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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132414
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】医学療法におけるセマグルチド
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/22 20060101AFI20220901BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220901BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220901BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220901BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220901BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61K38/22
A61P3/04
A61P9/12
A61P3/10
A61P3/06
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112446
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2020517328の分割
【原出願日】2018-10-10
(31)【優先権主張番号】17196254.1
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カビッシュ、マリア
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、トーマス
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、体重管理のための改善された医学療法を提供することである。
【解決手段】本発明は、体重管理のために、週1回2.0~10.0mgの量、または、週あたり2.2~2.7mgの量でセマグルチドを投与する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その必要のある対象の体重管理のための方法であって、セマグルチドが前記対象に
a.週1回2.0~10.0mgの量、または
b.週あたり2.2~2.7mgの量で投与される、方法。
【請求項2】
前記体重管理が習慣的な体重管理である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記体重管理が、体重減少、肥満の治療および/または予防、過体重の治療および/または予防、体重増加の予防からなる群から選択される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記セマグルチドの週あたり投与量が、2.2~2.7mg、2.2~2.6mg、および2.3~2.5mgからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記投与が1日1回または週1回である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
セマグルチドが、2.0~10.0mgの量で前記対象に週1回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記セマグルチドが、皮下投与される、例えば皮下注射を介して皮下投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
セマグルチドが、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む組成物の形態で投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、溶液または懸濁液、例えば水溶液の形態である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物のpHが、6.0~10.0、例えば6.5~9.0または7.0~8.0の範囲内である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物のpHが約7.4である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物中のセマグルチドの濃度が0.01~50mg/mL、例えば0.05~20mg/mLまたは0.1~10mg/mLである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物中のセマグルチドの濃度が0.01~5mg/mL、例えば0.05~2mg/mLである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸、および尿失禁からなる群から選択される少なくとも1つの体重関連の併存疾患を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が2型糖尿病を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満の治療を含めた体重管理の形態での医学療法で使用するためのセマグルチドに関する。
【背景技術】
【0002】
肥満の治療を含めた体重管理は、多くの人々にとって課題となっている。最近承認された医学療法が存在し、これには、肥満または過体重であり、かつ少なくとも1つの体重関連の併存疾患を有する人を対象とする長期の体重管理のために承認されたGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)のリラグルチドであるSaxenda(登録商標)が含まれる。GLP-1 RAの最も頻繁な有害事象は、胃腸障害、および特に吐き気である。体重管理のための改善された医学療法が依然として望まれる。
【発明の概要】
【0003】
一部の実施形態において、本発明は、体重管理を必要とする対象の体重管理のための方法に関し、この方法では、前記対象は2.0~4.0mgの量のセマグルチドを週1回投与される。一部の実施形態において、本発明は、体重管理を必要とする対象の体重管理のための方法に関し、この方法では、前記対象は週あたり2.2~2.7mgの量のセマグルチドを投与される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、本発明者らは、セマグルチドを高用量で、例えば週1回2.0~4.0mgで投与しつつ、体重減少に対するセマグルチドの効果とこれらの高用量セマグルチドについて観察された安全性プロファイルとの間の予想外の有益な比率を理由に、体重減少の改善を達成することが可能であることを見出した。本発明者らはまた驚くべきことに、体重減少に対するセマグルチドの効果が、1日1回0.3mg~0.4mgの高用量においても改善し続けたことを見出した。驚くべきことに、本発明者らは、これらの高用量における胃腸の有害事象を含めた安全性プロファイルの増加は、意外にも体重減少の改善よりも低いことも見出した。これは実験セクションに示されており、報告された胃腸の有害事象数の変化は、1日1回0.3mgおよび同0.4mgの高用量において体重減少の変化よりも低かった。我々の知る限り、本明細書でも記載しているリラグルチドに関するもの以外には、2型糖尿病のないヒト肥満対象の母集団においてGLP-1受容体作動薬の体重減少と安全性プロファイルの間の関係について記載した出版物は存在しない。
【0005】
「安全性プロファイル」という用語は、本明細書で使用される場合、投与された薬剤または他の物質の有害作用を指し、吐き気などの胃腸の有害事象を含む。一部の実施形態において、「安全性プロファイルの増加」という用語は、本明細書で使用される場合、胃腸の有害事象の増加などの安全性イベントの増加を指す。一部の実施形態において、本発明の方法は、治療を改善、例えば、体重減少量の増加という形態の改善された体重管理を改善する一方で、許容可能な忍容性を提供する。一部の実施形態において、「安全性プロファイル」という用語は、本明細書で使用される場合、忍容性を指す。「胃腸の有害事象」という用語は、本明細書で使用される場合、MedDRA分類(例えば、バージョン19.1)で定義される器官別大分類の胃腸障害の症状を指す。一部の実施形態において、「胃腸の有害事象」は、本明細書で使用される場合、吐き気、嘔吐、下痢および便秘からなる群から選択される症状を指す。一部の実施形態において、「胃腸の有害事象」は、本明細書で使用される場合、吐き気を指す。
【0006】
一部の実施形態において、本発明は、体重管理を必要とする対象の体重管理のための方法に関し、この方法では、前記対象は2.0~4.0mgの量のセマグルチドを週1回投与される。一部の実施形態において、本発明は、体重管理を必要とする対象の体重管理のための方法に関し、この方法では、前記対象は週あたり2.2~2.7mgの量のセマグルチドを投与される。
【0007】
一部の実施形態において、本発明の方法は、特に1日0.3~0.4mg(週1回2.2~2.7mgまたは2.0~4.0mgなど)の高用量セマグルチドで、胃腸の有害事象(吐き気など)の増加よりも比較的大きい、改善された体重減少を提供する。言い換えれば、一部の実施形態において、本発明の方法は、体重減少と胃腸の有害事象の間の改善された比率を提供する。
【0008】
一部の実施形態において、本発明は、体重管理を必要とする対象の2型糖尿病の治療方法に関し、この方法では、前記対象は2.0~4.0mgの量のセマグルチドを週1回投与される。一部の実施形態において、本発明は、体重管理を必要とする対象の2型糖尿病の治療方法に関し、この方法では、前記対象は週あたり2.2~2.7mgの量のセマグルチドを投与される。
【0009】
セマグルチド
GLP-1 RAセマグルチドは、国際公開第2006/097537号の実施例4に記載されるように調製されてもよい。セマグルチドはまた、N6.26-{18-[N-(17-カルボキシヘプタデカノイル)-L-γ-グルタミル]-10-オキソ-3,6,12,15-テトラオキサ-9,18-ジアザオクタデカノイル}-[8-(2-アミノ-2-プロパン酸),34-L-アルギニン]ヒトグルカゴン様ペプチド1(7~37)としても知られる(WHO Drug Information Vol.24、No.1、2010を参照。
【0010】
投与
一部の実施形態において、セマグルチドは、注射により投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは皮下投与、例えば皮下注射される。
【0011】
一部の実施形態において、セマグルチドの週あたり投与量は2.2~2.7mgである。一部の実施形態において、セマグルチドの週あたり投与量は、2.2~2.7mg、2.2~2.6mg、および2.3~2.5mgからなる群から選択される。一部の実施形態において、セマグルチドの週あたり投与量は、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、および2.7mgからなる群から選択される。
【0012】
一部の実施形態において、セマグルチドは1日1回または週1回投与される。
【0013】
一部の実施形態において、セマグルチドは、1日1回0.32~0.37mg、同0.32~0.36mg、および同0.33~0.35mgからなる群から選択される量で、1日1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、1日1回0.32mg、同0.33mg、同0.34mg、同0.35mg、同0.36mg、同0.37mg、および同0.37mgからなる群から選択される量で、1日1回投与される。
【0014】
一部の実施形態において、セマグルチドは、週1回2.0~10.0mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、週1回2.0~4.0mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、2.1~3.8mg、2.2~3.6mgおよび2.3~3.4mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、2.4~3.2mg、2.2~3.0mgおよび2.0~2.8mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、2.4~3.0mg、2.2~2.9mgおよび2.0~2.8mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、2.4~2.7mg、2.2~2.6mgおよび2.0~2.5mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、約2.2mg、約2.3mgまたは約2.4mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、約2.5mg、約2.6mgおよび約2.7mgからなる群から選択される量で、週1回投与される。
【0015】
一部の実施形態において、本発明の方法に従って投与された原薬はセマグルチドからなる。
【0016】
適応
一部の実施形態において、本発明は、体重管理の方法に関する。一部の実施形態において、体重管理は長期の体重管理である。一部の実施形態において、前記体重管理は、体重減少、肥満の治療および/または予防、過体重の治療および/または予防、体重増加の予防からなる群から選択される。一部の実施形態において、本発明は、体重を減少させるための方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、肥満を治療または予防するための方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、過体重を治療および/または予防するための方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、体重増加を予防する方法に関する。「過体重」という用語は、本明細書で使用される場合、対象のBMIが少なくとも27、例えば27以上30未満である状態を意味し、その間の任意の数を含む。「肥満」という用語は、本明細書で使用される場合、対象のBMIが少なくとも30、例えば30以上35未満、35以上40未満、または40以上である状態を意味し、30~40の間の任意の数を含む。「BMI」という用語は、本明細書で使用される場合、対象の体重(キログラム)を、この対象の身長(メートル)の平方根で割ったものであり、単位はkg/mである。
【0017】
一部の実施形態において、本発明の方法は、体重減少に対するセマグルチドの効果と吐き気などの胃腸の有害事象との間の予想外の有益な比率を理由に、改善された体重減少を提供する。一部の実施形態において、本発明の方法は、前記対象における胃腸の有害事象を減少させる。一部の実施形態において、本発明の方法は、前記対象における吐き気の形態の胃腸の有害事象を減少させる。一部の実施形態において、「胃腸の有害事象を減少させる」という用語は、本明細書で使用される場合、胃腸の有害事象の発生が、例えばセマグルチドの他の投与量と比較して、より少ないことを指す。
【0018】
一部の実施形態において、本発明の方法の対象はヒトである。一部の実施形態において、本発明の方法の対象は成人である。一部の実施形態において、本発明の方法の対象は小児(例えば、2~11歳)である。一部の実施形態において、本発明の方法の対象は青年(例えば、12歳から18歳未満、例えば12~16歳または16歳未満)である。一部の実施形態において、本発明の方法の対象は2型糖尿病を有する。一部の実施形態において、本発明の方法に従い治療された対象は、肥満(例えば、BMIが30以上、または「肥満」という用語に関して本明細書で定義される通り)または過体重(例えば、BMIが27以上30未満、または「過体重」という用語に関して本明細書で定義される通り)である。一部の実施形態において、本発明の方法の対象は、少なくとも1つの体重関連の併存疾患(高血圧、2型糖尿病、または脂質異常症など)を有する。一部の実施形態において、本発明の方法の対象には、睡眠時無呼吸および/または尿失禁がある。一部の実施形態において、本発明の方法の対象は、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸および尿失禁からなる群から選択される少なくとも1つの体重関連の併存疾患を有する。
【0019】
医薬組成物
一部の実施形態において、セマグルチドは、例えば、緩衝液、等張剤および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む医薬組成物という形態で投与される。「医薬組成物」および「組成物」という用語は、本明細書では互換的に使用され、医薬組成物を指す。一部の実施形態において、組成物は、溶液または懸濁液、例えば水溶液の形態である。一部の実施形態において、前記組成物のpHは6.0~10.0、例えば6.5~9.0または7.0~8.0の範囲である。一部の実施形態において、前記組成物のpHは7.1~7.8、例えば7.2~7.6または7.3~7.5の範囲である。一部の実施形態において、前記組成物のpHは約7.4である。一部の実施形態において、前記組成物中のセマグルチド濃度は0.01~50mg/mL、例えば0.05~20mg/mLまたは0.1~10mg/mLである。一部の実施形態において、前記組成物中のセマグルチド濃度は0.01~5mg/mL、例えば0.05~2mg/mLである。一部の実施形態において、組成物は、リン酸緩衝液などの緩衝液を含む。一部の実施形態において、組成物は、プロピレングリコールなどの等張剤を含む。一部の実施形態において、組成物は、フェノールなどの防腐剤を含む。一部の実施形態において、組成物中の原薬は、セマグルチドからなる。一部の実施形態において、セマグルチドは、4.1mg/mLのセマグルチド、リン酸緩衝液、プロピレングリコール、防腐剤としてのフェノールを含む、pH7.4の水性組成物という形態で投与される。一部の実施形態において、セマグルチドは、4.1mg/mLのセマグルチド、1.42mg/mLのリン酸水素二ナトリウム・二水和物、14.0mg/mLのプロピレングリコール、5.50mg/mLのフェノールを含む、pH7.4の水性組成物というの形態で投与される。一部の実施形態において、組成物のpHは、塩酸および/または水酸化ナトリウムを使用して調節される。
【0020】
一部の実施形態において、「1つ(a)」という用語は「1つ以上」を意味する。一部の実施形態において、本明細書で言及される数または間隔に関連して与えられる特定の値は、その特定の値として、またはおよそその特定の値として理解されうる。一部の実施形態において、「約」という用語は、言及された値の±10%を指す。一部の実施形態において、単数形で示される用語は複数の状況も含む。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の非限定的な実施形態には、以下を含む。
1.体重管理を必要とする対象の体重管理のための方法であって、2.0~4.0mgの量のセマグルチドが前記対象に週1回投与される、方法。
2.体重管理を必要とする対象の体重管理のための方法であって、週あたり2.2~2.7mgの量のセマグルチドが前記対象に投与される、方法。
3.前記方法が前記対象における胃腸の有害事象を減少させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
4.前記方法が前記対象において吐き気の形態の胃腸の有害事象を減少させる、先行する実施形態による方法。
5.前記体重管理が長期の体重管理である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
6.前記体重管理が、以下からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法:
a.体重の減少、
b.肥満の治療および/または予防、
c.過体重の治療および/または予防、
d.体重増加の予防。
7.前記セマグルチドの週あたり投与量が2.2~2.7mg、2.2~2.6mgおよび2.3~2.5mgからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
8.前記セマグルチドの週あたり投与量が2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mgおよび2.7mgからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
9.前記投与が1日1回または週1回である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
10.前記セマグルチドが、1日1回0.32~0.37mg、同0.32~0.36mgおよび同0.33~0.35mgからなる群から選択される量で1日1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
11.前記セマグルチドが、1日1回0.32mg、同0.33mg、同0.34mg、同0.35mg、同0.36mg、同0.37mgおよび同0.37mgからなる群から選択される量で1日1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
12.前記セマグルチドが、2.1~3.8mg、2.2~3.6mgおよび2.3~3.4mgからなる群から選択される量で週1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
13.前記セマグルチドが、2.4~3.2mg、2.2~3.0mgおよび2.0~2.8mgからなる群から選択される量で週1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
14.前記セマグルチドが、2.4~3.0mg、2.2~2.9mgおよび2.0~2.8mgからなる群から選択される量で週1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
15.前記セマグルチドが、2.4~2.7mg、2.2~2.6mgおよび2.0~2.5mgからなる群から選択される量で週1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
16.前記セマグルチドが2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mgおよび2.7mgからなる群から選択される量で週1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
17.前記対象が肥満(BMI≧30)または過体重(BMI≧27)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
18.前記対象が、少なくとも1つの体重関連の併存疾患(例えば、高血圧、2型糖尿病、または脂質異常症)を有する、先行する実施形態による方法。
19.前記セマグルチドが皮下投与、例えば皮下注射される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
20.セマグルチドが、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む組成物の形態で投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
21.前記組成物が、溶液または懸濁液、例えば水溶液の形態である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
22.前記組成物のpHが6.0~10.0、例えば6.5~9.0または7.0~8.0の範囲である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
23.前記組成物のpHが約7.4である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
24.前記薬学的に許容可能な賦形剤が、等張剤、緩衝液および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
25.前記組成物中のセマグルチドの濃度が0.01~50mg/mL、例えば0.05~20mg/mLまたは0.1~10mg/mLである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
26.前記組成物中のセマグルチド濃度が0.01~5mg/mL、例えば0.05~2mg/mLである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
27.投与される原薬がセマグルチドからなる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
28.前記対象がヒトである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
29.前記対象が成人、青年、または小児である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
30.前記対象が2型糖尿病を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【実施例0022】
[実施例1]肥満被験者におけるセマグルチド
糖尿病のない肥満被験者において、52週後の体重減少を誘導および維持する上での1日1回セマグルチドの5つの投与量の投与反応を1日1回リラグルチド3.0mgおよび/またはプラセボに対して評価および比較するために、臨床試験を実施した。本試験は、52週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、16群、並行群、多施設共同、多国籍試験として設計され、糖尿病のない肥満被験者において、5つの異なる投与量(0.05mg/日~0.4mg/日の範囲)でのセマグルチド1日1回皮下投与をプラセボと比較した。リラグルチド3.0mg/日を実薬対照として含めた。試験は、実薬とプラセボ治療の間で二重盲検とした。十分な大きな男性サンプル数を確保するために、女性は試験母集団の70%以下とし、性別に従って無作為化を階層化した。バランスのとれた様式(実薬:プラセボの比率6:1)で被験者を無作為化した。
【0023】
主要評価項目は、52週後のベースライン体重(%)からの相対変化とした。主要な二次評価項目には、52週後のベースライン体重からの体重減少が≧5%または≧10%の被験者の割合、ならびにベースラインから52週間の体重の変化を含めた。補助的な安全性の二次評価項目には、胃腸(GI)の有害事象(すなわち、吐き気、嘔吐、下痢および便秘)も含めた。医療実施機関への毎回の来院中、個々の被験者は、最後の来院以降に医療問題が発生したかどうかを、自由回答式に回答するよう求められた。医療実施機関のスタッフまたは被験者が観察したすべての医療問題は有害事象として報告され、重症度および因果関係について治験責任医師が評価した。本試験では、被験者は、試験の最初の20週間は2週間ごとに、その後は4週間ごとに、医療実施機関を来院した。
【0024】
治療群は以下とした:(A)無作為化した標的用量0.05mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、または0.4mgのセマグルチド(0.05mgを超える用量レベルでは、用量漸増を4週目ごとに実施)、(B)無作為化した標的用量0.3mgまたは0.4mgのセマグルチド(開始用量は0.05mgとし、2週ごとに用量漸増)、(C)3.0mgのリラグルチド(開始用量は0.6mgとし、毎週ごとに用量漸増)(D)(実薬群の各々と一致させた)プラセボ。すべて皮下注射で投与した。プラセボを含めて全治療群の被験者が、無作為化のための来院を開始時点として毎月、栄養士または同等に有資格の代理者により栄養に関するカウンセリングおよび低カロリー食、ならびに、有資格の人物による身体活動に関するカウンセリングを受けた。合計957人の被験者から構成された試験母集団を無作為化した。合計777人の被験者(81.2%)が52週間の治療を完了し、180人(18.8%)が明らかな用量依存傾向のないまま治療を早期中止した。本試験の主な選択基準は以下の通りとした:同意書への署名時に18歳以上の男性/女性であること、スクリーニングのための来院時に体格指数(BMI)が30.0kg/m以上であること、および少なくとも1つの体重減少の試みに失敗したと治験担当医師に判断されること。本試験の主な除外基準は以下の通りとした:スクリーニング時点でHbA1cが≧6.5%または1型もしくは2型糖尿病の診断、スクリーニング前90日以内の血糖降下薬による治療、スクリーニングでのカルシトニンが≧50ng/L(pg/mL)、甲状腺髄様がんまたは多発性内分泌腫瘍症候群2型の既往歴または家族歴、膵炎(急性または慢性)の既往歴、内分泌疾患(例:クッシング症候群)により誘発された肥満、大幅な体重変化を生む可能性があると治験担当医師が判断する、医薬品によるスクリーニング前90日以内の治療、肥満に対する過去の外科治療(スクリーニングから1年以上前に実施された脂肪吸引および/または腹壁形成術は許容される)、無作為化前2年以内の大鬱病性障害の既往歴、自殺企図の既往歴、および妊娠中、授乳中または妊娠することを計画している、または妊娠可能な年齢であり、十分な避妊法(現地の規制または慣行で要求される十分な避妊法)を使用していない女性。
【0025】
影響評価項目の統計解析:一次解析は、「jump-to-reference」多重代入法(J2R-MI)に基づいた。治験薬を中止したが52週目には再び来院した被験者からの52週目のデータは、解析に含めた。第一に、プラセボ群からの観察された52週目の体重(kg)の測定値のみを使用した代入モデルを推定した。第二に、代入モデルからの全治療群の欠測値を代入して、最大の解析対象集団の複数のコピー(1000)を生成した。主要評価項目を完全なデータセットそれぞれにおいて計算し、共分散分析(ANCOVA)モデルの分析を使用して解析した。第三に、ルービンの式を使用して1000の解析結果を要約した。セマグルチドとプラセボとの間、リラグルチド3.0mgとプラセボとの間、セマグルチドの異なる投与量間、およびセマグルチドとリラグルチド3.0mgとの間の、52週目におけるペアワイズな治療差(95%信頼区間CI])を解析モデルから提供した。この多重代入法では、52週目の評価項目データが欠測しているプラセボ群の被験者はプラセボ群の完了者と同様の反応を示したこと、および52週目の評価項目データが欠測している実薬群の被験者は、中止時期に関わらず、試験期間全体にわたりプラセボ群であったことを仮定した。
【0026】
被験者の体重および体格指数(BMI)のベースライン特性を表1に示す。結果を表2~表6に示す。
表1:平均(SD)として示す治療群別の被験者のベースライン特性
【表1】
表2:治療群別のベースラインから52週までの体重変化(%)―記述統計―観察データ―最大の解析対象集団
【表2】
表3:治療群別のベースラインから52週までの体重変化(%)および治療差―一次統計解析―ANCOVA―J2R-MI―最大の解析対象集団
【表3】
表4:ベースラインから52週目までの体重変化(%)―Emax用量反応モデリングの結果―ANCOVA―J2R-MI―最大の解析対象集団
【表4】
表5:治療中の被験者における胃腸の有害事象の要約―Emax用量反応モデリングから観察されたデータおよび結果―最大の解析対象集団
【表5】
表6:治療中の被験者における吐き気の形態の胃腸の有害事象の要約―観察されたデータ―最大の解析対象集団
【表6】
【0027】
驚くべきことに、表2~4の結果は、体重減少に対するセマグルチドの効果が、1日1回0.3mg~0.4mgの高用量においても改善し続けたことを示す。表5~6の結果は、胃腸の有害事象の増加がこれらの高用量でも比較的低く、例えば表4と比較して、これらの増加が意外なことに、体重減少の改善よりも比較的低かったことを示す。具体的には、表4~5の結果は、3.0mgリラグルチドと同じ体重減少を提供するセマグルチドの投与量が0.08mgセマグルチド(95%CIは[-0.02;0.57])であり、3.0mgリラグルチドと同じレベルの胃腸の有害事象を提供するセマグルチドの投与量は0.28mgセマグルチド(95%CIは[-0.02;0.57])であることを示し、それゆえ、セマグルチドは、同じレベルの胃腸の有害事象で約3倍大きな体重減少を提供する(約3倍は(3.0/0.08)/(3.0/0.28)と計算)。全体的に、これらの結果は、体重管理のためのセマグルチド製品を高用量で投与することが可能であり、体重減少と胃腸の有害事象の間の予想外の良好な比率を理由に体重減少が改善されることを示している。さらに驚くべきことに、体重減少と胃腸の有害事象の比率は、より低い用量と比較して、最大用量のセマグルチド1日1回0.3mg、ひいては0.4mgでも改善される。
【0028】
[実施例2]2型糖尿病を有する被験者におけるセマグルチド
2型糖尿病(T2D)を有し、HbA1cが7.0~10.0%(53~86mmol/mol)であり、体格指数が24.0~40.0kg/m、かつ食事および運動(メトホルミンの有無を問わない)で治療された成人患者を用いて、26週間の無作為化二重盲検臨床試験を実施した。患者を、体積で一致させた4つの用量(セマグルチド:0.05mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、リラグルチド:0.3mg、0.6mg、1.2mg、1.8mg)のうちの1つで、1日1回セマグルチド、プラセボまたはリラグルチドの皮下注射に2:2:1の割合で無作為化した。主要な評価項目は、ベースラインから26週目のHbA1cの変化とした。主な除外基準は、慢性膵炎または特発性急性膵炎および中程度から重度の腎機能障害(推定糸球体濾過速度が<60mL/分/1.73m)の既往とした。
【0029】
治験薬の投与:2週間のスクリーニング期間後、患者は26週間治験薬を受け、その後に7週間の経過観察期間を設けた。患者には、0.05mgセマグルチド、0.3mgリラグルチドまたは50μLプラセボにより治療を開始し、それぞれ1日1回皮下投与し、無作為化された最終用量まで4週間ごとに用量を漸増した。この用量漸増アルゴリズムをすべての患者に使用して製品の盲検化を確保したため、リラグルチドの用量漸増はラベル推奨よりも遅いペースであった。治療を体積で一致させたため、治験は(薬剤間ではなく)セマグルチド、リラグルチドおよびプラセボの各用量レベル内で二重盲検化された。
【0030】
体重および体格指数(BMI)の被験者のベースライン特性を表7に示す。体重変化および胃腸の有害事象の結果を表8に示す。

表7:平均として示す治療群別の被験者のベースライン特性(SD)
【表7】
表8:ベースラインから26週目までの、吐き気を含む胃腸の有害事象および体重の平均変化―治療中―推定データ
【表8】
【0031】
驚くべきことに、表8の結果は、体重減少に対するセマグルチドの効果が、1日1回0.3mgの高用量でも改善し続けたこと、および胃腸の有害事象の増加がこの高用量で比較的低く、驚くべきことに、体重減少の改善よりも比較的低かったことを示す。全体的に、これらの結果は、それゆえ、体重管理のためのセマグルチド製品を高用量で投与することが可能であり、体重減少と胃腸の有害事象の間の予想外の良好な比率を理由に体重減少が改善されることを示している。さらに驚くべきことに、体重減少と胃腸の有害事象の比率は、より低い用量と比較して、最大用量の1日1回セマグルチド0.3mgでも改善される。

表9:HbA1cの変化(グリコシル化ヘモグロビン)
【表9】
【0032】
本発明のある特定の特徴を本明細書において例示および説明してきたが、数多くの修正、置換、変更および均等物が当業者には思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるそのようなすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セマグルチドを含む、その必要のある対象の体重管理のための医薬であって、セマグルチドが前記対象に
a.週1回2.0~10.0mgの量、または
b.週あたり2.2~2.7mgの量で投与される
ように投与される医薬
【請求項2】
前記体重管理が習慣的な体重管理である、請求項1に記載の医薬
【請求項3】
前記体重管理が、体重減少、肥満の治療および/または予防、過体重の治療および/または予防、体重増加の予防からなる群から選択される、請求項1~2のいずれか一項に記載の医薬
【請求項4】
前記セマグルチドの週あたり投与量が、2.2~2.7mg、2.2~2.6mg、および2.3~2.5mgからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬
【請求項5】
前記投与が1日1回または週1回である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬
【請求項6】
セマグルチドが、2.0~10.0mgの量で前記対象に週1回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項7】
前記セマグルチドが、皮下投与される、例えば皮下注射を介して皮下投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬
【請求項8】
つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬
【請求項9】
液または懸濁液、例えば水溶液の形態である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬
【請求項10】
Hが、6.0~10.0、例えば6.5~9.0または7.0~8.0の範囲内である、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬
【請求項11】
Hが約7.4である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬
【請求項12】
前記医薬中のセマグルチドの濃度が0.01~50mg/mL、例えば0.05~20mg/mLまたは0.1~10mg/mLである、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬
【請求項13】
前記医薬中のセマグルチドの濃度が0.01~5mg/mL、例えば0.05~2mg/mLである、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬
【請求項14】
前記対象が、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸、および尿失禁からなる群から選択される少なくとも1つの体重関連の併存疾患を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬
【請求項15】
前記対象が2型糖尿病を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬
【外国語明細書】