(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132335
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/34 20060101AFI20220901BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220901BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220901BHJP
【FI】
G09G5/34 E
G09G5/00 530T
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
G06F3/0488
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108678
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2018071296の分割
【原出願日】2018-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社ミクシィ
(72)【発明者】
【氏名】猪子 敏行
(57)【要約】
【課題】画面に表示されるコンテンツに対してより多様な表現を可能とする、情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】マンガ表示処理は、連続した複数の静止画像52によって形成されるマンガ50を携帯端末の画面に表示するものである。マンガ表示処理は、縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が画面の長さよりも大きい静止画像52を含むマンガ50を画面に表示させ、静止画像52の縦方向又は横方向の長さに応じて、画面に表示されるマンガ50を縦方向又は横方向にスクロールさせる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示する情報処理装置であって、
縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が前記画面の長さよりも大きい前記静止画像を含む前記コンテンツを前記画面に表示させる表示制御手段と、
前記静止画像の縦方向又は横方向の長さに応じて、前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせるスクロール制御手段と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記スクロール制御手段は、縦方向に長い前記静止画像を縦方向にスクロールさせ、横方向に長い前記静止画像を横方向にスクロールさせる請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記スクロール制御手段は、前記画面に対する指示体を用いたユーザの操作に応じて前記コンテンツをスクロールさせ、前記指示体の移動速度に基づく慣性力に応じて前記静止画像の移動量を制御し、前記コンテンツのスクロール方向が変化しても、前記慣性力に応じて前記コンテンツのスクロールを継続させる請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記スクロール制御手段は、前記画面に対する指示体を用いたユーザの操作に応じて前記コンテンツをスクロールさせ、前記指示体の移動速度に基づく慣性力に応じて前記静止画像の移動量を制御し、前記コンテンツのスクロール方向が変化するタイミングで、前記慣性力の大きさにかかわらず前記コンテンツのスクロールを停止させる請求項1から請求項3の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記スクロール制御手段は、予め定められた速度で前記静止画像をスクロールさせる請求項1から請求項4の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記速度は、前記静止画像に応じて異なる請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記スクロール制御手段は、前記コンテンツをスクロールさせる所定の条件を満たしたか否かを予め定められたタイミングで判定し、前記条件を満たした場合に前記コンテンツをスクロールさせる請求項1から請求6の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コンテンツは、進行に分岐を有するマンガであり、
進行の分岐前における前記静止画像は、複数のスクロール方向が設定され、
前記スクロール制御手段は、前記複数のスクロール方向のうち、選択された一つのスクロール方向に前記コンテンツをスクロールさせる請求項1から請求項7の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項9】
本情報処理装置で取得された情報に基づいて、前記複数のスクロール方向のうち一つのスクロール方向を決定する進行分岐制御手段を備える請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記スクロール制御手段は、選択された一つのスクロール方向に前記マンガをスクロールさせる場合、選択されなかった他のスクロール方向への前記マンガのスクロールを禁止する請求項8又は請求項9記載の情報処理装置。
【請求項11】
所定の条件が満たされた場合に、マンガの進行分岐の数が前記条件を満たす前に比べて増加又は減少させる請求項8から請求項10の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記画面に表示される前記コンテンツを示すコンテンツ情報は、前記スクロール方向に対応するように2次元状に配置された複数の前記静止画像を含んで構成される請求項1から請求項11の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記画面に表示される前記コンテンツを示すコンテンツ情報は、前記画面に表示させる順番を示す順番情報及びスクロール方向が関連付けられる複数の前記静止画像を含んで構成される請求項1から請求項11の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記コンテンツ情報は、前記コンテンツの前記スクロール方向を示すスクロール情報が関連付けられ、
前記スクロール制御手段は、前記スクロール情報に応じて前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせる請求項12又は請求項13記載の情報処理装置。
【請求項15】
連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示するコンテンツ表示方法であって、
縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が前記画面の長さよりも大きい前記静止画像を含む前記コンテンツを前記画面に表示させる第1工程と、
前記静止画像の縦方向又は横方向の長さに応じて、前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせる第2工程と、を有するコンテンツ表示方法。
【請求項16】
連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示する情報処理装置が備えるコンピュータを、
縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が前記画面の長さよりも大きい前記静止画像を含む前記コンテンツを前記画面に表示させる表示制御手段と、
前記静止画像の縦方向又は横方向の長さに応じて、前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせるスクロール制御手段と、として機能させるためのコンテンツ表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータネットワークを介して携帯端末等の情報処理装置に配信されるウェブサイト(Webページ,Webサービス)やオンラインゲーム、アプリケーションソフトウェア(以下「アプリ」という。)等のオンラインサービスが広く普及している。
【0003】
特許文献1には、1ページが複数のコマから構成されるマンガを画面に表示させるために、ページの中で指定された範囲(例えば、ページ内に描かれた1つのコマ)を切り換えながら、表示画面に拡大して表示する画像表示装置が開示されている。このため、特許文献1に開示されている画像表示装置は、表示画面に表示する範囲を順次切り換えるための各種パラメータが設定された表示範囲切換リストが生成され、これに表示する順序と対応付けて、表示対象のコマ、表示中心の座標、表示倍率が設定されている。これにより、生成した表示範囲切換リストに従って、表示範囲を順に切り換えながら表示画面にWebページを表示する。
【0004】
従って、特許文献1に開示されている画像表示装置では、大きなWebページであっても、ユーザは画像の上下左右へのスクロールや拡大・縮小といった煩雑なコントローラー操作を必要とせずに、Webページの隅々まで快適に閲覧することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、情報処理装置で閲覧可能なマンガとして、紙媒体のマンガを画像データとして取り込んだものだけではなく、当初から情報処理装置へ配信することを想定してマンガを画像データで作成する場合もある。このような情報処理装置に配信することを想定して作成されるマンガは、紙媒体では表現できなかった多様な表現ができることが期待される。
【0007】
ここで、特許文献1に開示されている画像表示装置は、上下左右へのスクロール等を行うものである。この目的は、紙媒体を画像データとして取り込んだページ単位であり、かつコマ割りがされたマンガをユーザに快適に閲覧させるものであり、マンガの表現を多用化させるものではない。そこで、情報処理装置に表示されるマンガ等のコンテンツに対して、より多様な表現を可能とする技術開発が求められている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、画面に表示されるコンテンツに対してより多様な表現を可能とする、情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラムは以下の手段を採用する。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「情報処理装置」は、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示する情報処理装置であって、縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が前記画面の長さよりも大きい前記静止画像を含む前記コンテンツを前記画面に表示させる表示制御手段と、前記静止画像の縦方向又は横方向の長さに応じて、前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせるスクロール制御手段と、を備える。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「コンテンツ表示方法」は、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示するコンテンツ表示方法であって、縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が前記画面の長さよりも大きい前記静止画像を含む前記コンテンツを前記画面に表示させる第1工程と、前記静止画像の縦方向又は横方向の長さに応じて、前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせる第2工程と、を有する。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「コンテンツ表示プログラム」は、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示する情報処理装置が備えるコンピュータを、縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が前記画面の長さよりも大きい前記静止画像を含む前記コンテンツを前記画面に表示させる表示制御手段と、前記静止画像の縦方向又は横方向の長さに応じて、前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせるスクロール制御手段と、として機能させる。
【0013】
上記「情報処理装置」には、以下に例示するように、種々の技術的限定を加えてもよい。また、同趣旨の技術的限定を、「コンテンツ表示方法」が実行する処理ステップや「コンテンツ表示プログラム」の機能に加えてもよい。
【0014】
前記スクロール制御手段は、縦方向に長い前記静止画像を縦方向にスクロールさせ、横方向に長い前記静止画像を横方向にスクロールさせる。
【0015】
前記スクロール制御手段は、前記画面に対する指示体を用いたユーザの操作に応じて前記コンテンツをスクロールさせ、前記指示体の移動速度に基づく慣性力に応じて前記静止画像の移動量を制御し、前記コンテンツのスクロール方向が変化しても、前記慣性力に応じて前記コンテンツのスクロールを継続させる。
【0016】
前記スクロール制御手段は、前記画面に対する指示体を用いたユーザの操作に応じて前記コンテンツをスクロールさせ、前記指示体の移動速度に基づく慣性力に応じて前記静止画像の移動量を制御し、前記コンテンツのスクロール方向が変化するタイミングで、前記慣性力の大きさにかかわらず前記コンテンツのスクロールを停止させる。
【0017】
前記スクロール制御手段は、予め定められた速度で前記静止画像をスクロールさせる。
【0018】
前記速度は、前記静止画像に応じて異なる。
【0019】
前記スクロール制御手段は、前記コンテンツをスクロールさせる所定の条件を満たしたか否かを予め定められたタイミングで判定し、前記条件を満たした場合に前記コンテンツをスクロールさせる。
【0020】
前記コンテンツは、進行に分岐を有するマンガであり、進行の分岐前における前記静止画像は、複数のスクロール方向が設定され、前記スクロール制御手段は、前記複数のスクロール方向のうち、選択された一つのスクロール方向に前記コンテンツをスクロールさせる。
【0021】
本情報処理装置で取得された情報に基づいて、前記複数のスクロール方向のうち一つのスクロール方向を決定する進行分岐制御手段を備える。
【0022】
前記スクロール制御手段は、選択された一つのスクロール方向に前記マンガをスクロールさせる場合、選択されなかった他のスクロール方向への前記マンガのスクロールを禁止する。
【0023】
所定の条件が満たされた場合に、マンガの進行分岐の数が前記条件を満たす前に比べて増加又は減少する。
【0024】
前記画面に表示される前記コンテンツを示すコンテンツ情報は、前記スクロール方向に対応するように2次元状に配置された複数の前記静止画像を含んで構成される。
【0025】
前記画面に表示される前記コンテンツを示すコンテンツ情報は、前記画面に表示させる順番を示す順番情報及びスクロール方向が関連付けられる複数の前記静止画像を含んで構成される。
【0026】
前記コンテンツ情報は、前記コンテンツの前記スクロール方向を示すスクロール情報が関連付けられ、前記スクロール制御手段は、前記スクロール情報に応じて前記画面に表示される前記コンテンツを縦方向又は横方向にスクロールさせる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、画面に表示されるコンテンツに対してより多様な表現を可能とする、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るマンガ配信システムの構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る携帯端末の電気的構成を示すブロック図である 。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るマンガの概念を示す模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るマルチスクロールによる画面の表示状態を示す 図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るスクロール方向が変わるタイミングの画像を示 す模式図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るマンガ進行分岐を示す模式図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る携帯端末のマンガ表示機能に関する機能ブロッ ク図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る携帯端末のマンガ表示処理の流れを示すフロー チャートである。
【
図10】本発明の第1実施形態に係るマンガデータの構造を示す模式図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る他のマンガデータの構造を示す模式図である 。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る情報処理装置、コンテンツ表示方法、及びコンテンツ表示プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
[1.第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0031】
[1-1.マンガ配信システムの構成]
図1は、本実施形態に係るマンガ配信システム1の概略構成図である。マンガ配信システム1は、通信回線2、複数の携帯端末3、及びサーバ4を含んで構成される。
【0032】
通信回線2は、コンピュータネットワークを形成するものであり、例えば、電気事業者によって提供される広域通信回線である。
【0033】
携帯端末3は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン等の情報処理端末であり、通信回線2を介して配信されるオンラインサービスをユーザが利用するために用いられる。携帯端末3は、画像を表示するタッチパネルディスプレイ3a、音を出力するスピーカー3b、音が入力されるマイク3c、及び被写体を撮像するカメラ3d等を備える。ここで、タッチパネルディスプレイ3aは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)及びタッチセンサを備える。LCDは、各種画像を表示し、タッチセンサは、指、スタイラス、又はペン等の指示体を用いて行われる各種入力操作を受け付ける。なお、以下の説明ではタッチパネルディスプレイ3aを画面3aともいう。
【0034】
サーバ4は、通信回線2を介して、携帯端末3へオンラインサービスを配信する情報処理装置である。
【0035】
本実施形態に係るマンガ配信システム1は、デジタルデータとされたマンガをサーバ4から通信回線2を介して携帯端末3へオンラインサービスの一つとして配信する。ここでいうマンガとは、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツの一例であり、複数の静止画像が絵で構成され、全体としてストーリー性を有するものである。ユーザは、携帯端末3へ配信されたマンガを専用のアプリケーションソフト(以下「マンガ閲覧アプリ」という。)を用いて閲覧する。マンガ閲覧アプリは、携帯端末3に予めインストールされている。なお、マンガ閲覧アプリは、マンガデータがサーバ4から携帯端末3にダウンロードされていれば、携帯端末3とサーバ4とが通信していない状態(オフライン状態)でも機能する。
【0036】
[1-2.サーバの構成]
図2は、本実施形態に係るサーバ4の電気的構成を示すブロック図である。
【0037】
本実施形態に係るサーバ4は、サーバ4全体の動作を司る主制御部であるCPU(Central Processing Unit)20、各種プログラム及び各種データ等が予め記憶されたROM
(Read Only Memory)22、CPU20による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)24、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)26を備えている。
【0038】
HDD26は、携帯端末3に配信するマンガを示すマンガデータを記憶する。なお、記憶手段は、HDD26に限らず、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等の他の記憶媒体であってもよい。
【0039】
さらに、サーバ4は、キーボード及びマウス等で構成されて各種操作の入力を受け付ける操作入力部28、各種画像を表示する例えば液晶ディスプレイ装置等のモニタ30、通信回線2を介して携帯端末3等の他の情報処理装置等と接続され、他の情報処理装置等との間で各種データの送受信を行う外部インタフェース32を備えている。
【0040】
これらCPU20、ROM22、RAM24、HDD26、操作入力部28、モニタ30、及び外部インタフェース32は、システムバス34を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU20は、ROM22、RAM24、及びHDD26へのアクセス、操作入力部28に対する操作状態の把握、モニタ30に対する画像の表示、並びに外部インタフェース32を介した他の情報処理装置等との各種データの送受信等を行なうことができる。
【0041】
[1-3.携帯端末の電気的構成]
図3は、携帯端末3の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【0042】
携帯端末3は、
図1に示される構成に加え、主制御部40、主記憶部42、補助記憶部44、通信部46、及び操作ボタン48を備える。
【0043】
主制御部40は、例えば、CPU、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等であり、携帯端末3の全体の動作を制御する。
【0044】
主記憶部42は、例えば、RAMやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されており、主制御部40による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。
【0045】
補助記憶部44は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、画像等の各種データ及び主制御部40の処理に利用されるプログラム等を保存する。補助記憶部44に記憶されるプログラムは、例えば、携帯端末3の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)、各種ハードウェアを制御するためのドライバ、電子メールやウェブブラウジング、その他各種機能を実現するためのプログラム等である。また、補助記憶部44には、サーバ4から配信されたマンガをタッチパネルディスプレイ3aに表示させるためのマンガ閲覧アプリが予め記憶されている。
【0046】
通信部46は、例えばNIC(Network Interface Controller)であり、通信回線2に接続する機能を有する。なお、通信部46は、NICに代えて又はNICと共に、無線LAN(Local Area Network)に接続する機能、無線WAN(Wide Area Network)に接続する機能、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離の無線通信、及び赤外線通信等を可能とする機能を有してもよい。
【0047】
操作ボタン48は、携帯端末3の側面に設けられ、携帯端末3を起動又は停止させるための電源ボタンやスピーカー3bが出力する音のボリューム調整ボタン等である。
【0048】
これら主制御部40、主記憶部42、補助記憶部44、通信部46、タッチパネルディスプレイ3a、スピーカー3b、マイクロフォン3c、カメラ3d、及び操作ボタン48は、システムバス49を介して相互に電気的に接続されている。従って、主制御部40は、主記憶部42及び補助記憶部44へのアクセス、タッチパネルディスプレイ3aに対する画像の表示、ユーザによるタッチパネルディスプレイ3aや操作ボタン48に対する操作状態の把握、マイクロフォン3cへの音の入力、スピーカー3bからの音の出力、カメラ3dに対する制御、及び通信部46を介した各種通信網や他の情報処理装置へのアクセス等を行える。
【0049】
[1-4.携帯端末のマンガ表示機能]
携帯端末3は、サーバ4から配信されたマンガをマンガ閲覧アプリが有する機能(以下「マンガ表示機能」という。)を用いて画面3aに表示させ、ユーザによるマンガの閲覧を可能とする。本実施形態に係るマンガは、縦方向及び横方向の長さ(以下「縦横長さ」ともいう。)の少なくとも一方が携帯端末3の画面3aの長さよりも大きい静止画像を含んで形成される。すなわち、本実施形態に係るマンガは、縦方向に静止画と横方向に長い静止画とが混在している。
【0050】
図4を参照して本実施形態に係るマンガ50の構成を具体的に説明する。
図4は、マンガ配信システムによって携帯端末3へ配信されるマンガ50の概念図である。
図4の例では、マンガ50に静止画像52A,52Bが含まれている。静止画像52Aは、二人が会話しているシーンであり、縦長の静止画像52である。静止画像52Bは、登場人物がパンチを繰り出すシーンであり、横長の静止画像52である。なお、本実施形態に係るマンガ50は、一例として、ページやコマの概念が無く、
図4の例でも、ページの区切りやコマの区切りが明確には存在しない。
【0051】
図4に示される横方向長さxは、画面3aの横方向長さと同等であり、縦方向長さyは、画面3aの縦方向長さと同等である。すなわち、静止画像52Aの横方向の長さは、画面3aの横方向の長さと同等である一方、静止画像52Aの縦方向の長さは、画面3aの縦方向の長さよりも長い。また、静止画像52Bの横方向の長さは、画面3aの横方向の長さよりも長い一方、静止画像52Bの縦方向の長さは、画面3aの縦方向の長さと同等である。
【0052】
なお、マンガ50には、縦横長さが共に、画面3aの縦横長さよりも長い静止画像52が含まれてもよい。静止画像52の縦方向及び横方向の長さは、マンガを作成する作家によってマンガ50のシーンに応じて任意に決定される。
【0053】
[1-4-1.マルチスクロール]
マンガ表示機能は、静止画像52の縦方向又は横方向の長さに応じて、携帯端末3の縦方向又は横方向(上下左右の何れかの方向)にマンガ50をスクロールさせて画面3aに表示するマルチスクロールを行う。より具体的には、マルチスクロールは、例えば、縦方向に長い静止画像52を縦方向(画面3aの長軸方向であり、上下方向)にスクロールさせ、横方向に長い静止画像52を横方向(画面3aの短軸方向であり、左右方向)にスクロールさせる。
【0054】
このように、マルチスクロールは、マンガ50を縦方向(上下方向)や横方向(左右方向)の一方向にスクロールさせるのではなく、マンガ50のシーンに応じて縦方向や横方向へスクロール方向を変化させるものである。マンガ50においてスクロール方向が変化するタイミングは、例えば、マンガ50のシーンが変化するタイミングでもある。
【0055】
以下の説明において、縦方向へのスクロールを縦スクロールといい、横方向へのスクロールを横スクロールという。なお、静止画像52の縦横長さが共に画面3aの縦横長さよりも長い場合、マンガ50は、予め設定された方向へのスクロールが可能とされる。
【0056】
図4における矢印Sはマンガ50のスクロール方向を示しており、静止画像52Aは、縦方向の長さが画面3aの縦方向よりも長いので縦スクロールする。また、静止画像52Bは、横方向の長さが画面3aの横方向よりも長いので横スクロールする。
【0057】
図5は、マルチスクロールによる画面3aの表示状態を示す図であり、
図4における静止画像52A,52Bを画面3aに表示させる場合を示している。
【0058】
図5(A)~(F)は、この順で携帯端末3の画面3aに表示される画像変化、すなわちスクロールの状態を示している。
図5(A)~(C)は、マンガ50が上から下へ縦スクロールする状態を示している。一方、
図5(C),(D)のように画面3aに表示される静止画像52が静止画像52Aから静止画像52Bへ変化すると、
図5(D)~(F)のようにマンガ50は左から右への横スクロールへ変化する。
【0059】
ここで、携帯端末3の画面3aに表示されるマンガ50のスクロール方向が常に一方向である場合、画面3aに表示される画像変化がシーン毎に適切でない場合があった。例えば、スクロール方向が縦方向のみである場合、静止画像52Bのように横方向へパンチを繰り出すシーンでは、横方向の長さが画面3aの横方向の長さに合うように静止画像52Bを画面3aの横長さに合わせて作成、表示させなければならず、臨場感や表現力に欠けるものとなる。
【0060】
一方、本実施形態に係るマンガ表示機能では、静止画像52の縦横長さに応じてマンガ50をスクロールして画面3aに表示するので、例えば、静止画像52Bのようにパンチを繰り出すシーンが横スクロールし、腕から拳が徐々に画面3aに表示される。これにより、マンガ表示機能は、画面3aに表示させるマンガ50の臨場感や表現力を高めることが可能となる。
【0061】
このように、本実施形態に係るマンガ表示機能によるマルチスクロールは、画面3aに表示されるマンガ50に対してより多様な表現を可能とする。
【0062】
[1-4-2.スクロール操作]
マンガ表示機能は、画面3aに対する指示体を用いたユーザの操作に応じてマンガ50をスクロールさせる。なお、本実施形態に係る指示体は、一例としてユーザの指である。
【0063】
ユーザは、画面3aに表示されるマンガ50をスクロールさせる場合に、例えば、画面3aに触れている自身の指をスクロール方向に移動(スワイプ又はフリック)させる。マンガ表示機能は、画面3aにマンガ50が表示されている状態で、スワイプ又はフリックされたこと(以下「スクロール操作」という。)を画面3aが検知した場合にマンガ50をスクロールさせる。
【0064】
本実施形態に係るマンガ表示機能は、一例として、スクロール操作を行うユーザの指の移動方向と予め定められたスクロール方向とが一致した場合に、携帯端末3に表示させているマンガ50をスクロールさせる。なお、これに限らず、マンガ表示機能は、スクロール操作が行われた場合、ユーザの指の移動方向にかかわらず、予め定められた方向にマンガ50をスクロールさせてもよい。また、スクロール操作をユーザの指をスワイプ又はフリックさせるのではなく、例えば、画面3aに対するタップとし、タップが行われた場合にマンガ50が予め定められた方向にスクロールしてもよい。
【0065】
図6は、スクロール方向が変わるタイミングの静止画像52Cを示す模式図である。本実施形態に係るマンガ表示機能は、一例として、画面3aに静止画像52Cの下端が表示され、それ以上下方向へスクロールできない場合に横方向へスクロール方向が変わる。
【0066】
なお、これに限らず、画面3aに静止画像52Cの中心領域が表示された場合にスクロール方向が変わってもよい。この場合、スクロール方向が変化するタイミングとなる静止画像52Cの中心領域を示す座標がマンガに予め設定されている。
【0067】
また、本実施形態に係るマンガ表示機能は、スクロール方向を示す矢印画像54を画面3aに表示してもよい。この矢印画像54は、例えば、画面3aに表示されているマンガの邪魔にならないように、画面3aの端に表示される。これにより、ユーザは、画面3aに表示されているマンガのスクロール方向を把握できるので、スクロール操作を間違わずに行える。
【0068】
また、マンガ表示機能は、スクロール操作を行うユーザの指の移動速度に応じて、マンガ50のスクロール速度を変化させる。すなわち、指の移動速度が速いほど、マンガ50の静止画像52のスクロール量が多い。
【0069】
[1-4-3.慣性スクロール]
本実施形態に係るマンガ表示機能は、スクロール操作を行うユーザの指の移動速度に基づく慣性力に応じてマンガ50を構成する静止画像52のスクロール量を変化させる。具体的には、ユーザの指の移動速度が速いほど、指が画面3aから離れてもマンガ50のスクロールが継続して行われる。なお、ここでいう慣性力は、ユーザの指の移動速度に応じて予め定められる疑似的な慣性力であり、この慣性力は時間経過、すなわち指を画面3aから離した後のスクロール量と共に小さくなる。また、以下の説明では、慣性力によるスクロールを慣性スクロールという。
【0070】
ここで、携帯端末3に表示されるマンガ50が慣性スクロールされ、かつスクロール方向が変化するタイミング(シーン)となった場合、マンガ表示機能はスクロール制御として第1慣性スクロール制御又は第2慣性スクロール制御を行う。
【0071】
第1慣性スクロール制御は、マンガ50のスクロール方向が変化するタイミングとなってマンガ50のスクロール方向が変化しても、慣性力に応じてマンガ50のスクロールを継続させる制御である。
【0072】
一方、第2慣性スクロール制御は、マンガ50のスクロール方向が変化するタイミングで、慣性力の大きさにかかわらずマンガ50のスクロールを停止させる制御である。すなわち、第2慣性スクロール制御は、マンガ50のスクロール方向が変化する前で、一旦、マンガ50のスクロールを停止させる。
【0073】
図6を参照して、第1慣性スクロール制御及び第2慣性スクロール制御を具体的に説明する。
【0074】
第1慣性スクロール制御では、慣性スクロールによって静止画像52Cが携帯端末3の画面3aに表示された場合、静止画像52Cが画面3aに表示されたタイミングでスクロールが停止することなく、縦スクロールから横スクロールにスクロール方向を変化させ、継続して慣性スクロールを行う。従って第1慣性スクロール制御は、ユーザのスクロール操作に応じたスムーズなスクロールを可能とする。
【0075】
一方、第2慣性スクロール制御では、慣性スクロールによって静止画像52Cが携帯端末3の画面3aに表示された場合、静止画像52Cが画面3aに表示されたタイミングでスクロールを停止させる。そして、ユーザによるスクロール操作が行われた場合に、マンガ50のスクロールが再開されて横方向へマンガ50をスクロールさせる。従って第2慣性スクロール制御は、マンガ50のシーンの変化をユーザが見逃すことを防止可能とする。
【0076】
なお、第1慣性スクロール制御又は第2慣性スクロール制御の何れを用いるかは、一例としてユーザの設定により決定されてもよいし、マンガ50の作家の希望に応じて予め設定されてもよい。また、一つのマンガ50において、第1慣性スクロール制御と第2慣性スクロール制御が混在してもよい。例えば、静止画像52Cにマンガ50のストーリーにとっての重要な会話が含まれている場合には、第2慣性スクロール制御が行われスクロールを停止させる。一方、マンガ50のスピード感を表現したいシーンでは、第1慣性スクロール制御が行われ、スクロールを停止させることなくマンガ50を進行させる。
【0077】
[1-4-4.条件スクロール]
本実施形態に係るマンガ表示機能は、マンガ50をスクロールさせる所定の条件(以下「スクロール条件」という。)を満たしたか否かを予め定められたタイミング(以下「条件検知タイミング」という。)で判定し、スクロール条件を満たした場合にマンガ50をスクロール(進行)させてもよい。なお、マンガ表示機能は、条件検知タイミングにおいてスクロール条件を満たさない場合には、マンガ50をスクロールさせない。
【0078】
マンガ表示機能は、例えば、スクロール条件として携帯端末3からユーザに指示が出され、当該指示に沿った入力が携帯端末3に行われた場合にマンガ50をスクロールさせる。なお、携帯端末3からのユーザへの指示は、例えば、画面3aに表示される。すなわち、条件検知タイミングは、当該指示が画面3aに表示された後である。また、当該指示と共に、条件検知タイミングとなるタイミングが画面3aに表示されてもよい。
【0079】
一例として、携帯端末3からのユーザに対する指示は、マンガ50のストーリーに関連付けられている。例えば、マンガ50の主人公が後ろを向く動作を行うシーンを予め定められたタイミングとし、このシーンにおいて実際にユーザが携帯端末3を所持して携帯端末3と共に後ろを向く動作を行った場合に、マンガ50をスクロールさせる。この場合におけるスクロール条件は、携帯端末3が備える加速度センサが所定値以上の加速度を検知することである。すなわち、条件検知タイミングにおいてユーザが、所持している携帯端末3と共に後ろを振り向き、携帯端末3が備える加速度センサがスクロール条件を満たす所定値以上の加速度を検知した場合にマンガ50がスクロールする。
【0080】
また、携帯端末3を頭部装着ディスプレイ装置(Head Mount Display:HMD)とし、ディスプレイにマンガ50を表示させる形態では、条件検知タイミングにおいてユーザが後ろを振り向くとスクロール条件を満たしたと判定してマンガ表示機能がマンガ50をスクロールさせてもよい。
【0081】
このように、条件スクロールを行うマンガ表示機能は、マンガ50をスクロールさせるために新たなユーザ操作等を必要とするため、ユーザにとってインタラクティブ性の高いマンガ50の表現を可能とする。
【0082】
[1-4-5.進行分岐]
本実施形態に係るマンガ50は、その進行に分岐(以下「進行分岐」という。)を有してもよい。進行分岐を有するマンガ50には、進行分岐前における静止画像(以下「分岐前静止画像」という。)に複数のスクロール方向が設定されている。そして、マンガ表示機能は、複数のスクロール方向のうち、選択された一つのスクロール方向にマンガ50をスクロールさせる。なお、進行分岐とは、換言すると、ストーリーの分岐であるが、マンガのストーリーの一部が分岐するだけで最終的な結末は同じとなってもよいし、最終的な結末が変わってもよい。
【0083】
図7は、携帯端末3に表示される分岐前静止画像52Dの一例であり、分岐前静止画像52Dには左右に各々スクロール方向が設定されている。すなわち、ユーザは、携帯端末3に分岐前静止画像52Dが表示された場合、左右何れかの方向にスクロール操作を行うことで、スクロール方向を選択する。
【0084】
なお、
図7に示される分岐前静止画像52Dは簡略化して示しているものであり、実際には例えば、分岐前静止画像52Dにユーザに対して進行分岐のために左右何れかにスクロール操作を行うことを促す情報が表示される。また、複数のスクロール方向は、左右だけではなく、上下、左と下、又は右と下等であってもよく、選択可能なスクロール方向も3つであってもよい。
【0085】
このように、本実施形態に係るマンガ表示機能は、画面3aに対するスクロール操作等の携帯端末3で取得された情報に基づいて、複数のスクロール方向のうち一つのスクロール方向を決定する。
【0086】
また、マンガ表示機能は、画面3aで取得されたユーザのスクロール操作に関する情報だけでなく、携帯端末3が備える他のセンサが取得した情報や時刻に基づいて、スクロール方向を決定してもよい。より具体的には、例えば、携帯端末3が備える加速度センサが所定の値を取得した場合に、取得した値に応じてスクロール方向が決定されてもよい。また、携帯端末3が備える位置情報取得センサ、所謂GPS(Global Positioning System)が所定の位置情報を取得した場合に、新たなマンガ50を取得し、取得したマンガ50をユーザが閲覧可能なようにスクロール方向が決定されてもよい。また、携帯端末3で計時する時刻が所定の時刻となった場合に、新たなマンガ50を取得し、取得したマンガ50をユーザが閲覧可能なようにスクロール方向が決定されてもよい。
【0087】
また、マンガ表示機能は、選択された一つのスクロール方向にマンガをスクロールさせる場合、選択されなかった他のスクロール方向へのマンガのスクロールを禁止してもよい。例えば、ユーザが
図7に示される進行Aを選択し、この方向にマンガがスクロールした後に、ユーザがマンガを分岐前静止画像52Dまで戻したとしても、ユーザは進行Bを選択することが禁止(以下「ロック」という。)される。
【0088】
このロックは、所定のロック解除条件を満たした場合に解除さてもよい。ロック解除条件は、例えば、当該マンガをユーザが最後まで読んだ場合や、ユーザが課金を行った場合、ユーザが当該マンガの感想を投稿した場合等である。
【0089】
マンガ表示機能は、このような進行分岐のロックを有することにより、ユーザに対してマンガを複数回閲覧することを促すことができる。
【0090】
このように、進行分岐を行うマンガ表示機能は、一つのマンガ50に複数のストーリーを与えることができるので、マンガ50に対する多様な表現を可能とする。
【0091】
また、所定の進行分岐増加条件が満たされた場合に、マンガの進行分岐の数が当該条件を満たす前に比べて増加してもよい。進行分岐の数が増加するとは、例えば、
図7に示されるように2の進行分岐を有していた分岐前静止画像52Dが、3つの進行分岐を有したり、進行分岐が無かったシーンで新たに進行分岐が生じることである。
【0092】
進行分岐増加条件は、例えば、ユーザがマンガを閲覧した回数、マンガの公開からの所定経過期間、所定の時間帯、関連付けられている他のサービス(例えばオンラインゲームの所定クエスト等)の実行、又は課金等である。また、進行分岐増加条件として、マンガを読み進めた後に以前に読んだ所定部分に戻ることで、その所定部分にそれまでに表示されなかった進行分岐が表示されてもよい。
【0093】
なお、進行分岐増加条件が満たされた場合に、上述したロックの解除が行われてもよい。さらに、所定の進行分岐減少条件を設定し、当該条件が満たされた場合に、マンガの進行分岐の数が当該条件を満たす前に比べて減少してもよい。進行分岐減少条件は、例えば、マンガの公開からの所定経過期間や所定の時間帯等である。
【0094】
また、進行分岐後の所定スクロール量のマンガのみをユーザが閲覧可能とし、進行分岐後のストーリーの試し読みを可能としてもよい。より具体的には、進行分岐によってマンガの進行が2つに分れる場合、一方の進行は制限なくユーザが閲覧できるものの、他方の進行に対しては所定条件を満たした場合にのみ閲覧を可能とするといった制限を設ける。この場合、当該他方の進行に対しては、所定条件を満たさずとも予め定められた所定スクロール量のみユーザの閲覧を可能とし、所定条件を満たした場合に所定スクロール量以上の閲覧を可能とする。なお、所定条件とは、例えば、進行分岐増加条件と同様の条件である。
【0095】
さらに、閲覧に制限のある進行分岐をユーザが閲覧する際には、スクロールを行う指が画面3aからタッチオフすると進行分岐まで画面3aの表示が戻るとしてもよい。すなわち、所定条件を満たさず所定スクロール量のみの閲覧が可能なユーザに対しては、指が画面3aからタッチオフした場合に進行分岐まで戻る慣性力が疑似的に与えられる。
【0096】
[1-4-6.エフェクト]
本実施形態に係るマンガ50は、種々のエフェクト(画像効果)が与えられてもよい。エフェクトは、マンガ50の一部に与えられるものであり、例えば、マンガ50のシーンの一部(マンガ50を構成する静止画像52の一部)がエフェクトにより動的に変化する。
【0097】
なお、エフェクトが与えられるシーン(静止画像52)は、予めエフェクトの内容と共に設定されている。マンガ表示機能は、エフェクトが設定されているシーンが画面3aに表示されるタイミングで、当該シーンに設定されているエフェクトを実行する。
【0098】
より具体的には、マンガ50を構成する画像の一部が動画像とされ、マンガ表示機能はエフェクトとして、スクロールにより動画像が表示されると動画像の再生を開始し、動画像の再生が終了すると次の静止画像52にスクロールしてもよい。すなわち、マンガ50は、静止画像52と静止画像52との間に動画像が含まれてもよい。
【0099】
また、マンガ表示機能はエフェクトとして、所定の静止画像52を拡大縮小、上下左右への微小振動、又は回転等させてもよい。また、マンガ表示機能はエフェクトとして、画面3aに表示されている所定の静止画像52をフェードアウトさせ、次の静止画像52をフェードインさせて静止画像を画面3aに表示させてもよい。
【0100】
また、マンガ表示機能はエフェクトとして、所定の静止画像52に対して、他の静止画像を重畳して表示させてもよい。例えば、人物を含む静止画像52が表示された後に、当該静止画像52に重畳して吹き出しを示す静止画像が表示されたり、他の人物を示す静止画像等が表示されてもよい。
【0101】
また、マンガ50を構成する静止画像52の一部に、画面3aに対して疑似的に奥行き方向(又は手前方向)に異なる静止画像52が配置され、マンガ表示機能はエフェクトとして、画面3aの奥行方向に疑似的に配置された複数の静止画像52を順に画面3aに表示させてもよい。このエフェクトは、換言すると、複数の静止画像52をあたかも紙芝居のように順に画面3aに表示させるものである。
【0102】
このように、エフェクトを行うマンガ表示機能は、マンガ50に対するより多様な表現を可能とする。
【0103】
[1-5.マンガ表示機能の機能ブロック]
図8は、本実施形態に係る携帯端末3にインストールされたマンガ閲覧アプリのマンガ表示機能に関する機能ブロック図である。携帯端末3が備える主制御部40は、マンガ表示制御部60、スクロール制御部62、進行分岐制御部64、及びエフェクト制御部66を備える。主制御部40が備える各機能によって実行される処理は、補助記憶部44に記憶されているプログラムによって実現される。
【0104】
マンガ表示制御部60は、縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が画面3aの長さよりも大きい静止画像52を含むマンガ50を画面3aに表示させる。
【0105】
スクロール制御部62は、静止画像52の縦方向又は横方向の長さに応じて、画面3aに表示されるマンガ50を縦方向又は横方向にスクロールさせる。より具体的には、スクロール制御部62は、縦方向に長い静止画像52を縦方向にスクロールさせ、横方向に長い静止画像52を横方向にスクロールさせる。また、スクロール制御部62は、かつ第1慣性スクロール制御及び第2慣性スクロール制御を行う。
【0106】
進行分岐制御部64は、分岐前静止画像52Dに複数のスクロール方向が設定されることで進行分岐を有するマンガ50に対して、携帯端末3で取得された情報に基づいて、複数のスクロール方向のうち一つのスクロール方向を決定する。
【0107】
エフェクト制御部66は、エフェクトが設定されているシーン(静止画像52)が画面3aに表示された場合に、当該シーンに対してエフェクトを実行する。
【0108】
[1-6.マンガ表示処理のフローチャート]
図9は、携帯端末3が備える主制御部40によって実行されるマンガ表示処理の流れを示すフローチャートである。マンガ表示処理を実行するためのプログラム(マンガ閲覧アプリ)は補助記憶部44の所定領域に予め記憶されている。
【0109】
まず、ステップ100では、サーバ4から配信されたマンガ50をマンガ表示制御部60が画面3aに表示させる。
【0110】
次のステップ102では、画面3aに対してユーザによるスクロール操作が行われたか否かをスクロール制御部62が検知し、肯定判定の場合はステップ104へ移行する。
【0111】
ステップ104では、スクロール操作の方向がマンガ50のスクロール方向と同じであるか否かをスクロール制御部62が判定し、肯定判定の場合はステップ106へ移行し、否定判定の場合はステップ102へ戻る。
【0112】
ステップ106では、画面3aに表示されているマンガ50をスクロール制御部62がスクロールさせる。
【0113】
次のステップ108では、画面3aに表示された静止画像52が分岐前静止画像52Dであるか否かを進行分岐制御部64が判定し、肯定判定の場合はステップ110へ移行し、否定判定の場合はステップ112へ移行する。
【0114】
ステップ110では、携帯端末3で取得された情報に基づいて、分岐前静止画像52Dに設定されている複数のスクロール方向のうち一つのスクロール方向を進行分岐制御部64が決定し、決定したスクロール方向へスクロール制御部62がマンガ50をスクロールさせる。
【0115】
次のステップ112では、画面3aに表示されているマンガ50のシーンにエフェクトが設定されているか否かをエフェクト制御部66が判定し、肯定判定の場合はステップ114へ移行し、否定判定の場合はステップ116へ移行する。
【0116】
ステップ114では、画面3aに表示されているマンガ50のシーンに設定されているエフェクトをエフェクト制御部66が実行する。
【0117】
ステップ116では、画面3aに表示されているマンガ50が終了したか否かをマンガ表示制御部60が判定し、肯定判定の場合に本マンガ表示処理を終了し、否定判定の場合はステップ102へ移行し、マンガ50の表示を継続する。なお、一例として、マンガ表示制御部60は、画面3aに表示されているマンガ50がそれ以上スクロールできない場合にマンガ50が終了したと判定する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態に係るマンガ表示処理は、連続した複数の静止画像52によって形成されるマンガ50を携帯端末3の画面3aに表示する。そして、マンガ表示処理は、縦方向及び横方向の長さの少なくとも一方が画面3aの長さよりも大きい静止画像52を含むマンガ50を画面3aに表示させ、静止画像52の縦方向又は横方向の長さに応じて、画面3aに表示されるマンガ50を縦方向又は横方向にスクロール(マルチスクロール)させる。これにより、本実施形態に係るマンガ表示処理は、画面3aに表示されるマンガ50に対してより多様な表現を可能とする。
【0119】
[1-7.マンガデータの構造]
次に、携帯端末3に表示されるマンガ50を示すマンガデータの構造(フォーマット又はオーサリングともいう。)について説明する。
【0120】
本実施形態では、携帯端末3の画面3aに表示されるマンガ50を示すマンガデータは、スクロール方向に対応するように2次元状に配置された複数の静止画像(静止画像データ)を含んで構成される。
【0121】
図10は、本実施形態に係るマンガデータ70の構造を示す模式図である。本実施形態に係るマンガデータ70は、一例として、複数のマス72(
図10の破線で示される領域)が格子状に配置されているデータフォーマット74を用いて形成される。データフォーマット74を構成するマス72は、例えば、一辺が携帯端末3の画面3aの横方向の長さに略対応しており、連続する二つの辺が画面3aの横方向の長さに略対応している。
【0122】
そして、共通の辺を有して連続するマス72に静止画像52が配置される(書き込まれる)ことで、マンガデータ70が形成される。一例として、
図10において実線及びハッチングで示される領域が静止画像52が配置されて構成されたマンガデータ70である。
【0123】
従って、
図10に示されるデータフォーマット74を用いてマンガ50を作成する作家は、画面3aへのマンガ50の表示状態を直接的に感知(イメージ)しながら、マンガ50を作成することが可能となる。
【0124】
なお、マンガデータ70には、マンガ50のスクロール方向を示すスクロール情報が関連付けられ、スクロール制御部62は、スクロール情報に応じて画面3aに表示されるマンガ50を縦方向又は横方向にスクロールさせる。スクロール情報は、一例として、マス72毎に関連付けられるが、これに限らず、スクロール情報は、連続する複数のマス72からなるグループ毎、静止画像52毎、又は連続する複数の静止画像52からなるグループ毎に関連付けられてもよい。
【0125】
このように、マンガデータ70にスクロール情報が関連付けられているため、マンガ表示機能は、簡易にマンガ50のスクロール方向を判定し、画面3aに表示されるマンガ50をマンガ50の作家が意図した方向にスクロールさせることができる。
【0126】
さらに、静止画像52又はマス72毎にエフェクトが設定されてもよく、静止画像52の重畳等が行われるシーンに対応するマス72には、複数の静止画像52が配置される。
【0127】
また、
図11は、マンガデータ70の他の実施形態を示す模式図である。
【0128】
図11に示されるマンガデータ70は、携帯端末3の画面3aに表示させる順番(スクロール順)を示す順番情報及びスクロール方向が関連付けられた複数の静止画像52を含んで構成されるデータテーブル76である。なお、データテーブル76に記述されるスクロール方向には、静止画像52毎のスクロール開始位置及びスクロール終了位置が含まれる。
【0129】
データテーブル76に含まれる静止画像52は、静止画像データそのものが含まれてもよいし、静止画像データのリンク先が記述されてもよい。なお、本実施形態に係るデータテーブル76は、一例として、CSV(Comma-Separated Values)ファイルであり、静止画像データのリンク先が記述されている。
【0130】
従って、
図11に示されるデータテーブル76を用いることで、上述したデータフォーマット74を新たに作成することなく、マルチスクロールを可能とするマンガデータ70を簡易に作成することができる。
【0131】
なお、スクロール制御部62は、データテーブル76を読み込むことで、スクロール順毎に静止画像52を画面3aに表示させ、静止画像52に関連付けられたスクロール方向へマンガ50をスクロールさせる。
図11に示されるデータテーブルは、静止画像データ毎にスクロール方向が関連付けられているが、連続する複数の静止画像データからなるグループ毎にスクロール方向を関連付けてもよい。また、この他にも、スクロール制御部62は、画面3aに表示されるマンガのスクロールに関する各種処理を行う。
【0132】
なお、サーバ4は、マンガ配信を行う場合、一例としてマンガデータ70(データテーブル76)をストリーミング配信により携帯端末3に配信する。
【0133】
[2.第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0134】
本実施形態に係るマンガ配信システム1、サーバ4、及び携帯端末3の構成は、第1実施形態に係るマンガ配信システム1、サーバ4、及び携帯端末3の構成と同様であるので説明を省略する。
【0135】
本実施形態に係るマンガ表示機能は、予め定められた速度(以下「スクロール速度」という。)で静止画像52をスクロールさせる。すなわち、本実施形態に係るマンガ表示機能は、画面3aに表示されるマンガ50をスクロール速度に基づいて自動的にスクロール
(以下「自動スクロール」という。)させる。なお、スクロール速度は、マンガデータ70において例えば静止画像52毎に設定されている。そして、スクロール制御部62がマンガデータ70に設定されたスクロール速度を読み取り、画面3aに表示される静止画像52を読み取ったスクロール速度でスクロールさせる。
【0136】
スクロール速度は、マンガ50のシーン(静止画像52)に応じて異なってもよい。例えば、スピード感を表現したいシーンではスクロール速度が相対的に速くされ、壮大な自然を表すシーンではスクロール速度が相対的に遅くされる。
【0137】
また、本実施形態に係るマンガ表示機能は、一部のシーン(静止画像52)で自動スクロールを行い、他のシーンではスクロールをユーザのスクロール操作(以下「手動スクロール」という。)で行うとしてもよい。この場合、マンガ表示機能は、例えば、自動スクロールするタイミング又は手動スクロールするタイミングを画面3aにカウントダウンで表示したり、画面3aに表示されているマンガ50のスクロール状態が自動スクロール又は手動スクロールであることを画面3aに表示してもよい。
【0138】
[3.他の実施形態]
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0139】
例えば、上記実施形態では、コンテンツをマンガ50とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、コンテンツを構成する静止画像52を文章で構成された小説等としてもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、マンガ表示機能としてマルチスクロール、スクロール操作、慣性スクロール、条件スクロール、進行分岐、及びエフェクトの機能について説明したが、マンガ表示機能はマルチスクロール及びスクロール操作の機能を有していれば、他の機能を有していなくてもよいし、他の機能の一部のみを有していてもよい。
【0141】
また、上記実施形態で説明したマンガ表示処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0142】
3 携帯端末(情報処理装置)
3a 画面
50 マンガ(コンテンツ)
52 静止画像
60 マンガ表示制御部(表示制御手段)
62 スクロール制御部(スクロール制御手段)
64 進行分岐制御部(進行分岐制御手段)
70 マンガデータ(コンテンツ情報)
【手続補正書】
【提出日】2022-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
プロセッサは、進行に分岐を有するコンテンツを画面に表示させ、
プロセッサは、前記画面に表示される前記コンテンツの進行を制御し、
プロセッサは、複数の進行方向のうち、選択された第1の進行方向への進行量に制限を設けることなく前記コンテンツを進行させ、選択された第2の進行方向への進行量に制限を設ける、情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサが、進行に分岐を有するコンテンツを画面に表示させ、
プロセッサが、前記画面に表示される前記コンテンツの進行を制御し、
プロセッサが、複数の進行方向のうち、選択された第1の進行方向への進行量に制限を設けることなく前記コンテンツを進行させ、選択された第2の進行方向への進行量に制限を設ける、情報処理方法。
【請求項3】
プロセッサに、進行に分岐を有するコンテンツを画面に表示させ、
プロセッサに、前記画面に表示される前記コンテンツの進行を制御させ、
プロセッサに、複数の進行方向のうち、選択された第1の進行方向への進行量に制限を設けることなく前記コンテンツを進行させ、選択された第2の進行方向への進行量に制限を設けさせる、プログラム。