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特開2022-132249多能性幹細胞の中腸内胚葉細胞への分化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132249
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】多能性幹細胞の中腸内胚葉細胞への分化
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/073 20100101AFI20220831BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20220831BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20220831BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
C12N5/073
C12N5/071
A61K35/545
A61P3/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094028
(22)【出願日】2022-06-10
(62)【分割の表示】P 2020084976の分割
【原出願日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/322,636
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】リーク,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レザニア,アリレザ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC12
4B065BA25
4B065BC12
4B065BD39
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZC35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中腸内胚葉細胞の細胞集団、及び腸管内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現している細胞を発生させる方法を提供する。また、糖尿病などの状態を治療する方法も提供する。
【解決手段】ヒト多能性幹細胞を培地中で培養し、中腸内胚葉細胞への分化を誘導することを含み、実質的に中腸内胚葉細胞の細胞集団が産生される、中腸内胚葉細胞集団の産生方法とする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト多能性幹細胞を培地中で培養し、中腸内胚葉細胞への分化を誘導することを含み、
実質的に中腸内胚葉細胞の細胞集団が産生される、中腸内胚葉細胞集団の産生方法。
【請求項2】
ヒト多能性幹細胞を培地中で培養し、中腸内胚葉細胞への分化を誘導することを含み、
前記分化細胞が中腸内胚葉細胞であり、前記中腸内胚葉細胞が単層を形成し、前記単層と
して維持する、中腸内胚葉細胞集団の産生方法。
【請求項3】
前記方法が、
a.GDF-8及びGSK3β阻害化合物を含む第1の培地中で前記ヒト多能性幹細胞
を培養し、胚体内胚葉細胞にする工程と、
b.アスコルビン酸及びFGF7を含む第2の培地中で前記胚体内胚葉細胞を培養し、
原始腸管細胞にする工程と、
c.レチノイン酸及びBMP2又はBMP4を含む第3の培地中で原始腸管細胞を培養
し、中腸内胚葉細胞にする工程と、を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中腸内胚葉細胞がCDX2及びFOXA2を発現する、請求項1又は請求項2に記
載の方法。
【請求項5】
前記中腸内胚葉細胞が、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5からなる群から
選択される転写因子を発現する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記中腸内胚葉細胞が、SOX2、ALB、PTF1A、HOXA13及びLGR5か
らなる群から選択される転写因子を発現しない、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記中腸内胚葉細胞が、培地中で単層を形成し、前記単層を維持する、請求項1に記載
の方法。
【請求項8】
前記細胞集団が間葉細胞を含まない、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞集団がHAND1を発現しない、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記分化がin vitroで誘導される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
ヒト多能性幹細胞を中腸内胚葉細胞に分化させる工程と、前記分化細胞を患者に移植す
る工程と、を含む、糖尿病に罹っている、又は糖尿病発症のリスクがある患者の治療方法
【請求項12】
前記移植された中腸内胚葉細胞をin vivoで分化させることを更に含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記糖尿病が1型又は2型である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記中腸内胚葉細胞が、in vivoで腸内分泌細胞に更に分化し、前記腸内分泌細
胞がインクレチンホルモンを分泌する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記インクレチンホルモンがGLP1及びGIPである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記中腸内胚葉細胞がCDX2及びFOXA2を発現する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記中腸内胚葉細胞が、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5からなる群から
選択される転写因子を発現する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記中腸内胚葉細胞が、SOX2、ALB、PTF1A、HOXA13及びLGR5か
らなる群から選択される転写因子を発現しない、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
培養液中の胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化を誘導することを含み、前記胚体内
胚葉細胞をアスコルビン酸及びFGF7を含む培地中で培養する、中腸内胚葉細胞の産生
方法。
【請求項20】
前記原始腸管細胞を、レチノイン酸及びBMP2又はBMP4を含む培地中で培養し、
中腸内胚葉細胞に分化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記培地が酸性である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記中腸内胚葉細胞が、培地中で単層を形成し、前記単層を維持する、請求項19に記
載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病などの状態のための細胞療法の分野に関する。特に、本発明は、中腸
内胚葉細胞集団を発生させるための、ヒト多能性幹細胞の分化誘導などの細胞分化に関す
る。本発明は、中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現している細胞又は細胞集団、及びそ
れらの産生方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
幹細胞及び内分泌細胞の両方のステージにおける、インクレチンホルモンの作用機構に
対する知識の増加は、腸への分化の理解の増加と連動して、生着に適するインクレチンホ
ルモン産生細胞源の開発への興味をもたらしている。1つのアプローチは、ヒト胚性幹細
胞(「hESC」)又は人工多能性幹細胞(「iPS」)などの多能性幹細胞からの、機
能性腸内分泌L-又はK-細胞の発生である。
【0003】
腸L細胞からのグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、又は、腸K細胞からのグルコ
ース依存性インスリン分泌ポリペプチド(GIP)の産生/分泌は、糖尿病の治療に有益
な効果を有する。インクレチンホルモンは、糖尿行(1型及び2型)の治療に有益な全身
作用を有する(Unger,J.,Curr Diab Rep.,2013;13(5
):663~668)。利点として、多くの性状のベータ(β)細胞機能及び数の増大、
グルカゴン分泌の抑制、末梢代謝組織のインスリン感受性の増加、肝糖新生の低下、及び
食欲の低下を挙げることができる。糖尿病の治療には、2種類のインクレチン系治療薬が
確認されている(GLP-1受容体アゴニスト及びジペプチジルペプチダーゼ4(DPP
-4)阻害剤)。しかし現在、改善されかつ効率的なGLP1系糖尿病治療のための、内
因性及び細胞性の指標を包含するインクレチン系細胞治療の選択肢がない。更に、現在の
インクレチン系治療は循環血糖値により調節されていないため、非生理学的に制御された
GLP産生がもたらされる。
【0004】
脊椎動物の胚発生では、多能性細胞は、原腸形成として知られるプロセスにおいて3つ
の胚葉(外胚葉、中胚葉、及び内胚葉)から構成される細胞群を生じる。間葉組織は中胚
葉由来であり、遺伝子の中でも、heart and neural crest de
rivatives expressed 1(HAND1)、forkhead bo
x F1(FOXF1)を特徴とする。例えば、甲状腺、胸腺、膵臓、腸、及び肝臓など
の組織は、内胚葉から中間ステージを経て発達する。このプロセスにおける中間ステージ
は、胚体内胚葉の形成である。原腸形成の終了までに、内胚葉は、内胚葉の前方前腸、後
方前腸、中腸、及び後腸領域を特異的に示す一連の因子の発現によって認識することがで
きる、前方-後方ドメインに分割される。
【0005】
Grapin-Botten et al.,Trends Genet,2000;
16(3):124~130に記載されるように、特定の転写因子(「TF」)の発現レ
ベルを用いて組織の同一性を表記できる。FOXA2は、内胚葉全体を前後軸に沿って特
徴付ける。原腸管への胚体内胚葉の形質転換中に、腸管は、制限された遺伝子発現パター
ンにより分子レベルで観察することができる広いドメインに領域化される。前方前腸は、
SOX2の高発現によって広範囲に特徴付けられ、甲状腺、肺、食道などの臓器ドメイン
を包含する。中腸(十二指腸、回腸、空腸を含む)及び後腸(結腸を含む)は、caud
al type homeobox 2(CDX2)の高発現によって特徴付けられる。
SOX2-CDX2の境界は後方前腸内に発生し、その内部で更なるTFが、特定の臓器
ドメインを特徴付ける。後方前腸内で領域化された膵臓ドメインは、PDX1の非常に高
い発現並びにCDX2及びSOX2の非常に低い発現を示す。PTF1Aは、膵臓組織で
高度に発現する。高CDX2発現と共に、低PDX1発現は十二指腸ドメインの特徴であ
る。腸内胚葉は、特定のホメオボックス(HOX)遺伝子によってパターン化される。例
えば、HOXC5は、中腸内胚葉細胞に優先的に発現される。また、HOXA13及びH
OXD13の発現は、後腸内胚葉細胞に限定される。ALB遺伝子、つまりアルブミン1
タンパク質は、後方前腸内胚葉中の最初期肝前駆細胞の特徴である(Zaret et
al.,Curr Top Dev Biol,2016;117:647~669)。
【0006】
ヒト多能性幹細胞から腸内胚葉細胞を発生させるためのプロトコールの改善において、
進歩がなされている。例えば、以下の公表文献(Spence et al.,Natu
re,2011;470(7332):105~109;Watson et al.,
Nature Medicine,2014;20(11):1310~1314;及び
Kauffman et al.,Front Pharmacol,2013;4(7
9):1~18)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)-4、Wingless-type
MMTV integration siteファミリー、3A(WNT3A)、Ch
iron 99021、又はレチノイン酸(RA)のいずれかを用いる分化プロトコール
と、CDX2/FOXA2内胚葉集団だけではなく、かなりの間葉系CDX2細胞
集団を含む中腸/後腸スフェロイドが発生する、胚体内胚葉ステージでのFGF7染色に
ついて概説している。これらhESC由来の中腸/後腸スフェロイドから腸内分泌細胞を
分化する工程は、非常に非効率で、長い期間が必要であり、絨毛間領域及び絨毛領域の全
ての種類の腸細胞を発生させるように識別化されずに誘導される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
細胞治療用の腸内分泌細胞を高効率で産生できるための、実質的に間葉細胞が混在する
ことがない、中腸内胚葉細胞を発生させる手法の必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具現化され十分に説明されるように、本発明は、細胞、細胞集団及び、ヒト多能性幹細
胞を分化させることによるその細胞の発生方法を提供する。特に、本発明は、中腸内胚葉
細胞、より具体的には中腸内胚葉細胞の内胚葉単層を発生させるヒト多能性幹細胞の分化
誘導を特徴とする。
【0009】
本発明の一態様は、培地中でヒト多能性幹細胞を培養することを含む、中腸内胚葉細胞
集団を産生する方法である。実施形態では、この方法は、ヒト多能性幹細胞を中腸内胚葉
細胞への分化を誘導することを含む。いくつかの実施形態では、中腸内胚葉細胞集団が産
生される。いくつかの実施形態では、実質的に中腸内胚葉細胞集団が産生される。本発明
の実施形態では、中腸内胚葉細胞は、培地中で単層を形成し、単層として安定である。実
施形態では、分化細胞の50%超が中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現し、好ましくは
分化細胞の60%超が中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現し、より好ましくは70%超
、80%超、及び90%超が中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現する。実施形態では、
中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現する分化細胞は、中腸内胚葉細胞である。実施形態
では、中腸内胚葉細胞は、CDX2及びFOXA2を発現する。全ての実施形態では、中
腸内胚葉細胞は、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5から選択される転写因子
を発現する。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、SOX2、ALB、PTF1A、HOX
A13及びLGR5から選択される転写因子を発現しない。
【0010】
本発明の実施形態では、ヒト多能性幹細胞は、a)MCX化合物などのGDF-8及び
GSK3β阻害剤を含む第1の培地中でヒト多能性幹細胞を培養し、胚体内胚葉細胞への
分化を誘導する工程と、b)アスコルビン酸及びFGF7を含む第2の培地中で胚体内胚
葉細胞を培養し、原始腸管細胞への分化を誘導する工程と、c)酸性条件下でレチノイン
酸及びBMP2又はBMP4を含む第3の培地中で原始腸管細胞を培養し、中腸内胚葉細
胞への分化を誘導する工程と、を含む工程によって、中腸内胚葉細胞に分化させる。特定
の実施形態では、酸性条件とはBLAR培地での培養である。酸性培地のpHは、6.8
~7.2の範囲であってよい。本発明の実施形態では、中腸内胚葉細胞は培地中で単層を
形成する。実施形態では、中腸内胚葉細胞の単層は培養中維持される。
【0011】
本発明の別の実施形態は、ヒト多能性幹細胞を中腸内胚葉細胞に分化させることと、分
化した中腸内胚葉細胞を糖尿病患者に投与することと、を含む、糖尿病に罹っている、又
は糖尿病発症のリスクがある患者を治療する方法である。実施形態では、糖尿病は1型又
は2型である。実施形態では、細胞の投与は、治療部位への直接的又は間接的移植、注入
、ないしは別の投与方法であってよい。いくつかの実施形態では、中腸内胚葉細胞は、皮
下腔、網膜、肝臓、腎臓などの体内に移植される。更なる実施形態は、マクロ又はマイク
ロ封入デバイスによる封入などの、細胞の封入化送達を包含する。
【0012】
本発明の更なる実施形態は、培養液中の胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化を誘導
することを含む、中腸内胚葉細胞を産生する方法である。実施形態では、胚体内胚葉細胞
を、アスコルビン酸及びFGF7を含む培地中で培養する。更なる実施形態では、原始腸
管細胞は、レチノイン酸及びBMP2又はBMP4を含む培地中で培養される。原始腸管
細胞は、中腸内胚葉細胞に分化する。いくつかの実施形態では、原始腸管細胞は、酸性条
件下(酸性培地)で中腸内胚葉細胞に分化する。特定の実施形態では、酸性条件とはBL
AR培地での培養である。酸性培地のpHは、6.8~7.2の範囲であってよい。実施
形態では、中腸内胚葉細胞は、培地中で単層を形成し、その単層を維持する。
【0013】
上記実施形態のそれぞれにおいて、ヒト多能性幹細胞は、ヒト胚性幹細胞又は人工多能
性幹細胞である。上記実施形態のそれぞれにおいて、中腸内胚葉細胞は、CDX2及びF
OXA2を発現する。全ての実施形態では、中腸内胚葉細胞は、SOX9、PDX1、K
LF5及びHOXC5から選択される転写因子を発現する。実施形態では、中腸内胚葉細
胞は、SOX2、ALB、PTF1A、HOXA13及びLGR5から選択される転写因
子を発現しない。上記実施形態では、中腸内胚葉細胞は、CDX2、FOXA2、SOX
9、PDX1、KLF5及びHOXC5を発現する。上記実施形態では、中腸内胚葉細胞
は、SOX2、ALB、PTF1A、HOXA13及びLGR5を発現しない。実施形態
では、分化細胞の50%超が中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現し、好ましくは分化細
胞の60%超が中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現し、より好ましくは70%超、80
%超、及び90%超が中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現する。実施形態では、中腸内
胚葉に特徴的なマーカーを発現する分化細胞は、中腸内胚葉細胞である。実施形態では、
中腸内胚葉細胞は、CDX2及びFOXA2を発現する。全ての実施形態では、中腸内胚
葉細胞は、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5から選択される転写因子を発現
する。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、SOX2、ALB、PTF1A、HOXA13
及びLGR5から選択される転写因子を発現しない。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、
HAND1を発現しない。
【0014】
上記実施形態では、中腸内胚葉細胞集団は、実質的に中腸内胚葉細胞である。いくつか
の実施形態では、中腸内胚葉細胞の集団は、70%超の中腸内胚葉細胞、好ましくは80
%超、90%超、及び95%超の中腸内胚葉細胞を含む。いくつかの実施形態では、中腸
内胚葉細胞の集団は、20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、
5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満の間葉細胞を含む。実施形態では、中腸内
胚葉細胞は、HAND1の発現を欠いている。
【0015】
上記本発明のいくつかの実施形態では、分化はin vitroで誘導される。他の実
施形態では、中腸内胚葉細胞は、in vivoで更に分化する。別の実施形態は、in
vivoで更に腸内分泌細胞に分化する、中腸内胚葉細胞に関する。腸内分泌細胞は、
インクレチンホルモンを発現又は分泌する。実施形態では、インクレチンホルモンは、G
LP1及びGIPである。
【0016】
更なる実施形態では、中腸内胚葉細胞は、中腸内胚葉細胞の、最初に腸内分泌前駆細胞
へ、最終的にはインクレチンを発現又は分泌する腸内分泌細胞へのin vitro分化
を高い効率で促進する小分子を同定するための出発物質として働く。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】中腸内胚葉細胞の分化方法を示す。図1Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(FOXA2、forkhead box A2;CDX2、caudal type homeobox 2;KLF5、クルッペル様転写因子5;SOX9、SRY(性決定領域Y)-box 9;PDX1、pancreatic and duodenal homeobox 1;LO、低発現かつ低タンパク質量)を含む、分化方法の概要である。S2D2と記される中性pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3の間に、BLAR培地(「BLAR酸性培地」と互換的に使用される)中で、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝した(pH;S3D1、6.98±0.05;S3D2、7.02±0.04;S3D5、7.18±0.03)(図1B)。図1Cは、S3D5単層(左)及びヒト結腸腺癌上皮細胞株(「Caco-2」)(右)(分化の特徴の基準として使用した)の代表的な位相差画像を示す。S3D5における均一な形態が一貫して観察された。Nucleocounter(登録商標)NC-100(Chemometec(Alleroed,Denmark)、カタログ番号900-004)を用いて細胞数を確認すると、1つのhESCが、4.56±2.60個のS3D5中腸内胚葉細胞に分化したことを示す(図1D)。
図1B】中腸内胚葉細胞の分化方法を示す。図1Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(FOXA2、forkhead box A2;CDX2、caudal type homeobox 2;KLF5、クルッペル様転写因子5;SOX9、SRY(性決定領域Y)-box 9;PDX1、pancreatic and duodenal homeobox 1;LO、低発現かつ低タンパク質量)を含む、分化方法の概要である。S2D2と記される中性pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3の間に、BLAR培地(「BLAR酸性培地」と互換的に使用される)中で、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝した(pH;S3D1、6.98±0.05;S3D2、7.02±0.04;S3D5、7.18±0.03)(図1B)。図1Cは、S3D5単層(左)及びヒト結腸腺癌上皮細胞株(「Caco-2」)(右)(分化の特徴の基準として使用した)の代表的な位相差画像を示す。S3D5における均一な形態が一貫して観察された。Nucleocounter(登録商標)NC-100(Chemometec(Alleroed,Denmark)、カタログ番号900-004)を用いて細胞数を確認すると、1つのhESCが、4.56±2.60個のS3D5中腸内胚葉細胞に分化したことを示す(図1D)。
図1C】中腸内胚葉細胞の分化方法を示す。図1Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(FOXA2、forkhead box A2;CDX2、caudal type homeobox 2;KLF5、クルッペル様転写因子5;SOX9、SRY(性決定領域Y)-box 9;PDX1、pancreatic and duodenal homeobox 1;LO、低発現かつ低タンパク質量)を含む、分化方法の概要である。S2D2と記される中性pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3の間に、BLAR培地(「BLAR酸性培地」と互換的に使用される)中で、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝した(pH;S3D1、6.98±0.05;S3D2、7.02±0.04;S3D5、7.18±0.03)(図1B)。図1Cは、S3D5単層(左)及びヒト結腸腺癌上皮細胞株(「Caco-2」)(右)(分化の特徴の基準として使用した)の代表的な位相差画像を示す。S3D5における均一な形態が一貫して観察された。Nucleocounter(登録商標)NC-100(Chemometec(Alleroed,Denmark)、カタログ番号900-004)を用いて細胞数を確認すると、1つのhESCが、4.56±2.60個のS3D5中腸内胚葉細胞に分化したことを示す(図1D)。
図1D】中腸内胚葉細胞の分化方法を示す。図1Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(FOXA2、forkhead box A2;CDX2、caudal type homeobox 2;KLF5、クルッペル様転写因子5;SOX9、SRY(性決定領域Y)-box 9;PDX1、pancreatic and duodenal homeobox 1;LO、低発現かつ低タンパク質量)を含む、分化方法の概要である。S2D2と記される中性pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3の間に、BLAR培地(「BLAR酸性培地」と互換的に使用される)中で、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝した(pH;S3D1、6.98±0.05;S3D2、7.02±0.04;S3D5、7.18±0.03)(図1B)。図1Cは、S3D5単層(左)及びヒト結腸腺癌上皮細胞株(「Caco-2」)(右)(分化の特徴の基準として使用した)の代表的な位相差画像を示す。S3D5における均一な形態が一貫して観察された。Nucleocounter(登録商標)NC-100(Chemometec(Alleroed,Denmark)、カタログ番号900-004)を用いて細胞数を確認すると、1つのhESCが、4.56±2.60個のS3D5中腸内胚葉細胞に分化したことを示す(図1D)。
図2A】骨形成タンパク質-4(BMP4)を利用する、転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2及びFOXA2の両方を含む、単層の中腸内胚葉細胞を発生させる分化方法を示す。図2A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様に、90.0±5.85パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。逆に、胚体内胚葉(DE-S1D3)細胞は、CDX2及びFOXA2が共存していなかった(2.3±1.2)。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図2B)、FOXA2が維持された(図2C)ことが示される。図2Dは、FOXA2陽性の原始腸内胚葉ステージであるS2D2(図2D-i)の樹立後に、S3D2(図2D-ii)の間に徐々に増加し、S3D5(図2D-iii)において、Caco-2細胞(図2D-iv)に見られるのと同様のレベルに達するように、CDX2タンパク質レベルが誘導され、CDX2/FOXA2タンパク質が共存することを示す。CDX2タンパク質は下列に示され、FOXA2タンパク質は上列に示される。各画像は、定量分析が可能になるように同一のパラメータを用いて撮影された。タンパク質発現をFACSによって評価し、遺伝子発現をqPCRによって評価した。
図2B】骨形成タンパク質-4(BMP4)を利用する、転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2及びFOXA2の両方を含む、単層の中腸内胚葉細胞を発生させる分化方法を示す。図2A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様に、90.0±5.85パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。逆に、胚体内胚葉(DE-S1D3)細胞は、CDX2及びFOXA2が共存していなかった(2.3±1.2)。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図2B)、FOXA2が維持された(図2C)ことが示される。図2Dは、FOXA2陽性の原始腸内胚葉ステージであるS2D2(図2D-i)の樹立後に、S3D2(図2D-ii)の間に徐々に増加し、S3D5(図2D-iii)において、Caco-2細胞(図2D-iv)に見られるのと同様のレベルに達するように、CDX2タンパク質レベルが誘導され、CDX2/FOXA2タンパク質が共存することを示す。CDX2タンパク質は下列に示され、FOXA2タンパク質は上列に示される。各画像は、定量分析が可能になるように同一のパラメータを用いて撮影された。タンパク質発現をFACSによって評価し、遺伝子発現をqPCRによって評価した。
図2C】骨形成タンパク質-4(BMP4)を利用する、転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2及びFOXA2の両方を含む、単層の中腸内胚葉細胞を発生させる分化方法を示す。図2A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様に、90.0±5.85パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。逆に、胚体内胚葉(DE-S1D3)細胞は、CDX2及びFOXA2が共存していなかった(2.3±1.2)。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図2B)、FOXA2が維持された(図2C)ことが示される。図2Dは、FOXA2陽性の原始腸内胚葉ステージであるS2D2(図2D-i)の樹立後に、S3D2(図2D-ii)の間に徐々に増加し、S3D5(図2D-iii)において、Caco-2細胞(図2D-iv)に見られるのと同様のレベルに達するように、CDX2タンパク質レベルが誘導され、CDX2/FOXA2タンパク質が共存することを示す。CDX2タンパク質は下列に示され、FOXA2タンパク質は上列に示される。各画像は、定量分析が可能になるように同一のパラメータを用いて撮影された。タンパク質発現をFACSによって評価し、遺伝子発現をqPCRによって評価した。
図2D】骨形成タンパク質-4(BMP4)を利用する、転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2及びFOXA2の両方を含む、単層の中腸内胚葉細胞を発生させる分化方法を示す。図2A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様に、90.0±5.85パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。逆に、胚体内胚葉(DE-S1D3)細胞は、CDX2及びFOXA2が共存していなかった(2.3±1.2)。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図2B)、FOXA2が維持された(図2C)ことが示される。図2Dは、FOXA2陽性の原始腸内胚葉ステージであるS2D2(図2D-i)の樹立後に、S3D2(図2D-ii)の間に徐々に増加し、S3D5(図2D-iii)において、Caco-2細胞(図2D-iv)に見られるのと同様のレベルに達するように、CDX2タンパク質レベルが誘導され、CDX2/FOXA2タンパク質が共存することを示す。CDX2タンパク質は下列に示され、FOXA2タンパク質は上列に示される。各画像は、定量分析が可能になるように同一のパラメータを用いて撮影された。タンパク質発現をFACSによって評価し、遺伝子発現をqPCRによって評価した。
図3A】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3B】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3C】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3D】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3E】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3F】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3G】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3H】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3I】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3J】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3K】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3L】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3M】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3N】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3O】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3P】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図3Q】継続的な中腸内胚葉誘導を構成する追加の転写因子(TF)の転写レベル及びタンパク質レベルであるS3D5による誘導を示し、正しく中腸内胚葉が達成された。CDX2及びFOXA2の共発現に加えて、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF5、HOXC5(ホメオボックスC5)の共発現も示すが、SOX2(SRY-box2)、ALB(アルブミン)、PTF1A(膵臓特異的転写因子1a)、及びLGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5)は発現していない。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図3B)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、免疫蛍光(IF)分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)(図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図3F)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の1.45±0.15がSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図3P)。遺伝子発現はqPCRによって評価した。
図4A】分化しているS3D5細胞の増殖プロファイルの特徴である。図4Aは、CDX2タンパク質陽性細胞のほとんどの細胞周期が活性化されている(KI67タンパク質との共発現によって示される)Caco-2細胞(左)及び、経時的に減少したステージ3中のH1-hESC由来細胞の増殖指標(S3D2-中;S3D5-右)を示す。CDX2(上列)及びKI67(下列)のタンパク質レベルは、単一チャネル画像として示される。FACSによって評価された、総S3D5細胞中のKI67タンパク質陽性細胞の割合(総細胞は、>90%がCDX2陽性)は、S1D3(97.3±1.3)及びCaco-2細胞(99.2±0.2)とは対称的に、16.8±3.12であった(図4B)。
図4B】分化しているS3D5細胞の増殖プロファイルの特徴である。図4Aは、CDX2タンパク質陽性細胞のほとんどの細胞周期が活性化されている(KI67タンパク質との共発現によって示される)Caco-2細胞(左)及び、経時的に減少したステージ3中のH1-hESC由来細胞の増殖指標(S3D2-中;S3D5-右)を示す。CDX2(上列)及びKI67(下列)のタンパク質レベルは、単一チャネル画像として示される。FACSによって評価された、総S3D5細胞中のKI67タンパク質陽性細胞の割合(総細胞は、>90%がCDX2陽性)は、S1D3(97.3±1.3)及びCaco-2細胞(99.2±0.2)とは対称的に、16.8±3.12であった(図4B)。
図5A】CDX2及びFOXA2タンパク質が共存している中腸内胚葉細胞の単層を達成するための、ステージ3中のBMP4の代替としてのBMP2の使用を示す。図5Aは、各ステージで添加された培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細胞の分化のステージ特異的マーカー(FOXA2、CDX2、KLF5、SOX9、及びPDX1LO)を含む、分化方法の概要である。S2D2と記される中性pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3全体の間に、BLAR培地中で、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝した(pH;S3D1、6.92;S3D2、7.01;S3D5、7.22)(図5B)。図5Cは、S3D5単層(左)及びCaco-2細胞(右)の代表的な位相差画像を示し、S3D5における均一な形態が観察された。
図5B】CDX2及びFOXA2タンパク質が共存している中腸内胚葉細胞の単層を達成するための、ステージ3中のBMP4の代替としてのBMP2の使用を示す。図5Aは、各ステージで添加された培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細胞の分化のステージ特異的マーカー(FOXA2、CDX2、KLF5、SOX9、及びPDX1LO)を含む、分化方法の概要である。S2D2と記される中性pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3全体の間に、BLAR培地中で、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝した(pH;S3D1、6.92;S3D2、7.01;S3D5、7.22)(図5B)。図5Cは、S3D5単層(左)及びCaco-2細胞(右)の代表的な位相差画像を示し、S3D5における均一な形態が観察された。
図5C】CDX2及びFOXA2タンパク質が共存している中腸内胚葉細胞の単層を達成するための、ステージ3中のBMP4の代替としてのBMP2の使用を示す。図5Aは、各ステージで添加された培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細胞の分化のステージ特異的マーカー(FOXA2、CDX2、KLF5、SOX9、及びPDX1LO)を含む、分化方法の概要である。S2D2と記される中性pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3全体の間に、BLAR培地中で、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝した(pH;S3D1、6.92;S3D2、7.01;S3D5、7.22)(図5B)。図5Cは、S3D5単層(左)及びCaco-2細胞(右)の代表的な位相差画像を示し、S3D5における均一な形態が観察された。
図6A】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6B】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6C】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6D】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6E】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6F】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6G】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6H】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6I】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6J】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6K】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6L】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6M】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6N】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6O】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6P】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6Q】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6R】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6S】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6T】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図6U】転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞の発生を示す。IF画像については、全てのTFタンパク質レベルを単一チャネル画像として示す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様又はそれより多く、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、S3D5において誘導される、CDX2タンパク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、Caco-2細胞(図2D-iv)と同様のレベルに達していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞にCDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。Caco-2細胞(図6F)で見られるレベルまでのSOX9遺伝子発現の強い誘導、及び、IF分析によって評価されるタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。PDX1遺伝子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(図6L)に見られるレベルより低かった。中腸/後腸内胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた(図6N)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。ALB遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察されなかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)とは異なり、S3D5細胞では、膵臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5が、S3D5細胞内で誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
図7】分化しているS3D5細胞の増殖プロファイルの特徴である。CDX2タンパク質陽性細胞のほとんどの細胞周期が活性化されている(KI67タンパク質との共発現によって示される)Caco-2細胞(左)と比較して、ステージ3中のH1-hESC由来細胞の増殖指標が減少した(S3D5-右)。CDX2(上列)及びKI67(下列)のタンパク質レベルは、単一チャネル画像として示される。FACSによって評価された、総S3D5細胞中のKI67タンパク質陽性細胞の割合(総細胞は、>90%がCDX2陽性)は、S1D3(97.3±1.3)及びCaco-2細胞(99.2±0.2)とは対称的に、14.1パーセントであった。
図8A】CDX2細胞の不均一集団の誘導を示す。図8Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸/後腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(HAND1)を含む、分化方法の概要である。図8Bは、H1-hESC細胞(上列、左)、500ng/mLのFGF4及び3μMのChiron99021で2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、中)、500ng/mLのFGF4及び500ng/mLのWNT3Aで2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、右)、RA/BMP4でコンディショニングしたS3D5単層(下列、左)、及び、RA/BMP2でコンディショニングしたS3D5単層(下列、右)の、位相差画像を示す。2日間のコンディショニング後の遺伝子発現の誘導が、CDX2については低レベルで示され(図8C)、内胚葉マーカーであるFOXA2については維持され(図8D)、中胚葉/間葉マーカーであるHAND1については誘導される(図8F)。KLF5は誘導されなかった(図8E)。
図8B】CDX2細胞の不均一集団の誘導を示す。図8Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸/後腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(HAND1)を含む、分化方法の概要である。図8Bは、H1-hESC細胞(上列、左)、500ng/mLのFGF4及び3μMのChiron99021で2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、中)、500ng/mLのFGF4及び500ng/mLのWNT3Aで2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、右)、RA/BMP4でコンディショニングしたS3D5単層(下列、左)、及び、RA/BMP2でコンディショニングしたS3D5単層(下列、右)の、位相差画像を示す。2日間のコンディショニング後の遺伝子発現の誘導が、CDX2については低レベルで示され(図8C)、内胚葉マーカーであるFOXA2については維持され(図8D)、中胚葉/間葉マーカーであるHAND1については誘導される(図8F)。KLF5は誘導されなかった(図8E)。
図8C】CDX2細胞の不均一集団の誘導を示す。図8Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸/後腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(HAND1)を含む、分化方法の概要である。図8Bは、H1-hESC細胞(上列、左)、500ng/mLのFGF4及び3μMのChiron99021で2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、中)、500ng/mLのFGF4及び500ng/mLのWNT3Aで2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、右)、RA/BMP4でコンディショニングしたS3D5単層(下列、左)、及び、RA/BMP2でコンディショニングしたS3D5単層(下列、右)の、位相差画像を示す。2日間のコンディショニング後の遺伝子発現の誘導が、CDX2については低レベルで示され(図8C)、内胚葉マーカーであるFOXA2については維持され(図8D)、中胚葉/間葉マーカーであるHAND1については誘導される(図8F)。KLF5は誘導されなかった(図8E)。
図8D】CDX2細胞の不均一集団の誘導を示す。図8Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸/後腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(HAND1)を含む、分化方法の概要である。図8Bは、H1-hESC細胞(上列、左)、500ng/mLのFGF4及び3μMのChiron99021で2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、中)、500ng/mLのFGF4及び500ng/mLのWNT3Aで2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、右)、RA/BMP4でコンディショニングしたS3D5単層(下列、左)、及び、RA/BMP2でコンディショニングしたS3D5単層(下列、右)の、位相差画像を示す。2日間のコンディショニング後の遺伝子発現の誘導が、CDX2については低レベルで示され(図8C)、内胚葉マーカーであるFOXA2については維持され(図8D)、中胚葉/間葉マーカーであるHAND1については誘導される(図8F)。KLF5は誘導されなかった(図8E)。
図8E】CDX2細胞の不均一集団の誘導を示す。図8Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸/後腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(HAND1)を含む、分化方法の概要である。図8Bは、H1-hESC細胞(上列、左)、500ng/mLのFGF4及び3μMのChiron99021で2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、中)、500ng/mLのFGF4及び500ng/mLのWNT3Aで2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、右)、RA/BMP4でコンディショニングしたS3D5単層(下列、左)、及び、RA/BMP2でコンディショニングしたS3D5単層(下列、右)の、位相差画像を示す。2日間のコンディショニング後の遺伝子発現の誘導が、CDX2については低レベルで示され(図8C)、内胚葉マーカーであるFOXA2については維持され(図8D)、中胚葉/間葉マーカーであるHAND1については誘導される(図8F)。KLF5は誘導されなかった(図8E)。
図8F】CDX2細胞の不均一集団の誘導を示す。図8Aは、各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸/後腸内胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(HAND1)を含む、分化方法の概要である。図8Bは、H1-hESC細胞(上列、左)、500ng/mLのFGF4及び3μMのChiron99021で2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、中)、500ng/mLのFGF4及び500ng/mLのWNT3Aで2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、右)、RA/BMP4でコンディショニングしたS3D5単層(下列、左)、及び、RA/BMP2でコンディショニングしたS3D5単層(下列、右)の、位相差画像を示す。2日間のコンディショニング後の遺伝子発現の誘導が、CDX2については低レベルで示され(図8C)、内胚葉マーカーであるFOXA2については維持され(図8D)、中胚葉/間葉マーカーであるHAND1については誘導される(図8F)。KLF5は誘導されなかった(図8E)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的システムに限定されるも
のではなく、これらは無論のこと変更可能であることは理解されるはずである。また、本
明細書において使用される用語は、あくまで特定の実施形態を説明することを目的とした
ものに過ぎず、限定的なものではない点も理解されるはずである。
【0019】
本発明は、中腸内胚葉細胞の発生に関する。細胞は、特定の培養順を用いて発生された
。したがって、本発明は、多能性幹細胞由来の細胞を、中腸内胚葉細胞系統に特徴的なマ
ーカー、例えばCDX2及びFOXA2を発現している細胞に分化するための、in v
itro細胞培養法を提供する。本発明は更に、in vitro細胞培養法によって、
かかる細胞を単層で得て、維持するための方法を提供する。特定の実施形態では、本発明
は、レチノイン酸及びBMP4又はBMP2又はそれらの類似体を含めると、中腸内胚葉
細胞への分化を促進するために、分化している細胞中でCDX2を誘導し、FOXA2タ
ンパク質の発現を維持するように作用するという発見に基づいている。CDX2は、胚体
内胚葉(ステージ1)又は原始腸管(ステージ2)においてはタンパク質レベルで発現し
ていない。したがって、本発明は、多能性幹細胞を分化し、CDX2及びFOXA2を発
現する中腸内胚葉を発生させる方法を提供する。
【0020】
定義
特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発
明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有
する。本明細書に述べられるものと同様又は同等の任意の方法及び材料を本発明の試験を
実施するために使用することができるが、本明細書では好ましい材料及び方法について述
べる。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が用いられる。
【0021】
幹細胞は、単一細胞の、自己複製する能力、並びに自己複製前駆細胞、非複製前駆細胞
、及び最終分化細胞を含む子孫細胞を産生するために分化する能力の双方によって定義さ
れる、未分化細胞である。幹細胞はまた、in vitroで複数の胚葉(内胚葉、中胚
葉及び外胚葉)から様々な細胞系統の機能細胞に分化する能力によって、並びに、移植後
に複数の胚葉組織を生じさせる能力、及び胚盤胞内への注入後に、全部ではないが実質的
にほとんどの組織に寄与する能力によっても、特徴付けられる。
【0022】
幹細胞は、その発生能に応じて、(1)全能性、(2)多分化能性、(3)複能性、(
4)少能性、及び(5)単能性に分類される。全能細胞は、全ての胚細胞型及び胚体外細
胞型を生じさせることが可能である。多能性細胞は、全ての胚細胞型を生じさせることが
可能である。複能性細胞は、細胞系統のサブセットを生じさせることが可能であるが、全
てが、特定の組織、器官、又は生理系の範囲内であるものを含む(例えば、造血幹細胞(
HSC)は、HSCを含む子孫(自己複製)、血球に制限された少能性前駆細胞、並びに
血液の正常成分である全ての細胞型及び要素(例えば、血小板)を産生することができる
)。少能性の細胞は、複能性幹細胞よりも制限された、細胞系統のサブセットを生じさせ
ることができ、単能性の細胞は、単一の細胞系統を生じさせることができる(例えば、精
原幹細胞)。
【0023】
幹細胞はまた、それらの幹細胞を得ることができる供給源に基づいても分類される。成
体幹細胞は、全般的には、複数の分化細胞型を含む組織内に見出される、多分化能性の未
分化細胞である。成体幹細胞は、自己複製することができる。通常の状況下では、成体幹
細胞はまた、その細胞が起源とする組織の、特殊化した細胞型、また恐らくは他の組織型
を産生するように、分化することもできる。誘導された多能性幹細胞(iPS細胞)は、
多能性幹細胞に変換された成熟細胞である(Takahashi et al.,Cel
l,2006;126(4):663~676;Takahashi et al.,C
ell,2007;131:1~12)。胚幹細胞は、胚盤胞期の胚の内部細胞塊からの
、多能性細胞である。胎生幹細胞は、胎児組織又は胎膜を起源とする幹細胞である。
【0024】
胚組織は、典型的には、胚(ヒトの場合、受精から、約6週間の発達までの期間を指す
)を起源とする組織として定義される。胎児組織は、ヒトでは約6週間の発達から分娩ま
での期間を指す、胎児に由来する組織を指す。胚体外組織は、胚又は胎児に関連するが、
胚又は胎児を起源とはしない組織である。胚体外組織としては、胚体外膜(絨毛膜、羊膜
、卵黄嚢、及び尿膜)、臍帯、並びに胎盤(それ自体は、絨毛膜及び母体基底脱落膜から
形成される)が挙げられる。
【0025】
分化は、特殊化されていない(「コミットされていない」)細胞、又は比較的特殊化さ
れていない細胞が、例えば、腸管細胞又は膵臓細胞などの、特殊化細胞の特徴を獲得する
プロセスである。分化した細胞は、細胞の系統の範囲内で、より特殊化した(「コミット
された」)状態を呈している細胞である。コミットされたという用語は、分化のプロセス
に適用される場合、通常の状況下では、特定の細胞型又は細胞型のサブセットへと分化を
継続して、通常の状況下では、異なる細胞型へと分化することも、又はより未分化の細胞
型に復帰することもできない地点まで、分化経路が進行している細胞を指す。脱分化とは
、細胞が、細胞の系統の範囲内で、比較的特殊化されて(又はコミットされて)いない状
態に復帰するプロセスを指す。本明細書で使用するとき、細胞の系統は、その細胞の遺伝
性、即ち、その細胞がどの細胞に由来するか、またその細胞がどのような細胞を生じさせ
ることができるかを規定する。細胞の系統は、発達及び分化の遺伝スキームの範囲内で、
その細胞を位置付けるものである。
【0026】
広義には、前駆細胞は、それ自体よりも分化した子孫を作り出す能力を有し、かつ前駆
細胞のプールを補充する能力を更に保持する細胞である。その定義によれば、幹細胞自体
もまた、より直接的な、最終分化細胞への前駆体であるため、前駆細胞である。より狭義
には、前駆細胞は、分化経路での中間体である細胞として定義される場合が多く、即ち、
前駆細胞は、幹細胞から生じるものであり、成熟細胞型又は細胞型のサブセットを産生す
る際の中間体である。この型の前駆細胞は、全般的には、自己複製が不可能である。した
がって、このタイプの細胞が本明細書で言及される場合には、その細胞は、非複製前駆細
胞、又は中間的前駆細胞若しくは中間的前駆細胞と称される。
【0027】
本明細書で使用するとき「マーカー」とは、対象とする細胞で差異的に発現される核酸
又はポリペプチド分子である。これに関して、差異的発現とは、未分化細胞と比べて、陽
性マーカーについては増殖したレベルを意味し、陰性マーカーについては減少したレベル
を意味する。マーカー核酸又はポリペプチドの検出限界は、他の細胞と比較して対象とす
る細胞において充分に高いか又は低いことから、当該技術分野において知られる各種方法
のいずれを用いても対象とする細胞を他の細胞から識別及び区別することが可能である。
【0028】
本明細書で使用するとき、細胞は、特異的マーカーが細胞内で十分に検出されたとき、
特異的マーカー「について陽性」又は「陽性」である。同様に、細胞は、特異的マーカー
が細胞内で十分に検出されないとき、特異的マーカー「について陰性」又は「陰性」であ
る。とりわけ、蛍光活性フローサイトメトリー(「FACS」)による陽性は通常2%を
超えるが、FACSによる陰性閾値は通常1%を下回る。
【0029】
本明細書で使用するとき、リアルタイムPCR(RT-PCR)による陽性は、28サ
イクル(Cts)未満であり、Taqman(登録商標)Low Density Ar
ray(TLDA)を用いると、33Cts未満であり、一方、Open Array(
登録商標)による陰性は、28.5サイクルを超え、TLDAによる陰性は33.5Ct
sを超える。
【0030】
静的in vitro細胞培養において、多能性幹細胞を機能的中腸内胚葉細胞に分化
するため、分化プロセスは、連続ステージを通じて進行すると見られる場合が多い。この
とき、中腸内胚葉への分化工程は3つのステージで発生する。この段階的進行では、「ス
テージ1」は、分化プロセスの第1の工程、多能性幹細胞の、胚体内胚葉細胞に特徴的な
マーカーを発現している細胞(以下、代替的に「ステージ1細胞」と称する)への分化を
指す。「ステージ2」は、第2の工程、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現してい
る細胞の、原始腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞(以下、代替的に「ステ
ージ2細胞」と称する)への分化を指す。「ステージ3」は、第3の工程、腸管細胞に特
徴的なマーカーを発現している細胞の、中腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現してい
る細胞(以下、代替的に「ステージ3細胞」と称する)への分化を指す。
【0031】
しかしながら、特定集団の全ての細胞がこれらのステージを同じ速度で進行するとは限
らないことに留意されたい。結論として、in vitro細胞培養において、特に後期
分化ステージでは、集団に存在する細胞の大半よりも分化経路を進行していなかったり、
大半よりも進行しいていたりする細胞の存在を検出することは稀ではない。本発明を例証
する目的で、上で特定されたステージと関連した様々な細胞型の特徴が本明細書に記載さ
れる。
【0032】
本明細書で使用するとき、「胚体内胚葉細胞」は、原腸形成中、胚盤葉上層から生じ、
胃腸管及びその誘導体を形成する細胞の特徴を保有している細胞を指す。胚体内胚葉細胞
は、以下のマーカー、すなわち、FOXA2(肝細胞核因子3-β(「HNF3-β」)
としても知られる)、GATA4、SOX17、CXCR4、ブラキュリ、ケルベロス、
OTX2、グースコイド、C-Kit、CD99、及びMIXL1のうちの少なくとも1
つを発現する。胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーには、CXCR4、FOXA2、及び
SOX17が挙げられる。したがって、胚体内胚葉細胞は、CXCR4、FOXA2、及
びSOX17の発現で特徴付けられ得る。加えて、細胞がステージ1に留まることができ
る時間の長さに応じて、HNF4αにおける増加が観察され得る。
【0033】
「原始腸管細胞」は、本明細書で使用するとき、胚体内胚葉由来の、肺、肝臓、膵臓、
胃、及び腸などの全ての内胚葉器官を生じ得る内胚葉細胞を指す。原始腸管細胞は、胚体
内胚葉細胞によって発現されたものに対するHNF4αの実質的に増加した発現で特徴付
けられ得る。
【0034】
「前腸内胚葉細胞」は、本明細書で使用するとき、食道、肺、胃、肝臓、膵臓、膀胱、
及び十二指腸の最も前方の部分を生じる内胚葉細胞を指す。前腸内胚葉細胞は、とりわけ
、SOX2、PDX1、ALB、SOX17及びFOXA2の発現で特徴付けられ得る。
【0035】
「中腸内胚葉細胞」は、本明細書で使用するとき、小腸を生じる内胚葉細胞を指す。中
腸内胚葉細胞は、CDX2、FOXA2の発現、及びPDX1の低発現(PDX1LO
で特徴付けられ得る。特定のHOX遺伝子の発現により、中腸内胚葉と後腸内胚葉との差
を区別できる。例えば、HOXC5は、中腸内胚葉細胞に優先的に発現される。
【0036】
「後腸内胚葉細胞」は、本明細書で使用するとき、大腸を生じる内胚葉細胞を指す。後
腸内胚葉細胞は、CDX2、FOXA2、HOXA13及びHOXD13の発現で特徴付
けられ得る。
【0037】
本明細書で使用するとき、「間葉細胞」は、骨、軟骨、リンパ管、及び循環系などの結
合組織を生じる中胚葉細胞を指す。HAND1及びFOXF1の発現は、間葉細胞を決定
する。
【0038】
「患者」又は「対象」又は「宿主」という用語は、組成物、つまり医薬組成物で治療さ
れる、又は本明細書で説明される方法に従って治療される、哺乳類などの動物、好ましく
はヒトを指す。
【0039】
用語「有効量」又はその同等用語は、ヒト多能性幹細胞の、分化した細胞集団、例えば
、胚体内胚葉、前腸内胚葉、中腸内胚葉、後腸内胚葉、膵内胚葉などに促進かつ分化する
のに十分な、成長因子が挙げられるがこれらに限定されない薬剤又は化合物の量を指す。
【0040】
用語「投与する」及び「投与」は、本明細書で代替的に使用され、細胞が、治療部位に
直接的又は間接的に移植(implanted)、注入、移植(transplanted)、ないしは別の方
法で投与され得ることを意味する。細胞が半固体又は固体デバイス中で投与されるとき、
移植、特に、皮下腔、網膜、肝臓、腎臓(腎被膜)などの体内の正確な位置への外科的移
植が好適な送達手段である。液体又は流体医薬組成物は、より一般的な位置に投与しても
よい。
【0041】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの単数形「a」、「a
n」及び「the」は、その内容について特に明らかに断らない限り、複数の指示対象を
含むものである。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ以上の
細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどを含む。
【0042】
本明細書で使用するとき、量、時間の長さなどの測定可能な値に関して使用する「約」
という用語は、指定値から±20%~±0.1%、好ましくは±20%又は±10%、よ
り好ましくは±5%、更により好ましくは±1%、いっそうより好ましくは±0.5%、
±0.1%の変動を包含することを意味する。このような、特定の値から0.05%又は
0.01%の変動は、開示される方法を実施するうえで適切なものである。
【0043】
以下の略語は、明細書及び特許請求の範囲全体で使用され得る。
ABCG2-ATP結合カセット、サブファミリーG、メンバー2;
ALB-アルブミン;
BMP-骨形成タンパク質;
CDX2-caudal type homeobox 2;
CXCR4-C-X-Cケモカイン受容体4型:
FAF-BSA-脂肪酸を含まないウシ血清アルブミン
FGF-線維芽細胞増殖因子;
FOXA2-Forkhead Box A2;
GATA4-GATA結合タンパク質4;
GDF-増殖分化因子;
GIP-グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド;
GLP-1-グルカゴン様ペプチド1;
GSK3B-グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β;
HAND1-heart and neural crest derivative
s expressed 1;
HOX-ホメオボックス;
hTERT-ヒトテロメラーゼ逆転写酵素;
KLF-クルッペル様転写因子;
LGR5-ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5;
MIXL1-Mix Paired様ホメオボックス-1;
OCT4-オクタマー結合転写因子4;
OTX2-orthodenticle homeobox 2;
PDX1-pancreatic and duodenal homeobox 1

PTF1A-膵臓特異的転写因子1a;
SOX-性決定領域Y(SRY)-box;
TRA1-60-T細胞受容体α-1-60;
UTF1-未分化胚細胞転写因子1;
WNT3A-wingless-type MMTV integration si
teファミリー、メンバー3A;及び
ZFP42-ジンクフィンガータンパク質42。
【0044】
詳細な説明
多能性幹細胞は、内胚葉、中胚葉、及び外胚葉組織の3胚葉の全ての細胞に分化する能
力を有している。使用が可能な多能性幹細胞の例示の種類としては、妊娠期間中の任意の
時期(必ずしもではないが、通常は妊娠約10~12週よりも前)に採取した前胚性組織
(例えば胚盤胞など)、胚性組織又は胎児組織を含む、多能性細胞の樹立株が挙げられる
。非限定的な例は、ヒト胚性幹細胞又はヒト胚生殖細胞の樹立株であり、例えば、ヒト胚
性幹細胞株H1、H7、及びH9(WiCell Research Institut
e,Madison,WI,USA)などである。フィーダー細胞の非存在下で既に培養
された多能性幹細胞集団から採取した細胞も好適である。OCT4、NANOG、SOX
2、KLF4、及びZFP42など多数の多能性に関係する転写因子の強制発現を使用し
て、成体体細胞から誘導されるiPS、つまり再プログラム化された多能性細胞(AaA
nnu Rev Genomics Hum Genet 2011,12:165~1
85;更に、iPS,Cell,126(4):663~676も参照)も使用できる。
本発明の方法で使用されるヒト胚性幹細胞もまた、Thomsonらによって記載される
ように調製され得る(米国特許第5,843,780号、Science,1998,2
82:1145~1147;Curr Top Dev Biol 1998,38:1
33~165;Proc Natl Acad Sci U.S.A.1995,92:
7844~7848)。BG01v(BresaGen,Athens,Ga.)などの
変異体ヒト胚性幹細胞株、又はTakahashi et al.,Cell 131:
1~12(2007)に開示されている細胞などのヒト成体細胞に由来する細胞を使用す
ることもできる。ある特定の実施形態では、本発明での使用に好適な多能性幹細胞は、L
i et al.(Cell Stem Cell 4:16~19,2009);Ma
herali et al.(Cell Stem Cell 1:55~70,200
7);Stadtfeld et al.(Cell Stem Cell 2:230
~240);Nakagawa et al.(Nature Biotechnol
26:101~106,2008);Takahashi et al.(Cell 1
31:861~872,2007);及び米国特許出願公開第2011/0104805
号に記載され得方法に従って誘導され得る。ある特定の実施形態において、多能性幹細胞
は、非胎生起源であり得る。これらの参考文献、特許、及び特許出願の全ては、とりわけ
それらが多能性細胞の単離、培養、増殖、及び分化に関するため、参照によりそれら全体
が本明細書に組み込まれる。
【0045】
多能性幹細胞は、様々なステージを通じて分化し、各々が特定のマーカーの存在又は非
存在で特徴付けられ得る。これらのステージへの細胞の分化は、培養培地に添加されるあ
る特定の因子の存在又は欠失を含む、特異的培養条件によって達成される。一般に、この
分化は、本明細書でステージ1と称する、多能性幹細胞の胚体内胚葉細胞への分化を含み
得る。次に、これらの胚体内胚葉細胞は、本明細書でステージ2と称する、原始腸管細胞
へと更に分化し得る。続いて、原始腸管細胞は、本明細書でステージ3と称する、中腸内
胚葉細胞へと分化し得る。
【0046】
多能性幹細胞の、中腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化
多能性幹細胞の特性は当業者には周知であり、多能性幹細胞の更なる特性が引き続き同
定されている。多能性幹細胞のマーカーとして、例えば、ABCG2、Cripto、F
OXD3、CONNEXIN43、CONNEXIN45、OCT4、SOX2、NAN
OG、hTERT、UTF1、ZFP42、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-
60、及びTRA-1-81のうち1つ又は2つ以上の発現が挙げられる。
【0047】
例示的な多能性幹細胞として、ヒト胚性幹細胞株H1(NIHコード:WA01)、ヒ
ト胚性幹細胞株H9(NIHコード:WA09)、ヒト胚性幹細胞株H7(NIHコード
:WA07)、及びヒト胚性幹細胞株SA002(Cellartis,Sweden)
が挙げられる。また、多能性細胞に特徴的な以下のマーカー、すなわち、ABCG2、C
ripto、CD9、FOXD3、CONNEXIN43、CONNEXIN45、OC
T4、SOX2、NANOG、hTERT、UTF1、ZFP42、SSEA-3、SS
EA-4、TRA-1-60、及びTRA-1-81のうちの少なくとも1つを発現する
細胞も好適である。
【0048】
胚体内胚葉系統に特徴的なこれらのマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞も
また、本発明における使用に適している。本発明の一実施形態では、胚体内胚葉系統に特
徴的なマーカーを発現している細胞は、原始線条前駆体細胞である。別の実施形態では、
胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現している細胞は、中内胚葉細胞である。別の実
施形態では、胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現している細胞は、胚体内胚葉細胞
である。
【0049】
中腸内胚葉系統に特徴的なこれらのマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞も
また、本発明における使用に適している。本発明の一実施形態では、中腸内胚葉系統に特
徴的なマーカーを発現している細胞は、細胞がFOXA2及びCDX2を発現している中
腸内胚葉細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、SOX2、ALB、PTF1A
、HOXA13又はLGR5を発現していない。実施形態では、中腸内胚葉系統に特徴的
なマーカーを発現している細胞は、細胞がFOXA2、CDX2、SOX9、PDX1、
KLF5及びHOXC5の各々を発現している中腸内胚葉細胞である。実施形態では、中
腸内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現している細胞は、細胞がSOX2、ALB、PT
F1A、HOXA13及びLGR5をいずれも発現していない中腸内胚葉細胞である。
【0050】
本発明は、細胞培養条件及び培地を使用する、多能性幹細胞の、中腸内胚葉細胞への段
階的な分化誘導を提供する。本発明の実施形態では、中腸内胚葉細胞に特徴的なマーカー
を発現している細胞に到達するため、多能性幹細胞、例えば胚性幹細胞及び人工多能性細
胞から始めるプロトコールが採用される。このプロトコールは、以下のステージを含む。
ステージ1:細胞培養株から得られる胚性幹細胞などの多能性幹細胞を、胚体内胚葉細
胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化を誘導するように適切な因子で処理す
る。
ステージ2:ステージ1から得た細胞を、原始腸管細胞に特徴的なマーカーを発現して
いる細胞への更なる分化を誘導するように適切な因子で処理する。
ステージ3:ステージ2から得た細胞を、中腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現し
ている細胞への更なる分化を誘導するように適切な因子で処理する。
【0051】
培養又は単離された細胞中のタンパク質及び核酸マーカーの発現を評価する方法は、当
技術分野にて標準的である。これらの方法としては、RT-PCR、ノーザンブロット、
in situハイブリダイゼーション(例えば、Current Protocols
in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds
.2001 supplement)参照)、及びイムノアッセイ(例えば、材料切片の
免疫組織化学的分析)、ウェスタンブロット、並びに無傷細胞内でアクセス可能なマーカ
ーの場合、FACS(例えば、Harlow and Lane,Using Anti
bodies:A Laboratory Manual,New York:Cold
Spring Harbor Laboratory Press(1998)参照)
が挙げられる。分化の効率は、処理した細胞集団を、対象とする細胞型に特徴的なマーカ
ーを発現している細胞によって発現されるタンパク質マーカーを特異的に認識する作用剤
(例えば、抗体など)に暴露することにより測定することができる。
【0052】
1.多能性幹細胞の、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化
多能性幹細胞は、当技術分野において既知の任意の方法により、又は本発明で提案され
る任意の好適な方法により、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分
化され得る。本発明の一実施形態では、多能性幹細胞を、GDF8及びGSK3β阻害剤
などの因子(例えば、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許
出願公開第2010/0015711号に開示される、環状アニリン-ピリジノトリアジ
ン化合物)を添加したMCDB-131培地(Life Technologies,C
arlsbad,California)などの培地で処理し、胚体内胚葉細胞に特徴的
なマーカーを発現している細胞への分化を誘導する。スタウロスポリンなど広範なGSK
3β阻害剤、好ましいGSK3β阻害剤(本明細書で「MCX化合物」と称される、14
-プロパ-2-エン-1-イル-3,5,7,14,17,23,27-ヘプタアザテト
ラシクロ[19.3.1.1~2,6~.1~8,12~]ヘプタコサ-1(25),2
(27),3,5,8(26),9,11,21,23-ノナエン-16-オン)が存在
する。処理は、多能性幹細胞を、約10ng/mL~1000ng/mL、好ましくは5
0ng/mL~約150ng/mL、代替的に約75ng/mL~約125ng/mL、
代替的に約100ng/mLのGDF8を添加した培地と接触させることを含み得る。こ
の処理はまた、細胞を、約0.1~10μM、好ましくは0.1~5μM、代替的に約0
.5~約2.5μM、好ましくは約1.5μM又は約1.0μMのMCX化合物と接触さ
せることも含み得る。その他培地の構成成分として、約2.7g/1000mL~3.6
g/1000mL、好ましくは2.7g/1000mLの重炭酸ナトリウム;約0.1%
~2.0%、好ましくは約0.5%のFAF-BSA;1:100(「1×濃度」)に希
釈したGlutaMAX(商標)(Life Technologies Corpor
ation,Carlsbad,California);及び、10mM濃度のD-グ
ルコースを得るための、約2mM~20mMの範囲の濃度、好ましくは4.5mMのD-
グルコースを含んでよい。
【0053】
多能性細胞は、胚体内胚葉細胞への分化を促進するため、約2~5日間、好ましくは3
~4日間培養されてよい。一実施形態では、多能性細胞は、有効量のTGFβシグナル伝
達分子及び/又はGSK3β阻害剤の存在下、例えば、有効量のGDF8及びMCX化合
物の存在下で1日培養され、続いてGDF8及びより低い濃度のMCX化合物の存在下で
1日培養され、続いてGDF8の存在下、MCX化合物の非存在下で1日培養される。具
体的には、細胞は、GDF8及び約1.5μMのMCX化合物の存在下で1日培養され、
続いてGDF8及び約0.1μMのMCX化合物の存在下で1日培養され、続いてGDF
8の存在下、MCX化合物の非存在下で1日培養されてよい。代替的な実施形態では、細
胞は、GDF8及び約1.5μMのMCX化合物の存在下で1日培養され、続いてGDF
8及び約0.1μMのMCX化合物の存在下で1日培養されてよい。
【0054】
胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の発生は、以下の特定のプロト
コールの前後に、マーカーの存在に関して試験することにより決定することができる。多
能性幹細胞は、一般にかかるマーカーを発現しない。したがって、多能性細胞の分化は、
細胞が胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカー、例えばCXCR4、FOXA2及びSOX1
7を発現し始めた際に検出され得る。実施形態では、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカー
を発現している細胞は、胚体内胚葉細胞である。
【0055】
2.胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の、原始腸管細胞に特徴的
なマーカーを発現している細胞への分化
胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞は、原始腸管細胞に特徴的なマ
ーカーを発現している細胞に更に分化され得る。一実施形態では、原始腸管細胞に特徴的
なマーカーを発現している細胞の形成は、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現して
いる細胞を、FGF7を含有するMCDB-131などの培地で培養し、これらの細胞を
分化させることを含む。例えば、培養培地は、約10ng/mL~100ng/mL、好
ましくは約25ng/mL~約75ng/mL、代替的に約30ng/mL~約60ng
/mL、代替的に約50ng/mLのFGF7を含んでよい。細胞は、これらの条件下で
約2~3日間、好ましくは約2日間培養され得る。
【0056】
別の実施形態では、原始腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化は、
胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、FGF7及びアスコルビン酸
(ビタミンC)と共に培養することを含む。MCDB-131などの培地は、約0.1m
M~約1.0mMのアスコルビン酸、好ましくは約0.1mM~約1.0mM、代替的に
は約0.2mM~約0.4mM、代替的には約0.25mMのアスコルビン酸を含んでよ
い。また培地は、約10ng/mL~100ng/mL、好ましくは約10ng/mL~
約50ng/mL、代替的に約15ng/mL~約30ng/mL、代替的に約50ng
/mL、又は約25ng/mLのFGF7も含んでよい。例えば、培地は、約0.25m
Mのアスコルビン酸及び約50ng/mLのFGF7を含んでよい。その他培地の構成成
分として、約2.7g/1000mL~3.6g/1000mL、好ましくは2.7g/
1000mLの重炭酸ナトリウム;約0.1%~2.0%、好ましくは約0.5%のFA
F-BSA;1:100(「1×濃度」)に希釈したGlutaMAX(商標);及び、
10mM濃度のD-グルコースを得るための、約2mM~20mMの範囲の濃度、好まし
くは4.5mMのD-グルコースを含んでよい。一実施形態では、胚体内胚葉細胞に特徴
的なマーカーを発現している細胞は、FGF7及びアスコルビン酸で2日間処理される。
胚体内胚葉細胞の分化は、細胞が原始腸管細胞に特徴的なマーカーの発現、例えばFOX
A2の発現及びHNF4αの発現増加を始めた際に検出され得る。実施形態では、原始腸
管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞は、原始腸管である。
【0057】
3.原始腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の、中腸内胚葉細胞に特徴的
なマーカーを発現している細胞への分化
原始腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、中腸内胚葉細胞に特徴的なマ
ーカーを発現している細胞へと更に分化できる。一実施形態では、原始腸管細胞を、レチ
ノイン酸及びBMP4又はBMP2を添加したBLAR培地(Life Technol
ogies,Corporation,Carlsbad,California)など
の培地中で培養することにより、中腸内胚葉細胞に更に分化させる。好ましい実施形態で
は、培地に、約0.5μM~約5μMのレチノイン酸、好ましくは約1μMと、約10n
g/mL~約100ng/mLのBMP4又はBMP2、好ましくは約50ng/mLの
BMP4又はBMP2を添加する。培地へのその他の添加成分として、約0.1%~2.
0%、好ましくは約0.5%のFAF-BSA;GlutaMAX(商標);及び、10
mM濃度のD-グルコースを得るための、約2mM~20mMの範囲の濃度、好ましくは
4.5mMのD-グルコースを含んでよい。一実施形態では、原始腸管細胞に特徴的なマ
ーカーを発現している細胞は、BMP4又はBMP2及びレチノイン酸で、3~5日間、
好ましくは5日間処理される。培地のpHは、5日間のステージ3コンディショニング期
間中、6.8~7.2の範囲であってよい(7.3以上であるS2D2での通常pHと比
べて)。
【0058】
本発明は、中腸内胚葉細胞を発生させるために選択された培地中でヒト多能性幹細胞を
培養することによる、中腸内胚葉細胞集団の産生方法に関する。実施形態では、この方法
は、ヒト多能性幹細胞の、段階的プロセスでの中腸内胚葉細胞への分化を誘導する。実施
形態では、中腸内胚葉細胞集団が産生される。いくつかの実施形態では、実質的に中腸内
胚葉細胞集団が産生される。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、平面培養において単層を
形成し、その単層を維持する。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、培地中で単層として安
定である。本明細書で、単層として安定、又は単層として安定のままである細胞とは、培
養液中でスフェロイドを形成しない単層細胞を指す。
【0059】
実施形態では、分化細胞の50%超が、中腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現する。実
施形態では、分化細胞の60%超、70%超、80%超、90%超、又は95%超が、中
腸内胚葉に特徴的なマーカーを発現する。実施形態では、中腸内胚葉に特徴的なマーカー
を発現する分化細胞は、中腸内胚葉細胞である。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、FA
CS分析及びqPCRによって測定するとき、CDX2及びFOXA2を発現する。いく
つかの実施形態では、中腸内胚葉細胞は、IF分析及びqPCRによって測定するとき、
SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5から選択される転写因子を発現する。実施
形態では、中腸内胚葉細胞は、IF分析及びqPCRによって測定するとき、SOX2、
ALB、PTF1A、並びにqPCRによって測定するとき、HOXA13及びLGR5
から選択される転写因子を発現しない。
【0060】
本発明の更なる実施形態は、培養液中の胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化を誘導
することを含む、中腸内胚葉細胞を産生する方法である。実施形態では、胚体内胚葉細胞
は、アスコルビン酸及びFGF7を含む培地中で培養される。更なる実施形態では、原始
腸管細胞は、レチノイン酸及びBMP2又はBMP4を含む培地中で培養される。原始腸
管細胞は、中腸内胚葉細胞に分化する。いくつかの実施形態では、原始腸管細胞は、酸性
条件下(酸性培地)で中腸内胚葉細胞に分化する。特定の実施形態では、酸性条件とはB
LAR培地中での培養である。酸性培地のpHは、原始腸管細胞から中腸内胚葉細胞への
5日間の分化コンディショニング期間中、6.8~7.2の範囲であってよい(7.3以
上であるS2D2での通常pHと比べて)。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、培地中で
単層を形成し、その単層を維持する。
【0061】
本明細書に記載される実施形態のそれぞれにおいて、ヒト多能性幹細胞は、hESC又
はiPS細胞である。上記かつ本明細書に記載される実施形態のそれぞれにおいて、中腸
内胚葉細胞は、FACS分析及びqPCRによって測定するとき、CDX2及びFOXA
2を発現する。全ての実施形態では、中腸内胚葉細胞は、IF分析及びqPCRによって
測定するとき、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5から選択される転写因子を
発現する。上記かつ本明細書に記載される実施形態では、中腸内胚葉細胞は、IF分析及
びqPCRによって測定するとき、SOX2、ALB、PTF1A、並びにqPCRによ
って測定するとき、HOXA13及びLGR5から選択される転写因子を発現しない。上
記かつ本明細書に記載される実施形態では、中腸内胚葉細胞は、IF分析及びqPCRに
よって、CDX2、FOXA2、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5を発現す
る。実施形態のそれぞれにおいて、中腸内胚葉細胞は、IF分析及びqPCRによって測
定するとき、SOX2、ALB、PTF1Aを、並びにqPCRによって測定するとき、
HOXA13及びLGR5を発現しない。
【0062】
上記かつ本明細書に記載される分化プロトコールの結果として、特定の培地成分及び培
養条件、特に、BLAR培地中での培養などの酸性培養条件を用いて、中腸内胚葉細胞の
マーカーを発現している培養細胞が産生され、qPCRによって測定するとき、この細胞
は、中胚葉/間葉細胞系統のマーカーであるHAND1の発現を欠いている。多能性幹細
胞を中腸/後腸内胚葉系統に誘導するための分化プロトコールを、例えば原始腸管細胞ス
テージ2ではなく胚体内胚葉ステージ1において幹細胞を誘導するように変更すると、q
PCRによって測定するときHAND1を発現している、内胚葉-間葉CDX2+中腸/
後腸細胞の混合集団が得られる。
【0063】
特定の実施形態では、中腸内胚葉細胞集団は、実質的に中腸内胚葉細胞である。いくつ
かの実施形態では、中腸内胚葉細胞の集団は、70%超の中腸内胚葉細胞、好ましくは8
0%超、90%超、及び95%超の中腸内胚葉細胞を含む。いくつかの実施形態では、中
腸内胚葉細胞の集団は、20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満
、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満の間葉細胞を含む。実施形態では、中腸
内胚葉細胞は、HAND1の発現を欠いている。
【0064】
分化した中腸内胚葉細胞の使用
本発明の別の実施形態では、分化した中腸内胚葉細胞を単独で、又は分化した、つまり
成熟した内分泌細胞、例えば腸内分泌細胞と組み合わせて、糖尿病に罹っている、又は糖
尿病発症のリスクがある患者の治療に使用できる。かかる実施形態では、分化した中腸内
胚葉細胞又はそれらの混合物を、糖尿病、例えば1型又は2型糖尿病の患者に投与しても
よい。実施形態では、中腸内胚葉細胞は、腸内分泌細胞に分化して成熟する。実施形態で
は、中腸内胚葉細胞は、腸内分泌細胞に分化して成熟し、腸内分泌細胞はインクレチン型
ホルモンを発現又は分泌する。実施形態では、インクレチンホルモンとして、GLP1及
びGIPが挙げられる。細胞の投与は、体内への移植又は注入、特に皮下腔、網膜、肝臓
、腎臓などへの移植によるものであってよい。
【0065】
上記本発明のいくつかの実施形態では、中腸内胚葉細胞の分化がin vitroで誘
導される。他の実施形態では、中腸内胚葉細胞は、in vivoで更に分化し成熟する
。別の実施形態は、in vivoで腸内分泌細胞に、又はin vivoで腸内分泌細
胞の混合物に更に分化する、中腸内胚葉細胞に関する。かかる腸内分泌細胞は、インクレ
チンホルモンを発現又は分泌する。実施形態では、腸内分泌細胞が分泌するインクレチン
ホルモンは、GLP1及びGIPである。
【0066】
更なる実施形態では、中腸内胚葉細胞は、中腸内胚葉細胞型の、最初に腸内分泌前駆細
胞へ、次にインクレチンを発現又は分泌する腸内分泌細胞へのin vitro分化を高
い効率で促進する小分子を同定するための出発物質として働く。
【0067】
細胞及び細胞集団及び本明細書に記載されるものなどの混合物をマイクロ又はマクロ封
入化した後、哺乳類の宿主に移植してもよい。封入細胞又は細胞単独を、皮下又は体内の
いずれかの場所に移植(投与)することができ、それによって細胞は、in vivoで
血管形成され、分化した成熟することができる。
【実施例0068】
本発明は、以下の非限定的な実施例を考察することによって更に理解され得る。
【0069】
(実施例1)
CDX2及びFOXA2が共存/共発現している中腸内胚葉細胞集団の産生方法
以下の実施例は、ヒト胚性幹細胞(「hESC」)から中腸内胚葉細胞を発生させるた
めの分化誘導法について記載する。「中腸内胚葉」は、マウスの発生中の胎生期約8.5
日(「E8.5」)、又は、ヒト胚発生中の約3~4週の時点で存在するCDX2陽性か
つFOXA2陽性の内胚葉細胞である、対応するin vivo又はin situ細胞
型タイプを指す。
【0070】
材料及び方法
細胞培養:EZ8培地(カタログ#A1516901 Gibco,Thermo F
isher Scientific)で培養した、継代数28のヒト胚性幹細胞株H1細
胞(「H1-hESC」)(WA01細胞、WiCell Research Inst
itute,Madison,Wisconsin)を、0.094×10個/cm
の単一細胞として、1:30希釈のMATRIGEL(商標)(Corning Inc
orporated,Corning,New York、カタログ#356231)を
コーティングしたディッシュで、以下を含むダルベッコ変性イーグル培地栄養素混合液F
-12(「DMEM-F12」)(Life Technologies Corpor
ation,Carlsbad,California、カタログ番号11330-03
2)中に播種した。
【0071】
【表1】
【0072】
播種から48時間後、培養物を不完全PBS(マグネシウム又はカルシウムを含まない
リン酸緩衝生理食塩水)(Life Technologies,Carlsbad,C
alifornia、カタログ番号14190)で洗浄した。Rock阻害剤Y-276
32(Y化合物)は、培養の最初の24時間のみ使用した。
【0073】
分化:以下のプロトコールを用いて培養物を分化させた。プロトコールのステージ1~
3の間、培養物を平面付着培養上で維持した。ただし、その全体が参照することにより本
明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0242693号などの他のもので
は、懸濁培養を用いる分化について記載されており、本明細書に記載されるプロトコール
を変更し、大規模製造の可能性をもたらす懸濁で実施することができる。以下の表記であ
るS#D#は、ステージ1~3の間の実際の時点を示す。例えば、S1D3は、1ステー
ジの3日目である。簡潔に言えば、各ステージは、胚体内胚葉(ステージ1)、原始腸管
(ステージ2)、及び中腸内胚葉(ステージ3)への分化と定義する。
【0074】
a.ステージ1(3日間):細胞を、以下のステージ1培地で1日間培養した。
【0075】
【表2】
【0076】
続いて翌日は、細胞を以下の培地で培養した。
【0077】
【表3】
【0078】
続いて翌日は、細胞をMCX化合物を含まない2日目と同じ培地中で培養した。
【0079】
b.ステージ2(2日間):細胞を以下の培地で2日間処理した。
【0080】
【表4】
【0081】
c.ステージ3(5日間):細胞をBLAR001特注培地で5日間処理した。
【0082】
【表5】
【0083】
図1A~4B(BMP4)、図5A~7(BMP2)に示されるように、BMP4又は
BMP2のいずれかを本発明の方法のステージ3の間に用いて、CDX2及びFOXA2
タンパク質が共存している単層の中腸内胚葉細胞を実現できる。
【0084】
【表6】
【0085】
分化細胞の定量:共局在化して存在しているタンパク質の定量には、S3D5細胞を回
収し、FACSにより分析した。FACS染色は、表IIに記載される抗体を用いて、そ
の全体が参照することにより本明細書に組み込まれるNature Biotechno
logy,2014(32)11,1121~1133に記載されるように実施した。簡
潔に言うと、分化細胞をTrypLE(商標)Express(Life Techno
logies,Carlsbad,California、カタログ番号12604)中
で5~10分間37℃でインキュベートし、単一細胞懸濁液へと放出した後、それらを0
.2% BSAを含有するPBSの染色緩衝液(BD Biosciences,San
Jose,California、カタログ番号554657)で2回洗浄した。細胞
内抗体染色は、LIVE/DEAD紫色蛍光反応染料(Life Technologi
es,Carlsbad,California、カタログ番号L34955)を4℃で
30分間用いて、続いて冷PBSで1回洗浄することによって達成した。細胞の固定は、
300μLのCytofix/Cytoperm緩衝液(BD Biosciences
,San Jose,California、カタログ番号554723)と、続いてP
erm/Wash緩衝液(BD Biosciences,San Jose,Cali
fornia、カタログ番号554722)で2回洗浄することにより行った。続いて、
細胞を適切な抗体と共に4℃で30分間(非結合抗体)又は1時間(結合抗体)インキュ
ベートした後、2回洗浄し、その後、獲得される事象を少なくとも30,000にしてB
D FACS Divaソフトウェアを用い、BD FACS Canto IIで分析
した。FACS分析中、非生細胞は除外し、ゲーティングはアイソタイプ抗体(「IgG
」)を用いて決定した。IgG FACSデータは、示される各FACS実験で上側の図
として示す。抗体の特異性は、Caco-2細胞などの陽性対照、又はS1D3胚体内胚
葉(「DE」)細胞などの陰性対照を用いて検査した。
【0086】
【表7】
【0087】
様々なステージにおけるタンパク質の共局在化の定量には、Caco-2、S2D2、
S3D2及びS3D5細胞を単層として回収し、免疫蛍光法(「IF」)により分析した
。IF像で見られる形態は、付着培養の単層の細胞を掻き取る方法が原因であることに留
意されたい。H1-hESC由来細胞を、表IIIに記載される抗体を用いて、Natu
re Biotechnology,2014(32)11,1121~1133に記載
されるように調製し、染色した。凍結切片作製のため、細胞をPBSで洗浄した後、4℃
の4%PFA(Sigma Aldrich,St.Louis,Missouri、カ
タログ番号158127)中で一晩固定した。固定後、4%PFAを除去し、細胞をPB
Sで2回洗浄して、4℃の30%スクロース溶液(Amresco,Solon,Ohi
o、カタログ番号0335)中で一晩インキュベートした。これらのサンプルを試料は、
OCT溶液(Sakura Finetek USA Inc.,Torrance,C
alifornia、カタログ番号4583)中で凍結保存し、5μmの切片を、Sup
erfrost plusスライド(VWR International,LLC,R
adnor,PA、カタログ番号48311~703)に置いた。IF染色には、一次抗
体を適切に希釈して4℃で一晩加え、一方二次抗体は室温で30分間加えた後に、PBS
で洗浄し、DAPIを含むVectastain封入試薬(Vector Labora
tories Inc.,Burlingame,California、カタログ番号
H-1200)を加えた。Nikon Ti蛍光顕微鏡(Nikon Instrume
nts,Inc.,Melville,NY)を用いて切片を可視化した。
【0088】
【表8】
【0089】
様々なステージにおける遺伝子発現の定量には、Caco-2、H1-hESC、S1
D3、S2D2、S3D2及びS3D5細胞を、Nature Biotechnolo
gy,2014(32)11,1121~1133に記載されるように回収した。簡潔に
言えば、遺伝子発現を、特注のTaqman(登録商標)アレイ(Applied Bi
osystems,Foster City,California)を用いて細胞内で
評価するものであるが、Open Array(登録商標)(OA)は、CDX2、FO
XA2、SOX2、SOX9、PDX1、ALB、PTF1Aに使用し、Taqman(
登録商標)低密度アレイ(TLDA)は、KLF5、HOXC5、及びLGR5に使用し
、ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHは両方で使用した。配列検出用ソフトウェア
(Applied Biosystems,Foster City,Californ
ia)を用いてデータを解析し、ΔΔCt法を用いて、未分化H1-hESCに対してハ
ウスキーピング遺伝子としてのGAPDHを用いて補正した。プライマーの詳細は、表I
Vに示す。
【0090】
【表9】
【0091】
結果
各ステージで添加された重要な培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内胚葉細
胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(FOXA2、CDX2、KLF5、SOX9
、及びPDX1LO)を含む、分化方法の概要を図1Aに示す。S2D2と記される中性
pH(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3全体の間に、BLAR培地中で
、BLAR培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに曝
した(pH;S3D1、6.98±0.05;S3D2、7.02±0.04;S3D5
、7.18±0.03)(図1B)。ステージ3の5日間の間、培養液のpHは約6.8
~7.2の範囲であってよい。図1Cは、S3D5単層(左)及びヒト結腸腺癌上皮細胞
株(「Caco-2」)(右)(分化の特徴の基準として使用した)の代表的な位相差画
像を示す。S3D5における均一な形態が観察された。Nucleocounter(登
録商標)NC-100(Chemometec(Alleroed,Denmark)、
カタログ番号900-004)を用いて細胞数を確認すると、1つのhESCが、4.5
6±2.60個のS3D5後腸内胚葉細胞に分化したことを示す(図1D)。
【0092】
BMP4を利用する分化方法は、転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2及びFO
XA2の両方をそれぞれ含む、単層の中腸内胚葉細胞を効率的に発生させ、維持する。図
2A(下)は、Caco-2細胞で観察される割合(86.0±6.67)と同様に、9
0.0±5.85パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の
両方が共存していたことを示す。逆に、胚体内胚葉(DE-S1D3)細胞は、CDX2
及びFOXA2が共存していなかった(2.3±1.2)。遺伝子発現解析により、ステ
ージ3の間に、CDX2が誘導され(図2B)、FOXA2が維持された(図2C)こと
が示される。図2Dは、FOXA2陽性の原始腸内胚葉ステージであるS2D2(図2D
-i)の樹立後に、S3D2(図2D-ii)の間に徐々に増加し、S3D5(図2D
iii)において、Caco-2細胞(図2D-iv)に見られるのと同様のレベルに達
するように、CDX2タンパク質レベルが誘導され、CDX2/FOXA2タンパク質が
共存することを示す。CDX2タンパク質は下列に示され、FOXA2タンパク質は上列
に示される。
【0093】
継続的な中腸内胚葉誘導を構成する、追加のTFの転写レベル及びタンパク質レベルは
、S3D5において見られる。図3A~3Pは、正常な中腸内胚葉が得られたことを示す
。CDX2及びFOXA2の共存に加え、S3D5細胞は、SOX9、PDX1、KLF
5、HOXC5の共存も示したが、SOX2、ALB、PTF1A、及びLGR5は発現
しなかった。全てのTFのタンパク質の存在が、別々の単一チャネル画像に示される。図
3A(下)は、S3D5において、98.7±0.25パーセントの細胞にCDX2及び
SOX9の両方が共存していたことを示す。SOX9遺伝子発現の強い誘導は、Caco
-2細胞で観察されるのと匹敵するレベルであり(図3B)、IF分析によって評価され
るタンパク質の存在が観察された(図3C)。69.4±14.2パーセントの細胞が、
CDX2及びPDX1の両方に共陽性であった(図3D-下)。PDX1遺伝子発現は、
膵臓に偏ったS4D3細胞(例えば、米国特許出願公開第2014/0242693号)
図3E)と比較して低いレベルで誘導され、IF分析での低レベル~存在しないタンパ
ク質を反映した(図3F)。
【0094】
S3D5細胞は、前方内胚葉TFであるSOX2を発現せず、S3D5細胞の1.45
±0.15のみがSOX2及びCDX2の共存を示し(図3G-下;図3I)、遺伝子発
現は、hESC及びCaco-2細胞(図3H)に見られるレベルより低かった。後腸内
胚葉の正常な発達に必須であるKLF5の遺伝子発現は、S3D5で上方制御されていた
図3J)。S3D5において、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察
された(図3K)。ALB遺伝子の発現(図3L)及びタンパク質の存在(図3M)は、
S3D5細胞で観察されなかった。同様に、膵臓系列のマーカーであるPTF1Aの遺伝
子発現は、膵臓に偏ったS4D3細胞(図3N)と比較して、S3D5細胞では誘導され
なかった。胚性中腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5は、S3
D5細胞内で強く誘導された(図3O)。図3Pは、マウスの妊娠中期に見られ始める胚
性腸管内胚葉マーカーであるLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(
図3P)。図3Qは、後腸内胚葉のマーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導
されなかったことを示す(図3P)。
【0095】
図4A~4Bは、分化しているS3D5細胞の増殖プロファイルを示す。図4Aは、C
DX2タンパク質陽性細胞のほとんどの細胞周期が活性化されている(KI67タンパク
質との共発現によって示される)Caco-2細胞(左)及び、経時的に減少したステー
ジ3中のH1-hESC由来細胞の増殖指標(S3D2-中;S3D5-右)を示す。C
DX2(上列)及びKI67(下列)のタンパク質レベルは、単一チャネル画像として示
される。FACSによって評価された、総S3D5細胞中のKI67タンパク質陽性細胞
の割合(総細胞は、>90%がCDX2陽性)は、S1D3(97.3±1.3)及びC
aco-2細胞(99.2±0.2)とは対称的に、16.8±3.12であった(図4
B)。
【0096】
BMP2は、CDX2及びFOXA2タンパク質が共存している中腸内胚葉細胞の単層
を産生するための本発明の方法におけるステージ3中で、BMP4の代替として使用でき
る。図5Aは、各ステージで添加された培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸内
胚葉細胞の分化の主要なステージ特異的マーカー(FOXA2、CDX2、KLF5、S
OX9、及びPDX1LO)を含む、分化方法の概要を示す。S2D2と記される中性p
H(7.35±0.04)と比べて、細胞をステージ3全体の間に、BLAR培地中で、
BLAR酸性培地中の重炭酸ナトリウム濃度を低下させてわずかに酸性条件にしたものに
曝した(pH;S3D1、6.92;S3D2、7.01;S3D5、7.22)(図5
B)。図5Cは、S3D5単層(左)及びCaco-2細胞(右)の代表的な位相差画像
を示す。S3D5における均一な形態が観察された。
【0097】
この分化方法は、転写レベル及びタンパク質レベルでCDX2、FOXA2、KLF5
、SOX9、PDX1LO及びHOXC5をそれぞれ含む、単層の正常な中腸内胚葉細胞
を発生させ、維持する。全てのTFタンパク質レベルを単一チャネルのIF画像として示
す。図6A(下)は、Caco-2細胞で見られる割合(86.0±6.67)と同様に
、94パーセントのS3D5細胞に、CDX2及びにFOXA2タンパク質の両方が共存
していたことを示す。遺伝子発現解析により、ステージ3の間に、CDX2が誘導され(
図6B)、FOXA2が維持された(図6C)ことが示される。図6Dは、CDX2タン
パク質レベルとCDX2/FOXA2タンパク質の完全な共存が、S3D5において誘導
され(図6D)、これが、Caco-2細胞(図2D-iv)で観察されるレベルに匹敵
していることを示す。図6E(下)は、S3D5において、99.8パーセントの細胞に
CDX2及びSOX9の両方が共存していたことを示す。SOX9遺伝子発現の強い誘導
は、Caco-2細胞と同様のレベルで観察され(図6F)、IF分析によって評価され
るタンパク質の存在が観察された(図6G)。45.5パーセントの細胞が、CDX2及
びPDX1の両方に共陽性であった(図6H-下)。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6I
)と比較して、PDX1遺伝子発現は低いレベルで誘導され、IF分析では、低レベル~
存在しないタンパク質が反映された(図6J)。前方内胚葉TFであるSOX2は、S3
D5細胞において観察されず、S3D5細胞の0.8パーセントがSOX2及びCDX2
の共存を示し(図6K-下;図6M)、遺伝子発現は、hESC及びCaco-2細胞(
図6L)に見られるレベルより低かった。後腸内胚葉の正常な発達に必須のマーカーであ
るKLF5の遺伝子発現は、S3D5で強く上方制御されていた(図6N)。S3D5に
おいて、CDX2陽性細胞内でKLF5タンパク質の共存が観察された(図6O)。AL
B遺伝子の発現(図6P)及びタンパク質の存在(図6Q)は、S3D5細胞で観察され
なかった。膵臓に偏ったS4D3細胞(図6R)と比較するとき、S3D5細胞では、膵
臓系列に割り当てられるTFであるPTF1Aの遺伝子発現は誘導されなかった。胚性中
腸内胚葉中に存在するホメオボックス遺伝子であるHOXC5は、S3D5細胞内で強く
誘導された(図6S)。図6Tは、妊娠中期に見られ始める胚性腸管内胚葉マーカーであ
るLGR5が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す。図6Uは、後腸内胚葉のマ
ーカーであるHOXA13が、S3D5細胞で誘導されなかったことを示す(図6U)。
【0098】
図7は、分化しているS3D5細胞の増殖プロファイルの特徴であり、CDX2タンパ
ク質陽性細胞のほとんどの細胞周期が活性化されている(KI67タンパク質との共発現
によって示される)Caco-2細胞(左)と比較して、ステージ3中のH1-hESC
由来細胞の増殖指標が減少した(S3D5-右)。CDX2(上列)及びKI67(下列
)のタンパク質レベルは、単一チャネル画像として示される。FACSによって評価され
た、総S3D5細胞中のKI67タンパク質陽性細胞の割合(総細胞は、>90%がCD
X2陽性)は、S1D3(97.3±1.3)及びCaco-2細胞(99.2±0.2
)で見られる割合とは対称的に、14.1であった(図7、4B)。
【0099】
(実施例2)
胚体内胚葉から開始し、FGF4及びWNTアゴニストを使用する腸管培養は、CDX
2+中腸/後腸細胞の内胚葉-間葉混合物を産生する
この実施例は、胚体内胚葉ステージで開始し、FGF4及びWNTアゴニストを使用す
る、腸管培養から産生される内胚葉-間葉混合品質のCDX2+中腸/後腸細胞を実証す
る(Spence et al.,Nature,2011;470:105~109;
Watson et al.Nature Med,2014;11:1310~131
4)。Spenceら(以下)に記載される中腸/後腸内胚葉細胞への誘導を調べるため
、以下のプロトコールを用いてhESCを分化させた。この実施例で概説される分化条件
は、(i)腸管状態の開始点が胚体内胚葉で始まる、(ii)RA及びBMP4又はBM
P2とは異なる成長因子及び小分子を用いる、及び(iii)酸性培養条件を使用しない
点において、実施例1とは異なることに留意されたい。
【0100】
材料及び方法
細胞培養:H1-hESC細胞を、実施例1に記載されるように培養し、維持した。
【0101】
分化:以下のプロトコールを用いて培養物を分化させた。
【0102】
ステージ1-ミミック(3日間):細胞を、以下のステージ1培地で1日間培養した。
【0103】
【表10】
【0104】
続いて翌日は、細胞を以下の培地で培養した。
【0105】
【表11】
【0106】
続いて翌日は、細胞を以下の培地で培養した。
【0107】
【表12】
【0108】
ステージ1後(2日間):例えば、pS1d1は、ステージ1後1日目、pS1d2は
、ステージ1後2日目である。細胞を、地下のステージ1後培地で2日間培養した。
【0109】
【表13】
【0110】
定量化:位相差撮像及び遺伝子発現の定量化は、実施例1の手順に従った。
【0111】
結果
各ステージで添加される培地成分、成長因子及び小分子、並びに、中腸/後腸内胚葉細
胞の分化のサイン、つまり主要なステージ特異的マーカー(HAND1)を含む、分化方
法の概要を図8Aに示す。腸管状態(ステージ1後)は、500ng/mLのFGF4、
及び、3μMのChiron99021(Watsonet al.)、又は500ng
/mLのWnt3A(Spence et al.)のいずれかと共に、胚体内胚葉ステ
ージで開始した。用語「ステージ1-ミミック」は、実施例1に記載されるステージ1の
コンディショニングを指す「S1D3-オリジナル」とは異なる、本実施例の胚体内胚葉
の分化プロトコールを指す。図8Bは、H1-hESC細胞(上列、左)、500ng/
mLのFGF4及び3μMのChiron99021で2日間コンディショニングしたス
テージ1後の細胞(上列、中)、500ng/mLのFGF4及び500ng/mLのW
nt3Aで2日間コンディショニングしたステージ1後の細胞(上列、右)と共に、RA
/BMP4でコンディショニングしたS3D5単層(下列、左)、及び、RA/BMP2
でコンディショニングしたS3D5単層(下列、右)(実施例1」)の、位相差画像を示
す。
【0112】
CDX2遺伝子発現の誘導は、2日間のコンディショニング後に達成されたが、RA/
BMP2又はRA/BMP4のS3D5に比べてはるかに低いレベルであった(図8C
。しかし、内胚葉マーカーであるFOXA2の遺伝子発現は維持され(図8D)、中胚葉
/間葉マーカーであるHAND1は強く誘導された(図8F)。また、RA/BMP4及
びRA/BMP2によるコンディショニングとは異なり、2日間の時点でKLF5は誘導
されなかった(図8E)。図8Fに最終的に示されるように、この遺伝子発現パターンは
、Watson et al.及びSpence et al.で見られる、CDX2
FOXA2内胚葉集団だけではなく、かなりの間葉系CDX2細胞集団も含む、不均
一な細胞集団を反映している。対称的に、RA/BMP4又はRA/BMP2のステージ
2後(原始腸管細胞)のコンディショニングは、中胚葉/間葉マーカーであるHAND1
を誘導せず、内胚葉CDX2FOXA2集団のみが誘導された。
【0113】
本発明及び本発明の様々な実施形態を説明する際に、明瞭化のために特定の用語が用い
られる。しかしながら、本発明は、選択された特定の用語に限定されるように意図されて
いない。関連分野の当業者であれば、他の同等の構成要素を使用することができ、また、
本発明の広い概念から逸脱することなく他の方法を開発することができることを認識する
であろう。本明細書のいずれかにおいて引用される全ての参照文献は、それぞれが個別に
組み込まれているかのように参照により組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図3P
図3Q
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図6M
図6N
図6O
図6P
図6Q
図6R
図6S
図6T
図6U
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願図面に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
本発明及び本発明の様々な実施形態を説明する際に、明瞭化のために特定の用語が用い
られる。しかしながら、本発明は、選択された特定の用語に限定されるように意図されて
いない。関連分野の当業者であれば、他の同等の構成要素を使用することができ、また、
本発明の広い概念から逸脱することなく他の方法を開発することができることを認識する
であろう。本明細書のいずれかにおいて引用される全ての参照文献は、それぞれが個別に
組み込まれているかのように参照により組み込まれる。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.ヒト多能性幹細胞を培地中で培養し、中腸内胚葉細胞への分化を誘導することを含み、が産生される、中腸内胚葉細胞集団の産生方法。
2.ヒト多能性幹細胞を培地中で培養し、中腸内胚葉細胞への分化を誘導することを含み、前記分化細胞が中腸内胚葉細胞であり、前記中腸内胚葉細胞が単層を形成し、前記単層として維持する、中腸内胚葉細胞集団の産生方法。
3.前記方法が、
a.GDF-8及びGSK3β阻害化合物を含む第1の培地中で前記ヒト多能性幹細胞を培養し、胚体内胚葉細胞にする工程と、
b.アスコルビン酸及びFGF7を含む第2の培地中で前記胚体内胚葉細胞を培養し、原始腸管細胞にする工程と、
c.レチノイン酸及びBMP2又はBMP4を含む第3の培地中で原始腸管細胞を培養し、中腸内胚葉細胞にする工程と、を含む、上記1又は上記2に記載の方法。
4.前記中腸内胚葉細胞がCDX2及びFOXA2を発現する、上記1又は上記2に記載の方法。
5.前記中腸内胚葉細胞が、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5からなる群から選択される転写因子を発現する、上記1又は上記2に記載の方法。
6.前記中腸内胚葉細胞が、SOX2、ALB、PTF1A、HOXA13及びLGR5からなる群から選択される転写因子を発現しない、上記1又は上記2に記載の方法。
7.前記中腸内胚葉細胞が、培地中で単層を形成し、前記単層を維持する、上記1に記載の方法。
8.前記細胞集団が間葉細胞を含まない、上記1又は上記2に記載の方法。
9.前記細胞集団がHAND1を発現しない、上記1又は上記2に記載の方法。
10.前記分化がin vitroで誘導される、上記1又は上記2に記載の方法。
11.ヒト多能性幹細胞を中腸内胚葉細胞に分化させる工程と、前記分化細胞を患者に移植する工程と、を含む、糖尿病に罹っている、又は糖尿病発症のリスクがある患者の治療方法。
12.前記移植された中腸内胚葉細胞をin vivoで分化させることを更に含む、上記11に記載の方法。
13.前記糖尿病が1型又は2型である、上記11に記載の方法。
14.前記中腸内胚葉細胞が、in vivoで腸内分泌細胞に更に分化し、前記腸内分泌細胞がインクレチンホルモンを分泌する、上記12に記載の方法。
15.前記インクレチンホルモンがGLP1及びGIPである、上記14に記載の方法。
16.前記中腸内胚葉細胞がCDX2及びFOXA2を発現する、上記11に記載の方法。
17.前記中腸内胚葉細胞が、SOX9、PDX1、KLF5及びHOXC5からなる群から選択される転写因子を発現する、上記11に記載の方法。
18.前記中腸内胚葉細胞が、SOX2、ALB、PTF1A、HOXA13及びLGR5からなる群から選択される転写因子を発現しない、上記11に記載の方法。
19.培養液中の胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化を誘導することを含み、前記胚体内胚葉細胞をアスコルビン酸及びFGF7を含む培地中で培養する、中腸内胚葉細胞の産生方法。
20.前記原始腸管細胞を、レチノイン酸及びBMP2又はBMP4を含む培地中で培養し、中腸内胚葉細胞に分化させる、上記19に記載の方法。
21.前記培地が酸性である、上記19に記載の方法。
22.前記中腸内胚葉細胞が、培地中で単層を形成し、前記単層を維持する、上記19に記載の方法。
【外国語明細書】