(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132272
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】綴じ具用の押さえ具及び綴じ具
(51)【国際特許分類】
B42F 13/40 20060101AFI20220901BHJP
B42F 9/00 20060101ALI20220901BHJP
B42F 13/06 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B42F13/40
B42F9/00 J
B42F13/06 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021068688
(22)【出願日】2021-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】516053682
【氏名又は名称】坂井 星軌
(72)【発明者】
【氏名】坂井 星軌
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017TA19
2C017UA11
2C017UB17
(57)【要約】
【課題】被綴じ物の綴じ用の孔の有無にかかわらず、孔がないものには孔をあけて綴じることを可能にし、孔がある物あるいは孔をあけた物を綴じる際に一般的な綴じ具と同様に保持部を操作するのみで被綴じ物を綴じることが可能な綴じ具用の押さえ具及び綴じ具を提供する。
【解決手段】綴じ足Tと用いられることで被綴じ物sを綴じる綴じ具用の押さえ具1,1aであって、綴じ足Tが挿通可能な第一挿通部5を有する基本部2と、基本部2に対して移動可能な保持部15と、綴じ足Tが挿通可能な第二挿通部19を有する押圧部18と、基本部2に対して押圧部18をつなげる接続部21と、からなり、第一挿通部5または第二挿通部19の何れか一方に刃26を形成したことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綴じ足と用いられることで被綴じ物を綴じる綴じ具用の押さえ具であって、
前記綴じ足が挿通可能な第一挿通部を有する基本部と、
前記基本部に対して移動可能な保持部と、
前記綴じ足が挿通可能な第二挿通部を有する押圧部と、
前記基本部に対して前記押圧部をつなげる接続部と、からなり、
前記第一挿通部または前記第二挿通部の何れか一方に刃を形成したこと、を特徴とする綴じ具用の押さえ具。
【請求項2】
前記第一挿通部または前記第二挿通部は、筒状に立設し、先端部に前記刃を形成したことを特徴とする請求項1に記載の綴じ具用の押さえ具。
【請求項3】
前記接続部は、前記基本部と前記押圧部を枢止連結し、前記保持部は、前記第一挿通部に挿通された前記綴じ足に対して略直交方向に移動し、前記綴じ足を屈曲させて保持可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の綴じ具用の押さえ具。
【請求項4】
前記第二挿通部に前記刃を形成し、前記基本部と前記押圧部は帯状に形成し、前記基本部と前記押圧部を近接させた際に前記第一挿通部と前記第二挿通部が対峙するよう前記第一挿通部と前記第二挿通部を各々所定間隔で2箇所形成すると共に、前記保持部を前記基本部の外側に2箇所配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の綴じ具用の押さえ具。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の綴じ具用の押さえ具を有する綴じ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルの綴じ具用の押さえ具及び綴じ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、A4サイズのプリント(書類等)などの被綴じ物は、ファイリング用の綴じ足が挿通可能な孔が穴あけパンチ等にて穿孔されていない場合、穴あけパンチ等を用意して穿孔をするのが一般的である。
【0003】
よって、穴あけパンチ等を持ちあわせていない場合やそれが使用中である場合などにはファイリング用の綴じ足が挿通可能な孔を穿孔することが出来ず、配布されたプリント、紙あるいは資料等の被綴じ物を紛失する可能性が高くなる。
【0004】
このような問題を解決する技術として、例えば、特許文献1のような器具が開示されている。本器具は、被綴じ物を綴じるための挿入孔と被綴じ物に穴を開けるための挿入孔とを共通化させることが可能な綴じ具用の押さえ具およびファイル(以下、綴じ具とする。)である。
【0005】
よって、被綴じ物を綴じる際に綴じ足を挿入するための挿入孔と、被綴じ物に穴を開けるためのパンチ刃を挿入するための挿入孔と、がそれぞれ別々に必要でなく、穴あけパンチ等の穿孔具がなくとも被綴じ物を穿孔することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、特許文献1に明示された技術によれば、被綴じ物に孔をあけることができ、被綴じ物を綴じるための挿入孔と被綴じ物に穴を開けるための挿入孔とを共通化されているので、綴じ具と同時に穴あけ器を持ち歩く必要がない。
【0008】
しかし、パンチ刃を有するカバーはその存在のため、スライダ(保持部)の動きが制限(固定)される。よって紙などの被綴じ物に綴じ用の孔が既に存在し穿孔する必要がない場合などでも、被綴じ物を綴じるためにカバーをその度に開き、スライダを動かし綴じ足の固定を解除するなどをしなければならない。つまり、カバーがない綴じ具と比べてカバーを開閉する操作が増えることになる。
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、被綴じ物の綴じ用の孔の有無にかかわらず、孔がないものには孔をあけて綴じることを可能にし、孔がある物あるいは孔をあけた物を綴じる際に一般的な綴じ具と同様に保持部を操作するのみで被綴じ物を綴じることが可能な綴じ具用の押さえ具及び綴じ具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような目的を達成するために、本発明は以下の技術を提供する。
【0011】
請求項1に係る発明では、綴じ足と用いられることで被綴じ物を綴じる綴じ具用の押さえ具であって、前記綴じ足が挿通可能な第一挿通部を有する基本部と、前記基本部に対して移動可能な保持部と、前記綴じ足が挿通可能な第二挿通部を有する押圧部と、前記基本部に対して前記押圧部をつなげる接続部と、からなり、前記第一挿通部または前記第二挿通部の何れか一方に刃を形成したこと、を特徴とする綴じ具用の押さえ具を提供せんとする。
【0012】
請求項2に係る発明では、前記第一挿通部または前記第二挿通部は、筒状に立設し、先端部に前記刃を形成したことを特徴とする請求項1に記載の綴じ具用の押さえ具を提供せんとする。
【0013】
請求項3に係る発明では、前記接続部は、前記基本部と前記押圧部を枢止連結し、前記保持部は、前記第一挿通部に挿通された前記綴じ足に対して略直交方向に移動し、前記綴じ足を屈曲させて保持可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の綴じ具用の押さえ具を提供せんとする。
【0014】
請求項4に係る発明では、前記第二挿通部に前記刃を形成し、前記基本部と前記押圧部は帯状に形成し、前記基本部と前記押圧部を近接させた際に前記第一挿通部と前記第二挿通部が対峙するよう前記第一挿通部と前記第二挿通部を各々所定間隔で2箇所形成すると共に、前記保持部を前記基本部の外側に2箇所配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の綴じ具用の押さえ具を提供せんとする。
【0015】
請求項5に係る発明では、請求項1乃至4の何れか1項に記載の綴じ具用の押さえ具を有する綴じ具を提供せんとする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、綴じ足と用いられることで被綴じ物を綴じる綴じ具用の押さえ具であって、綴じ足が挿通可能な第一挿通部を有する基本部と、基本部に対して移動可能な保持部と、綴じ足が挿通可能な第二挿通部を有する押圧部と、基本部に対して押圧部をつなげる接続部と、からなり、第一挿通部または第二挿通部の何れか一方に刃を形成したことより、押圧部を基本部側に倒し込むだけで、紙等の被綴じ物に穿孔することができ、しかも、穿孔しないときは綴じ具用の押さえ具として使用することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、第一挿通部または第二挿通部は、筒状に立設し、先端部に刃を形成したことより、複数枚の紙等の被綴じ物であっても孔を容易に穿孔することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、接続部は、基本部と押圧部を枢止連結し、保持部は、第一挿通部に挿通された綴じ足に対して略直交方向に移動し、綴じ足を屈曲させて保持可能としたことより、基本部と押圧部の間に容易に紙等の被綴じ物を位置させること、および綴じ足を固定することで綴じた被綴じ物を確実に固定することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、第二挿通部に刃を形成し、基本部と押圧部は帯状に形成し、基本部と押圧部を近接させた際に第一挿通部と第二挿通部が対峙するよう第一挿通部と第二挿通部を各々所定間隔で2箇所形成すると共に、保持部を基本部の外側に2箇所配設したことより、基本部と押圧部を閉じることで被綴じ物に各々所定間隔で2箇所の孔をあけることができること、基本部と押圧部を綴じた(畳んだ)状態で2つの綴じ足を有する綴じ具に押さえ具として綴じること、すなわち、綴じ具の綴じ足を第一挿通部と第二挿通部に挿通して固定し、被綴じ物を押さえ、固定することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れか1項に記載の綴じ具用の押さえ具を有する綴じ具であることより、被綴じ物に各々所定間隔で2箇所穿孔し、穿孔をした押さえ具ごと綴じ具にファイリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る綴じ具用の押さえ具と綴じ具を示す簡易斜視図である。
【
図2】(a)は押さえ具の平面図で、(b)は(a)の部分底面図で、(c)は刃の斜視図である。
【
図3】(a)は基本部の側面図で、(b)は基本部の部分透視斜視図で、(c)は小膨と第一ストッパーを示す斜視拡大図である。
【
図4】(a)は押さえ具の左側面図で、(b)は穿孔時を示す側面図で、(c)は穿孔時を示す正面図である。
【
図5】保持溝の保持突起と綴じ足の凹凸部との係合を示す部分拡大図である。
【
図6】被綴じ物を綴じた綴じ具を示す簡易斜視図である。
【
図7】(a)は綴じ具に押さえ具を装着する様子を示す左側面図で、(b)は部分正面図である。
【
図8】被綴じ物を綴じる際の保持部の移動方向を示す部分平面図である。
【
図9】被綴じ物を綴じる際の保持部の移動方向を示す部分斜視図である。
【
図10】(a)は綴じ具に押さえ具を装着した様子を示す左側面図で、(b)は部分正面図である。
【
図11】(a)は他の押さえ具の左側面図で、(b)は穿孔時を示す側面図である。
【
図12】(a)は他の押さえ具の左側面図で、(b)は穿孔時を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る綴じ具用の押さえ具の要旨は、綴じ足と用いられることで被綴じ物を綴じる綴じ具用の押さえ具であって、綴じ足が挿通可能な第一挿通部を有する基本部と、基本部に対して移動可能な保持部と、綴じ足が挿通可能な第二挿通部を有する押圧部と、基本部に対して押圧部をつなげる接続部と、からなり、第一挿通部または第二挿通部の何れか一方に刃を形成したことを特徴とする。すなわち、綴じ足を挿通可能としたことで、被綴じ物の綴じ用の孔の有無にかかわらず、孔がないものには孔をあけて綴じることを可能にし、孔がある物あるいは孔をあけた物を綴じる際に保持部を操作するのみで被綴じ物を綴じることが可能な綴じ具用の押さえ具及び綴じ具の提供を図ろうとするものである。
【0023】
なお、本願の綴じ具用の押さえ具1,1aは、綴じ具や綴じ具に固定された平たく柔軟性がある帯状や棒状で側面に凹凸部を有する綴じ足Tで構成される一般的な綴じ具に用いられるものであり、本願の綴じ具100も同様である。
【0024】
以下、本発明に係る綴じ具用の押さえ具1,1aの一実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する場合がある。
【0025】
本発明の実施形態に係る綴じ具用の押さえ具1は、
図1、
図2(a)、
図4(a)、
図9、
図10(a)に示すように、綴じ足Tと用いられることで被綴じ物sを綴じる綴じ具用の押さえ具1,1aであって、綴じ足Tが挿通可能な第一挿通部5を有する基本部2と、基本部2に対して移動可能な保持部15と、綴じ足Tが挿通可能な第二挿通部19を有する押圧部18と、基本部2に対して押圧部18をつなげる接続部21と、からなり、第一挿通部5または第二挿通部19の何れか一方に刃26を形成しており、本実施形態では、第二挿通部19に刃26を形成した構成を主として説明する。
【0026】
また、第一挿通部5または第二挿通部19は、筒状に立設し、先端部に刃26を形成している。
【0027】
また、接続部21は、基本部2に対して押圧部18をつなげる構成であれば形状等は問わず、例えば、基本部2と押圧部18を枢止連結したものでもよく、保持部15は、第一挿通部5に挿通された綴じ足Tに対して略直交方向に移動し、綴じ足Tを屈曲させて保持可能に形成している。
【0028】
また、第二挿通部19に刃26を形成した本実施形態で主として説明する押さえ具1は、基本部2と押圧部18を帯状に形成し、基本部2と押圧部18を近接させた際に第一挿通部5と第二挿通部19が対峙するよう第一挿通部5と第二挿通部19を各々所定間隔で2箇所形成すると共に、保持部15を基本部2の外側に2箇所配設している。
【0029】
すなわち、
図7(a)に示すように、綴じ具用の押さえ具1及び綴じ具100は、綴じ足Tが挿通可能な第一挿通部5を有する基本部2と基本部2に対して移動可能な保持部15と、綴じ足Tが挿通可能な第二挿通部19を有する押圧部18と、基本部2に対して押圧部18をつなげる接続部21と、からなり、第二挿通部19(綴じ具用の押さえ具1aの場合は第一挿通部5)に刃26を形成したものであり、例えば、第二挿通部19に刃26を有するものは以下のようにして使用される。
【0030】
まず、紙などの被綴じ物sに孔をあける方法を
図4(a)、(b)、(c)に示す。始めに保持部15を下方として基本部2に対して押圧部18を接続部21により開き、保持部15が配設されていない基本部2の押圧部側12に孔をあけようとする紙などの被綴じ物sを載せる。
【0031】
次に、押圧部18を基本部2の押圧部側12に倒し、押圧部18の第二挿通部19に形成された刃26が、基本部2の第一挿通部5に入ることによって、被綴じ物sを穿孔する。
【0032】
次に、綴じ具用の押さえ具1を用いて紙等の被綴じ物sを綴じ具100に綴じる方法を記す。
【0033】
まず、
図4(a)、
図6、
図7(a)に示すように、基本部2と押圧部18との間に何も挟んでいない状態で、接続部21により押圧部18を基本部2の押圧部側12に倒し、連通した基本部2の第一挿通部5および押圧部18の第二挿通部19に綴じ足Tを挿通する。
【0034】
挿通され、基本部2の反押圧部側13から出た綴じ足Tは、
図8、
図9、
図10(a)、(b)に示すように、綴じ足Tに対して保持部15を略直角方向に移動させることで屈曲し、綴じ具100に略固定される。
【0035】
このようにして、綴じ具用の押さえ具1は、紙等の被綴じ物sを挟持して綴じ具100と一体になる。
【0036】
なお、
図11(a)、(b)に示すように、第一挿通部5に刃26を有する場合も、穿孔時に基本部2と押圧部18の位置関係が逆になるだけであり同様にして使用することができる。
【0037】
以下、本実施形態に係る綴じ具用の押さえ具1について図面を用いて具体的に詳述する。
【0038】
基本部2は、
図2(a)、(b)、
図3(a)、(b)、
図4(a)に示すように、圧板本体3からなり、圧板本体3には、第一挿通部5(5R,5L)と、保持溝6(6R,6L)と、レール8(8R,8L)と、を形成している。
【0039】
圧板本体3は、具体的には、長辺が短辺に比べて十分に長い平面視略矩形状であり、圧板本体3の押圧部側12と反押圧部側13との間の厚さ、すなわち、圧板本体厚4は5mm以下に形成している。
【0040】
第一挿通部5は、圧板本体3を厚み方向に円柱状に貫通した孔であり、右第一挿通部5Rと、左第一挿通部5Lを形成している。右第一挿通部5Rと、左第一挿通部5Lは、例えば、JIS S 6041にあるように圧板本体3の長辺の中点に対称で、右第一挿通部5Rと、左第一挿通部5Lの孔の中心との間の距離が80±0.5mmとなるような位置に設けられている。
【0041】
従って、被綴じ物sを綴じる際には、
図7(b)、
図8、
図10(b)に示すように、右第一挿通部5Rには、右綴じ足TRが挿通され、左第一挿通部5Lには、左綴じ足TLが挿通され、基本部2の反押圧部側13に出た綴じ足TR,TLは保持部15R,15Lによって綴じ足TR,TLに対してレール8に沿って略直角方向に移動することによって綴じ足Tを屈曲させながら保持溝6に収めることができる。
【0042】
なお、被綴じ物sに綴じ用の孔を穿孔する際には、
図4(b)、(c)に示すように、後述する押圧部18の右第二挿通部19Rに設けられた右刃26Rが右第一挿通部5Rに入り、左第二挿通部19Lに設けられた左刃26Lが左第一挿通部5Lに入るよう形成している。
【0043】
具体的には、保持溝6は、
図2(a)、
図3(b)、
図4(a)に示すように、圧板本体3の反押圧部側13の上面の両短辺の中点を結んだ線を中心線として、その上面を第一挿通部5から短辺側の端部にかけて凹状に切欠して形成し、第一挿通部5側の底部には複数の凹凸からなる保持突起7を形成している。
【0044】
保持溝6の幅は綴じ足Tの幅よりも若干だけ広く形成すると共に深さは綴じ足Tが収納可能な程度に形成し、保持突起7は、圧板本体3の長辺方向と直交し長辺方向に所定間隔で複数形成した矩形ブロック状(例えば、断面視三角形状)の凹凸からなり、
図5に示すように、綴じ足Tが有する凹凸部と略係合するよう形成している。
【0045】
すなわち、
図10(b)に示すように、保持突起7は、被綴じ物sを綴じる際、右第一挿通部5Rに挿通され右保持部15Rの移動により屈曲した右綴じ足TRが有する凹凸部と合わさることで右綴じ足TRは圧板本体3と略固定され、同様にして左第一挿通部5Lに挿通された左綴じ足TLも左保持部15Lの移動により圧板本体3と略固定される。
【0046】
また、保持部15を矩形の長辺方向に沿って滑らせ、移動させるためのレール8には、保持部15で綴じ足Tを固定する必要があるため、
図3(a)、(b)、(c)に示すように、保持部15と係合する小膨9および第一ストッパー10が形成されており、また、右保持部15Rと左保持部15Lの互いの接触を防止するため、圧板本体3の中央部には第二ストッパー11を形成している。
【0047】
具体的にレール8は、第二ストッパー11をなす中央部を除いた圧板本体3の長辺側の両側面の下方を溝状に切欠し断面視略T字状として長手方向に伸延して形成すると共に、保持部15が第一挿通部5を被覆する所定位置に水平方向に突設した第一ストッパー10と小膨9を形成している。
【0048】
また、第一ストッパー10は、正面視直角三角形の三角柱状に形成し、垂直辺に保持部15の跨突起16の端部を当接自在として保持部15の移動を規制し、小膨9は、正面視略半円の半円柱状に形成し、保持部15の跨突起16の端縁内側に挿入されつつ係合して保持部15が圧板本体3に付勢力を与えるよう形成している。
【0049】
このような、レール8に形成した第一ストッパー10は、
図10(b)に示す保持部15の位置において、圧板本体3からの保持部15の脱落を防止し、小膨9は保持突起7付近で綴じ足Tを挟んだ保持部15とレール8の隙間を減らし、ゆるみなく所定位置で圧板本体3に保持部15を略固定することができる。
【0050】
次に、保持部15は、
図3(b)や
図4(a)に示すように、レール8に跨るように形成されるため、端縁に断面視略L字状の跨突起16を形成している。
【0051】
具体的には跨突起16によって右レール8Rに跨った右保持部15Rや左レール8Lに跨った左保持部15Lは、
図8、
図9に示すように、圧板本体3の矩形の長辺方向に沿って滑り、移動可能な状態となっている。また保持部15は被綴じ物sに穿孔する際は、反押圧部側13を机等に置くため、略偏平な表面を形成している。
【0052】
次に、接続部21は、
図4(a)に示すように、基本部2の押圧部側12の矩形の長辺の中点と後述の押圧部18の押圧板20の矩形の長辺の中点において基本部2と押圧部18の互いの接近または離反を可能とし、圧板本体3と押圧部18が平行や帯状に変形する例えば、くの字型の接続板22で形成している。
【0053】
なお、接続板22は、被綴じ物sの適切な位置に穿孔ができるよう、例えばJIS S6041にあるように第一挿通部5の孔の中心から接続板22の屈曲点23までの長さを12±1mmとして形成している。
【0054】
また、被綴じ物sに穿孔をする際は、
図4(a)、(b)に示すように、被綴じ物sを基本部2の押圧部側12に置き、具体的には被綴じ物sの端が接続部21の屈曲点23に接触する位置に置く。
【0055】
また、接続部21には、
図2(a)、(b)に示すように、被綴じ物sの任意の辺の中心に対して対称に孔をあけられるように、右第一挿通部5Rと左第一挿通部5L(または、右第二挿通部19Rと左第二挿通部19L)の孔の中心までの距離の中心点から直交する接続部21の線上に頂点を位置させた三角形状の印24を形成しており、印24は、穿孔時に見易ければ接続部21の表裏何れに形成してもよく、また、形状も三角形状に限定されない。
【0056】
なお、接続部21は、本実施形態に係るくの字型の接続板22に限定されず、基本部2と押圧部18を近接・離反自在とするものであれば、例えば、蝶番等で枢止連結したものであってもよい。
【0057】
次に、押圧部18は、
図2(a)、
図4(a)に示すように、長辺が短辺より十分に長い平面視略矩形状で板状の押圧板20からなり、押圧板20の長辺の中点に対称の位置に厚み方向に貫通すると共に押圧板20から筒状に突出して連通する2つの第二挿通部19R,19Lを穿孔している。
【0058】
この右第二挿通部19Rと左第二挿通部19Lの孔の中心間の距離は80±0.5mmとなるよう形成し、基本部2の押圧部側12と対峙する押圧板20の表面に立設した筒状の先端部の周端部に刃26を形成している。
【0059】
なお、本実施形態では押圧板20の長さを圧板本体3よりも短く形成しており、具体的には、第二挿通部19から端部側に若干だけ越える程度の長さに形成している。
【0060】
刃26は、押圧板20の右第二挿通部19R、左第二挿通部19Lに同一形状の円筒状の先端部に形成し、
図2(c)に示すように側面視略半月状に形成して被綴じ物sへの穿孔を容易にしている。
【0061】
なお、刃26の形状は本実施形態に限定されず種々の変形・変更が可能である。
【0062】
また、被綴じ物sへの穿孔は基本部2の押圧部側12に置いた被綴じ物sに押圧部18を倒し、刃26を第一挿通部5に入れることで行うが、この時、押圧部18の刃26は使用者にとって安全になるよう
図4(b)に示すように、圧板本体厚4の範囲内に収まるよう形成している。
【0063】
また、刃26の素材は、本実施形態では安全性と一回に3枚程度を穿孔可能と想定していることから、プラスチック等の合成樹脂材料で形成することが望ましい。
【0064】
以上のすべての部分について、材質は安全等や持ち運ぶ綴じ具100に綴じるものであることから軽量なものが良いということを加味し、プラスチック等の合成樹脂材料が最適と考える。
【0065】
また、押圧板20などは、たわみにくい素材が向いていると考えられることから、特に強度があり、たわみにくいものが適している。なお、材質は本実施形態に限定されず、製造の容易さや強度などを考慮し、例えば、鉄などの金属材料でもよい。
【0066】
なお、本実施形態では、押圧部18に刃26を形成した押さえ具1の説明を行ったが、
図11(a)、(b)に示すように、刃26を基本部2に形成した押さえ具1aであっても良く、この場合、
図12(a)、(b)に示すように押圧板20を下方として被綴じ物sを穿孔する場合、押圧板20の厚みの範囲内に刃26が収まるよう形成することが望ましく、他の構成は上述の構成と同様である。
【0067】
以上、説明した通り本願の綴じ具用の押さえ具1,1aは、綴じ足Tと用いられることで被綴じ物sを綴じる綴じ具用の押さえ具1,1aであって、綴じ足Tが挿通可能な第一挿通部5を有する基本部2と、基本部2に対して移動可能な保持部15と、綴じ足Tが挿通可能な第二挿通部19を有する押圧部18と、基本部2に対して押圧部18をつなげる接続部21と、からなり、第一挿通部5または第二挿通部19の何れか一方に刃26を形成したことより、押圧部18を基本部2側に倒し込むだけで、紙等の被綴じ物sに穿孔することができ、しかも、穿孔しないときは綴じ具用の押さえ具1,1aとして使用することができる。
【0068】
また、第一挿通部5または第二挿通部19は、筒状に立設し、先端部に刃26を形成したことより、複数枚の紙等の被綴じ物sであっても孔を容易に穿孔することができる。
【0069】
また、接続部21は、基本部2と押圧部18を枢止連結し、保持部15は、第一挿通部5に挿通された綴じ足Tに対して略直交方向に移動し、綴じ足Tを屈曲させて保持可能としたことより、基本部2と押圧部18の間に容易に紙等の被綴じ物sを位置させること、および綴じ足Tを固定することで綴じた被綴じ物sを確実に固定することができる。
【0070】
更に、第二挿通部19に刃26を形成し、基本部2と押圧部18は帯状に形成し、基本部2と押圧部18を近接させた際に第一挿通部5と第二挿通部19が対峙するよう第一挿通部5と第二挿通部19を各々所定間隔で2箇所形成すると共に、保持部15を基本部2の外側に2箇所配設したことより、基本部2と押圧部18を閉じることで被綴じ物sに各々所定間隔で2箇所の孔をあけることができること、基本部2と押圧部18を綴じた(畳んだ)状態で2つの綴じ足TR,TLを有する綴じ具100に押さえ具1,1aとして綴じること、すなわち、綴じ具100の綴じ足Tを第一挿通部5と第二挿通部19に挿通して固定し、被綴じ物sを押さえ、固定することができる。
【0071】
しかも、上述した綴じ具用の押さえ具1,1aを有する綴じ具100であることより、被綴じ物sに各々所定間隔で2箇所穿孔し、穿孔をした押さえ具1,1aごと綴じ具100にファイリングすることができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
s 被綴じ物
T 綴じ足
1 綴じ具用の押さえ具
1a 綴じ具用の押さえ具
2 基本部
5 第一挿通部
15 保持部
18 押圧部
19 第二挿通部
21 接続部
26 刃
100 綴じ具
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綴じ足と用いられることで被綴じ物を綴じる綴じ具用の押さえ具であって、
前記綴じ足が挿通可能な第一挿通部を有する基本部と、
前記基本部に対して移動可能な保持部と、
前記綴じ足が挿通可能な第二挿通部を有する押圧部と、
前記基本部に対して前記押圧部をつなげる接続部と、からなり、
前記基本部と前記押圧部は帯状に形成し、前記基本部と前記押圧部を近接させた際に前記第一挿通部と前記第二挿通部が対峙するよう前記第一挿通部と前記第二挿通部を各々所定間隔で2箇所形成し、
前記保持部は、前記基本部の外側に2箇所配設すると共に、前記第一挿通部に挿通された前記綴じ足に対して略直交方向に移動して前記綴じ足を屈曲させて保持可能とし、
前記第一挿通部または前記第二挿通部の何れか一方を筒状に立設し、先端部に刃を形成し、
前記接続部は、平面視矩形状で側面視くの字型に屈曲する屈曲点を有する1枚の板状の合成樹脂材料からなり、屈曲する前記接続部の内側には、一方の前記第一挿通部の中心から他方の前記第一挿通部の中心までの距離の中心点から直交する線上を示す印を形成したこと、を特徴とする綴じ具用の押さえ具。
【請求項2】
前記基本部は、前記保持部が配設されていない側を押圧部側とし、前記保持部が配設されている側を反押圧部側とし、
前記保持部は、前記基本部の前記反押圧部側から外嵌する側面視略コ字状に形成して前記基本部に跨って移動するよう構成すると共に、前記反押圧部側の表面を略偏平に形成したことを特徴とする請求項1に記載の綴じ具用の押さえ具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の綴じ具用の押さえ具を有する綴じ具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項1に係る発明では、綴じ足と用いられることで被綴じ物を綴じる綴じ具用の押さえ具であって、前記綴じ足が挿通可能な第一挿通部を有する基本部と、前記基本部に対して移動可能な保持部と、前記綴じ足が挿通可能な第二挿通部を有する押圧部と、前記基本部に対して前記押圧部をつなげる接続部と、からなり、前記基本部と前記押圧部は帯状に形成し、前記基本部と前記押圧部を近接させた際に前記第一挿通部と前記第二挿通部が対峙するよう前記第一挿通部と前記第二挿通部を各々所定間隔で2箇所形成し、前記保持部は、前記基本部の外側に2箇所配設すると共に、前記第一挿通部に挿通された前記綴じ足に対して略直交方向に移動して前記綴じ足を屈曲させて保持可能とし、前記第一挿通部または前記第二挿通部の何れか一方を筒状に立設し、先端部に刃を形成し、前記接続部は、平面視矩形状で側面視くの字型に屈曲する屈曲点を有する1枚の板状の合成樹脂材料からなり、屈曲する前記接続部の内側には、一方の前記第一挿通部の中心から他方の前記第一挿通部の中心までの距離の中心点から直交する線上を示す印を形成したこと、を特徴とする綴じ具用の押さえ具を提供せんとする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項2に係る発明では、前記基本部は、前記保持部が配設されていない側を押圧部側とし、前記保持部が配設されている側を反押圧部側とし、前記保持部は、前記基本部の前記反押圧部側から外嵌する側面視略コ字状に形成して前記基本部に跨って移動するよう構成すると共に、前記反押圧部側の表面を略偏平に形成したことを特徴とする請求項1に記載の綴じ具用の押さえ具を提供せんとする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項3に係る発明では、請求項1又は2に記載の綴じ具用の押さえ具を有する綴じ具を提供せんとする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、綴じ足と用いられることで被綴じ物を綴じる綴じ具用の押さえ具であって、綴じ足が挿通可能な第一挿通部を有する基本部と、基本部に対して移動可能な保持部と、綴じ足が挿通可能な第二挿通部を有する押圧部と、基本部に対して押圧部をつなげる接続部と、からなり、基本部と押圧部は帯状に形成し、基本部と押圧部を近接させた際に第一挿通部と第二挿通部が対峙するよう第一挿通部と第二挿通部を各々所定間隔で2箇所形成し、保持部は、基本部の外側に2箇所配設すると共に、第一挿通部に挿通された綴じ足に対して略直交方向に移動して綴じ足を屈曲させて保持可能とし、第一挿通部または第二挿通部の何れか一方を筒状に立設し、先端部に刃を形成し、接続部は、平面視矩形状で側面視くの字型に屈曲する屈曲点を有する1枚の板状の合成樹脂材料からなり、屈曲する接続部の内側には、一方の第一挿通部の中心から他方の第一挿通部の中心までの距離の中心点から直交する線上を示す印を形成したことより、押圧部を基本部側に倒し込むだけで、紙等の被綴じ物に穿孔することができ、しかも、穿孔しないときは綴じ具用の押さえ具として使用することができ、複数枚の紙等の被綴じ物であっても孔を容易に穿孔することができ、基本部と押圧部の間に容易に紙等の被綴じ物を位置させること、および綴じ足を固定することで綴じた被綴じ物を確実に固定することができ、基本部と押圧部を閉じることで被綴じ物に各々所定間隔で2箇所の孔をあけることができ、基本部と押圧部を綴じた(畳んだ)状態で2つの綴じ足を有する綴じ具に押さえ具として綴じること、すなわち、綴じ具の綴じ足を第一挿通部と第二挿通部に挿通して固定し、被綴じ物を押さえ、固定することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項2記載の発明によれば、基本部は、保持部が配設されていない側を押圧部側とし、保持部が配設されている側を反押圧部側とし、保持部は、基本部の反押圧部側から外嵌する側面視略コ字状に形成して基本部に跨って移動するよう構成すると共に、反押圧部側の表面を略偏平に形成したことより、反押圧部側を机等に置いて穿孔し易くなる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の綴じ具用の押さえ具を有する綴じ具であることより、被綴じ物に各々所定間隔で2箇所穿孔し、穿孔をした押さえ具ごと綴じ具にファイリングすることができる。