(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132238
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】撮像レンズ、および撮像レンズ用鏡筒
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20220831BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20220831BHJP
【FI】
G02B7/02 H
G03B30/00
G02B7/02 A
G02B7/02 D
G02B7/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030514
(22)【出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】63/154283
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 滋
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA18
2H044AC01
2H044AD01
2H044AG01
2H044AJ04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機器のさらなる薄型化に対応するとともに、ゴーストやフレアを低減させた性能の高い撮像レンズを提供する。
【解決手段】開口絞り101と、複数のレンズと、鏡筒102と、を備えた撮像レンズ100であって、開口絞りは、最も物体側に位置する第1レンズ111の物体側に配置されており、光軸方向から見たとき光軸を中心とする円に沿った一対の円形部101bと、光軸を中心に離間した2本の平行線に沿った一対の非円形部101cとが互いの端点で連接された形状であり、開口部101aの第1レンズに対向する先端部EPは、第1レンズの物体側のレンズ面に倣うように、全周にわたって、0.1mm以下の隙間kを維持し且つ非接触に配置されている撮像レンズ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射瞳を構成する開口部を有する開口絞りと、
複数のレンズと、
前記開口絞りおよび前記複数のレンズを収納する鏡筒と、
を備えた撮像レンズであって、
前記開口絞りは、前記複数のレンズのうち最も物体側に位置する第1レンズの物体側に配置されており、
光軸方向から見たときの前記開口部の形状は、光軸を中心とする円に沿った一対の円形部と、光軸を中心に離間した2本の平行線に沿った一対の非円形部とが互いの端点で連接された形状であり、
前記開口部の前記第1レンズに対向する先端部は、前記第1レンズの物体側のレンズ面に倣うように、少なくとも一部の領域(周領域)において全周にわたって、0.1mm以下の隙間を維持し且つ非接触に配置されている撮像レンズ。
【請求項2】
開口絞りと、
複数のレンズと、前記複数のレンズの間に少なくとも1枚の第1遮光板が配置された前群と、
少なくとも1枚のレンズで構成された後群と、
前記開口絞り、前記前群および前記後群を収納する鏡筒と、を備えた撮像レンズであって、
前記前群と前記後群との間には、スペーサおよび前記スペーサより物体側に位置する第2遮光板の組が単一または複数組配置されるとともに、
前記スペーサの内径は、前記第2遮光板の内径よりも大きい撮像レンズ。
【請求項3】
複数のレンズを備えた前群と、
少なくとも1枚のレンズを備えた後群と、
前記前群および前記後群を収納する鏡筒と、を備えた撮像レンズであって、
前記鏡筒の内周には、前記前群を光軸方向に保持する、光軸と垂直な受け面1、および
前記後群を光軸方向に保持する、光軸と垂直な受け面2とが、光軸に突出するよう形成されており、
前記前群と前記受け面1との間、または、前記後群と前記受け面2との間、またはその両方に遮光板を備える撮像レンズ。
【請求項4】
物体側から順に、前群と、後群と、で構成された撮像レンズであって、
前記前群は、第1の鏡筒と、前記第1の鏡筒内に接着固定された第1レンズと、を有し
前記後群は、第2の鏡筒と、前記第2の鏡筒内で物体側に配置された第2レンズと、前記第2レンズの像側に配置された少なくとも2枚のレンズと、を有し、
前記第1の鏡筒と前記第2の鏡筒との間には光軸と直交する方向に、0.01mm以上のクリアランスを有しており、
前記クリアランス内で前記前群と前記後群との光軸合わせを行うよう構成した撮像レンズ。
【請求項5】
開口絞りと、
少なくとも4枚のレンズと、
前記レンズ間に配置された少なくとも一つの遮光部材と、
前記開口絞り、前記レンズ、前記遮光部材を収納する鏡筒と、
を備えた撮像レンズであって、
前記開口絞り、前記レンズ、前記遮光部材、および前記鏡筒の外形部は、
互いに平行な一対の平坦面を有しており、
前記一対の平坦面は光軸と対称な位置関係にある撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される携帯端末には、カメラ機能が不可欠になっている。
近年では、一つの製品に、2眼レンズや、3眼レンズといった複数のレンズが搭載されるようになった。例えば、2眼レンズの場合、一つを広角撮影用レンズとし、他方を望遠撮影用レンズとすれば、双方の画像をリアルタイムに撮影しながら所望の画像を切り替えることができる。このように、複数のレンズを搭載することで様々な撮影シーンを楽しめるため、ユーザーの利便性が高まっている。これらのカメラは、薄型化された機器に適用するため、光の入射面から撮像素子までの距離、すなわち光学全長を短くすることが望まれる。しかし、特に望遠カメラの場合、光学全長を短縮することに技術的な困難が伴っている。その解決手段として、撮像レンズを横置きにして、被写体側にプリズムを組み合わせた、いわゆるペリスコープ(Periscope)型のカメラモジュールが提案されるようになった。
【0003】
ペリスコープ型レンズに関しては、例えば、以下の特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1には、物体側から順に、プリズムと、開口絞りと、4枚のレンズが光軸に沿って鏡筒に収納されたレンズ組品と、プリズムと、撮像素子とで構成された撮像レンズが開示されている。
【0005】
特許文献1の撮像レンズは、鏡筒及び鏡筒に収納されるレンズが光軸を中心とした回転対象の円形状になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開20190243112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のレンズ構成は、プリズムを用いることでレンズを横置きにできるため、たとえ長い光学全長を有する光学系であっても、薄型の機器に内蔵するのを容易にしている。
【0008】
しかし、構成部品が円形状であるため、光軸に直行する側のサイズは外径に依存し、それ以上の薄型への対応には限界がある。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、機器のさらなる薄型化に対応するとともに、ゴーストやフレアを低減させた性能の高い撮像レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明による撮像レンズは、入射瞳を構成する開口部を有する開口絞りと、複数のレンズと、前記開口絞りおよび前記複数のレンズを収納する鏡筒と、を備えた撮像レンズであって、前記開口絞りは、前記複数のレンズのうち最も物体側に位置する第1レンズの物体側に配置されており、光軸方向から見たときの前記開口部の形状は、光軸を中心とする円に沿った一対の円形部と、光軸を中心に離間した2本の平行線に沿った一対の非円形部とが互いの端点で連接された形状であり、前記開口部の前記第1レンズに対向する先端部は、前記第1レンズの物体側のレンズ面に倣うように、少なくとも一部の領域(周領域)において全周にわたって、0.1mm以下の隙間を維持し且つ非接触に配置されて構成される。
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明による撮像レンズは、開口絞りと、複数のレンズと、前記複数のレンズの間に少なくとも1枚の第1遮光板が配置された前群と、少なくとも1枚のレンズで構成された後群と、前記開口絞り、前記前群および前記後群を収納する鏡筒と、を備えた撮像レンズであって、前記前群と前記後群との間には、スペーサおよび前記スペーサより物体側に位置する第2遮光板の組が単一または複数組配置されるとともに、前記スペーサの内径は、前記第2遮光板の内径よりも大きく設定された構成を含む。
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明による撮像レンズは、複数のレンズを備えた前群と、少なくとも1枚のレンズを備えた後群と、前記前群および前記後群を収納する鏡筒と、を備えた撮像レンズであって、前記鏡筒の内周には、前記前群を光軸方向に保持する、光軸と垂直な受け面1、および前記後群を光軸方向に保持する、光軸と垂直な受け面2とが、光軸に突出するよう形成されており、前記前群と前記受け面1との間、または、前記後群と前記受け面2との間、またはその両方に遮光板を備える構成を含む。
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明による撮像レンズは、物体側から順に、前群と、後群と、で構成された撮像レンズであって、前記前群は、第1の鏡筒と、前記第1の鏡筒内に接着固定された第1レンズと、を有し前記後群は、第2の鏡筒と、前記第2の鏡筒内で物体側に配置された第2レンズと、前記第2レンズの像側に配置された少なくとも2枚のレンズと、を有し、前記第1の鏡筒と前記第2の鏡筒との間には光軸と直交する方向に、0.01mm以上のクリアランスを有しており、前記クリアランス内で前記前群と前記後群との光軸合わせを行う構成を含む。
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明による撮像レンズは、開口絞りと、少なくとも4枚のレンズと、前記レンズ間に配置された少なくとも一つの遮光部材と、前記開口絞り、前記レンズ、前記遮光部材を収納する鏡筒と、を備えた撮像レンズであって、前記開口絞り、前記レンズ、前記遮光部材、および前記鏡筒の外形部は、互いに平行な一対の平坦面を有し、前記一対の平坦面は光軸と対称な位置関係にある構成を含む。
【発明の効果】
【0015】
機器のさらなる薄型化に対応するとともに、ゴーストやフレアを低減させた性能の高い撮像レンズを提供するこができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1の撮像レンズの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1の物体側から見た正面図及び2方向から見た断面図である。
【
図3】本発明の実施例1の開口絞りを示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例2の撮像レンズの概略構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施例2の撮像レンズの上面図、及び断面図である。
【
図8】本発明の実施例3の撮像レンズの概略構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施例3の撮像レンズの上面図、及び断面図である。
【
図11】本発明の実施例4の撮像レンズの概略構成を示す斜視図である。
【
図12】本発明の実施例4の撮像レンズの上面図、及び断面図である。
【
図13】本発明の実施例4の前群と後群の分解斜視図である。
【
図14】本発明の実施例5の撮像レンズの上面図、及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1から
図4はそれぞれ、本発明の実施形態の実施例1に係る撮像レンズ100の概略構成図を示している。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の撮像レンズ100の外観は、互いに一対の平坦な面を有しており、この平坦面は光軸Xと対称な位置関係に形成されている。
【0020】
図2に示すように、撮像レンズ100は、物体側に入射瞳EPを構成する開口部101aを有する開口絞り101と、第1レンズ111,第2レンズ112,第3レンズ113,第4レンズ114と、開口絞り101及び各レンズを収納する鏡筒102と、を備えている。
【0021】
開口絞り101は、最も物体側に位置する第1レンズ111の物体側に配置されている。
【0022】
開口部101aの形状は、光軸Xの方向から見たとき、光軸Xを中心とする円に沿った一対の円形部101bと、光軸Xを中心に離間した2本の平行線に沿った一対の非円形部101cとが互いの端点で連接されている。
【0023】
開口部101aには、第1レンズ111に対向する先端部EPが形成されている。先端部EPは、入射瞳として機能する。先端部EPは、第1レンズ111の物体側のレンズ面に倣うように、少なくとも一部の領域(周領域)において、0.1mm以下の隙間kを維持し、第1レンズ111の物体側のレンズ面に非接触に形成されている。
【0024】
ここで、先端部EPと第1レンズ111の物体側のレンズ面との隙間kは、第1レンズ111の物体側のレンズ面に倣うよう、全周にわたって形成することが望ましい。
【0025】
さらに、隙間kは0.05mm以下とすることが望ましい。
【0026】
このように、入射瞳と第1レンズ111の物体側のレンズ面との隙間kを一定の範囲に規定することで、レンズ系に入射する不要光を抑制することができる。従って、ゴーストやフレアの抑制が可能になる。
【0027】
また、上記構成の撮像レンズ100において、第1レンズ111と第2レンズ112の間、第2レンズ112と第3レンズ113との間、第3レンズ113と第4レンズ114との間にはそれぞれ、遮光板121,122,123,124が配置されている。また、第3レンズ113と第4レンズ114との間には、遮光板123、124に挟まれてレンズスペーサ125が配置されている。
【0028】
このようにレンズ間に遮光版を配置することで、ゴーストやフレアの抑制効果が高まり、画質の向上を図ることができる。
【0029】
また、
図4に示すように、それぞれのレンズ111,112,113,114、それぞれの遮光板121,122,123,124、およびレンズスペーサ125の外形部の形状、および開口部を有する遮光板、およびレンズスペーサの開口部の形状は、光軸Xの方向から見たとき、光軸Xを中心とする円形部と、互いに平行な一対の平坦面を有し、一対の平坦面は光軸と対称な位置関係に形成されている。
【0030】
また、鏡筒102の外形部、および内周部も互いに平行な一対の平坦面を有し、前記一対の平坦面は光軸と対称な位置関係に形成されている。
【0031】
また、上記構成の撮像レンズ100においては、開口絞り101の円形部101bの直径をA、非円形部101cの平行部間の距離をBとしたとき、以下の条件式を満足する。
1.05<A/B<1.30
【0032】
また、上記構成の撮像レンズ100においては、複数のレンズの外形部における円形部の大きさは、最大直径Gmaxから、最小直径Gminまで徐々に径が小さくなっており、複数のレンズの外形部における互いに平行な一対の平坦面の面間距離は、最大値H maxから最小値H minまで徐々に距離が小さくなっているとともに、以下の条件式を満足する。
1.0≦G max/G min ≦1.30
1.0≦D max/D min ≦1.30
【0033】
上述した条件を満足することで、撮像レンズの光軸に直交する方向の高さが低くできるため、ペリスコープ型の撮像レンズに好適に適用できる。
【0034】
[第2実施形態]
図5から
図7はそれぞれ、本発明の実施形態の実施例2に係る撮像レンズ200の概略構成図を示している。
【0035】
図5に示すように、本実施形態の撮像レンズ200の外観は、互いに一対の平坦な面を有しており、この平坦面は光軸Xと対称な位置関係に形成されている。
【0036】
図6の断面図に示すように、撮像レンズ200は、開口絞り201と、複数のレンズ202、203,204,205と、複数のレンズの間に少なくとも1枚の第1遮光板206が配置された前群210と、少なくとも1枚のレンズで構成された後群220と、開口絞り201、前群210および後群220を収納する鏡筒230と、を備えている。
【0037】
前群210と後群220との間には、スペーサ240および前記スペーサ240より物体側に位置する第2遮光板250の組が単一または複数組配置されている。
【0038】
スペーサ240の内径は、第2遮光板250の内径よりも大きく設定されている。
【0039】
また、前群210と後群220の光軸上の間隔は0.5mm以上である。
【0040】
スペーサ240の内周の形状は、像側に向かって広がる傾斜面が形成されている。なお、この傾斜面は2つの傾斜面が連接されて形成されていてもよい。
【0041】
第1遮光板206の表面の光線反射率は5%未満であることが望ましい。
【0042】
また、スペーサ240の内周部の傾斜面の面粗さRa(算術平均粗さ)に関して、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.0≦Ra≦0.5
【0043】
また、第2遮光板250の内径をLB、スペーサ240の内径をLSとしたとき、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.02mm≦LS-LB≦0.4mm
【0044】
なお、開口絞り201、レンズ202~205、遮光板206、250、スペーサ240および前記鏡筒230の外形部は、互いに平行な一対の平坦面を有し、前記一対の平坦面は光軸と対称な位置関係にある。
【0045】
このような構成を採ることで、ゴーストやフレアを低減させたペリスコープ型の撮像レンズに好適に適用できる。
【0046】
[第3実施形態]
図8から
図10はそれぞれ、本発明の実施形態の実施例2に係る撮像レンズ300の概略構成図を示している。
【0047】
図8に示すように、本実施形態の撮像レンズ300の外観は、互いに一対の平坦な面を有しており、この平坦面は光軸Xと対称な位置関係に形成されている。
【0048】
図9の断面図に示すように、撮像レンズ300は、複数のレンズ302、303、304、305を備えた前群310と、少なくとも1枚のレンズを備えた後群320と、前群310および後群320を収納する鏡筒330とを備えている。
鏡筒330の内周には、前群330を光軸方向に保持する光軸と垂直な受け面331、および後群を光軸方向に保持する光軸と垂直な受け面332とが形成されている。
【0049】
前群310の物体側(図面左側)には、前枠306が配置されており、前群310は前枠306によって鏡筒330の受け面331に狭着されて固定されている。
【0050】
前群310と受け面331との間、または、後群320と受け面332との間、またはその両方に遮光板340を備えている。
【0051】
また、鏡筒の外形部、および内周部は、光軸方向から見たとき、光軸を中心とする円筒部と、互いに平行な一対の平坦面を有し、前記一対の平坦面は光軸と対称な位置関係に形成されている。
【0052】
また、複数のレンズ302,303,304,305と、遮光板340の外形部の形状、および前記遮光板340の開口部の形状は、光軸方向から見たとき、光軸を中心とする円形部と、光軸光軸から同一距離で平行にカットされた非円形部が連接されて形成されている。
【0053】
また、受け面331と受け面332との光軸上の距離は0.5mm以上であることが望ましい。
【0054】
また、鏡筒の円筒部の内周において、受け面331から、受け面332に向かう内壁面は、像側(図面右側)に向かって広がる円錐面333が少なくとも一つ形成されていることが望ましい。
【0055】
また、円錐面333と光軸Xとのなす角度θsは1.5°以上であることが望ましい。
【0056】
また、開口絞り301は、第1レンズ302よりも物体側か、第3レンズ304よりも物体側に配置されていることが望ましい。
【0057】
このような構成を採ることで、ゴーストやフレアを低減させたペリスコープ型の撮像レンズに好適に適用できる。
【0058】
[第4実施形態]
図11から
図13はそれぞれ、本発明の実施形態の実施例4に係る撮像レンズ400の概略構成図を示している。
【0059】
図11に示すように、本実施形態の撮像レンズ400の外観は、互いに一対の平坦な面を有しており、この平坦面は光軸Xと対称な位置関係に形成されている。
【0060】
図12の断面図に示すように、撮像レンズ400は、物体側から順に、少なくとも1枚のレンズ401の前群410と、複数のレンズ421,422,423,424で構成された後群420と、で構成されている。
【0061】
前群410は、第1の鏡筒430と、第1の鏡筒430内に接着固定された第1レンズ401と、を有している。
【0062】
後群420は、第2の鏡筒440と、第2の鏡筒440内で物体側に配置された第2レンズ421と、第2レンズ421の像側に配置された少なくとも2枚のレンズ421、422と、を有している。なお、後群420は、レンズ423,424を含む4枚構成にしてもよい。
【0063】
第1の鏡筒430と前記第2の鏡筒440は、光軸Xと直交する方向に、クリアランスdを有している。このクリアランスd内で前記前群410と前記後群420との光軸合わせを行うようになっている。
【0064】
なお、クリアランスdは0.01mm~0.05mmの範囲であることが望ましい。
【0065】
また、第1の鏡筒430を前記第2の鏡筒440に挿入した際、外周部には隙間sが設けられており、光軸合わせ後にこの隙間sに接着剤を流して前群410と後群420を固定するようになっている。
【0066】
なお、第1の鏡筒430と第2の鏡筒440の接着に関しては、紫外線硬化性の接着剤、または80℃以上の温度で硬化する熱硬化性の接着剤で固定することが望ましい。
【0067】
また、第1レンズ401は、ガラス材料からなることが望ましい。
【0068】
第1レンズ401のガラス材料に関しては、d線における屈折率をNd1としたとき、以下の条件式を満足することが望ましい。
1.55<Nd1<1.65
【0069】
また、第1レンズ401の形状は、物体側が凸面のメニスカス形状とすることが望ましい。
【0070】
また、第1の鏡筒430には、入射瞳を構成する開口絞り431を有している。開口絞り431の開口部の形状は、光軸Xを中心とする円に沿った一対の円形部と、光軸Xを中心に離間した2本の平行線に沿った一対の非円形部とが互いの端点で連接された形状になっている。
【0071】
本実施形態においては、開口絞り431の円形部の直径をA、非円形部の平行部間の距離をBとしたときに、以下の条件式を満足することが望ましい。
1.20<A/B<1.40
本条件式を満足することでさらなる薄型化に対応することができる。
【0072】
第1レンズ401の像側の面は、第2レンズ421の物体側の面の外周部に形成されたコバ部に、遮光板450を介して載置されている。
【0073】
第2の鏡筒に収納されるレンズのうち、少なくとも2枚はプラスチック材料からなることが望ましい。
【0074】
このような構成を採ることで、ゴーストやフレアを低減させたペリスコープ型の撮像レンズに好適に適用できる。
【0075】
[第5実施形態]
図14、及び
図15は、本発明の実施形態の実施例5に係る撮像レンズ500の概略構成図を示している。
【0076】
図14の断面図に示すように、本実施形態の撮像レンズ500の外観は、互いに一対の平坦な面を有しており、この平坦面は光軸Xと対称な位置関係に形成されている。
【0077】
撮像レンズ500は、開口絞り501と、少なくとも4枚のレンズ502、503、504、505と、レンズ間に配置された少なくとも一つの遮光板515と、それらが収納される鏡筒520とを備えている。
【0078】
開口絞り501、レンズ502、503、504、505、遮光板515、および鏡筒520の外形部と内形部は、互いに平行な一対の平坦面を有しており、一対の平坦面は光軸と対称な位置関係に形成されており、平坦面以外は、光軸Xを中心とした円形状に形成されている。
【0079】
図14の上の断面図は、上記平坦面以外の円形状部の断面E-Eを示しており、下の断面図は、上記平坦面部における断面F-Fを示している。
【0080】
それぞれのレンズ外形部の円形状部と鏡筒520とのクリアランスs1は、0.01mm以下となる領域を有しており、それぞれのレンズ外形部の平坦面部と鏡筒520とのクリアランスs2は、0.01mm以上に設定されている。
【0081】
また、それぞれのレンズの外形部の円形状部は、像側に向かって小さくなる傾斜面が形成されていることが望ましい。
【0082】
このような構成を採ることで、一方向からの組み込みが可能であるとともに、各レンズに対する応力が低減するため、すべてのレンズの材料に安価なプラスチックを用いることが容易になる。
【0083】
また、このような構成を採ることで、ゴーストやフレアを低減させたペリスコープ型の撮像レンズに好適に適用できる。
【0084】
なお、第1実施形態から第5実施形態における「平坦面」とは、実質的に平坦であれば良く、製造工程における加工誤差による若干の凹凸等が存在する場合があっても本発明における平坦面に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明により、ゴーストやフレアが抑制されたペリスコープ型の撮像レンズを薄型化された機器に搭載することが容易である。
【符号の説明】
【0086】
[第1実施形態]
撮像レンズ 100
開口絞り 101
鏡筒 102
レンズ 111、112、113,114
遮光板 121、122、123、124
レンズスペーサ 125
[第2実施形態]
撮像レンズ 200
開口絞り 201
レンズ 202、203、204、205、220
前群 210
後群 220
鏡筒 230
第1遮光板 206
スペーサ 240
第2遮光板 250
[第3実施形態]
撮像レンズ 300
開口絞り 301
レンズ 302、303、304、305
前群 310
後群 320
鏡筒 330
受け面 331、332
前枠 306
遮光板 340
[第4実施形態]
撮像レンズ 400
レンズ 401、421、422、423、424
前群 410
後群 420
第1の鏡筒 430
第2の鏡筒 440
開口絞り 431
遮光板 450
[第5実施形態]
撮像レンズ 500
開口絞り 501
レンズ 502、503、504、505
遮光板 515
鏡筒 520
クリアランス s1、s2