(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132193
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】フィッティングエージェント及び聴覚装置パラメータを決定する方法
(51)【国際特許分類】
H04R 25/00 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
H04R25/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022028387
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】PA202170089
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タニャ イグナテンコ
(72)【発明者】
【氏名】キリル コンドラショフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】聴覚装置のためのフィッティングエージェント及び関連する方法を提供する。
【解決手段】方法100は、ユーザ選好関数を含むユーザモデルを初期化S102し、聴覚装置のための一次試験設定を取得S104し、聴覚装置のための二次試験設定を取得S106し、一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示S107し、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定についてのユーザ入力を検出し、選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいてユーザモデルを更新する。二次試験設定を取得することは、試験設定候補の候補セットを取得することS130、各試験設定候補の不確定性パラメータを決定することS134及び試験設定候補の不確定性パラメータに基づいて、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択することS138を含む。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴覚装置の聴覚装置パラメータを最適化するためのフィッティングエージェントであって、
前記フィッティングエージェントは:
ユーザ選好関数及びユーザ応答分布を含むユーザモデルを初期化し;
前記聴覚装置の一次試験設定を取得し;
前記聴覚装置の二次試験設定を取得し;
前記一次試験設定と前記二次試験設定とをユーザに提示し;
前記一次試験設定又は前記二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定についてのユーザ入力を検出し;及び
前記選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて前記ユーザモデルを更新するように構成されており、
前記二次試験設定を取得することは:
試験設定候補の候補セットを取得することと;
各試験設定候補に対する不確定性パラメータを決定することと;
前記試験設定候補の前記不確定性パラメータに基づいて、前記試験設定候補の候補セットから前記二次試験設定を選択することと、を含む、フィッティングエージェント。
【請求項2】
各試験設定候補について不確定性パラメータを決定することは、各試験設定候補に対して予測器を適用することを含む、請求項1に記載のフィッティングエージェント。
【請求項3】
前記予測器は、重み付き分散関数である、請求項2に記載のフィッティングエージェント。
【請求項4】
前記試験設定候補の候補セットから前記二次試験設定を選択することは、最大の不確定性パラメータを有する前記試験設定候補を前記二次試験設定として選択することを含む、請求項1~3のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
【請求項5】
試験設定候補の候補セットを取得することは、事後分布をサンプリングすることによって第1の試験設定候補を取得することを含む、請求項1~4のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
【請求項6】
前記フィッティングエージェントは、停止基準が満たされるかどうかを判定するように構成され、
前記停止基準が満たされるという判定に従って、前記更新されたユーザモデルに基づいて、前記聴覚装置の前記聴覚装置パラメータを更新する、請求項1~5のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
【請求項7】
前記停止基準は、Kullback-Leibler(KL)ダイバージェンスのような、正規化された重み付き情報ダイバージェンスに基づく、請求項6に記載のフィッティングエージェント。
【請求項8】
前記フィッティングエージェントは、前記選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて、前記予測器を更新するように構成される、請求項2に従属する請求項1~7のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
【請求項9】
前記試験設定候補の候補セットが、少なくとも5つの試験設定候補を含む、請求項1~8のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
【請求項10】
前記ユーザモデルは、第1の仮定及び第2の仮定に基づいており、前記第1の仮定は、前記ユーザ選好関数が、ユーザの選好を表すユニモーダル選好関数であることであり、前記第2の仮定は、前記ユーザが選好について不確定であり得ることである、請求項1~9のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
【請求項11】
前記ユーザ選好関数f(x,Λ,Θ)は、
f(x,Λ,Θ)=-((x-Θ)TΛ(x-Θ))sで表され、
ここで、xは、装置の(M)個の聴覚装置パラメータを表す超立方体[0,1]M内のM次元ベクトルであり、Θは、fを最大化する引数であり、Λは聴覚装置パラメータの変化に対するユーザ感度を特徴付ける正定値M×Mスケーリング行列であり、Mは整数であり、sは、0.01から0.99までの範囲の実数の指数である、請求項1~10のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
【請求項12】
聴覚装置の聴覚装置パラメータを決定する方法であって、
前記方法は:
ユーザ選好関数を含むユーザモデルを初期化することと;
前記聴覚装置の一次試験設定を取得することと;
前記聴覚装置の二次試験設定を取得することと;
前記一次試験設定及び前記二次試験設定をユーザに対して提示することと;
前記1次試験設定又は前記2次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定についてのユーザ入力を検出することと;
前記選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて前記ユーザモデルを更新すること、とを含んでおり、
前記二次試験設定を取得することは:
試験設定候補の候補セットを取得することと;
各試験設定候補に対する不確定性パラメータを決定することと;
前記試験設定候補の前記不確定性パラメータに基づいて、前記試験設定候補の候補セットから前記二次試験設定を選択することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に、聴覚装置パラメータを決定すること、チューニングすること、フィッティングすること及び最適化することのうち、1つ又は複数のための、聴覚装置及び関連するツール、方法並びにシステムに関する。したがって、フィッティングエージェント及び関連する方法、特に聴覚装置パラメータをチューニングする方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
聴覚装置又は補聴器のフィッティング及びチューニングは、常に、医療専門家(HCP)の煩わしい作業であると考えられてきた。聴覚装置のパラメータをフィッティングさせるための従来のアプローチは、NAL-NL1又はNAL-NL2などのルールを適用することによって、オーディオグラムに基づいて、ユーザの聴力損失の補償に依存する。ただし、これらのルールでは、特定のユーザの選好は考慮されない。
【0003】
最近のアプローチは、聴覚装置についての選好の学習を含む。
【0004】
EP3493555A1は、聴覚装置パラメータをチューニングする方法及び聴覚装置に関する。この方法は、モデルを初期化することと、1つ又は複数の初期試験聴覚装置パラメータによって定義される初期試験設定を取得することと、初期試験設定を一次試験設定として割り当てることと、モデルに基づいて二次試験設定を取得することと、一次試験設定に従って一次試験信号を出力することと、二次試験設定に従って二次試験信号を出力することと、選好された試験設定のユーザ入力を検出することと、一次試験設定、二次試験設定、及び選好された試験設定に基づいてモデルを更新することと、チューニング基準が満たされるという判定に従って、選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新することと、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
聴覚装置パラメータの改良されたフィッティング及びチューニングを可能にするツール、方法及び装置を改良することに、依然として課題が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、聴覚装置の聴覚装置パラメータを最適化すること、決定すること、フィッティングすること、チューニングすること、及びモデリングすることのうちの1つ又は複数のための、フィッティングエージェントが開示される。フィッティングエージェントは、ユーザ選好関数及び/又はユーザ応答分布を含むユーザモデルを初期化し、聴覚装置の一次試験設定を取得し、聴覚装置の二次試験設定を取得し、一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示し、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出し、選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいてユーザモデルを更新するように構成される。二次試験設定を取得することは、任意選択で、試験設定候補の候補セットを取得すること、各試験設定候補について不確定性パラメータを決定すること、及び、例えば試験設定候補の不確定性パラメータに基づいて、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択することとを含む。
【0007】
また、聴覚装置の聴覚装置パラメータを最適化すること、決定すること、フィッティングすること、チューニングすること、及びモデリングすることのうちの1つ又は複数のための、例えば決定するための方法が開示される。この方法は、ユーザ選好関数及び/又はユーザ応答分布を含むユーザモデルを初期化することと、聴覚装置の一次試験設定を取得することと、聴覚装置の二次試験設定を取得することと、一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することと、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出することと、選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいてユーザモデルを更新することと、を含む。この方法では、任意選択で、二次試験設定を取得することは、試験設定候補の候補セットを取得することと、各試験設定候補について不確定性パラメータを決定することと、試験設定候補の不確定性パラメータに基づいて、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択することとを含む。
【0008】
本開示の利点は、聴覚装置の1又は複数の聴覚装置パラメータを構成するための単純で効果的な手法が提供されることである。さらに、本開示は、ユーザの選好された聴覚パラメータ設定のモデリングを改善すること、及びその結果、最適化された設定が聴覚装置に適用されることによって、改善された聴覚体験をユーザに提供する。
【0009】
有利なことに、本開示は、学習プロセスを導くために、ユーザ応答において提供される情報を利用する。本開示は、真のユーザの選好情報がない場合に学習パフォーマンスを評価するために効率的に使用することができるメトリックを提供し、これは、結果として最適化されたユーザフィードバック及びモデル最適化を可能にする。
【0010】
本開示は、ユーザフィードバックを学習サイクルに組み込むことによって、最適な聴覚装置パラメータのための効率的な自動化された探索を提供する。フィッティング及び/又はチューニングプロセスにおいてユーザが直接決定を行い、直接影響を及ぼすように権限を与えることによって、効率的かつ最小限に目立たないやり方で、聴覚装置パラメータに関するユーザの選好を学習することを可能にする、フィッティングエージェント、装置、及び方法が提供される。
【0011】
さらに、本開示は、通常の動作状況中に、及び/又は少ない回数のユーザ入力/インタラクションを用いて、聴覚装置パラメータが構成され得る、例えばフィッティング及び/又はチューニングされ得ることを可能にする。したがって、簡単でスムーズな聴覚装置のユーザ体験が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した以下の例示的な実施形態の詳細な説明によって、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0013】
【
図2】ユーザとフィッティングエージェントとの間のインタラクションを示す。
【
図3A】本開示による例示的な方法のフロー図である。
【
図3B】本開示による例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な例示的な実施形態及び詳細が、関連する場合に図面を参照して以下に記載される。図面は、一定の縮尺で描かれていることもあれば、描かれていないこともあり、同様の構造又は機能の要素は、図面全体にわたって同様の参照番号によって表されることに留意されたい。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることにも留意されたい。それらは、本発明の網羅的な説明として又は本発明の範囲に対する限定として意図されていない。さらに、図示された実施形態は、図示された態様又は利点のすべてを有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように図示されていなくても、又はそのように明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実施されうる。
【0015】
フィッティングエ-ジェントが開示される。フィッティングエ-ジェント又はその少なくとも第1の部分は、例えば、アプリケーションとして、電子装置などのアクセサリ装置に実装されてもよい。アクセサリ装置は、インターフェース、プロセッサ、及びメモリを含む。アクセサリ装置は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、スマートウォッチ、専用装置、ラップトップコンピュータ若しくはPC、又はタブレットコンピュータなどのコンピュータであってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。フィッティングエージェント又はその少なくとも第2の部分は、サーバ装置に実装されてもよい。フィッティングエージェント又はその少なくとも第3の部分は、聴覚装置に実装されてもよい。
【0016】
本開示は、聴覚システム、聴覚システムのフィッティングエージェント、アクセサリ装置及び聴覚装置並びに関連する方法に関する。アクセサリ装置は、聴覚装置に対するアクセサリ装置を構成する。アクセサリ装置は、典型的には、聴覚装置に対してペアリングされているか、又は無線で結合されている。聴覚装置は、例えば、ビハインドザイヤ(the Behind the-ear;BTE)タイプ、インザイヤ(in-the-ear;ITE)タイプ、インザカナル(in-the-canal;ITC)タイプ、レシーバーインザカナル(receiver-in-canal;RIC)タイプ、又はレシーバインザイヤ(receiver-in-the-ear;RITE)タイプの補聴器であってもよい。聴覚装置は、一対のイヤホン又はヘッドセットのようなヒアラブルであってもよい。典型的には、聴覚装置システムは、聴覚装置ユーザを所有し、聴覚装置ユーザによって制御される。
【0017】
聴覚システムは、サーバ装置及び/又はフィッティング装置を含んでいてもよい。フィッティング装置は、ディスペンサによって制御され、フィッティングパラメータなどの構成データを決定するように構成される。サーバ装置は、聴覚装置製造業者によって制御されてもよい。
【0018】
フィッティングエージェントは、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す、選好された試験設定のユーザ入力を受信し、検出するように構成される。したがって、フィッティングエージェント又はフィッティングエージェントの少なくとも一部を実装する聴覚装置及び/又はアクセサリ装置は、ユーザ入力を受信及び/又は検出するための1つ又は複数のユーザインタフェースを含んでいてもよい。例えば、聴覚装置は、ユーザ入力を受信するユーザインタフェースを含んでいてもよい。聴覚装置のユーザインタフェースは、1つ又は複数のボタン、加速度計、及び/又は音声制御ユニットを含んでいてもよい。アクセサリ装置は、ユーザインタフェースを含んでいてもよい。アクセサリ装置のユーザインタフェースは、タッチセンシティブ表面、例えば、タッチディスプレイ、及び/又は1つ又は複数のボタンを含んでいてもよい。アクセサリ装置のユーザインタフェースは、音声制御ユニットを含んでいてもよい。聴覚装置のユーザインタフェースは、1つ又は複数の物理的スライダ、ノブ、及び/又は押しボタンを含んでいてもよい。アクセサリ装置のユーザインタフェースは、1つ又は複数の物理的又は仮想(オンスクリーン)スライダ、ノブ、及び/又は押しボタンを含んでいてもよい。聴覚装置のユーザインタフェースは、1つ又は複数の物理的スライダ、ノブ、及び/又は押しボタンを含んでいてもよい。アクセサリ装置のユーザインタフェースは、1つ又は複数の物理的又は仮想(オンスクリーン)スライダ、ノブ、及び/又は押しボタンを含んでいてもよい。
【0019】
方法又はその少なくとも一部は、聴覚装置において実行され得る。この方法又はその少なくとも一部は、任意選択でスマートウォッチと組み合わせた、スマートフォンなどの1つのアクセサリ装置又は複数のアクセサリ装置で実行され得る。任意選択でスマートウォッチと組み合わせた、スマートフォンなどのアクセサリ装置において本方法の一部を実行することは、よりスムーズなユーザ入力及びユーザ体験を提供する際に有利であり得る。さらに、アクセサリ装置において方法の一部を実行することは、聴覚装置の観点から、より電力効率の良い方法を提供するのに有利であり得る。本方法又はその少なくとも一部は、サーバ装置及び/又はフィッティング装置において実行され得る。
【0020】
本開示は、聴覚装置のためのフィッティングエージェントに関し、特に、聴覚装置の聴覚装置パラメータを最適化すること、決定すること、フィッティングすること、およびチューニングすることのうちの1つ又は複数のためのフィッティングエージェントに関する。
【0021】
フィッティングエージェントは、ユーザ選好関数を含むユーザモデルを初期化するように構成される。ユーザモデルは、例えばユーザ応答分布を含むユーザ応答関数を含んでいてもよい。
【0022】
ユーザモデルは、任意選択で、2組の聴覚装置パラメータ設定を比較するときの、ユーザ応答の確率的記述を表す。ユーザモデルの積分部分は、ユーザ選好関数と、提示されたパラメータの選択に対するユーザ応答の分布とを含む。
【0023】
聴覚装置パラメータのベクトルは、M次元連続コンパクト面上に定義される。特に、聴覚装置パラメータxは、任意選択で、M次元超立方体上で任意に定義される。すなわち、x∈[0,1]Mである。1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、聴覚装置パラメータは、それらの物理的範囲によって正規化され得る。フィッティングエージェント/方法は、特定のユーザに対してθとしても示される、聴覚装置パラメータの最適化された/改善された値を見つけるように構成される。聴覚装置パラメータの個数Mは、1であっても及び/又は100未満であってもよく、例えば10から50までの範囲であってもよい。聴覚装置パラメータの個数Mは、20より大きくてもよく、例えば25から75までの範囲であってもよい。
【0024】
一般的に、ユーザ選好関数は未知である。ユーザ選好関数f(x;θ,Λ)は、形態は既知であるが形状は未知である聴覚装置パラメータx∈[0,1]
Mのパラメトリック関数であってもよい。この形状は、任意選択で、フィッティング又はチューニングパラメータθ∈[0,1]
M及びスケーリング行列Λによって特徴付けられる。スケーリング行列Λは、正定値スケーリング行列Λであってもよい。スケーリング行列は、対角行列
【数1】
であってもよい。
【0025】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、分布プライアが、Λの各要素に適用されてもよい。例えば、対数正規分布プライアが、Λの各要素に適用されてもよく、例えば、
【数2】
である。又はガンマ分布プライアが、Λの各要素に適用されてもよく、例えば、
【数3】
である。
【0026】
スケーリング行列Λは対角行列である必要はない。スケーリング行列Λは、
【数4】
として選択することができ、ここでLは下三角行列である(Λのコレスキー分解としても知られる)。ガウスプライアをLの各要素に適用してもよく、例えば、
【数5】
である。
【0027】
ユーザ選好関数は、fまたはf(x;θ,Λ)で示され得る。
ユーザ選好関数f(x;θ,Λ)は、次のように与えられてもよい:
f(x;θ,Λ)=-((x-θ)TΛ(x-θ))s (1)
ここで、xは、任意選択で超立方体[0,1]M内にある、M次元ベクトルであり、装置の(M)個の聴覚装置パラメータを表し、θは、fを最大化する引数であり、Λは、聴覚装置パラメータの変化に対するユーザ感度を特徴付ける正定値M×Mスケーリング行列であり、Mは、整数であり、sは、実数の指数である。実数の指数sは、0.01から0.99までの範囲内であってもよい。実数の指数sは、0.5未満であってもよく、例えば0.01から0.45までの範囲内であってもよい。実数の指数sは、0.5より大きくてもよく、例えば0.55から0.99までの範囲内であってもよい。
【0028】
最大化する引数θは、目的関数f
θ,Λに関する以下の事前仮定によって制約されてもよい。
【数6】
ここで、
【数7】
は、標準正規分布などの確率分布の累積密度関数であり、
【数8】
は、別の確率分布からのサンプルである。
【0029】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、最大化する引数θは、目的関数f
θ,Λに関する以下の事前仮定によって制約されてもよい。
【数9】
ここで、
【数10】
は、標準正規分布の累積密度関数であり、
【数11】
は、平均ベクトルμと共分散行列Σを持つ正規分布からのサンプルである。平均及び共分散の値は、ユーザ応答から学習することができる。
【0030】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、スケーリング行列は、例えば、スケーリング行列の要素に対数変換を適用することによる、変換されたスケーリング行列であってもよい。
【0031】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、実数の指数sは、0.25から0.75までの範囲内であってもよく、例えば0.5であってもよい。
【0032】
したがって、ユーザ選好関数は、次のように与えられてもよい。
【数12】
【0033】
チューニングパラメータは、ユーザにとって最適な聴覚装置パラメータである、関数の最適点の位置θと、聴覚装置パラメータの変化に対するユーザ感度を特徴付ける、この最適点の周りの広がりΛに、それぞれ対応する。このユーザ選好関数の形態は、探索範囲の迅速な絞り込みを可能にする魅力的な特性を有する。
【0034】
ユーザモデルは、任意選択で、第1の仮定及び/又は第2の仮定に基づく。第1の仮定は、ユーザ選好関数が、ユーザの選好を表すユニモーダル選好関数であるとすることであってもよい。第2の仮定は、ユーザが選好について不確定であり得ることであってもよく、これは、加算的確率変数で表現され得る。ユーザ選好の不確定性をモデル化するために、価値関数u(・)を定義することができる。価値関数u(・)は、例えば、以下のように定義されうる。
u(x)=f(x;θ,Λ)+ε (5)
として定義されうる。
ここで、ユーザの不確定性誤差εは、任意選択で、標準ガウス分布のようなガウス分布を有すると任意に仮定され、例えば以下である。
【数13】
【0035】
ガウス分布の分散は、例えば0から1までの範囲内の又は1よりも大きい、実数値であり得る。
【0036】
ユーザのための試行は、一次試験設定及び二次試験設定を含む試験設定のペアを定義する。試験設定のペア{x_ref、x_alt}によって定義される、試行からの試験設定についてのユーザのペアワイズ比較に対するユーザ応答が得られ、ここで、一次試験設定x_ref及び二次試験設定x_altは、それぞれ、いわゆる参照及び代替パラメータ提案である。言い換えれば、試行T_nが実行され、各試行T_nは、一次試験設定xn
ref、二次試験設定xn
alt、及び選好された試験設定rnを含むか、又はそれによって定義される。インデックスn-1は、以前の試行T_n-1tを参照する。
【0037】
フィッティングエージェントは、一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示するように構成されてもよい。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、一次試験設定及び二次試験設定をアクセサリ装置から聴覚装置に送信することを含んでもよい。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、一次試験設定に従って一次試験信号を出力すること、及び/又は二次試験設定に従って二次試験信号を出力することを含んでもよい。言い換えると、フィッティングエージェントは、任意選択で、一次試験設定に従って一次試験信号を出力し、二次試験設定に従って二次試験信号を出力するように構成されている。フィッティングエージェントは、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出するように構成される。一次試験設定x_refは、任意選択で、以前の試行から最高格付けの提案/試験設定として開始又は取得され、この状況は、所与の試行における二次試験設定x_altによって検証される。ユーザ応答は、それぞれの試験設定(聴覚装置パラメータ)に従って提示された試験信号に対するユーザの選好に依存する。聴覚装置パラメータ又は聴覚装置パラメータに対するユーザの選好は、価値関数によって与えられるか、又は定量化される。ユーザ入力又はユーザ応答Rは、{0,1}から値をとるか又は割り当てられてもよく、ここで、所定の試行{x_ref,x_alt}に対する応答“1”は、二次試験設定又は聴覚パラメータx_altが、一次試験設定又は聴覚装置パラメータx_refよりも選好される、又は良いことを示し、0は、それ以外であり、すなわち、
【数14】
ここで、
【数15】
は、より選好される又は同等であることを示し、
【数16】
は、完全な選好を示す。
【0038】
ポジティブなユーザ応答の確率、すなわち、Rが、試行{x_ref,x_alt}において値「1」をとる確率は、以下で与えられる。
【数17】
ここで、Φ(・)
は、標準ガウス分布の累積分布関数(CDF)であり、Λ’=Λ/2である。x_refとx
refは、ここでは一次試験設定を示すために交換可能に使用され、x_altとx
altは、ここでは二次試験設定を示すために交換可能に使用されることに留意されたい。
【0039】
このように、Rは、パラメータ
【数18】
を有するベルヌーイ確率変数である。したがって、上記(1)及び(4)~(8)によって定義される、ユーザ選好関数及びユーザ応答モデルが与えられると、試行{x_ref,x_alt}に対するユーザ応答rの確率質量関数(PMF)は、次式によって与えられる。
【数19】
【0040】
バイナリ観測を連続潜在関数(ユーザ選好関数)に関連付ける、このユーザ応答モデルは、比較判断のThurstone-Mosteller法則としても知られている。統計学では、二項プロビット回帰モデルと呼ばれる。
【0041】
フィッティングエージェントは、聴覚装置のx_ref又はxrefとも呼ばれる一次試験設定を取得するように構成されている。一次試験設定x_refは、聴覚装置のためのM個の聴覚装置パラメータを含むベクトルである。聴覚装置パラメータは、フィルタ係数、コンプレッサ設定、ゲイン、又は聴覚装置の動作又は聴覚装置における信号処理に関連する他のパラメータのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0042】
フィッティングエージェントは、補聴器のx_alt又はxaltとも呼ばれる二次試験設定を取得するように構成されている。二次試験設定x_refは、聴覚装置のためのM個の聴覚装置パラメータを含むベクトルである。聴覚装置パラメータは、フィルタ係数、コンプレッサ設定、ゲイン、又は聴覚装置の動作又は聴覚装置における信号処理に関連する他のパラメータのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0043】
フィッティングエージェントは、一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示するように構成される。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、任意選択で、一次試験設定に従って一次試験信号を出力することを含む。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、任意選択で、アクセサリ装置内で一次試験設定に従って一次試験信号を生成し、一次試験信号をアクセサリ装置から聴覚装置にストリーミングすることを含む。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、任意選択で、一次試験信号/一次試験設定を示す制御信号をアクセサリ装置から聴覚装置に送信することを含む。制御信号は、一次試験設定を含むことができる。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、例えば、制御信号の一次試験設定に基づいて、聴覚装置内で制御信号に従って一次試験信号を生成することを含んでもよい。
【0044】
一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、任意選択で、二次試験設定に従って二次試験信号を出力することを含む。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、任意選択で、アクセサリ装置内で二次試験設定に従って二次試験信号を生成し、二次試験信号をアクセサリ装置から聴覚装置にストリーミングすることを含む。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、任意選択で、二次試験信号/二次試験設定を示す制御信号をアクセサリ装置から聴覚装置に送信することを含む。制御信号は、二次試験設定を含んでいてもよい。一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示することは、例えば、制御信号の二次試験設定に基づいて、聴覚装置内で制御信号に従って二次テスト信号を生成することを含んでいてもよい。
【0045】
フィッティングエージェントは、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出するように構成される。フィッティングエージェントでは、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出することは、例えば、聴覚装置からのビープ音信号又は音声信号、及び/又はアクセサリ装置からの視覚的、触覚的、及び/又は音声プロンプトによって、ユーザにユーザ入力を促すことを含んでもよい。ユーザ入力を検出することは、例えば、ユーザが聴覚装置内のボタン及び/又は加速度計をアクティブ化する(例えば、聴覚装置ハウジングをシングルタップ又はダブルタップする)ことによって、聴覚装置上で実行されてもよい。ユーザ入力を検出することは、例えば、ユーザアクセサリ装置のタッチセンシティブディスプレイ上で、例えば、ユーザが、選好された試験設定を表すユーザインタフェース要素を選択することによって、アクセサリ装置上で実行されてもよい。
【0046】
最初の試行では、一次試験設定及び二次試験設定はランダムに初期化されてもよい。最初の試行の後に、いくつかの試行が続いてもよく、各試行は、試験設定x_ref,x_altを取得し、試験信号を出力し、選好された試験設定を検出することを含む。
【0047】
フィッティングエージェントは、選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいてユーザモデルを更新するように構成される。ユーザモデルを更新することは、一次試験設定、二次試験設定、及び選好された試験設定のユーザ入力のうちの1つまたは複数に基づいて、ユーザ選好関数を更新することを含んでいてもよい。換言すれば、一次試験設定、二次試験設定、および一次試験設定及び二次試験設定の選好された試験設定を含む試行の結果に基づいて、ユーザ選好関数は更新され得る。
【0048】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント及び/又は方法では、ユーザモデルを更新することは、ベイズ推論に基づいてもよい。モデルを更新することは、ユーザ選好関数及び/又はユーザ応答モデルのパラメータのうちの1つ又は複数を更新することを含んでもよい。
【0049】
フィッティングエージェント及び/又は方法では、二次試験設定を取得することは、試験設定候補の候補セットを取得することと、各試験設定候補についてUPとも呼ばれる不確定性パラメータを決定することと、任意選択で試験設定候補の不確定性パラメータに基づいて、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択することとを含んでいてもよい。
【0050】
CTS_setとも呼ばれる試験設定候補の候補セットは、複数の試験設定候補のような、N_C個の試験設定候補を含んでいてもよい。試験設定候補はCTSとも呼ばれる。試験設定候補の個数N_Cは、少なくとも3であってもよい。1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、試験設定候補の個数N_Cは、少なくとも5であってもよく、又は20よりも大きくてもよい。言い換えると、試験設定候補の候補セットは、試験設定候補CTS_i、i=1,2、...、N_Cを含み、ここでiは候補セットの試験設定候補のインデックスである。試験設定候補の個数N_Cは、聴覚装置パラメータの個数Mに依存してもよく、例えば、N_Cは、3Mよりも大きくてもよく、4Mよりも大きくてもよく、又は5Mよりも大きくてもよい。試験設定候補CTS_iは、聴覚装置のためのM個の聴覚装置パラメータを含むベクトルである。試験設定候補CTS_iの聴覚装置パラメータは、フィルタ係数、コンプレッサ設定、ゲイン、又は聴覚装置の動作又は聴覚装置における信号処理に関連する他のパラメータのうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0051】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、各試験設定候補について不確定性パラメータを決定することは、一次試験設定とそれぞれの試験設定候補との間の相互情報量Iを決定することを含んでいてもよい。言い換えると、UP_iはi=1,2、...、N_Cに対するCTS_iに対して決定され、UP_i=I(x_ref,CTS_i)によって与えられる。不確定性パラメータUP_iは次のように与えられる。
【数20】
ここで、x
refは、現行の試行における一次試験設定であり、R
1
n-1は、以前の試行T_1~T_n-1に対するユーザ応答である。
【0052】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、各試験設定候補について不確定性パラメータを決定することは、試験設定候補のうちの1つ又は複数、例えば各々に対して、予測器を適用することを含む。言い換えると、予測器は、試験設定候補CTS_i、i = 1,2、...、N_Cの各々に適用されてもよい。P_U又はPuとも呼ばれる予測器は、ユーザ応答分布であってもよい。予測器は、以前のユーザ応答及び試行に基づいて更新されたポステリアに基づいてもよい。
【0053】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、予測器は、重み付き分布関数である。
【0054】
例えば、予測器P
uは、次のように与えられる。
【数21】
ここで、wは重み付き関数/分布であり、r
nは、ユーザ応答である。
【0055】
例えば、予測器P
uは、重み付き分布であってもよく、ここで、重み付き分布は、例えば、θ,Λの両方の1つ又は複数の、事後分布である。したがって、予測器P
uは次で与えられる。
【数22】
【0056】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択することは、最大の不確定性パラメータを有する試験設定候補を二次試験設定として選択することを含む。言い換えれば、二次試験設定は、モデルが最大の不確定性を有するか、又はユーザモデルが最も正確でないような候補セット内の試験設定候補として選択されてもよく、その結果、ユーザインタラクションをほとんど伴わないユーザモデルについての聴覚装置パラメータの高速な最適化及び/又は学習がもたらされる。
【0057】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、試験設定候補の候補セットを取得することは、ユーザ選好関数の聴覚装置パラメータの事後分布などの事後分布をサンプリングすることによって、第1の試験設定候補を取得することを含む。試験設定候補の候補セットを取得することは、ユーザ選好関数の聴覚装置パラメータの事後分布などの事後分布をサンプリングすることによって、候補セットの試験設定候補を取得することを含んでいてもよい。
【0058】
試験設定候補の候補セットを取得することは、事後分布に基づいて1つ又は複数の試験設定候補を生成することを含んでいてもよい。事後分布は、最適な聴覚装置パラメータの周辺事後分布であってもよい。
【0059】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェントでは、試験設定候補の候補セットを取得することは、正確な事後分布から、例えばMonte-Carloシミュレーションに基づくサンプル事後分布から、又は近似的な事後分布から、サンプリングすることを含んでいてもよい。
【0060】
試験設定候補の候補セットを取得することは、以下に従って試験設定候補を生成することを含んでいてもよい。
【数23】
【0061】
言い換えれば、試験設定候補は、最適な聴覚装置パラメータの周辺事後分布に従って生成されてもよい。
【0062】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、フィッティングエージェントは、停止基準が満たされるかどうかを判定するように構成され、停止基準が満たされるという判定に従って、更新されたユーザモデルに基づいて、聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新する。停止基準は、ユーザモデルが有用な聴覚装置パラメータを提供するのに十分に正確であるかどうかを評価する。言い換えれば、ユーザモデルがユーザ選好の十分に高い確定性を提供すると判定された場合に、停止基準は満たされてもよい。
【0063】
更新されたユーザモデルに基づいて聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新することは、一次又は二次試験設定についてのユーザ選好を取得することと、観察されたユーザ応答及び試験設定に基づいて事後分布を更新することとを含んでいてもよい。次いで、聴覚装置パラメータは、最大事後推定を使用して、又は代替的に事後平均又は中央値として、決定されてもよい。言い換えれば、聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新することは、最大事後推定、事後平均推定、及び事後中央値推定のうちの1つを適用することによって、聴覚装置パラメータを決定することを含んでいてもよい。
【0064】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、フィッティングエージェントは、ユーザモデルの各更新後に、聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新するように構成される。
【0065】
聴覚装置パラメータを更新することは、ユーザ選好関数の最大事後推定値、事後平均、又は事後中央値に基づいて、更新された聴覚装置パラメータを決定することを含んでいてもよい。
【0066】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新することは、更新された聴覚装置パラメータをアクセサリ装置から聴覚装置に送信することを含む。
【0067】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、停止基準は、正規化された及び/又は重み付けされた情報ダイバージェンスなどのダイバージェンスに基づく。停止基準は、Kullback-Leibler(KL)ダイバージェンスに基づいてもよい。
【0068】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、KLダイバージェンスは、以下で与えられる。
【数24】
ここで、wは、φ上の重み付き分布である。D_nは、正規化された重み付きKLダイバージェンスであり、
【数25】
は、以下で与えられるKLダイバージェンスである。
【数26】
ここで、Pは、真のユーザ応答分布であり、Qは、フィッティングエージェントによって割り当てられたユーザ分布(P_Uであってもよい)であり、nは、実行される試行の回数である。
【0069】
停止基準は、ダイバージェンスパラメータ、例えば、上記で与えられたようなKLダイバージェンスに基づいてもよい。ダイバージェンスパラメータは、絶対的なダイバージェンス、及び/又は、以前のユーザモデルと更新されたユーザモデルとのダイバージェンスにおける、差分(Dn-1-Dn)又は比率(Dn/Dn-1)などの変化を示してもよい。言い換えれば、停止基準が満たされるかどうかを判定することは、ダイバージェンスパラメータを決定すること、及び任意選択で、ダイバージェンスパラメータが停止基準を満たすかどうか、例えば、ダイバージェンスパラメータが閾値未満であるかどうか、又はダイバージェンスパラメータが閾値より大きいかどうかを判定することを含んでいてもよい。したがって、停止基準は、1つ又は複数の閾値に基づいてもよい。
【0070】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、停止基準は、実行された試行の回数に基づく。例えば、フィッティングエージェントが10回の試行を行った場合に、停止基準が満たされてもよい。
【0071】
1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェント/方法では、フィッティングエージェントは、選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて予測器を更新するように構成される。言い換えれば、モデルを更新することは、一次試験設定、二次試験設定、並びに一次試験設定及びニ次試験設定の選好された試験設定に基づいて、ユーザ応答モデルを更新することを含んでいてもよい。
【0072】
フィッティングエージェントの機能の説明及び特徴は、方法にも適用され、その逆も同様であることに留意されたい。
【0073】
図1は、本開示によるフィッティングエージェントを有する聴覚システムの概要である。聴覚システムは、聴覚装置2と、アクセサリ装置4と、任意選択でサーバ装置/フィッティング装置5とを含む。聴覚装置2は、アクセサリ装置4と、および任意選択で対側聴覚装置(
図1には図示せず)と、(無線で)通信するためのトランシーバモジュール6を含む。トランシーバモジュール6は、アンテナ8及びトランシーバ10を含み、アクセサリ装置4への無線接続11を介して無線信号を受信及び/又は送信するように構成される。聴覚装置2は、第1のマイクロフォン入力信号14を提供するための第1のマイクロフォン12を含む1つ又は複数のマイクロフォンのセットと;1つ又は複数の聴覚装置パラメータに従って第1のマイクロフォン入力信号14を含む入力信号を処理し、入力信号に基づいて電気出力信号18を提供するためのプロセッサ16と;プロセッサ16に接続された任意選択のユーザインタフェース20と、電気出力信号18をオーディオ出力信号に変換するためのレシーバ22とを含む。
【0074】
アクセサリ装置4は、スマートフォンであり、タッチディスプレイ26を含むユーザインタフェース24と、プロセッサ(図示せず)と、メモリ(図示せず)とを含む。
【0075】
聴覚システム1において、フィッティングエージェント27は、アクセサリ装置4のメモリにインストールされたアプリケーションである。
【0076】
フィッティングエージェント27は、聴覚装置の聴覚装置パラメータを、最適化すること、決定すること、フィッティングすること、チューニングすること、およびモデル化することのうちの1つ又は複数のためのフィッティングエージェントである。フィッティングエージェント27は、ユーザ選好関数f(x;θ,Λ)を含むユーザモデルを初期化し;聴覚装置の一次試験設定x_refを取得し;聴覚装置の二次試験設定x_altを取得し;一次試験設定x_ref及び二次試験設定x_altを例えば無線接続11を介してユーザに提示し;一次試験設定x_ref又は二次試験設定x_altのいずれかの選好を示す選好された試験設定のユーザ入力Rを検出し;ユーザ選好関数f(x;θ,Λ)及び/又はユーザ応答モデル(ユーザ応答分布)のようなユーザモデルを、R、x_ref及びx_altのうちの1つ又は複数、例えば全てに基づく選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて更新するように構成される。
【0077】
フィッティングエージェント27では、二次試験設定を取得することは、試験設定候補CTS_i、i=1、2、...、N_C、の候補セットCTS_setを取得すること(ここでN_CはCTS_setにおける試験設定候補の個数である)と;各試験設定候補CTS_i、i=1、2、...、N_C、に対する不確定性パラメータUP_i及び/又は確定性パラメータCP_iを決定することと;試験設定候補の不確定性パラメータUP_i及び/又は確定性パラメータCP_i、i=1、2、...、N_C、に基づいて、試験設定候補の候補セットから二次試験設定x_altを選択することと、を含む。フィッティングエージェント27では、不確定性パラメータUP_i、i=1、2、...N_C、を決定することは、各試験設定候補のための重み付き分布関数である予測器またはポステリアを適用することを含む。
【0078】
フィッティングエージェント27は、ユーザ選好モデルが有するユーザの選好の知見が最小である試験設定候補を選択することによって、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択するように構成される。言い換えれば、フィッティングエージェント27は、任意選択で、最大の不確定性パラメータを有する試験設定候補を二次試験設定として選択することによって、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択するように構成される。1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェントでは、フィッティングエージェントは、各試験設定候補について確定性パラメータを決定し、最小の確定性パラメータを有する試験設定候補を二次試験設定として選択するように構成される。
【0079】
フィッティングエージェント27は、任意選択で、事後分布などの分布をサンプリングすることによって、例えば第1の試験設定候補を含む、1つ又は複数の試験設定候補などの試験設定候補の候補セットを取得するように構成される。したがって、フィッティングエージェント27では、試験設定候補の候補セットを取得することは、任意選択で、聴覚装置の最適パラメータの事後分布をサンプリングすることによって、単一の第1の試験設定候補及び/又は複数の第1の試験設定候補、たとえば少なくとも3つの試験設定候補を取得することを含む。
【0080】
フィッティングエージェント27は、任意選択で、停止基準が満たされているかどうかを判定し、停止基準が満たされているという判定に従って、更新されたユーザモデルに基づいて、例えば、更新された聴覚装置パラメータを無線接続11を介して聴覚装置に送信することによって、聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新するように構成される。停止基準は、任意選択で、Kullback-Leibler(KL)ダイバージェンスのような正規化された重み付き情報ダイバージェンスのようなダイバージェンスに基づく。例えば、ダイバージェンスが閾値未満である場合、又は現在の試行と前の試行との間のダイバージェンスの差が閾値未満である場合、又は現在の試行と前の試行との間のダイバージェンスの比率が閾値未満である場合に、停止基準が満たされてもよい。言い換えれば、フィッティングエージェント27は、任意選択で、ダイバージェンスが閾値よりも大きい場合に、試行を実行する(試験設定を決定および提示し、ユーザ応答を検出し、及びユーザモデルを更新する)ように構成される。1つまたは複数の例示的なフィッティングエージェントでは、例えば、アクセサリ装置4のユーザインタフェース26上の停止仮想ボタン(図示せず)のユーザ選択を検出することによって、ユーザが最適化を停止することを望むことを示すユーザ入力を提供する場合に、及び/又は、選好された試験設定のユーザ入力についての事前設定回数を満たす場合に、停止基準が満たされてもよい。
【0081】
フィッティングエージェント27は、任意選択で、選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて予測器を更新するように構成される。予測器を更新することは、重み付き関数及び/又はユーザ応答分布を更新することを含んでいてもよい。
【0082】
フィッティングエージェント27は、開始基準が満たされるという判定に従って、ユーザモデルの更新又は聴覚装置パラメータの最適化を実行するように構成されてもよい。開始基準は、例えばアクセサリ装置4上の仮想開始ボタン28のアクティブ化により、聴覚装置パラメータ最適化を開始することをユーザが望むことを示すユーザインタフェース20又はユーザインタフェース24上のユーザ入力が検出された場合に満たされてもよい。フィッティングエージェント27などの1つ又は複数の例示的なフィッティングエージェントでは、開始基準は、最後のユーザモデルの更新からの時間に基づく。例えば、フィッティングエージェント27は、少なくとも3ヶ月毎に、聴覚装置パラメータの最適化を実行するように構成されてもよい。開始基準は、ユーザ入力と、最後のモデルの更新からの時間との組み合わせに基づいてもよい。
【0083】
アクセサリ装置4を含む実施態様において、フィッティングエージェント27/アクセサリ装置4は、制御信号30を聴覚装置2に送るように構成することができ、制御信号30は、一次試験設定及び二次試験設定を示す。したがって、聴覚装置2は、それに応じて試験信号を出力することができる。
【0084】
聴覚装置2(プロセッサ16)は、任意選択で、レシーバ22を介して一次試験設定に従って一次試験信号を出力し、レシーバ22を介して二次試験設定に従って二次試験信号を出力するように構成される。
【0085】
フィッティングエージェント27(聴覚装置2(プロセッサ16)及び/又はアクセサリ装置4)は、例えば、ユーザインタフェース20上のユーザ入力を検出することによって、又はアクセサリ装置4のユーザインタフェース24上の一次仮想ボタン32(一次試験設定が選好される)及び二次仮想ボタン34(二次試験設定が選好される)のうちの1つのユーザ選択を検出することによって、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出するように構成される。
【0086】
フィッティングエージェント27は、例えば、ユーザインタフェースを含むスマートウォッチなどの二次アクセサリ装置から無線入力信号を受信することによって、一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出するように構成され得ることに留意されたい。これにより、より便利なユーザ入力が提供され、これにより、フィッティングエージェントのユーザフレンドリ性が向上する。
【0087】
アクセサリ装置4に実装されるフィッティングエージェント27は、一次試験設定、二次試験設定、及び選好された試験設定に基づいて、ユーザモデルを更新するように構成される。言い換えれば、フィッティングエージェントは、選好された試験設定についての聴覚装置パラメータに基づいてユーザモデルを更新するように構成される。ユーザモデルを更新することは、一次試験設定、二次試験設定、及び選好された試験設定に基づいて、ユーザ選好モデル及びユーザ応答モデルを更新することを含んでもよい。フィッティングエージェント27/アクセサリ装置4は、一次試験設定、二次試験設定、及び選好された試験設定を、サーバ装置5に送信するように構成されてもよい。サーバ装置5は、ユーザモデルを更新し、更新されたユーザモデルをフィッティングエージェント27/アクセサリ装置4に送信する。したがって、フィッティングエージェント27/アクセサリ装置4は、サーバ装置5から更新されたモデルを受信するように構成され得る。換言すれば、フィッティングエージェント27は、アクセサリ装置4と、聴覚装置2及びサーバ装置5のうちの1つ又は複数に分散されてもよい。したがって、フィッティングエージェント27は、アクセサリ装置4に実装された第1の部分27A、サーバ装置に実装された任意選択の第2の部分27B、及びプロセッサ16などの聴覚装置2に実装された任意選択の第3の部分27Cを含んでいてもよい。
【0088】
アクセサリ装置4を含む実施態様において、アクセサリ装置4は、例えば、停止基準が満たされているという判定に従って、制御信号32を聴覚装置2に送信するように構成されてもよく、制御信号38は、選好された試験設定の聴覚装置パラメータを示す。したがって、聴覚装置は、聴覚装置において、選好された聴覚装置パラメータを更新し、適用することが可能になる。
【0089】
図2は、ある環境41内のユーザ40とフィッティングエージェント27との間のインタラクションを示す。インデックスnでインデックス付けされたインタラクション又は試行ごとに、フィッティングエージェントは、一次試験設定x
n
ref及び二次試験設定x
n
altを生成し、例えば、一次試験設定及び二次試験設定に従っており、かつそれらを示す一次試験信号及び二次試験信号をそれぞれ出力するように聴覚装置を制御することによって、ユーザのための試験設定x
n
ref及びx
n
altを提示する(42)。ユーザは、2つの試験設定x
n
ref及びx
n
altを評価し、フィッティングエージェント27は、一次試験設定と二次試験設定のうちの選好された試験設定を示すユーザの応答Rnを受信し検出する(44)。フィッティングエージェントは、Rn、x
n
ref及びx
n
altに基づいて、ユーザモデルを更新し、n番目の試行の選好された試験設定をn+1番目の試行の一次試験設定x
n+1
refとして設定することによって、n+1番目の試行{x
n+1
ref;x
n+1
alt}を生成し、本明細書で説明するように二次試験設定x
n+1
altを決定し、ユーザのための試験設定x
n+1
ref及びx
n+1
altを提示する(46)。
【0090】
図3A~
図3Bは、本開示による例示的方法のフロー図である。方法100は、聴覚装置の聴覚装置パラメータを決定することなどの、最適化すること、決定すること、フィッティングすること、チューニングすること、及びモデリングすることのうちの1つ又は複数のための方法であり、方法は、ユーザモデルを初期化すること(S102)であって、ユーザモデルは、任意選択で、ユーザ選好関数及びユーザ応答モデルを含む、初期化すること(S102)と;例えば、聴覚装置2、アクセサリ装置4、及びサーバ装置5のうちの1つ又は複数において実装されるフィッティングエージェントを用いて、聴覚装置のための一次試験設定を取得すること(S104)と;聴覚装置のための二次試験設定を取得すること(S106)と;一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示すること(S107)と;一次試験設定又は二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定のユーザ入力を検出すること(S112)と;及び選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて、ユーザモデルを更新すること(S114)とを含む。ユーザモデルを更新すること(S114)は、任意選択で、ユーザモデルの予測器/ユーザ応答モデルを更新すること(S120)を含む。
【0091】
方法100は、任意選択で、停止基準が満たされるかどうかを判定すること(S116)と、例えばフィッティングエージェントに関して上述したように、更新されたモデルに従って聴覚装置の聴覚装置パラメータを更新すること(S118)とを含む。方法100は、任意選択で、ユーザモデルが十分に更新されていない(停止基準が満たされていない)と判定された場合、すなわち、ユーザ選好関数の正確かつ精密なモデリングのために、試験設定に関するさらなる試行及びユーザ入力が所望されるか、又は必要とされる場合、S104に進む。
【0092】
方法100では、二次試験設定を取得すること(S104)は、試験設定候補の候補セット、例えば、少なくとも5個又は少なくとも20個、例えば、少なくともαN_Cの試験設定候補の候補セットを取得すること(S130)であって、N_Cは、最適化されるべき聴覚装置パラメータの個数であり、αは、任意選択で3よりも大きい、取得すること(S130)と;各試験設定候補について、不確定性パラメータ及び/又は確定性パラメータを決定すること(S134)と;及び試験設定候補の不確定性パラメータ及び/又は確定性パラメータに基づいて、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択すること(S138)、を含む。
【0093】
不確定性パラメータ及び/又は確定性パラメータを決定すること(S134)は、各試験設定候補に対して予測器を適用すること(S136)を含んでいてもよく、及び/又は、試験設定候補の候補セットから二次試験設定を選択すること(S138)は、不確定性パラメータが最も大きい試験設定候補、又は、確定性パラメータが最も小さい試験設定候補を、二次試験設定として選択すること(S140)を含んでもよい。
【0094】
方法100では、一次試験設定及び二次試験設定をユーザに提示すること(S107)は、任意選択で、一次試験設定に従って一次試験信号を出力すること(S108)、及び/又は、二次試験設定に従って二次試験信号を出力すること(S110)を含む。本開示に基づくフィッティングエージェント及び方法の例は、以下の項目に記載されている。
[1]聴覚装置の聴覚装置パラメータを最適化するためのフィッティングエージェントであって、
前記フィッティングエージェントは:
ユーザ選好関数及びユーザ応答分布を含むユーザモデルを初期化し;
前記聴覚装置の一次試験設定を取得し;
前記聴覚装置の二次試験設定を取得し;
前記一次試験設定と前記二次試験設定とをユーザに提示し;
前記一次試験設定又は前記二次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定についてのユーザ入力を検出し;及び
前記選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて前記ユーザモデルを更新するように構成されており、
前記二次試験設定を取得することは:
試験設定候補の候補セットを取得することと;
各試験設定候補に対する不確定性パラメータを決定することと;
前記試験設定候補の前記不確定性パラメータに基づいて、前記試験設定候補の候補セットから前記二次試験設定を選択することと、を含む、フィッティングエージェント。
[2]各試験設定候補について不確定性パラメータを決定することは、各試験設定候補に対して予測器を適用することを含む、[1]に記載のフィッティングエージェント。
[3]前記予測器は、重み付き分散関数である、[2]に記載のフィッティングエージェント。
[4]前記試験設定候補の候補セットから前記二次試験設定を選択することは、最大の不確定性パラメータを有する前記試験設定候補を前記二次試験設定として選択することを含む、[1]~[3]のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
[5]試験設定候補の候補セットを取得することは、事後分布をサンプリングすることによって第1の試験設定候補を取得することを含む、[1]~[4]のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
[6]前記フィッティングエージェントは、停止基準が満たされるかどうかを判定するように構成され、
前記停止基準が満たされるという判定に従って、前記更新されたユーザモデルに基づいて、前記聴覚装置の前記聴覚装置パラメータを更新する、[1]~[5]のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
[7]前記停止基準は、Kullback-Leibler(KL)ダイバージェンスのような、正規化された重み付き情報ダイバージェンスに基づく、[6]に記載のフィッティングエージェント。
[8]前記フィッティングエージェントは、前記選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて、前記予測器を更新するように構成される、[2]に従属する[1]~[7]のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
[9]前記試験設定候補の候補セットが、少なくとも5つの試験設定候補を含む、[1]~[8]のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
[10]前記ユーザモデルは、第1の仮定及び第2の仮定に基づいており、前記第1の仮定は、前記ユーザ選好関数が、ユーザの選好を表すユニモーダル選好関数であることであり、前記第2の仮定は、前記ユーザが選好について不確定であり得ることである、[1]~[9]のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
[11]前記ユーザ選好関数f(x,Λ,Θ)は、
f(x,Λ,Θ)=-((x-Θ)TΛ(x-Θ))sで表され、
ここで、xは、装置の(M)個の聴覚装置パラメータを表す超立方体[0,1]M内のM次元ベクトルであり、Θは、fを最大化する引数であり、Λは聴覚装置パラメータの変化に対するユーザ感度を特徴付ける正定値M×Mスケーリング行列であり、Mは整数であり、sは、0.01から0.99までの範囲の実数の指数である、[1]~[10]のいずれかに記載のフィッティングエージェント。
[12]聴覚装置の聴覚装置パラメータを決定する方法であって、
前記方法は:
ユーザ選好関数を含むユーザモデルを初期化することと;
前記聴覚装置の一次試験設定を取得することと;
前記聴覚装置の二次試験設定を取得することと;
前記一次試験設定及び前記二次試験設定をユーザに対して提示することと;
前記1次試験設定又は前記2次試験設定のいずれかに対する選好を示す選好された試験設定についてのユーザ入力を検出することと;
前記選好された試験設定の聴覚装置パラメータに基づいて前記ユーザモデルを更新すること、とを含んでおり、
前記二次試験設定を取得することは:
試験設定候補の候補セットを取得することと;
各試験設定候補に対する不確定性パラメータを決定することと;
前記試験設定候補の前記不確定性パラメータに基づいて、前記試験設定候補の候補セットから前記二次試験設定を選択することと、を含む、方法。
【0095】
用語「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などの使用は、いかなる特定の順序も意味しないが、個々の要素を識別するために含まれる。さらに、「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などの用語の使用は、いかなる順序又は重要性も示さず、むしろ、「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などの用語は、1つの要素を互いに区別するために使用される。単語「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などは、ラベル付けの目的のためだけに本明細書及び他の場所で使用され、いかなる特定の空間的順序又は時間的順序も示すことを意図しないことに留意されたい。
【0096】
メモリは、バッファ、フラッシュメモリ、ハードドライブ、リムーバブルメディア、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は他の適切な装置のうちの1つ又は複数であり得る。典型的な構成では、メモリは、長期データ記憶のための不揮発性メモリと、プロセッサのためのシステムメモリとして機能する揮発性メモリとを含み得る。メモリは、データバスを介してプロセッサとデータを交換することができる。メモリは、一時的でないコンピュータ可読媒体と考えることができる。
【0097】
メモリは、メモリの一部に情報を記憶するように構成してもよい。
【0098】
さらに、第1の要素のラベル付けは、第2の要素の存在を意味せず、その逆も同様である。
【0099】
図1~
図3Bは、実線で示されるいくつかのモジュール又は動作と、破線で示されるいくつかのモジュール又は動作とを含むことを理解されたい。実線に含まれるモジュール又は動作は、最も広い例示的な実施形態に含まれるモジュール又は動作である。破線に含まれるモジュール又は動作は、実線の例示的な実施形態のモジュール又は動作に加えて採用されてもよい、さらなるモジュール又は動作に含まれてもよい、又はその一部であってもよい、例示的な実施形態である。これらの動作は、提示された順序で実行される必要はないことを理解されたい。さらに、動作のすべてが実行される必要はないことを理解されたい。例示的な動作は、任意の順序で、及び任意の組合せで実行され得る。
【0100】
「含む(comprising)」という語は、列挙されたもの以外の他の要素又はステップの存在を必ずしも除外しないことに留意されたい。
【0101】
要素に先行する用語「a」又は「an」は、そのような要素が複数存在することを排除するものではないことに留意されたい。
【0102】
さらに、いかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定せず、例示的な実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアの両方によって少なくとも部分的に実装されてもよく、いくつかの「手段」、「ユニット」又は「装置」は、ハードウェアの同じアイテムによって表されてもよいことに留意されたい。
【0103】
本明細書で説明される様々な例示的な方法、装置、及びシステムは、方法ステッププロセスの一般的なコンテキストで説明され、方法ステッププロセスは、一態様では、ネットワーク化された環境内のコンピュータによって実行される、プログラムコードなどのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ可読媒体で実施されるコンピュータプログラム製品によって実装され得る。コンピュータ読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)などを含むが、これらに限定されない、取り外し可能及び非取り外し可能記憶装置を含むことができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み得る。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示する方法のステップを実行するためのプログラムコードの例を表す。
【0104】
特徴が示され、説明されたが、それらは、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載された発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正がなされ得ることが、当業者に明らかにされることが理解されるであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替物、変更物、及び均等物を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0105】
1 聴覚装置システム
2 聴覚装置
4 アクセサリ装置
5 サーバ装置
6 トランシーバモジュール
8 アンテナ
10 トランシーバ
11 聴覚装置とアクセサリ装置との間の無線接続
11A アクセサリ装置とサーバ装置との間の無線接続
12 第1のマイクロフォン
14 第1のマイクロフォン入力信号
16 プロセッサ
18 電気出力信号
20 ユーザインタフェース
22 レシーバ
24 アクセサリ装置のユーザインタフェース
26 タッチディスプレイ
27 フィッティングエージェント
27A フィッティングエージェントの第1の部分
27B フィッティングエージェントの第2の部分
27C フィッティングエージェントの第3の部分
28 スタートボタン
30 一次及び二次試験設定を示す制御信号
32 一次仮想ボタン
34 二次仮想ボタン
38 選好された試験設定の聴覚装置パラメータを示す制御信号
40 ユーザ
42 n番目の試行における、試験設定xn
ref及びxn
alt
44 n番目の試行に対するユーザ応答
46 n+1番目の試行における、試験設定xn+1
ref及びxn+1
alt
100 聴覚装置の聴覚装置パラメータを決定する方法
S102 ユーザモデルを初期化すること
S104 一次試験設定の取得
S106 二次試験設定の取得
S107 一次試験設定及び二次試験設定のユーザへの提示
S108 一次試験信号の出力
S110 二次試験信号の出力
S112 ユーザ入力の検出
S114 ユーザモデルの更新
S116 停止基準を満たすかどうかの判定
S118 聴覚装置パラメータの更新
S120 予測器の更新
S130 候補セットの取得
S132 第1の試験設定候補の取得
S134 不確定性パラメータの決定
S136 試験設定候補ごとの予測器の適用
S138 二次試験設定の選択
S140 不確定性パラメータが最大である試験設定候補の選択
【外国語明細書】