IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カムフィル アクツィエブーラーグの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132176
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】再生可能なエアフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20220831BHJP
   B01D 39/14 20060101ALI20220831BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20220831BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20220831BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D53/04 230
B01D39/14 M
B01D46/52 A
F24F7/003
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027661
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】2150216-6
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】505275697
【氏名又は名称】カムフィル アクツィエブーラーグ
【氏名又は名称原語表記】Camfil AB
【住所又は居所原語表記】Sveavaegen 56 E, 111 34 Stockholm, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ブーン ハン リム
(72)【発明者】
【氏名】チア ウェイ ン
【テーマコード(参考)】
4D012
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA03
4D012CA10
4D012CB02
4D012CD01
4D012CE03
4D012CF04
4D012CG01
4D012CG04
4D012CG05
4D012CH01
4D012CK08
4D019AA01
4D019BA03
4D019BA05
4D019BB03
4D019BC05
4D019BC12
4D019CA01
4D019CA02
4D019CB01
4D019CB04
4D019CB06
4D019DA06
4D058JA14
4D058JA32
4D058JB04
4D058KA01
4D058KA27
4D058KC63
4D058KC64
4D058QA13
4D058QA21
4D058SA01
4D058SA04
4D058TA02
4D058TA03
4D058TA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】持続可能性およびコスト削減を満たす、空気供給用途のための耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを提供する。
【解決手段】フレーム2内に取り付けられた空気透過性の吸着パネル1を備え、前記パネルが、分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を備える耐熱性の構造を備えており、脱着によって再生されるように構成されており、前記エアフィルタアセンブリが、吸着パネルとフレームとの間に耐熱性の封止材料3を備えており、耐熱性の封止材料が、空気透過性の吸着パネルとフレームとの間で相互間の間隔を塞ぐように配置された炭素繊維フェルト材料であり、これにより、加熱再生可能なエアフィルタアセンブリを通る未濾過空気の漏出が防止される、耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリおよびエアフィルタアセンブリを再生する方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気供給用途のための耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリであって、フレーム(2)内に取り付けられた空気透過性の吸着パネル(1)を備えており、該パネルが、分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を備える耐熱性の構造を備えており、脱着によって再生されるように構成されており、
前記エアフィルタアセンブリが、前記吸着パネルと前記フレームとの間に耐熱性の封止材料(3)を備える、
エアフィルタアセンブリにおいて、
耐熱性の封止材料が、前記空気透過性の吸着パネルと前記フレームとの間で相互間の間隔を塞ぐように配置された炭素繊維フェルト材料であり、これにより、加熱再生可能な前記エアフィルタアセンブリを通る未濾過空気の漏出が防止されることを特徴とする、エアフィルタアセンブリ。
【請求項2】
取り付けられた炭素繊維フェルト封止材にわたる圧力降下が、前記吸着パネルにわたる圧力降下より高く、好ましくは少なくとも2倍高く、より好ましくは少なくとも5倍高く、最も好ましくは少なくとも10倍高い、請求項1記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記空気透過性の吸着パネルが、0.7m/sの面速度で100Pa未満、好ましくは60Pa未満の圧力降下を示す、請求項1または2記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記炭素繊維フェルト材料が、圧縮可能かつ好ましくは復元可能な材料であり、該材料が、前記エアフィルタアセンブリに設置されたとき、前記空気透過性の吸着パネルと前記フレームとの間への設置前の前記炭素繊維フェルト材料の厚さの50~70%の厚さを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記炭素繊維フェルト材料が、少なくとも前記空気透過性の吸着パネルの周囲または外周に相当する合計した全長を有する1つ以上のストリップまたは帯材の形態である、請求項1から4までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記吸着パネルが、プリーツ加工された濾材のパネルであり、炭素繊維フェルトの一部が、前記吸着パネルの各側面(1a)の最も外側のプリーツにおける前記濾材の縁部(6)を囲むように折り畳まれており、前記炭素繊維フェルトの別の部分が、交差プリーツ方向における前記吸着パネルの各側面の前記プリーツの縁部に実質的に平坦に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記最も外側のプリーツ(7)における前記濾材の前記縁部(6)を囲むように折り畳まれた前記炭素繊維フェルトを前記フレームの内側に固定するために、前記最も外側のプリーツに沿ってクランプ(5)が配置されている、請求項6に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記耐熱性の構造が、自己支持型であるか、または前記分子汚染物を吸着するための前記耐熱性の多孔質の吸着材料を保持する自己支持型の担持構造を含み、該自己支持型の担持構造が、好ましくは耐熱性の繊維を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項9】
前記吸着パネルが、好ましくは、該吸着パネルの形状に対応する三次元形状を有する格子の形態の耐熱性の支持部材(8)をさらに備える、請求項1から8までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項10】
耐熱性の炭素繊維フェルト材料の前記封止材料が、50℃、30分で試験したときに10μg/g未満のガス放出値を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記炭素繊維フェルト材料が、活性炭素繊維を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項12】
前記吸着パネルと封止炭素繊維フェルトとが、前記フレーム内に取り付けられており、該フレームが、分解可能であるフレーム要素と固定具とから構成されており、これにより、炭素フェルトと吸着パネルとが取外し可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項13】
前記空気透過性の吸着パネルが、1気圧で100~300℃の温度にて、加熱されたガス流による再生に耐えるように構成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項14】
前記空気透過性の吸着パネルが、1気圧未満の静圧で50~300℃の温度にて、加熱されたガス流による再生に耐えるように構成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項15】
前記空気透過性の吸着パネルが、1気圧未満の排気手順および清浄ガス再充填手順による再生に耐えるように構成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項16】
前記空気供給用途が、クリーンルーム用途、例えば半導体またはマイクロエレクトロニクスの製造のためのクリーンルーム用途である、請求項1から15までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項17】
前記空気供給用途が、建物の一般的な換気のためのHVACシステムである、請求項1から15までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリを再生する方法(100)であって、
- 空気供給用途を含む設備(201)の空気処理システム内の使用位置から前記耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを取り外すステップ(101)と、
- 前記耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器内に取り付けるステップ(104)と、
- 特定の清浄度またはガス放出レベルに達するまで再生サイクルを実施するステップ(105)と、
- 再生された前記耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを前記再生機器から取り外すステップ(106)と、
- 前記再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリをその使用位置に再び取り付けるステップ(110)と、
を含む方法(100)。
【請求項19】
前記空気供給用途を含む前記設備(201)の前記空気処理システム内の前記使用位置から前記耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを取り外すステップの後、該エアフィルタアセンブリを特定の搬送容器内に配置するステップ(102)と、該搬送容器を、前記再生機器を備える再生設備(202)に搬送するステップ(103)と、
前記耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを前記再生機器から取り外すステップの後、前記エアフィルタアセンブリを新しい特定の搬送容器内に配置するステップ(107)と、該搬送容器を、前記空気供給用途を含む前記設備(201)に再び搬送するステップ(108)と、
任意選択的に、前記再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを、再び使用するまでガスクリーン条件下で保管するステップ(109)と、
をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記再生サイクルが、前記エアフィルタアセンブリを、
a.分子汚染物の所望の脱着が達成されるまで、1気圧で100~300℃の温度にて、加熱されたガス流に曝すステップ、もしくは、1気圧未満の静圧で50~300℃の温度にて、加熱されたガス流に曝すステップ、または
b.分子汚染物の所望の脱着が達成されるまで繰り返されてよい1気圧未満の排気手順および清浄ガス再充填手順に曝すステップ
を含む、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
請求項18から20までのいずれか1項記載の方法でフィルタが再生可能である、請求項1から17までのいずれか1項記載のエアフィルタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気供給用途のための耐熱性の再生可能な分子/AMCエアフィルタアセンブリおよび再生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気供給用途、例えばクリーンルーム用途または建物の一般的な換気のためのHVACシステムに使用するためのエアフィルタアセンブリは、典型的に、空気透過性の吸着フィルタパネルの形態のフィルタ要素を保持するフレームを含む。フィルタパネルは、空気がフィルタを通って流れる際にフィルタパネルを迂回してしまうことを防ぐために、典型的に、フィルタパネルの縁部に沿ってフレームに封止されている。
【0003】
多くのフィルタ設計では、注封材料または接着材料、特にポリウレタンをフィルタパネルの縁部の周りに流して、フィルタパネルをフレームに封止している。フィルタパネルをフレームに封止するこの方法は、プリーツ加工された縁部または側面に沿って封止しにくいことがあるプリーツ加工されたフィルタパネルの場合に特に有効である。注封材料または接着材料によってフィルタパネルをフレームに封止する方法は、一般的に信頼性の高い封止を提供する。
【0004】
空気供給用途に使用するためのエアフィルタは、特定の空気濾過用途で設定された要件を満たすように、意図された目的に対して十分な空気濾過効率と容量とを有することが重要である。
【0005】
クリーンルームまたはマイクロエレクトロニクス産業に関連する分野では、酸、塩基、凝縮物、ドーパント、酸化剤、揮発性有機化合物(VOC)など、あらゆる分子サイズの空中分子汚染物(AMC)を分子フィルタおよび分子フィルタ要素によって除去することが実現されている。AMCは、プロセスウェーハ、回路基板、工具、器具などの腐食を引き起こす可能性がある。AMCはまた、ドーピングエラー、核生成エラー、リソグラフィ工程関連の欠陥、ウェーハ・光学部品・レンズのくもりなど、製造時の歩留まりの損失または製造機器の損傷を引き起こす可能性のある多くの他の問題を引き起こす可能性がある。
【0006】
建物の一般的な換気のための最新のHVACシステムはまた、例えばオゾンO、二酸化窒素NO、二酸化硫黄SOおよびVOCなど、健康被害を引き起こす可能性のある化合物を除去するための分子フィルタを含むことができる。その他の化合物がさらに室内で生成される可能性があり、HVACシステムが再循環を使用している場合には、それらがHVACシステムに到達する可能性がある。以下では、分子汚染物という用語を、上述した異なる化合物の全てを指すために使用し、一般的な濾過のためのものも含んでいるが、温度の上昇および/または空気圧の低下を伴う工程を使用して吸着材から脱着させることができる化合物に限定している。1990年代、AMCという用語は、使用される半導体回路の線幅が250nmのときに見られた損傷シナリオを指す半導体製造設備で使用されていた。その後、線幅が縮小するにつれて、付加的な汚染物質がAMCの概念に付加され、AMCの概念の主な対象は、低分子量の揮発性有機化合物になっている。この低分子量の揮発性有機化合物のグループは、特に吸着フィルタによって除去することが困難であり、フィルタの寿命サイクルが短くなり、ひいてはフィルタコストが上昇する。
【0007】
分子汚染物の吸着を伴う空気供給用途では、持続可能性およびコスト削減への関心が高まるにつれ、エアフィルタに再生可能であることがますます求められるようになってきている。従来、クリーンルームのフィルタに適用される濾過効率の要求は厳しいため、再生は不可能と考えられている。しかしながら、近年、クリーンルームの環境のためのエアフィルタの全ての構成部品が耐熱性の材料から作製され、高温に耐えることができる設計を有していれば、フィルタに吸収された分子汚染物を除去するために、フィルタを熱風処理に供することにより、十分に再生を実施することができることが判明している。国際公開第2010/101520号には、クリーンルームのエアフィルタの一例が開示されており、このフィルタは、ポリウレタンなどの耐熱性の封止材によってフレームに取り付けられた耐熱性のフィルタ媒体、つまり濾材を備えている。
【0008】
持続可能性およびコスト削減への関心は依然として高まっており、したがって、これらの継続的に高まる要求を満たすことができる空気供給用途のための再生可能なフィルタが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、空気供給用途のための耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリであって、フレーム内に取り付けられた空気透過性の吸着パネルを備えており、パネルが、空中分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を備える耐熱性の構造を備えており、脱着によって再生されるように構成されている、耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリに関する。耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリは、吸着パネルとフレームとの間に耐熱性の封止材料を備えており、封止材料は、空気透過性の吸着パネルとフレームとの間で相互間の間隔を塞ぐように配置された炭素繊維フェルト材料であり、これにより、加熱再生可能なエアフィルタアセンブリを通る未濾過空気の漏出が防止される。好ましくは、取り付けられた炭素繊維フェルト封止材にわたる圧力降下が、吸着パネルにわたる圧力降下より相当高く、好ましくは少なくとも2倍高く、より好ましくは少なくとも5倍高く、最も好ましくは少なくとも10倍高い。空気透過性の吸着パネルは、適切には、0.7m/sの面速度で100Pa未満、好ましくは60Pa未満の圧力降下を示してよい。空気透過性の吸着パネルと、封止材料としての圧縮性の炭素繊維フェルト材料とを組み合わせることにより、エアフィルタアセンブリの再生特性が向上し、これにより、エアフィルタアセンブリが、より多くの回数の再生サイクルに耐えることができるため、コストを削減し、エアフィルタアセンブリをより持続可能にすることができる。
【0010】
炭素繊維フェルト材料が、好ましくは、圧縮可能かつ好ましくは復元可能な材料であり、材料が、エアフィルタアセンブリに設置されたとき、空気透過性の吸着パネルとフレームとの間への設置前の炭素繊維フェルト材料の厚さの50~70%の厚さを有してよい。炭素繊維フェルト材料は、適切には、少なくとも空気透過性の吸着パネルの周囲または外周に相当する合計した全長を有する1つ以上のストリップまたは帯材の形態であってよい。
【0011】
吸着パネルは、好ましくは、プリーツ加工された濾材のパネルであり、炭素繊維フェルトの一部は、吸着パネルの各側面の最も外側のプリーツにおける濾材の縁部を囲むように折り畳まれていてよい。炭素繊維フェルトの別の部分は、交差プリーツ方向における吸着パネルの各側面のプリーツの縁部に実質的に平坦に配置されていてよい。
【0012】
最も外側のプリーツにおける濾材の縁部を囲むように折り畳まれた炭素繊維フェルトをフレームの内側に固定するために、最も外側のプリーツに沿ってクランプが配置されていてよい。
【0013】
耐熱性の構造は、好ましくは、自己支持型であり、分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を保持する自己支持型の担持構造を含んでよく、自己支持型の担持構造は、好ましくは、耐熱性の繊維を含んでよい。吸着パネルは、好ましくは、吸着パネルの形状に対応する三次元形状を有する格子の形態の耐熱性の支持部材をさらに備えてよい。
【0014】
所望される場合には、炭素繊維フェルト材料が、封止機能に付加して、吸着機能を付加するために活性炭素繊維を含んでよい。
【0015】
吸着パネルと封止用炭素繊維フェルトとは、適切には、フレーム内に取り付けられており、フレームは、有利には、分解可能であるフレーム要素と固定具とから構成されており、これにより、炭素フェルトと吸着パネルとが取外し可能であってよい。
【0016】
空気透過性の吸着パネルは、適切には、少なくとも300℃までの温度での溶融および燃焼に対して耐熱性であり、有利には、1気圧で100~300℃の温度にて、加熱されたガス流による再生に耐えるように構成されているか、または、空気透過性の吸着パネルは、300℃までの温度での溶融および燃焼に対して耐熱性であり、1気圧未満の静圧で50~300℃の温度にて、加熱されたガス流による再生に耐えるように構成されてよく、または代替的に、空気透過性の吸着パネルは、1気圧未満の排気手順および清浄ガス再充填手順による再生に耐えるように構成されていてよい。
【0017】
上述した空気供給用途は、好ましくは、クリーンルーム用途または建物の一般的な換気のためのHVACシステムであってよい。
【0018】
本開示はまた、上述したエアフィルタアセンブリを再生する方法であって、空気供給用途を含む設備の空気処理システム内の使用位置から耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを取り外すステップと、耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器内に取り付けるステップと、特定の清浄度またはガス放出レベルに達するまで再生サイクルを実施するステップと、再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器から取り外すステップと、再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリをその使用位置に再び取り付けるステップと、を含む方法に関する。方法は、好ましくは、空気供給用途を含む設備の空気処理システム内の使用位置から耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを取り外すステップの後、エアフィルタアセンブリを特定の搬送容器内に配置するステップと、搬送容器を、再生機器を備える再生設備に搬送するステップと、耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器から取り外すステップの後、エアフィルタアセンブリを新しい特定の搬送容器内に配置するステップと、搬送容器を、空気供給用途を含む設備に再び搬送するステップと、任意選択的に、再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを、再び使用するまでガスクリーン条件下で保管するステップと、をさらに含んでよい。再生サイクルは、好ましくは、エアフィルタアセンブリを、a)分子汚染物の所望の脱着が達成されるまで、1気圧で100~300℃の温度にて、加熱されたガス流に曝すステップ、もしくは、1気圧未満の静圧で50~300℃の温度にて、加熱されたガス流に曝すステップ、またはb)分子汚染物の所望の脱着が達成されるまで繰り返されてよい1気圧未満の排気手順および清浄ガス再充填手順に曝すステップを含んでよい。
【0019】
本開示はまた、上述した方法によって再生可能である上述のようなエアフィルタアセンブリに関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】本開示によるエアフィルタアセンブリの実施例を概略的に示す分解図である。
図1b】本開示によるエアフィルタアセンブリの別の実施例を概略的に示す分解図である。
図2a】本開示によるエアフィルタアセンブリの概略的な部分断面図である。
図2b】本開示によるエアフィルタアセンブリの別の実施例の概略的な部分断面図である。
図2c】本開示によるエアフィルタアセンブリの更なる別の実施例の概略的な部分断面図である。
図2d図2eに示すような取付けロッドを含むエアフィルタアセンブリの部分斜視図である。
図2e図2dにも示されている取付けロッドの部分斜視図である。
図3a】本開示によるエアフィルタアセンブリに使用することができる吸着パネルを概略的に示す図である。
図3b】本開示によるエアフィルタアセンブリに使用することができる吸着パネルを概略的に示す図である。
図3c】本開示によるエアフィルタアセンブリに使用することができる吸着パネルを概略的に示す図である。
図4】支持部材を含む吸着パネルの一部分を概略的に示す図である。
図5】本開示によるエアフィルタアセンブリを再生する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、持続可能性およびコスト削減への高まる要求に応えることができ、必要に応じて、例えば半導体製造およびマイクロエレクトロニクス製造など、極めて高い清浄度を要求する用途での使用に適した、空気供給用途のための耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを提供することを目的とするものである。これにより、既存の空気供給用途のための機器のエアフィルタパネルを再生可能な代替品に置き換えることができ、以前に設定されていた全ての要件を満たすと同時に、複数回の再生が可能な再生パネルを提供することを目指している。これは、一般的には分子汚染物の吸着を伴う空気供給用途と、マイクロエレクトロニクス製造用のクリーンルームおよび特に建物の換気のためのHVACシステムとで有益である。分子汚染物の除去に関わる物理化学的なメカニズムは、以下のように説明することができる。ガス/蒸気の汚染分子が、吸着材の内部で拡散し、すなわち、それらが高濃度の領域から低濃度の領域へと移動する。拡散の速度は、2つの濃度間の差に直接的に関係する。保持されたガス/蒸気の分子によって、吸着材の内部表面の利用可能な場所が占有されると、濾過効率が低下し始める。内部表面の特性、すなわち存在している活性表面のグループと、最も重要には、細孔径分布とが、いずれのガス分子または蒸気分子を保留させるか、またそれらが吸着材の内部表面にどの程度強く吸着されるかを決定することになる。物理吸着された有機化合物の場合、他の決定特性は、除去されるガス分子または蒸気分子の分子量および沸点である。分子量の小さい有機分子は沸点が低く、したがって、吸着力が弱くなる。フィルタ下流の流出ガス/流出蒸気が、ある閾値に達すると、すなわち現在の使用サイクルが終了すると、フィルタは新しいもの、すなわち新品または再生品と交換する必要がある。したがって、閾値に到達するまでの時間または空気流量は、特定のエアフィルタ用途で除去する必要がある吸着分子のサイズに依存し、小さい分子は大きい分子よりも速く閾値に到達するため、使用サイクルが短くなる。使用サイクルが終了すると、フィルタはその使用位置から取り外されて再生に送られ、新しいフィルタがその場所に設置される。
【0022】
本発明では、空気透過性の吸着パネルが適切な特性を有していれば、炭素繊維フェルトが、フレームアセンブリと吸着パネルとの間の封止材料として使用することができることが分かった。したがって、制限された圧力降下を有する空気透過性の吸着パネルと、封止材料としての圧縮性の炭素繊維フェルト材料とを組み合わせることにより、吸着パネルとフレームアセンブリとの間の封止材は、「取り付けられた」炭素繊維フェルト封止材にわたる圧力降下を吸着パネルにわたる圧力降下よりも相当高くすること、すなわち、任意の空気の流れが、エアフィルタアセンブリを通る空気の流れに対して平行な方向に、かつ実質的に、フレームの内壁の方向、すなわちフェルト材料の圧縮方向に対して垂直な方向に、フェルト材料を通過しなければならないことを保証するのに十分であり、炭素繊維フェルト封止材は、フィルタで濾過することを意図しているガス分子または蒸気分子の除去効率を維持し、さらには増加するために十分に気密にすることができる。好ましくは、取り付けられた炭素繊維フェルト封止材にわたる圧力降下は、吸着パネルにわたる圧力降下よりも少なくとも2倍高く、より好ましくは少なくとも5倍高く、最も好ましくは少なくとも10倍高い。
【0023】
クリーンルーム用途のフィルタの濾材のパネルとフレームとの間の封止に使用される従来の封止材は、典型的に、注封材料または接着材料、特にポリウレタンであるが、これらの材料は極めて信頼性の高い気密性の封止を有しているからである。絶対的な気密封止材は、最上位のパーティクル濾過、すなわち、濾過されていない空気がフィルタを迂回してクリーンルームに入らないことが必要な、例えば半導体製造またはマイクロエレクトロニクス製造などの最上位のクリーンルーム用途におけるHEPAおよびULPAの範囲のフィルタにとって重要と見なされており、また吸着パネルがプリーツ加工された吸着パネルなど、より複雑な形状であっても気密封止性を得ることが可能になった。このようなパーティクルフィルタの媒体のパネルは、典型的に、面速度0.7m/sで少なくとも150Pa(ガラス繊維媒体)、または100Pa(PTFE媒体)の圧力降下を有している。さらに、プリーツ加工された濾材のパネルは、しばしば脆弱であるか、または柔軟かつ可撓性である可能性があり、したがって、崩壊または漏出を防ぐために、例えば注封材料または接着材料によってフレームに固定的に保持されなければならない。同一の種類の注封材料または接着材料は、分子吸着フィルタおよび再生用途のために意図されたフィルタなどの、より低い圧力降下を備えたフィルタを含む、あらゆるタイプのフィルタに封止材として今日まで使用されている。
【0024】
注封材料または接着材料の一部は耐熱性であり、複数回の再生サイクルに耐えることができるが、それらは吸着濾材が消耗するよりも早く破損してしまい、吸着フィルタパネルが、理論的には、より多くの再生サイクルでまだ再生できるにもかかわらず、封止材が寿命を迎える可能性がある。
【0025】
本発明は、フレーム内に取り付けられた空気透過性の吸着パネルを備える空気供給用途のための耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリに関する。パネルは、分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を備える耐熱性の構造を備えており、脱着によって再生されるように構成されている。空気透過性の吸着パネルは、好ましくは、0.7m/sのパネル面速度で100Pa未満、好ましくは0.7m/sのパネル面速度で60Pa未満、またはより低い面速度で相応の低い圧力降下を示す。吸着パネルとフレームとの間には、その間の間隔を塞ぐように、炭素繊維フェルト材料の形態の耐熱性の封止材料が配置される。
【0026】
使用時、空気供給用途の空気濾過では、炭素繊維フェルト材料が吸着材フィルタパネルとフレームとの間に十分な封止性を提供し、それにより加熱再生可能なエアフィルタアセンブリを通る未濾過空気の漏出を防止することができる。吸着エアフィルタアセンブリによって濾過される空気は、その比較的低い圧力降下、0.7m/sの面速度で、適切には15~100Pa、好ましくは15~60Paの圧力降下により、吸着パネルを通過することになる。したがって、圧縮性の炭素繊維フェルト封止材は、注封材料または接着材料から作製される封止材ほど気密性が高くない可能性があるが、炭素繊維フェルト封止材にわたる圧力降下は、吸着材フィルタパネルにわたる圧力降下を上回るので、十分な封止性を提供することになる。
【0027】
炭素繊維フェルトは、吸収パネルの空気濾材と少なくとも同数程度の再生サイクルに耐えることができる。したがって、特定の圧力降下を伴う吸着パネルと炭素繊維フェルト封止材との組み合わせにより、クリーンルーム用途に設定された要件に応じた空気濾過が可能になると同時に、その全ての構成要素が吸着パネルと同数程度の再生サイクルに耐えることができるフィルタアセンブリが提供され、それによってフィルタの寿命が延び、ひいては最も厳格な用途に対する清浄度の要求に適合しながら持続可能性を向上させてコストを削減することができる。
【0028】
吸着パネルが、ビーズ、顆粒または繊維の形態の吸着材料を備えるプリーツ加工された媒体から作製されている場合、封止材の炭素繊維フェルト材料は、あらゆる量の吸着材料が吸着パネルの縁部から逃げる可能性を防止することに寄与する。
【0029】
封止材に使用される炭素繊維フェルトは、好ましくはガス放出のない材料であってよい。純粋な科学的見地から、完全にガス放出のない材料は存在しない。この文脈での「ガス放出のない」とは、材料が微量の化合物しか放出しないという意味で、実質的にガス放出のないことを意味し、すなわち、指定された温度および期間で試験を行ったときに、μg/g単位の限界値未満であると定義される。これは、特定の試験を行ったときに、その材料は、限界値以上の揮発性有機化合物の総量のガス放出のないことを意味する。
【0030】
ガス放出は、例えば熱脱着法、中間吸着装置での動的収集法など、異なる試験方法によって測定することができる。
【0031】
試験方法は、以下の、
- 炭素繊維フェルト材料の試験片を得るステップと、
- 25℃、RH50%および1気圧での試験片の重量を記録するステップと、
- 試験片を、50℃の窒素もしくはヘリウムまたは他の貴ガスのガス流に連続的に曝される加熱された囲い内に配置するステップであって、ガス放出する可能性のあるあらゆる揮発性化合物がガス流によって除去され、その後、揮発性化合物が、化合物を凝縮して収集する中間吸着装置すなわちコールドトラップに到達する、配置するステップと、を含む。この手順は、50℃で30分間続けられる。
- ガス流から試料を除去するステップの後、コールドトラップを素早く加熱して採取した試料全体を同時に遊離させ、次に、試料をガス流によってガスクロマトグラフィ-炎イオン化検出器(GC-FID)またはガスクロマトグラフィ-質量分析計(GC-MS)機器に搬送して、放出した揮発性化合物の量を特定するために定性的かつ定量的な測定を行い、設定した限界値とそれを比較するステップを含む。
【0032】
ガス放出量は、炭素繊維フェルト試験材料1gあたりに放出される揮発性化合物μgで表される。ガス放出量、すなわち、上述した試験方法によって得られる試験片から放出される揮発性化合物の量は、本開示の文脈においてガス放出がないものと見なされるためには、10μg/g未満であるべきである。上述のように試験した場合、非活性炭素フェルト材料は、典型的には、10μg/g未満のガス放出値を有してよく、活性炭素フェルト材料は、典型的には、約1μg/gのガス放出値を有してよい。
【0033】
封止材にガス放出のない材料を使用することは、炭素繊維封止材料が、使用中または再生中に、吸着パネルに吸収される望ましくないあらゆる物質を放出しなくなるので、フィルタアセンブリの吸着パネルの清浄度の向上および寿命の延長に貢献することができる。対照的に、注封材料または接着材料のような従来の封止材料は、50℃を超える温度に曝されると揮発性有機化合物を放出し、吸着パネルの吸着材料に不必要に負荷をかけ、吸着材を早期に排出し、それによってパネルの寿命を不必要に減少させる可能性がある。吸着パネルの材料はまた、適切には、上述した定義によるガス放出のないものである。
【0034】
吸着パネルを炭素繊維フェルト材料によってフレームに封止してエアフィルタアセンブリを得る開示された方法は、様々な種類の吸着パネルに適用することができる。
【0035】
吸着パネルは、フレーム内に取り付けるために適した任意の形状を有することができる。吸着パネルは、典型的には、概して正方形または長方形の形状および空気流方向に一定の厚さを有することができ、例えば、300×300×20mm~1200×1200×100mmの大きさを有することができる。
【0036】
吸着パネルは、適切には、自己支持型であり、好ましくは、自己支持型構造の形態である、分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を保持(担持)する耐熱性の担持構造を含むことができる。「自己支持型」という用語は、吸着パネルが、付加的な支持部材によって支持されることなく、空気濾過用途における通常の動作条件下でその三次元形状を維持することができることを意味する。吸着パネルの自己支持特性により、パネルが変形に対して弾性的になり、ひいては吸着パネルとフレームとの間の接着接続を不要にし、ひいては炭素繊維フェルト材料による封止を可能にする。担持構造は、有利には、分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を保持する耐熱性の繊維、例えば二成分繊維を含み、多孔質の吸着材料を含むプリーツ加工可能なシートまたはウェブの形態とすることができる(図3a)。所望される場合には、吸着材料を保持する耐熱性の繊維を2層の耐熱性の不織布材料の間に位置させることができる。エアフィルタアセンブリに使用されるプリーツ加工された濾材は、好ましくは、ISO規格14644-1によって定義されるISOクラス6環境以上のパーティクルを放出しない。
【0037】
代替的に、吸着パネルは、ハニカム材料(図3b)または連続気泡フォームまたは他のスポンジ状材料(図3c)の形態の担持構造を含んでよく、そこに吸着材料を付着させることができる。ハニカム構造は、紙またはセラミック構造上で活性炭から製造したものであってよく、または基材を全体として炭化して活性化させて構成することができる。米国特許第6964695号明細書、欧州特許出願公開第04724071号明細書、米国特許第10/344248号明細書には、直接的に電気加熱により再生する炭素モノリスが示されている。ハニカムベースまたはモノリスベースのシステムは、固定された幾何学的な形状を有するため、使用中に可撓性が制限される場合があり、耐熱性の繊維のプリーツ加工されたシートよりもわずかに高い圧力降下を有する場合がある。
【0038】
吸着材料は、例えば、吸着ビーズ、好ましくは球状ビーズ、または吸着繊維の形態であってよく、活性炭、または例えば活性炭と同様の吸着特性を有するが、良好な吸着と加熱時の実質的に完全な脱着とを可能にし、吸着材料の再生に極めて適する細孔システムのサイズ分布を有する、人造吸着材/人工吸着材などの、分子汚染物を吸着することができる任意の種類の吸着材料、例えば多孔質のポリマー吸着材料を含むことができる。商業的な例としては、Dowex Optipore(登録商標)製品がある。
【0039】
耐熱性の担持構造とは、耐熱性の繊維と吸着材料とを備えた内部の三次元構造を有し、再生サイクルの温度に曝されても溶融または燃焼しないという意味での耐熱性を有するものである。しかしながら、内部の三次元構造(すなわち、耐熱性の繊維またはハニカム構造またはスポンジ構造)は高温に耐えることができるとしても、吸着パネルは、場合によっては、高温に曝されるとわずかに撓む可能性のある外部の三次元構造(例えば、プリーツ加工された構造または立方体)を有する場合もある。したがって、再生サイクル中の変形を防止するために、吸着パネルは、好ましくは吸着パネルの形状に対応する三次元形状を有する格子の形態の耐熱性の支持部材をさらに備えてよい。
【0040】
空気透過性の吸着パネルは、好ましくは、300℃までの温度で溶融および燃焼に対して耐熱性であり、適切には、1気圧で100~300℃の温度にて、加熱されたガス流による再生に耐えるように構成されているか、または1気圧未満の静圧で50~300℃での温度にて、加熱されたガス流による再生に耐えるように構成されている。代替的に、空気透過性の吸着パネルは、1気圧未満の排気手順および清浄ガスの再充填手順による再生に耐えるように構成することができる。このような排気手順および清浄ガス充填手順は、所望の再生結果が得られるまで繰り返すことができ、バッチ式の手順として実施することができる。
【0041】
吸着パネルとフレームとの間の封止材に使用される炭素繊維フェルト材料は、好ましくは、エアフィルタアセンブリに設置されたときの厚みが、最も圧縮された箇所において、エアフィルタアセンブリに設置する前の初期の本来の厚さの50~70%となる程度に圧縮可能である。圧縮可能であることによって、炭素繊維フェルト材料は、封止されるパネル縁部の表面形状にも追従し、その表面の微少な凹凸を埋めることができる。炭素繊維フェルト材料は、好ましくは、さらに、再生サイクル中の異なる材料の熱膨張による寸法変化に適応することができるように、かつ付加的に、エアフィルタアセンブリを分解した場合または分解したときに、その本来の厚さに戻るように膨張することができるように、弾性的であってもよい。このことはまた、万が一、吸着パネルがフレーム内で変位してフレームとの間隔が広がっても、炭素繊維フェルト材料が膨張し、したがってフレームと吸着パネルとの間が炭素繊維フェルト材料で塞がれ、封止性が保持されることを保証するということを意味する。
【0042】
炭素繊維フェルト材料の圧縮性および復元性は、ASTM F36に基づく試験により確立することができる。
【0043】
この方法は、25℃、1気圧で実施される、
・1.76cmの炭素繊維フェルト材料の正方形の試験片を切断し、平坦な固体表面上に配置するステップと、
・試験片の本来の厚さ(TO)を記録するステップと、
・試験片に10Nの力を加え、試験片と同じ面積と規定の重量とを有する板を試験片の上側に配置するステップと、
・試験片の圧縮された厚さ(T)を記録するステップと、
・試験片から板を除去するステップと、
・試験片の復元された厚さ(T)を記録するステップと、
を含む。
【0044】
圧縮率はC=100×(TO-T)/TO、復元率はR=100×(T-T)/(TO-T)である。
【0045】
本発明のエアフィルタアセンブリの封止材料として使用することが適切な炭素繊維フェルト材料は、好ましくは、TOが2~3mmのとき、C=30~80%の圧縮率と、R=40~60%の復元率とを有することができる。
【0046】
炭素繊維フェルト材料は、好ましくは、当技術分野で利用可能な方法、例えば、先行して作製された炭素繊維を使用するためのカーディングおよびカードパンチならびにニードルパンチによって得ることができる。炭素繊維フェルトを製造するための異なる方法は、例えば国際公開第2015/099504号などの文献に見出すことができる。
【0047】
炭素繊維フェルト材料は、有利には活性炭素繊維を含むことができ、それにより、吸着パネルを不都合に逃れて、代わりに炭素繊維フェルト材料封止材を介して流れる任意の最小の空気流中の分子汚染物が、封止材料によって吸着され、したがってエアフィルタアセンブリの効率をさらに向上させることができる。活性炭素繊維はこの技術分野で入手可能であり、例えば米国特許第7517832号明細書は、繊維状ポリマー出発物質、例えばアクリル(PAN)、ピッチ、レーヨン、フェノールを用いて、例えば溶融紡糸により製造された活性炭素繊維と、対応するフェルト製品との作製方法を開示している。形成後、不活性環境下または低酸素環境下でポリマー繊維を炭化させ、水と少量の酸素とを使用して活性化するか、または化学的活性化法を用いて活性化することにより、炭素繊維が製造される。活性炭素繊維は、粒状または粉末の活性炭に比べて極めて速い吸着速度および脱着速度を有し、低濃度で多くの吸着量を有し、フェルト、布、および紙など様々な形態に加工することが可能である。
【0048】
炭素繊維フェルト材料は、好ましくは、少なくとも空気透過性の吸着パネルの周囲または外周に対応する合計した全長を有する1つ以上のストリップまたは帯材の形態であってよい。吸着パネルの側縁部の表面が実質的に平坦である場合、炭素繊維フェルト材料は、吸着パネルとフレームとの間に平坦に配置することができる。必要であれば、2層以上の炭素繊維フェルト材料を互いの上側に配置し、より大きな合計した厚さを得ることができる。これは、例えば、吸着パネルの側縁部が、例えばプリーツ加工された吸着パネルの縁部に沿って、幾分凹凸のある表面を有する場合に有利であり得る。炭素繊維フェルトの1層の厚さは、1~20mmの間隔であってよいが、適切には、吸着パネルの形態および種類に応じて、2~3mmまたは3~6mmであってもよい。
【0049】
前述のように、吸着パネルは、例えば、好ましくは、プリーツ加工された吸着パネルであってよい。プリーツ加工された吸着パネルは、空気の通過に利用可能な増加した表面積を有し、したがって、フィルタアセンブリにわたる圧力降下を低減しながら、濾過効率を向上させることができる。パネルが構成される吸着材料は、まず、プリーツ加工され、その後、パネルに切断することができる。これは、パネルが、プリーツに対して平行な2つの第1の側縁部と、交差プリーツ方向にある2つの第2の側縁部とを有し、すなわち、ジグザグ状の外観を有することができることを意味する。この文脈では、「プリーツ」という用語は、折畳み線の両側に位置するフィルタ材料の2つの平行なセクションを指している。これは、図2に概略的に示されている。「交差プリーツ方向」は、折畳み線に対して垂直な方向である。
【0050】
フレームは、有利には、フレームから炭素フェルトと吸着パネルとを取り外すことができるように、分解可能なフレーム要素と固定具とを備えるフレーム構成であってよい。これにより、炭素フェルトと吸着パネルとの寿命が尽きたときに、フレームを回収して新しいエアフィルタアセンブリに使用することができる。フレーム要素は、適切には、吸着パネルがフレームから脱落することを防止するために、中間壁部分と、フレーム要素の両側の中間部分から、好ましくは実質的に垂直に延在する二次壁部分とを有するように構成されている。
【0051】
吸着パネルと炭素繊維フェルト材料片とは、適切には、吸着パネルとフレームの二次壁部分との間に挿入されたクランプによって、エアフィルタアセンブリのフレーム内の所定の位置に保持することができる。クランプは、クランプバーの形態とすることができ、適切には、吸着パネルの長さにほぼ対応する長さを有し、適切には、吸着パネルとフレーム要素の二次壁部分との間の間隔にほぼ対応する幅を有している。第1の対のフレーム要素は、適切には、吸着パネルの2つの第1の側面を保持するように配置することができ、第2の対のフレーム要素は、適切には、吸着パネルの2つの第2の側面を保持するように配置することができる。プリーツ加工された濾材のパネルの形態の吸着パネルの場合、第1の対のフレーム要素と、吸着パネルの第1の側面とは、吸着パネルのプリーツに対して平行となる。吸着パネルと炭素繊維フェルト材料片とを所定の位置に保持するために使用されるクランプは、典型的には、前記第1の対のフレーム要素と、吸着パネルの第1の側面とに対して実質的に平行な長さ方向を有する。クランプは、典型的には、吸着パネルと前記第1の対のフレーム要素の各フレーム要素との間に配置される。前記第2の対のフレーム要素の1つのフレーム要素は、好ましくは、非恒久的な締結具、例えばねじによって前記第1の対のフレーム要素のフレーム要素に接続されるため、それらのフレーム要素は、容易に組み立て、また、分解することができるように配置される。それによって、フィルタフレームアセンブリを容易に開放することができ、吸着パネルを挿入し、また、取り外すことができる。
【0052】
吸着パネルがプリーツ加工された濾材のパネルである場合、プリーツ加工された濾材のパネルの2つの第1の側縁部で、それぞれ、炭素繊維フェルトの一部を、最も外側のプリーツにおける濾材の縁部を囲むように折り畳むことができる。このようにして、炭素繊維フェルト材料の小片は、最も外側のプリーツのフィルタ材料の2つの平行なセクションの間に挿入される。この場合、最も外側のプリーツにおける濾材の縁部を囲むように折り畳まれた炭素繊維フェルトをフレームの内側に対して固定するために、クランプを最も外側のプリーツに沿って配置することができる。クランプは、好ましくは、プリーツの長さにほぼ対応する長さを有する実質的に平坦な挿入片を備えてよい。クランプの実質的に平坦な小片は、折り畳まれた炭素繊維フェルト材料の小片を所定の位置に維持するために、最も外側のプリーツのフィルタ材料の2つの平行なセクションの間に挿入することができる。クランプは、フレーム支持片をさらに備えてもよく、このフレーム支持片は、実質的に平坦な小片に対して所定の角度をなして実質的に平坦な小片から延在している。前記角度は、好ましくは70~100°である。フレーム支持片は、適切には、フレーム要素の内側に対して載置するように構成することができる。
【0053】
上述のような実質的に平坦な挿入片を有するクランプを使用して炭素繊維フェルト材料の小片を固定する場合、クランプの実質的に平坦な小片は、フレーム支持片が二次壁部分に対して載置するように最も外側のプリーツのフィルタ材料の2つの平行セクションの間に挿入することができる。
【0054】
クランプは、実質的に平坦な小片とフレーム支持片との間の角隅が、実質的に平坦な挿入片の最も外側の縁部よりも中間部分に近接するように配向することができる。それによって、最も外側のプリーツ、ひいては炭素繊維フェルト材料の小片は、フィルタフレームに固定的に保持される。この場合、フレーム支持片の最も外側の縁部は、典型的に、フレーム要素の中間部分から離れるように向けられることになる。
【0055】
代替的に、クランプは、実質的に平坦な小片とフレーム支持片との間の角隅が、実質的に平坦な挿入片の最も外側の縁部よりも中間部分から離れるように配向することができる。このクランプの配向は、最も外側のプリーツによって高いクランプ圧力を付与し、ひいては炭素繊維フェルト材料の小片は、挿入片の縁部とフレーム壁との間に挟まれ、ひいてはフィルタフレームにさらに固定的に保持される。この場合、フレーム支持片の最も外側の縁部は、典型的に、フレーム要素の中間部分に向けられることになる。
【0056】
また、炭素繊維フェルトの別の部分は、吸着パネルの各側において、それぞれフレームと交差プリーツ方向のプリーツの縁部との間に平坦に配置することができ、すなわち、上述した2つの第2の側縁部に配置することができる。
【0057】
吸着パネルと炭素繊維フェルト材料とは、取付けロッドによってフレームの所定の位置に保持し、固定することができる。パネルの各側には、外力からパネルを保護するためのネットまたはスクリムを配置することができる。
【0058】
使用されるクランプの種類にかかわらず、取付けロッドおよびクランプは、適切には、吸着パネルをフレーム内の所定の位置に保持する際に相互作用するように構成することができる。例えば、クランプにノッチを設け、クランプと第1の対のフレーム要素の二次壁部分との間のフレーム要素に取付けロッドを挿入して取り付けることを可能にすることができる。実質的に平坦な挿入片とフレーム支持片とを有するクランプの場合、ノッチは、フレーム支持片の切欠きとして設けることができる。中実のクランプバーの場合、ノッチは、取付けロッドのための空間を付与する凹部の形態であってよい。次に、取付けロッドは、例えば、ねじもしくはラッチなどの締結具または他の適切な締結手段12によってフレーム要素に固定することができる。
【0059】
代替的に、取付けロッドには、突出した舌片と、取付けロッドの各端部の端面とを設けることができる。次に、クランプは、取付け時に、取付けロッドの舌片が開口または凹部の側に載置し、取付けロッドの端面が開口または凹部に隣接するクランプ表面に載置するように、取付けロッドの突出した舌片を収容するための開口または凹部を有することができる。さらに、適切には、1つ以上の固定ロッドを第2の対のフレーム要素の間に配置することができる。固定ロッドは、取付けロッドに対して所定の角度をなすかまたは垂直に位置決めされ、適切には、フィルタパネルの膨張のリスクを低減するために、例えば、ねじもしくはラッチなどの締結具または他の適切な締結手段によって第2の対のフレーム要素の各々のフレーム要素に固定することができる。固定ロッドは、有利には安定性を向上させるために、吸着パネルの両側に配置される。吸着パネルの各側に配置されるネットまたはスクリムは、適切には、異なるサイズを有することができ、したがって、吸着パネルとフレーム要素の二次壁部分との間のクランプが挿入される吸着パネルの側面に、有利にはフレーム要素によって形成されるフレーム内の開口に対応するサイズを有する、より小さなネットまたはスクリムを配置することができ、一方、吸着パネルの反対側に、適切には、吸着パネルと他の二次フレーム壁部分との間に挿入され、好ましくはフレーム要素によって形成されるフレーム内の開口より大きいサイズを有する、より大きなネットまたはスクリムを配置することができる。このことは、全てのフレーム要素とより大きなネットまたはスクリムとが組み立てられていると、フレームを分解する必要なく、吸着パネル、炭素繊維フェルト片、より小さなネットまたはスクリム、クランプ、取付けロッドおよび固定ロッドを配置するかまたは取り外すことにより、エアフィルタアセンブリを有効に組み立てるかまたは分解することができることを意味している。
【0060】
上述したフレーム構成は、任意の種類の吸着濾材のパネルと関連して使用することができ、吸着パネルとフレームとの間に炭素繊維フェルトが配置されていない場合にも適用可能である。
【0061】
上述したエアフィルタアセンブリは、適切には、以下の方法によって再生可能である。
【0062】
本開示はまた、上述したエアフィルタアセンブリの再生する方法であって、
- 空気供給用途を含む設備の空気処理システム内の使用位置から耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを取り外すステップと、
- 耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器内に取り付けるステップと、
- 特定の清浄度またはガス放出レベルに達するまで再生サイクルを実施するステップと、
- 再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器から取り外すステップと、
- 再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリをその使用位置に再び取り付けるステップと、
を含む方法に関する。
【0063】
再生サイクルは、エアフィルタアセンブリを、分子汚染物の所望の脱着が達成されるまで、1気圧で100~300℃の温度にて、加熱されたガス流に曝すこと、または、1気圧未満の静圧で50~300℃の温度にて、加熱されたガス流に曝すこと、または、分子汚染物の所望の脱着が達成されるまで繰り返されてよい1気圧未満の排気手順および清浄ガス再充填手順に曝すことを含む。この再生温度範囲では、熱分解処理には耐えられないが、撓みまたは分解なしに再生温度に耐える吸着濾材のパネルを備えたエアフィルタアセンブリの再生が可能である。
【0064】
再生が完了したときを定義する特定の清浄度またはガス放出レベルは、例えば、プロトン移動反応質量分析(PTR-MS)機器によって確立することができる。再生サイクルの終了時の適切なガス放出値の閾値は、例えば、特定の空気流、すなわちフィルタのための意図された作業空気流において、0.1ppb(体積)であることができる。
【0065】
エアフィルタアセンブリがその使用位置から取り外されたとき、それは典型的に、同一の構成を有する別のエアフィルタアセンブリユニットに置き換えられるので、第1のエアフィルタアセンブリが再生されている間、空気供給用途を使用停止する必要はない。もちろん、空気処理システムの使用位置と再生機器との間を循環する複数のエアフィルタアセンブリユニットを有することも可能である。その場合、現在、使用していないユニットまたは再生中でないユニットは、清浄なガス条件下で保管することができる。
【0066】
再生機器は、空気供給用途と同一の場所に位置することができる。しかしながら、本明細書で定義されるエアフィルタアセンブリが使用される空気処理システムを備えた空気供給用途を有する複数の設備にサービスを提供する中央再生設備を配置することが、より効率的である可能性がある。この場合、エアフィルタアセンブリを再生する方法は、クリーンルームまたは製造機器の空気処理システム内の使用位置から耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを取り外した後、エアフィルタアセンブリを特定の搬送容器内に配置し、搬送容器を再生設備に搬送することをさらに含み、方法は、再生機器を備え、耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生設備から取り外した後、エアフィルタアセンブリを新しい特定の搬送容器内に配置し、搬送容器をクリーンルーム設備に再び搬送することを含むことができる。任意選択的に、再生された耐熱性の再生エアフィルタアセンブリは、ガスクリーン条件下で保管することができ、その後、再び使用することができる。一部の大型の炭化水素は、上述した再生によって、すなわち熱分解を行わずに、除去することができない可能性がある。これは、再生サイクル終了時のガス放出値を超えない限り、許容することができる。しかしながら、複数回の再生サイクルの後、上述した再生方法では除去できない量の大型の炭化水素が吸着パネルに蓄積して、許容することができるガス放出値の程度に達しなくなるか、大型の炭化水素の蓄積に伴う吸着能力の低下により、2回の再生の間の使用時間が短くなりすぎる事態になる可能性がある。この場合、吸着パネルを廃棄し、新たに製造されたものと交換する必要がある場合がある。
【0067】
例示的な実施形態
次に、本開示の好ましい例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本開示のエアフィルタアセンブリを説明する。
【0068】
図1a~図1bおよび図2a~図2dは、フレーム2に取り付けられた空気透過性の吸着パネル1を備える、本開示の耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリの例を概略的に示している。吸着パネルは、分子汚染物を吸着するための耐熱性の多孔質の吸着材料を備えており、脱着によって再生されるように構成された耐熱性の担持構造11(図3a~図3cおよび図4参照)を備えている。エアフィルタアセンブリは、吸着パネル1とフレーム2との間に耐熱性の封止材料3を備える。耐熱性の封止材料3は、空気透過性の吸着パネルとフレームとの間でその間の間隔を塞ぐように配置された炭素繊維フェルト材料であり、これにより、使用中および再生中に加熱再生可能なエアフィルタアセンブリを通して未濾過空気が漏出することを防止することができる。
【0069】
フレーム要素は、吸着パネルがフレームから脱落することを防止するために、中間壁部分2aと、フレーム要素の各側の中間部分2aから延在する二次壁部分2bとを有するように構成されている。フレーム2は、吸着パネル1の2つの第1の側面(図1a~図1bにおける左右の側面)を保持するように配置された第1の対のフレーム要素と、吸着パネルの2つの第2の側面(図1a~図1bにおける頂面および底面)を保持するように配置された第2の対のフレーム要素との、2つの対のフレーム要素を備えて構成される。図示のように、プリーツ加工された濾材のパネルの形態の吸着パネルの場合、第1の対のフレーム要素と吸着パネルの第1の側面とは、吸着パネル1のプリーツに対して平行である。炭素繊維フェルト材料3は、少なくとも空気透過性の吸着パネル1の周囲または外周に対応する合計した全長を有する1つ以上のストリップまたは帯材3a,3bの形態である。炭素繊維フェルトのストリップまたは帯材3aは、図2aに図示されるように吸着パネルの周りに折り畳まれるか、または図2b~図2dに図示されるように最も外側のプリーツの縁部の周りに折り畳まれる。図1a~図1bおよび図2b~図2eに示された例では、吸着パネル1は、プリーツ加工された濾材のパネルであり、炭素繊維フェルトの一部3aは、プリーツ加工された濾材のパネルの各側面1aの最も外側のプリーツ7における濾材の縁部6を囲むように折り畳まれており、圧縮性の炭素繊維フェルトの別の部分は、交差プリーツ方向における吸着パネルの各側面のプリーツの縁部に平坦に配置されている。最も外側のプリーツとは、図2に概略的に示したように、最も外側の折畳み線7’の各側に位置するフィルタ材料の2つの平行なセクション7’’のことを指す。「交差プリーツ方向」は、折畳み線に対して垂直であり、交差プリーツ側縁部1bにジグザグ状の外観を付与する。この適用により、炭素繊維フェルト材料は、吸着パネルのプリーツ加工された媒体パックの縁部を封止し、媒体の縁部からあらゆる吸着パーティクルが逃げることも阻止する。
【0070】
最も外側のプリーツ7における濾材の縁部6を囲むように折り畳まれた炭素繊維フェルトは、最も外側のプリーツにおける濾材の縁部を囲むように折り畳まれた炭素繊維フェルトをフレームの内側に対して固定するために、最も外側のプリーツに沿って配置されてプリーツに挿入されるクランプ5によって所定の位置に保持されている。
【0071】
図2a~図2dに概略的に示すように、吸着パネル1と炭素繊維フェルト材料3aの小片を所定の位置に保持するためにクランプ5,5’,5’’が使用される。クランプは、吸着パネルとフレーム要素との間に挿入される。
【0072】
図2b~図2dに示すクランプは、最も外側のプリーツ1aのフィルタ材料の2つの平行なセクションの間に挿入され、炭素繊維フェルト材料3aの折畳み片を所定の位置に保持する平坦な挿入片16を備える。クランプはフレーム支持片17をさらに備える。このフレーム支持片17は、実質的に平坦な小片に対して所定の角度をなして平坦な小片16から延在し、フレーム要素の二次壁部分2bの内側に載置されるように構成されている。
【0073】
図2bに示すように、クランプ5’は、挿入片16とフレーム支持片17との間の角隅が、挿入片の最も外側の縁部よりも中間壁部分2aに近接するように配向することができる。この場合、フレーム支持片の最も外側の縁部は、フレーム要素の中間壁部分2aから離れる方向に向けられることになる。
【0074】
代替的に、図2cに示すように、クランプ5’’は、挿入片16とフレーム支持片17との間の角隅が、挿入片の最も外側の縁部よりも中間壁部分2aから離れるように配向することができる。この場合、フレーム支持片の最も外側の縁部は、フレーム要素の中間壁部分2aの方に向けられることになる。図1a~図1bは、フレームが、分解可能なフレーム要素と固定具とを備えており、炭素フェルトと吸着パネルとを取り外すことができるようにする方法を示している。第2の対のフレーム要素の図1a~図1bにおける上側のフレーム要素18は、第1の対のフレーム要素のフレーム要素に、ねじの形態の非恒久的な締結具によって接続され、容易に組み立て、また、分解することができる。
【0075】
吸着パネル1と炭素繊維フェルト材料とは、図1a~図1bに示すように、例えば取付けロッド10によってフレームの所定の位置に保持され、固定される。パネルの各面には、外力からパネルを保護するためのネットまたはスクリム9,9a,9bが配置される。図1a~図1b、図2b~図2cに示すように、吸着パネルの各面に配置されたネットまたはスクリムは、異なる大きさを有し、吸着パネル1とフレーム要素の二次壁部分2bとの間のクランプ5,5’,5’’が挿入される吸着パネル1の面に、フレーム要素によって形成されるフレームの開口に対応するサイズを有する、より小さなネットまたはスクリム9bが配置され、吸着パネルの反対側に、吸着パネルと他の二次フレーム壁部分との間でフレームの開口より大きなサイズを有する、より大きなネットまたはスクリム9aが配置されている。
【0076】
取付けロッド10とクランプ5,5’,5’’とは、吸着パネルをフレーム内の所定の位置に保持する際に相互作用するように構成されている。図1aの例では、クランプにノッチ13が設けられ、クランプ5’とフレーム要素の二次壁2bとの間に取付けロッド10を挿入して取り付けることを可能にする。取付けロッドは、締結具12によってフレーム要素に固定される。
【0077】
図1bの例では、図2d~図2eにも示すように、取付けロッド10は、ロッドの各端部に、突出した舌片19と、端面20とを備えている。クランプ5’’は、舌片を収容するための開口21を有し、端面20は、取り付けられたときに開口21に隣接するクランプ表面上に載置する。さらに、固定ロッド14が、フレーム要素同士の間に配置され、締結具15によって上側のフレーム要素および下側のフレーム要素のそれぞれに固定される。
【0078】
図3a~図3cは、吸着材料を付着させる担持構造として、図3aでは耐熱性の繊維のプリーツ加工されたシート、図3bではハニカム材料、図3cではスポンジ状の材料の3つの代替案を示したものである。これらの全ての担持構造は、図1a~図1bに示したようなフレームアセンブリに、クランプを適切に選択することで保持することができる。
【0079】
図4は、吸着パネルの形状に対応した三次元形状を有する格子の形態の耐熱性の支持部材8を備えたプリーツ加工された吸着パネルを示す図である。図4のパネルのプリーツは、支持格子を見えるようにするために拡大して示されている。
【0080】
図5は、上述したエアフィルタアセンブリを再生する方法を概略的に示す図であり、空気供給用途を含む設備(201)の空気処理システム内の耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを使用位置から取り外すステップ(101)と、耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器内に取り付けるステップ(104)と、特定の清浄度またはガス放出レベルに達するまで再生サイクルを実施するステップ(105)と、再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器から取り外すステップ(106)と、再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリをその使用位置に再び取り付ける(110)ステップと、を含む。この方法は、空気供給用途を含む設備(201)の空気処理システム内の耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリをその使用位置から取り外すステップの後、エアフィルタアセンブリを特定の搬送容器内に配置するステップ(102)と、エアフィルタアセンブリまたは搬送容器を、再生機器を備える再生設備(202)に搬送するステップ(103)と、耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再生機器から取り外すステップの後、エアフィルタアセンブリを新しい特定の搬送容器内に配置するステップ(107)と、搬送容器を、空気供給用途を含む設備(201)に再び搬送するステップ(108)と、をさらに含むことができる。この方法は、任意選択的に、再生された耐熱性の再生可能なエアフィルタアセンブリを再び使用するまでガスクリーン条件下で保管するステップ(109)を含むことができる。
【0081】
当業者は、本開示が、上述した好ましい実施形態に限定されないことを認識している。当業者は、さらに、添付の特許請求の範囲の範囲内で修正および変形が可能であることを認識している。付加的に、開示された実施形態に対する変形は、請求された開示を実施する当業者によって図面、開示および添付の請求項の検討から理解し、実現することができる。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図4
図5
【外国語明細書】