(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132583
(43)【公開日】2022-09-08
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220901BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/044 129
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116249
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2018039943の分割
【原出願日】2018-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾関 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 隼人
(72)【発明者】
【氏名】上原 利範
(72)【発明者】
【氏名】森口 幸志郎
(57)【要約】
【課題】薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供する。
【解決手段】 本実施形態に係る検出装置は、基板と、基板の上に設けられた駆動電極と、基板の上に設けられ、駆動電極と容量結合された検出電極と、駆動電極と電気的に接続された第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタと、を備え、第1薄膜トランジスタの耐圧は、第2薄膜トランジスタの耐圧より大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられた駆動電極と、
前記基板の上に設けられ、前記駆動電極と容量結合された検出電極と、
前記基板の上に設けられ、前記駆動電極を駆動する第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタと、
を備え、
前記基板上にはセンサ領域が設けられ、前記駆動電極は当該センサ領域の一側から他側に亘って第1方向に沿って設けられると共に前記検出電極は当該センサ領域を前記第1方向に交差する第2方向に沿って設けられており、
前記第1薄膜トランジスタは、前記センサ領域外で前記駆動電極に供給される駆動信号の供給回路に含まれており、
前記第2薄膜トランジスタは、前記センサ領域外で前記駆動電極を選択するための選択回路に含まれており、
前記第1薄膜トランジスタの耐圧は、前記第2薄膜トランジスタの耐圧より大きく、
前記基板上にて、前記第1薄膜トランジスタ及び前記第2薄膜トランジスタの上に有機絶縁膜が積層され、当該有機絶縁膜上に無機絶縁膜が積層され、前記駆動電極及び前記検出電極は前記有機絶縁膜と前記無機絶縁膜の間に位置している、検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の接近又は接触を検出する検出装置を備える表示装置が開発されている。近年、個人認証のために、例えば指紋を検出する検出装置を備える表示装置が開発されている。検出装置は、一例では、静電容量の変化を検出するための検出電極及び駆動電極と、駆動電極等と電気的に接続された複数の回路などを備えている。これらの回路は、その機能に応じて供給される電圧が異なる場合がある。
【0003】
このような検出装置において、回路に含まれる薄膜トランジスタのゲート絶縁膜を厚くした場合、薄膜トランジスタの駆動電圧に対する耐性が上がる一方で、薄膜トランジスタのオン電流値が低下する傾向にある。この結果、薄膜トランジスタのサイズが大型化し、指紋等の検出に寄与しない額縁領域の狭小化が阻害されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-182348号公報
【特許文献2】特開2017-134828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、
基板と、前記基板の上に設けられた駆動電極と、前記基板の上に設けられ、前記駆動電極と容量結合された検出電極と、前記駆動電極と電気的に接続された第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタと、を備え、前記第1薄膜トランジスタの耐圧は、前記第2薄膜トランジスタの耐圧より大きい、検出装置が提供される。
一実施形態によれば、
基板と、前記基板の上に設けられた駆動電極と、前記基板の上に設けられ、前記駆動電極と容量結合された検出電極と、前記基板の上に設けられ、前記駆動電極を駆動する第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタと、を備え、前記基板上にはセンサ領域が設けられ、前記駆動電極は当該センサ領域の一側から他側に亘って第1方向に沿って設けられると共に前記検出電極は当該センサ領域を前記第1方向に交差する第2方向に沿って設けられており、前記第1薄膜トランジスタは、前記センサ領域外で前記駆動電極に供給される駆動信号の供給回路に含まれており、前記第2薄膜トランジスタは、前記センサ領域外で前記駆動電極を選択するための選択回路に含まれており、前記第1薄膜トランジスタの耐圧は、前記第2薄膜トランジスタの耐圧より大きく、前記基板上にて、前記第1薄膜トランジスタ及び前記第2薄膜トランジスタの上に有機絶縁膜が積層され、当該有機絶縁膜上に無機絶縁膜が積層され、前記駆動電極及び前記検出電極は前記有機絶縁膜と前記無機絶縁膜の間に位置している、検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検出装置が適用される表示装置1を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す検出装置3を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すバッファ回路C1aと選択回路C2aの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すバッファ回路C1aの平面図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す検出電極Rxと駆動電極Txの配置例を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す中継電極REの近傍を拡大して示す平面図である。
【
図10】
図10は、駆動電極Txとバッファ回路C1aとの接続関係を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、
図14に示すゲート電極322aとゲート電極322bとの接続関係を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
【
図17】
図17は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
【
図18】
図18は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係る検出装置3を示す断面図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態の他の例を示す断面図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態の他の例を示す断面図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態に係る検出装置3を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る検出装置が適用される表示装置1を示す断面図である。図に示す第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、互いに直交している。なお、第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、90度以外の角度で交差していてもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を「上」と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と称する。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置1を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置1は、画像を表示する表示機能に加え、対象物の接近又は接触を検出する検出機能を有している。表示装置1は、表示パネル2、検出装置3、カバー4、回路基板51及び52などを備えている。
【0011】
表示パネル2は、一例では、液晶表示パネルである。表示パネル2は、第1基板21、第2基板22、液晶層23、偏光板24a及び24bなどを備えている。第1基板21と第2基板22とは、互いに対向している。液晶層23は、第1基板21と第2基板22との間に保持されている。偏光板24aと偏光板24bとは、互いに直交する透過軸を有し、第1基板21、第2基板22、及び液晶層23を挟んでいる。表示パネル2の一端部には、回路基板51が接続されている。表示パネル2を駆動するための各種信号は、回路基板51を介して外部装置から供給される。
【0012】
検出装置3は、一例では、静電容量型の検出装置である。検出装置3は、表示パネル2の上に位置し、接着剤61によって表示パネル2と接着されている。図示した例では、検出装置3は、偏光板24bと接着されている。検出装置3の一端部には、回路基板52が接続されている。検出装置3を駆動するための各種信号は、回路基板52を介して外部装置から供給される。
【0013】
カバー4は、検出装置3の上に位置し、接着剤62によって検出装置3と接着されている。カバー4は、ガラス又は樹脂等の透明な絶縁材料によって形成されている。図示した例では、カバー4は、検出装置3と対向する面に、黒色に着色された樹脂層4aを有している。樹脂層4aが設けられた領域は、表示パネル2のうち、非表示領域に相当する。
【0014】
図2は、
図1に示す検出装置3を概略的に示す平面図である。検出装置3は、基板300を用いて構成されている。基板300は、例えば四角形であり、図示した例では矩形状である。基板300は、第1方向Xに沿って延出した端縁EX1及びEX2と、第2方向Yに沿って延出した端縁EY1及びEY2とを有している。検出装置3は、基板300の上に、バッファ回路C1a及びC1b、選択回路C2a及びC2b、検出回路C3、検出電極Rx、駆動電極Txなどを備えている。
【0015】
バッファ回路C1aと選択回路C2aとは、端縁EY1に沿って設けられている。選択回路C2aは、バッファ回路C1aよりも端縁EY1に近接している。バッファ回路C1bと選択回路C2bとは、端縁EY2に沿って設けられている。選択回路C2bは、バッファ回路C1bよりも端縁EY2に近接している。検出回路C3は、端縁EX1に沿って設けられている。本実施形態において、バッファ回路C1a及びC1bは、トランジスタ31を含み、選択回路C2a及びC2bは、トランジスタ32を含んでいる。
【0016】
検出電極Rxと駆動電極Txとは、互いに接触なく交差して設けられている。すなわち、駆動電極Txと検出電極Rxとの間には、駆動電極に駆動信号が供給されることにより、静電容量が形成される。一例では、駆動電極Txは、第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに沿って間隔を置いて並んでいる。駆動電極Txの一端部は、バッファ回路C1aと選択回路C2aとに接続されている。駆動電極Txの他端部は、バッファ回路C1bと選択回路C2bとに接続されている。検出電極Rxは、第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに沿って間隔を置いて並んでいる。検出電極Rxの一端部は、検出回路C3に接続されている。第1方向Xにおいて、すべての検出電極Rxは、バッファ回路C1aとバッファ回路C1bとの間に配置されている。以下では、便宜的に、検出電極Rxと駆動電極Txとが配置された領域をセンサ領域SAと称する場合がある。
図2において、センサ領域SAは、一点鎖線で囲まれた領域に相当する。
【0017】
選択回路C2a及びC2bは、駆動電極Txを順次選択する。バッファ回路C1a及びC1bは、駆動電極Txに印加される電圧の振幅を所定値に設定する。検出回路C3は、駆動電極Txと検出電極Rxとの間に形成される静電容量の変化から、例えば指等の対象物の接近又は接触を検出する。例えば、検出回路C3は、検出電極Rxによって検出された信号の変化が所定値より大きい場合、対象物の接近又は接触があったと判定する。
【0018】
検出装置3において、駆動電極Txと検出電極Rxとを密に配置することによって、例えば指紋のような微細な表面凹凸を検出することができる。このような極めて細かい凹凸に起因した検出信号を得るために、駆動電極Txに供給される駆動信号の振幅(電圧の振幅)は、十分に大きいことが必要とされる。したがって、本実施形態において、駆動信号の供給源となるバッファ回路C1a及びC1bには、当該駆動信号の供給先となる駆動電極を選択するための選択回路C2a及びC2bよりも高い電圧が供給され得る。
【0019】
図3は、
図2に示すバッファ回路C1aと選択回路C2aの一部を示す断面図である。検出装置3は、基板300、絶縁膜301、302、303、304、及び305、トランジスタ31、トランジスタ32などを備えている。絶縁膜301、302、303、304、及び305は、この順で基板300の上に積層されている。
【0020】
トランジスタ31は、一例では、トップゲート型の薄膜トランジスタである。トランジスタ31は、半導体層311、ゲート電極312、電極313a、及び電極313bを備えている。半導体層311は、絶縁膜301の上に位置し、絶縁膜302によって覆われている。ゲート電極312は、絶縁膜302の上に位置し、絶縁膜303によって覆われている。電極313a及び313bは、絶縁膜303の上に位置し、絶縁膜304によって覆われている。電極313a及び313bは、絶縁膜302及び303を貫通するコンタクトホールCH1a及びCH1bにおいて、半導体層311とそれぞれ接している。
【0021】
トランジスタ32は、一例では、ボトムゲート型の薄膜トランジスタである。トランジスタ32は、半導体層321、ゲート電極322、電極323a、及び電極323bを備えている。ゲート電極322は、基板300の上に位置し、絶縁膜301によって覆われている。半導体層321は、絶縁膜301の上に位置し、絶縁膜302によって覆われている。電極323a及び323bは、絶縁膜303の上に位置し、絶縁膜304によって覆われている。電極323a及び323bは、絶縁膜302及び303を貫通するコンタクトホールCH2a及びCH2bにおいて、半導体層321とそれぞれ接している。
【0022】
半導体層311及び321は、例えば多結晶シリコンによって形成されている。なお、半導体層311及び321は、例えば透明アモルファス酸化物半導体によって形成されてもよい。ゲート電極312及び322、電極313a、313b、323a、及び323bは、例えばアルミニウム、チタン、銀、モリブデン、タングステン、銅、クロムなどの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成されている。これらの電極は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。絶縁膜301、302、303、及び305は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸窒化シリコン等の無機絶縁材料によって形成されている。絶縁膜304は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料によって形成されている。
【0023】
本実施形態において、トランジスタ31の駆動電圧は、ゲート電極322と例えば電極323aとの間に印加される電圧(ゲートソース間電圧)Vgs1である。トランジスタ31のゲートソース間電圧Vgs1は、一例では、±20V程度である。トランジスタ32の駆動電圧は、ゲート電極322と例えば電極323aとの間に印加される電圧(ゲートソース間電圧)Vgs2である。トランジスタ32のゲートソース間電圧Vgs2は、一例では、±10V程度である。
【0024】
上述したように、半導体層311及び321は、同層であり、いずれも絶縁膜301と絶縁膜302との間に位置している。ゲート電極312は、絶縁膜302を介して、半導体層311と対向している。ゲート電極322は、絶縁膜301を介して、半導体層321と対向している。このような構成において、絶縁膜302は、トランジスタ31のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜301は、トランジスタ32のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜301と絶縁膜302とは、一例では、同一材料で形成されている。すなわち、絶縁膜301の比誘電率と絶縁膜302の比誘電率とは、等しい。一方、本実施形態において、絶縁膜302の厚さT2は、絶縁膜301の厚さT1より大きい。一例では、厚さT2は、厚さT1の2倍以上である。換言すると、トランジスタ31におけるゲート電極312と半導体層311との距離D1は、トランジスタ32におけるゲート電極322と半導体層321との距離D2より大きい。この結果、トランジスタ31の耐圧は、トランジスタ32の耐圧より大きくなる。
【0025】
図4は、
図3に示すバッファ回路C1aの平面図である。図示した例では、バッファ回路C1aは、トランジスタ31に加え、配線L11、L12、L13、及びL14を備えている。一例では、配線L11、L12、及びL13は、第2方向Yに沿って延出し、この順で第1方向Xに沿って並んでいる。配線L14は、第1方向Xに沿って延出している。図示した例では、配線L14は、配線L12と交差している。配線L14の一端部は、配線L11の直下に位置し、配線L14の他端部は、配線L12と配線L13との間に位置している。配線L14は、配線L11と重なる領域に設けられたコンタクトホールCH31において、配線L11と接続されている。
【0026】
トランジスタ31の電極313aは、配線L12と一体的に形成されている。トランジスタ31の電極313bは、配線L13と一体的に形成されている。すなわち、配線L12と配線L13とは、互いに対向する凸部を有している。配線L12の凸部は、配線L13の側に向かって突出し、電極313aを形成している。配線L13の凸部は、配線L12の側に向かって突出し、電極313bを形成している。
【0027】
半導体層311は、第1方向Xに沿って延出している。半導体層311は、一例では、第1方向Xに沿った長辺を有する長方形状である。半導体層311は、その両端部において、電極313a及び313bとそれぞれ重なっている。コンタクトホールCH1aは、半導体層311と電極313aとが重なる領域に設けられている。コンタクトホールCH1bは、半導体層311と電極313bとが重なる領域に設けられている。
【0028】
ゲート電極312は、配線L12と配線L13との間において、第2方向Yに沿って延出している。ゲート電極312は、半導体層311と交差するとともに、配線L14の他端部とも重なっている。ゲート電極312は、一例では、第2方向Yに沿った長辺を有する長方形状である。図示した例では、ゲート電極312は、半導体層311の略中央と重なっている。ゲート電極312は、配線L14と重なる領域に設けられたコンタクトホールCH41において、配線L14と電気的に接続されている。
【0029】
本実施形態において、トランジスタ31の単位容量(第1単位容量)UC1は、平面視で、ゲート電極312と半導体層311とが重なる領域OV1の単位面積当たりの容量として定義される。
図4において、領域OV1は、斜線を付した領域として示されている。
【0030】
図5は、
図4に示すA-A’線に沿った断面図である。配線L14は、基板300の上に位置し、絶縁膜301によって覆われている。ゲート電極312は、絶縁膜301及び302を貫通するコンタクトホールCH41において、配線L14と接している。これにより、配線L14とゲート電極312とは、同電位になる。なお、配線L14は、例えばトランジスタ32のゲート電極322と同一材料及び同一工程で形成することができる。
【0031】
配線L11と配線L12とは、絶縁膜303の上に位置し、絶縁膜304によって覆われている。配線L11は、絶縁膜301、302、及び303を貫通するコンタクトホールCH31において、配線L14と接している。これにより、配線L11から供給されるゲート電位は、配線L14を介してゲート電極312に供給される。なお、
図4に示すB-B’線に沿った断面は、
図3に示すトランジスタ31の断面と同様である。
【0032】
図6は、
図3に示す選択回路C2aの平面図である。図示した例では、選択回路C2aは、トランジスタ32に加え、配線L21、L22、及びL23を備えている。一例では、配線L21、L22、及びL23は、第2方向Yに沿って延出し、この順で第1方向Xに沿って並んでいる。
【0033】
トランジスタ32の構造は、ゲート電極322の構造を除き、トランジスタ31と同様である。すなわち、配線L22と配線L23とは、互いに対向する凸部を有している。配線L22の凸部は、配線L23の側に向かって突出し、電極323aを形成している。配線L23の凸部は、配線L22の側に向かって突出し、電極323bを形成している。半導体層321は、第1方向Xに沿った長辺を有する長方形状であり、その両端部において、電極323a及び323bとそれぞれ重なっている。コンタクトホールCH2aは、半導体層321と電極323aとが重なる領域に設けられている。コンタクトホールCH2bは、半導体層321と電極323bとが重なる領域に設けられている。
【0034】
ゲート電極322は、第1方向Xに沿って延出した第1部分P1と、第2方向に沿って延出した第2部分P2とを有している。図示した例では、第1部分P1は、配線L22と交差している。第1部分P1の一端部は、配線L21の直下に位置している。第1部分P1の他端部は、配線L22と配線L23との間に位置している。第2部分P2は、第1部分P1の他端部から延出し、半導体層321と交差している。図示した例では、第2部分P2は、半導体層321の略中央と重なっている。ゲート電極322は、第1部分P1と配線L21とが重なる領域に設けられたコンタクトホールCH32において、配線L21と電気的に接続されている。
【0035】
本実施形態において、トランジスタ32の単位容量(第2単位容量)UC2は、平面視で、ゲート電極322と半導体層321とが重なる領域OV2の単位面積当たりの容量として定義される。
図6において、領域OV2は、斜線を付した領域として示されている。
【0036】
図7は、
図6に示すC-C’線に沿った断面図である。配線L21と配線L22とは、絶縁膜303の上に位置し、絶縁膜304によって覆われている。配線L21は、絶縁膜301、302、及び303を貫通するコンタクトホールCH32において、ゲート電極322と接している。これにより、配線L11から供給されるゲート電位は、ゲート電極322に供給される。なお、
図6に示すD-D’線に沿った断面は、
図3に示すトランジスタ32の断面と同様である。
【0037】
図8は、
図2に示す検出電極Rxと駆動電極Txの配置例を模式的に示す平面図である。検出電極Rxは、屈曲しながら第2方向Yに沿って延出している。より具体的には、検出電極Rxは、第1方向Xに向かって突出した屈曲部B1と、第1方向Xと反対方向に向かって突出した屈曲部B2とを有している。第2方向Yにおいて、屈曲部B1と屈曲部B2とは、交互に並んでいる。検出電極Rxは、一例では、屈曲部B1と屈曲部B2との間において、直線状に形成されている。また、第1方向Xに沿って隣り合う検出電極Rxにおいて、屈曲部B1の第2方向Yの位置、及び屈曲部B2の第2方向Yの位置は、いずれも一致している。
【0038】
駆動電極Txは、第1方向X及び第2方向Yにおいて間隔を置いて配置されている。駆動電極Txは、一例では、略平行四辺形状である。駆動電極Txは、互いに交差する方向に延出した辺ET1と辺ET2とを有している。辺ET1は、第1方向Xに沿って延出している。辺ET2は、検出電極Rxと対向し、検出電極Rxとほぼ平行に延出している。検出電極Rxは、第1方向Xに沿って隣り合う駆動電極Txのそれぞれの辺ET2の間に位置している。
【0039】
第1方向Xに沿って隣り合う駆動電極Txは、中継電極REによって互いに接続されている。中継電極REは、検出電極Rxと交差している。中継電極REは、一例では、検出電極Rxの下方に設けられている。中継電極REと検出電極Rxとは、図示しない絶縁膜によって絶縁されている。図示した例では、1つの駆動電極Txに接続された2つの中継電極REの第2方向Yにおける位置は、互いに異なっている。換言すると、略平行四辺形状の駆動電極Txの対角の近傍において、駆動電極Txと中継電極REとが接続されている。このような配置にすることで、検出電極Rx、駆動電極Tx、中継電極RE等によって反射された反射光によるモアレの発生を抑制することができる。
【0040】
図9は、
図8に示す中継電極REの近傍を拡大して示す平面図である。
図9は、中継電極RE、駆動電極Tx(Txa、Txb)、及び検出電極Rxに加え、絶縁膜304を示している。絶縁膜304は、
図3に示す絶縁膜304と同一材料で形成されている。
【0041】
中継電極REは、一例では、第1方向Xに沿った長辺を有する長方形状である。中継電極REの両端部は、第1方向Xに沿って隣り合う駆動電極Txa及びTxbとそれぞれ重なっている。図示した例では、駆動電極Txa及びTxbは、中継電極REと重なる領域において、互いに対向する凸部PTa及びPTbを有している。中継電極REと駆動電極Txaとは、中継電極REの一端部と重なって設けられたコンタクトホールCH5aにおいて互いに接続されている。中継電極REと駆動電極Txbとは、中継電極REの他端部と重なって設けられたコンタクトホールCH5bにおいて互いに接続されている。
【0042】
絶縁膜304は、検出電極Rx及び中継電極REのすべてと重なっている。より具体的には、絶縁膜304は、検出電極Rxに沿って延出するとともに、中継電極REと重なる領域において中継電極REよりも僅かに大きい略長方形状に形成されている。絶縁膜304は、第3方向Zにおいて、中継電極REと検出電極Rxとの間に介在し、両者を絶縁している。なお、絶縁膜304は、少なくとも中継電極REと検出電極Rxとが重なる領域に設けられていればよい。
【0043】
絶縁膜304は、一例では、厚さの異なる部分A1と部分A2とを有している。ここで、厚さとは、第3方向Zに沿って規定される。部分A1の厚さは、部分A2の厚さより大きい。部分A1は、検出電極Rxの直下に位置し、検出電極Rxに沿って設けられている。部分A2は、部分A1の外側に位置している。図示した例では、検出電極Rxは、第1方向Xにおいて、部分A1の略中央に配置されている。駆動電極Txa及びTxbのうち、検出電極Rxと対向する辺ET2は、それぞれ部分A2と重なっている。また、駆動電極Txa及びTxbのうち、凸部PTa及びPTbの一部は、部分A1と重なっている。
【0044】
図10は、駆動電極Txとバッファ回路C1aとの接続関係を示す断面図である。
図10は、バッファ回路C1aに含まれるトランジスタ31と、
図9に示す駆動電極Txa及びTxb、検出電極Rx、及び中継電極REを示している。トランジスタ31の構造は、
図3と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
センサ領域SAにおいて、中継電極REは、絶縁膜303の上に位置し、絶縁膜304によって覆われている。上述したように、絶縁膜304において、部分A1は、部分A2よりも大きい厚さを有している。検出電極Rxは、部分A1の上に設けられている。駆動電極Txa及びTxbは、部分A2を覆うとともに、部分A1の上にも延在している。部分A1の上において、駆動電極Txa及びTxbは、検出電極Rxから離間している。駆動電極Txaは、絶縁膜304を貫通するコンタクトホールCH5aにおいて、中継電極REと接している。駆動電極Txbは、絶縁膜304を貫通するコンタクトホールCH5bにおいて、中継電極REと接している。これにより、駆動電極Txaと駆動電極Txbとは、中継電極REを介して電気的に接続される。
【0046】
中継電極REと検出電極Rxは、例えばアルミニウム、チタン、銀、モリブデン、タングステン、銅、クロムなどの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成されている。中継電極REと検出電極Rxは、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。なお、中継電極REは、トランジスタ31の電極313a及び313bと同一材料及び同一工程で形成することができる。一方、駆動電極Txは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。
【0047】
駆動電極Txaは、センサ領域SAの外側まで延出し、トランジスタ31と接続されている。一例では、駆動電極Txaは、絶縁膜304を貫通するコンタクトホールCH6において、トランジスタ31の電極313bと接している。図示した例では、電極313a及び313bを覆う絶縁膜304は、中継電極REを覆う絶縁膜304と繋がっていない。換言すると、駆動電極Txaは、電極313bと中継電極REとの間において、絶縁膜303と接している。
【0048】
本実施形態において、電極313a及び313bを覆う絶縁膜304は、厚さの異なる部分A3と部分A4とを有している。部分A3の厚さは、部分A4の厚さより大きい。換言すると、絶縁膜304は、部分A3と部分A4とによって形成される段差部ST1及びST2を有している。このような段差部ST1及びST2が形成されることにより、絶縁膜304の上に形成される駆動電極Txaの断線などを抑制することができる。なお、フォトリソグラフィの際の露光量を調整することによって、部分A3と部分A4は、部分A1及びA2と同時に形成することができる。
【0049】
本実施形態によれば、駆動電圧の異なるトランジスタ31とトランジスタ32を備える検出装置3において、トランジスタ31の単位容量UC1とトランジスタ32の単位容量UC2とを独立に制御している。より具体的には、半導体層311及び321を間に挟み、下側にトランジスタ32のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜301を設け、上側にトランジスタ31のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜302を設けている。このような構成にすることにより、絶縁膜301の厚さT1と絶縁膜302の厚さT2とを独立して設定することができる。すなわち、トランジスタ31におけるゲート電極312と半導体層311との距離D1と、トランジスタ32におけるゲート電極322と半導体層321との距離D2とを独立して設定することができる。この結果、単位容量UC1と単位容量UC2とを独立に制御することができる。
【0050】
本実施形態では、厚さT2を厚さT1より大きくすることで、トランジスタ31の単位容量UC1をトランジスタ32の単位容量UC2より小さくしている。単位容量UC1が小さいため、トランジスタ31の駆動電圧(ゲートソース間電圧Vgs1)が、例えばトランジスタ32の駆動電圧(ゲートソース間電圧Vgs2)より大きくなる場合であっても、絶縁膜302の破壊を抑制することができる。すなわち、トランジスタ31の耐圧をトランジスタ32の耐圧より大きくすることができる。
【0051】
一方で、一般に、ゲート絶縁膜の厚さが大きいほどトランジスタのオン電流が低下するため、所望のオン電流を得るためにトランジスタのサイズが大型化する場合が多い。この場合、周辺回路の高集積化が困難になり、周辺回路が配置される領域、すなわちセンサ領域以外の額縁領域の狭小化が妨げられるおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、駆動電圧が低いトランジスタ32において、ゲート絶縁膜である絶縁膜301の厚さT1を絶縁膜302の厚さT2と無関係に最適な値にすることができる。このため、トランジスタ32を大型化することなく、所望のオン電流を得ることができる。すなわち、狭額縁化が実現される。
【0052】
以上のことから、第1実施形態によれば、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することができる。
【0053】
以下では、
図11乃至
図18を参照して、第1実施形態の他の例について説明する。
【0054】
図11は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
図11に示す例は、トランジスタ32が2つのゲート電極322a及び322bを有している点で、
図3に示す例と相違している。ゲート電極322aとゲート電極322bとは、半導体層321を間に挟んで対向している。ゲート電極322aは、基板300の上に位置し、絶縁膜301によって覆われている。ゲート電極322bは、絶縁膜302の上に位置し、絶縁膜303によって覆われている。換言すると、ゲート電極322bは、絶縁膜302を介して半導体層321と対向している。ゲート電極322bは、一例では、トランジスタ31のゲート電極312と同一材料で形成される。
図11に示す例においても、絶縁膜302の厚さT2は、絶縁膜301の厚さT1より大きい。
【0055】
図12は、
図11に示す選択回路C2aの平面図である。ゲート電極322aは、
図6に示すゲート電極322と同様の構造である。すなわち、ゲート電極322aは、第1方向Xに沿って延出した第1部分P1と、第2方向に沿って延出した第2部分P2とを有している。第1部分P1は、配線L21の直下から配線L22と配線L23との間に向かって延出し、配線L22と交差している。第2部分P2は、配線L22と配線L23との間において第1部分P1から延出し、半導体層321と交差している。
【0056】
ゲート電極322bは、第2部分P2の直上に位置している。図示した例では、ゲート電極322bは、第2部分P2と同形状であり、ほぼ同じ大きさである。ゲート電極322bは、第1部分P1側の端部と重なる領域に設けられたコンタクトホールCH42において、ゲート電極322aと接続されている。
【0057】
図13は、
図12に示すE-E’線に沿った断面図である。ゲート電極322bは、絶縁膜301及び302を貫通するコンタクトホールCH42において、ゲート電極322aと接している。これにより、ゲート電極322bとゲート電極322aとは、同電位になる。
【0058】
図11乃至
図13に示す例においても、絶縁膜301と絶縁膜302との間に半導体層311及び321が設けられ、且つ、絶縁膜302の厚さT2が絶縁膜301の厚さT1よりも大きい。すなわち、トランジスタ31におけるゲート電極312と半導体層311との距離D1は、トランジスタ32におけるゲート電極322と半導体層321との距離D2より大きい。この結果、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することができる。
【0059】
さらに、低電圧で駆動されるトランジスタ32において、半導体層321に対してゲート電極322aとゲート電極322bとの双方から電圧を印加することができるため、トランジスタ32の特性を向上することができる。また、有機絶縁材料からなる絶縁膜304側にゲート電極322bを配置することで、絶縁膜304に含まれるイオンによって形成される電界を遮蔽する効果を得ることができる。すなわち、イオンによって形成される電界の半導体層321への影響を抑制することができ、トランジスタ32の特性を向上することができる。
【0060】
図14は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
図14に示す例は、トランジスタ32のゲート電極322bが絶縁膜303の上に位置している点で、
図11に示す例と相違している。ゲート電極322bは、絶縁膜304によって覆われている。ゲート電極322bは、一例では、電極323a及び323bと同一材料で形成される。
【0061】
図15は、
図14に示すゲート電極322aとゲート電極322bとの接続関係を示す断面図である。
図15は、
図12に示すE-E’線に沿った断面に相当する。ゲート電極322bは、絶縁膜301、302、及び303を貫通するコンタクトホールCH42において、ゲート電極322aと接している。これにより、ゲート電極322aとゲート電極322bとは、同電位になる。
図14及び
図15に示す例においても、
図11乃至
図13に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0062】
図16は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
図16に示す例は、絶縁膜301の厚さT1と絶縁膜302の厚さT2とが等しい点で、
図11に示す例と相違している。
図16に示す例において、絶縁膜301と絶縁膜302とは、異なる材料によって形成されている。絶縁膜302の比誘電率ε2は、絶縁膜301の比誘電率ε1より小さい。したがって、厚さT1と厚さT2とが等しい場合であっても、トランジスタ31の単位容量UC1は、トランジスタ32の単位容量UC2より小さくなる。
【0063】
図16に示す例によれば、半導体層311及び321を間に挟み、下側にトランジスタ32のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜301を設け、上側にトランジスタ31のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜302を設けている。このような構成にすることで、絶縁膜301と絶縁膜302とを異なる材料によって形成することができる。すなわち、絶縁膜301の比誘電率ε1と絶縁膜302の比誘電率ε2とを独立して設定することができる。
【0064】
例えば、トランジスタ31において、絶縁膜302の比誘電率ε2を小さくすることで、単位容量UC1を小さくすることができる。この結果、トランジスタ31の駆動電圧が大きい場合であっても、絶縁膜302の破壊を抑制することができ、トランジスタ31の耐圧を大きくすることができる。一方、トランジスタ32において、絶縁膜301の比誘電率ε1を大きくすることで、単位容量UC2を大きくすることができる。この結果、駆動電圧が小さいトランジスタ32において、トランジスタのサイズを大きくすることなく所望のオン電流を得ることができる。
【0065】
以上のように、
図16に示す例においても、トランジスタ31及び32の駆動電圧に応じて絶縁膜302及び301の比誘電率ε2及びε1を適切な値に設定することにより、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することができる。
【0066】
さらに、
図16に示す例によれば、低電圧で駆動されるトランジスタ32において、絶縁膜304側にゲート電極322bが配置されている。これにより、半導体層321の上下の双方からゲート電圧を印加することができるとともに、絶縁膜304に含まれるイオンによって形成される電界の影響を抑制することができる。この結果、トランジスタ32の特性を向上することができる。
【0067】
図17は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
図17に示す例は、トランジスタ32のゲート電極322bが絶縁膜303の上に位置している点で、
図16に示す例と相違している。
図17に示す例においても、絶縁膜302の比誘電率ε2は、絶縁膜301の比誘電率ε1より小さい。したがって、
図17に示す例においても、
図16に示す例と同様の効果を得ることができる。なお、ゲート電極322bは、島状に形成されていてもよい。すなわち、ゲート電極322bの電位は、フローティング状態であってもよい。この場合においても、絶縁膜304に含まれるイオンによって形成される電界を遮蔽する効果を得ることができるため、トランジスタ32の特性を向上することができる。
【0068】
図18は、第1実施形態の他の例を示す断面図である。
図13に示す例は、センサ領域SAに絶縁膜301、302、及び303が設けられていない点で、
図10に示す例と相違している。すなわち、中継電極REは、基板300と接している。絶縁膜304は、中継電極REを覆うとともに、基板300の上にも形成されている。
【0069】
図示した例では、センサ領域SAの外側の領域、すなわちトランジスタ31の近傍において、センサ領域SA側の絶縁膜301、302、及び303が部分的に除去されている。この結果、トランジスタ31の近傍には、絶縁膜304が有する段差部ST1及びST2に加え、段差部ST3及びST4が形成される。段差部ST3は、絶縁膜304と絶縁膜301、302、及び303によって形成されている。段差部ST4は、絶縁膜301、302、及び303と基板300とによって形成されている。このような段差部ST3及びST4が形成されることにより、センサ領域SAから引き出された駆動電極Txaの断線を抑制することができる。なお、図示した例では、段差部ST4を形成する絶縁膜301、302、及び303の側面の位置が一致しているが、異なっていてもよい。この場合、絶縁膜301、302、及び303の各々によって、さらなる段差部が形成される。
【0070】
図18に示す例によれば、センサ領域SAに絶縁膜301、302、及び303が設けられていないため、検出装置3の下方に位置する表示パネル2から出射された光の透過率を向上することができる。
【0071】
以上のように、第1実施形態によれば、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することができる。
【0072】
[第2実施形態]
図19は、第2実施形態に係る検出装置3を示す断面図である。第2実施形態は、トランジスタ31がボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、トランジスタ32がトップゲート型の薄膜トランジスタである点で、第1実施形態と相違している。
【0073】
トランジスタ31において、ゲート電極312は、基板300の上に位置し、絶縁膜301によって覆われている。トランジスタ32において、ゲート電極322は、絶縁膜302の上に位置し、絶縁膜303によって覆われている。その他の構成は、
図3に示す例と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
本実施形態において、絶縁膜301は、トランジスタ31のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜302は、トランジスタ32のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜301と絶縁膜302とは、一例では、同一材料で形成されている。絶縁膜301の厚さT1は、絶縁膜302の厚さT2より大きい。換言すると、トランジスタ31におけるゲート電極312と半導体層311との距離D1は、トランジスタ32におけるゲート電極322と半導体層321との距離D2より大きい。この結果、トランジスタ31の単位容量UC1は、トランジスタ32の単位容量UC2より小さい。
【0075】
本実施形態によれば、半導体層311及び321を間に挟み、下側に絶縁膜301が設けられ、上側に絶縁膜302が設けられている。絶縁膜301は、ボトムゲート型のトランジスタ31のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜302は、トップゲート型のトランジスタ32のゲート絶縁膜として機能する。このような構成にすることで、絶縁膜301の厚さT1と絶縁膜302の厚さT2とを独立して設定することができる。すなわち、トランジスタ31におけるゲート電極312と半導体層311との距離D1と、トランジスタ32におけるゲート電極322と半導体層321との距離D2とを独立して設定することができる。したがて、第1実施形態と同様に、単位容量UC1と単位容量UC2とを独立に制御することができる。
【0076】
本実施形態では、厚さT1大きくすることで、単位容量UC1を小さくすることができる。この結果、トランジスタ31の駆動電圧が大きい場合であっても、絶縁膜301の破壊を抑制することができ、トランジスタ31の耐圧を大きくすることができる。一方で、厚さT2を小さくすることで、単位容量UC2を大きくすることができる。この結果、トランジスタ32を大型化することなく、所望のオン電流を得ることができ、狭額縁化が実現される。
【0077】
以上のことから、第2実施形態においても、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することができる。
【0078】
図20は、第2実施形態の他の例を示す断面図である。
図20に示す例は、トランジスタ32が2つのゲート電極322a及び322bを有している点で、
図19に示す例と相違している。
【0079】
ゲート電極322aとゲート電極322bとは、半導体層321を間に挟み対向している。ゲート電極322bは、基板300の上に位置し、絶縁膜301によって覆われている。換言すると、ゲート電極322bは、絶縁膜301を介して半導体層321と対向している。ゲート電極322aは、絶縁膜302の上に位置し、絶縁膜303によって覆われている。ゲート電極322bは、一例では、トランジスタ31のゲート電極312と同一材料で形成される。絶縁膜301の厚さT1は、絶縁膜302の厚さT2より大きい。
【0080】
図20に示す例においても、
図19に示す例と同様の効果を得ることができる。さらに、トランジスタ32において、半導体層321の上下の双方からゲート電圧を印加することができるため、トランジスタ32の特性が向上される。
【0081】
図21は、第2実施形態の他の例を示す断面図である。
図21に示す例は、トランジスタ31が2つのゲート電極312a及び312bを有している点で、
図19に示す例と相違している。
【0082】
ゲート電極312aとゲート電極312bとは、半導体層321を間に挟み対向している。ゲート電極312aは、基板300の上に位置し、絶縁膜301によって覆われている。ゲート電極312bは、絶縁膜302の上に位置し、絶縁膜303によって覆われている。ゲート電極312bは、一例では、トランジスタ31の電極313a及び313bと同一材料で形成される。絶縁膜301の厚さT1は、絶縁膜302の厚さT2より大きい。
【0083】
図21に示す例においても、
図19に示す例と同様の効果を得ることができる。さらに、トランジスタ31において、絶縁膜304側にゲート電極312bが配置されることにより、絶縁膜304に含まれるイオンによって形成される電界の影響を抑制するとともに、半導体層321の上下の双方からゲート電圧を印加することができる。この結果、トランジスタ32の特性が向上される。
【0084】
以上のように、第2実施形態においても、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することができる。
【0085】
[第3実施形態]
図22は、第3実施形態に係る検出装置3を示す断面図である。第3実施形態は、トランジスタ31及びトランジスタ32の双方がボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、半導体層311及び半導体層321の下方に2層の絶縁膜、すなわち絶縁膜301及び302が設けられている点で、第1実施形態及び第2実施形態と相違している。
【0086】
ゲート電極312は、基板300の上に設けられている。ゲート電極322は、絶縁膜301の上に設けられている。一方、半導体層311及び321は、いずれも絶縁膜303の上に位置している。換言すると、ゲート電極312は、絶縁膜301及び絶縁膜302を介して半導体層311と対向し、ゲート電極322は、絶縁膜302を介して半導体層321と対向している。したがって、トランジスタ31におけるゲート電極312と半導体層311との距離D1は、トランジスタ32におけるゲート電極322と半導体層321との距離D2より大きい。
【0087】
上記の構成において、絶縁膜301及び302は、トランジスタ31のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜302は、トランジスタ32のゲート絶縁膜として機能する。図示した例では、絶縁膜301の厚さと絶縁膜302の厚さは、ほぼ等しいが、異なっていてもよい。
【0088】
なお、図において二点鎖線で示すように、トランジスタ32の下方に遮光層LSが設けられていてもよい。遮光層LSは、絶縁膜301を介してゲート電極322の直下に位置している。このような遮光層LSは、トランジスタ31のゲート電極312と同一工程及び同一材料で形成することが可能である。
【0089】
本実施形態によれば、半導体層311及び321の下方に絶縁膜301及び302を設けることで、トランジスタ31及びトランジスタ32の双方がボトムゲート型である場合であっても、ゲート電極312と半導体層311との距離D1、及びゲート電極322と半導体層321との距離D2を独立に設定することができる。この結果、距離D1を距離D2より大きくすることで、トランジスタ31の耐圧をトランジスタ32の耐圧より大きくすることができる。一方で、距離D1を小さくすることで、トランジスタ32を大型化することなく、所望のオン電流を得ることができ、狭額縁化が実現される。
【0090】
したがって、第3実施形態においても、薄膜トランジスタの耐圧性を確保し、且つ、狭額縁化が可能な検出装置を提供することができる。なお、第3実施形態では、トランジスタ31及び32の双方がボトムゲート型である場合を例として説明したが、トランジスタ31及び32の双方がトップゲート型である場合であっても、絶縁膜301と絶縁膜302とを半導体層311及び321の上方に設け、且つ、ゲート電極312とゲート電極322とをそれぞれ異なる絶縁膜の上に設けることで、同様の効果を得ることができる。
【0091】
以上の各実施形態において、トランジスタ31は、第1薄膜トランジスタに相当し、トランジスタ32は、第2薄膜トランジスタに相当する。トランジスタ31の半導体層311は、第1半導体層に相当し、ゲート電極312は、第1ゲート電極に相当し、電極313bは、第1電極に相当する。トランジスタ32の半導体層321は、第2半導体層に相当し、ゲート電極322及び322aは、第2ゲート電極に相当し、ゲート電極322bは、第3ゲート電極に相当し、電極323aは、第2電極に相当する。
【0092】
トランジスタ31のゲート絶縁膜は、第1絶縁膜に相当する。すなわち、第1実施形態における絶縁膜303、第2実施形態における絶縁膜301、及び第3実施形態における絶縁膜301及び302が、それぞれ第1絶縁膜に相当する。同様に、トランジスタ32のゲート絶縁膜は、第2絶縁膜に相当する。すなわち、第1実施形態における絶縁膜301、第2実施形態における絶縁膜302、及び第3実施形態における絶縁膜302が、それぞれ第2絶縁膜に相当する。また、絶縁膜304は、有機絶縁膜に相当する。
【0093】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1…表示装置、2…表示パネル、3…検出装置、4…カバー、31…トランジスタ、311…半導体層、312,312a,312b…ゲート電極、313a,313b…電極、32…トランジスタ、321…半導体層、322,322a,322b…ゲート電極、323a,323b…電極、300…基板、301,302,304,305…絶縁膜、C1a,C1b…バッファ回路、C2a,C2b…選択回路。