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  • 特開-撮像レンズ用鏡筒および撮像レンズ 図1
  • 特開-撮像レンズ用鏡筒および撮像レンズ 図2
  • 特開-撮像レンズ用鏡筒および撮像レンズ 図3
  • 特開-撮像レンズ用鏡筒および撮像レンズ 図4
  • 特開-撮像レンズ用鏡筒および撮像レンズ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132239
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】撮像レンズ用鏡筒および撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220831BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20220831BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030515
(22)【出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】63/154285
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】設楽 雅季
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AD01
2H044AJ06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機器のさらなる薄型化に対応するとともに、ゴーストやフレアを低減させた性能の高い撮像レンズを提供する。
【解決手段】被写体側及び像側にそれぞれ開口部を有しており、像側の開口部は、内周側に突出した光軸に垂直なレンズ受け面を有しており、レンズ受け面の像側には、撮像素子の撮像面が内装される空間部Sを有するとともに、空間部の内壁面には、光軸を中心軸として楔状の突起が全周にわたって連続して形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズ用鏡筒であって、被写体側及び像側にそれぞれ開口部を有しており、前記像側の開口部は、内周側に突出した光軸に垂直なレンズ受け面を有しており、前記レンズ受け面の像側には、撮像素子の撮像面が内装される空間部を有するとともに、前記空間部の内壁面には、光軸を中心軸として楔状の突起が全周にわたって連続して形成されていることを特徴とする撮像レンズ用鏡筒。
【請求項2】
前記楔状の突起を構成する2つの傾斜面のなす角度をθrとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ用鏡筒。
30°≦θr≦120°
【請求項3】
前記楔状の突起の配列ピッチの角度をθpとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項2に記載の撮像レンズ用鏡筒。
0.1°≦θp≦5.0°
【請求項4】
前記空間部を構成する前記内壁面は、像側に向かって広がる円錐面を有しており、前記円錐面と光軸とのなす角度をθaとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項3に記載の撮像レンズ用鏡筒。
35°≦θa≦45°
【請求項5】
前記楔状の突起の頂部、および隣り合う突起の間の谷部にはR0.1以下のRが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の撮像レンズ用鏡筒。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載された撮像レンズ用鏡筒を用いたことを特徴とする撮像レンズ。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズ用の鏡筒およびその鏡筒を用いた撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される携帯端末には、カメラ機能が不可欠になっている。
近年では、一つの製品に、2眼レンズや、3眼レンズといった複数のレンズが搭載されるようになった。例えば、2眼レンズの場合、一つを広角撮影用レンズとし、他方を望遠撮影用レンズとすれば、双方の画像をリアルタイムに撮影しながら所望の画像を切り替えることができる。このように、複数のレンズを搭載することで様々な撮影シーンを楽しめるため、ユーザーの利便性が高まっている。これらのカメラは、薄型化された機器に適用するため、光の入射面から撮像素子までの距離、すなわち光学全長を短くすることが望まれる。しかし、特に望遠カメラの場合、光学全長を短縮することに技術的な困難が伴っている。その解決手段として、撮像レンズを横置きにして、被写体側にプリズムを組み合わせた、いわゆるペリスコープ(Periscope)型のカメラモジュールが提案されるようになった。
【0003】
ペリスコープ型レンズに関しては、例えば、以下の特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1には、物体側から順に、プリズムと、開口絞りと、4枚のレンズが光軸に沿って鏡筒に収納されたレンズ組品と、プリズムと、撮像素子とで構成された撮像レンズが開示されている。
【0005】
特許文献1の撮像レンズは、鏡筒及び鏡筒に収納されるレンズが光軸を中心回転対象の円形状になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開20190243112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のレンズ構成は、プリズムを用いることでレンズを横置きにできるため、たとえ長い光学全長を有する光学系であっても、薄型の機器に内蔵するのを容易にしている。
【0008】
しかし、構成部品が円形状であるため、光軸に直行する側のサイズは外径に依存し、それ以上の薄型への対応には限界がある。また、鏡筒内部で発生する反射光や迷光に対する対策が記載されていない。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、機器のさらなる薄型化に対応するとともに、ゴーストやフレアを低減させた性能の高い撮像レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明による撮像レンズ用鏡筒は、被写体側及び像側にそれぞれ開口部を有しており、前記像側の開口部は、内周側に突出した光軸に垂直なレンズ受け面を有しており、前記レンズ受け面の像側には、撮像素子の撮像面が内装される空間部を有するとともに、前記鏡筒の像側の端部は、前記撮像素子が密着する光軸に垂直な平面が形成されており、前記空間部の内壁面には、光軸を中心軸として楔状の突起が全周にわたって連続して形成されている。
【0011】
また、楔状の突起を構成する2つの傾斜面のなす角度をθrとしたとき、以下の条件式を満足することが望ましい。
30°≦θr≦120°
【0012】
また、楔状の突起の配列ピッチの角度をθpとしたときに、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.1°≦θp≦5.0°
【0013】
レンズ受け面の像側に位置する空間部を構成する内壁面は、像側に向かって広がる円錐面を有しており、円錐面と光軸とのなす角度をθaとしたとき、以下の条件式を満足することが望ましい。
35°≦θa≦45°
【0014】
また、楔状突起の頂部、および隣り合う突起の間に形成される谷部にはR0.1以下のRを形成することが望ましい。
【0015】
このように、撮像素子が内装される鏡筒の内壁部に全周にわたって楔状の突起を適切な形状に形成することで、当該部分で反射する不要光のパワーが抑制されるため、撮像素子に入射する不要光を抑制できる。
【0016】
鏡筒の外形部は、互いに平行な一対の平坦面を有し、前記一対の平坦面は光軸と対称な位置関係に構成される。したがって、被写体側にプリズムを配置することによって、撮像レンズを横置きに機器内に内蔵することができる。
【発明の効果】
【0017】
機器のさらなる薄型化に対応するとともに、ゴーストやフレアを低減させた性能の高い撮像レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の撮像レンズ用鏡筒の概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明の撮像レンズ用鏡筒の像側の空間部に形成された楔状突起の詳細形状を示す図である。
図3図2における側面図(上図)及びA-Aの断面図である。
図4】本発明の撮像レンズ用鏡筒を用いた撮像レンズを示す断面図である。
図5】本発明の撮像レンズ用鏡筒を用いた撮像レンズの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1から図3はそれぞれ、本発明の実施形態に係る撮像レンズ用鏡筒100の概略構成を示している。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の撮像レンズ用鏡筒100の外観は、互いに一対の平坦面101a、101bを有しており、この平坦面は光軸Xと対称な位置関係に形成されている。なお、平坦面以外は光軸Xを中心とする円形状に形成されている。
【0022】
撮像レンズ用鏡筒100の像側には、撮像素子(図示せず)が装着される空間Sが形成されており、空間Sの内壁面は全周にわたって楔状の突起が形成されている。
【0023】
また、楔状の突起を構成する2つの傾斜面のなす角度をθrとしたとき、30°≦θr≦120°の関係を満足するように形成されている。
【0024】
また、楔状の突起の配列ピッチの角度をθpとしたときに、0.1°≦θp≦5.0°を満足するよう形成されている。
【0025】
また、レンズ受け面の像側に位置する空間部を構成する内壁面は、像側に向かって広がる円錐面Cを有しており、円錐面Cと光軸Xとのなす角度をθaとしたとき、35°≦θa≦45°を満足するよう形成されている。
【0026】
また、楔状突起の頂部、および隣り合う突起の間に形成される谷部にはR0.1以下のRが形成されている。
【0027】
このように、撮像素子が内装される鏡筒の内壁部に全周にわたって楔状の突起を適切な形状に形成することで、当該部分で反射する不要光のパワーが抑制されるため、撮像素子に入射する不要光を抑制できる。
【0028】
図4は、撮像レンズ用鏡筒100を用いた一例として、撮像レンズ150の断面図を示しており、図4の下図が図2におけるA-A断面、上図が図2におけるA-A断面と直行する方向の断面図である。
【0029】
撮像レンズ150は、被写体側から像側に向かって順に、開口絞り120、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5が、撮像レンズ用鏡筒100に光軸Xに沿って配置された、5枚構成の撮像レンズの例である。
【0030】
各レンズ間には、遮光板121、122、123、124、125、126が配置されており、各遮光板によって不要光が遮光される構造になっている。
【0031】
また、第3レンズL3と第4レンズL4との間にはレンズスペーサLS1が、第4レンズL4と第5レンズL5との間にはレンズスペーサLS2が配置されており、レンズスペーサの厚みによって適切なレンズ間隔が設定されている。
【0032】
最も像側に位置する第5レンズL5は、その外周部のコバ部Pが撮像レンズ用鏡筒100の受け面Uに載置されている。そして最も被写体側に位置する開口絞り120を、像側に挿入することで第1レンズL1から第5レンズL5までの部材が撮像レンズ用鏡筒100に固定される。
【0033】
撮像レンズ用鏡筒100の受け面Uより像側には撮像素子SEを装着するための空間Sが形成されており、この内壁全周に形成された楔状突起によって、空間Sの内壁で発生する反射光のパワーを減衰させている。
【0034】
図5は、本実施形態の分解斜視図である。撮像レンズ用鏡筒100に収納される各部材は、平坦面101a、101bと平行になるようカットされた形状になっている。
【0035】
このような構成を採ることで、ゴーストやフレアを低減させたペリスコープ型の撮像レンズに好適に適用できる。
【0036】
なお、本実施形態における「平坦面」とは、実質的に平坦であれば良く、製造工程における加工誤差による若干の凹凸等が存在する場合があっても本発明における平坦面に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、ゴーストやフレアが抑制されたペリスコープ型の撮像レンズを薄型化された機器に搭載することが容易になる。
【符号の説明】
【0038】
撮像レンズ用鏡筒 100
平坦面 101a、101b
光軸 X
空間部 S
傾斜面 C
撮像レンズ 150
開口絞り 120
第1レンズ L1
第2レンズ L2
第3レンズ L3
第4レンズ L4
第5レンズ L5
遮光板 121、122、123、124、125、126
レンズスペーサ LS1、LS2
コバ部 P
受け面 U
撮像素子 SE
図1
図2
図3
図4
図5