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特開2022-13218バックル結合構造およびベルト結束方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013218
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】バックル結合構造およびベルト結束方法
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/28 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A44B11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115633
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000204608
【氏名又は名称】大下産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明弘
(72)【発明者】
【氏名】益田 栄壮
【テーマコード(参考)】
3B090
【Fターム(参考)】
3B090BD05
(57)【要約】
【課題】過酷な適用場面でも使用できるバックル結合構造を提供し、適用範囲を拡大する。
【解決手段】結合構造は、バックル21とバックル22と結合手段40とから構成される。バックル21,22はベルト端部11,12に設けられる。結合手段40はバックル21とバックル22とを結合する。結合手段40は、板バネ41,42と、バー部材45,46とを有する。上下の板バネ41,42は、バックル21,22に半分ずつ挿入される。バー部材45,46は、バックル21,22のバー部材挿入孔25,26より挿入され、上下の板バネ41,42の間に介挿される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトの一端部に設けられる前記第1バックルと、
前記ベルトの他端部に設けられる第2バックルと、
前記第1バックルと第2バックルを結合する結合手段と
を備え、
前記第1バックルおよび第2バックルは、それぞれ、
略箱形形状をしており、
結合端面側開口部と、
側面に設けられるバー部材挿入孔と、
を有し、
前記結合手段は、
前記第1バックルおよび第2バックルの結合端面側開口部から挿入され、前記第1バックルおよび第2バックルの上側内壁面に当接される上側板バネと、
前記第1バックルおよび第2バックルの結合端面側開口部から挿入され、前記第1バックルおよび第2バックルの下側内壁面に当接される下側板バネと、
前記第1バックルのバー部材挿入孔より挿入され、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿される第1バー部材と、
前記第2バックルのバー部材挿入孔より挿入され、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿される第2バー部材と、
を有する
ことを特徴とする結合構造。
【請求項2】
前記第1バックルおよび第2バックルは、
上側および下側内壁面に設けられるバックル側係合部
を有し、
前記上側板バネおよび下側板バネは、
バックル内壁面当接面側に設けられ、バックル側係合部と係合する前記板バネ側係合部
を有する
ことを特徴とする請求項1記載の結合構造。
【請求項3】
前記第1バックルおよび第2バックルは、
結合端面から遠位に、遠位に行くに従って断面が小さくなる尻部と、
前記尻部側端面に設けられる尻部側端面開口部と、
を有し、
前記ベルトの端部は折り返され、折り返し箇所内側に係止バー部材が挿入された状態で、前記尻部側端面開口部に係止される
ことを特徴とする請求項1または2記載の結合構造。
【請求項4】
請求項3記載の結合構造によるベルト結束方法であって、
前記ベルトの端部を尻部側端面開口部から結合端面側開口部に挿通し、
前記ベルトの端部を折り返し、前記係止バー部材を折り返し箇所内側に挿入し、前記ベルトの端部を結合端面側開口部に挿入し、
前記ベルトの端部を尻部側端面開口部から引き出し、
前記ベルトの折り返し箇所および前記係止バー部材を前記尻部側端面開口部に係止させる
ことを特徴とするベルト結束方法。
【請求項5】
前記上側板バネおよび下側板バネの半分を第1バックルの結合端面側開口部に挿入し、
前記第1バー部材を前記第1バックルのバー部材挿入孔より挿入し、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿し、
前記上側板バネおよび下側板バネの残り半分を第2バックルの結合端面側開口部に挿入し、
前記第1バックルの結合端面と第2バックルの結合端面とを当接させ、
前記第2バー部材を前記第2バックルのバー部材挿入孔より挿入し、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿し、
前記第1バックルと第2バックルを結合する
ことを特徴とする請求項1記載のベルト結束方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しいバックル結合構造を用いたにベルト結束方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトのバックル結合構造として、従来から複数の技術が提案されている。一般には、ラダー型と2ピース型のバックル結合構造がある(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
ラダー型バックルは、左右の壁に対し、複数のバー部材を連続させ、梯子状を形成する。ベルトの一端を一のバー部材を巻き付けるように折返し、ベルトの他端を他のバー部材を巻き付けるように折返す。バックル単体で結合構造を形成する。
【0004】
2ピース型のバックルは雄バックルと雌バックルとから構成される。雄バックルおよび雌バックルは端部には梯子状部材を有し、ベルトの一端を雄バックルのバー部材を巻き付けるように折返す。雄バックルには弾性部材が設けられ、弾性部材が雌バックル内壁に係合することで、結合構造を形成する。
【0005】
これらのバックル結合構造は、リュックサック等のバック類や救命胴衣等に転用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開1990-224609号公報
【特許文献2】特開1994-209808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今、ベルトのバックル結合構造の適用範囲の拡大が検討されている。一方で、バックル結合構造の基本構造は数十年間変化がない。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、従来になかった新しいバックル結合構造を提供し、適用範囲を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明のベルトのバックル結合構造は、ベルトの一端部に設けられる前記第1バックルと、前記ベルトの他端部に設けられる第2バックルと、前記第1バックルと第2バックルを結合する結合手段とを備える。前記第1バックルおよび第2バックルは、それぞれ、略箱形形状をしており、結合端面側開口部と、側面に設けられるバー部材挿入孔と、を有する。前記結合手段は、前記第1バックルおよび第2バックルの結合端面側開口部から挿入され、前記第1バックルおよび第2バックルの上側内壁面に当接される上側板バネと、前記第1バックルおよび第2バックルの結合端面側開口部から挿入され、前記第1バックルおよび第2バックルの下側内壁面に当接される下側板バネと、前記第1バックルのバー部材挿入孔より挿入され、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿される第1バー部材と、前記第2バックルのバー部材挿入孔より挿入され、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿される第2バー部材と、を有する。
【0010】
結合手段は、上下の板バネと、第1および第2バー部材との集合体である。部材同士が剛結することなく、遊びを介して一体化している。これにより、外力が集中することなく、破損のおそれが少ない。過酷な使用環境にも適用拡大できる。
【0011】
上記発明において好ましくは、前記第1バックルおよび第2バックルは、上側および下側内壁面に設けられるバックル側係合部を有し、前記上側板バネおよび下側板バネは、バックル内壁面当接面側に設けられ、バックル側係合部と係合する前記板バネ側係合部を有する。
【0012】
これにより、板バネとバックルとは係合され、結合が確実になる。
【0013】
上記発明において好ましくは、前記第1バックルおよび第2バックルは、結合端面から遠位に、遠位に行くに従って断面が小さくなる尻部と、前記尻部側端面に設けられる尻部側端面開口部と、を有する。前記ベルトの端部は折り返され、折り返し箇所内側に係止バー部材が挿入された状態で、前記尻部側端面開口部に係止される
これにより、ベルトをバックルに装着できる。
【0014】
上記課題を解決する本発明のベルト結束方法は、上記バックル結合構造を用い、前記ベルトの端部を尻部側端面開口部から結合端面側開口部に挿通し、前記ベルトの端部を折り返し、前記係止バー部材を折り返し箇所内側に挿入し、前記ベルトの端部を結合端面側開口部に挿入し、前記ベルトの端部を尻部側端面開口部から引き出し、前記ベルトの折り返し箇所および前記係止バー部材を前記尻部側端面開口部に係止させる。
【0015】
これにより、ベルトをバックルに装着できる。
【0016】
上記課題を解決する本発明のベルト結束方法は、上記バックル結合構造を用い、前記上側板バネおよび下側板バネの半分を第1バックルの結合端面側開口部に挿入し、前記第1バー部材を前記第1バックルのバー部材挿入孔より挿入し、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿し、前記上側板バネおよび下側板バネの残り半分を第2バックルの結合端面側開口部に挿入し、前記第1バックルの結合端面と第2バックルの結合端面とを当接させ、前記第2バー部材を前記第2バックルのバー部材挿入孔より挿入し、前記上側板バネと下側板バネの間に介挿し、前記第1バックルと第2バックルを結合する。
【0017】
これにより、結合手段が形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、従来になかった新しいバックル結合構造を提供でき、適用範囲を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】概略構成図
図2】工程説明図(ベルト装着)
図3】工程説明図(バックル形成)
図4】工程説明図(バックル結合)
図5】効果(折り返し係止)説明図
図6】効果(部品分割)説明図
図7】効果(板バネ微動とバー部材)説明図
図8】効果(バー部材によるベルト抜防止)説明図
図9】効果(背面バネ)説明図
図10】効果(バー部材による板バネ変形抑制)説明図
図11】効果(部品分割)説明図
図12】効果(バー部材引抜抑制)説明図
図13】効果(バー部材引抜容易)説明図
図14】効果(ベルト長さ調整容易)説明図
図15】本願適用例イメージ図
【発明を実施するための形態】
【0020】
~概略構成~
図1は、本実施形態に係る結合構造の概略構成図である。結合構造は、バックル21とバックル22と結合手段40とから構成される。なお、樹脂系材質を想定する。
【0021】
まず、バックル21,22について説明する。バックル21はベルト10の一端部11に設けられる。バックル22はベルト10の他端部12に設けられる。結合手段40はバックル21とバックル22とを結合する。結合状態において、バックル21とバックル22とは端面同士にて当接している。ベルト10はベルト結束対象を巻き回す。
【0022】
バックル21とバックル22とは同じ形状である。すなわち、雌雄の区別はない。なお、一方を図示している場合は、適宜他方の図示を省略する場合もある。
【0023】
バックル21,22は、略中空箱形形状をしている。バックル21,22とは、結合端面側にて開口部23,24とを有する。結合端面と反対側(すなわち遠位)の尻部31,32は遠位に行くに従って断面が小さくなる。尻部側にて開口部33,34とを有する。すなわち、開口部23と開口部33、開口部24と開口部34は連通している(図2にて詳細説明)。
【0024】
ベルト10の一端部11は折り返され、折り返し箇所13内側に係止バー部材51が挿入された状態で、尻部側端面開口部33に係止される。ベルト10の他端部12は折り返され、折り返し箇所14内側に係止バー部材52が挿入された状態で、尻部側端面開口部34に係止される。
【0025】
バックル21,22は、箱形側面かつ結合端面側にバー部材挿入孔25,26を有する(図3にて詳細説明)。
【0026】
バックル21,22の箱形上面かつ尻部側にはベルト係止バネ53,54が設けられている。例えば箱形上面の一部がC字状に縁切りされ、当該部分が板バネとして機能する(図9にて詳細説明)。
【0027】
次に結合手段40について説明する。結合手段40は、板バネ41,42と、バー部材45,46とを有する(図3または図10にて詳細説明)。
【0028】
板バネ41は、半分がバックル21の結合端面側開口部23から挿入され、残り半分がバックル22の結合端面側開口部24から挿入されている。そして、バックル21,22の箱形上側内壁面に略当接されている。
【0029】
板バネ42は、半分がバックル21の結合端面側開口部23から挿入され、残り半分がバックル22の結合端面側開口部24から挿入されている。そして、バックル21,22の箱形下側内壁面に略当接されている。
【0030】
バー部材45は、バックル21のバー部材挿入孔25より挿入され、上下の板バネ41,42の間に介挿され、板バネの略当接状態を維持する。
【0031】
バー部材46は、バックル22のバー部材挿入孔26より挿入され、上下の板バネ41,42の間に介挿され、板バネの略当接状態を維持する。
【0032】
板バネ41,42の対向する面側にはガイドが設けられ、ガイドに沿ってバー部材45,46は配置される(図11にて詳細説明)。
【0033】
なお、略当接とは、若干の遊びを許容する意味である。
【0034】
板バネ41,42とバー部材45とから構成されるC字状構造は、バックル21に拘束されることにより片持ち梁となり、弾性機能を発揮する。板バネ41,42とバー部材46とから構成されるC字状構造は、バックル22に拘束されることにより片持ち梁となり、弾性機能を発揮する(図10にて詳細説明)。
【0035】
さらに、バックル21,22の上側内壁面および下側内壁面にはバックル側係合部27,28が設けられている。板バネ41,42の当接面側かつ左右に板バネ側係合部47,48が設けられている。
【0036】
上下のバックル側係合部27,27と上下の板バネ側係合部47,47が係合する。上下のバックル側係合部28,28と上下の板バネ側係合部48,48が係合する(図10にて詳細説明)。
【0037】
~工程~
図2~4を用いて、ベルト装着→バックル形成→バックル結合に至る工程について説明する。
【0038】
図2は、バックル21にベルト10を装着する工程を説明する図である。バックル21の尻部側端面開口部33から結合端面側開口部23にベルト10の端部11を挿通する。ベルト端部11を結合端面側開口部23から引き出す。
【0039】
ベルト端部11を折り返し、折り返し箇所13を形成する。折り返し箇所13内側に係止バー部材51を挿入する。さらに、ベルト端部11を結合端面側開口部23から尻部側端面開口部33に挿通し、尻部側端面開口部33から引き戻す。
【0040】
ベルト端部11を強く引っ張ると、折り返し箇所13および係止バー部材51は、楔形状の尻部31に係止される。これにより、ベルト10がバックル21に装着される。
【0041】
同様に、ベルト10をバックル22にも装着する。
【0042】
図3は、バックル21に結合手段40を装着する工程を説明する図である。上下の板バネ41,42を、係合部47,48が設けられてない側にて対向させながら、バックル21の結合端面側開口部23に半分挿入する。このとき、上下のバックル側係合部27,27と上下の板バネ側係合部47,47が仮に係合するように配置する。
【0043】
この状態にて、バー部材45をバックルのバー部材挿入孔25より挿入する。これにより、バー部材45は上下の板バネ41,42の間に介挿され、板バネ41,42とバー部材45とから構成されるC字状構造のうち片持ち梁部分は、弾性機能を発揮する。
【0044】
図4は、バックル21とバックル22とを結合する工程を説明する図である。バックル21から片持ち梁状に突出している上下の板バネ41,42をバックル22の結合端面側開口部24に挿入し、バックル21の結合端面とバックル22の結合端面とを当接させる。
【0045】
このとき、上下のバックル側係合部28,28が挿入の障害となるが、板バネ41,42が内側に弾性変形したのち、上下のバックル側係合部28,28と上下の板バネ側係合部48,48が係合する(図10にて詳細説明)。板バネ41,42の変形は元に戻る。
【0046】
図示裏面側から、バー部材46をバックルのバー部材挿入孔26より挿入する。これにより、バー部材46は上下の板バネ41,42の間に介挿される。
【0047】
これにより、結合手段40が形成され、バックル21とバックル22とが結合される。
【0048】
~効果~
図5~6を用いて、ベルト装着時における効果を説明する。
【0049】
図5は、従来ラダー型バックルとの比較により、本実施形態の効果を説明する図である。従来ラダー型では、少なくとも3回、ベルトを梯子バーに対し上下させる必要がある。バック類等の一般日用品を対象にすれば、特に問題となるような動作ではないが、過酷な作業現場(図15にて詳細説明)では、少しでも作業手間を容易にしたい。
【0050】
これに対し本実施形態では、1回折り返して引っ張るだけであり、ベルトを上下させるような複雑な動作がなく、作業容易である。
【0051】
なお、従来ラダー型とのベルト装着に比べて、本実施形態のベルト装着の方が、ベルトの強度(引っ張り強さ)を充分発揮できることを実験により確かめている。
【0052】
図6は、一体成形型との比較により、本実施形態の効果を説明する図である。バックル21と上下の板バネ41,42とを一体成形することも容易である。しかしながら、一体成形型比較例では開口部が狭くなり、係止バー部材51の折り返し箇所13への挿入やベルトの挿通が困難となる。
【0053】
これに対し本実施形態では、バックル21、上側板バネ41、下側板バネ42、バー部材45は、それぞれ別部品である。その結果、バックル21の結合端面側開口部23を比較的広く確保でき、係止バー部材51の折り返し箇所13への挿入やベルト10の挿通が容易となる。
【0054】
以上のように、本実施形態では、ベルト装着作業が容易であり、過酷な作業現場にも適用できる。
【0055】
図7~9を用いて、バックル21に結合手段40を装着する時における効果を説明する。
【0056】
図7は、バックル形成時の作業安定効果について説明する図である。
【0057】
本実施形態では、バックル21、上側板バネ41、下側板バネ42、バー部材45は、それぞれ別部品であり、これらを組み立てる作業は一見不安定(例えば、組み立てた部品が取れる)にも思える。
【0058】
しかしながら、実際に試作モデルにて作業をしてみると、バックル21、上側板バネ41、下側板バネ42、バー部材45を一度組み立てれば、上下の板バネ41,42が微動することにより、バー部材45と相互に干渉しあって拘束され、集合体が分解することはなかった。すなわち、一度、集合体を組み立てれば、安定的な作業ができる。
【0059】
図8は、バックル形成時のベルト抜け防止効果について説明する図である。ベルト10が弛み、ベルト折り返し箇所13および係止バー部材51が結合端面側開口部23側に移動すると、ベルト抜けのおそれがある。
【0060】
これに対し本実施形態では、バー部材45が抜けにくく(図7参照)、バー部材45が、ベルト折り返し箇所13および係止バー部材51の結合端面側開口部23側への移動を防止する。これにより、ベルト抜けを防止する。
【0061】
図9は、バックル形成時のベルト抜け防止効果について説明する図である。バックル21の箱形上面かつ尻部側にはベルト係止バネ53が設けられている。ベルト端部11を強く引っ張ると、これに対抗するように、ベルト係止バネ53の弾性力が作用し、ベルト10を押さえつける。これにより、ベルト抜けを防止する。
【0062】
以上のように、本実施形態では、バックル形成時作業が安定的にでき、過酷な作業現場にも適用できる。
【0063】
図10~12を用いて、バックル結合後における効果を説明する。
【0064】
図10は、バー部材45,46による板バネ41,42変形抑制効果について説明する図である。結合手段40では、板バネ41,42とバー部材45とから構成されるC字状構造のうち片持ち梁部分は弾性機能を有し、板バネ41,42が内側に弾性変形することで、上下のバックル側係合部28,28と上下の板バネ側係合部48,48が係合している。したがって、仮に不測の不具合が発生し、板バネ41,42が内側に弾性変形すると、上下のバックル側係合部28,28と上下の板バネ側係合部48,48との係合が解除され、バックル21とバックル22との結合が解除されるおそれも考えられる。
【0065】
これに対し本実施形態では、バー部材46が板バネ41,42の変形を抑制するため、上下のバックル側係合部28,28と上下の板バネ側係合部48,48との係合が解除されるおそれもなく、バックル21とバックル22との結合が解除されるおそれもない。
【0066】
一方で、板バネ41,42とバー部材46とから構成されるC字状構造に対し、バー部材45が板バネ41,42の変形を抑制し、上下のバックル側係合部27,27と上下の板バネ側係合部47,47との係合が解除されることを抑制し、結合解除を抑制する。
【0067】
以上のように、バー部材45,46は相互に結合解除を抑制しており、結合状態は安定的に維持される。
【0068】
図11は、従来ツーピース型バックルとの比較により、本実施形態の効果を説明する図である。従来ツーピース型バックルのうち特に雄バックルは複雑な形状をしている。具体的には、弾性変形する突起部が本体に連設されている。
【0069】
バック類等の一般日用品を対象にすれば、特に問題となるような形状ではないが、繰り返しの風雨や波浪による振動など、自然環境等の過酷な適用場面(図15にて詳細説明)では、想定外の劣化のおそれがあり、例えば、振動等による外力の影響が、剛性の低い突起部の根元に集中し、当該箇所が破損する。バック類等の一般日用品を対象にすれば、バックルが破損しても交換すればよいが、自然環境等の過酷な適用場面では、交換も容易でない。
【0070】
これに対し本実施形態において、バックル21,22は箱型形状であり、板バネ41,42は板形状であり、バー部材45,46は棒形状であり、各部材は比較的単純な形状であり、剛性が高く、破損するおそれが少ない。
【0071】
また、本実施形態は、バックル21,22、板バネ41,42、バー部材45,46の複数部材の集合体であるが、剛結しているわけでなく、遊びを介して集合している。これにより、繰り返し振動等が作用しても、特定の部品に外力が集中することもなく、適宜外力を逃がし、破損するおそれが少ない。
【0072】
図12は、バー部材45,46の引抜抑制効果について説明する図である。本実施形態では、ベルト10がベルト結束対象を巻き回すように使用されることを想定している。したがって、ベルト端部11,12には図示水平より図示やや斜め下方向の張力が発生する。
【0073】
その結果、板バネ41にはモーメントが発生し、バー部材45,46を図示下方向に押し付ける。また、板バネ42にはモーメントが発生し、バー部材45,46を図示上方向に押し上げる。これにより、バー部材45,46は安定して板バネ41,42の間に介挿される。意図せず引き抜かれることはほぼない。
【0074】
以上のように、過酷な適用場面においても、結合状態は安定的に維持される。
【0075】
図13~14を用いて、ベルト長さ調整時における効果を説明する。本実施形態は、過酷な適用場面での長期(たとえば1年間)使用されることを想定している。長時間の使用によりベルト長が10%伸びたとすると結束が弛むため、再び長さを調整し、確実に結束対象を結束するする必要がある。
【0076】
図13は、バー部材45,46の引抜容易効果について説明する図である。図12におけるバー部材45,46の引抜抑制効果で説明したように、板バネ41,42にはモーメントが発生している。
【0077】
これに対し、板バネ41,42の結束部を図示上側から押圧すると、板バネ41,42に発生するモーメントを抑制できる。これにより、バー部材45,46に作用する力も減少し、バー部材45,46を容易に引き抜くことができ、バックル21とバックル22との結合を解除できる。
【0078】
図14は、ベルト長さ調整容易について説明する図である。ベルト折り返し箇所13および係止バー部材51を結合端面側開口部23から引出し(図示では強調しているが少し移動するのみでよい)、ベルト端部11を引っ張ることにより、容易にベルト長さを調整できる。
【0079】
以上のように、本実施形態は、過酷な適用場面において長期使用ができる。
【0080】
~適用場面例~
本実施形態は特定の使用用途に限定されるわけではないが、繰り返しの風雨や波浪による振動など、自然環境等の過酷な適用場面における長期使用を想定している。
【0081】
図15は、本実施形態の適用場面の一例である。牡蠣筏は、竹製または木製棒状部材を組み合わせ、ベルト結束して形成される。なお、従来は針金等に結束していたが、錆びによる劣化の問題があったため、ベルト結束を検討した。なお、牡蠣筏の下に牡蠣が養殖される。
【0082】
牡蠣筏は海上に長期間放置される。なるべく穏やかな海面が選ばれるが、天候の変化により、風雨や波浪が繰り返し作用することもある。海上にあるため頻繁な管理が困難である。
【符号の説明】
【0083】
10 ベルト
11,12 ベルト端部
21,22 バックル
23,24 結合端面側開口部
25,26 バー部材挿入孔
27,28 バックル側係合部
31,32 尻部
33,34 尻部側端面開口部
40 結合手段
41,42 板バネ
45,46 バー部材
47,48 板バネ側係合部
51,52 係止バー部材
53,54 ベルト係止バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15