(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132663
(43)【公開日】2022-09-09
(54)【発明の名称】非対称耐圧を有するTVSダイオードおよびアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/329 20060101AFI20220902BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20220902BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20220902BHJP
H01L 21/223 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
H01L29/90 S
H01L29/06 301M
H01L29/06 301V
H01L29/91 K
H01L29/91 A
H01L21/223
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020201590
(22)【出願日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】201911243673.9
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518049083
【氏名又は名称】リテルヒューズ・セミコンダクター・(ウーシー)・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LITTELFUSE SEMICONDUCTOR (WUXI) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼン、ジャンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】カイ、インダ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】過電圧保護デバイスおよびリセット可能ヒューズを提供する。
【解決手段】両面過渡電圧抑制(TVS)ダイオードデバイスである保護デバイス100は、第1の極性を含む内側領域104を有する半導体基板102と、半導体基板の第1の表面108上に配置され、第1の極性とは逆の第2の極性を有する第1の表面領域106とを備える。TVSデバイスは、第2の極性を有し、第1の表面に対向する半導体基板の第2の表面112上に配置された第2の表面領域110も備える。第1の表面領域は、第1のドーパント濃度有し、第2の表面領域は、第1のドーパント濃度よりも大きい第2のドーパント濃度を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の極性を含む内側領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第1の表面上に配置され、前記第1の極性とは逆の第2の極性を有する第1の表面領域と、
前記第2の極性を有し、前記第1の表面に対向する前記半導体基板の第2の表面上に配置された第2の表面領域と
を備え、
前記第1の表面領域は、第1のドーパント濃度を有し、前記第2の表面領域は、前記第1のドーパント濃度よりも大きい第2のドーパント濃度を有する、
非対称過渡電圧抑制(TVS)デバイス。
【請求項2】
前記内側領域は、N型極性を含む、請求項1に記載の非対称TVSデバイス。
【請求項3】
前記内側領域および前記第1の表面領域は、第1の耐圧を含む第1のTVSダイオードを有し、前記内側領域および前記第2の表面領域は、前記第1のTVSダイオードとは逆の極性であり、かつ、前記第1の耐圧とは異なる第2の耐圧を含む第2のTVSダイオードを有する、請求項1または2に記載の非対称TVSデバイス。
【請求項4】
前記第1の耐圧は、15Vから20Vの範囲内であり、前記第2の耐圧は、30Vから35Vの範囲内である、請求項3に記載の非対称TVSデバイス。
【請求項5】
前記第1のドーパント濃度は、8E19/cm3の範囲を含み、前記第2のドーパント濃度は、2E19/cm3を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の非対称TVSデバイス。
【請求項6】
前記第1の表面領域は、第1の表面エリアを有し、前記第2の表面領域は、前記第1の表面エリアと同じである第2の表面エリアを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の非対称TVSデバイス。
【請求項7】
半導体基板を設ける段階であって、前記半導体基板は、第1の極性の第1のドーパントを含み、第1の表面と前記第1の表面に対向する第2の表面とを画定する、設ける段階と、
前記半導体基板の第1の酸化処理を実行する段階であって、第1の酸化物層が前記第1の表面上に生じ、第2の酸化物層が前記第2の表面上に生じる、実行する段階と、
前記半導体基板の前記第1の表面の少なくとも第1の領域から前記第1の酸化物層を除去する段階と、
第1のドーピング処理を実行する段階であって、前記第1のドーピング処理は、前記第1の極性とは逆の第2の極性の第2のドーパントの第1の濃度を含む、前記第1の表面上の第1の表面領域を生成する、実行する段階と、
前記半導体基板の第2の酸化処理を実行する段階であって、第3の酸化物層が前記第1の表面上の前記第1の領域の上方に生じる、実行する段階と、
前記第2の表面の少なくとも第2の領域から前記第2の酸化物層を除去する段階と、
第2のドーピング処理を実行する段階であって、前記第2のドーピング処理は、前記第1の濃度よりも大きい、第2の極性の第2のドーパントの第2の濃度を含む、前記第2の表面上の第2の表面領域を生成する、実行する段階と
を備える、非対称過渡電圧抑制(TVS)デバイスを形成する方法。
【請求項8】
前記半導体基板は、N型極性を含み、前記第1の表面領域および前記第2の表面領域は、P型極性を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記半導体基板は、前記第1のドーピング処理を実行する前記段階および前記第2のドーピング処理を実行する前記段階の後の、前記N型極性により特徴付けられるN型内側領域を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記N型内側領域および第1の表面領域は、第1の耐圧を含む第1のTVSダイオードを有し、前記N型内側領域および前記第2の表面領域は、前記第1のTVSダイオードとは逆の極性であり、かつ、前記第1の耐圧とは異なる第2の耐圧を含む第2のTVSダイオードを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の耐圧は、15Vから20Vの範囲内であり、前記第2の耐圧は、30Vから35Vの範囲内である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1のドーパント濃度は、8E19/cm3の範囲を含み、第2のドーパント濃度は、2E19/cm3の範囲を含む、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の表面領域は、第1の表面エリアを含み、前記第2の表面領域は、前記第1の表面エリアと同じである第2の表面エリアを含む、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のドーピング処理を実行する前記段階は、第1の層厚みを含む第1のドーパント層を堆積させる段階と、第1のドライブインアニーリングを実行する段階とを有し、
前記第2のドーピング処理を実行する前記段階は、第2の層厚みを含む第2のドーパント層を堆積させる段階と、第2のドライブインアニーリングを実行する段階とを有する、
請求項7から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の層厚みは、前記第2の層厚みとは異なる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のドライブインアニーリングは、前記第2のドライブインアニーリングとは異なる、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
第1の極性を含む内側領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第1の表面上に配置され、第2の極性を有する第1の表面領域と、
前記第2の極性を有し、前記第1の表面に対向する前記半導体基板の第2の表面上に配置された第2の表面領域と
を備え、
前記第1の表面領域および前記内側領域は、第1の極性と第1の耐圧とを含む第1のTVSダイオードを画定し、
前記第2の表面領域および前記内側領域は、第2の極性と前記第1の耐圧よりも大きい第2の耐圧とを含む第2のTVSダイオードを画定する、
非対称過渡電圧抑制(TVS)デバイス。
【請求項18】
メサ構造を備える、請求項17に記載の非対称TVSデバイス。
【請求項19】
プレーナ構造を備える、請求項17または18に記載の非対称TVSデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、サージ保護デバイスの分野に関し、より具体的には、過電圧保護デバイスおよびリセット可能ヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連技術の説明]
サージ保護デバイスは、過電圧障害条件に起因する損傷からコンポーネント、装置またはシステムを保護するために用いられる過電圧保護デバイスおよび過剰な電流の流れからコンポーネント、装置またはシステムを保護するために用いられるヒューズを含む。過電圧保護デバイスの分野では、過渡電圧サプレッサ(TVS)ダイオードなどのダイオードが、一方向TVSに用いられ得る。一方向TVSは、信号が一方向であるか、または常に基準電圧よりも上または下で通常は接地電圧である回路ノードを保護するのに最も良く適合する。
【0003】
自動車用回路の分野では、保護要件に異なる耐圧要件が含まれ得る。例えば、ジャンプ開始要件は、電圧が特定の電圧閾値よりも下に維持されることを必要とし得るが、逆の極性の保護は、電圧が異なる電圧閾値を超えないことを必要とし得る。
【0004】
これらの検討事項および他の検討事項に関して、本開示が提供される。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態は、保護デバイスの改善を対象とする。一実施形態において、非対称過渡電圧抑制(TVS)デバイスが提供される。非対称TVSデバイスは、第1の極性を含む内側領域を有する半導体基板と、半導体基板の第1の表面上に配置され、第1の極性とは逆の第2の極性を有する第1の表面領域とを備え得る。非対称TVSデバイスは、第2の極性を有し、第1の表面に対向する半導体基板の第2の表面上に配置された第2の表面領域も備え得る。第1の表面領域は、第1のドーパント濃度有し、第2の表面領域は、第1のドーパント濃度よりも大きい第2のドーパント濃度を有する。
【0006】
さらなる実施形態において、非対称過渡電圧抑制(TVS)デバイスを形成する方法が提供される。方法は、第1の極性の第1のドーパントを含む半導体基板を設ける段階と、第1の表面と第1の表面に対向する第2の表面とを画定する段階とを備え得る。方法は、半導体基板の第1の酸化処理を実行する段階であって、第1の酸化物層が第1の表面上に生じ、第2の酸化物層が第2の表面上に生じる、実行する段階も備え得る。方法は、半導体基板の第1の表面の少なくとも第1の領域から第1の酸化物層を除去する段階と、第1のドーピング処理を実行する段階であって、第1のドーピング処理は、第1の極性とは逆の第2の極性の第2のドーパントの第1の濃度を含む、第1の表面上の第1の表面領域を生成する、実行する段階とをさらに備え得る。方法は、半導体基板の第2の酸化処理を実行する段階であって、第3の酸化物層が第1の表面上の第1の領域の上方に生じる、実行する段階と、第2の表面の少なくとも第2の領域から第2の酸化物層を除去する段階とを追加的に備え得る。方法は、第2のドーピング処理を実行する段階であって、第2のドーピング処理は、第1の濃度よりも大きい、第2の極性の第2のドーパントの第2の濃度を含む、第2の表面上の第2の表面領域を生成する、実行する段階を追加的に備え得る。
【0007】
追加の実施形態において、非対称過渡電圧抑制(TVS)デバイスは、第1の極性を含む内側領域を有する半導体基板を備え得る。半導体基板は、半導体基板の第1の表面上に配置され、第2の極性を有する第1の表面領域と、第2の極性を有し、第1の表面に対向する半導体基板の第2の表面上に配置された第2の表面領域とを備え得る。そのため、第1の表面領域および内側領域は、第1の極性と第1の耐圧とを含む第1のTVSダイオードを画定し、第2の表面領域および内側領域は、第2の極性と、第1の耐圧よりも大きい第2の耐圧とを含む第2のTVSダイオードを画定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の様々な実施形態による保護デバイスの側断面図を表す。
【0009】
【
図2A】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2B】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2C】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2D】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2E】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2F】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2G】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2H】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【
図2I】本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
【0010】
【0011】
【0012】
【
図5】メサTVSの実施形態の全体的な構造を示す。
【0013】
【
図6】プレーナTVSの実施形態の全体的な構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、例示的な実施形態が示される添付図面を参照して、本実施形態を以下でより十分に説明する。これらの実施形態は、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全なものになり、当該実施形態の範囲が当業者に十分に伝達されるように提供されている。図面では全体を通じて、同じ参照符号は、同じ要素を指している。
【0015】
以下の説明および/または特許請求の範囲において、「上(on)」という用語、「上にある(overlying)」という用語、「上に配置され(disposed on)」という用語および「上方(over)」という用語は、以下の説明および特許請求の範囲において用いられ得る。「上(on)」、「上にある(overlying)」、「上に配置され(disposed on)」および「上方(over)」は、2つまたはそれよりも多くの要素が互いに直接物理的に接触していることを示すために用いられ得る。また、「上(on)」という用語、「上にある(overlying)」という用語、「上に配置され(disposed on)」という用語および「上方(over)」という用語は、2つまたはそれよりも多くの要素が互いに直接接触していないことを意味し得る。例えば、「上方(over)」は、1つの要素が別の要素の上にあるが互いに接触していないことを意味してよく、これら2つの要素の間に別の1または複数の要素を有してもよい。さらに、「および/または」という用語は、「および」を意味してもよく、「または」を意味してもよく、「排他的なまたは」を意味してもよく、「一方」を意味してもよく、「全てではないがいくつか」を意味してもよく、「いずれか」を意味してもよく、および/または「両方」を意味してもよいが、特許請求される主題の範囲は、この点において限定されない。
【0016】
様々な実施形態において、電気コンポーネント、システム、または通信線などの電気線を保護するための保護デバイスおよびアセンブリが提示される。様々な実施形態は、両面過渡電圧抑制(TVS)ダイオードとして配置された保護デバイスを含み得る。
【0017】
図5および
図6を参照すると、本実施形態によれば、両面過渡電圧抑制(TVS)ダイオードデバイスが、メサデバイス500またはプレーナデバイス600として配置され得る。一般的に、いずれのデバイスにおいても、シリコンなどの単結晶基板が用いられ得る。
図5に示されるように、メサデバイス500の内側領域502は、N型領域としてドーピングされてよく、一方で、第1の側面上の表面領域504は、P型領域であってよく、第2の側面上の表面領域506も、P型領域であってよい。
図6に示されるように、プレーナデバイス600の内側領域602は、N型領域などの第1のドーパントでドーピングされてよく、一方で、第1の側面上の表面領域604は、第2のドーパントでドーピングされることによりP型領域を形成してよく、例えば、第2の側面上の表面領域606も、P型領域であってよい。当技術分野において公知のように、メサデバイス500内の絶縁構造508は、プレーナデバイス600内の絶縁構造608とは異なるように形成され得る。後述のように、両面メサTVSデバイスまたはプレーナTVSデバイスのいずれにおいても、耐圧は、例えば、表面領域内のドーパント濃度を調節することにより、異なる側面上では異なるように設計され得る。
【0018】
図1は、本開示の様々な実施形態による保護デバイス100の側断面図を表す。保護デバイス100は、単結晶シリコンまたは同様の適切な半導体材料などの基板102内に形成され得る。保護デバイス100は、第1のTVSダイオード140および第2のTVSダイオード142を含み得る。第1のTVSダイオード140および第2のTVSダイオード142は、共通のダイ、すなわち、基板102へ統合される。本開示の様々な実施形態によれば、第1のTVSダイオード140は、第1の耐圧により特徴付けられてよく、一方で、第2のTVSダイオードは、第1の耐圧とは異なる第2の耐圧により特徴付けられる。そのため、保護デバイス100は、逆の極性の電圧サージ用の2つの異なる耐圧により特徴付けられる非対称TVSデバイスを形成し得る。
【0019】
本開示の様々な実施形態によれば、保護デバイス100は、内側領域104を含む。内側領域104は、N型極性などの第1の極性を有する。保護デバイス100は、基板102の第1の表面108上に配置された第1の表面領域106をさらに含み得る。第1の表面領域106は、P型極性などの第2の極性を有する。保護デバイス100は、第2の表面領域110も含み得る。第2の表面領域110は、第2の極性を有すると共に、第1の表面108に対向する基板102の第2の表面112上に配置される。特に、
図1に示されるように、内側領域104および第1の表面領域106は、第1の耐圧を有する第1のTVSダイオード140を備え、一方で、内側領域104および第2の表面領域110は、第1のTVSダイオード140とは逆の極性の、第1の耐圧とは異なる第2の耐圧を有する第2のTVSダイオード142を備える。
【0020】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、第1の耐圧は、15Vから20Vの範囲内であってよく、第2の耐圧は、30Vから35Vの範囲内である。特定の実施形態において、第1の耐圧は、およそ18Vであってよく、第2の耐圧は、およそ33Vであってよい。
【0021】
もちろん、用途に応じて、他の電圧範囲が用いられてよい。第1のTVSダイオード140および第2のTVSダイオード142用の異なる耐圧を生成すべく、第1の表面領域106は、第1のドーパント濃度を有してよく、一方で、第2の表面領域110は、第1のドーパント濃度よりも大きい第2のドーパント濃度を有してよい。様々な実施形態において、第1のドーパント濃度は、およそ15Vから20Vの耐圧を生成するための適切な濃度範囲内であってよい。当該濃度範囲は、基板の内側領域のドーピングレベルに依存する。同様に、第2のドーパント濃度は、およそ30Vから35Vの耐圧を生成するための適切な濃度範囲内であってよい。当該濃度範囲は、基板の内側領域のドーピングレベルに依存する。非限定的な一例において、一方のP型層の濃度は、2E19/cm3の最大ドーパント濃度を示してよく、また、比較的高い耐圧を生成する比較的深い接合深さを示してよく、一方で、他方のP型層は、8E19/cm3という最大ドーパント濃度を示してよく、また、比較的低い耐圧を生成する比較的浅い接合深さを示してよい。
【0022】
一般的に、当業者には理解されるように、第1のドーパント濃度および第2のドーパント濃度は、内側領域104のドーパント濃度も考慮に入れたうえで、第1のTVSダイオードおよび第2のTVSダイオードの目標耐圧を生成するように調整され得る。
【0023】
基板102などの所与の基板において、所与のダイオードは、プレーナダイオードとして画定され得る。プレーナダイオードのエリアは、第1の表面108上に配置された絶縁トレンチ120および第2の表面112上に配置された絶縁トレンチ122などの電気的絶縁コンポーネントにより画定され得る。本開示の様々な実施形態によれば、第1の表面領域106は、第1の表面エリアを有し得る。第2の表面領域110は、第1の表面エリアと同じである第2の表面エリアを有する。
【0024】
図2Aから
図2Iは、本開示の実施形態による保護デバイスの合成の例示的な段階を示す。
図2Aでは、単結晶シリコン基板などの基板102が提供される。しかしながら、実施形態は、この文脈に限定されない。基板102は、N型ドーパントなどの目標ドーパント極性と、目標ドーパント濃度レベルとに従ってドーピングされ得る。
図2Bでは、酸化処理が実行されて酸化物層150が形成された後の基板102が示される。様々な実施形態において、酸化物層150は、第1の表面108および第2の表面112上に形成され得る。
【0025】
図2Cでは、酸化物層150が第1の表面108から除去された後続の段階が示される。異なる実施形態において、酸化物層150は、第1の表面108の全体または第1の表面108の一部だけから除去され得る。
図2Dでは、ドーパント層152が第1の表面108上に形成される後続の段階が示される。ドーパント層152は一般的に、基板102の極性とは逆の極性を有し得る。
【0026】
図2Eでは、第1の表面領域154が形成された後続の例が示される。第1の表面領域154は、P型極性など、基板102の極性とは逆の極性のドーパントで形成され得る。第1の表面領域154は、ドライブインアニーリングを実行してドーパント層152のドーパントを基板102へドライブすることにより形成され得る。そのため、第1の表面領域154の層厚み(
図1のD1を参照のこと)は部分的に、ドーパント層152の層厚み、およびドライブインアニーリングのアニーリングプロトコル(アニーリング温度、アニーリング時間)により決定され得る。加えて、第1の表面領域154のドーパント濃度は、ドーパント層152の層厚みまたはドーパント層152内のドーパントの総量、およびドライブインアニーリングのアニーリングプロトコルにより決定され得る。
【0027】
図2Dおよび
図2Eにおけるオペレーションが第2の表面112上でのドーパント層の形成を明示的に示していないが、いくつかの実施形態において、ドーパント層152の形成には、少なくとも一部のドーパントが下面側上に堆積し得る処理が用いられ得る。しかしながら、下面側は、酸化物層150により保護され、ドーパントが第2の表面112から基板102へドライブインされることが防止される。
【0028】
図2Fでは、第2の酸化物層156が基板102上に形成されている。示されるように、第2の酸化物層156は、第1の表面領域154を覆い得る。
図2Gでは、酸化物層150および第2の酸化物層156などの酸化物が第2の表面112から除去される後続のオペレーションが示される。
【0029】
図2Hでは、第2のドーパント層158が第2の表面112上に堆積された後続の例が示される。
【0030】
図2Iでは、第2の表面領域160が形成された後続の例が示される。第2の表面領域160は、P型極性など、基板102の極性とは逆の極性のドーパントで形成され得る。第2の表面領域160は、ドライブインアニーリングを実行してドーパント層158のドーパントを基板102へドライブすることにより形成され得る。そのため、第2の表面領域160の層厚み(
図1のD2を参照のこと)は部分的に、ドーパント層158の厚み、およびドライブインアニーリングのアニーリングプロトコル(アニーリング温度、アニーリング時間)により決定され得る。加えて、第2の表面領域160のドーパント濃度は、ドーパント層158の厚みまたはドーパント層158内のドーパントの総量、およびドライブインアニーリングのアニーリングプロトコルにより決定され得る。
図2Iの例において、第2の酸化物層156も第1の表面108から除去され、非対称耐圧を有するデバイス180が形成されている。(比較的高電圧の層または比較的低電圧の層のいずれかに)P型極性の表面領域を形成するための適切なアニーリング手順の非限定的な一例は、ガス雰囲気における1150℃で4時間のアニーリングを伴う。窒素の流れは、O
2が70標準立方センチメートル毎度分(sccm)ある28SLPM(標準リットル毎分)であってよい。BBr
3材料が、ドーピングソースとして用いられてよく、380sccmで流れる。特に、より高電圧の層が最初に生成される必要があり得る。加えて、上述の基本的なアニーリング手順は、異なるドーパント濃度を生成するよう、わずかに変更され得る。例えば、N
2、O
2ソースガスの体積が、異なるドーパント濃度、したがって異なる耐圧を生成するために異なるものになるよう、調節され得る。
【0031】
特定の実施形態において、自動車用途に適切な耐圧を有する非対称TVSダイオードデバイスが配置され得る。一例として、シリコンダイの第1の表面上に形成される、32.8Vの範囲内の耐圧を有する第1のダイオードが配置されてよく、一方で、シリコンダイの第2の表面上に配置される、18Vの耐圧を有する第2のダイオードが配置される。
図3は、前述の実施形態に従って配置され、対向するダイオードが32.8Vおよび18Vの公称耐圧を有する半導体ダイの耐圧挙動を示す。示されるように、複数のダイの測定値は、両方のダイオードの均一な耐圧値を示す。さらに、このダイのセットの製品仕様をサージ能力が満たしていることも分かる。
【0032】
この例では、一方のP型層は、およそ8E19/cm3のピークドーパント濃度を有し、30mm未満の厚みに延在するが、他方のP型層は、およそ2E19/cm3のピークドーパント濃度を有し、より大きい厚み(深さ)に延在する。
【0033】
図4は、本開示の実施形態による処理フロー400を示す。ブロック410において、シリコン基板などの半導体基板が設けられる。半導体基板は、ブレークダウンダイオードを形成するのに適切なドーピング濃度でドーピングされ得る。一例として、半導体基板は、N型極性を有するようにドーピングされ得る。一例において、ドーピングレベルは、2つの極性ドーピング範囲の両方が1.0ohm/sqから1.5ohm/sqのシート抵抗をもたらすようなものであってよい。
【0034】
ブロック420において、第1の酸化処理が実行され、半導体基板上に酸化物層が形成される。第1の酸化処理は、任意の適切な方法により実行されてよく、いくつかの例において、半導体基板の第1の表面および第2の表面上に酸化物層を形成してよい。
【0035】
ブロック430において、存在する場合、第1の酸化物層が、半導体基板の第1の表面から除去される。第1の酸化物層により第1の表面の全体が最初にコーティングされるいくつかの例において、第1の酸化物層は、第1の表面の全部または少なくとも一部から除去される。
【0036】
ブロック440において、第1のドーピング処理が実行され、第1の表面上に第1の表面領域が生成される。そのため、基板の第1の極性とは逆の第2の極性を有する第1の表面領域が形成される。いくつかの実施形態において、P型表面領域の適切なドーパント濃度は、2E20/cm3の範囲内であるか、またはそれよりも幾分少ない。
【0037】
ブロック450において、第2の酸化処理が実行され、半導体基板の第1の表面上に第3の酸化物層が形成される。第2の酸化処理は、任意の適切な方法により実行されてよく、いくつかの例において、半導体基板の第2の表面上に既に存在している第2の酸化物層上に酸化物層を形成してよい。
【0038】
ブロック460において、第2の酸化物層が半導体基板の第2の表面から除去される。第3の酸化物層が第2の酸化物層上に存在する限りにおいて、第3の酸化物層も第2の表面から除去される。
【0039】
ブロック470において、第2のドーピング処理が実行され、第2の極性を有する第2の表面領域が第2の表面上に生成される。様々な実施形態によれば、第2のドーピング処理は、第1の表面領域の第2の極性のドーパント種の濃度が第2の表面領域とは異なるという点で、第1のドーピング処理とは異なる。第1の表面領域の深さも、いくつかの実施形態による第2の表面領域の深さとは異なり得る。そのため、第1の表面領域および第2の表面領域は、半導体基板と連携して、異なる耐圧により特徴付けられる2つの異なるTVSダイオードを生成し得る。
【0040】
特定の実施形態を参照して本実施形態を開示したが、添付の特許請求の範囲において定義される本開示の領域および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に対する多数の修正、改変および変更および変更が可能である。したがって、説明した実施形態に本実施形態が限定されないことが意図されており、本実施形態は、以下の特許請求の範囲の文言およびその均等物により定義される全範囲を有する。
【外国語明細書】