(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132185
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】隔壁形成用感光性樹脂組成物、それを用いて製造された隔壁構造物、および該隔壁構造物を含む表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20220831BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20220831BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220831BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220831BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220831BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220831BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20220831BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/038 501
G03F7/004 502
G03F7/004 504
G02B5/20 101
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H01L27/32
H05B33/22 Z
G09F9/30 320
G09F9/30 349C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028074
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026928
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】權 ▲ミン▼ 廷
(72)【発明者】
【氏名】金 勳 植
(72)【発明者】
【氏名】李 在 乙
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BD11
2H148BE35
2H148BF07
2H148BF16
2H148BF25
2H148BG02
2H148BG06
2H148BH02
2H148BH04
2H148BH18
2H148BH21
2H225AC36
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC49
2H225AC63
2H225AM22P
2H225AM96P
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN72P
2H225AN82P
2H225AN87P
2H225AP10P
2H225BA01P
2H225BA10P
2H225BA35P
2H225CA22
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC45
3K107DD89
3K107DD97
3K107FF00
3K107FF14
3K107FF15
5C094AA43
5C094EC04
5C094ED15
5C094FB01
(57)【要約】
【課題】隔壁形成用感光性樹脂組成物、それを用いて製造された隔壁構造物、および該隔壁構造物を含む表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)白色顔料を含む着色剤と、(B)UV吸収剤と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤と、(F)溶剤と、を含む隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、前記UV吸収剤および光重合開始剤は、365nmの波長で、特定の数学式による吸光度比の値が0.3~1.5であることを特徴とする、隔壁形成用感光性樹脂組成物、前記隔壁形成用感光性樹脂組成物から製造された隔壁構造物、およびそれを含む表示装置に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)白色顔料を含む着色剤と、(B)UV吸収剤と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤と、(F)溶剤と、を含む隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、
前記UV吸収剤および光重合開始剤は、
365nmの波長で、下記数学式1による吸光度比の値が0.3~1.5であることを特徴とする、隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【数1】
(前記数学式1中、
前記UV吸収剤の重量%および前記光重合開始剤の重量%は、それぞれ前記隔壁形成用感光性樹脂組成物の総重量%に対する重量%を意味する。)
【請求項2】
前記UV吸収剤および光重合開始剤は、
365nmの波長で、下記数学式2による吸光度比の値が0.2~1.0であることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
[数学式2]
(同一含量基準の吸光度比)=(UV吸収剤の吸光度)/(光重合開始剤の吸光度)
【請求項3】
前記白色顔料の平均粒度が150~300nmであることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記白色顔料は酸化チタン(TiO2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記酸化チタン(TiO2)は、その表面を、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、および有機物からなる群から選択される1種以上で表面処理したものであることを特徴とする、請求項4に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)着色剤は、黒色顔料、赤色顔料、黄色顔料、および青色顔料からなる群から選択される1種以上の顔料をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記白色顔料は、前記隔壁形成用感光性樹脂組成物の(A)着色剤の総重量に対して1~30重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ヒンダードアミン系(HALS、Hindered Amine Light Stabilizer)、シアノアクリレート系(Cyanoacrylate)、およびベンゾフェノン(benzophenone)系UV吸収剤からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記UV吸収剤は、前記隔壁形成用感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して0.05~10重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(C)アルカリ可溶性樹脂は、カルド系樹脂またはアクリル系樹脂のうち何れか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項11】
チオール化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項12】
充填剤、他の高分子化合物、界面活性剤、酸化防止剤、密着促進剤、および凝集防止剤からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物から製造された隔壁構造物。
【請求項14】
請求項13に記載の隔壁構造物を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁形成用感光性樹脂組成物、それを用いて製造された隔壁構造物、および該隔壁構造物を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の平面または液晶表示装置は、多くの光が損失されるディスプレイの従来の構造により、近年、色変換パネルを用いるディスプレイに関する研究が行われている。簡単な一例として、青色を発するバックライトとともに色変換パネルからなる構造において、青色は、バックライトの青色をそのまま用いるため、バックライトの光を完全に用いることができる。また、赤色または緑色を表示する画素では、青色を赤色または緑色に色変換して表示する。したがって、吸収と透過を用いて所望の色を表現する従来の方式と比べて、多くの光が画素で発生する。
【0003】
低温工程により製造されたディスプレイは、以前の高温工程により製造されたディスプレイと比べて大きい特徴を有することになる。通常、材料の信頼性を高めるためには、高温工程によりパターンの信頼性を高めることが一般的である。しかし、最近開発されているOLEDは、OLEDが熱に弱いため、高温工程を進行することが困難である。そのため、別々に製造してから後で合着してディスプレイを製造する場合、フレキシブル(Flexible)またはローラブル(Rollable)ディスプレイは製造が困難である。したがって、OLEDパネルの上部に、フォトリソ工程により色変換画素を形成する必要があり、色変換画素を形成するために、低温工程に対する要求が大きくなっている。
【0004】
また、色変換パネルを含むディスプレイ装置において、各色変換画素の混色を防止するために、各色変換画素の間に隔壁を形成するが、色変換画素の変換効率により、各色変換画素の間の隔壁は3~15μmの厚さで形成される。
【0005】
従来のブラックマトリックス(Black Matrix)用感光性樹脂組成物は、製造される膜厚が従来のように1~1.5μmである場合、パターンの形成において問題がないが、色変換画素の隔壁は、製造される膜厚が3~15μmで形成されなければならないため、好ましくない。
【0006】
また、従来に用いられていたブラックマトリックスを用いて厚い膜で隔壁を形成する場合、露光工程時に、紫外線の透過率の低下によってパターンの下端まで光が照射されないという問題があった。また、膜の下部は光硬化がなされないため、現像工程の進行後にアンダーカット現象が激しく誘発され、工程マージンに弱いという欠点があった。
【0007】
また、色変換画素の隔壁を製造し、後工程で熱工程を経ることになるが、隔壁の耐溶剤性などの信頼性が低いと、隔壁を製造して経る熱工程で隔壁の内部に残渣などが生じ、色変換画素の効率および寿命が短縮されるという問題がある。
【0008】
韓国特許公開第10-2007-0094460号は、熱に対する形状安定性に優れた隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供することを目的としているが、上述のような問題を克服できていない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2007-0094460号(2007.09.20.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の従来技術の問題を改善するためのものであって、低温硬化によっても優れた物性を有する硬化膜を形成することができ、逆テーパの形成が防止され、順テーパの形成が容易な隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供することを発明の目的とする。
【0011】
また、本発明は、信頼性および膨潤(swelling)特性に優れ、表面ムラの問題を防止することができるという効果を提供することができ、微細なマスクサイズのパターンが形成可能であり、現像工程の変化に対しても安定した色変換画素のサイズを維持することができる隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供することを発明の目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、上記の隔壁形成用感光性樹脂組成物を用いて製造された隔壁構造物、および表示装置を提供することを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、(A)白色顔料を含む着色剤と、(B)UV吸収剤と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤と、(F)溶剤と、を含む隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、前記UV吸収剤および光重合開始剤は、365nmの波長で、特定の数学式による吸光度比の値が0.3~1.5であることを特徴とする、隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記隔壁形成用感光性樹脂組成物から製造された隔壁構造物、およびそれを含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る隔壁形成用感光性樹脂組成物および隔壁構造物は、低温硬化によっても優れた物性を有する硬化膜を形成することができ、逆テーパの形成が防止され、順テーパの形成が容易であるという効果を提供することができる。
【0016】
また、本発明に係る隔壁形成用感光性樹脂組成物および隔壁構造物は、信頼性および膨潤特性に優れ、表面ムラの問題を防止することができるという効果を提供することができ、微細なマスクサイズのパターンが形成可能であり、現像工程の変化に対しても安定した色変換画素のサイズを維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、(A)白色顔料を含む着色剤と、(B)UV吸収剤と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤と、(F)溶剤と、を含む隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、前記UV吸収剤および光重合開始剤は、365nmの波長で、特定の数学式による吸光度比の値が0.3~1.5であることを特徴とする、隔壁形成用感光性樹脂組成物、前記隔壁形成用感光性樹脂組成物から製造された隔壁構造物、およびそれを含む表示装置に関する。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
<隔壁形成用感光性樹脂組成物>
本発明に係る隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(A)白色顔料を含む着色剤と、(B)UV吸収剤と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤と、(F)溶剤と、を含んでもよい。
【0019】
(A)着色剤
本発明に係る着色剤は、(a1)白色顔料を含むことを特徴とする。
【0020】
(a1)白色顔料
前記白色顔料は、隔壁構造物の反射特性のためのものであって、具体的には、隔壁構造物の赤色および/または緑色系波長の光に対する反射率を向上させ、色変換素子から発生する光のうち隔壁方向に向かう特定の波長範囲の光を反射させることで、輝度を向上させることができる。但し、白色顔料のみを用いる場合、散乱体として、露光機の光を受けた時に散乱して非露光部の硬化を引き起こし得る。特に、この場合、高照度の露光機でこのような現象がさらに激しく発生し、逆テーパ角、残膜、未現像などの問題が発生する恐れがある。
【0021】
また、前記白色顔料の平均粒度は150nm~300nmであることが好ましい。平均粒度が150nm未満である場合には、UV光遮断特性を示し、露光工程時にUV光が下部に十分に透過できないためパターン形成が容易ではないという問題を引き起こし、粒子サイズが小さすぎて可視光線領域の透過度が向上し、遮蔽特性が低下するという問題が発生する恐れがある。平均粒度が300nmを超える場合には、分散性および貯蔵安定性が不良となり、露光部の表面平滑性が減少して、露光部と非露光部の境界面が滑らかではないという問題が発生する恐れがあり、反射特性が効果的ではない。
【0022】
前記白色顔料(Pigment White)は、酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化リチウム(Li2O)、酸化銀(AgO)、酸化アンチモン(Sb2O3、Sb2O5)、および酸化カルシウム(CaO)からなる群から選択される1種以上であってもよく、好ましくは、酸化チタン(TiO2)または酸化ジルコニウム(ZrO2)を含んでもよく、より好ましくは酸化チタン(TiO2)を含んでもよい。
【0023】
前記白色顔料としては、上述の条件を満たす場合、この分野で公知された白色顔料(C.I.Pigment White)が使用でき、前記白色顔料としては、例えば、C.I.Pigment White 4、5、6、6:1、7、18、18:1、19、20、22、25、26、27、28、および32などが挙げられ、反射効率と白色度の点から、C.I.ピグメントホワイト6または22を含むことが好ましく、C.I.ピグメントホワイト6を含むことがより好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
C.I.ピグメントホワイト6に含まれる酸化チタン(TiO2)は、安価であり、屈折率が高くて反射率に優れるため、効果的な白色顔料として使用可能であり、着色性および白色度の点から、ルチル構造を有することが好ましい。
【0025】
前記酸化チタン(TiO2)は、必要に応じて、レジン処理、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体などを用いた表面処理、高分子化合物などによる顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、または不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理、イオン交換法などによるイオン性不純物除去処理などが施されたものであってもよい。
【0026】
前記酸化チタン(TiO2)は、その表面を、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、および有機物からなる群から選択される1種以上で表面処理したものが使用可能であり、好ましくは、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、および酸化ジルコニウム(ZrO2)で順に表面処理されたものが使用でき、より好ましくは、前記表面処理された酸化チタン(TiO2)の最外側表面を有機物で表面処理したものが使用できる。前記有機物としては、低い極性の単一分子層で酸化チタン(TiO2)をコーティングして表面処理することで、酸化チタン(TiO2)の分散時に必要なエネルギーを低め、酸化チタン(TiO2)が圧着され凝集されることを防止するためのものであれば特に制限されず、一または複数の実施形態において、ステアリン酸(stearic acid)、トリメチルプロパン(TMP)、ペンタエリスリトールなどが使用できる。
【0027】
上記のように酸化チタン(TiO2)を表面処理することで、酸化チタン(TiO2)の光触媒活動性を低め、且つ反射輝度特性を向上させることができ、特に、前記表面処理の好ましい実施形態によると、耐熱性および耐薬品性などの信頼性を向上させる点から利点がある。前記表面処理は、キャプシュレーションによる処理であってもよい。
【0028】
前記表面処理された酸化チタン(TiO2)に含まれる酸化チタン(TiO2)コアの含量は、表面処理された酸化チタン(TiO2)の総重量に対して、85~95重量%であることが好ましい。上記の範囲内で酸化チタン(TiO2)コアの表面を処理した場合、白色度に優れるとともに、反射輝度に優れる特性を示す。
【0029】
前記酸化チタン(TiO2)の市販品としては、デュポン(dupont)社のR-101、R-102、R-103、R-104、R-105、R-350、R-706、R-794、R-796、TS-6200、R-900、R-902、R-902+、R-931、R-960などが挙げられ、また、ハンツマン(Huntman)社のR-FC5、TR81、TR88、およびアイエスケー(ISK)社のCR-57などが挙げられる。
【0030】
前記白色顔料は、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物の(A)着色剤の総重量に対して、1~30重量%で含まれてもよい。白色顔料の含量が1重量%未満である場合には、赤色と緑色画素の波長領域での反射率が十分ではないため光効率の向上を期待することができず、30重量%を超えて含まれる場合には、高照度の露光時に残膜が発生したり、テーパ形状が悪化する恐れがある。
【0031】
(a2)追加顔料または染料
本発明に係る(A)着色剤は、本発明の目的を損なわない範囲内で、当分野において通常用いられる有機顔料、無機顔料、染料などをさらに含んでもよく、好ましくは、黒色顔料、赤色顔料、黄色顔料、および青色顔料からなる群から選択される1種以上の顔料を混合して用いてもよい。
【0032】
前記黒色顔料としては、黒色有機顔料または黒色無機顔料から適宜選択することができる。
【0033】
前記黒色有機顔料としては、ラクタムブラック、ペリレンブラック、シアニンブラック、およびアニリンブラックからなる群から選択される1種以上が使用可能であり、前記黒色無機顔料としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、およびチタンブラックからなる群から選択される1種以上が使用可能であり、目的によって、黒色有機顔料と黒色無機顔料を単独でまたは2種以上混合して用いてもよい。
【0034】
前記赤色顔料(Pigment Red)は、ジケトピロール系、アントラキノン系、ペリレン系、およびアゾ系から選択される1種以上であってもよく、好ましく、前記赤色顔料は、C.I.赤色顔料9、81、97、105、122、123、144、149、150、155、166、168、171、175、176、177、179、180、185、192、202、208、209、214、215、216、220、222、224、242、254、255、264、269、270、および272からなる群から選択される1種以上であってもよく、より好ましく、前記赤色顔料は、C.I.赤色顔料177、179、254、264、および269からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0035】
前記黄色顔料(Pigment Yellow)は、アントラキノン系、イソインドリノン系、アゾ系から選択される1種以上であってもよく、好ましく、前記黄色顔料は、C.I.黄色顔料11、13、20、24、31、53、83、86、93、94、95、99、108、109、110、117、125、128、129、138、139、147、148、150、151、154、155、166、167、173、180、185、および199からなる群から選択される1種以上であってもよく、より好ましく、前記黄色顔料は、C.I.黄色顔料138、139、150、および185からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0036】
前記青色顔料(Pigment Blue)は、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6から選択される1種以上であってもよい。
【0037】
前記染料としては、有機溶剤に対する溶解性を有するか、分散可能なものであれば制限されずに使用可能である。好ましくは、有機溶剤に対する溶解性を有し、且つアルカリ現像液に対する溶解性および耐熱性、耐溶剤性などの信頼性を確保することができる染料を用いることが好ましい。
【0038】
前記染料としては、スルホン酸やカルボン酸などの酸性基を有する酸性染料、酸性染料と窒素含有化合物の塩、酸性染料のスルホンアミド体などとこれらの誘導体から選択されたものが使用でき、これら以外にも、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料およびこれらの誘導体も選択することができる。
【0039】
好ましく、前記染料としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料として分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。
【0040】
前記染料の具体的な例としては、
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35
C.I.ソルベントイエロー4、14、15、16、21、23、24、38、56、62、63、68、79、82、93、94、98、99、151、162、163
C.I.ソルベントブルー18、35、36、45、58、59、59:1、63、68、69、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139
C.I.ソルベントレッド8、45、49、89、111、122、125、130、132、146、179などの赤色染料;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、195、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426などの赤色染料;が挙げられる。
【0041】
前記顔料および染料は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
本発明に係る隔壁形成用感光性樹脂組成物が前記追加顔料または染料を含む場合、前記白色顔料と追加顔料または染料から選択される1種以上は、好ましくは1:0.050~1:18.0、より好ましくは1:0.1~1:9、より好ましくは1:0.2~1:4の重量比で含まれてもよい。上記の重量比で含まれる場合、高着色性と高輝度を示す利点があり、工程マージンが向上し、感度に優れるという利点があって好ましい。
【0043】
(a3)顔料分散剤
前記顔料分散剤は、顔料の脱凝集および安定性の維持のために添加されるものであって、当該分野において通常用いられるものが制限されずに使用可能である。前記顔料分散剤の具体的な例としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
また、前記顔料分散剤は、ブチルメタクリレート(BMA)またはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を含むアクリレート系分散剤(以下、アクリレート系分散剤)を含むことが好ましい。前記アクリレート系分散剤は、リビング制御方法により製造されたものを用いることが好ましく、市販品としては、DISPER BYK-2000、DISPER BYK-2001、DISPER BYK-2070、またはDISPER BYK-2150などが挙げられる。前記アクリレート系分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
前記顔料分散剤としては、アクリレート系分散剤以外に、他の樹脂タイプの顔料分散剤を用いてもよい。前記他の樹脂タイプの顔料分散剤としては、公知の樹脂タイプの顔料分散剤、特に、ポリウレタン、ポリアクリレートで代表されるポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の(部分的)アミン塩、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアミドホスフェート塩、ヒドロキシル基-含有ポリカルボン酸のエステル、およびこれらの改質生成物、またはフリー(free)カルボキシル基を有するポリエステルとポリ(低級アルキレンイミン)との反応により形成されたアミド、またはこれらの塩のような油質の分散剤;(メタ)アクリル酸-スチレンコポリマー、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリレートエステルコポリマー、スチレン-マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコール、またはポリビニルピロリドンのような水溶性樹脂または水溶性ポリマー化合物;ポリエステル;改質ポリアクリレート;エチレンオキシド/プロピレンオキシドの付加生成物;およびホスフェートエステルなどが挙げられる。
【0046】
前記他の樹脂タイプの顔料分散剤の市販品としては、例えば、BYK-ケミー社の商品名:DISPER BYK-160、DISPER BYK-161、DISPER BYK-162、DISPER BYK-163、DISPER BYK-164、DISPER BYK-166、DISPER BYK-171、DISPER BYK-182、DISPER BYK-184;BASF社の商品名:EFKA-44、EFKA-46、EFKA-47、EFKA-48、EFKA-4010、EFKA-4050、EFKA-4055、EFKA-4020、EFKA-4015、EFKA-4060、EFKA-4300、EFKA-4330、EFKA-4400、EFKA-4406、EFKA-4510、EFKA-4800;Lubrizol社の商品名:SOLSPERS-24000、SOLSPERS-32550、NBZ-4204/10;川研ファインケミカル社の商品名:ヒノアクト(HINOACT)T-6000、ヒノアクトT-7000、ヒノアクトT-8000;味の素社の商品名:アジスパー(AJISPUR)PB-821、アジスパーPB-822、アジスパーPB-823;共栄社化学社の商品名:フローレン(FLORENE)DOPA-17HF、フローレンDOPA-15BHF、フローレンDOPA-33、フローレンDOPA-44などが挙げられる。
【0047】
前記アクリレート系分散剤以外に他の樹脂タイプの顔料分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよく、アクリレート系分散剤と併用して用いてもよい。
【0048】
前記顔料分散剤は、前記着色剤の固形分100重量部に対して、1~50重量部、好ましくは5~30重量部で含まれてもよい。顔料分散剤の含量が上記の範囲内である場合、均一な粒径の分散された顔料が得られるため好ましい。分散剤の含量が50重量部を超える場合には、粘度が高くなる恐れがあり、1重量部未満である場合には、顔料の微粒化が困難であるか、分散後ゲル化などの問題を引き起こすことがある。
【0049】
(B)UV吸収剤
本発明に係るUV吸収剤は、本発明の数学式1および/または数学式2の値を特定の範囲で満たすことで、UVを一部吸収することによる回折に起因するCDバイアス(CD bias)を低減することができる。これにより、所望のパターンを実現できるようにする役割を果たすことができる。CDとはパターンの陽刻部分を意味し、CDバイアスは、実現しようとするマスクパターンに比べて、形成されたパターンサイズが大きい程度を意味する。
【0050】
また、前記白色顔料または金属酸化物などの散乱粒子が含有された感光性樹脂組成物を高照度(15,000mW以上)で露光する場合、残膜および残渣の問題が発生する恐れがあり、本発明のUV吸収剤は、高照度露光時に発生し得る残膜および残渣の問題を防止する役割を果たすことができる。
【0051】
本発明に係るUV吸収剤は、本発明の数学式1および/または数学式2の値を特定の範囲で満たすものであれば特に限定されず、好ましくは、後述の<(B)UV吸収剤と(D)光重合開始剤の吸光度比>の項目で説明された内容によるUV吸収剤であることができる。具体的に、本発明のUV吸収剤は、i-line波長(365nm)で吸光波長を有するUV吸収剤を含み、前記UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ヒンダードアミン系(HALS、Hindered Amine Light Stabilizer)、シアノアクリレート系(Cyanoacrylate)、およびベンゾフェノン(benzophenone)系UV吸収剤からなる群から選択された1種以上を含んでもよい。
【0052】
前記ベンゾトリアゾール系UV吸収剤としては、例えば、オクチル3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル)プロピオネート、[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-メチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-w-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロポキシ]ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、(3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-オキソプロピル)-ヒドロキシポリ(オキソ-1,2-エタンジイル)、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジtert-ペンチルフェノール、3-(2H-ベンゾトリアゾリル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロピオン酸オクチルエステル、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールなどが挙げられ、市販品として、チバ社のCYASORB UV-2337、CYASORB UV-5411、BASF社のTINUVIN 99-2、TINUVIN 171、TINUVIN 213、TINUVIN 326、TINUVIN 360、TINUVIN 384-2、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 1130、ソンウォン産業のSONGSORB 1000、SONGSORB 2340、SONGSORB 3200、SONGSORB 3260、SONGSORB 3270、SONGSORB 3280などが挙げられる。
【0053】
前記トリアジン系UV吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジメチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)-フェノール、2-(4-(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ)-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-(2-ヒドロキシ-3-ジデシルオキシプロピル)オキシ)-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-(3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,2’-[6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ビス(5-ブトキシフェノール)、6-メチルヘプチル2-{4-[4,6-ジ(4-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシフェノキシ}プロパノエートなどが挙げられ、市販品としては、CYTEC社のCYASORB UV-1164、BASF社のTINUVIN 1577、TINUVIN P、TINUVIN 234、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 400、TINUVIN 479、TINUVIN 571などが挙げられる。
【0054】
前記ヒンダードアミン系UV吸収剤としては、2,2,4,6テトラメチルピペラジン構造を含むビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、およびポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]などが挙げられ、市販品としては、BASF社のTINUVIN 123、TINUVIN 292、TINUVIN 5100などが挙げられる。
【0055】
前記シアノアクリレート系UV吸収剤としては、例えば、アルキル-2-シアノアクリレート、シクロアルキル-2-シアノアクリレート、アルコキシアルキル-2-シアノアクリレート、アルケニル-2-シアノアクリレート、アルキニル-2-シアノアクリレートなどが挙げられる。
【0056】
前記ベンゾフェノン系UV吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(無水および三水塩)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン(SeeSorb 106、シプロ化成社)、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(KEMISORB 111、ケミプロ化成社)などが挙げられる。
【0057】
前記UV吸収剤の含量は、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して、0.05~10重量%で含まれることが好ましい。UV吸収剤の含量が前記範囲以下である場合、UV吸収剤を用いることで期待される効果を奏することが困難であり、前記範囲以上である場合、組成物の感度が過度に低くなってパターンの消失、膜厚の減少、および信頼性の悪化の問題が発生する恐れがある。
【0058】
(C)アルカリ可溶性樹脂
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、現像工程で用いられるアルカリ現像液に対する可溶性を付与する成分であって、顔料に対して分散媒質として作用する。
【0059】
前記アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像液に溶解可能なものであれば制限されずに使用可能であり、好ましくは、カルド系樹脂、アクリル系樹脂、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0060】
前記カルド系樹脂は、光や熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有するものであって、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物に含有されるカルド系樹脂としては、白色顔料を含む着色剤に対する結着樹脂の機能を果たし、アルカリ性現像液に溶解可能な樹脂であれば制限されない。
【0061】
本発明のカルド系樹脂は、化学式1-1および化学式1-2で表される化合物のうち1つ以上を含むものであってもよい。
【0062】
【0063】
前記化学式1-1または化学式1-2中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキル基、炭素数4~8のシクロアルキル基、または
【化2】
であり、
Xは、水素原子;炭素数1~5のアルキル基;または水酸基であり、
R5は、水素原子または炭素数1~5のアルキル基である。
【0064】
本発明において、前記化学式1-1で表される化合物は、下記化学式2-1で表される化合物に合成され、化学式1-2で表される化合物は、化学式2-2で表される化合物を用いて合成されることができる。
【0065】
【化3】
前記アクリル系アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合して製造することが好ましい。
【0066】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類;フマル酸、メサコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸類;および前記ジカルボン酸の無水物;ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどの両末端にカルボキシル基と水酸基を有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類などが挙げられ、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0067】
また、前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体を重合して前記アルカリ可溶性樹脂を製造することができる。
【0068】
前記共重合可能な不飽和重合単量体の具体的な例としては、グリシジル基を有する不飽和単量体であるグリシジルメタクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類などの水酸基を有するエチレン性不飽和単量体;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-o-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-m-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-p-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-o-メチルフェニルマレイミド、N-m-メチルフェニルマレイミド、N-p-メチルフェニルマレイミド、N-o-メトキシフェニルマレイミド、N-m-メトキシフェニルマレイミド、N-p-メトキシフェニルマレイミドなどのN-置換マレイミド系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、2-ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環族(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート類;3-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-トリフルオロメチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-フェニルオキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)-4-トリフルオロメチルオキセタンなどの不飽和オキセタン化合物;などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
前記共重合可能な不飽和単量体はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~200mgKOH/gであることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価が30mgKOH/g未満である場合には、隔壁形成用感光性樹脂組成物の十分な現像速度を確保しにくく、200mgKOH/gを超える場合には、基板との密着性が減少し、パターンの短絡が発生しやすく、着色剤との相溶性において問題が発生して感光性樹脂組成物中の着色剤が析出されたり、感光性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下して、粘度が上昇しやすい。
【0071】
前記「酸価」とは、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することで求めることができる。
【0072】
また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;テトラヒドロフランを溶出溶剤とする)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」と言う)が2,000~20,000、好ましくは3,000~10,000であるカルド系樹脂またはアクリル系アルカリ可溶性樹脂が好ましい。前記分子量の範囲内である場合、現像工程における膜損失が抑えられ、かつパターン安定性が向上することができる。
【0073】
前記アルカリ可溶性樹脂は、本発明に係る隔壁形成用感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して、5~85重量%、好ましくは5~60重量%で含まれてもよい。前記アルカリ可溶性樹脂が上記の範囲内で含まれる場合、現像液に対する溶解性が十分であって硬化膜が容易に形成され、現像時に露光部の画素部分の膜が減少することが防止され、非露光部の漏れ性が良好になるため好ましい。
【0074】
(D)光重合性化合物
前記光重合性化合物は、下記(D)光重合開始剤の作用より重合することができる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、または多官能単量体が使用可能であり、好ましくは、2官能以上の多官能単量体が使用できる。
【0075】
前記単官能単量体の具体的な例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、またはN-ビニルピロリドンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
前記2官能単量体の具体的な例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、または3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
前記多官能単量体の具体的な例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
また、前記光重合性化合物は、隔壁形成用感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して、5~50重量%で含まれてもよく、好ましくは7~45重量%で含まれてもよい。前記光重合性化合物が上記の範囲内で含まれる場合、強度および平滑性の点から好ましい。
【0079】
(E)光重合開始剤
本発明に係る光重合開始剤は、本発明の数学式1および/または数学式2の値を特定の範囲で満たすものであれば特に限定されず、好ましくは、後述の<(B)UV吸収剤と(D)光重合開始剤の吸光度比>の項目で説明された内容による光重合開始剤である。具体的に、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などの放射線への露光によって、前記光重合性化合物の重合を開始することができるラジカルを発生する化合物を含む。
【0080】
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシムエステル系化合物、およびチオキサントン系化合物などが使用可能であり、前記光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0081】
前記アセトフェノン系化合物の具体的な例としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0082】
前記ベンゾフェノン系化合物の具体的な例としては、ベンゾフェノン、O-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0083】
前記ビイミダゾール化合物の具体的な例としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2-ビス(2,6-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、または4,4’,5,5’位置のフェニル基がカルボアルコキシ基で置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの中でも、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2-ビス(2,6-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールが好ましく用いられる。
【0084】
前記トリアジン系化合物の具体的な例としては、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0085】
前記オキシムエステル系化合物の具体的な例としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-オクタジオン、-1-(4-フェニルチオ)フェニル、-2-(o-ベンゾイルオキシム)、エタノン、-1-(9-エチル)-6-(2-メチルベンゾイル-3-イル)-、1-(o-アセチルオキシム)などが挙げられ、市販品としては、チバガイギー社のCGI-124、CGI-224、BASF社のIrgacure(登録商標) OXE-01、Irgacure(登録商標) OXE-02、Irgacure(登録商標) OXE-03、ADEKA社のN-1919、NCI-831、TRONLY社のPBG-327、PBG-345などが挙げられる。
【0086】
前記チオキサントン系化合物の具体的な例としては、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0087】
前記光重合開始剤は、隔壁形成用感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して、0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%で含まれてもよい。前記光重合開始剤が上記の範囲内で含まれる場合、光重合反応速度が適度であって全工程時間の増加が防止され、過反応による最終硬化膜の物性が低下することが防止されるため好ましい。
【0088】
本発明に係る隔壁形成用感光性樹脂組成物は、前記光重合開始剤に、追加に、光重合開始助剤をさらに含んでもよい。前記光重合開始剤とともに光重合開始助剤を用いる場合、感光性樹脂組成物がさらに高感度となり、生産性が向上するため好ましい。
【0089】
前記光重合開始助剤は、前記光重合開始剤により重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物であって、アミンおよびカルボン酸化合物からなる群から選択される1種以上の化合物が好ましく用いられることができる。
【0090】
前記光重合開始助剤を含む場合、その含量は、前記光重合開始剤1モルに対して、通常、0モル超過~10モル以下、好ましくは0.01モル~5モルで含まれてもよい。前記光重合開始助剤が上記の範囲内で含まれる場合、光重合効率が向上し、生産性の向上効果が期待されるため好ましい。
【0091】
(F)溶剤
前記溶剤は、この分野で公知されている有機溶剤を特に制限されずに使用可能である。
前記溶剤の具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、およびジプロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、およびグリセリンなどのアルコール類;3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート、メチルラクテート、エチルラクテート、ブチルラクテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびγ-ブチロラクトンなどのエステル類などが挙げられる。前記溶剤は、例示した溶剤からなる群から選択される1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0092】
好ましくは、前記溶剤の中でも、塗布性、乾燥性の点から、沸点が100~200℃の有機溶剤が使用可能であり、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が使用でき、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどが使用できる。これらの溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上を混合して用いてもよい。
【0093】
前記溶剤の含量は、隔壁形成用感光性樹脂組成物の総重量が100重量%となるようにする残部で含まれてもよい。具体的に、本発明において「残部」は、本発明の必須成分およびその他の追加成分をさらに含んだ組成物の総重量が100重量%となるようにする残部を意味し、前記「残部」の意味により、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物に追加成分が含まれないと限定されるわけではない。
【0094】
例えば、前記溶剤は、隔壁形成用感光性樹脂組成物の総重量に対して、60~90重量%、好ましくは70~85重量%で含まれてもよいが、これに制限されるものではない。但し、前記溶剤が上記の含量範囲内で含まれる場合、ロールコータ、スピンコータ、スリットアンドスピンコータ、スリットコータ(ダイコータということもある)、インクジェットなどの塗布装置にて塗布した時に、塗布性が良好になる効果を提供するため好ましい。
【0095】
チオール化合物
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物はチオール化合物をさらに含んでもよく、前記チオール化合物を含むことで、塗膜の耐熱性、耐溶剤性などの信頼性を向上させ、低温硬化性の特性を向上させることができる。
【0096】
前記チオール化合物は、1-官能基~4-官能基を含むチオール化合物が好ましく、より好ましくは、下記化学式3-1~3-4で表される化合物からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0097】
【0098】
前記チオール化合物の具体的な例としては、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコレート)、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロパンジオールトリス-(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパノールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。
【0099】
前記チオール化合物は、隔壁形成用感光性樹脂組成物の総重量に対して、0.05~5重量%で含まれてもよい。前記チオール化合物が上記の範囲内で含まれる場合、低温硬化性および信頼性向上の点から好ましい。
【0100】
添加剤
本発明に係る隔壁形成用感光性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、界面活性剤、酸化防止剤、密着促進剤、凝集防止剤などの添加剤をさらに含んでもよい。前記添加剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0101】
前記充填剤としては、具体的に、ガラス、シリカ、アルミナなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
前記他の高分子化合物としては、具体的に、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが使用でき、好ましくは、エポキシ化合物を含んでもよい。
【0103】
前記エポキシ化合物としては、脂環族エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、多官能型アミンエポキシ化合物などが使用でき、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、脂環族エポキシ化合物、より好ましくは、2官能脂環族エポキシ化合物を用いることが、低温硬化性および耐溶剤性の点から優れる。
【0104】
前記界面活性剤としては、例えば、シリコン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0105】
前記酸化防止剤は、例えば、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤からなる群から選択される1つ以上を含んでもよく、この場合、工程中に高温で発生し得る色変現象、またはディスプレイの製作後に光源により引き起こされ得る黄変の発生を抑えることができる。前記酸化防止剤は、フェノール系化合物、リン系化合物、および硫黄系化合物からなる群から選択される1種以上を含んでもよく、これらは、フェノール系-リン系化合物、フェノール系-硫黄系化合物、リン系-硫黄系化合物、またはフェノール系-リン系-硫黄系化合物の組み合わせとして用いられてもよい。
【0106】
前記密着促進剤としては、具体的に、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、および3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランからなる群から選択されるものを単独でまたはこれらの混合物を用いてもよい。
【0107】
前記凝集防止剤としては、具体的に、ポリアクリル酸ナトリウムなどが使用できるが、これに制限されるものではない。
【0108】
前記添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、当業者が適宜追加して使用可能である。例えば、前記添加剤は、隔壁形成用感光性樹脂組成物の総重量に対して0.05~10重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%で用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0109】
<(B)UV吸収剤と(D)光重合開始剤の吸光度比>
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物に含まれている(B)UV吸収剤と(D)光重合開始剤の吸光度比を、特定の数学式範囲を満たすように調整することで、アンダーカットを改善し、且つ逆テーパの形成を効果的に防止することができ、CDバイアス(CD bias)をさらに効果的に制御することができる効果を奏する。
【0110】
具体的に、365nm波長を基準として、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物に含まれているUV吸収剤と光重合開始剤は、下記数学式1により計算される「含量による吸光度比」の値が0.3~1.5となるように含まれてもよい。
【0111】
【数1】
前記数学式1中、「UV吸収剤の重量%」および「光重合開始剤の重量%」はそれぞれ、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物の総重量に対する重量%である。
【0112】
また、2種以上のUV吸収剤を含む場合、「含量による吸光度比」は、下記数学式1-1により求めることができる。
[数学式1-1]
(含量による吸光度比)=
{(第1UV吸収剤の重量%)×(第1UV吸収剤の吸光度)+(第2UV吸収剤の重量%)×(第2UV吸収剤の吸光度)…}/{(光重合開始剤の重量%)×(光重合開始剤の吸光度)}
【0113】
また、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物に含まれているUV吸収剤と光重合開始剤は、365nm波長を基準として、下記数学式2により計算される「同一含量基準の吸光度比」の値が0.2~1.0を満たすことができる。
[数学式2]
(同一含量基準の吸光度比)=(UV吸収剤の吸光度)/(光重合開始剤の吸光度)
前記数学式2中、「同一含量基準の吸光度比」とは、具体的に、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物に含まれているUV吸収剤と光重合開始剤の含量にかかわらず、UV吸収剤と光重合開始剤の固有の吸光度値に対して吸光度比を計算した値を意味する。
【0114】
また、2種以上のUV吸収剤を含む場合、「同一含量基準の吸光度比」は、下記数学式2-1により求めることができる。
【0115】
【0116】
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物に含まれているUV吸収剤と光重合開始剤は、上述の数学式1により計算される「含量による吸光度比」の値が0.3~1.5となるように含まれることを含み、上述の数学式2により計算される「同一含量基準の吸光度比」の値が0.2~1.0を満たすことを含み、これらを何れも満たすことを含む。
【0117】
前記数学式1による吸光度比の範囲を満たす場合、表面部の硬化水準が適切に維持されて残膜が発生せず、線幅の拡大を抑えることができ、耐薬品性の点からも好ましいだけでなく、15,000mW以上の高照度で露光した時にも優れた前記特性を提供することができる。
【0118】
これに対し、数学式1による吸光度比が0.3未満である場合には、組成物中の感度が高くなり、これにより、表面の硬化度が高くなって、8μm以上のパターンで上部と下部との硬化度差が大きく生じ、アンダーカットが悪化し得る。また、高照度で露光時に上記の問題がさらに悪化し、非露光部を覆う水準の残膜が生じる問題が発生し得る。数学式1による吸光度比が1.5を超える場合には、硬化水準が不足して耐薬品性が悪化し、膨潤が発生したり、微細パターンの消失が発生するという問題が発生し得る。
【0119】
また、前記数学式1による吸光度比の範囲に加えて、数学式2による吸光度比の範囲を満たす場合、上下部の硬化度差が減少し、TiO2の散乱により発生し得るテーパ(Taper)の肩形状が改善され、硬化膜の残膜が生じることなく、かつCD-Biasを容易に調節できるため好ましい。
【0120】
<隔壁構造物および表示装置>
本発明は、前記隔壁形成用感光性樹脂組成物から製造される隔壁構造物、およびそれを含む表示装置を提供する。
【0121】
色変換パネルを含む表示装置は、それぞれの画素が駆動して色相を形成するため、それぞれの画素と画素を区別可能にする隔壁構造物を形成する必要がある。本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物を用いて形成した隔壁構造物を含む表示装置は、画素間の混色が防止され、微細パターンの形成に有利であるとともに、現像工程における現像時間の変化による線幅変化が少ない隔壁が製造可能である。隔壁の線幅変化が少ない場合、色変換画素が十分な空間を確保することができ、高品質の画像を実現することができるという利点がある。
【0122】
また、前記隔壁構造物は、3~15μm、好ましくは3~10μmの高さで形成されることが好ましい。
【0123】
前記表示装置としては、液晶ディスプレイ装置、有機発光ダイオード、フレキシブルディスプレイなどが挙げられるが、これらに限定されず、適用が可能な、この分野に公知された全ての表示装置が例示できる。
【0124】
色変換隔壁を製造するために、本発明に係る隔壁形成用組成物を用いて、当業界で通常用いられる方法を特に制限なしに適用可能である。
【0125】
例えば、前記隔壁は、前述の組成物を基材の一面上に塗布し、光硬化および現像過程を経て硬化膜を形成することで形成されることができる。色変換画素と画素を区別する色変換パネル隔壁構造物は、フォトリソ工程により形成されることができる。
【0126】
具体的に、隔壁の形成のために、それぞれの感光性樹脂組成物を基材の一面上に塗布した後、加熱乾燥することで溶剤などの揮発成分を除去し、平滑な硬化膜を得ることができる。
【0127】
前記組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スピンコート、流延塗布法、ロール塗布法、スリットアンドスピンコート、またはスリットコート法などが挙げられる。
【0128】
前記組成物を塗布した後、加熱乾燥(プリベーク、予備焼成)を行ったり、または減圧乾燥後に加熱して溶剤などの揮発成分を揮発させる。前記加熱温度は、通常、70~150℃、好ましくは80~130℃であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0129】
このように形成された塗膜に目的のパターンを形成するために、マスクを介して紫外線を照射し、紫外線の照射された部分が硬化されるようにする。この際、露光部の全体に均一に平行光線が照射されるようにし、マスクと硬化膜基板との正確な位置合わせがなされるように調整するために、マスクアライナやステッパなどの装置を用いることが好ましい。前記紫外線としては、g線(波長:436nm)、h線、i線(波長:365nm)などが使用可能であり、紫外線の照射量は必要に応じて適宜選択可能である。
【0130】
前記硬化が完了された塗膜を現像液に接触させ、非露光部を溶解させて現像することで、目的のパターンの硬化膜を形成することができる。
【0131】
このように形成された前記硬化膜は、追加加熱硬化工程(ポストベーク、本焼成)を経ることで前記硬化物より堅く硬化させることができ、この際、加熱温度は90~180℃であり、加熱時間は5~180分、好ましくは15~90分であってもよいが、これに限定されるものではない。
【実施例0132】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
しかし、下記の実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が下記実施例により限定されるものではない。下記実施例は、本発明の範囲内で当業者により適宜修正、変更され得る。
また、以下で含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0133】
<実施例>
<合成例1:アルカリ可溶性樹脂の合成>
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、および窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル100重量部、AIBN5重量部、2-エチルヘキシルアクリレート23.0重量部、4-メチルスチレン1.6重量部、グリシジルメタクリレート46.0重量部、およびn-ドデシルメルカプト3重量部を投入し、窒素置換した後、攪拌しながら反応液の温度を80℃に上昇させ、4時間反応させた。次いで、反応液の温度を常温に下げ、フラスコ内部の窒素をさらに空気で置換した後、トリエチルアミン0.2重量部、4-メトキシフェノール0.1重量部、およびアクリル酸23.3重量部を投入し、100℃で6時間反応させた。その後、反応液の温度を常温に下げ、コハク酸無水物6.0重量部を投入した後、80℃で6時間反応させ、合成例1のアルカリ可溶性樹脂を合成した。
【0134】
合成例1のアルカリ可溶性樹脂は、固形分酸価が32.8mgKOH/gであり、GPCにより測定した重量平均分子量は約6,350、示差走査熱量計により測定したガラス転移温度は-12℃であった。
【0135】
<感光性樹脂組成物の製造>
下記表1~3に記載の組成および重量部を参照し、実施例および比較例に係る着色剤および感光性樹脂組成物を製造した。また、UV吸収剤および光重合開始剤の吸光度は、PGMEAに0.05重量%の濃度で溶かした後、365nm波長を基準として吸光度を測定し、数学式1~2に代入して計算した(2種以上である場合、数学式1-1~2-1)。
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
-白色顔料:TiO2(Ti-Pure R-101、Dupont社)
-分散樹脂:合成例1の樹脂
-分散剤:DISPERBYK-2000
-B-1:Tinuvin 326(ベンゾトリアゾール系UV吸収剤、BASF社)
-B-2:Tinuvin 328(ベンゾトリアゾール系UV吸収剤、BASF社)
-B-3:Tinuvin 400(トリアジン系UV吸収剤、BASF社)
-B-4:Tinuvin 479(トリアジン系UV吸収剤、BASF社)
-B-5:Tinuvin 5100(non-basic amino ether(NOR) hindered amine light stabilizer(HALS)、BASF社)
-アルカリ可溶性樹脂:合成例1の樹脂
-光重合性モノマー:エトキシレートジペンタエリスリトールペンタアクリレート(A-DPH-12E、新中村化学社)
-光重合開始剤:PBG-345(TRONLY社)
-チオール化合物:TMMP-20P(堺化学社)
-溶剤:PGMEA(propylene glycol monomethyl ether acetate)
-添加剤:F554(DIC社)
【0140】
<実験例>
(1)隔壁パターン硬化膜の製造
5cm×5cmのガラス基板(コーニング社)を中性洗剤および水で洗浄した後、乾燥した。前記ガラス基板上に、実施例および比較例に係る感光性樹脂組成物のそれぞれを最終膜厚が10μmとなるようにスピンコーティングし、80℃で予備焼成して2分間乾燥し、溶剤を除去した。その後、1~100μmのライン/スペースパターン、パターンの間に1~100μmの隔壁を有する幅1~200μmの長方形パターンを含むマスクにて、25,000mWの照度、露光量100mJ/cm2で露光し、アルカリ水溶液を用いて非露光部を除去した。製造された硬化膜を引き継き現像時間の200%時間現像した後、180℃で30分間本焼成することで、10μm厚さの隔壁パターン硬化膜を製造した。
【0141】
前記製造された隔壁パターン硬化膜に対して、下記評価基準に従って特性を評価し、その結果を下記表4に示した。
【0142】
(2)テーパ特性の評価
前記実施例および比較例で製造された感光性樹脂組成物を用いて製造された隔壁パターンの硬化膜のうち20μmのラインパターンを切断し、断面を観察した。走査型電子顕微鏡(SEM、SU-8200、日立社製)を用いて、パターンの断面における最大線幅と最小線幅の長さの差を計算し、下記評価基準に従って評価した。
【0143】
<テーパ特性の評価基準>
◎:0.5μm以下
○:0.5超過2.0μm以下
△:2.0超過2.0μm以下
X:4.0μm超過
【0144】
(3)CD-バイアス(CD-Bias)の評価
前記実施例および比較例に係る感光性樹脂組成物から製造された隔壁パターンのうち20μmのパターンを切断し、断面を観察した。走査型電子顕微鏡(SEM、SU-8200、日立社製)を用いて、パターンの高さおよびパターンのサイズを測定した。CD-biasは、マスクのパターンサイズと、実際に生成されたパターンサイズとの差から計算する値であり、CD-bias=(実際のパターンサイズ)-(マスクサイズ)であって、下記評価基準に従って評価した。
【0145】
<CD-Biasの評価基準>
◎:10μm以下
○:10超過15μm以下
△:15超過20μm以下
X:20μm超過
【0146】
(4)最小形成マスクサイズの評価
前記実施例および比較例で製造された感光性樹脂組成物を用いて製造された隔壁パターンの硬化膜の最小形成マスクサイズを下記評価基準に従って評価した。
【0147】
マスクのサイズが小さいほど、より微細なパターンが形成可能であるが、パターンの漏れが発生しやすくて微細パターンを形成しにくいという問題がある。したがって、パターンの漏れなく微細パターンが形成可能なマスクの最小サイズを測定することで、最小形成マスクサイズを評価した。
【0148】
<最小形成マスクサイズの評価基準>
○:5μm未満
△:5以上9μm未満
X:9μm以上
【0149】
(5)膨潤(swelling)の評価
前記実施例および比較例に係る感光性樹脂組成物から製造された隔壁パターンの本焼成の温度を85℃に変更して製作した硬化膜の内部にwhite-inkを滴下し、30分放置した後、パターンの表面での膨潤ムラの発生有無を確認した。
【0150】
<膨潤の評価基準>
○:膨潤が発生しない
△:膨潤が弱く発生する
X:膨潤が強く発生する
【0151】
【0152】
前記表4を参照すると、実施例に係る感光性樹脂組成物を用いて製造された隔壁パターンの硬化膜は、高照度で露光時に残膜および残渣の発生を防止することができるだけでなく、テーパの線幅差が少なくて優れたテーパ形状を示し、アンダーカットなどの問題が防止して、微細パターンの形成に有利であり、低温硬化時にも優れた膨潤特性を示す効果が確認できる。
【0153】
これに対し、本発明の数学式1による吸光度比の値が0.3~1.5を満たさない比較例は、高照度で露光時にテーパ線幅差が大きく示され、テーパ形状不良およびアンダーカット発生の問題があり、膨潤特性も実施例に比べて劣ることが確認できる。