(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132466
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】平面検査装置、及び平面検査方法
(51)【国際特許分類】
G01C 5/04 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
G01C5/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113596
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2018029141の分割
【原出願日】2018-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉コンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】宮森 賢蔵
(57)【要約】
【課題】液面レベルの計測結果に基づいて被検査体の高さレベルのずれを補正することが可能な平面検査装置等を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の液面工具と、流路管と、液面センサの検知結果に基づいて、被検査体の高さレベルのずれを補正する補正装置と、を有し、流体は、流路管を通じて、各レベル計測容器間を循環しており、水平な基準面に各液面工具を置いた際の液面センサにて得られた液面レベルが夫々、基準レベルとして定められており、複数の液面工具が被検査体の上面の異なる位置に設置された際に流体の循環によって生じる、基準レベルに対する各レベル計測容器の液面レベルのずれが測定され、補正装置では、基準レベルに最も近い液面工具は動かないように固定した状態で、各レベル計測容器の液面レベルが夫々、各基準レベルに近づくように制御されて、被検査体の高さレベルのずれを補正する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の平面度を検査する平面検査装置であって、
流体を収容可能なレベル計測容器及び、前記レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを計測可能な液面センサを具備し、前記被検査体の上面の異なる位置に設置される複数の液面工具と、
各レベル計測容器間に接続され、前記各レベル計測容器間での前記流体の流動を可能とする流路管と、
前記液面センサの検知結果に基づいて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する補正装置と、
を有し、
前記流体は、前記流路管を通じて、各レベル計測容器間を循環しており、
水平な基準面に各液面工具を置いた際の前記液面センサにて得られた前記液面レベルが夫々、基準レベルとして定められており、
前記複数の液面工具が前記被検査体の上面の異なる位置に設置された際に前記流体の循環によって生じる、前記基準レベルに対する各レベル計測容器の前記液面レベルのずれが測定され、
前記補正装置では、前記基準レベルに最も近い前記液面工具は動かないように固定した状態で、各レベル計測容器の前記液面レベルが夫々、各基準レベルに近づくように制御されて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する、
ことを特徴とする平面検査装置。
【請求項2】
被検査体の平面度を検査する平面検査装置であって、
流体を収容可能なレベル計測容器及び、前記レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを計測可能な液面センサを具備し、前記被検査体の上面の異なる位置に設置される複数の液面工具と、
各レベル計測容器間に接続され、前記各レベル計測容器間での前記流体の流動を可能とする流路管と、
前記液面センサの検知結果に基づいて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する補正装置と、
を有し、
前記流体は、前記流路管を通じて、各レベル計測容器間を循環しており、
水平な基準面に各液面工具を置いた際の前記液面センサにて得られた前記液面レベルが夫々、基準レベルとして定められており、
前記複数の液面工具が前記被検査体の上面の異なる位置に設置された際に前記流体の循環によって生じる、前記基準レベルに対する各レベル計測容器の前記液面レベルのずれが測定され、
前記補正装置は、各液面レベルを算出する演算装置と、各液面工具に対応する前記被検査体の下面に設置され、前記演算装置の演算結果に基づいて、前記被検査体の各計測位置での高さレベルのずれを補正する複数の昇降装置と、を有して構成され、
前記補正装置では、前記液面レベルが、基準レベルに最も近い前記液面工具に対応した前記昇降装置を基準脚と規定し、前記基準脚以外の前記昇降装置を駆動させて、各液面レベルが前記基準レベルに近づくように制御されて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する、ことを特徴とする平面検査装置。
【請求項3】
前記補正装置では、前記基準脚以外の前記昇降装置を、前記基準レベルに近づくように昇降させたときに、所定の駆動域内にあるか否かを検出し、駆動域外にあるときには、前記基準脚を昇降させて、前記基準脚以外の前記昇降装置が全て、前記所定の駆動域内で昇降するように制御することを特徴とする請求項2に記載の平面検査装置。
【請求項4】
被検査体の平面度を検査する平面検査方法であって、
前記被検査体の下面の異なる位置に複数の昇降装置を配置すると共に、前記昇降装置と対応する前記被検査体の上面に、流体を収容可能なレベル計測容器及び、前記レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを測定可能な液面センサを具備する複数の液面工具を設置する工程、
流路管で繋がれた各レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを前記液面センサで検知し、前記液面センサの検知結果に基づいて、前記被検査体を前記昇降装置にて昇降させながら、前記被検査体の各計測位置での高さレベルのずれを補正する工程、を有し、
前記流体は、前記流路管を通じて、各レベル計測容器間を循環しており、
水平な基準面に各液面工具を置いた際の前記液面センサにて得られた前記液面レベルが夫々、基準レベルとして定められており、
前記複数の液面工具が前記被検査体の上面の異なる位置に設置された際に前記流体の循環によって生じる、前記基準レベルに対する各レベル計測容器の前記液面レベルのずれが測定され、
前記補正装置では、前記基準レベルに最も近い前記液面工具は動かないように固定した状態で、各レベル計測容器の前記液面レベルが夫々、各基準レベルに近づくように制御されて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する、
ことを特徴とする平面検査方法。
【請求項5】
前記液面工具を、前記被検査体の上面に設置する前に、前記液面工具を、水平な基準面上に置いて、前記液面レベルを基準レベルに設定する工程、
前記液面工具を前記被検査体の上面に設置した後、前記基準レベルに最も近い前記液面レベルにある前記液面工具に対応する前記昇降装置を基準脚に設定する工程、を有し、
前記高さレベルのずれを補正する工程では、前記液面センサの検知結果に基づいて、前記基準脚以外の前記昇降装置を昇降させて、各液面レベルが前記基準レベルに近づくように制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の平面検査方法。
【請求項6】
前記高さレベルのずれを補正する工程では、前記基準脚以外の前記昇降装置を、前記基準レベルに近づくように昇降させたときに、所定の駆動域内にあるか否かを検出し、前記所定の駆動域外にあるきは、前記基準脚を昇降させて、前記基準脚以外の前記昇降装置が全て、前記所定の駆動域内で昇降するように制御することを特徴とする請求項5に記載の平面検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面検査装置、及び平面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計測機器を用いて、被検査体の平面度を計測する平面度計測装置が知られている。特許文献1に記載の発明では、被検査体の表面に複数の流体槽を設置し、液体槽に収容した流体の液面レベルを、高さ測定器を用いて計測する。各流体槽間は、ホースで繋がっており、流体を流体槽間で循環できるようになっている。
【0003】
高さ測定器により、各流体槽に収容された流体の液面レベルを計測し、レベル差を求め、平面度を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、平面度を計測できるものの、被検査体の高さレベルのずれを補正する手段はない。
【0006】
このように、特許文献1に記載の発明では、被検査体の平面度を計測はできても、平面度を矯正することはできなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、特に、液面レベルの計測結果に基づいて被検査体の高さレベルのずれを補正することが可能な平面検査装置、及び平面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被検査体の平面度を検査する平面検査装置であって、流体を収容可能なレベル計測容器及び、前記レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを計測可能な液面センサを具備し、前記被検査体の上面の異なる位置に設置される複数の液面工具と、各レベル計測容器間に接続され、前記各レベル計測容器間での前記流体の流動を可能とする流路管と、前記液面センサの検知結果に基づいて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する補正装置と、を有し、前記流体は、前記流路管を通じて、各レベル計測容器間を循環しており、水平な基準面に各液面工具を置いた際の前記液面センサにて得られた前記液面レベルが夫々、基準レベルとして定められており、前記複数の液面工具が前記被検査体の上面の異なる位置に設置された際に前記流体の循環によって生じる、前記基準レベルに対する各レベル計測容器の前記液面レベルのずれが測定され、前記補正装置では、前記基準レベルに最も近い前記液面工具は動かないように固定した状態で、各レベル計測容器の前記液面レベルが夫々、各基準レベルに近づくように制御されて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明は、被検査体の平面度を検査する平面検査装置であって、流体を収容可能なレベル計測容器及び、前記レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを計測可能な液面センサを具備し、前記被検査体の上面の異なる位置に設置される複数の液面工具と、各レベル計測容器間に接続され、前記各レベル計測容器間での前記流体の流動を可能とする流路管と、前記液面センサの検知結果に基づいて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する補正装置と、を有し、前記流体は、前記流路管を通じて、各レベル計測容器間を循環しており、水平な基準面に各液面工具を置いた際の前記液面センサにて得られた前記液面レベルが夫々、基準レベルとして定められており、前記複数の液面工具が前記被検査体の上面の異なる位置に設置された際に前記流体の循環によって生じる、前記基準レベルに対する各レベル計測容器の前記液面レベルのずれが測定され、前記補正装置は、各液面レベルを算出する演算装置と、各液面工具に対応する前記被検査体の下面に設置され、前記演算装置の演算結果に基づいて、前記被検査体の各計測位置での高さレベルのずれを補正する複数の昇降装置と、を有して構成され、前記補正装置では、前記液面レベルが、基準レベルに最も近い前記液面工具に対応した前記昇降装置を基準脚と規定し、前記基準脚以外の前記昇降装置を駆動させて、各液面レベルが前記基準レベルに近づくように制御されて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明では、前記補正装置では、前記基準脚以外の前記昇降装置を、前記基準レベルに近づくように昇降させたときに、所定の駆動域内にあるか否かを検出し、駆動域外にあるときには、前記基準脚を昇降させて、前記基準脚以外の前記昇降装置が全て、前記所定の駆動域内で昇降するように制御することが好ましい。
【0011】
本発明は、被検査体の平面度を検査する平面検査方法であって、前記被検査体の下面の異なる位置に複数の昇降装置を配置すると共に、前記昇降装置と対応する前記被検査体の上面に、流体を収容可能なレベル計測容器及び、前記レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを測定可能な液面センサを具備する複数の液面工具を設置する工程、流路管で繋がれた各レベル計測容器に収容された前記流体の液面レベルを前記液面センサで検知し、前記液面センサの検知結果に基づいて、前記被検査体を前記昇降装置にて昇降させながら、前記被検査体の各計測位置での高さレベルのずれを補正する工程、を有し、前記流体は、前記流路管を通じて、各レベル計測容器間を循環しており、水平な基準面に各液面工具を置いた際の前記液面センサにて得られた前記液面レベルが夫々、基準レベルとして定められており、前記複数の液面工具が前記被検査体の上面の異なる位置に設置された際に前記流体の循環によって生じる、前記基準レベルに対する各レベル計測容器の前記液面レベルのずれが測定され、前記補正装置では、前記基準レベルに最も近い前記液面工具は動かないように固定した状態で、各レベル計測容器の前記液面レベルが夫々、各基準レベルに近づくように制御されて、前記被検査体の高さレベルのずれを補正する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明では、前記液面工具を、前記被検査体の上面に設置する前に、前記液面工具を、水平な基準面上に置いて、前記液面レベルを基準レベルに設定する工程、前記液面工具を前記被検査体の上面に設置した後、前記基準レベルに最も近い前記液面レベルにある前記液面工具に対応する前記昇降装置を基準脚に設定する工程、を有し、前記高さレベルのずれを補正する工程では、前記液面センサの検知結果に基づいて、前記基準脚以外の前記昇降装置を昇降させて、各液面レベルが前記基準レベルに近づくように制御することが好ましい。
【0013】
本発明では、前記高さレベルのずれを補正する工程では、前記基準脚以外の前記昇降装置を、前記基準レベルに近づくように昇降させたときに、所定の駆動域内にあるか否かを検出し、前記所定の駆動域外にあるきは、前記基準脚を昇降させて、前記基準脚以外の前記昇降装置が全て、前記所定の駆動域内で昇降するように制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の平面検査装置及び平面検査方法によれば、液面レベルの計測結果に基づいて被検査体の高さレベルのずれを補正することができ、レベルずれの計測・演算及びレベルずれの補正を自動制御で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】脚の高さと、液面レベルとの関係を示す模式図である。
【
図3】本実施形態の平面検査方法のフローチャートである。
【
図4】実験の初期条件の液面レベルを説明するための模式図である。
【
図5】
図5Aは、各液面レベルの推移を示すグラフであり、
図5Bは、各脚の高さレベル(%)の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0017】
<平面検査装置>
図1は、本実施形態の平面検査装置の模式図である。
図1に示す平面検査装置1は、被検査体2の平面度を検査するための装置である。被検査体2を特に限定するものではないが、例えば床等である。
【0018】
図1に示すように、平面検査装置1は、液面工具3と、流路管4と、補正装置5と、を有して構成される。
【0019】
(液面工具3)
液面工具3は、レベル計測容器6と、液面センサ7とを具備する。
図1に示すように、レベル計測容器6は、例えば、円筒形の有底容器であるが、液体を収容可能な形状であればよい。レベル計測容器6の上方には液面センサ7が設置される。液面センサ7は、例えば、レーザセンサであり、液面センサ7からレーザ光を液面に照射し、その反射光から液面レベルを計測する。反射板としてのフロートを液面に浮かべ、フロートの反射光を計測してもよいが、フロートを用いると液面レベルの計測精度が低下しやすいため、本実施形態においては、フロートを用いないことが好ましい。
【0020】
図1に示すように、複数の液面工具3は、被検査体2の上面2aの異なる位置に設置されている。
図1では、4個の液面工具3が、被検査体2の四隅に設置されている。液面工具3の設置個所及び数を限定するものではなく、被検査体2の使用形態や、被検査体2に求められる平面度に合わせて、液面工具3の設置個所や数を任意に決めることができる。なお、被検査体2の四隅に液面工具3を設置して計測することで、被検査体2の上面2a全体のレベルずれを高精度に補正することができる。
【0021】
(流路管4)
図1に示すように、各レベル計測容器6間は、流路管4で繋がれている。これにより、各レベル計測容器6に収容された液体は、流路管4を通じてレベル計測容器6間での流動が可能となっている。
【0022】
流路管4は、特に限定されるものではないが、例えば、柔軟性のあるホースである。ホースの材質は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂製が好ましく、特にウレタン製が好ましい。
【0023】
(補正装置5)
補正装置5は、液面センサ7の検知結果に基づいて、被検査体2の高さレベルのずれを補正する。このように、本実施形態では、高さレベルのずれを算出するだけでなく、該高さレベルのずれを補正可能とする。特に、本実施形態では、液面工具3の計測位置(
図1に示す被検査体2の四隅)での高さレベルのずれを補正し、レベル計測とレベル補正とを自動制御で繰り返すことで、各高さレベルがほぼ一致するように制御することが可能である。この結果、被検査体2の高さレベルのずれを高精度に矯正することができる。
【0024】
ここで、「高さレベル」とは、被検査体2の上面2aの高さ位置を指す。本実施形態は、被検査体2の上面2aの高さレベルにずれが生じているときに、この高さレベルのずれを補正することができる。ただし、本実施形態では、高さレベルのずれを、液面レベルのずれとして計測している。すなわち、本実施形態では、液面レベルのずれを補正することで、被検査体2の高さレベルのずれを補正する。
【0025】
本実施形態では、補正装置5は、各液面工具3の液面レベルを算出する演算装置8と、各液面工具3に対応する被検査体2の下面に配置される複数の昇降装置9と、を有して構成される。
【0026】
図1に示すように、演算装置8は、各液面工具3の液面センサ7と電気的に接続されている。演算装置8では、液面センサ7からの検知信号により、各レベル計測容器6に収容された液体の液面レベルを算出する。
【0027】
図1に示すように、昇降装置9は、例えば、昇降可能な脚10と、駆動部11とを有して構成される。脚10は、例えば、ジャッキである。脚10には、モータ等の駆動部11が接続されており、駆動部11の駆動力に応じて脚10を所定量だけ昇降させることができる。
【0028】
演算装置8では、各液面レベルを算出し、各液面レベルのずれを求める。後述するように、液面レベルのずれは、基準レベルからのずれとして求めることができる。演算装置8では、液面レベルのずれに基づいて、レベルずれを補正するための、各昇降装置9の脚10の昇降量を演算する。演算装置8の演算結果は、各駆動部11に送られ、各駆動部11では、その演算結果に基づいて、各脚10を昇降させながら、被検査体2の高さレベルのずれを補正する。
【0029】
上記したレベルずれ補正に関しては、各液面レベルのうち、液面レベルが基準レベルに最も近い液面工具3に対応する昇降装置9の脚10を基準脚と規定する。そして、基準脚以外の脚10を昇降させて、各液面レベルが基準レベルに近づくように制御する。
【0030】
このように、本実施形態では、基準脚を定め、基準脚を固定した状態で、他の脚10を昇降させて、レベル補正を行う。脚10の全てを駆動させると、基準レベルへの収拾がつきにくい恐れがあるため、基準脚は動かさないようにし、他の脚10を、液面レベルが基準レベルに近づくように駆動させることで、簡単且つ精度よく、被検査体2の高さレベルのずれを補正することができる。
【0031】
ここで、「基準レベル」であるが、後述する平面検査方法で詳しく説明するように、検査前に、水平な基準面に各液面工具3を置いた際の液面センサ7の液面レベルを「基準レベル」と定める。実際には、このとき得られた液面センサ7からの出力値を基準値にする。例えば、出力値をゼロリセットする。
【0032】
また、本実施形態では、基準脚以外の脚10を、基準レベルに近づくように昇降させた際、所定の駆動域内にあるか否か検出する。脚10には上昇の限界及び下降の限界があるため、昇降の限界域よりも内側に駆動域を設け(限界域>駆動域)、駆動域内で脚10を駆動させるようにすることが、脚10の昇降に支障を来す不具合を防止することができる。
【0033】
脚10が駆動域外にあるとき、基準脚を昇降させて、基準脚以外の脚10が全て、所定の駆動域内で昇降するように制御する。
【0034】
ここで、脚の昇降について、図面を用いて説明する。例えば、
図2に示す左側の脚10aが基準脚(以下、基準脚10aと称する)であり、
図2の右側の脚10bが、駆動させる側の脚であるとする。
図2に示すように、基準脚10a上のレベル計測容器6aと脚10b上のレベル計測容器6b間は、流路管4で繋がれており、レベル計測容器6aに収容された流体12のほうが、レベル計測容器6bよりも多くなっている。この結果、レベル計測容器6aに収容された流体12の液面レベルL1は、レベル計測容器6bに収容された流体12の液面レベルL2よりも高い。
【0035】
図2の状態から脚10bを降下させると、流路管4を通じて、レベル計測容器6aからレベル計測容器6bに流体12が流れる。この結果、レベル計測容器6b内の流体12の液面レベルL2は、初期状態よりも上がり、レベル計測容器a内の流体12の液面レベルL1は、初期状態よりも下がる。
【0036】
また、液面レベルL2を基準レベルに近づけるべく、脚10bを駆動させたときに脚10bが駆動域を超えたとする。例えば、
図2示す脚10bは、駆動域を超えているとする。
【0037】
このときは、基準脚10aを、
図2の状態から上昇させる。これにより、基準脚10a上のレベル計測容器6aの流体12は、流路管4を通じて、脚10b上のレベル計測容器6bに流れる。この結果、レベル計測容器6bに収容された流体12の液面レベルL2は、
図2よりも高くなる。これにより、液面レベルL2を基準レベルに近づけるべく、脚10bを下降させることができ、脚10bを所定の駆動域内に収めることができる。
【0038】
上記したように、本実施形態の平面検査装置1では、被検査体2の高さレベルのずれ(液面レベルのずれ)を計測・演算するのみならず、各計測位置での高さレベルのずれを補正することができる。しかも本実施形態では、レベルずれの計測・演算及びレベルずれの補正を自動制御で行うことができる。
【0039】
<平面検査方法>
次に、本実施形態における被検査体に対する平面検査方法を、
図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0040】
図3に示すステップST1では、まず準備段階として、複数の液面工具3を、水平な基準面上に置く。このとき、液面工具3は、
図1と同様に流路管4で繋がっており、各液面工具3のレベル計測容器6には、液体が収容されている。したがって、液体は、流路管4を通じて、各レベル計測容器6間を循環できようになっている。
【0041】
各液面工具3のレベル計測容器6に収容された液体は、全て同じ液面レベルであり、このときの液面レベルを「基準レベル」とする。
【0042】
図3に示すステップST2では、各レベル計測容器6に収容された液体の液面レベルを、液面上方に設置された液面センサ7にて計測する。このとき、各液面工具3のレベル計測容器6に収容された液体は、全て同じ液面レベル(基準レベル)にあり、各液面センサ7の出力は、同一であり、このときの出力を基準値とする。例えば、出力値をゼロリセットする。
【0043】
次に、
図3に示すステップST3では、
図1に示すように、被検査体2の下面2bの四隅に、補正装置5としての昇降装置9を配置する。昇降装置9は、脚10と駆動部11を有して構成されている。4個の脚10の上に、被検査体2を置く。更に、脚10と被検査体2を介して対向する被検査体2の上面2aの四隅に、液面工具3を設置する。
【0044】
次に、
図3に示すステップST4では、各液面工具3のレベル計測容器6に収容されている液体の液面レベルを、液面センサ7で計測する。液面センサ7の出力は、演算装置8に送られる。演算装置8では、液面センサ7の出力に基づいて、ステップST2で規定した基準値(ゼロ値)に最も近い出力が得られた液面工具3下の脚10を、基準脚に設定する。
【0045】
この後、基準脚以外の脚を駆動させながらレベルずれの補正を行う。以下のレベルずれ補正を、
図4、
図5に示す実験例も交えながら説明する。なお、
図4、
図5に示す実験例の数値は、あくまでも一例である。なお、
図5に示す実験例では、各脚を一つずつ動かしているが、実際には、複数の脚を同時に動かすことが可能である。
【0046】
図4は、各脚の初期状態を示す。
図4に示すように、最も左側の脚Aが、基準脚Aに定められている。また、
図4に示すように、例えば、初期状態における各脚A~Dの高さ位置は、各脚A~Dを最も縮めたときの高さを0%、最も伸ばしたときの高さを100%とすると、ちょうど真ん中の50%の位置にあるとする。
【0047】
また、
図4に示すように、基準脚A上のレベル計測容器aに収容された流体12の液面レベルL1は、基準レベルL0に対して0mmの位置にあるとする。すなわち、基準脚Aの液面レベルL1は、初期状態において、基準レベルL0に一致している。一方、脚B上のレベル計測容器bに収容された流体12の液面レベルL2は、基準レベルL0に対して0.8mmだけ高い位置にある。また、脚C上のレベル計測容器cに収容された流体12の液面レベルL3は、基準レベルL0に対して0.5mmだけ低い位置にある。また、脚D上のレベル計測容器dに収容された流体12の液面レベルL4は、基準レベルL0に対して0.3mmだけ低い位置にある。
【0048】
図3のステップST5では、基準脚以外の脚を駆動させ、各液面レベルが基準レベルに近づくように、すなわち、液面センサから得られる出力値が基準値(ゼロ値)に近づくように)、レベルずれ補正を実行する(追い込む)。
【0049】
次に、
図3のステップST6では、基準脚以外の脚が所定の駆動域内にあるか測定する。
図3のステップST6では、例えば、脚の限界域の70%以内を駆動域と定めた。
【0050】
全脚が、駆動域内にあれば、ステップST10に移行する。ステップST10では、例えば、レベルずれが±2.0%以内に入っているか否かを測定する。なお、数値はあくまでも一例である。このステップでは、液面センサ7の出力から判別することができる。すなわち、基準値に対して±2.0%内の出力値であれば、ステップST10は満たされて、平面検査は終了する。一方、レベルずれが±2.0%を超えている場合は、ステップST5に戻り、上記したステップを繰り返す。
【0051】
一方、
図3のステップST6にて、少なくとも1つの脚が駆動域外であるときは、ステップST7に移行する。
図4、
図5を用いて、ステップST5からステップST10に至る工程を説明する。
図5Aに示すグラフの横軸は駆動回数、縦軸は基準レベルからのずれ量(mm)を示す。また
図5Bに示すグラフの横軸は駆動回数、縦軸は脚の高さレベル(%)を示す。なお、
図5に示す実験例では、ある液面が0.3mm下がった場合、他の液面が、0.1mmずつ上がるものと仮定した。また1脚のみを動かし、その液面を0.036mm動かすには、駆動域の1%を動かす必要があると仮定した。実験では、脚B~Cのうち、基準レベルL0から最も離れた位置にある脚を基準レベルとなるように動かした。
【0052】
1回目の駆動は、最も基準レベルL0から遠い位置にある脚Bを、基準レベルL0に一致するように、上方に動かした。これにより、レベル計測容器b内の流体12は、レベル計測容器a、c、d内へ流動し、液面レベルL1、L3、L4は、変動する(
図5A参照)。
【0053】
このとき、
図5Bに示すように、脚Bの駆動域は、70%以上を超えることがわかった。このため、脚Bが、
図3のステップST6の条件に当てはまらなくなり、ステップST8又はステップ9に移行する。
【0054】
図3のステップST7では、70%を超えた脚Bが、駆動域の上限或いは下限のどちらに近いかを測定する。
図5の実験例では、脚Bは、駆動域の上限に近いため、ステップST8に移行する。
【0055】
図3のステップST8では、基準脚Aを
図4の初期状態から下方に移動させる。基準脚Aを下方に移動させると、レベル計測容器a内に、レベル計測容器b、c、d内の流体が流れるため、液面レベルL1は上がり、一方、液面レベルL2、L3、L4は下がる。このため、脚Bの液面レベルL2は、基準レベルL0から下がる。したがって、脚Bの液面レベルL2を上げるべく、脚Bを下降させることができる。この結果、脚Bを70%の駆動域内に収めることができる。
【0056】
なお、ステップST7で、駆動域を超えた脚が下限に近い場合は、ステップST9に移行し、基準脚を上げる。
【0057】
基準脚の駆動により、基準脚以外の脚が全て駆動域の70%以内に収まったら、ステップST10に移行し、レベルずれが±2.0%から外れている場合は、ステップST5に戻り、基準脚以外の脚を駆動させる。
【0058】
本実施形態では、少しずつ各脚を駆動させ、ステップST5~ステップST10を複数回ループさせる。これにより、
図5Aに示すように、各脚に対応する液面レベルを、徐々に基準レベル(0mm)に近づけることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の平面検査装置及び平面検査方法によれば、自動制御で、被検査体の高さレベルのずれを計測(演算)すると共に、高さレベルのずれ補正を実行することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 :平面検査装置
2 :被検査体
3 :液面工具
4 :流路管
5 :補正装置
6、a~d :レベル計測容器
7 :液面センサ
8 :演算装置
9 :昇降装置
10、A~D :脚
11 :駆動部
12 :流体
L0 :基準レベル
L1~L4 :液面レベル