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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132146
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】回収装置および組織を回収する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220831BHJP
   A61B 10/02 20060101ALI20220831BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61B17/22 528
A61B10/02 150
A61B10/02 300Z
A61B10/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022023556
(22)【出願日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】21159686
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・シュニッツラー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・エンデルレ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】膀胱などの液体で満たされた体腔から、組織を回収する回収装置を提供する。
【解決手段】組織を患者の体腔から回収するために、親水性透水フィルタダイヤフラム26からなる回収バッグ12を有する回収装置11が提供される。フィルタダイヤフラムは、病原体細胞などの通過を避けるために、好ましくは12μm未満の細孔幅を有する。細孔は、水が回収バッグから容易に出ることができる程度の大きさである。回収バッグは、充填されるとき、収容される除去対象組織が占める体積しか要しない。回収バッグ内部にもたらされた液体は、フィルタダイヤフラムを通して回収バッグから押し出すことができるため、回収バッグの体積に寄与しない。これにより、腫瘍除去中に比較的大きい組織片を採取することができ、体腔内部で腫瘍を分離する必要なしに全体として腫瘍を除去することが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間または動物の患者から組織を回収する回収装置(11)であって、
充填開口部(25)を含む回収バッグ(12)と、
前記回収バッグ(12)に連結された牽引手段(29)とを備え、
前記回収バッグ(12)は、親水性透水フィルタダイヤフラム(26)からなる少なくとも1つの部分(27)を含む
回収装置。
【請求項2】
前記充填開口部(25)には、閉鎖装置(19)が設けられる
請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記閉鎖装置(19)は、プロファイルストリップ閉鎖部(20、21)である
請求項2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記閉鎖装置(19)は、開位置および閉位置を有し、前記閉鎖装置(19)は、前記開位置に向かって付勢されている
請求項2または3に記載の回収装置。
【請求項5】
前記回収バッグ(12)は、2つの平坦な側壁(16、17)を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項6】
前記側壁(16、17)は、前記回収バッグ(12)が閉じている場合、互いに向かって付勢されている
請求項5に記載の回収装置。
【請求項7】
前記回収バッグ(12)には、絞り装置(33)が割り当てられている
請求項1~6のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項8】
前記閉鎖装置(19)には、縦スリット(31)を有する押棒(30)が割り当てられており、
前記回収バッグ(12)における前記閉鎖装置(19)を含む部分が、前記閉鎖装置(19)を閉じるために前記牽引手段(29)によって前記縦スリット内に引き込まれ得る
請求項2、3または4に記載の回収装置。
【請求項9】
前記回収バッグ(12)は、透水性でない少なくとも1つの部分(16、17)を含む
請求項1~8のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項10】
不透水性の前記部分(16、17)は、プラスチック箔によって形成される
請求項9に記載の回収装置。
【請求項11】
前記親水性透水フィルタダイヤフラム(26)は、同一または異なるフィルタ材料の1以上の層(26a、26b)からなる構成を有する
請求項1~10のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項12】
前記フィルタ材料は、フリースまたは多孔質箔である
請求項11に記載の回収装置。
【請求項13】
前記フィルタ材料は、ポリエーテルスルフォン(PES)、アクリルポリマー、ポリアミド(PA)またはポリエチレンテレフタレート、ポリスルフホン(PS)、親水化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、酢酸セルロース(CA)、硝酸セルロース(CN)、硝酸セルロース含有酢酸セルロース(MCE)、ナイロン(NY)、ポリカーボネート(PCTE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選択される
請求項11または12に記載の回収装置。
【請求項14】
前記フィルタ材料は、5μm未満、3μm未満、2μm未満、1.2μm未満、0.8μm未満、0.65μm未満、0.45μm未満または0.2μm未満の細孔サイズを有する
請求項11、12または13に記載の回収装置。
【請求項15】
親水性透水フィルタダイヤフラム(26)を含む回収バッグ(12)によって組織部分を回収する回収方法であって、前記方法において、
回収される物質が前記回収バッグ(12)に導入され、
前記回収バッグ(12)は閉じられ、
その後、前記回収バッグ(12)に封入された液体が、前記フィルタダイヤフラム(26)を通して前記回収バッグ(12)から除去される
回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間または動物の患者から、特に、例えば膀胱などの液体で満たされた体腔から、組織を回収する回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の外科的介入中に伝染病組織から切り離された組織を回収する装置および構成が、例えば特許文献1から知られている。この器具は、軸方向に移動可能なプランジャチューブが貫通して延在する挿入チューブを備える。プランジャチューブは、遠位端で弓形保持レールに連結され、その弓形保持レールにバッグがぶら下がっている。バッグの上縁部を通して案内された糸によって、バッグを閉じることができる。
【0003】
バッグを備えた回収装置は、さらに、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10から知られている。最後に言及した文献には、ガス出口が設けられている回収バッグが開示されている。そのため、疎水性エアフィルタリング材またはそのようなダイヤフラムが設けられる。疎水性フィルタリング材は、その撥水効果により液体の通過を防ぐが、気体が出ることを可能にする。
【0004】
液体で満たされた体腔、例えば膀胱の組織切除中、病理学的に変化した組織を完全に採取する、例えば、病理学的に変化した組織を大きい非分離片として可能な限り完全に採取し、個々の組織片または細胞を残すことなく体腔から除去することが不可欠な場合がある。それに応じて、考え得る回収バッグは、ゆったりと寸法付けされなければならない。一方、そのような回収バッグは、アクセス経路、例えば内視鏡の作用チャネルを通して患者から取り出されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第69907796号明細書
【特許文献2】国際公開第93/15671号
【特許文献3】米国特許第6350267号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2353511号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2012/0158010号明細書
【特許文献6】米国特許第62289095号明細書
【特許文献7】米国特許第5341815号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第2605709号明細書
【特許文献9】国際公開第2012/026809号
【特許文献10】欧州特許出願公開第2497429号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それらを起点とし、本発明の目的は、組織を確実に採取することができ、かつその組織を患者の体から内視鏡などのアクセス器具の作用チャネルを介して患者の体から取り出すことができる回収装置と、組織を回収する方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1または15の特徴によって解決される。
【0008】
本発明による回収装置は、内部が液体で満たされた患者の体腔から細胞を回収する回収バッグを備える。液体は、内因性液体、例えば、尿、胆汁、膵液、分泌液、または、さらに塩化ナトリウム溶液などの外部から供給される液体になり得る。回収バッグは、充填開口部と、回収バッグに連結される耐屈曲性または可撓性を有する牽引手段とを含む。さらに、回収バッグは、親水性透水フィルタダイヤフラムからなる部分を含む。そのようなフィルタダイヤフラムは、任意のフィルタダイヤフラムを意味し、その細孔幅は非常に小さいため、回収された組織の組織片または細胞は確実に保持される。これにより、回収された組織の体積よりも著しく大きくない体積まで水を押し出すことによって、閉じたときの回収バッグの体積を縮小することが可能である。したがって、回収装置は、液体で満たされた体腔での使用に特に適している。採取される水の量によって回収バッグの所要スペースが不必要に大きくなることが避けられる。このようにして、また、全体として比較的大きい組織切片を回収バッグ内に配置し、過剰な液体を押し出した後、さらに、アクセスを可能にする器具の比較的狭い作用チャネル、例えば内視鏡または膀胱鏡を通して、患者から回収バッグを取り出すことが実現され得る。
【0009】
特に、通常1つのみの作用チャネルを含む膀胱鏡の使用中、本発明による回収装置は大きな利点を有する。回収バッグから過剰な液体を除去することができるために回収バッグの体積を縮小できることから、回収バッグは、大きい組織片を保持することができ、その結果、腫瘍を分離する必要なしに全体として除去することができる。これによって、外科医は、器具と回収装置とを何度も取り替える必要もなくなる。
【0010】
回収バッグの充填開口部には、例えばプロファイルストリップ閉鎖部によって実現できる閉鎖装置を設けることができる。その閉鎖装置を用いて、回収バッグの液密閉鎖が可能である。プロファイルストリップ閉鎖部は、全長に沿って互いに係止可能な2つの相補的ストリップを含み、これによって、回収バッグの充填開口部を液密閉鎖する。この目的のために、プロファイルストリップ閉鎖部の2つのストリップは、任意の細胞を含み得るであろう液体が閉状態で全く漏れないように、密閉しながら解放不能に近位端および遠位端で連結することができる。
【0011】
閉鎖装置は、回収バッグが広く開いて、液体と同様に組織も採取することができる開位置を有する。さらに、閉鎖装置は、回収バッグの受取開口部が閉じている閉位置を有する。閉鎖装置は、開位置に向かって付勢されていることが好ましい。プロファイルストリップ閉鎖部の2つのストリップは、弾性的に互いに遠ざかるようにドーム状になっている。
【0012】
回収バッグは、回収バッグが閉じている場合に互いに当接する、可撓性を有することが好ましい2つの側壁を含むことができる。これは、液体、特に水を回収バッグから押し出す助けとなる。側壁の可撓性は非常に高く、回収バッグが内視鏡または膀胱鏡の作用チャネルに貫通して嵌まる巻物になるまで巻き付け可能であることが好ましい。
【0013】
回収バッグに、絞り装置を割り当てることができる。絞り装置は、回収バッグが閉じられた後に、回収バッグによって採取された液体、特に水を回収バッグから押し出すために使用することができる。親水性フィルタダイヤフラムは、水および水溶液が出ることを可能にするが、細胞および組織部分は保持する。
【0014】
回収バッグは、すべて親水性透水フィルタ材料から製造することができる。しかしながら、回収バッグは、また、回収バッグの一方または両方の側壁が作られる、例えばプラスチック箔の形態の少なくとも1つの不透水性部分を含むことができる。プラスチック箔は、親水性透水フィルタダイヤフラムが中にまたは上に取り付けられる窓部を1以上の位置に含むことができる。
【0015】
フィルタ材料は、フリース、織物、組物、編物または多孔質箔であることが好ましい。そのため、フィルタ材料は、次の材料からなる群から選択することができる。
【0016】
支持材、例えばポリエステル、アクリルポリマー、ポリアミド(PA)またはポリエチレンテレフタレートを有するまたは有しないポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフホン(PS)、ポリエチレンテレフタレート・親水化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、酢酸セルロース(CA)、硝酸セルロース(CN)、硝酸セルロース含有酢酸セルロース(MCE)、ナイロン(NY)、ポリカーボネート(PCTE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)。さらに、フィルタ材料は、被覆ファイバまたは微細多孔箔から、例えばセルロースファイバからなることができ、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ならびに、3-(1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチル)-1-ビニルイミダゾリウムヨージドおよび3,3‘-(ヘキサン)-1,6-ジイル)ビス(1-ビニルイミダゾリウム)ジブロミド、ならびに、アセトニトリル、1-プロパノールの含浸によって被覆することができるセルロースファイバの紙状フリースからなることができる。ポリエーテルスルフォン(PES)、アクリルポリマー、ポリアミド(PA)およびポリエチレンテレフタレートが特に適切であることが分かった。
【0017】
フィルタ材料は、5μm未満の最大細孔サイズを有することが好ましい。3μm、2μm、1.2μm、0.8μm、0.65μm、0.45μmまたは0.2μmなどの、細孔サイズのより小さい上限を設けることができる。基本的に、非常に小さい細孔サイズを使用することはできるが、フィルタダイヤフラムのより高い透水性を得ると同時に典型的な腫瘍細胞を確実に保持するように、最小細孔サイズを0.2μm未満に設定しないことも考慮される。
【0018】
ここまで説明した回収装置を用いて、本発明の回収方法を以下のように行うことができる。
【0019】
まず、回収バッグは、例えば、折り畳まれた、または巻き付けられた状態で内視鏡または膀胱鏡の作用チャネルを通して体腔に導入され、細胞物質を受け取る状態にするように体腔内でリリースされる。回収される物質が回収バッグに導入された後、回収バッグは閉じられる。続いて、回収バッグの体積を縮小するために、回収バッグに封入された液体がフィルタダイヤフラムを通して回収バッグから除去される。このように体積が圧縮された回収バッグは、ここで再び、内視鏡もしくは膀胱鏡の作用チャネル、または別のアクセスを通して患者の体腔から取り出すことができる。
【0020】
本発明の詳細および有利な実施形態は、図面の個々の図、対応する明細書および従属請求項から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、膀胱鏡内に支持される回収バッグを有する回収装置を備えた膀胱鏡の遠位端の斜視図である。
図2図2は、細胞物質を受け取る状態の開状態における図1の回収バッグの斜視図である。
図3図3は、回収バッグの閉鎖装置を説明するための斜視断面図における回収バッグの上縁部の部分図である。
図4図4は、閉状態における図3の閉鎖装置の縦断面図である。
図5図5は、フィルタダイヤフラムを有するバッグの壁の一部の図である。
図6図6は、フィルタダイヤフラムを有する回収バッグの壁の変更形態の図である。
図7図7は、回収バッグ用絞り装置を備えた回収装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
膀胱鏡10に挿入された、回収装置11と、その一部である回収バッグ12とを図1に示す。回収装置11は、膀胱鏡10の作用チャネル13を通して、患者の体腔14に、例として、腫瘍切除または別の組織切除などの外科的手段が行われる膀胱または別の体腔に、挿入可能である。それに関して、体腔14は、通常、内因性液体、例えば、尿、胆汁、膵液、分泌液、または供給液体、例えば塩化ナトリウム溶液などの液体で満たされている。膀胱鏡10は、異なる器具を体腔14に挿入することができる作用チャネル13を1つのみ含む。そのような器具は、回収装置11と交互に作用チャネル13を通して入れ替えられる。膀胱鏡10は、手術部位を監視することができる光学装置15を含む。光学装置15は、光学部品、および照明または別の画像送信装置を有するカメラにすることができる。
【0023】
また、膀胱鏡10の代わりに、追加の作用チャネル、例として、光学装置15の代わりに、器具を体腔14内に移動させることができるチャネルを含む内視鏡を使用することもでき、これによって、選択肢として、同時に回収装置11を作用チャネル13内に配置することができる。
【0024】
そのような器具は、例えば、組織部分を他の組織複合構造体から分離することができるワイヤ電極、ループ電極などを有する電気外科器具にすることができる。回収バッグは、確実に回収バッグに詰められ、その後、作用チャネル13を通して体腔14から取り出すことができるような組織部分の受取りおよび確実な封入に役立つ。
【0025】
回収バッグ12は、図2に別に示す。例えば、回収バッグ12は、例えばポリエチレンまたは同様の材料からなる薄い可撓性プラスチック材料、例えばプラスチック箔からなり得る2つの平坦な側壁16、17を含むことが好ましい。側壁16、17は、曲線形状であり、互いの上に平坦に配置され得るように、縁部18において互いに移行するか、互いに連結される。
【0026】
側壁16、17は、上部で閉鎖装置19に連結され、閉鎖装置19は、例えばプロファイルストリップ閉鎖部として構成され、例えば、この目的のために2つの相補的ストリップ20、21を含む。ストリップ20は、例えば、図3に示すように断面がC形であり、そのため、チャネル22を互いの間に制限する2つの弾性脚部を含む。ストリップ21は、図4に示すように、弾性脚部23、24間のチャネル22内に収まる円形状によって形成されることが好ましい。
【0027】
閉鎖装置19のストリップ20、21は、可撓性プラスチックからなることが好ましい。図2に示すように、ストリップ20、21は、回収バッグ12の充填開口部25を開くように、弛緩位置においてわずかにドーム状である。図2は、開位置の充填開口部25を示す。しかしながら、2つのストリップ20、21がそれぞれの全長に沿って噛み合う場合、回収バッグ12は閉じており、そのとき閉鎖装置19は閉位置にある。しかし、弛緩状態ではストリップ20、21が湾曲していることから、図2から明らかなように、閉鎖装置19は、開位置に向かって付勢されている。しかしながら、閉じている場合は、側壁16、17の潜在的に与えられている剛性により、側壁16、17は、互いに当接しやすく、これによって、回収バッグ12で囲まれた内部は収縮する傾向がある。
【0028】
回収バッグ12は、完全に、または図1および図2に示すように部分的にのみ、回収バッグ12の一部分27またはその側壁17を覆う親水性透水フィルタダイヤフラム26から構成することができる。必要であれば、同一または同様のフィルタダイヤフラム26を他方の側壁16にも設けることができる。
【0029】
フィルタダイヤフラム26は、図5に別に示す。フィルタダイヤフラム26は、他の場合であれば不透水性であることが好ましい側壁16の窓部28上に配置され、窓部28の縁部と密に連結される。例えば、フィルタダイヤフラムは、側壁16または17の内部に面する側に配置することができ、窓部28の縁部に接着結合するか、または溶接することができる。
【0030】
フィルタダイヤフラム26は、フリースまたは多孔質箔にすることができ、次の群から選択される1以上の材料を含むことができるか、またはそれらから構成することができる。
【0031】
ポリエーテルスルフォン(PES)、アクリルポリマー、ポリアミド(PA)またはポリエチレンテレフタレート、ポリスルフホン(PS)、親水化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、酢酸セルロース(CA)、硝酸セルロース(CN)、硝酸セルロース含有酢酸セルロース(MCE)、ナイロン(NY)、ポリカーボネート(PCTE)、および/またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)。
【0032】
親水性材料、または親水性コーティングもしくは装備を有する材料からなる限り、代替のフィルタ材料が可能である。フィルタダイヤフラムの一方の平坦な側から他方の平坦な側まで延在する孔は、フィルタ材料を貫通して延在するため、水が回収バッグ12の内部から出て環境内に入ることができる流体通路を形成する。細孔サイズの上限は、12μm未満、ひいては腫瘍細胞の細胞サイズ未満であることが好ましい。最大細孔径は、5μm以下、さらに好ましくは3μm以下または3μm未満であることが好ましい。細孔サイズは、0.2μmの値をわずかだけ下回ることが好ましい。特に好ましい実施形態では、細孔径は、0.2μmより大きい。
【0033】
図2から明らかなように、回収バッグ12には、牽引手段29、例えば、閉鎖装置19が終端する回収バッグ12のコーナーに連結されることが好ましいプラスチックワイヤまたはコードが設けられる。牽引手段29の長さは、図1による回収バッグ12の牽引手段29の端部が外部(患者の外部)からアクセス可能であるように、内視鏡または膀胱鏡10の長さより長い。牽引手段29は、チューブのように構成することができ、かつ遠位端に縦スリット31を有する押棒30を貫通して延在する。縦スリットは、押棒30と牽引手段29との相対的な動きによって回収バッグが縦スリット31内に引き込まれる場合に閉鎖装置19が閉じる、すなわちストリップ20、21が係止する方法で互いに圧入するように寸法付けられる。牽引手段29は、可撓性を有するため牽引力を伝達できるが、押圧力は伝達できないことが好ましい。
【0034】
ここまで説明した回収装置は、以下のように動作する。
【0035】
組織を回収するために、回収バッグ12は、まず巻き付けることができ、押棒30の端部32の前にまたはその端部内に配置することができ、これによって牽引手段29は、押棒30を貫通してまたは押棒30に沿って延在する。巻き付けられた回収バッグ12は、ここで、押棒30によって内視鏡または膀胱鏡10の作用チャネル13内に押し通され、患者の体腔14内に入る。回収バッグ12は、内視鏡または膀胱鏡10の作用チャネル13を出ると、充填開口部25が回収バッグ12内部を開くようにリリースされる。ストリップ20、21は、側壁16、17間も同じくスペースが広がるように勢いよく互いに離れる。ここで、外科医は、例えば別の作用チャネル15に案内された別の器具によって、手術部位から組織を一体的に除去し、その組織を充填開口部25を通して回収バッグ12内に移すことができる。この工程ステップが完了すると、押棒30は遠位方向に動かされ、これによって、牽引手段29は、バッグ12が押棒30の軸方向の動きに追従できないように軸方向に移動不能に保持され続ける。結果として、押棒30は、縦スリット31によって回収バッグ12の上端部の上方を移動し、これによって閉鎖装置19を永久的に閉じる。閉じた回収バッグ12は、閉じた状態で残り、体腔14の内部で開くことはできず、また、意図せずに開くこともない。牽引手段29は、実際、回収バッグ12を縦スリット31内に引き込むことはできるが、もうそれを押し出すことはできない。牽引手段29の近位端が押棒30の近位端に連結されている場合、回収バッグは、押棒30によって膀胱鏡10または内視鏡から作用チャネル13を通して引き出されても、縦スリット31から押し出され得ない。この目的のために、押棒30の近位端と牽引手段の近位端とに連結手段を設けることができる。
【0036】
側壁16、17の剛性および/またはさらにフィルタダイヤフラム26の剛性により、回収バッグ12の内部は、ここで、体積を縮小する傾向がある。回収バッグ12内にある、体腔14から採取された液体、特に水または水性物質は、親水性フィルタダイヤフラム26を通って回収バッグ12から出ることができる。しかしながら、回収された組織は、回収バッグ12内部に残る。ここで、回収バッグ12は、押棒30の回転によって押棒30の端部の周りに巻き付けて作用チャネル13を通して引き込むために、注意深く収縮させ、例えば巻き付けることができる。回収バッグ12は、また、内視鏡または膀胱鏡10と共に患者から取り出すことができる。
【0037】
本発明の変更形態が可能である。例えば、図6によれば、1つの窓部28の代わりに、フィルタダイヤフラム26で覆われたより小さい複数の窓部28a、28bなどを側壁17内に設けることができる。さらに、単一のフィルタダイヤフラム26の代わりに、複数のフィルタダイヤフラム26a、26bを設けることが可能である。フィルタダイヤフラム26a、26bは、フィルタダイヤフラムの層と見なすことができ、これによって、中間穿孔側壁17は、支持部を形成する。代替方法として、図5によるフィルタダイヤフラム26、またはさらに図6によるフィルタダイヤフラム26aおよび/もしくは26bは、それぞれ多層構成を有することができる。個々の層は、上述の材料リストから選択できる同一またはさらに異なる材料から構成することができる。同様の機能を有する他の材料も可能である。それらの層は、直接互いの上に積み重ねるか、または互いに距離を取って配置することができる。特に、多くのダイヤフラムは、腫瘍細胞より大きい、例えば(また、著しく)12μmより大きい開口部を有する個々の箔から得ることができる。複数のそのような箔を異なる配向で層状に連結することによって、個々の箔の重ね合わせが起こるため、より小さい開口部を有する複合ダイヤフラムが生成される。これにより、製造が簡略化され、開口部を流れる水の抵抗が低下する。
【0038】
別の実施形態を図7に示す。ここでは、絞り装置33が回収バッグ12に割り当てられる。絞り装置33は、例えば、膀胱鏡10または内視鏡から遠位方向に遠ざかるように延在する、フィンガ状で剛性を有するまたは上部が覆われた延長部34として構成することができる。内視鏡内では、それぞれの棒を延長部の代わりに作用チャネル15を通して挿入することができ、作用チャネル15の遠位端が延長部34を形成するか、または延長部34に取って代わる。押棒30が回転する場合、フィンガ部34によって回収バッグ12の回転が妨げられるため、水が回収バッグ12の内部から押し出され、フィルタダイヤフラム26を通って出ることができる。
【0039】
本発明によれば、組織、特に病原体組織を患者の体腔から回収するために、完全にまたは部分的に親水性透水フィルタダイヤフラム26からなる回収バッグ12を有する回収装置が提供される。フィルタダイヤフラム26は、病原体細胞または他の病原体物質の通過を確実に避けるために、好ましくは12μm未満、さらに好ましくは8μm未満、および好ましい場合は5μm未満の細孔幅を有する。しかしながら、細孔は、少なくとも、水が回収バッグ12から容易に出ることができるくらいの大きさである。このように、回収バッグ12は、充填されるとき、収容される除去対象組織が占める体積しか要しない。回収バッグ12内部にもたらされた液体は、フィルタダイヤフラム26を通して回収バッグから押し出すことができるため、回収バッグの体積に寄与しない。これにより、腫瘍除去中に比較的大きい組織片を採取することができる。したがって、体腔内部で腫瘍を分離する必要なしに全体として腫瘍を除去することが可能である。よって、悪性組織が広がる危険性および悪性組織に関連する再発の危険性が著しく低減される。
【符号の説明】
【0040】
10 膀胱鏡
11 回収装置
12 回収バッグ
13 作用チャネル
14 体腔
15 作用チャネル/光学部品
16、17 回収バッグ12の側壁
18 縁部
19 閉鎖装置
20 脚部23、24を有するストリップ
21 ストリップ
22 チャネル
23 脚部
24 脚部
25 充填開口部
26 フィルタダイヤフラム
27 回収バッグ12の一部分
28 窓部
29 牽引手段
30 押棒
31 縦スリット
32 押棒30の遠位端
33 絞り装置
34 フィンガ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】
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