第1の方向に垂直な第2の方向に延伸し、一端が着脱可能なように前記フレームに連結されるアーム、
前記アームの他端に連結されるパネルホルダ、
前記一端側に配置され、前記アーム上において前記アームに直接または間接的に連結される第1の吊環、および
前記他端側に配置され、前記パネルホルダと直接または間接的に連結される第2の吊環を有し、
前記少なくとも一つのドライバユニットは、電動ドライバを保持しながら前記第1の側において前記第2の方向に可逆的にスライドするスライドシャフトを有するスライド機構を備える、建築物に固定された胴縁にパネルを固定するための治具。
【請求項2】
前記第1の吊環と前記第2の吊環は、前記第1の方向および前記第2の方向の両方と垂直な第3の方向に延伸するロッドを介して前記アームに連結される、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記パネルホルダは、前記アームの下に位置し、前記パネルの長辺を保持するように構成される、請求項1に記載の治具。
【請求項4】
前記少なくとも一つのドライバユニットは、前記パネルと前記胴縁を一時的に固定するための万力をさらに有する、請求項1に記載の治具。
【請求項5】
前記万力は、互いに対向する固定顎とスライド顎を備え、
前記固定顎とスライド顎の少なくとも一方の主面は、他方の主面に対向する突起部を有する、請求項4に記載の治具。
【請求項6】
前記フレームに着脱可能なように連結され、前記スライド機構を駆動するための動力を供給する駆動ユニットをさらに備え、
前記少なくとも一つのドライバユニットはさらに、前記駆動ユニットと前記スライド機構に接続されるスイッチを有する、請求項1に記載の治具。
【請求項7】
前記パネルホルダは、前記第1の方向に延伸する軸を中心に前記アームに対して回転するように構成される、請求項1に記載の治具。
【請求項8】
前記パネルホルダは、前記アームに着脱できるように構成される、請求項1に記載の治具。
【請求項9】
前記パネルホルダは、
前記アームに連結されるカバー、
前記カバーに覆われ、前記第1の方向と前記第2の方向に垂直な第3の方向に延伸する軸を中心に回転するストッパーを有し、
前記軸に垂直な平面における前記ストッパーの長さと幅は、互いに異なる、請求項1に記載の治具。
【請求項10】
前記少なくとも一つのドライバユニットは複数のドライバユニットを含み、
前記複数のドライバユニットのうち少なくとも一つは、前記フレームに着脱できるように連結され、前記第1の側に位置するスペーサを有する、請求項1に記載の治具。
【請求項11】
前記複数のドライバユニットのうちの前記少なくとも一つはさらに、
前記胴縁と前記パネルを固定する万力、および
前記万力に連結され、前記スペーサの一部を前記万力との間で挟むことで前記スペーサを前記万力に固定するように構成されるクランプを有する、請求項10に記載の治具。
【請求項12】
パネルを治具で保持すること、
建築物に取り付けられた胴縁と前記治具の間に前記パネルが位置するよう、前記パネルと前記治具を配置すること、および
前記治具に取り付けられた電動ドライバを用い、前記パネルを介して前記胴縁にビスを打ち付けることで、前記パネルを前記胴縁に固定することを含む、パネルを胴縁に固定する方法。
【請求項13】
前記治具は、
第1の方向に延伸するフレーム、および
パネル固定具を備え、
前記パネル固定具は、
前記フレームの第1の側において前記第1の方向に垂直な第2の方向に延伸し、一端が着脱可能なように前記フレームに連結されるアーム、
前記アームの他端に連結されるパネルホルダ、および
前記一端側に配置され、前記アーム上において前記アームと直接または間接的に連結される第1の吊環、および
前記他端側に配置される、前記パネルホルダと直接または間接的に連結される第2の吊環を有し、
前記パネルの前記治具による保持は、前記パネルの長辺を前記パネルホルダで保持することによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の吊環と前記第2の吊環は、前記第1の方向および前記第2の方向と垂直な第3の方向に延伸するロッドを介して前記アームに連結される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パネルと前記治具の前記配置は、前記第1の吊環および第2の吊環を用いて行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記治具はさらに、前記フレームに着脱可能なように連結される少なくとも一つのドライバユニットを備え、
前記少なくとも一つのドライバユニットは、前記電動ドライバを保持しながら前記第1の側において前記第2の方向に可逆的にスライドするスライドシャフトを有するスライド機構を備え、
前記ビスの打ち付けは、前記電動ドライバで前記ビスを回転しながら前記スライドシャフトを前記パネル側へスライドさせることで行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも一つのドライバユニットは万力をさらに有し、
前記方法は、前記万力を用いて前記パネルと前記胴縁を一時的に固定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記パネルの前記固定後に前記パネルを前記治具から分離することをさらに含み、
前記パネルホルダは、前記第1の方向に延伸する軸を中心に前記アームに対して回転するように構成され、
前記パネルの前記治具からの前記分離は、前記軸を中心として前記パネルホルダを回転しながら行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記パネルの前記固定後に前記パネルを前記治具から分離することをさらに含み、
前記パネルホルダは、前記アームに着脱できるように構成され、
前記パネルの前記治具からの前記分離は、前記パネルホルダを前記アームから分離することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記パネルと前記治具の位置関係を安定化させることをさらに含み、
前記治具の前記少なくとも一つのドライバユニットは複数のドライバユニットを含み、
前記複数のドライバユニットのうち少なくとも一つは、前記フレームに着脱できるように連結され、前記第1の側に位置するスペーサを有し、
前記安定化は、前記スペーサを前記パネルに直接または間接的に当接させることで行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のドライバユニットのうちの前記少なくとも一つは、
前記胴縁と前記パネルを固定する万力、および
前記万力に連結されるクランプを有し、
前記安定化は、前記スペーサの一部を前記万力と前記クランプの間で挟むことで行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記パネルと前記治具の前記配置は、
前記第1の吊環と前記第2の吊環にそれぞれ通された第1のケーブルと第2のケーブルを用いて前記パネルが保持された前記治具を吊り上げること、
前記パネルが前記胴縁と前記治具の間に位置した状態で、前記第2のケーブルを外すこと、および
前記第1のケーブルを用いて前記治具の傾きを修正することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、建築物の外壁として用いられるパネルを胴縁に固定するための治具と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫などの物流施設や工場、商業ビルなどの大規模建築物は、建築物の骨格となる躯体を構築し、躯体に外壁やルーバー、建具、窓などが取り付けられて施工されることが多い。大規模建築物に特殊な外観形状やデザインが要求されない場合には、ロックウールなどの不燃断熱材を鋼板で挟み込んだ外壁パネル(以下、単にパネルと記す)で外壁を構成することで、短い工期で建築物を施工することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-116823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、建築物の躯体に固定された胴縁に対し、建築物の外壁として用いられるパネルを安全に、低コストで、あるいは短い工期で固定するための治具と方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、建築物の躯体に固定された胴縁に対し、建築物周囲に足場を組み立てることなく建築物内部でパネルを固定するための治具と方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、建築物に固定された胴縁にパネルを固定するための治具である。この治具は、フレーム、パネル固定具、および少なくとも一つのドライバユニットを備える。フレームは第1の方向に延伸する。少なくとも一つのドライバユニットは、フレームに着脱可能なように連結される。パネル固定具は、アーム、パネルホルダ、第1の吊環、および第2の吊環を有する。アームは、フレームの第1の側において第1の方向に垂直な第2の方向に延伸し、一端がフレームに着脱可能なように連結される。パネルホルダは、アームの他端に連結される。第1の吊環は、アームの上記一端側に配置され、アーム上においてアームに直接または間接的に連結される。第2の吊環は、上記他端側に配置され、パネルホルダと直接または間接的に連結される。少なくとも一つのドライバユニットは、電動ドライバを保持しながら第1の側において第2の方向に可逆的にスライドするスライドシャフトを有するスライド機構を備える。
【0006】
本発明の実施形態の一つは、建築物に取り付けられた胴縁にパネルを固定するための方法である。この方法は、パネルを治具で保持すること、建築物に取り付けられた胴縁と上記治具の間にパネルが位置するよう、パネルと上記治具を配置すること、および上記治具に取り付けられた電動ドライバを用い、パネルを介して胴縁にビスを打ち付けることで、パネルを胴縁に固定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する正面図、およびパネルと胴縁の端面図。
図2】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の上面図と背面図。
図3】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の端面図。
図4】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の斜視図。
図5】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の端面図。
図6】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の上面図、底面図、および端面図。
図7】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の端面図。
図8】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の斜視図。
図9】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の側面図と上面図。
図10】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の側面図。
図11】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の側面図と上面図。
図12】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の斜視図。
図13】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の正面図。
図14】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の端面図。
図15】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の斜視図。
図16】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の斜視図。
図17】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の斜視図。
図18】本発明の実施形態の一つである、パネルを固定するための治具の側面図と上面図。
図19】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する側面図。
図20】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する斜視図。
図21】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する側面図。
図22】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する斜視図。
図23】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する側面図。
図24】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する側面図。
図25】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定方法を説明する端面図。
図26】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定するための治具の側面図と上面図。
図27】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定するための治具の側面図と上面図。
図28】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定するための治具の側面図。
図29】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定するための治具の側面図。
図30】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定するための治具の斜視図。
図31】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定するための治具の斜視図。
図32】本発明の実施形態の一つである、パネルの固定するための治具の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。符号が付された要素の一部を表記する際には、符号に小文字のアルファベットが添えられる。
【0010】
以下、本発明の実施形態の一つに係る、パネルを胴縁に固定するための治具、およびこの治具を用いるパネルの胴縁への固定方法について説明する。具体的には、建築物内における操作によって建築物に固定された胴縁にパネルを固定するための治具と方法について説明する。
【0011】
1.胴縁とパネル
図1(A)に示すように、パネル20が固定される建築物10は、例えば図示しない杭または基礎コンクリートに連結される基礎梁12、基礎梁12と連結される躯体14、16を基本骨格として有する。躯体14、16によって建築物10の外部形状が主に決定される。躯体14、16には、鉛直方向に延伸する複数の胴縁18が固定される。詳細は後述するが、本発明の実施形態に係るパネル固定方法では、ケーブル26を介して揚重機によって各パネル20と治具100が連結された状態で同時に吊り上げられる、あるいは両者が吊り上げた後に互いに連結される。パネル20が治具100と胴縁18の間に位置するよう、パネル20と治具100が配置され、その後、ねじや釘などの固定具(以下、パネル20を固定するための固定具を総じてビス24と記す)を用いてパネル20が胴縁18に固定される。
【0012】
胴縁18はパネル20を支持する機能を有し、アルミニウムや鉄などの金属、あるいはステンレスなどの合金、木材、あるいは樹脂を含む、直線状に延伸するフレームである。胴縁18は、一方向に延伸する板、中空管、あるいは空洞を持たないロッドでもよい。例えば胴縁18は、所謂リップ付き溝形鋼でもよく、あるいは断面が閉じた形状を有する角鋼管でもよい。胴縁18は、リップを持たない溝形鋼(平行フランジ溝形鋼)やH鋼でもよい。胴縁18の外表面の少なくとも一部は、胴縁18が延伸する方向の全体にわたって平坦であり、この平坦面にパネル20が配置、固定される。胴縁18の長さや幅、厚さは任意であり、例えば日本工業規格(JIS)G 3350を満たすように構成してもよい。
【0013】
パネル20は、木材、セメント、金属、ロックウールなどの鉱物繊維、ケイ酸カルシウム、石膏、樹脂などを含み、単層構造、あるいは積層構造を有するように構成される。例えばグラスウールやロックウールなどの鉱物繊維、セルロースファイバーなどの天然高分子由来の繊維、ポリウレタンやポリスチレン、またはフェノール樹脂を含む発泡プラスチックなどの断熱材、ケイ酸カルシウム、石膏などを板状に加工し、これを一対の金属板や樹脂板、木板などで挟持した構造を採用することができる。金属板を用いる場合、金属板はアルミニウムや鉄などの金属、あるいはステンレスなどの合金などを含むことができ、その表面はアルミニウムや亜鉛を含む合金皮膜で覆われていてもよい。各パネル20の長さ(長手方向の長さ)と幅(長手方向に垂直な長さ)は任意に決定することができる。パネル20の長さは、例えば1m以上10m以下、2m以上6m以下、3m以上7m以下、5m以上6m以下、または3m以上5m以下である。パネル20の幅は、例えば20cm以上200cm以下、60cm以上100cm以下、30cm以上150cm以下、または30cm以上100cm以下である。以下、パネル20の長さ方向、幅方向、および厚さ方向をそれぞれx方向(第1の方向)、z方向(第3の方向)、y方向(第2の方向)とする。x方向、z方向、y方向は互いに直交し、パネル20の主面を構成する平面はxz平面となる。胴縁18が延伸する方向はz方向であり、z方向は鉛直方向でもよい。
【0014】
図1(B)に示すように、通常、パネル20は、対向する長辺の各々にx方向に延伸する一対のレール20a、20bがそれぞれ設けられる。二つのパネル20を上下に配置して接続する場合、下側のパネル20の一対のレール20aが上側のパネル20の一対のレール20bで挟み込まれる。下側のパネル20の主面20cと上側のパネル20のレール20bの一つが略同一平面になるようにパネル20が構成されるため、レール20aが設けられる長辺側の端部20dでは、パネル20の厚さが小さい。ビス24は、下側に配置されるパネル20の端部20dを貫通して胴縁18に達するように打ち付けられ、上側のパネル20のレール20bがビス24を覆うように上側のパネル20が配置される。
【0015】
以下に述べるように、パネル20の取り付けは、建築物10の内部の作業として治具100を用いて行われる。すなわち、パネル20に対して胴縁18側に配置される作業員の作業としてパネル20の取り付けが行われる。
【0016】
2.治具
2-1.全体構造
図2(A)と図2(B)に、本発明の実施形態の一つである、パネル20を胴縁18に固定するための治具100の上面図と背面図を示す。治具100は、主な構成として、x方向に延伸するフレーム102、パネル固定具110、および少なくとも一つのドライバユニット150を備える。少なくとも一つのドライバユニット150は複数のドライバユニット150を含んでもよく、例えば一つのパネル20に固定される胴縁18と同じ数のドライバユニット150を含んでもよい。治具100はさらに、ビス24の打ち込みの際に必要な動力を提供するための駆動ユニット190を備えてもよい。パネル固定具110やドライバユニット150、駆動ユニット190は、いずれも着脱可能なようにフレーム102に直接または間接的に連結される。以下、それぞれの構成について述べる。
【0017】
2-2.フレーム
フレーム102は、フレーム102に連結されるパネル固定具110やドライバユニット150、駆動ユニット190などを支持する機能を有するとともに、パネル固定具110を介して治具100に連結されるパネル20を保持する機能を有するパーツである。このため、フレーム102は、これらの機能が発現できればその形状や構造、材料に制限はない。好ましくは、x方向における長さが、パネル20が固定される複数の胴縁18のすべてとy方向において重なるようにフレーム102を構成する。したがって、フレーム102のx方向における長さは、例えば2m以上15m以下、3m以上8m以下、または4m以上8m以下である。フレーム102は、鉄やアルミニウム、ステンレスなどの金属材料、木材、または樹脂を含んでもよい。
【0018】
図3(A)に示すように、フレーム102は内部に空洞を持たない中実構造を有していてもよく、図3(B)に示すように中空構造を有していてもよい。断面(長手方向に垂直なyz平面における断面)の形状にも制限はなく、正方形や矩形、多角形、円、楕円でもよく、コの字形状またはC字形状でもよい(図3(C)、図3(D))。図3(C)と図3(D)に示されるフレーム102を用いる場合には、フレーム102は溝形鋼またはリップ付き溝形鋼でもよい。あるいは図3(E)に示すように、H形鋼でもよく、図示しないが山形鋼などであってもよい。あるいは、図3(F)に示すように、x方向に延伸する一つまたは複数の溝を有してもよい。この場合、フレーム102の表面における溝の幅(y方向またはz方向における長さ)は、フレーム102の内部における溝幅よりも小さいことが好ましい。このような構造を採用することで、フレーム102に連結されるパネル固定具110やドライバユニット150、駆動ユニット190などの位置をx方向において容易に変更することができる。
【0019】
2-3.パネル固定具
図4にフレーム102とそれに保持されたパネル固定具110の模式図を示す。パネル固定具110は、主な構成として、アーム112、吊環114、116、およびパネルホルダ120を備える。
【0020】
(1)アームと吊環
アーム112はx方向に対して垂直なy方向に延伸するパーツであり、フレーム102の一方の側に配置される。アーム112は、パネル20を保持するパネルホルダ120を支持することでフレーム102から所定の距離でパネル20を配置するとともに、治具100とパネル20を同時に吊り上げるための台座として機能する。これらの機能が満たされれば、アーム112の形状や構造に制約はない。アーム112の一端はフレーム102に対して着脱可能なように直接または間接的に連結され、他端はパネルホルダ120に直接または間接的に連結される。
【0021】
アーム112とフレーム102との連結方法に制約はなく、ボルトなどを利用して連結すればよい。図4に示した例では、アーム112は、一部のxz断面がT字形状を有し、少なくともフレーム102の上面(xy平面)にボルトによって連結されている。図3(F)に示すようにフレーム102が溝を有する場合、貫通孔を有するバックプレート140を溝内部に配置し、バックプレート140とそれに嵌合するボルト142でアーム112を挟むことでアーム112をフレーム102と連結してもよい(図5)。このような連結方法を採用することで、アーム112のフレーム102上での位置を容易に変更することができる。なお、アーム112がフレーム102に連結される位置は、治具100または治具100とパネル20を吊り上げた際、フレーム102とアーム112が延伸する方向が安定的に水平方向になるように設定してもよい。
【0022】
詳細は後述するが、治具100のドライバユニット150には電動ドライバ22やスイッチ170が設置され、電動ドライバ22とスイッチ170は建築物10内の作業員によって操作される。このため、治具100に連結されるパネル20を胴縁18に固定する際、作業員の手が届く距離に電動ドライバ22やスイッチ170が配置されることが好ましい。例えばアーム112の長さは、20cm以上1m以下または30cm以上60cm以下とすることができる。あるいは、パネル20を治具100で保持した際、フレーム102のアーム112側の表面からパネル20までの距離が、20cm以上1m以下または30cm以上60cm以下となるようにアーム112の長さが設定される。
【0023】
アーム112には、治具100とパネル20を同時に吊り上げるための一対の吊環114、116が直接または間接的に固定される。一方の吊環114は、フレーム102に連結されるアーム112の一端側に配置される。他方の吊環114は、パネルホルダ120に連結されるアーム112の他端側に配置される。吊環114は、後述するパネルホルダ120のカバー122に直接または間接的に固定されてもよい。この吊環114、116にケーブル26が通され、ケーブル26を介して治具100とパネル20を揚重機などによって吊り上げることができる。吊環114、116はアーム112に直接固定されていてもよいが、図4に示すように、x方向とy方向に垂直なz方向に延伸するロッド114a、116aを介して間接的にアーム112にそれぞれ固定されてもよい。吊環114またはロッド114aが取り付けられる位置は、パネル20を保持していない状態の治具100を揚重機などで吊り上げた際に、アーム112または電動ドライバ22に取り付けられるビス24が水平方向に向くよう設定してもよい。
【0024】
(2)パネルホルダ
パネルホルダ120は、アーム112に直接または間接的に連結される。具体的には、パネルホルダ120は、アーム112がフレーム102と連結される一端に対する他端に連結される。したがって、パネルホルダ120は、フレーム102に対してアーム112と同じ側に配置される。パネルホルダ120は、パネル20の長辺がx方向となるようにパネル20を保持する機能を有するパーツである。この機能を発現するための構成に制約はないが、例えば一対のレール20aに嵌合する構造を採用することができる。
【0025】
パネルホルダ120の一例を図4および図6(A)から図7(B)に示す。図6(A)と図6(B)はそれぞれパネルホルダ120の上面図と底面図であり、図6(C)は図6(A)の鎖線A-A´に沿った端面図である。図7(A)と図7(B)は図6(A)の鎖線B-B´に沿った端面図である。これらの図に例示されるパネルホルダ120は、パネル20の長辺と重なる際に一対のレール20aを覆うカバー122、カバー122に覆われ、カバー122の下に位置する一対のストッパー126、および一対のストッパー126を回転させるためのハンドル124などを含む。カバー122、ストッパー126、およびハンドル124は、好ましくは鉄やアルミニウム、ステンレスなどの金属材料を含む。
【0026】
カバー122は、x方向に延伸し、yz断面がコの字形状を有するパーツであり、一対のレール20aを覆うように形成される(図7(A))。カバー122のフレーム102側の側面の下端には、対向する側面に向けて突出する爪122aが設けられる。この爪122aは、一対のレール20aの下端に位置する端部20d(図1参照)と嵌合するように形成される。
【0027】
ストッパー126はハンドル124と連結され、カバー122を貫通する回転軸を中心に回転(自転)するように構成される。具体的には、パネル20をカバー122で覆う際、パネル20の短辺方向(例えばz方向)に平行な回転軸を中心に回転するように構成される(図6(C)の矢印参照)。この回転軸は、カバー122の上面に対して垂直でもよい。ハンドル124もこの回転軸を中心に回転するように構成され(図6(A)参照)、ハンドル124の回転に連動してストッパー126が回転する。
【0028】
ストッパー126は、この回転軸に垂直な方向から見た場合、回転に伴って投影面積が変化するように構成される。具体的には、最大長さがカバー122が延伸する方向(例えばx方向)と平行になるようにストッパー126を配置した場合、最小長さはその方向と回転軸に垂直な方向(例えばy方向)と平行になるようにストッパー126が構成される(図6(B))。最小長さはレール20a間のギャップの最小値Gminよりも小さく(図7(A))、最大長さはこの最小値Gminよりも大きい。このため、最大長さがカバー122が延伸する方向と平行になるようにストッパー126を配置することで、ストッパー126をレール20aの間に配置することができる(図7(A))。この状態でストッパー126を回転させると、最大長さは最小値Gminよりも大きいため、ストッパー126がレール20aと当接して引っかかり、レール20aからパネルホルダ120が分離することを防止することができる(図6(B))。この作用と爪122aと端部20dとの嵌合が協働することにより、パネル20をパネルホルダ120によってさらに安定的に保持することができる。なお、この時、ストッパー126によってレール20aの少なくとも一方が変形し、外側に膨らむようにストッパー126を構成してもよい(図7(B))。
【0029】
(3)変形例
パネル固定具110は、アーム112に対してパネルホルダ120が回転可能なように、例えばx軸に延伸する回転軸を中心に回転するように構成してもよい。パネルホルダ120を回転させるための構成に制約はないが、例えば図8の斜視図や図9(A)と図9(B)の側面図と上面図に示すように、カバー122にプラケット128を固定し、プラケット128とアーム112をヒンジピン132とロックピン130を用いて連結してもよい。プラケット128とカバー122との固定は、例えば溶接や図示しないボルトなどを用いて行えばよい。ヒンジピン132は、プラケット128とアーム112をx方向に貫通する貫通孔に挿入され、プラケット128とアーム112が分離することを防ぐ。一方、ロックピン130は、プラケット128とアーム112がロックされた状態とアンロックされた状態を切り替えるために設けられる。例えば、ロックピン130は、プラケット128とアーム112をx方向に貫通する貫通孔に可逆的に挿入・取出しできるように構成される。図示しないが、ロックピン130内にばねなどの弾性体を配置し、定常状態では弾性体の復元力によってプラケット128とアーム112の貫通孔に配置した状態を、ロックピンをx方向に引きだすことで弾性体を縮めつつ貫通孔から取り出された状態を取るよう、ロックピン130を構成してもよい。このような構成を採用することで、x方向にロックピン130を引くことでアンロック状態が得られ、その結果、プラケット128とそれに固定されるカバー122などをヒンジピン132を回転軸として回転させることができる(図10(A))。また、図10(B)に示すように、溶接などによってプラケット128にヒンジピン132を固定し、さらにノブ136をヒンジピン132に固定してもよい。ノブ136を設けることで、プラケット128とそれに固定されるカバー122を小さな力で操作できるのみならず、フレーム102側からのカバー122の取り付け操作が容易となる。
【0030】
上述したように、カバー122の爪122aがパネル20の端部20dと嵌合し、これにより、パネル20をパネルホルダ120によってより安定的に保持することができる。しかしながら、パネル20を取り外す際にパネルホルダ120をz方向に移動すると、この爪122aによってパネルホルダ120の移動が阻害され、このことはパネル20の取り外しを困難にする。一方、x軸を中心に回転可能なようにパネルホルダ120を構成することで、爪122aがパネル20の主面20cから斜めの方向に移動させることができるため、爪122aと端部20dとの嵌合が解け、パネル20を容易に取り外すことができる。
【0031】
あるいは、パネル固定具110は、パネルホルダ120がアーム112に着脱可能なように構成してもよい。パネルホルダ120をアーム112に着脱可能とする構成に制約はないが、例えば図11(A)と図11(B)に例示される側面図と上面図に示すように、カバー122にプラケット128を固定し、プラケット128とアーム112をボルト134を用いて直接または間接的に連結してもよい。この場合、アーム112の一端を分岐させて分岐部でプラケット128を挟持してもよく、あるいはプラケット128の一端を分岐させてアーム112を挟持してもよい。あるいは図26(A)から図26(C)に示すように、プラケット128とアーム112をT字形状を有するクランプ138を用いて固定してもよい。具体的には、プラケット128のアーム112に対して反対側の面に円形または略円形の切り欠き128bを設け(図26(B))、さらに、切り欠き128bに達する貫通孔128aを設ける(図26(A))。貫通孔128aは、T字形状のクランプ138が可逆的に挿入可能であり、かつ、クランプ138をz方向を中心に回転すると抜けないように構成される。クランプ138の一部を貫通孔128aに挿入し、z方向を中心として回転させることで、クランプ138によってプラケット128とアーム112が挟まれ、固定される。あるいは図示しないプレートを介してアーム112とプラケット128をボルト留めしてもよい。ボルト134を外すことで、パネルホルダ120を分離することができるため、パネル20の設置後におけるパネルホルダ120の分離が容易となる。また、パネルホルダ120でパネル20を保持した後に、吊り下げられたフレーム102のアーム112にパネルホルダ120を取り付けることも可能となるため、パネル20の固定方法を多様化することができる。
【0032】
あるいは、図27(A)、図27(B)に示すように、トグル型クランプ200を用いてパネルホルダ120とアーム112を着脱できるようにパネル固定具110を構成してもよい。図27(A)や図27(B)、図28(A)に示すように、トグル型クランプ200は、トグルアーム202、レバー204、およびトグルアーム202とレバー204を互いに連結するコネクタ206を基本的な構成として備える。コネクタ206は、x方向に延伸する軸Aを中心に回転するよう、アーム112に連結される。一方、レバー204はコネクタ206に固定され、軸Aとレバー204の間に位置し、x方向に延伸する軸Aを中心にトグルアーム202がコネクタ206に対して回転する。
【0033】
このとき、アーム112とプラケット128は、先端同士が互いに噛み合うように構成してもよい。例えば図27(C)に示すように、x方向に延伸する溝128dをパネルホルダ120に対して反対側に形成し、同時にx方向に延伸する凸部112aをアーム112の先端に設ける(図27(D))。溝128dと凸部112aが噛み合うようにプラケット128とアーム112を接触させることで、安定的に両者を接続することができる。また、溝128dと凸部112aをともにx方向に延伸させることで、パネルホルダ120をパネル20に固定する際にずれが生じても、そのずれを吸収することができる。
【0034】
さらにプラケット128の先端のパネルホルダ120側にもトグルアーム202の先端202aと噛み合う溝128cをx方向に延伸するように設けてもよい。これにより、より強固にプラケット128とアーム112を固定することができる。
【0035】
プラケット128とアーム112を取り付ける際、まず、図28(A)に示すように、溝120dと凸部112a(図27(C)、図27(D)参照。)が噛み合うようにプラケット128とトグルアーム202を配置する。その後、軸Aを中心としてトグルアーム202を回転させ(図28(A)、曲線a参照。)、トグルアーム202の先端202aを溝128cに近づける(図28(B))。その後、レバー204をフレーム102側に倒しながら(曲線b参照。)軸Aを中心にコネクタ206を回転さることにより(曲線c参照。)、トグルアーム202をさらに回転させ、先端202aを溝128cに挿入する(図28(C))。プラケット128をアーム112から外す場合には、この逆の操作を行えばよい。なお、プラケット128とアーム112を安定的に保持するために、レバー204を固定する機構を設けてもよい。
【0036】
2-4.ドライバユニット
図12にドライバユニット150の斜視図を、図13(A)と図13(B)に正面図を、図14(A)と図14(B)に側面図を示す。ドライバユニット150は、フレーム102に対し、着脱可能なように直接または間接的に連結されるスライド機構152を有する。任意の構成として、ドライバユニット150は万力180やスイッチ170を含んでもよい。図12に例示される例では、スライド機構152は連結プレート156を介してフレーム102に固定される。図示しないが、スライド機構152はフレーム102の上側(例えばxy平面)または横(例えばxz平面)に連結されていてもよい。
【0037】
(1)スライド機構
スライド機構152は、フレーム102に対してパネル固定具110のアーム112やパネルホルダ120が配置される側においてy方向に可逆的にスライド可能な少なくとも一つのスライドシャフト154を備える。少なくとも一つのスライドシャフト154は、複数のスライドシャフト154を含んでもよい。スライドシャフト154は、電動ドライバ22を保持するように構成される。具体的には、電動ドライバ22に取り付けられるビス24のヘッドがビス24の先端よりもフレーム102側に位置する状態で電動ドライバ22を保持するように構成される。これにより、電動ドライバ22をy方向に可逆的にスライドさせることができるとともに、ビス24の先端をパネル20に当接させ、胴縁18側へ打ち込むことが可能となる(図14(A)、図14(B))。
【0038】
スライド機構152は、フレーム102に沿って、すなわち、x方向にも可逆的にスライドするように構成してもよい。この場合、図29に示すように、スライド機構152がスライドするためのガイドとなるx方向に延伸する一対のレール104をフレーム102に取り付ける。スライド機構152とフレーム102を接続する連結プレート156には、図29図30に示すように、一対の台座プレート157を設け、それぞれの台座プレート157にレール104を挟む複数のローラを設ければよい。複数のローラの配置は任意であるが、各台座プレート157にy方向を中心として回転する四つのy軸ローラ158を設け、二つのy軸ローラ158と残り二つのy軸ローラ158でレール104を挟持するようにy軸ローラ158を配置してもよい。このように、y軸方向に回転する複数のy軸ローラ158により、一対の台座プレート157とそれに取り付けられる連結プレート156がx軸方向に移動することができるため、スライド機構152上に配置される電動ドライバ22のx方向における位置を微調整することができる。このため、より精確にビス24をy方向に打ち付けることが可能となる。なお、任意の構成として、z方向に回転軸を有するz軸ローラ160を各台座プレート157に一つまたは複数設けてもよい。この場合、一対のレール104は、一対の各台座プレート157に設けられるz軸ローラ160によって挟まれる。z軸ローラ160を用いることで、より円滑にスライド機構152をx方向にスライドさせることができる。
【0039】
電動ドライバ22を保持するための構成に制約はなく、任意の形状や構造を採用することができる。例えば図12から図13(B)に示された例では、ドライバユニット150は、デッキ164、フロントカバー166、およびバックパネル162を含み、これらによって電動ドライバ22がスライドシャフト154に保持される。デッキ164は電動ドライバ22の保持するための台座として機能し、フロントカバー166とバックパネル162によって電動ドライバ22の位置が安定的に維持される。例えば、図13(A)に示すように、フロントカバー166には開口166aが設けられ、電動ドライバ22のスリーブ22aを開口166aに挿入することで電動ドライバ22が安定的に保持される。あるいは、図13(B)に示すように、フロントカバー166は、スリーブ22aを収容する切り欠き166bを上部に備えてもよい。スリーブ22aを切り欠き166bに収容することで電動ドライバ22が安定的に保持される。なお、図示しないキャップを用い、切り欠き166bに収容されたスリーブ22aをフロントカバー166とキャップで挟み、電動ドライバ22を固定してもよい。スライドシャフト154はデッキ164、フロントカバー166、およびバックパネル162のいずれか一つまたは複数に連結される。電動ドライバ22は、図12に示すように、トリガ22bよりもスリーブ22aがスライドシャフト154に近くなるように保持してもよく、図示しないが、スリーブ22aよりもトリガ22bがスライドシャフト154に近くなるように保持してもよい。
【0040】
さらに、より安定かつ精確に電動ドライバ22を保持するためのアライメント機構を設けてもよい。例えば図31に示すように、バックパネル162に電動ドライバ22の背面の位置を決定するための切り欠き162aを設け、さらに電動ドライバ22の側面の位置を決定するためのサイドレスト168をバックパネル162またはデッキ164に直接または間接的に設けてもよい。バックパネル162は、デッキ164の背面側の一部を収容し、サイドレスト168は電動ドライバ22の側面側の一部を収容するように形状、位置が調整される。サイドレスト168は、x方向にスライド可能なように構成してもよい。また、デッキ164には、電動ドライバ22の上部の一部が収容される開口164aを設けてもよい。これらのアライメント機構を設けることにより、電動ドライバ22を上下反転して配置するだけで、電動ドライバ22の仕様や形状に依存することなくビス24の打ち付けのための精確なアライメントが可能となる。
【0041】
なお、アライメント機構はさらに電動ドライバ22のz方向の位置を調整できるように構成されてもよい。例えば高さ調整用の一対のブロック178をデッキ164上に設け、ボルト179の回転によってブロック178の高さが変化させるようにブロック178を構成すればよい。ブロック178の高さは、±10mm以内または±5mm以内で調整できるようにブロック178を構成すればよい。高さ調整機能を有するブロック178を設けることで、ビス24の打ち付け方向がz方向にずれることを防止できる。
【0042】
(2)万力
万力180は、ビス24を用いてパネル20を固定する際、パネル20と胴縁18を一時的に固定する機能を有するパーツである。治具100がドライバユニット150を複数含む場合、各ドライバユニット150が万力180を含んでもよく、一部のドライバユニット150だけが万力180を含んでもよい。万力180を用いることで、ビス24を打ち込む際に生じる振動によってパネル20が振動して胴縁18から離隔することを抑制し、これにより、パネル20の固定を容易にすることができる。
【0043】
万力180の構造は、上述した機能が発現できれば制約を受けず、任意の構造を採用することができる。例えば図15(A)に示すように、万力180は固定顎180a、スライド顎180bおよび固定顎180aとスライド顎180bを連結するアーム180cを備える。スライド顎180bを回転することで、固定顎180aがパネル20と胴縁18の一方と接する当接面180dとスライド顎180bがパネル20と胴縁18の他方と接する当接面180e間の距離を調整することができる。図15(A)に示すように、万力180は、固定顎180aの当接面180dがパネル20の端部20d(図1(B)参照)と当接するように構成してもよく、あるいは図15(B)に示すようにパネル20の主面20cと当接するように構成してもよい。あるいは、パネル20のレール20aの一方と当接するように構成してもよい(図15(C)。図示しないが、スライド顎180bがパネル20の端部20d、主面20c、またはレール20aの一方と当接するように構成してもよい。
【0044】
図15(A)から図15(C)に示すように、胴縁18やパネル20に当接する当接面(固定顎180aの当接面180dやスライド顎180bの当接面180e)は、平坦な面であってもよく、あるいは図16(A)や図16(B)に示すように、対向する当接面の方向に突出する突起部を有していてもよい。突起部を設けることで、胴縁18やパネル20に対してより強固に万力180が固定され、その結果、より大きな力で胴縁18とパネル20を一時的に固定することができる。
【0045】
(3)スイッチ
スライド機構152のスライドシャフト154は、手動でスライドするように構成されてもよく、あるいは駆動ユニット190からの動力によってスライドするように構成されてもよい。後者の場合、ドライバユニット150は動力を調整してスライド機構を制御するためのスイッチ170を含んでもよい。スイッチ170は駆動ユニット190とスライド機構152に接続される。
【0046】
スイッチ170の構成には制約はなく、動力の種類やその伝達媒体によって任意に選択すればよい。例えば動力が圧縮空気を伝達媒体として供給される場合、スライドシャフト154は圧縮空気によって駆動され、ドライバユニット150には、スイッチ170と駆動ユニット190に接続される入力ライン172、スイッチ170とスライド機構152に接続される第1の出力ライン174と第2の出力ライン176が設けられる。スイッチ170としてはハンドバルブを利用することができ、これにより、圧縮空気のスライド機構152への供給が制御される。例えば、スライドシャフト154に負荷が印加されない中立モード、スライドシャフト154をy方向においてパネル20側へスライドさせるための付加を与えるための前進モード、およびスライドシャフト154をy方向においてフレーム102側へスライドさせるための付加を与えるための後退モードなどを選択できるようにハンドバルブが構成される。
【0047】
図示しないが、動力はオイルを伝達媒体として供給されてもよい。あるいは、動力は電力でもよい。電力を動力として用いる場合には、駆動ユニット190とスライド機構152は、配線と配線に接続されるスイッチ170を介して互いに接続される。供給される電力によって例えばスライド機構152内に設けられるギアが駆動され、ギアと嵌合するスライドシャフト154がギアの回転に伴ってスライドする。
【0048】
図示しないが、スイッチ170に電源と通信機能を設け、外部からの命令を受信し、その命令に従い、電源を用いてスイッチ170を操作してもよい。これにより、治具100を遠隔操作することができる。
【0049】
(4)その他の構成
パネル20を胴縁へ固定する際、パネル20の主面20cに対してフレーム102が平行になるように治具100を配置することが好ましい。このため、ドライバユニット150は、パネル20とフレーム102の配置やこれらの間の距離を制御するためのスペーサ182をさらに備えてもよい(図17図18(A)、図18(B))。ドライバユニット150が複数設けられる場合、すべてのドライバユニット150にスペーサ182を設けてもよく、一部のドライバユニット150にスペーサ182を設けてもよい。例えば、図2に示すように、複数のドライバユニット150のうち、両端に配置される二つのドライバユニット150にスペーサ182を設け、他のドライバユニット150にはスペーサ182を設けなくてもよい。
【0050】
図17から図18(B)に示すように、スペーサ182は、フレーム102に対し、パネル固定具110のアーム112やパネルホルダ120が設けられる側に配置され、フレーム102に着脱可能なように連結される。スペーサ182はy方向に延伸するパーツであり、フレーム102に連結される一端と反対側の他端にパネル20または万力180と当接する当接部182aを有する。当接部182aは、スペーサ182の一部として一体化されたパーツまたはスペーサ182に固定される独立したパーツであり、パネル20または万力180に当接する面を有する。当接部182aがパネル20または万力180と当接した状態を維持することで、治具100とパネル20間の距離を一定にすることができる。したがって、スペーサ182のy方向における長さは、電動ドライバ22の大きさやスライドシャフト154のストローク長などにも依存するが、スライドシャフト154をy方向に移動させた際、ビス24のヘッドがパネル20と接する距離に数mmを加えた長さに調整される。上述したように、電動ドライバ22やスイッチ170は建築物10内の作業員によって操作することができる。したがって、スペーサ182の長さは、20cm以上1m以下または30cm以上60cm以下とすることができる。あるいは、パネル20を治具100で保持した際、フレーム102のアーム112側の表面からパネル20までの距離が、20cm以上1m以下または30cm以上60cm以下となるようにスペーサ182の長さが設定される。
【0051】
さらに任意の構成として、ドライバユニット150は、スペーサ182の当接部182aがパネル20または万力180と当接した状態を維持するためのロック機構184を備えてもよい。ロック機構184は万力180に直接または間接的に着脱可能なように連結される。例えば、ロック機構184は、キャップ189を介して万力180に連結される。キャップ189はxy平面に平行な下面を有するように構成することができ、この下面がパネル20と接するように万力180やロック機構184を配置することで、万力180やロック機構184のz方向における位置が一意的に決定される。このため、フレーム102が延伸する方向をx方向に固定することが容易となる。
【0052】
ロック機構184は、主な構成として、ロックバー186とロックバー186に固定されるハンドル188を備える。ロック機構184はz軸に延伸する回転軸を中心として回転できるように構成することができ、これにより、スペーサ182の当接部182aを万力180またはパネル20とロックバー186の間に挟み込んだロック状態、および当接部182aからロックバー186が離隔するアンロック状態(図18(B)における矢印、および点線で示されたロック機構184参照)の二つを取ることができるように構成される。ロック状態では、ばねなどの弾性体の復元力を利用して、ロック状態が定常的に維持できるようにすることが好ましい。一方、アンロック状態では、ロックバー186が当接部182aから離隔しつつ、ロック機構184の位置が定常的に固定できるように、またはロック機構184が回転軸を中心に自由回転できるようにロック機構184を構成してもよい。ロック状態では、当接部182aが万力180またはパネル20に固定されるため、パネル20までの距離が一定になるように治具100を安定的に配置することができ、さらに、ビス24の打込みの際に受ける抗力によって治具100がパネル20から離れることを防止することができる。
【0053】
あるいは、スペーサ182は、ロック機構184や万力180と一体化されてもよい。例えば、図32に示すように、ロック機構184は、パネル20のレール20aの間に嵌合する爪184aと端部20dと当接する顎184bを有するように構成され、かつ、スペーサ182とロック機構184をx方向に貫通する軸Aを中心にスペーサ182に対して回転できるように構成することができる(矢印a参照。)。したがって、この態様では、ロック機構184の一部もパネル20とフレーム102の間の距離を一定に保つためのスペーサとして機能する。スペーサ182またはロック機構184には、ロック機構184がパネル20と嵌合された際、ロック機構184の回転を規制するストッパ182bが設けられる。
【0054】
さらに、万力180も、軸Aに対して垂直な軸Aを中心に回転するように構成してもよい。例えば図32に示すように、ロック機構184と万力180をコネクタ185で接続し、コネクタ185と万力が同時に軸Aを中心としてロック機構184に対して回転可能なように構成する(矢印b参照)。パネル20が治具100に固定され、パネル20の主面20cの法線がy方向となる際、軸Aはy方向に延伸する。図示しないが、ロック機構184またはコネクタ185には、万力180が胴縁18を挟持した際、後述する軸Aがx成分を持たないよう、コネクタ185の回転を規制するストッパが設けられる。
【0055】
万力180は、コネクタ185に直接または間接的に接続されるアーム180c、アーム180cに固定される固定顎180a、およびスライド顎180bを有する。万力180は、万力180をロック機構184に対して回転させた際、固定顎180aの当接面180eが胴縁18と当接するように構成される。一方、スライド顎180bは、アーム180cが延伸する方向に沿って可逆的にスライドするように構成してもよく、あるいは図32に示すように、軸Aと軸Aに垂直な軸Aを中心としてアーム180cに対して回転するように配置してもよい。スライド顎180bを軸Aを中心として回転させることで、胴縁18が固定顎180aとスライド顎180bに挟持され、フレーム102とパネル20の間の距離を一定に保ちながらパネル20と胴縁18を固定することができる。なお、軸Aは、パネル20が治具100に固定され、パネル20の主面20cの法線がy方向となる際、z方向に延伸する。
【0056】
このように、ロック機構184、万力180、およびスライド顎180bをそれぞれ軸AからAを中心として回転するように構成することで、これらのユニットをコンパクトに折りたたむことができるだけでなく、簡便な操作でパネル20と胴縁18の固定が可能となる。
【0057】
2-5.駆動ユニット
駆動ユニット190もフレーム102に着脱可能なように連結される(図2)。駆動ユニット190は、少なくとも電源としてのバッテリーを備え、スライド機構152を動作するための動力を提供するように構成される。上述したように、動力としては電力でもよく、この場合には、駆動ユニット190から延伸する配線がスイッチ170に接続され、さらにスイッチ170とスライド機構152を接続する配線によって電力がスライド機構152に供給される。
【0058】
動力は空気を伝達媒体として供給してもよい。この場合、駆動ユニット190は、電源によって動作されるエアコンプレッサを有し、圧縮された空気が入力ライン172を介してスイッチ170に供給される。スイッチ170によって圧縮空気がスライド機構152に適宜供給される。エアコンプレッサの空気圧縮方式にも制約はなく、例えばスクリュー式、スクロール式、またはレシプロ式エアコンプレッサを適宜適用することができる。
【0059】
あるいは、動力はオイルを伝達媒体として供給してもよい。この場合、駆動ユニット190はオイルタンクを備え、電源によって動作されるポンプによってオイルが入力ライン172を介してスイッチ170に供給される。スイッチ170によってオイルがスライド機構152に適宜供給される。ポンプの種類にも制約はなく、例えばギアポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプなどを利用することができる。ポンプは定容量形ポンプでも可変容量形ポンプでもよい。
【0060】
3.パネルの胴縁への固定方法
以下、上述した治具100を用い、建築物10に固定された胴縁18にパネル20を固定する方法について説明する。
【0061】
3-1.治具へのパネルの固定
まず、治具100を準備する。治具100には、パネル20が固定される胴縁18と同じ数のドライバユニット150を設けることが好ましい。また、各ドライバユニット150に電動ドライバ22を設置する。
【0062】
引き続き、治具100にパネル20を取り付ける。具体的には、図19図20に示すように、互いに独立した二本のケーブル26の一端を吊環114、116に通し、他端を揚重機30のフック32に取り付け、揚重機30を用いて治具100を吊り上げる。揚重機30は建築物10の敷地に設置してもよく、建築物10の内部または屋上に設置してもよい。揚重機30を建築物10の内部または屋上に設置することで、建築物10の周囲の敷地に揚重機30を設置できない場合でも建築物10の外壁を容易に施工することができる。治具100を吊り上げた状態でパネル20のレール20aをパネルホルダ120のカバー122に噛合わせる。パネルホルダ120がアーム112に対して回転できる場合には、例えば図21に示すように、ロックピン130を操作してアンロック状態としてパネルホルダ120をz方向に持ち上げながら回転さる。その後、パネルホルダ120を元の位置に戻しながらカバー122にパネル20のレール20aを嵌め込めばよい。このように、カバー122をz方から傾いた方向から取り付けることにより、容易にレール20aをカバー122で覆うことができる。その後、パネル20がパネルホルダ120から外れないよう、ハンドル124を操作してストッパー126を回転させてパネル20を保持する(図22)。
【0063】
3-2.パネルと治具の移動
引き続き、ケーブル26を用い、揚重機30を用いて治具100と治具100に保持されたパネル20を所定の位置に移動する(図1(A)参照)。パネル20と治具100は、パネル20が治具100と胴縁18の間に位置するように配置される。既に胴縁18に固定されたパネルの上に新たにパネル20を設ける場合には、既設パネルのレール20aを新たなパネル20のレール20bで挟むように互いを嵌合すればよい。
【0064】
パネル20を治具100に吊り下げる際、パネル20と比較して治具100の重量が大きい場合には、図23(A)の側面図に示すように、治具100とパネル20の全体が建築物10側に傾くことがある。このような場合には、ケーブル26よりも長い補助ケーブル28を用いてパネル20側の吊環116とフック32を連結する(図19)。補助ケーブル28の取り付けは、治具100を吊り上げる前に行ってもよく、設置するパネル20を所定の位置に移動した後(例えば、治具100に保持されたパネル20のレール20bを既設パネルのレール20aに嵌合した後)に行ってもよい。この後、パネル20側のケーブル26、すなわち、吊環116に通されたケーブル26を外し、フレーム102側のケーブル26を(吊環114に通されたケーブル26)引き上げて傾きを修正すればよい(図23(B))。あるいは、ケーブル26を伸縮可能なように構成してもよい。例えば図24に示すように、チェーンブロックなどの長さ調整機能を有する伸縮ユニット27を介して吊環116とケーブル26を連結してもよく、図示しないが、吊環116とフック32を伸縮ユニット27で直接連結してもよい。伸縮ユニット27の長さを適宜調整することで、治具100の傾きが修正される。これにより、電動ドライバ22に取り付けられるビス24を水平にした状態でパネル20の主面にビス24を打ち付けることができる。
【0065】
移動が完了した後、図12に示すように、万力180を用いてパネル20と胴縁18を固定することが好ましい。また、複数のドライバユニット150を用いる場合には、すべてのドライバユニット150に万力180を含ませ、全ての胴縁18とパネル20を一時的に固定することが好ましい。
【0066】
ドライバユニット150のすべてまたは一部にスペーサ182が含まれる場合には、スペーサ182の当接部182aを万力180またはパネル20に当接させ、さらに当接部182aが外れないよう、ロック機構184を用いて当接部182aをロックバー186と万力180またはロックバー186とパネル20で挟んで固定することが好ましい。
【0067】
なお、上述した方法では、治具100に電動ドライバ22を取り付け、その後パネル20を治具100に取り付けて所定の位置に移動するが、パネル20の胴縁18への取り付けは必ずしもこの順序で行わなくてもよい。例えば電動ドライバ22を取り付けること無くパネル20を治具100に取り付け、所定の位置に移動し、その後電動ドライバ22を治具100に取り付けてもよい。この場合には、図13(B)に示すように、フロントカバー166の切り欠き166bにスリーブ22aを収容して電動ドライバ22を配置すればよい。図示しないキャップを用い、切り欠き166bに収容されたスリーブ22aをフロントカバー166とキャップで挟み、電動ドライバ22を固定してもよい。
【0068】
3-3.ビスの打ち付け
次に、電動ドライバ22にビス24を取り付ける。すなわち、電動ドライバ22のスリーブ22aにビス24のヘッドを取り付ける。これにより、ビス24の先端がパネル20を向く(図25(A))。この後、スイッチ170を操作し、駆動ユニット190から供給される動力を利用してスライドシャフト154をy方向においてパネル20へスライドさせる。同時に電動ドライバ22のトリガ22bを操作し、ビス24を回転させる。これにより、ビス24が回転したままパネル20へ打ち込まれる(図25(B))。ビス24の打込みは、ビス24が胴縁18に達し、ヘッドがパネル20に当接するまで行うことが好ましい。なお、トリガ22bの操作は手動でもよく、あるいは駆動ユニット190から供給される動力を利用して操作してもよい。
【0069】
その後、スライドシャフト154を逆方向にスライドさせ、パネル20から治具100を取り外す。治具100の取り外しは、治具100へのパネル20の取り付けと逆の手順で行えばよい。
【0070】
なお、ビス24の打ち付けは、パネル20を治具100に取り付ける前、またはパネル20が治具100に固定された後パネル20と治具100を移動させる前に行ってもよい。この場合、ビス24がパネル20を完全に貫通しないように打ち付けられる。
【0071】
上述したように、治具100は、建築物10内の作業員がスイッチ170や電動ドライバ22を操作できるように構成される。換言すると、治具100を用いることで、パネル20の胴縁18への固定作業をすべて胴縁18側、すなわち、建築物10内の作業として行うことができる。このため、従来、パネル20の固定のためには建築物10の周りに足場を固定し、建築物10の外側に作業員を配置して作業を行う必要があったが、本発明の実施形態を適用することで、足場の組立・撤去が不要となり、工期の大幅な短縮と施工コストの低減が可能である。また、天候による影響も低減することができる。さらに、作業員は建築物10の内部で作業を行うことができるため、足場上での不安定な作業から解放され、より安全性の高い環境下での作業が可能となる。
【0072】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0073】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【符号の説明】
【0074】
10:建築物、12:基礎梁、14:躯体、16:躯体、18:胴縁、20:後パネル、20:パネル、20a:レール、20b:レール、20c:主面、20d:端部、22:電動ドライバ、22a:スリーブ、22b:トリガ、24:ビス、26:ケーブル、27:伸縮ユニット、28:補助ケーブル、30:揚重機、32:フック、100:治具、102:フレーム、104:レール、110:パネル固定具、112:アーム、112a:凸部、114:吊環、114a:ロッド、116:吊環、116a:ロッド、118:ボルト、120:パネルホルダ、122:カバー、122a:爪、124:ハンドル、126:ストッパー、128:プラケット、128a:貫通孔、128b:切り欠き、128c:溝、128d:溝、130:ロックピン、132:ヒンジピン、134:ボルト、136:ノブ、138:クランプ、140:バックプレート、142:ボルト、150:ドライバユニット、152:スライド機構、154:スライドシャフト、156:連結プレート、157:台座プレート、158:y軸ローラ、160:z軸ローラ、162:バックパネル、162a:切り欠き、164:デッキ、164a:開口、166:フロントカバー、166a:開口、166b:切り欠き、168:サイドレスト、170:スイッチ、172:入力ライン、174:第1の出力ライン、176:第2の出力ライン、178:ブロック、179:ボルト、180:万力、180a:固定顎、180b:スライド顎、180c:アーム、180d:当接面、180e:当接面、182:スペーサ、182a:当接部、182b:ストッパ、184:ロック機構、184a:爪、184b:顎、185:コネクタ、186:ロックバー、188:ハンドル、189:キャップ、190:駆動ユニット、200:トグル型クランプ、202:トグルアーム、202a:先端、204:レバー、206:コネクタ
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