IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 神奈川機器工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ろ過装置 図1
  • 特開-ろ過装置 図2
  • 特開-ろ過装置 図3
  • 特開-ろ過装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132669
(43)【公開日】2022-09-09
(54)【発明の名称】ろ過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/66 20060101AFI20220902BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20220902BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20220902BHJP
   B01D 24/48 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
B01D29/38 530A
B01D29/10 510D
B01D29/10 510E
B01D29/10 510G
B01D29/10 520B
B01D29/10 530A
B01D29/26 B
B01D29/24 F
B01D29/36 D
B01D29/38 510C
B01D29/38 520A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022087457
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000192899
【氏名又は名称】神奈川機器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】豊田 政義
(72)【発明者】
【氏名】小野関 俊介
(57)【要約】
【課題】深層ろ過タイプのフィルタエレメントで液体中の固形異物を捕捉するろ過装置であって、フィルタエレメントが固形異物の捕捉限度に到達するまでの時間を伸ばすことができ、フィルタエレメントの交換頻度を低減させることができるろ過装置を提供する。
【解決手段】深層ろ過タイプのフィルタエレメント10が搭載され、フィルタエレメント10に対して第1方向に液体を流して通過させてろ過を行うろ過装置W1であって、フィルタエレメント10に対して第1方向と反対の第2方向に液体を流して通過させてフィルタエレメント10の逆洗を行う逆洗機構(逆洗アーム20、回転軸8、モータ9)を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深層ろ過タイプのフィルタエレメントが搭載され、該フィルタエレメントに対して第1方向に液体を流して通過させてろ過を行うろ過装置であって、
前記フィルタエレメントに対して第1方向と反対の第2方向に液体を流して通過させて該フィルタエレメントの逆洗を行う逆洗機構を備えていることを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
前記逆洗機構は、所定のタイミングで、前記フィルタエレメントに接続する逆洗アームを有し、
前記逆洗アームが、前記フィルタエレメントに接続されると、前記フィルタエレメントに対して前記第2方向に液体が流れるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
深層ろ過タイプのフィルタエレメントが搭載されたろ過装置であって、
複数の前記フィルタエレメントを収容した中空筒状のハウジングと、
前記ハウジング内部を上側エリアと下側エリアの2つのエリアに仕切る棚板と、
前記ハウジングの下方側に形成され且つろ過対象液体を前記下側エリアに流入させる装置入口と、
前記ハウジングの上方側に形成され且つ前記上側エリアからろ過された清澄な液体を排出させる装置出口と、
前記ハウジングの中心部に配置され且つ回転自在に形成された回転軸と、
前記下側エリアに配置され且つ前記回転軸に接続されて該回転軸の回転に伴い動作する逆洗アームとを有し、
前記棚板には複数の貫通孔が形成され、
前記フィルタエレメントは、下端が開口している中空円筒状に形成されており、その内周側面部が、前記棚板の貫通孔の内周側面部と面一になるように位置決めされ、その下端部が該棚板の上面に固定され、
前記逆洗アームは、その一端部が前記棚板の下端面に当接しながら移動し、所定のタイミングで、前記複数の貫通孔のいずれかに接続され、該接続した貫通孔の位置に固定されている前記フィルタエレメントの筒内と連通するようになっており、
前記逆洗アームと連通していない前記フィルタエレメントには、前記装置入口から流入したろ過対象液体が前記貫通孔を介して前記フィルタエレメントの筒内に流入し、該ろ過対象液体が該フィルタエレメントの内周側面から外周側面に向かう方向で筒内から筒外を通過してろ過され、このろ過された清澄な液体が前記装置出口から排出され、
前記逆洗アームと連通しているフィルタエレメントには、前記フィルタエレメントの外側であって且つ前記上側エリアを流れる清澄な液体が前記フィルタエレメントの外周側面から内周側面に向かう方向で筒外から筒内を通過して該フィルタエレメントの筒内に流入して該フィルタエレメントの逆洗をして前記貫通孔を介して前記逆洗アームに流れていくようになっていることを特徴とするろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ過装置に関し、例えば、深層ろ過タイプのフィルタエレメントで液体中の固形異物を捕捉するろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体中に含まれる固形異物を除去する手段として、ろ過装置によるろ過が多用されている。ろ過装置によるろ過では、デッドエンドろ過と呼ばれる形態のものが多く採用されている。このデッドエンドろ過では、ろ過装置のエレメント(フィルタエレメント)に、固形異物の除去が必要な液体を通過させて(液体の全量を通過させて)、エレメントで固形異物を捕捉している。
また、このような形態のろ過装置の中には、エレメントが捕捉した固形異物を洗い流す機構(所謂、「逆洗機構」)を備えた逆洗型ろ過装置も知られている。
【0003】
上述したデッドエンドろ過と呼ばれる形態のろ過装置は、工場内で使用される工業用水のろ過、工作機械等で使用される冷却水や潤滑油のろ過、自動車や船舶、発電所等で使用されるエンジンの燃料油や潤滑油のろ過等に使用されている。
また、これらのろ過装置に使用されているエレメントは、大きく分けて、「表面ろ過タイプ」及び「深層ろ過タイプ」の2タイプのものがあり、ろ過精度や固形異物の処理量、処理速度等を勘案して適宜使い分けられている。
【0004】
上述したデッドエンドろ過と呼ばれる形態のろ過装置は、継続してろ過処理を行うと、ろ過装置のエレメントで捕捉した固形異物が時間の経過とともにエレメントに堆積していき、やがて、図3(a)、(b)に示すように、目詰まりにより閉塞してしまい、ろ過対象の液体がエレメントを通過(透過)することができなくなる。
なお、図3では、(a)に「表面ろ過タイプ」のエレメント300が捕捉した固形異物500が堆積して目詰まりした状態を示しており、(b)に「深層ろ過タイプ」のエレメント310が捕捉した固形異物500が堆積して目詰まりした状態を示している。
【0005】
上記のような目詰まりした状態になるのを防ぐために、「深層ろ過タイプ」のエレメント310の場合、定期的に新品のエレメント310と交換する運用がなされている。
一方、「表面ろ過タイプ」のエレメント300の場合は、一般的に、ろ過装置に逆洗機能を提供する逆洗機構を設け、エレメント300が捕捉した固形異物500を洗い流すことでろ過を継続できるようにしている。
【0006】
なお、逆洗機構を設けたろ過装置は、例えば、図4に示すように、ハウジング(図示せず)内部を上下のエリアに仕切る棚板7の上面に、複数のエレメント300が設置されているとともに、棚板7の下方側のエリアに、複数のエレメント300に順番に接続される逆洗アーム(逆洗パイプ)20が設けられている。
このろ過装置では、逆洗アーム20が接続されていないエレメント300が「ろ過前の汚染液体」のろ過を行う。また、このろ過装置では、逆洗アーム30が接続されているエレメント300に、ろ過された流体(ろ過後の清澄液体)がろ過方向と逆方向に流れてエレメント300の洗浄(逆洗処理)が行われるようになっている。
なお、逆洗機構が設けられたろ過装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許5967816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した「表面ろ過タイプのエレメント」は、逆洗を行うことにより、固形異物の堆積によるろ過停止を防止することができるものの、「深層ろ過タイプのエレメント」と比べて、ろ過精度を細かくできないという課題を有している。現実問題として、「表面ろ過タイプのエレメント」は、およそ「10μm」よりも細かいろ過精度のエレメントを作製することは、エレメントろ材の製作工程や強度、開孔率といった点で困難である。すなわち、「表面ろ過タイプのエレメント」は、およそ「10μm」よりも細かい固形異物を捕捉することに不向きな構造になっている。
【0009】
「表面ろ過タイプのエレメント」には、上記の課題があるため、細かいろ過精度が要求される場合には、「深層ろ過タイプのエレメント」を搭載したろ過装置が用いられることが一般的である。
しかし、「深層ろ過タイプのエレメント」は、エレメントを構成するろ材の内部に、固形異物が入り込むため、逆洗を行っても内部に入り込んだ固形異物を除去することが困難であり、逆洗には不向きと考えられている。そのため、現状において、「深層ろ過タイプのエレメント」は、逆洗機能が設けられていないろ過装置に搭載されて用いられている。その結果、「深層ろ過タイプのエレメント」は、エレメントの交換頻度が多くなるとともに、ろ過装置の運用効率も低くなっている。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、深層ろ過タイプのフィルタエレメントで液体中の固形異物を捕捉するろ過装置であって、フィルタエレメントが固形異物の捕捉限度に到達するまでの時間を伸ばすことができ、フィルタエレメントの交換頻度を低減させることができるろ過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明は、深層ろ過タイプのフィルタエレメントが搭載され、該フィルタエレメントに対して第1方向に液体を流して通過させてろ過を行うろ過装置であって、前記フィルタエレメントに対して第1方向と反対の第2方向に液体を流して通過させて該フィルタエレメントの逆洗を行う逆洗機構を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明のろ過装置は、深層ろ過タイプのフィルタエレメントに対して、ろ過を行う第1方向と反対方向の第2方向に液体を流す逆洗機構を備えている。この構成によれば、深層ろ過タイプのフィルタエレメントに対して、フィルタエレメントがろ過により捕捉した固形異物を除去することができるので、細かい固形異物を捕捉可能なろ過精度を持ちつつ、大幅に、フィルタエレメントの交換頻度を減少させることがきる。
【0013】
このように、深層ろ過タイプのフィルタエレメントに対して、現状において行われていない逆洗をする逆洗機構を設けたのは、本願発明者が、深層ろ過タイプのフィルタエレメントを搭載しているろ過装置の研究を進めるなかで、以下の知見を見出したことによる。
深層ろ過タイプのフィルタエレメントは、フィルタエレメントを構成する「ろ材」の表面だけではなく、「ろ材」の内部でも固形異物を捕捉する。しかし、フィルタエレメントのろ過精度よりも数倍以上大きな固形異物は、その大半が「ろ材」の表面で捕捉されている。
また、本願発明者は、深層ろ過タイプのフィルタエレメントの研究を進めるなかで、「ろ材」の内部まで入り込んで捕捉されるような細かい固形異物は、「ろ材」の表面から徐々に「ろ材」の内部に入り込んでいくことが判った。そのため、本願発明者は、深層ろ過タイプのフィルタエレメントのろ材の表面で捕捉した固形異物を、ろ材の内部に入り込む前に逆洗できれば、ろ材の固形異物の堆積を軽減できると考え、本願に係る発明の構成のろ過装置の試作品を作製した。また、試作品のろ過装置で、ろ過処理試験をしてみたところ、逆洗により、深層ろ過タイプのフィルタエレメントの「固形異物の捕捉限界に到達するまでの時間」を伸ばすことができることが確認された。すなわち、本発明の構成によれば、逆洗により、深層ろ過タイプのフィルタエレメントの固形異物の堆積を軽減でき、フィルタエレメントの交換頻度を減少させることできる。
なお、細かい固形異物の中には、逆洗を行う前に「ろ材」の内部まで入り込んでしまうものもあるが、それは捕捉された固形異物の一部であり、本発明の構成によれば、逆洗により、内部に入り込む前の固形異物を除去でき、且つろ過精度よりも数倍以上大きな固形異物を除去できるため、深層ろ過タイプのフィルタエレメントの「固形異物の捕捉限界に到達するまでの時間」を伸ばすことができる。
【0014】
また、前記逆洗機構は、所定のタイミングで、前記フィルタエレメントに接続する逆洗アームにより構成されており、前記逆洗アームが、前記フィルタエレメントに接続されると、前記フィルタエレメントに対して前記第2方向に液体が流れるようになっていることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、「表面ろ過タイプのエレメント」に用いられる、逆洗アームを備えたろ過装置の構成を転用することができるので、コストを抑えたろ過装置を開発することができる。
【0016】
また、本発明は、深層ろ過タイプのフィルタエレメントが搭載されたろ過装置であって、複数の前記フィルタエレメントを収容した中空筒状のハウジングと、前記ハウジング内部を上側エリアと下側エリアの2つのエリアに仕切る棚板と、前記ハウジングの下方側に形成され且つろ過対象液体を前記下側エリアに流入させる装置入口と、前記ハウジングの上方側に形成され且つ前記上側エリアからろ過された清澄な液体を排出させる装置出口と、前記ハウジングの中心部に配置され且つ回転自在に形成された回転軸と、前記下側エリアに配置され且つ前記回転軸に接続されて該回転軸の回転に伴い動作する逆洗アームとを有し、前記棚板には複数の貫通孔が形成され、前記フィルタエレメントは、下端が開口している中空円筒状に形成されており、その内周側面部が、前記棚板の貫通孔の内周側面部と面一になるように位置決めされ、その下端部が該棚板の上面に固定され、前記逆洗アームは、その一端部が前記棚板の下端面に当接しながら移動し、所定のタイミングで、前記複数の貫通孔のいずれかに接続され、該接続した貫通孔の位置に固定されている前記フィルタエレメントの筒内と連通するようになっており、前記逆洗アームと連通していない前記フィルタエレメントには、前記装置入口から流入したろ過対象液体が前記貫通孔を介して前記フィルタエレメントの筒内に流入し、該ろ過対象液体が該フィルタエレメントの内周側面から外周側面に向かう方向で筒内から筒外を通過してろ過され、このろ過された清澄な液体が前記装置出口から排出され、前記逆洗アームと連通しているフィルタエレメントには、前記フィルタエレメントの外側であって且つ前記上側エリアを流れる清澄な液体が前記フィルタエレメントの外周側面から内周側面に向かう方向で筒外から筒内を通過して該フィルタエレメントの筒内に流入して該フィルタエレメントの逆洗をして前記貫通孔を介して前記逆洗アームに流れていくようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明によれば、深層ろ過タイプのフィルタエレメントで液体中の固形異物を捕捉するろ過装置であって、フィルタエレメントが固形異物の捕捉限度に到達するまでの時間を伸ばすことができ、フィルタエレメントの交換頻度を低減させることができるろ過装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の逆洗機構を備えたろ過装置の構成を示した模式図である。
図2】本発明の第2実施形態の逆洗機構を備えたろ過装置の構成を示した模式図である。
図3】ろ過装置のフィルタエレメントに固形異物が堆積して目詰まりしている状態を示した模式図であり、(a)が表面ろ過タイプのフィルタエレメントが捕捉した固形異物の堆積により目詰まりしている状態を示した模式図であり、(b)が深層ろ過タイプのフィルタエレメントが捕捉した固形異物の堆積により目詰まりしている状態を示した模式図である。
図4】従来技術の逆洗アームを備えた逆洗型ろ過装置の構成を示した模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態(第1、2実施形態)のろ過装置を図面に基づいて説明する。
【0020】
《第1実施形態》
先ず、本発明の第1実施形態の過装置の構成について、図1を参照しながら説明する。
ここで、図1は、本第1実施形態の逆洗機構を備えたろ過装置の構成を示した模式図である。
【0021】
《第1実施形態の構成》
図示するように、第1実施形態のろ過装置(逆洗型ろ過装置)W1は、「深層ろ過タイプのフィルタエレメント10」が搭載されており、「深層ろ過タイプのフィルタエレメント10」に対して第1方向に液体を流し通過させてろ過を行う。また、ろ過装置W1は、所定のタイミングで、ろ過しているフィルタエレメント10への流体の流れを切り替えて、フィルタエレメント10に対して第1方向と反対の第2方向に液体を流し通過させてフィルタエレメント10の逆洗を行う逆洗機能を備えている。
【0022】
具体的には、ろ過装置W1は、複数の「深層ろ過タイプのフィルタエレメント10」を収容した中空円筒状のハウジング1を備え、このハウジング1の外部から流入する「ろ過前の液体(汚染液体)」のろ過を行いながら、順番に、ろ過された液体(清澄液体)を用いてフィルタエレメント10の洗浄(逆洗処理)を行うようになっている。
【0023】
上記のハウジング1は、上端が開放され且つ底部1a1を有する中空円筒状の本体部1aと、本体部1aの上端を塞ぐドーム状の蓋体部1bとを備えている。また、ハウジング1は、内部に棚板7が設置され、この棚板7により、ハウジング1内部が入口側エリア(下側エリア)A1と、出口側エリア(上側エリア)A2とに仕切られている。また、本体部1aは、その下端側の側面部に、下側エリアA1に液体を流入させるための装置入口4が形成されている。また、本体部1aは、その上端側の側面部に、上側エリアA2からろ過した液体を排出させるための装置出口5が形成されている。
【0024】
また、フィルタエレメント10は、深層ろ過タイプのエレメントでありおよそ「10μm」よりも細かい固形異物を捕捉することができるようになっている。
具体的には、フィルタエレメント10は、上端が閉塞し且つ下端が開口している中空円筒状に形成されており、その側面部が、不織布、焼結金属(シンタードメタル)、セラミックス等のろ材11により形成されている。
【0025】
そして、フィルタエレメント10に対して、ろ材11の内周側面から外周側面に向かう方向(第1方向)に液体(流体)を通過させると、ろ材11に「液体に含まれる固形異物」を捕捉させるろ過処理が行われるようになっている。
また、フィルタエレメント10に対して、ろ過処理のときと反対方向に液体を通過させると、具体的には、フィルタエレメント10のろ材11に対して、その外周側面から内周側面に向かう方向(第2方向)に液体(流体)が通過させると、ろ材11に捕捉されている固形異物がろ材11から洗い流される逆洗処理が行われるようになっている。
【0026】
なお、フィルタエレメント10は、例えば、ステンレス等の金属製の枠体(上端が閉塞し且つ下端が開口している中空円筒状枠体)に、ろ材11である不織布を巻き付けて固定することにより形成することができる。
また、フィルタエレメント10は、例えば、焼結金属(シンタードメタル)やセラミックスで形成された、両端が貫通している中空円筒状のろ材11の上端の開口を金属や合成樹脂製等の蓋体で閉塞することにより形成することができる。
【0027】
また、棚板7は、略円板状に形成され、その中心部に、回転軸8が回転自在に挿入される回転軸用の貫通孔7aが形成されている。また、棚板7には、貫通孔7aを中心にした同心円上に、複数のフィルタエレメント10用の貫通孔7b(7b1、7b2)が形成されている。図示する例では、半径の異なる2つの同心円(内側円、外側円)に、それぞれ、貫通孔7b(7b1、7b2)が形成されている。上記の貫通孔7b(7b1、7b2)は、平面視で円形に形成されている。
【0028】
そして、各貫通孔7b(7b1、7b2)には、フィルタエレメント10の下端部が気密に固定され、これにより、複数のフィルタエレメント10が棚板7に支持・固定されるようになっている。具体的には、フィルタエレメント10は、内周側面部が、棚板7の貫通孔7b(7b1、7b2)の内周側面部と面一になるように位置決めされ、その下端部が、棚板7の上面に固定されて設置される。
この構成により、ハウジング1の下側エリアA1がフィルタエレメント10の筒内と連通する。そして、ハウジング1の内部に流入した液体は、フィルタエレメント10の筒内を通過しないと、下側エリアA1(又は上側エリアA2)から上側エリアA2(又は下側エリアA1)に移動できないようになっている。
【0029】
また、ハウジング1の中心には、蓋体部1bの頂上部から棚板7に向けて延びる回転軸8が設けられている。この回転軸8は、その一端部(上端部)が、蓋体1の上端部に装着されたモータ9の回転軸(図示せず)に接続され、モータ9の駆動により回転するようになっている。また、回転軸8は、その他端部(下端部)側が棚板7の中心部の貫通孔7aを挿通し、下側エリアA1まで突出している。尚、モータ9は、図示しない制御回路により制御されて駆動するようになっている。
【0030】
また、ハウジング1の下側エリアA1まで延設された回転軸8の下端部には、逆洗アーム(逆洗パイプ)20が接続されている。この逆洗アーム20は、回転軸8の下端部に固定された基部20aと一体に形成され、その上端面が棚板7の下面を水密にシールしながら回転軸8と共に回動するようになっている。
【0031】
上記の逆洗アーム20は、基部20aと、基部20aに接続された垂直管20bと、垂直管20bの側面部に接続された2つのL字管20c、20dとを備えている。この垂直管20bは、上端部が基部20aにより密封され、下端部が洗浄液排出口管40に連通している排出管30に回動自在に接続されている。
また、L字管20cは、一端部が垂直管20bの側面部と接続して垂直管20bと連通しており、他端部に形成された上端面が棚板7の下面に当接している。尚、L字管20cは、上端面が、棚板7の上に形成されている複数の貫通孔7b1に沿って回動するように長さ寸法が設計されている。
また、L字管20dは、一端部が垂直管20bの側面部と接続して垂直管20bと連通しており、他端部に形成された上端面が棚板7の下面に当接している。尚、L字管20dは、上端面が、棚板7に形成された複数の貫通孔7b2に沿って回動するように長さ寸法が設計されている。
【0032】
そして、逆洗アーム20は、モータ9により回転する回転軸8の回転にしたがい動作し、L字管20c、20dの上端面が棚板7の下面に密接すると共に、フィルタエレメント10の下端部が設置されている貫通孔7b(7b1、7b2)と合致する位置に配置される。これにより、逆洗アーム20は、L字管20c、20dの上端面が、棚板7をシールしながら連続的(若しくは断続的)に回動して順次フィルタエレメント10に接続され、フィルタエレメント10の筒内と連通する。
また、逆洗アーム20が接続されたフィルタエレメント10は、後述するように逆洗処理がなされて、フィルタエレメント10のろ材11で捕捉した固形異物が洗い流される。
【0033】
また、第1実施形態のろ過装置W1は、各フィルタエレメント10に対して、ユーザの所望する時間毎(例えば30秒毎や1分毎)に逆洗アーム20が接続できるように構成されている。すなわち、ユーザは、ろ過装置W1に対して、ろ過対象となる液体に応じて、各フィルタエレメント10に、逆洗アーム20が接続する間隔を設定することができるようになっている。
このように構成することで、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10が捕捉した固形異物の多くがろ材11の内部まで入り込んでいく前に、逆洗処理を行い、ろ材11から固形異物を洗い流すことができる。その結果、第1実施形態のろ過装置W1によれば、フィルタエレメント10のろ材11の固形異物の堆積を軽減することができ、フィルタエレメント10の交換頻度を減少させることできる。
【0034】
次に、第1実施形態のろ過装置W1により行われるろ過処理及び逆洗処理について、図1を参照しながら説明する。
【0035】
《第1実施形態のろ過処理》
ろ過装置W1のハウジング1の内部に設置されているフィルタエレメント10は、その下端部に棚板7の貫通孔7b1、7b2を介して逆洗アーム20が接続されていないときに、ろ過処理を行うように構成されている。図1に示す例では、向かって右側から1番目のフィルタエレメント10と、向かって右側から3番目のフィルタエレメント10がろ過処理を行う。
【0036】
具体的には、ろ過処理を行うフィルタエレメント10は、棚板7の貫通孔7bを介して逆洗アーム20が接続されていない状態の場合、装置入口4から下側エリアA1に流入してくる「ろ過前の液体(汚染液体)」が、貫通孔7bを通って、フィルタエレメント10の下端部の開口からろ材11の筒内に流入してくる。
フィルタエレメント10のろ材11の筒内に流入してきた「ろ過前の液体(汚染液体)」は、ろ材11に対して、その内周側面から外周側面に向かう方向(第1方向)に流れて通過してフィルタエレメント10の外側に流出する。このときに、液体(汚染液体)に含まれるゴミ等の固形異物がろ材11に捕捉されていき、フィルタエレメント10のろ材11を通過した液体はゴミ等の固形異物が取り除かれた液体(清澄液体)となり、出口側エリアA2のなかを流れて装置出口5から排出されていく。
【0037】
なお、フィルタエレメント10によりろ過された流体(上側エリアA2の流体)は、その大部分が装置出口5から排出され、その一部が以下で説明する逆洗処理に利用される。
【0038】
《第1実施形態の逆洗処理》
ろ過装置W1のハウジング1の内部に設置されているフィルタエレメント10は、その下端部に棚板7の貫通孔7bを介して逆洗アーム20が接続されているときに、逆洗処理を行うように構成されている。図1に示す例では、向かって右側から2番目のフィルタエレメント10と、向かって右側から4番目のフィルタエレメント10が逆洗処理を行う。
【0039】
具体的には、フィルタエレメント10は、棚板7の貫通孔7bを介して逆洗アーム20が接続された状態になると、フィルタエレメント10の下端部が逆洗アーム20により塞がれ、フィルタエレメント10の下端部からの「ろ過前の液体(汚染液体)」の流入が止まる。
また、フィルタエレメント10の下端部からの「ろ過前の液体(汚染液体)」の流入が止まると、フィルタエレメント10の外側を流れている液体(上側エリアA2を流れているろ過された清澄流体)が、ろ材11に対して、その外周側面から内周側面に向かう方向(第1方向と反対の第2方向)に通過して、ろ材11の筒内に流入してくる。このときに、ろ材11の間に捕捉されていたゴミ等の固形異物が洗い流されて、フィルタエレメント10の筒内に、固形異物を含んだ液体(洗浄液(逆洗液))が流入してくる。
このように、第1実施形態のろ過装置W1では、フィルタエレメント10が棚板7の貫通孔7bを介して逆洗アーム20に接続された状態になると、フィルタエレメント10のろ材11を通過する液体の流れが、ろ過処理のときの流れと反対方向に切り替わり、逆洗処理が行われる。
【0040】
そして、フィルタエレメント10の筒内に流入してきた洗浄液(逆洗液)は、棚板7の貫通孔7bを介して逆洗アーム20に流入する。また、逆洗アーム20に流入した洗浄液(逆洗液)は、排出管30を経由して洗浄液排出口管40に入り、ろ過装置W1から排出されていく。
【0041】
このように、第1実施形態のろ過装置W1によれば、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10に対して、ろ過を行う第1方向と反対方向の第2方向に液体を流す逆洗機構(逆洗アーム20、回転軸8およびモータ9等により構成される逆洗機構)を備えている。
この構成によれば、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10に対して、フィルタエレメント10がろ過により捕捉した固形異物を除去することができるので、細かい固形異物を捕捉可能なろ過精度を持ちつつ、大幅に、フィルタエレメント10の交換頻度を減少させることがきる。
【0042】
また、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10を搭載するろ過装置W1に、現状において採用されていない逆洗機能を提供する逆洗機構を設けたのは、本願発明者が、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10を搭載しているろ過装置の研究を進めるなかで、以下の知見を見出したことによる。
深層ろ過タイプのフィルタエレメント10は、「ろ材11」の表面だけではなく、「ろ材11」の内部でも固形異物を捕捉する。しかし、フィルタエレメント10のろ過精度よりも数倍以上大きな固形異物は、その大半が「ろ材11」の表面で捕捉されている。
また、本願発明者は、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10の研究を進めるなかで、「ろ材11」の内部まで入り込んで捕捉されるような細かい固形異物は、「ろ材11」の表面から徐々に「ろ材」の内部に入り込んでいくいことが判った。そのため、本願発明者は、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10のろ材11の表面で捕捉した固形異物を、「ろ材11」の内部に入り込む前に逆洗できれば、ろ材11の固形異物の堆積を軽減できると考えて、本願に係る発明の構成のろ過装置W1の試作品を作製した。また、試作品のろ過装置W1で、ろ過処理試験をしてみたところ、逆洗機能により、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10の「固形異物の捕捉限界に到達するまでの時間」を伸ばすことができることが確認された。すなわち、第1実施形態の構成によれば、逆洗により、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10の固形異物の堆積を軽減でき、フィルタエレメント10の交換頻度を減少させることできる。
【0043】
なお、細かい固形異物の中には、逆洗を行う前に「ろ材11」の内部まで入り込んでしまうものもあるが、それは捕捉した固形異物の一部であり、第1実施形態の構成によれば、逆洗により、内部に入り込む前の固形異物を除去でき、且つろ過精度よりも数倍以上大きな固形異物を除去できるため、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10の「固形異物の捕捉限界に到達するまでの時間」を伸ばすことができる。
【0044】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態のろ過装置の構成について、図2を参照しながら説明する。
ここで、図2は、本第2実施形態の逆洗機構を備えたろ過装置の構成を示した模式図である。
なお、第2実施形態の説明において、上述した第1実施形態と同じ構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0045】
《第2実施形態の構成》
第2実施形態のろ過装置は、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10を搭載しているろ過装置本体90を備えているが、ろ過装置本体90自体には、「モータ9、回転軸8及び逆洗アーム20等で構成された逆洗機構」が設けられていない。
第2実施形態では、ろ過装置W2に接続されている配管110、120、130、140、150のバルブV1、V2、V3、V4、V5の開閉状態の設定を切り替えると共に、ポンプP1、P2の駆動を切り替えることで、ろ過装置本体90に対して、「ろ過対象液(汚染液体)」及び「洗浄用液」を切り替えて流入させることができるようになっている。また、ろ過装置本体90は、流入される「ろ過対象液(汚染液体)」が、フィルタエレメント10のろ材11に対して第1方向に流れるようになっており、フィルタエレメント10によるろ過処理が行われる。また、ろ過装置本体90は、流入される「洗浄用液体」が、フィルタエレメント10のろ材11に対して第2方向に流れるようになっており、フィルタエレメント10の逆洗処理が行われる。
【0046】
具体的には、図示するように、第2実施形態のろ過装置W2は、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10を搭載しているろ過装置本体90と、「ろ過対象液(汚染液体)」を貯留しているろ過対象液タンク101と、フィルタエレメント10を洗浄するための「洗浄用液」を貯留している洗浄用液タンク102とを備えている。
【0047】
また、第2実施形態のろ過装置W2には、ろ過装置本体90に「ろ過対象液(汚染液体)」を流入させるための第1配管110と、ろ過装置本体90に対して「ろ過された液体(清澄液体)」を排出させたり或いは「洗浄用液」を流入させたりするための第2配管120と、ろ過装置本体90から第2配管120を介して「ろ過された液体(清澄液体)」を取り出すための第3配管130と、ろ過装置本体90に第2配管120を介して「洗浄用液」を流入させるための第4配管140と、ろ過装置本体90から「洗浄液(逆洗液)」を排出するための第5配管150とが設けられている。
【0048】
上記のろ過装置本体90は、中空筒状ハウジング1’を備えており、ハウジング1’の内部が棚板(図示せず)により下側エリアと、上側エリアとに仕切られている。また、棚板には、フィルタエレメント10を設置するための貫通孔(図示せず)が設けられている。また、フィルタエレメント10は、内周側面部が、棚板の貫通孔の内周側面部と面一になるように位置決めされ、その下端部が、棚板7の上面に固定されて設置される。
このように、第2実施形態のろ過装置本体90においても、第1実施形態と同様、ハウジング1’の下側エリアがフィルタエレメント10の筒内と連通しており、ハウジング1’の内部に流入した液体は、フィルタエレメント10の筒内を通過しないと、下側エリア1(又は上側エリア)から上側エリア(又は下側エリア)に移動できないようになっている。
【0049】
ハウジング1’の下方には、「ろ過対象液」を流入させるための第1配管110が接続されており、ハウジング1’の内部の下側エリアに、ろ過対象液タンク101に貯留されている「ろ過対象液(汚染液体)」を流入できるようになっている。
具体的には、第1配管110は、一端部がろ過対象液タンク101に接続され、他端部がろ過装置本体90のハウジング1’の下方に接続されている。また、第1配管110には、ポンプP1が設置されているとともに、ポンプP1を挟んだ両側に、2つのバルブV1、V2が設置されている。
【0050】
また、ハウジング1’の下方には、「洗浄液(逆洗液)」を排出させるための第5配管150が接続されており、ハウジング1’の内部の下側エリアから「洗浄液(逆洗液)」を排出させることができるようになっている。この第5配管150には、バルブV3が設置されている。
【0051】
また、ハウジング1’の上方には、第2配管120が接続されており、ハウジング1’の内部の上側エリアから「ろ過された液体(清澄液体)」を排出させたり、ハウジング1’の内部の上側エリアに「洗浄用液」を流入させたりすることができるようになっている。
この第2配管120は、一端部がハウジング1’の上方に接続されているとともに、一方(図中では上方)に向けて延設され且つ途中で互いに離間する2方向に分岐したT字状に形成されている。また、第2配管120は、2方向に分岐したうちの一方にバルブV4が取り付けられ、そのバルブV4を介して第3配管130が接続されている。また、また、第2配管120は、2方向に分岐したうちの他方にバルブV5が取り付けられ、そのバルブV5を介して第4配管140が接続されている。
【0052】
また、第4配管140は、一端部がバルブV5に接続されており、他端部が洗浄用液タンク102に接続されている。また、第4配管140は、その中間部にポンプP2が設置されいるとともに、ポンプP2よりも他端部側(洗浄用液タンク102側)にバルブV6が設置されている。
【0053】
次に、第2実施形態のろ過装置W2により行われるろ過処理及び逆洗処理について、図2を参照しながら説明する。
【0054】
《第2実施形態のろ過処理》
第2実施形態のろ過装置W2がろ過処理を行う場合には、第1配管110に接続されたバルブV1、V2を「開状態」にして、第5配管150のバルブV3を「閉状態」にする。また、第2配管140の分岐した一方に接続されたバルブV4を「開状態」にして、分岐した他方に接続されたバルブV5を「閉状態」にする。また、第4配管140に設けられたバルブV6を「閉状態」にする。なお、ポンプP1、2は停止している。
【0055】
上記のように、各バルブV1、V2、V3、V4、V5の開閉状態を設定したうえで、ポンプP1を駆動させると、ろ過対象液タンク101に貯留されている「ろ過対象液(汚染液体)」が第1配管110を通って、ろ過装置本体90のハウジング1’の内部の下方エリアに流入してくる。また、「ろ過対象液体(汚染液体)」が、棚板の貫通孔を通って、フィルタエレメント10の下端部の開口からろ材11の筒内に流入してくる。
ろ材11の筒内に流入してきた「ろ過対象液体(汚染液体)」は、ろ材11に対して、その内周側面から外周側面に向かう方向(第1方向)に流れて通過してフィルタエレメント10の外側に流出する。このときに、液体(汚染液体)に含まれるゴミ等の固形異物がろ材11に捕捉されていき、フィルタエレメント10を通過した液体はゴミ等の固形異物が取り除かれた液体(清澄液体)となり、上方エリアのなかを流れて第2配管120及び第3配管130に排出されていく。
【0056】
《第2実施形態の逆洗処理》
第2実施形態のろ過装置W2が逆洗処理を行う場合には、第1配管110に接続されたバルブV1、V2を「閉状態」にして、第5配管150のバルブV3を「開状態」にする。また、第2配管140の分岐した一方に接続されたバルブV4を「閉状態」にして、分岐した他方に接続されたバルブV5を「開状態」にする。また、第4配管140に設けられたバルブV6を「開状態」にする。なお、ポンプP1、P2は停止している。
【0057】
上記のように、各バルブV1、V2、V3、V4、V5の開閉状態を設定したうえで、ポンプP2を駆動させると、洗浄用液タンク102に貯留されている「洗浄用液」が第4配管140及び第2配管120を通って、ろ過装置本体90のハウジング1’の内部の上方エリアに流入してくる。
【0058】
また、上方エリアに流入してくる「洗浄用液」は、フィルタエレメント10のろ材11に対して、その外周側面から内周側面に向かう方向(第1方向と反対の第2方向)に通過して、ろ材11の筒内に流入してくる。このときに、ろ材11に捕捉されていたゴミ等の固形異物が洗い流されて、フィルタエレメント10の筒内に、固形異物を含んだ液体(逆洗液)が流入してくる。
そして、フィルタエレメント10の筒内に流入してきた逆洗液は、棚板の貫通孔を介してハウジング1’の内部の下方エリアに流入し、その後、第5配管150を通って、ろ過装置本体90の外部に排出されていく。
【0059】
このように、第2実施形態のろ過装置W2においても、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10に対して、ろ過を行う第1方向と反対方向の第2方向に液体を流す逆洗機構を備えている。
そのため、第2実施形態においても、第1実施形態のものと同様、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10に対して、フィルタエレメント10がろ過により捕捉した固形異物を除去することができるので、細かい固形異物を捕捉可能なろ過精度を持ちつつ、大幅に、フィルタエレメント10の交換頻度を減少させることがきる。
【0060】
以上、説明したように、本発明の実施形態(第1、第2実施形態)によれば、深層ろ過タイプのフィルタエレメント10で液体中の固形異物を捕捉するろ過装置W1、W2であって、フィルタエレメント10が固形異物の捕捉限度に到達するまでの時間を伸ばすことができ、フィルタエレメント10の交換頻度を低減させることができるろ過装置W1、W2を提供することができる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
W1、W2…ろ過装置
1、1’…ハウジング
1a…本体部(ハウジング)
1a1…底部(ハウジング)
1b…蓋体部(ハウジング)
4…装置入口(ハウジング)
5…装置出口(ハウジング)
7…棚板
7a…貫通孔
7b、7b1、7b2…貫通孔
8…回転軸
9…モータ
10…フィルタエレメント
20…逆洗アーム
20a…基部(逆洗アーム)
20b…垂直管(逆洗アーム)
20c、20d…L字管(逆洗アーム)
30…排出管
40…洗浄液排出口管

90…ろ過装置本体
101…ろ過対象液タンク
102…洗浄用液タンク
110…第1配管
120…第2配管
130…第3配管
140…第4配管
150…第5配管
V1、V2、V3、V4、V5…バルブ
P1,P2…ポンプ
図1
図2
図3
図4