(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132263
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/015 20060101AFI20220901BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20220901BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20220901BHJP
C01B 13/00 20060101ALI20220901BHJP
C01B 13/11 20060101ALI20220901BHJP
F24F 8/26 20210101ALI20220901BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61L9/015 ZAB
A61L9/22
B01D53/86 260
C01B13/00
C01B13/11 Z
F24F8/26
H05H1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031292
(22)【出願日】2021-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】505194262
【氏名又は名称】有限会社IMP
(74)【代理人】
【識別番号】100167988
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】安田 正俊
【テーマコード(参考)】
2G084
4C180
4D148
4G042
【Fターム(参考)】
2G084AA18
2G084AA25
2G084BB14
2G084CC02
2G084CC03
2G084CC08
2G084CC19
2G084CC34
2G084DD01
2G084DD12
2G084DD13
2G084DD17
2G084DD22
2G084DD25
2G084DD32
4C180AA02
4C180AA07
4C180BB09
4C180DD11
4C180DD17
4C180EA17X
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4D148AB03
4D148BA05Y
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4G042AA06
4G042CA01
4G042CB29
4G042CC23
4G042CE02
(57)【要約】
【課題】処理される空気のプラズマ中を通過する距離が一定する空気浄化装置を提供する。
【解決手段】大気圧プラズマ発生部20とその下流に配置されたオゾン除去部30とを有し、前記大気圧プラズマ発生部は、誘電体からなり、処理対象である空気が内部を通過可能な円筒形のプラズマ容器21と、前記プラズマ容器の中心に該プラズマ容器と同軸に配置された円筒形または円柱形の内部電極22と、前記プラズマ容器の外側面に該プラズマ容器と同軸に配置された円環形の外部電極23と、前記内部電極と前記外部電極の間に交流電圧またはパルス電圧を印加する電源25とを有する空気浄化装置10。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧プラズマ発生部とその下流に配置されたオゾン除去部とを有し、
前記大気圧プラズマ発生部は、
誘電体からなり、処理対象である空気が内部を通過可能な円筒形のプラズマ容器と、
前記プラズマ容器の中心に該プラズマ容器と同軸に配置された円筒形または円柱形の内部電極と、
前記プラズマ容器の外側面に該プラズマ容器と同軸に配置された円環形の外部電極と、
前記内部電極と前記外部電極の間に交流電圧またはパルス電圧を印加する電源とを有する、
空気浄化装置。
【請求項2】
前記外部電極がトーラス形である、
請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記外部電極が前記プラズマ容器の軸方向に間隔を開けて複数設けられている、
請求項1または2に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記大気圧プラズマ発生部と前記オゾン除去部との間に、空気を滞留させる反応槽をさらに有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記オゾン除去部がオゾン分解触媒の流動層を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記オゾン除去部は、前記流動層内に交流電界を発生させる第2電源をさらに有する、
請求項5に記載の空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電を利用した空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より誘電体バリア放電を利用した空気浄化装置が知られている。誘電体バリア放電は大気圧下で形成可能であり、酸素を含む空気で大気圧プラズマを発生させると、生成される各種の活性種やオゾンによって、空気中に浮遊する細菌を殺菌し、ウイルスを不活化し、空気に含まれる揮発性有機化合物(VOC)を分解することができる。このうち、ヒドロキシルラジカル等の活性種は、オゾンより反応性が高く浄化作用が強いが寿命が短く、例えばヒドロキシルラジカルの寿命は1μs秒程度であることから、生成した部位のごく近くでしか反応しないことが知られている。
【0003】
特許文献1には、空気流路を形成する筐体内部にプラズマ発生手段を備え、プラズマ発生手段が柱状の接地電極に誘電体膜を介して非接地電極を螺旋状に巻き付けて構成され、両電極間で誘電体バリア放電ナローギャッププラズマを発生させる空気清浄装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、放電電極の少なくとも一部が誘電体で覆われた電極パネルを積層し、隣接する電極パネル間の隙間に気体を流して電圧を印加することにより、誘電体バリア放電によるプラズマを発生させるプラズマパネル積層体を備える空気清浄器が記載されている。
【0005】
特許文献3には、内部を空気が流れる細長い反応器と、反応器の内部に略同心関係に位置し、絶縁層に覆われた内側電極と、反応器の内面に位置し、絶縁層に覆われた外側電極とを有し、両電極間で放電を励起してプラズマが生成される空気清浄・滅菌装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-189172号公報
【特許文献2】特開2018-110648号公報
【特許文献3】特表2007-531597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された空気清浄装置では、生成するオゾンによる浄化効果が期待できる。その一方で、空気はプラズマの近傍を通過するが、プラズマ中を通過する空気の割合が限られるため、寿命の短いヒドロキシルラジカル等による浄化作用はほとんど利用できない。
【0008】
特許文献2に記載された空気清浄機では、電極パネル間のプラズマが発生する領域を気体が通過するので、寿命の短いヒドロキシルラジカル等による浄化作用を利用することができる。しかし、面積の大きい板状の電極パネル間で誘電体バリア放電を形成するため、プラズマの発生する位置が一定せず、また一旦発生したプラズマが不安定になりやすく、ある時点で存在するプラズマの数も一定しない。そのため、気体がプラズマ中を通過する距離が一定しない。
【0009】
特許文献3に記載された空気清浄・滅菌装置では、細長い反応器内のプラズマが発生する領域を空気が通過するため、特許文献2と比較して、空気の全量がより確実にプラズマ中を通過するものと思われる。しかし、電極が長いため、特許文献2と同様に、プラズマの発生する位置が一定せず、また一旦発生したプラズマが不安定になりやすく、ある時点で存在するプラズマの数も一定しないため、気体がプラズマ中を通過する距離が一定しない。
【0010】
処理対象である空気がプラズマ中を通過する距離が一定しないと、所要の浄化効果に対して装置の能力に余裕を持たせる必要があり、装置を大型化せざるを得ず、消費電力も大きくなる。このことは空気浄化装置を家庭で用いる場合に特に問題となる。本発明は上記を考慮してなされたものであり、空気がプラズマ中を通過する距離が一定する空気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の空気浄化装置は、大気圧プラズマ発生部とその下流に配置されたオゾン除去部とを有する。そして、前記大気圧プラズマ発生部は、誘電体からなり、処理対象である空気が内部を通過可能な円筒形のプラズマ容器と、前記プラズマ容器の中心に該プラズマ容器と同軸に配置された円筒形または円柱形の内部電極と、前記プラズマ容器の外側面に該プラズマ容器と同軸に配置された円環形の外部電極と、前記内部電極と前記外部電極の間に交流電圧またはパルス電圧を印加する電源とを有する。
【0012】
ここで、下流とは、処理対象である空気の流れの下流であることを意味する。この構造によって、円環形の外部電極と内部電極の間に、プラズマ容器の軸に垂直な円盤状の大気圧プラズマが発生して定在し、処理対象である空気がプラズマ中を通過する距離が一定となる。また、浄化された空気は、人体に有害なオゾンがオゾン除去部で除去された後に装置外に排出される。
【0013】
好ましくは、前記外部電極がトーラス形である。これにより、電気力線が集中するので、より小さなエネルギー(電流値)でプラズマを発生させられるからである。
【0014】
好ましくは、前記外部電極が前記プラズマ容器の軸方向に間隔を開けて複数設けられている。この構造によって、円盤状のプラズマがより多く発生し、処理対象である空気がプラズマ中を通過する距離を長くできる。
【0015】
好ましくは、上記空気浄化装置は、前記大気圧プラズマ発生部と前記オゾン除去部との間に、空気を滞留させる反応槽をさらに有する。これにより、オゾンが空気中の汚染物質等と反応できる時間を長くして、オゾンによる浄化効果を高めることができる。
【0016】
好ましくは、前記オゾン除去部がオゾン分解触媒の流動層を有する。これにより、オゾン分解反応速度を上げ、装置を小型化できる。
【0017】
より好ましくは、前記オゾン除去部は、前記流動層内に交流電界を発生させる第2電源をさらに有する。これにより、極性分子であるオゾンを回転させることで、オゾンの分解速度をさらに上げることができる。
【発明の効果】
【0018】
誘電体バリア放電は電気力線密度の高い部分に形成される。本発明の空気浄化装置によれば、円環形の外部電極と内部電極の間に、常に一定の位置に誘電体バリア放電が形成され、プラズマ容器の軸に垂直な円盤状の大気圧プラズマが発生して定在するので、プラズマ容器内を流通する空気がプラズマ中を通過する距離が一定となる。これにより、所要の浄化効果に対して装置の能力に大きな余裕をみる必要がなく、装置をより小型で消費電力の小さいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態の空気浄化装置の全体構成を示す図である。
【
図2】一実施形態の空気浄化装置のプラズマ発生部の構造を示す図である。A:軸を含む垂直断面図、B:下流側から見た側面図。
【
図3】一実施形態の空気浄化装置のプラズマ発生部の構造を示す図である。A:軸を含む垂直断面図、B:下流側から見た側面図。
【
図4】一実施形態の空気浄化装置のオゾン除去部の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して、本実施形態の空気浄化装置10は、誘電体バリア放電を形成して大気圧プラズマを発生する大気圧プラズマ発生部20と、反応槽42と、オゾン除去部30と集塵フィルター46とを有する。各部は内部を空気が流通する通気管40で接続されており、処理対象である空気Aは取入口41から装置10内に取り入れられ、汚染物質等が除去され、排出口47から装置外に排出される。なお、本明細書において汚染物質等の除去とは、細菌の殺菌、ウイルスの不活化、VOCの分解をすべて含む意味で用いられる。
【0021】
図2を参照して、大気圧プラズマ発生部20は、空気Aが内部を通過する円筒形のプラズマ容器21と、プラズマ容器の中心にプラズマ容器と同軸に配置された内部電極22と、プラズマ容器の外側面にプラズマ容器と同軸に配置された円環形の外部電極23と、内部電極と外部電極の間に交流電圧を印加する電源25とを有する。
【0022】
プラズマ容器21は円筒形で、誘電体からなる。誘電体の種類は特に限定されず、各種ガラス、セラミックなどを用いることができる。
【0023】
内部電極22は、プラズマ容器21の中心に挿通され、スペーサー24に支持されてプラズマ容器21と同軸に配置される。内部電極の形状は、円筒形または円柱形である。
【0024】
外部電極23は、プラズマ容器21の外側面に、プラズマ容器21と同軸に配置される。外部電極の形状は、プラズマ容器の外側面を周方向に一周する円環形である。外部電極の形状は、例えば、トーラス形(ドーナツ形)であってもよいし、帯状の導電体をプラズマ容器に巻き付けた短い円筒形であってもよい。
【0025】
内部電極22と外部電極23の間に電圧が印加されると、電気力線密度の高い部分で誘電体バリア放電が形成される。外部電極がトーラス形である場合は、外部電極のうち内部電極との距離が最も近いトーラスの内周円と内部電極との間で誘電体バリア放電が形成されるので、トーラスの中心を通り、プラズマ容器21の軸に垂直な断面となる1枚の円盤状のプラズマPが発生する。また、外部電極がトーラス形である場合は、トーラスの内周円と内部電極との間に電気力線が集中するので、より小さなエネルギー(電流値)でプラズマが発生する。このことから、プラズマ発生時の消費電力を抑えるためには、外部電極をトーラス形とすることが好ましい。
【0026】
外部電極がトーラス形である場合、電極を形成する金属線の太さは、トーラスの小直径(軸を含む断面に現れる2つの円の直径)が、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上である。金属線が細すぎると電極寿命が短くなるからである。一方、トーラスの小直径(軸を含む断面に現れる2つの円の直径)は、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。金属線がこれ以上に太くても特にメリットはなく、電極部の小型化の障害となるからである。
【0027】
図3に示すように外部電極29が短い円筒形である場合は、円筒の2つの開口端近傍で電気力線の密度が高くなるので、2つの開口端を通り、プラズマ容器21の軸に垂直な断面となる2枚の円盤状のプラズマPが発生する(
図3A)。
【0028】
外部電極が円筒形である場合、その長さ(プラズマ容器の軸方向の長さ)は、好ましくは3~20mm、より好ましくは5~10mmである。円筒形が長くなりすぎると、外部電極と内部電極を結ぶ電気力線が全体に疎になり、プラズマが円盤状に形成されないことがあるからである。一方、円筒形が短すぎると、製造時の加工が難しくなるからである。また、電極の厚さは、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上である。電極が薄すぎると電極寿命が短くなるからである。一方、電極の厚さは、好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下である。金属線がこれ以上に厚くても特にメリットがないからである。
【0029】
以下の説明は、外部電極がトーラス形(
図2の23)であるものとして続けるが、外部電極が短い円筒形(
図3の29)であっても同様に当てはまる。
【0030】
図2に戻って、外部電極23は、好ましくは、プラズマ容器21の軸方向に間隔を開けて複数設けられる。これにより、各外部電極毎に1枚または2枚の円盤状のプラズマPが発生するので、プラズマ容器内に発生する円盤状のプラズマの枚数が増え、空気がプラズマ中を通過する距離が長くなる。
【0031】
電源25は、内部電極22と外部電極23の間に交流電圧を印加する。例えば、内部電極22を接地して、外部電極23に交流電圧を印加する。電圧の大きさは、誘電体バリア放電形成に十分な大きさとして、両電極間の電界強度が空気の絶縁破壊電界強度である約35kV/cmを超える大きさとする。交流電圧の周波数は、好ましくは約3kHz~約5kHz、特に好ましくは約4kHzとする。このような周波数とすることによって、イオンが拡散しにくく誘電体バリア放電が安定して形成されるからである。また、両電極間に交流電圧に代えて直流のパルス電圧を印加してもよい。
【0032】
電源25によって交流電圧を印加することで、内部電極22と外部電極23の間に誘電体バリア放電が形成され、大気圧プラズマが発生し、ヒドロキシルラジカル等の活性種やオゾンが生成する。また、プラズマ容器21内を流通する空気が窒素を含む場合は、殺菌力の高い短波長の紫外線発光が生じる。
【0033】
外部電極23を複数設けた場合は、好ましくは、電源25と各外部電極23の間にスイッチ26を介在させ、電圧を印加する外部電極の数を調整可能とする。これにより、使用状況に応じて作動させる外部電極の数を増減でき、所望の浄化効果に対して消費電力を極力抑えることができる。例えば、就寝時に終夜運転する場合は作動させる外部電極を減らして消費電力を抑えたり、臭気が強い場合は作動させる外部電極を増やして浄化効果を上げたりすることができる。
【0034】
図1に戻って、好ましくは、反応槽42が大気圧プラズマ発生部20とオゾン除去部30の間に配置される。大気圧プラズマ発生部から出た空気が反応槽内で滞留することによって、オゾンと汚染物質等とが接触する時間を長くして、汚染物質等の分解を促進できる。オゾンはヒドロキシルラジカル等の活性種と比べて寿命が長い反面、汚染物質等との反応速度が遅いが、反応槽を設けることによって、大気圧プラズマ発生部で生成したオゾンをより有効に利用することができる。反応槽には槽内の空気を撹拌する撹拌手段を設けてもよい。
【0035】
図4を参照して、オゾン除去部30には、筒状の容器31の内部にオゾン分解触媒32が封入されている。
【0036】
オゾン分解触媒32としては、活性炭、マンガン触媒、銀・コバルト触媒、カロライトなど、種々の公知の触媒を用いることができる。オゾンは人体に対しても有害であるため、装置10から排出されないようにオゾン除去部を設けて分解する必要がある。なお、ヒドロキシルラジカル等の活性種は寿命が短いため、大気圧プラズマ発生部20内で消滅し、下流に流れることはない。
【0037】
オゾン分解触媒32は、担体に担持させてフィルターの形態で用いてもよいが、好ましくはオゾン分解触媒の流動層を形成して用いる。
図4では、容器31の内部に粒子状のオゾン分解触媒32が封入されている。空気Aが下方から流入して上方から抜けることによって、オゾン分解触媒の流動層が形成される。オゾン分解触媒の流動層を用いることにより、オゾン分解反応速度を上げ、装置を小型化できる。また、触媒の投入量を調整して触媒とオゾンが接触する時間を変えることで、オゾン除去部の処理能力を容易に調整することができるし、流動層の厚さを増しても圧力損失はあまり増大しない。流動層を形成するオゾン分解触媒としては、好ましくは活性炭を用いる。比重が軽く、流動層を形成しやすいからである。
【0038】
オゾン除去部30に流入する空気Aは、オゾン除去部の入口手前に設けられたヒーター34によって40℃以上に加温される。これにより、オゾン分解触媒32の活性を低下させる空気中の水蒸気の吸着を抑えることができる。また、酸化マンガンなどの金属酸化物触媒を用いる場合には、触媒活性低下の要因となる過酸化物の蓄積を防ぐことができる。
【0039】
オゾン除去部30は、好ましくは、オゾン分解触媒の流動層に交流電界を発生させるための電極35と第2電源36を有する。オゾンは極性分子であるため、交流電界によってオゾン分子を回転させることができ、分解速度を上げることができる。交流電界の強さは、放電が生じない強さとする。交流電界の周波数は、好ましくは、約2kHz以上とする。
【0040】
図1に戻って、オゾン除去部30の出口にはオゾンセンサー45が設けられ、オゾン濃度が所定の濃度より高い場合は、バルブ44を操作することにより、空気は還流管43を経由してオゾン除去部に戻される。オゾンを除去された空気は、集塵フィルターで各種の不純物やオゾン分解触媒32の粉を除去されて、排出口47から装置10外に排出される。
【0041】
本実施形態の空気浄化装置10の作用を改めて説明する。
【0042】
処理対象である空気Aは、まず大気圧プラズマ発生部20に進入する。大気圧プラズマPによって生成するヒドロキシルラジカル等の活性種、オゾン、および紫外線発光によって汚染物質等の除去反応が進行する。
【0043】
大気圧プラズマ発生部のプラズマ容器21内には軸に垂直な円盤状のプラズマPが発生するので、プラズマ容器を流通する空気は必ずプラズマ中を通過し、寿命の短いヒドロキシルラジカル等の活性種によっても強力に浄化される。発生するプラズマは常に、外部電極の形状に応じて外部電極のうち軸方向の中央部や両端部などの一定の位置にのみ発生し、ある時点で存在するプラズマの数も常に一定であるため、空気がプラズマ中を通過する距離は常に一定となる。外部電極を軸方向に複数設ければ、円盤状のプラズマPの枚数を増やし、空気がプラズマ中を通過する距離が長くなる。
【0044】
大気圧プラズマ発生部20を抜けた空気Aは、大気圧プラズマ発生部で生成したオゾンを含み、オゾンによってさらに浄化される。オゾンはオゾン除去部30で分解され、浄化され無害化された空気Aが装置10から排出される。
【0045】
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の空気浄化装置は、人の居住空間の他、冷蔵室や冷蔵庫内の空気の殺菌、脱臭などに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 空気浄化装置
20 大気圧プラズマ発生部
21 プラズマ容器
22 内部電極
23 外部電極
24 スペーサー
25 電源
26 スイッチ
29 外部電極
30 オゾン除去部
31 容器
32 オゾン分解触媒
34 ヒーター
35 電極
36 第2電源
40 通気管
41 取入口
42 反応槽
43 還流管
44 バルブ
45 オゾンセンサー
46 集塵フィルター
47 排出口
A 空気
P 大気圧プラズマ