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  • 特開-冷却手袋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132255
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】冷却手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20220901BHJP
   A61F 7/10 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A41D19/00 N
A41D19/00 Z
A61F7/10 330K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031281
(22)【出願日】2021-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】521086936
【氏名又は名称】石原 邦尉
(71)【出願人】
【識別番号】521088608
【氏名又は名称】高橋 耕平
(71)【出願人】
【識別番号】521086947
【氏名又は名称】高桑 良明
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 耕平
(72)【発明者】
【氏名】高桑 良明
【テーマコード(参考)】
3B033
4C099
【Fターム(参考)】
3B033AA03
3B033AA25
3B033AA29
3B033AB08
3B033AB10
3B033AB11
4C099AA02
4C099CA08
4C099EA05
4C099GA30
4C099HA01
4C099NA06
(57)【要約】
【課題】 簡素な構造により使用者の手を冷却することのできる冷却手袋を提供する。
【解決手段】 本開示による冷却手袋は、流動性の保冷剤を封じた柔軟な袋体と、この袋体を内側に着脱自在に受け入れる伸縮性の筒状体と、を備えている。袋体は、手を差し入れる空洞を有している。また、袋体は、空洞に通された手の表と裏との双方を冷却するように、空洞の表側と裏側との双方において保冷剤を封じている。さらに、筒状体は、袋体を内側に受け入れたときに、伸縮性により袋体を締める方向に押圧する。また、筒状体は、その側壁に、親指を通すための孔を有している。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性又はゲル状の保冷剤を封じた柔軟な袋体と、前記袋体を内側に着脱自在に受け入れる伸縮性の筒状体と、を備え、
前記袋体は、手を差し入れる空洞を有し、
前記袋体は、前記空洞に差し入れられた前記手の表と裏との双方を冷却するように、前記空洞の表側と裏側との双方において前記保冷剤を封じており、
前記筒状体は、前記袋体を前記内側に受け入れたときに、前記伸縮性により前記袋体を締める方向に押圧する、冷却手袋。
【請求項2】
前記筒状体は、その側壁に、親指を通すための孔を有している、請求項1に記載の冷却手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手を冷却する冷却手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
クライミングやバスケットボールなどのスポーツにより、手に炎症ができることがあり、手を冷却することが、回復を早める良好な方法として知られている。しかし、冷水に手を浸(つ)けておくという方法では、手を冷やしている間、居場所や体の姿勢が拘束されるという問題があった。
【0003】
これに対し、保冷剤を装着可能な手袋(例えば特許文献1,2に開示される手袋)が、従来より知られている。これらの手袋は、使用者が手を入れることにより、手を冷やすことを可能にするものであることから、使用者の身体の姿勢や移動を拘束しないという利点がある。
【0004】
しかし、特許文献1に開示される手袋では、手袋に保冷剤を保持するためのポケットを設ける必要があり、構造が複雑であるという問題点があった。また、特許文献2に開示される手袋は、手袋の内部が何層もの空間に分かれており、そのいずれかの空間に、手と冷却剤とを別々に挿入することによって使用に供されるものであり、同様に構造が複雑であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-174101号公報
【特許文献2】特許第5630806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、簡素な構造により使用者の手を冷却することのできる冷却手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、冷却手袋であって、流動性又はゲル状の保冷剤を封じた柔軟な袋体と、前記袋体を内側に着脱自在に受け入れる伸縮性の筒状体と、を備えている。前記袋体は、手を差し入れる空洞を有している。また、前記袋体は、前記空洞に差し入れられた前記手の表と裏との双方を冷却するように、前記空洞の表側と裏側との双方において前記保冷剤を封じている。さらに、前記筒状体は、前記袋体を前記内側に受け入れたときに、前記伸縮性により前記袋体を締める方向に押圧する。
【0008】
この構成によれば、袋体を冷蔵庫又は冷凍庫などに入れておくことにより、保冷剤を冷却することができる。冷却後に袋体の空洞に手を差し入れることにより、手を冷却することができる。袋体は柔軟であり、保冷剤は流動性又はゲル状であるので、手を差し入れた袋体を筒状体の内側に入れることにより、伸縮性の筒状体の押圧力のために、保冷剤の入った袋体の手への密着性が良好となる。このため、手が効果的に冷却されるとともに、袋体が手から脱落し難い。それにより、使用者は移動等の活動を妨げられることなく、手を効果的に冷やすことができる。また、特許文献1,2に開示される冷却手袋とは異なり、保冷剤を封じた袋体を収容するためのポケットなどが不要であるので、構造が簡素である。なお、袋体が有する空洞は、その奥が、閉じていてもよく、開いていてもよい。
【0009】
特許文献1,2に開示される手袋が、手を入れる手袋に、保冷剤を封じた袋体を収容する構造であるのに対し、本構成は、保冷剤を封じた袋体を、手を入れる形状にし、袋体の密着を助けかつ脱落を防ぐ目的で、伸縮性の筒状体の中に、袋体を入れることとしたものである。すなわち、本構成は、従来技術からの発想の転換によって得られたものである。それにより、袋体を手袋に収容するための構造が不要となり、簡素な構造が達成されている。
【0010】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による冷却手袋であって、前記筒状体は、その側壁に、親指を通すための孔を有している。
【0011】
この構成によれば、使用者は、親指を空洞の外に出すようにして、手を袋体の空洞に差し入れ、筒状体の内側に袋体を入れた後に、親指を筒状体の孔を通じて筒状体の外に出すことができる。それにより、冷却手袋を手に装着した状態であっても、使用者は親指を使うことができ、例えば、スマートフォンの親指操作が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、簡素な構造により使用者の手を冷却することのできる冷却手袋が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態による冷却手袋を構成する要素の一つである袋体の構成を例示する平面斜視図である。
図2図1の袋体の断面図であり、(a)はA-A切断線に沿った断面図、(b)はB-B切断線に沿った断面図である。
図3図1の袋体とともに、本発明の一実施の形態による冷却手袋を構成する筒状体の構成を例示する平面斜視図である。
図4図1に例示した袋体と図3に例示した筒状体とを有する冷却手袋の使用状態を例示する平面斜視図である。
図5図1に例示した袋体と図3に例示した筒状体との試作品を例示する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態による冷却手袋を構成する要素の一つである袋体の構成を例示する平面斜視図である。図示例の冷却手袋101は、その構成要素の一つとして、袋体1を有している。袋体1は、柔軟性を有するプラスチックのフィルムないしシート製であり、流動性又はゲル状の保冷剤3を封じている。保冷剤3は、不凍液を含んでおり、零下20℃の家庭用冷凍庫内に袋体1を入れることにより保冷剤3を冷却しても、凍結せず、流動性又はゲル状体の弾性変形性を保持する。袋体1は、手を差し入れる空洞5を有しており、空洞5に入れられた手の表と裏との双方を冷却するように、空洞5の表側と裏側との双方において保冷剤3を封じている。図1は、手を空洞5に差し入れるときの入口となる開口部7が見えるように、上方斜め方向から見たときの袋体1を表している。
【0015】
図2は、袋体1の断面図であり、(a)はA-A切断線(図1参照)に沿った断面図、(b)はB-B切断線に沿った断面図である。袋体1の構造は、これらの断面図を参照することにより、より明確となる。袋体1は、2つの封止体11,12を貼り合わせることによって構成されている。封止体11,12は、互いに同一形状をなしている。封止体11,12は、それぞれ独立に保冷剤3を封じている。保冷剤3を保持する封止体11,12を互いに重ね合わせ、それらの辺縁部9を、開口部7を残して互いに熱融着することにより、空洞5を有する袋体1が形成される。このように、袋体1の製造は、容易に行い得る。
【0016】
図3は、袋体1(図1参照)とともに冷却手袋101を構成する筒状体21の構成を例示する平面斜視図である。筒状体21は、しなやかで、かつ伸縮性を有する素材、例えば、毛糸・人絹・化学繊維の編物又は織物、あるいはゴムによって作られている。筒状体21は、袋体1を内側23に着脱自在に受け入れることが可能となっている。筒状体21は、その基端部24に袋体1を出し入れする開口部25を有するほかに、図示例のように、先端部26にも開口部27を有していてもよい。筒状体21は、袋体1を内側23に受け入れたときには、自身の伸縮性により、袋体1を締める方向に押圧する。筒状体21は、その側壁28に、手の親指を通すための孔29を有している。
【0017】
図4は、袋体1と筒状体21とを有する冷却手袋101の使用状態を例示する平面斜視図である。図示例では、使用者の手31として左手を、手のひらが上面(図上手前側)に向く姿勢で表している。袋体1を家庭用電気冷蔵庫の冷蔵室又は冷凍室などに入れておくことにより、保冷剤3を冷却することができる。冷却後に袋体1の空洞5に手31を差し入れることにより、手31を冷却することができる。保冷剤3は流動性又はゲル状であるので、手31を入れた袋体1を筒状体21の内側23に入れることにより、伸縮性の筒状体21の押圧力のために、保冷剤3の入った袋体1の手31への密着性が良くなる。このため、手31が効果的に冷却されるとともに、袋体1が手31から脱落し難い。それにより、使用者は移動等の活動を妨げられることなく、自身の手31を効果的に冷やすことができる。
【0018】
使用者は、親指33を空洞5の外に出すようにして、手31を空洞5に差し入れ、筒状体21の内側23に袋体1を入れた後に、親指33を筒状体21の孔29(図3参照)を通じて筒状体21の外に出すことができる。それにより、使用者は手31を冷やしながら親指33を使うことができ、例えば、スマートフォンの親指操作が可能となる。
【0019】
図5は、冷却手袋101の試作品を例示する写真である。試作品において、筒状体21は、レーヨン(人絹)の編物製である。試作品が例示する通り、冷却手袋101は、特許文献1,2に開示される冷却手袋とは異なり、保冷剤を封じた袋体を収容するためのポケットなどが不要であるので、構造が簡素である。構造が簡素であるので、安価に製造することができる。また、袋体1は、ポリオレフィン樹脂フィルム製である。袋体1と筒状体21とが別体であり、袋体1は湯水により洗うことができ、アルコール等で拭き取ることもできる。また、筒状体21は家庭用洗濯機により普通に洗濯することができる。このように、冷却手袋101は、家庭内で簡単な方法で衛生に保つことができる。
【0020】
(その他の実施の形態)
袋体1は、その基端部に手31を出し入れする開口部7(図1参照)を有するほかに、手31の指先(親指33を除く)に近い先端部にも開口部を有していてもよい。すなわち、空洞5の奥は開いていても良い。それにより、親指33以外の手31の指先を袋体1の先端部から露出させ、さらに筒状体21の開口部27(図3参照)からも露出させることが可能となる。その結果、手31を冷やしながら、それらの指先が使えるようになる。
【0021】
手31の親指33を、筒状体21から露出させずに、他の指と一緒に袋体1の空洞5に入れる使い方も可能である。それにより、親指33も冷やすことができる。親指33を外に露出する必要が無いのであれば、筒状体21に、親指33を通す孔29を設けることを要しない。
【符号の説明】
【0022】
1 袋体、 3 保冷剤、 5 空洞、 7 開口部、 9 辺縁部、 11,12 封止体、 21 筒状体、 23 内側、 24 基端部、 25 開口部、 26 先端部、 27 開口部、 28 側壁、 29 孔、 31 手、 33 親指、 冷却手袋 101。
図1
図2
図3
図4
図5