(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132301
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】PET成形容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/00 20060101AFI20220901BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20220901BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220901BHJP
B29C 51/14 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B65D1/00 111
B32B27/36
B32B27/00 H
B29C51/14
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102328
(22)【出願日】2022-06-27
(62)【分割の表示】P 2017053222の分割
【原出願日】2017-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐介
(57)【要約】
【課題】光沢度及び耐熱性に優れると共に、C-PET成形容器と比べて耐衝撃性が向上
したPET成形容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】C-PETを含む中間層と、結晶核剤を含有しないA-PETで構成され、
前記中間層の表面に積層された外側表面層及び内側表面層と、を有し、前記外側表面層及
び内側表面層の厚みの合計が、容器全体の厚みの16%以内であるPET成形容器。該容
器は、結晶核剤及びIV=0.7以上のA-PETを含む中間層と、結晶核剤を含有しな
いA-PETで構成され、前記中間層の表面に積層された外側表面層及び内側表面層と、
を有し、前記外側表面層及び内側表面層の厚みの合計が、シート全体の厚みの16%以内
である積層シートを、PETの結晶化温度以上の温度で熱成形し、前記中間層のA-PE
Tを結晶化することにより得ることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性PETを含む中間層と、結晶核剤を含有しない非晶状態のPETで構成され、前記中間層の外側表面及び内側表面に積層された外側表面層及び内側表面層と、を有し、
前記外側表面層及び内側表面層の厚みの合計が、容器全体の厚みの8%以内であることを特徴とする、PET成形容器。
【請求項2】
JIS Z8741に準拠して60°の角度で測定した光沢度が98%以上であることを特徴とする、請求項1記載のPET成形容器。
【請求項3】
結晶核剤及びIV=0.7以上の非晶状態のPETを含む中間層と、結晶核剤を含有しない非晶状態のPETで構成され、前記中間層の外側表面及び内側表面に積層された外側表面層及び内側表面層と、を有し、前記外側表面層及び内側表面層の厚みの合計が、シート全体の厚みの8%以内である積層シートを、PETの結晶化温度以上の温度で熱成形し、前記中間層の前記非晶状態のPETを結晶化することを特徴とする、PET成形容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢度及び耐熱性に優れると共に、結晶性ポリエチレンテレフタレート(C
-PET)成形容器と比べて耐寒衝撃性が向上したポリエチレンテレフタレート(PET
)成形容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PETは、化学的及び物理的性質に優れ、飲料ボトル等の容器、フィルム、及びシート
等に広く利用されている。近年、家庭用の電子レンジ及びオーブンが普及し、様々な半調
理済みの冷凍食品が流通している。このような食品に使用される容器は、単に内容物を収
容するだけでなく、広い温度範囲での使用に耐え得る耐熱性及び耐衝撃性が求められる。
【0003】
従来、耐熱性に優れたPET容器として、金型中で二次成形及び結晶化することにより
得られるC-PET成形容器が実用化されている。PET成形容器の物性を改善するため
に、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、内外側に非晶性PET、中
間層に結晶性PETが配置され、各層が非晶状態である積層シートを、結晶性PETの結
晶化温度以下の温度で熱成形し、次いで、外側から結晶性PETの結晶化温度に加熱する
ことにより、中間層の結晶性PETを熱結晶化させる耐熱PET容器の製造方法が記載さ
れている。特許文献2には、固有粘度(IV値)が0.70dl/gのポリエステル系樹
脂と、n-ヘキサン抽出成分が3重量%以下のポリオレフィン樹脂と、を含むポリエステ
ル系樹脂シート及びその成形品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4223700号公報
【特許文献2】特許第3594083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PET容器においても、上記のように、広い温度範囲での使用に耐え得る耐熱性及び耐
衝撃性が求められる。しかし、C-PET成形容器は耐熱性に優れる反面、耐衝撃性に劣
るという問題点がある。また、C-PET成形容器は成形の際、結晶化のために含まれて
いるポリオレフィン系樹脂等の結晶核剤が、ロール又は金型に付着し、歩留りが悪いこと
が問題となっている。更に、通常、C-PETはA-PET(本書面において「A-PE
T」とは、一般的に結晶化していない状態であるが、結晶化温度以上で長時間加熱する等
の方法により結晶化させることもできるPETを意味する。)と比べると、光沢度及び耐
熱性に劣るという問題がある。
【0006】
本発明は、光沢度及び耐熱性に優れると共に、C-PET成形容器と比べて耐衝撃性が
向上したPET成形容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のPET成形容器は、C-PETを含む中間層と、結晶核剤を含有しない非晶状
態のPETで構成され、前記中間層の外側表面及び内側表面に積層された外側表面層及び
内側表面層と、を有し、前記外側表面層及び内側表面層の厚みの合計が、容器全体の厚み
の16%以内であることを特徴とする。
【0008】
本発明のPET成形容器の製造方法は、結晶核剤及びIV=0.7以上の非晶状態のP
ETを含む中間層と、結晶核剤を含有しない非晶状態のPETで構成され、前記中間層の
外側表面及び内側表面に積層された外側表面層及び内側表面層と、を有し、前記外側表面
層及び内側表面層の厚みの合計が、シート全体の厚みの16%以内である積層シートを、
PETの結晶化温度以上の温度で熱成形し、前記中間層の非晶状態のPETを結晶化する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のPET成形容器は、光沢度に優れ、C-PET成形容器と同等の耐熱性を有す
ると共に、全てC-PET層のみからなる成形容器と比べて耐寒衝撃性に優れている。よ
って、本発明のPET成形容器は、広い温度範囲での使用に耐え得る耐熱性及び耐衝撃性
を有する。本発明のPET成形容器の製造方法では、成形時のロール汚れ又は金型汚れを
低減することができる。よって、本発明の製造方法では、PET成形容器の製造における
歩留りを改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であっ
て、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0011】
(1)PET成形容器
本実施形態に係るPET成形容器(以下、「本容器」という。)は、結晶性PET(C
-PET)を含む中間層と、結晶核剤を含有しない非晶状態のPETで構成され、前記中
間層の外側表面及び内側表面に積層された外側表面層及び内側表面層と、を有し、前記外
側表面層及び内側表面層の厚みの合計が、容器全体の厚みの16%以内である。
【0012】
前記中間層は、前記外側表面層及び内側表面層(以下、両者を総称して「表面層」とい
う。)に間に位置し、C-PETを含む層である。前記中間層は単層構造でもよく、結晶
化の程度等が異なる多層構造でもよい。
【0013】
前記C-PETの結晶化度については特に限定はない。該結晶化度は通常、10~40
%である。前記C-PETは通常、PET及び結晶核剤を含有する組成物を結晶化するこ
とにより形成される。前記結晶核剤は、PETを結晶化することができる限り、その種類
及び含有量に特に限定はない。前記結晶核剤として、例えば、ポリオレフィン(例えば、
ポリエチレン)系樹脂等の有機結晶核剤、並びにタルク、カオリン、及びシリカ等の無機
結晶核剤が挙げられる。前記結晶核剤として好ましくは、ポリオレフィン系樹脂を含有す
る結晶核剤であり、より好ましくは、ポリエチレン系樹脂を含有する結晶核剤である。前
記結晶核剤の含有量は、前記中間層を形成するための、PET及び結晶核剤を含有する組
成物全量中、0.5~10重量%、好ましくは1~8重量%、更に好ましくは1~6質量
%である。
【0014】
前記内側表面層は、容器の内側(内容物を収容する側)の最表面層であり、前記外側表
面層は、容器の外側(内側の反対側)の最表面層である。前記表面層は、結晶核剤を含有
しない非晶状態のPETで構成される。前記表面層は、結晶核剤を含有しない非晶状態の
PETのみで構成されてもよい。本容器は、前記表面層を有することにより、耐衝撃性、
特に耐寒衝撃性に優れる。本書面において、「非晶状態のPET」は、A-PETのよう
に結晶化していない状態のPET及びPET-Gのように完全に結晶化しない状態のPE
Tを指す。前記「非晶状態のPET」として好ましくは、A-PETのように結晶化して
いない状態のPETである。
【0015】
前記「非晶状態のPET」、好ましくはA-PETのIV値は0.7以上、好ましくは
0.75以上である。前記IV値が上記範囲であると、優れた耐衝撃性を奏するので好ま
しい。
【0016】
前記外側表面層及び前記内側表面層の厚みの合計は、容器全体の厚みの16%以内、好
ましくは12%以内、更に好ましくは10%以内である。ここで、「容器全体の厚み」と
は、前記外側表面層、前記内側表面層、及び前記中間層の厚みの合計を意味する。
【0017】
前記外側表面層及び前記内側表面層の厚みの合計が上記範囲であると、中間層のC-P
ETによる耐熱性を確保すると共に、A-PET等の非晶状態のPETによる光沢度及び
耐衝撃性の向上を実現することができる。一般に層の厚みが薄くなると熱伝導率が良くな
ると考えられる。しかし、PETは通常、結晶化速度が遅い。よって、表面層をA-PE
Tで構成した場合、表面層の厚さが薄くても、A-PETの非晶状態が維持されるため、
A-PETの利点、即ち優れた光沢度及び耐衝撃性を維持できるという、当業者に全く予
測し得ない意外な効果を実現することができる。本容器では、具体的には、例えば、JI
S Z8741に準拠して60°の角度で測定した光沢度を98%以上とすることができ
る。これにより、優れた見栄えを実現することができる。
【0018】
前記外側表面層及び前記内側表面層の各厚みは同じでもよく、異なってもよい。前記外
側表面層及び前記内側表面層の厚みの合計が上記範囲内である限り、前記外側表面層及び
前記内側表面層の各厚みには特に限定がない。前記外側表面層及び前記内側表面層の各厚
みの上限は通常8%、好ましくは6%、更に好ましくは4%である。前記外側表面層及び
前記内側表面層の各厚みの下限は通常3%である。下限値が3%であると、安定して表面
層厚みを持たせることができるので好ましい。
【0019】
前記「容器全体の厚み」については特に限定はなく、必要に応じて適宜決定することが
できる。前記「全体の厚み」は、例えば20~1000μmとすることができる。
【0020】
前記中間層及び表面層は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。該他の成分とし
て、例えば、PET成形容器で用いられている種々の添加剤が挙げられる。該添加剤とし
て具体的には、例えば、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇
剤、滑剤、アンチブロッキング剤、耐衝撃剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、及び抗菌
剤が挙げられる。
【0021】
本容器のIV値は通常0.7以上、好ましくは0.75以上である。シート成形により
本容器を得る場合、通常、原料のPETシートのIV値と本容器のIV値とは同程度であ
る。よって、原料のPETシートのIV値をもって本容器のIV値としてもよい。
【0022】
本容器の製造方法には特に限定はない。本容器は通常、本発明の製造方法により製造す
ることができる。
【0023】
本容器の用途には特に限定はない。本容器は、例えば、飲食品包装用容器として用いる
ことができる。上記のように、本容器は耐熱性に優れていることから、高温での使用に好
適に適用できる。よって、本容器は特に、電子レンジ等による再加熱をする、半調理済み
の冷凍食品用の包装用容器として好適に使用することができる。
【0024】
(2)PET成形容器の製造方法
本実施形態に係るPET成形容器の製造方法(以下、「本方法」という。)は結晶核剤
及びIV=0.7以上の非晶状態のPETを含む中間層と、結晶核剤を含有しないIV=
0.7以上の非晶状態のPETで構成され、前記中間層の外側表面及び内側表面に積層さ
れた外側表面層及び内側表面層と、を有し、前記外側表面層及び内側表面層の厚みの合計
が、シート全体の厚みの16%以内である積層シートを、PETの結晶化温度以上の温度
で熱成形し、前記中間層の非晶状態のPETを結晶化する。
【0025】
前記中間層、前記外側表面層及び前記内側表面層の内容については、本容器における説
明が妥当する。本方法では、成形部材(ロール又は金型等)と接する前記表面層が結晶核
剤を含有しないA-PET等の非晶状態のPETで構成されている。よって、中間層のC
-PETによる耐熱性を維持しつつ、結晶核剤に起因する成形部材の汚れを抑制すること
ができ、歩留りを向上させることができる。
【0026】
前記積層シートを得る方法には特に限定はなく、公知のPETシートの成形方法により
得ることができる。該成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、カレンダー成形
、中空成形、真空成形、圧空成形が挙げられる。
【0027】
本方法により得られる容器は、上記のように、IV値が低くても優れた耐衝撃性を有す
る。よって、原料のPETとして、IV値が低いPETを使用することができる。また、
原料のPETとして、新材PET(バージンPET)若しくは再利用PET又はこれらの
混合物を用いることができる。前記PETとして、IV値が低いPET又は再利用PET
を用いると、廃材量を減少させることにより環境への負荷が軽減され、また、生産コスト
を下げることができるので好ましい。前記再利用ポリエステル樹脂としては、例えば、工
場内で発生したポリエステル樹脂の破材(例えば、容器成形時の破材)及びポリエステル
樹脂含有製品から回収されたポリエステル樹脂が挙げられる。
【0028】
本方法では、PETの結晶化温度以上の温度で熱成形し、前記中間層の非晶状態のPE
Tを結晶化することができる限り、容器の成形方法には特に限定はない。前記成形方法と
して、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている公知の成形方法、具体的に
は、例えば、真空成形法及び圧空成形法が挙げられる。
【0029】
前記PETの結晶化温度以上の温度は、前記中間層の非晶状態のPETを結晶化するこ
とができる温度であれば特に限定はない。該温度は通常150~200℃である。
【0030】
また、容器の成形方法において、その他の成形条件については、熱成形をすることがで
きる限り特に限定はなく、必要に応じて適宜決定することができる。例えば、成形条件は
数秒から3分程度とすることができる。本方法では、前記表面層の厚さが薄いことから、
短時間の熱成形でも前記中間層の非晶状態のPETを結晶化することができ、且つ前記表
面層のA-PET等の非晶状態のPETの非晶状態を維持することができる。
【実施例0031】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、実施例に示す形態に限
定されない。本発明の実施形態は、目的及び用途等に応じて、本発明の範囲内で種々変更
することができる。
【0032】
(1)PET成形容器の製造
原料として、以下の各成分を用いた。尚、「MB」はマスターバッチの略である。また
、以下の「PET1」及び「PET2」のIV値(dl/g)は、JIS K 7367
-5に準拠して測定した。溶媒として、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタ
ン(重量比3/1)の混合溶媒を用いた。
(A)PET1(新材);遠東新世紀股▲分▼有限公司製「CH611」(IV値;1
.05dl/g)
(B)PET2(新材);海南逸盛石化有限公司製「YS-H01」(IV値;0.7
5dl/g)
(C)結晶核剤MB;スイスSukano社製ポリエチレン系結晶核剤「S320」(
ポリエチレン含量;90%)
(D)着色MB;PET40%+酸化チタン(TiO2)60%
【0033】
表面層形成材料及び中間層形成材料中の各成分の配合割合を表1に示す。実施例1では
、PET(新材)を表面層形成材料として使用した。比較例1及び2では、PET(新材
)及び結晶核剤MBを表1の割合で混合することにより、表面層形成材料を調製した。ま
た、表1の割合でPET(新材)、結晶核剤MB及び着色MBを混合することにより、中
間層形成用材料を調製した。
【0034】
前記中間層形成用材料及び前記表面層形成用材料を2軸押出機(株式会社プラスチック
工学研究所製:型式「SBIN―42―S2―30-L」)に供給し、加工温度280℃
で溶融混練押出しを行うことにより、PETシートを製造した。得られたPETシートは
、シート厚みが0.40mmであり、層構造が2種3層(内側表面層/中間層/外側表面
層=4/92/4)である。
【0035】
【0036】
得られたPETシートを真空成形することにより(金型温度;160℃、成形時間;3
秒)、実施例1並びに比較例1及び2のPET成形容器を製造した。該容器は、128m
mφ×35mmの丸型カップである。
【0037】
(2)性能評価
実施例1並びに比較例1及び2のPET成形容器について、以下の方法により、耐熱性
、耐寒衝撃性及び光沢度を評価した。
【0038】
(A)耐熱性
PET成形容器に食材(グラタンソース)を入れ、220℃のオーブンレンジで20分
間加熱した。加熱前に、垂直に交差するように容器の直径に二方向の寸法及び容器の高さ
寸法を測定し、加熱後に同じ個所の寸法を測定し、加熱前後の寸法の割合から収縮率を算
出した。結果を表2に示す。表2中、「変化なし」は、収縮率が1%未満であることを意
味する。
【0039】
【0040】
表2より、実施例1のPET成形容器では、加熱後の収縮率が1%未満であり、耐熱性
に優れていることが分かる。この耐熱性試験における加熱条件(220℃)において、C
-PETで構成されるPET成形容器では変形は認められないことから、実施例1のPE
T成形容器は、C-PETで構成されるPET成形容器と同等の耐熱性を有する。
【0041】
(B)耐寒衝撃性
PET成形容器に水を入れて、-30℃雰囲気下で2日間保管することにより凍らせた
。その後、PET成形容器を段ボール箱に入れて(梱包数;容器6個×2段積み=12個
)、箱ごと水平に落下させ(落下高さ;1.5m及び2m)、落下後に箱の中にある容器
の割れ個数を確認した。各条件について2回ずつ試験を行った。結果を表3に示す。
【0042】
【0043】
表3より、実施例1は、IV値が同程度の比較例2と比べて容器の割れ個数が少なく、
実施例1よりもIV値が大きい比較例1と同程度の結果であった。よって、実施例1は、
IV値が低くても優れた耐衝撃性を有する。
【0044】
(C)光沢度
測定機(日本電色工業製「VG7000」)を用いて、PET成形容器の内面の光沢度
を測定した。測定方法は、JIS Z 8741に準拠して、入射・受光角度を60°と
して測定を行った。また、参考として、A-PET成形容器の内面の光沢度も測定した。
これらの結果を表4に示す。
【0045】
【0046】
表4より、実施例1の光沢度は、比較例1及び2の光沢度よりも優れ、A-PET成形
容器と同等の光沢度であることが分かる。実施例及び比較例の結果の差異は、表面の平滑
性によるもの(前者は後者よりも平滑性に優れる。)と考えられる(これは発明者個人の
見解の表明であり、発明を限定する趣旨の記載ではない。)。