(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132679
(43)【公開日】2022-09-09
(54)【発明の名称】杭打ち方法
(51)【国際特許分類】
E02D 7/18 20060101AFI20220902BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220902BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20220902BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220902BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
E02D7/18
B64C39/02
B64D47/08
B64C27/08
B64F1/12
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109603
(22)【出願日】2022-07-07
(62)【分割の表示】P 2022525480の分割
【原出願日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】63/109,366
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】関口 政一
(72)【発明者】
【氏名】森本 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】小幡 博志
(72)【発明者】
【氏名】馬場 司
(57)【要約】
【課題】複数本の杭を同時に杭打ち可能な杭打ち方法を提供する。
【解決手段】杭打ち方法は、本体装置に接続された第1杭打ち機に把持された第1の杭を杭打ちするステップと、前記本体装置に接続された第2杭打ち機に把持された第2の杭を杭打ちするステップと、第1撮像部を備えた第1無人飛行体により、前記第1の杭の杭打ち状況を撮像するステップと、第2撮像部を備えた第2無人飛行体により、前記第2の杭の杭打ち状況を撮像するステップと、前記第1撮像部と前記第2撮像部との撮像結果に基づいて、前記第1の杭と前記第2の杭との杭打ちの修正の要否を判断するステップと、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置に接続された第1杭打ち機に把持された第1の杭を杭打ちするステップと、
前記本体装置に接続された第2杭打ち機に把持された第2の杭を杭打ちするステップと、
第1撮像部を備えた第1無人飛行体により、前記第1の杭の杭打ち状況を撮像するステップと、
第2撮像部を備えた第2無人飛行体により、前記第2の杭の杭打ち状況を撮像するステップと、
前記第1撮像部と前記第2撮像部との撮像結果に基づいて、前記第1の杭と前記第2の杭との杭打ちの修正の要否を判断するステップと、を含む杭打ち方法。
【請求項2】
前記第1杭打ち機と前記第2杭打ち機との杭打ちに先立って、前記第1杭打ち機と前記第2杭打ち機との間隔を調整するステップを含む請求項1記載の杭打ち方法。
【請求項3】
前記第1撮像部は、前記第1の杭に設けられたマークを撮像する請求項1または請求項2記載の杭打ち方法。
【請求項4】
前記第1撮像部が撮像した前記マークに基づいて、前記第1の杭に倒れがあるかどうかを判断する請求項3記載の杭打ち方法。
【請求項5】
第3撮像部を備えた第3無人飛行体により、前記第1の杭の杭打ち状況を前記第1撮像部とは異なる方向から撮像するステップを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の杭打ち方法。
【請求項6】
前記本体装置に接続された搬送部により、杭打ちされた前記第1の杭と杭打ちされた前記第2の杭とに対して部品を搬送するステップを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の杭打ち方法。
【請求項7】
前記第1無人飛行体が前記本体装置に着陸している際に、前記第1撮像部による撮像を行うステップを含む請求項1から6のいずれか一項に記載の杭打ち方法。
【請求項8】
前記第1杭打ち機と前記第2杭打ち機との駆動により前記本体装置に作用する偏荷重を補正するステップと、
前記偏荷重を補正するステップを撮像するステップと、を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の杭打ち方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打ち方法に関し、特に複数本の杭を同時に杭打ち可能な杭打ち方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、杭打ちの効率化が検討されており、打ち込み方向が異なるアンカー用の杭を土中に規定された角度で斜めに4本同時に打ち込むことが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鉛直方向に沿って複数の杭を同時に打つことについては開示されていなかった。建設現場においては数千から数万本の多数の杭を打つことがあり、効率的な杭打ちが望まれていた。
【0005】
そこで、本第1発明は、複数本の杭を同時に杭打ち可能な杭打ち方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明に係る杭打ち方法は、本体装置に接続された第1杭打ち機に把持された第1の杭を杭打ちするステップと、前記本体装置に接続された第2杭打ち機に把持された第2の杭を杭打ちするステップと、第1撮像部を備えた第1無人飛行体により、前記第1の杭の杭打ち状況を撮像するステップと、第2撮像部を備えた第2無人飛行体により、前記第2の杭の杭打ち状況を撮像するステップと、前記第1撮像部と前記第2撮像部との撮像結果に基づいて、前記第1の杭と前記第2の杭との杭打ちの修正の要否を判断するステップと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本第1発明によれば、第1杭打ち機と第2杭打ち機とを備えているので、複数本の杭を同時に杭打ち可能な杭打ち方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本第1実施形態の杭打ちシステムがイニシャルポジションにあるときの概要図であり、
図1(a)は上面図であり、
図1(b)は正面図である。
【
図2】本第1実施形態の杭打ちシステムが作業ポジションにあるときの一例を示す概要図であり、
図2(a)は上面図であり、
図2(b)は正面図である。
【
図3】本第1実施形態の杭打ちシステムのブロック図である。
【
図4】作業装置がイニシャルポジションにあるときの本体装置の断面図である。
【
図5】作業装置が作業ポジションにあるときの本体装置の断面図である。
【
図6】チャックの開閉状態を示す図であり、
図6(a)はチャックが開いている状態を示す図であり、
図6(b)はチャックが閉まっている状態を示す図である。
【
図7】本第1実施形態の重機制御装置により実行される杭打ちに関するフローチャートである。
【
図8】杭打ちの動作を示す図であり、
図8(a)はカウンタマスの移動を示す図であり、
図8(b)は杭を把持する様子を示す図であり、
図8(c)は杭を引き起こす様子を示す図であり、
図8(d)は杭の向きを変えた様子を示す図であり、
図8(e)は杭を杭打ちする様子を示す図であり、
図8(f)は杭打ち後の杭に部品を取り付けた様子を示す図である。
【
図9】本実施形態の建設現場の概要図であり、
図9(a)は作業装置がイニシャルポジションにあるときを示す図であり、
図9(b)はカウンタマスとジャッキとが作業ポジションにあるときを示す図であり、
図9(c)は作業装置が杭を打設する様子を示す図である。
【
図10】本実施形態の建設現場の概要図であり、
図10(a)は作業装置が杭を打設する様子を示す図であり、
図10(b)は杭に部品が取り付けられた様子を示す図であり、
図10(c)は杭打ちシステムが次の杭打ち場所に移動した様子を示す図である。
【
図11】杭打ちした杭を2機のドローンにより撮像している様子を示す図である。
【
図12】杭打ちした杭を1機のドローンにより撮像している様子を示す図である。
【
図13】杭の上フランジに形成された杭打ち深さマークDMを示す図であり、
図13(a)は杭打ち深さマークDMを杭の下部に設けた例を示す図であり、
図13(b)は杭打ち深さマークDMを杭の上部に設けた例を示す図である。
【
図14】本第1実施形態の杭打ちシステムの変形例を示す概要図である。
【
図15】本第2実施形態の杭打ちシステムの概要図である。
【
図16】本第2実施形態の杭打ちシステムのブロック図である。
【
図17】本第2実施形態の重機制御装置により実行されるソーラパネル設置に関するフローチャートである。
【
図18】ソーラパネル設置の動作を示す図であり、
図18(a)は杭打ちの様子を示す図であり、
図18(b)は杭の把持を解除する様子を示す図であり、
図18(c)はソーラパネルを吸着する様子を示す図である。
【
図19】ソーラパネル設置の動作を示す図であり、
図19(a)はソーラパネルを持ち上げる様子を示す図であり、
図19(b)は旋回する様子を示す図であり、
図19(c)は90度回転する様子を示す図であり、
図19(d)はソーラパネルを設置する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の第1実施形態の杭打ちシステム1を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態を表す杭打ちシステム1がイニシャルポジションにあるときの概要図であり、
図1(a)は上面図であり、
図1(b)は正面図である。
図2は、本第1実施形態を表す杭打ちシステム1が作業ポジションにあるときの一例を示す概要図であり、
図2(a)は上面図であり、
図2(b)は正面図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態は、双腕型の杭打ちシステム1であるため、図中の+X方向に偏荷重が作用しやすい。本実施形態では、後述の作業装置50が偏荷重の発生しにくい位置(すなわち、+X方向に伸びる部分が少ない位置)にあるときをイニシャルポジションといい、作業装置50が一連の杭打ち動作で作業装置50が+X方向に伸びていく位置にあるときに作業ポジションという。
図3は、本実施形態の杭打ちシステム1のブロック図である。以下、
図1~
図3を用いて杭打ちシステム1の構成を説明していく。
【0011】
本実施形態の杭打ちシステム1は、ベースマシーン10(
図3参照)と、複数の杭打ちアタッチメント60と、無人航空機であるUAV(Unmanned Aerial Vehicle、以下ドローン100という)と、を有している。なお、ブロック図を簡単にするために
図3では1つのドローン100のブロック図と、1つの作業装置50の構成要素のみを図示している。また、
図2でも離着陸部の様子を図示するため1つのドローン100のみを示している。
また、
図1及び
図2から明らかなように、本実施形態のベースマシーン10は、運転席が無い自動運転タイプの物である。このベースマシーン10は、建設現場での走行を自動運転とし、公道ではトレーラに載置して運搬するようにしてもよい。また、ベースマシーン10の操作は、自動操作でもよく、杭打ち場所から離れた遠隔地での遠隔操作でもよい。
【0012】
(ベースマシーン10)
本実施形態のベースマシーン10は、走行装置20と、旋回装置30と、本体装置40と、を有している。また、ベースマシーン10は、本体装置40の上面に設けられた離着陸部に離着可能な2機のドローン100を有している。なお、ドローン100は1機でもよく、3機以上でもよい。
走行装置20は、不図示の遊動輪と駆動輪21とを巻装した一対の履帯22を有し、駆動輪21により一対の履帯22が駆動することによりベースマシーン10を走行させている。なお、走行装置20を構成する内燃機関のエンジン23(
図3参照)は、本体装置40に配置することができる。また、走行装置20は、内燃機関のエンジン23に代えて、バッテリーとモータとにより駆動するようにしてもよく、内燃機関のエンジン23とモータとを組み合わせたハイブリッドタイプにしてもよい。なお、走行装置20は、タイヤタイプのホイール方式としてもよい。
【0013】
旋回装置30は、走行装置20と本体装置40との間に配設されている。旋回装置30は、不図示のベアリングと、旋回油圧モータ31とを備え、本体装置40と作業装置50とを旋回するものである。
【0014】
本体装置40は、上面がフラットな形状をしており、側面に2つの作業装置50が接続されている。本体装置40の内部には、前述のエンジン23と、油圧装置41と、姿勢検出計42(
図3参照)と、後述のカウンタマス43を移動させる電気モータ44(
図3参照)と、が設けられている。
【0015】
油圧装置41は、エンジン23に接続された油圧ポンプや、油圧制御弁などを有しており、作業装置50に設けられているアクチュエータとしての複数のシリンダの駆動を行うものである。
【0016】
姿勢検出計42(
図3参照)は、本体装置40の姿勢を検出するセンサであり、傾斜計や水準器などを用いることができる。本実施形態において、姿勢検出計42は、本体装置40の内部に設けられ、作業装置50と2つの杭打ちアタッチメント60とを駆動した際の本体装置40の姿勢を検出している。
【0017】
図4は、作業装置50がイニシャルポジションにあるときの本体装置40の断面図であり、
図5は、作業装置50が作業ポジションにあるときの本体装置40の断面図である。以下、
図4および
図5を用いて質量体であるカウンタマス43につき説明を行う。
【0018】
カウンタマス43は、本体装置40の下方側に設けられており、Y方向に離間した一対のスライダー45が取り付けられている。この一対のスライダー45は、X方向に伸びており、一対のベース部材46にX方向に移動可能に支持されている。カウンタマス43は、作業装置50が移動する際に杭打ちシステム1に作用する偏荷重を補正するものである。本実施形態ではカウンタマス43の重量は4トンから7トン程度であるがこれに限定されるものではない。カウンタマス43の一部を容器として、この容器の中に常温で比重の高い液体(例えば水銀)を満たしてカウンタマス43を構成するようにしてもよい。なお、前述したようにカウンタマスの駆動には電気モータ44を用いているが、他の方式のアクチュエータを用いても構わない。カウンタマス43が-X方向に移動することにより、カウンタマス43が-X方向に移動しない場合に比べてカウンタマス43の重量を軽くすることができる。
【0019】
カウンタマス43は、作業装置50がイニシャルポジションにあるときは本体装置40に収納されており、作業装置50が作業ポジションに移動するのに応じて-X方向へ向けて移動する。重量が4トンから7トン程度あるカウンタマス43が本体装置40の外側に移動する際の事故防止として、本体装置40に警告灯を設けて視覚的に注意を喚起したり、本体装置40にスピーカを設けて聴覚的に注意を喚起したり、その両方を実施するようにすることが望ましい。また、カウンタマス43を移動するのに先立って、ドローン100の撮像装置102によりカウンタマス43が移動する周辺の画像を取得して、UAV制御装置108もしくは重機制御装置29が安全を確認するようにしてもよい。また、ドローン100の撮像装置102による撮像は、カウンタマス43の移動が終了するまで行うようにすることが好ましい。
なお、事故防止の観点からカウンタマス43が-X方向へ向けて移動した後に、作業装置50を作業ポジションに移動させることが好ましいが、カウンタマス43の移動と、作業装置50の作業ポジションへの移動とをほぼ同時に行うようにしてもよい。
【0020】
作業装置50は、2つの作業装置50の間に一対のジャッキ47を有している。本実施形態において、一対のジャッキ47は、油圧ジャッキであり、作業装置50がイニシャルポジションにあるときは地面に接しないように一対の履帯22よりも+Z方向に位置している。また、一対のジャッキ47は、作業装置50が作業ポジションにあるときは地面に接するように伸びて杭打ちシステム1を支えている。上述のカウンタマス43により杭打ちシステム1に作用する偏荷重は補正されるが、建設現場が傾斜している場合もあるので、一対のジャッキ47は杭打ちシステム1の転倒防止として用いられている。なお、一対のジャッキ47は、一対ではなく単一としてもよく、3つ以上としてもよく、省略してもよい。
【0021】
作業装置50の上面には、
図2(a)に示すように、ドローン100の離着陸部が形成されており、この離着陸部には視認マーク25が形成されている。視認マーク25は、ドローン100が離着陸部に着陸する際に、後述の撮像装置102により1つの視認マーク25を視認して、着陸位置を認識させるものである。なお、複数の視認マーク25の大きさは、ドローン100の大きさよりも小さくなっており、1つの視認マーク25上に1つのドローン100が着陸している場合には、この1つの視認マーク25は他のドローン100からは視認できない状態となっている。また、複数の視認マーク25の間隔は、複数のドローン100が離着陸部に着陸している際に、ドローン100同士が干渉しないような間隔となっている。なお、視認マーク25の形状は、円形状に限らず、矩形状でも楕円形状でも三角形状でもよく、二重マークでも一重マークでもよい。また、視認マーク25は1つとしてもよい。
【0022】
本実施形態において、本体装置40は、
図3に示す全地球型測位システムである第1GNSS26(Global Navigation Satellite System)と、第1通信装置27と、第1メモリ28と、ベースマシーン10全体を制御する重機制御装置29と、を有している。第1GNSS26は、人工衛星を利用してベースマシーン10の位置を測位するものである。
【0023】
第1通信装置27は、後述の第2通信装置106やインターネット等の広域ネットワークにアクセスする無線通信ユニットである。本実施形態において、第1通信装置27は、第1GNSS26が検出したベースマシーン10の位置に基づいて、複数のドローン100の飛行経路を第2通信装置106へ通信する。
【0024】
第1メモリ28は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)であり、ベースマシーン10を駆動するための各種データやプログラム、ベースマシーン10を自動運転するための各種データやプログラムが記憶されている。また、第1メモリ28は、複数のドローン100の飛行経路に関するデータを記憶している。
【0025】
重機制御装置29は、CPUを備えており、ベースマシーン10全体を制御する制御装置である。重機制御装置29によるベースマシーン10および杭打ちアタッチメント60の制御については、
図7のフローチャートを用いて後述する。
【0026】
作業装置50は、第1作業装置51と第2作業装置52とを有している。
図1に示すように、第1作業装置51と第2作業装置52とは、本体装置40の片側からX方向に沿って伸び、Y方向に離間している。本実施形態においては、第1作業装置51と第2作業装置52とは、X方向に平行となるように本体装置40に接続されている。なお、作業装置50の数は2つに限らず3つ以上としてもよい。この場合、3つ目の作業装置50は、本体装置40の片側ではない場所に接続するようにしてもよい。なお、本実施形態において、ベースマシーン10と、2つの杭打ちアタッチメント60とにより第1杭打ち機および第2杭打ち機を構成している。
【0027】
本実施形態において、第1作業装置51と第2作業装置52とは同じ構成としているので、第1作業装置51の構成につき説明を続ける。また、第1作業装置51と第2作業装置52との各構成も符号も同じとするが、識別が必要な場合、第1作業装置51の各構成には符号の後にaを付し、第2作業装置52の各構成には符号の後にbを付すものとする。第1作業装置51は、ブーム53と、ブームシリンダ54と、アーム55と、アームシリンダ56と、ブーム取付けベース57と、を有している。
【0028】
ブーム53は、ブーム取付けベース57を介して本体装置40に接続された回転L字状の部品であり、ブームシリンダ54により回動するものである。ブーム53は、ブームシリンダ54が一番伸びた状態で
図1のイニシャルポジションになり、ブームシリンダ54が短縮すると
図2の作業ポジションになる。
アーム55は、ブーム53の先端に接続されており、アームシリンダ56により回動するものである。アーム55は、アームシリンダ56が一番伸びた状態で
図1のイニシャルポジションになり、アームシリンダ56が短縮すると
図2の作業ポジションになる。
【0029】
シフトシリンダ58は、2本の杭打ちの間隔に応じて、第1作業装置51と第2作業装置52とのY方向の間隔を調節するシリンダである。
図4および
図5に示すように、シフトシリンダ58は、Z方向に離間した一対のガイド48をガイドとして第1作業装置51と第2作業装置52とのY方向の間隔を調節している。この場合、シフトシリンダ58は、第1作業装置51は固定として、第2作業装置52をY方向にスライドしてもよく、第1作業装置51と第2作業装置52とのそれぞれをY方向にスライドするようにしてもよい。
【0030】
シリンダ59は、杭打ちアタッチメント60を回動させるものである。シリンダ59は、シリンダ59が一番伸びた状態で
図1のイニシャルポジションになり、シリンダ59が短縮すると
図2の作業ポジションになる。
本実施形態において、ブームシリンダ54と、アームシリンダ56と、シフトシリンダ58と、シリンダ59とは、油圧シリンダであり、油圧により伸縮するものである。また、ブームシリンダ54と、アームシリンダ56と、シフトシリンダ58と、シリンダ59と、後述の起振機63とは、油圧装置41により伸縮動作がなされるものである。
【0031】
杭打ちアタッチメント60は、一端(-Z側)がアーム55およびシリンダ59に接続され、他端(+Z側)に杭打ちすべき杭5(
図6参照)を取付けたり、杭打ちされた杭5を取外したりするための着脱機構が形成されている。杭打ちアタッチメント60は、取付けアーム61と、ハンガー62と、起振機63と、チャック64とを有している。
取付けアーム61は、回転L字状の部品であり、一端(-Z側)がアーム55およびシリンダ59に接続されている。
ハンガー62は、取付けアーム61の他端から吊るされており、Z軸回りに回動可能である。
【0032】
起振機63は、ハンガー62から吊持され、油圧をエネルギとして振動を発生させるものである。起振機63の振動を用いて本実施形態の杭打ちが行われる。なお、起振機63としては、振子式でもピストン式でもどちらでも構わない。
チャック64は、起振機63の下端部に装着されており、杭5を着脱可能に把持するものである。また、チャック64は、杭5を把持している際に起振機63からの振動を杭5に伝えるものである。
【0033】
図6は、チャック64の開閉状態を示す図であり、
図6(a)はチャック64が開いている状態を示す図であり、
図6(b)はチャック64が閉まっている状態を示す図である。このチャック64の開閉も油圧装置41により伸縮動作がなされている。
【0034】
図3に戻って、送電装置95は、ドローン100側の後述の受電装置103に電力を供給するものであり、本実施形態においてはワイヤレス給電を採用している。ワイヤレス給電は、非接触で電力を受電装置103に供給するものであり、磁界共鳴方式や電磁誘導方式などが知られている。本実施形態の送電装置95は、電源や、制御回路や、送電コイルを備えている。この送電コイルは離着陸部に設けることが好ましい。この場合、送電コイルを視認マーク25の内側に設ければ、ドローン100が着陸したときに速やかに充電を開始することができる。
なお、ワイヤレス給電に代えて接触式の給電方式としてもよい。この場合、送電装置95と受電装置103とのそれぞれに金属製の接点を設けて、互いの接点を機械的に接続して給電してもよい。例えば、離着陸部に凹形状の接点を設けて、ドローン100側に凸形状の接点を設けるようにしてもよい。凹形状の接点と、凸形状の接点とはそれぞれ1つでもよく、複数設けるようにしてもよい。
【0035】
ドローン100が離着陸部に着陸した状態でベースマシーン10が凹凸のある建設現場を移動する場合に、ドローン100が離着陸部から離れないように、ドローン100と離着陸部とを機械的に係合したり、電磁的に接続するようにしたりすることが望ましい。本実施形態では、ドローン100が離着陸部に着陸した際に機械的なロックをかけるロック機構が採用されている。
【0036】
本実施形態のドローン100は、飛行装置101と、撮像装置102と、受電装置103と、センサ群104と、バッテリー105と、第2通信装置106と、第2メモリ107と、UAV制御装置108と、を備えている。
飛行装置101は、不図示のモータと、複数のプロペラと、を有しており、ドローン100を空中に浮上させるとともに、空中での移動を行う推力を発生させるものである。なお、離着陸部に着陸するドローンの機数は、
図1では2機としているが任意に設定することができ、2機に限定されるものではない。また、それぞれのドローン100の構成は同じでもよく、その一部を変更してもよい。更に、それぞれのドローン100の大きさも同じとしてもよく、異なる大きさとしてもよい。
【0037】
撮像装置102は、レンズや撮像素子や画像処理エンジンなどを有し、動画や静止画を撮像するデジタルカメラである。本実施形態において、撮像装置102は、測量を行ったり、杭打ちをサポートするための撮像を行なったりするものである。また、撮像装置102は、ドローン100が離着陸部に着陸する際に1つの視認マーク25を視認して、着陸位置を認識させるようにしている。なお、視認マーク25内に送電装置95の送電コイルまたは接点を設ければ、ドローン100が離着陸部に着陸した後、速やかに受電装置103を介してバッテリー105を充電することでできる。なお、撮像装置102には、ブレのない空撮を行うために2軸もしくは3軸のジンバルを設けることが好ましい。なお、撮像装置のブレの防止はソフトウェアにより行うようにしてもよい。
【0038】
図1の一点鎖線で囲む拡大図において、撮像装置102のレンズはドローン100の側面(正面)に取り付けられているが、撮像装置102のレンズをドローン100の下面に取り付けてもよく、複数のレンズをドローン100に設けてもよい。また、側面に取り付けたれたレンズを下面に向けて移動させる移動機構を設けるようにしてもよい。また、撮像装置102をZ軸回りに回転する機構を設けて撮像装置102のレンズをZ軸回りの任意の位置に位置決めするようにしてもよい。また、ドローン100が離着陸部に着陸している際に、撮像装置102のレンズをX方向やY方向に向ければ従来のベースマシーンの運転席からオペレータが視認する画像に近い画像を複数の方向から撮像することができる。また、離着陸部は例えば
図1から明らかなように本体装置40の頂部に設けられているので、ドローン100は本体装置40に遮られることなく、撮像装置102による撮像を行うことができる。なお、撮像装置102として全方位型カメラ(360度カメラ)を用いてもよく、撮像装置102の代わりに3次元スキャナを用いてもよい。
【0039】
受電装置103は、ドローン100の脚部109に設けられた受電コイルや充電回路などを有しており、バッテリー105に送電装置95からの電力を充電させるものである。
バッテリー105は、受電装置103に接続された二次電池であり、リチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池などを用いることができるがこれに限定されるものではない。バッテリー105は、飛行装置101と、撮像装置102と、第2通信装置106と、第2メモリ107と、UAV制御装置108とに電力を供給することが可能である。
【0040】
センサ群104は、GNSSや、ドローン100と他の装置(例えば作業装置50)との衝突を回避するための赤外線センサや、高度を測定する気圧センサや、方位を検出する磁気センサや、ドローン100の姿勢を検出するジャイロセンサや、ドローン100に作用する加速度を検出する加速度センサなどである。
【0041】
第2通信装置106は、無線通信ユニットを有しており、第1通信装置27と通信するものである。本実施形態において、第2通信装置106は、撮像装置102が撮像した画像データやセンサ群104が検出した検出結果を第1通信装置27に送信したり、第1通信装置27からの飛行指令をUAV制御装置108に送信したりするものである。
【0042】
第2メモリ107は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)であり、ドローン100を飛行するための各種データやプログラムを記憶したり、撮像装置102が撮像した画像データやセンサ群104が検出した検出結果などを記憶したりするものである。
【0043】
UAV制御装置108は、CPUや、姿勢制御回路や、飛行制御回路などを備えており、ドローン100全体を制御するものである。また、UAV制御装置108は、バッテリー105の残量から充電のタイミングを判断したり、撮像装置102の撮像位置や画角やフレームレートなどを制御したりするものである。
【0044】
杭5(
図8参照)は、H形鋼、L形鋼、山形鋼、溝形鋼、丸形鋼などを用いることができるが、本実施形態ではH形鋼を用いるものとする。H形鋼の杭5は上フランジと、下フランジと、上フランジと下フランジとに挟まれたウェブとから構成されている。このH形鋼の杭5は、上フランジの端面と、下フランジの端面とが地面に接するように建設現場に置かれているものとする。以上のように構成された杭打ちシステム1の動作につき以下説明を続ける。
【0045】
(フローチャートの説明)
図7は本実施形態の重機制御装置29により実行される杭打ちのフローチャートであり、
図8は杭打ちの動作を示す図であり、
図8(a)はカウンタマス43の移動を示す図であり、
図8(b)は杭5を把持する様子を示す図であり、
図8(c)は杭5を引き起こす様子を示す図であり、
図8(d)は杭5の向きを変えた様子を示す図であり、
図8(e)は杭5を杭打ちする様子を示す図であり、
図8(f)は杭打ち後の杭5に部品を取り付けた様子を示す図である。
【0046】
また、
図9は本実施形態の建設現場の概要図であり、
図9(a)は作業装置50がイニシャルポジションにあるときを示す図であり、
図9(b)はカウンタマス43とジャッキ47とが作業ポジションにあるときを示す図であり、
図9(c)は作業装置50が杭5を打設する様子を示す図である。
また、
図10は本実施形態の建設現場の概要図であり、
図10(a)は作業装置50が杭5を打設する様子を示す図であり、
図10(b)は杭5に部品が取り付けられた様子を示す図であり、
図10(c)は杭打ちシステム1が次の杭打ち場所に移動した様子を示す図である。なお、図面の複雑化を避けるために
図8~
図10では説明に必要な構成のみに符号を付し、
図9および
図10ではドローン100の図示を省略している。
以下、
図7のフローチャートを
図8~
図10を参照しながら説明を行う。
なお、
図7のフローチャートにおいて、その一部を作業者により行っても構わない。
【0047】
重機制御装置29は、杭打ちを開始するのに先立ち、2機のドローン100の撮像装置102による測量として画像から点群データの取得を実施する(ステップS1)。なお、測量の際には、撮像装置102のレンズは下面(-Z方向)に向けられている。2機のドローン100により測量を行うことにより、1機のドローン100により測量を行う場合に比べて測量時間を短縮することができる。
【0048】
なお、3機以上のドローン100により測量を行っても構わない。なお、ステップS1の測量後にステップS2を実施するまでにはかなり時間が生じるため、ステップS1を本フローチャートから除外して本フローチャートの準備作業としてもよい。
【0049】
ステップS1の測量および杭5が杭打ちされるべき位置データに基づいて、複数の杭5が建設現場に横置きされる。この際に、杭打ちシステム1が走行する走行路Pを避けて複数の杭5が建設現場に横置きされる。複数の杭5の横置きは、不図示の搬送ロボットにより行ってもよく、作業者により行ってもよい。なお、
図9および
図10における複数の点は、杭打ちされるべき位置を仮想的に示しているものである。
【0050】
本実施形態では、4本の杭5に対してソーラパネル67(
図10(c)参照)を傾斜して配置するものとする。このため、
図9(a)に矢印で示すように、杭打ちされる4点のうち+X側の2点には長い杭5aが杭打ちされ、-X側の2点には短い杭5bが杭打ちされる。また、ソーラパネル67の傾斜の調節には、後述の角度調整部材65が用いられる。
【0051】
第1作業装置51と第2作業装置52とのそれぞれに取り付けられた杭打ちアタッチメント60は、
図9(c)に示すように第1作業装置51と第2作業装置52とのそれぞれを+X側に伸ばして2つの長い杭5aの杭打ちを行った後に、
図10(a)に示すように第1作業装置51と第2作業装置52とのそれぞれを-X側に短縮して2つの短い杭5bの杭打ちを行なう。なお、ソーラパネル67を支持する杭5は2本でも3本でもよく、1本でもよい。
【0052】
本実施形態において、4本の杭5の杭打ちが終了すると、重機制御装置29は、走行装置20により杭打ちシステム1をY方向に移動させている。杭打ちシステム1は、X方向への移動には第1作業装置51と第2作業装置52とを駆動させ、Y方向への移動は走行装置20を駆動させている。X方向およびY方向への移動を速やかにするため、イニシャルポジションおよび作業ポジションにおいて、走行装置20はY方向に沿って一対の履帯22が向けられるように位置決めされ、第1作業装置51と第2作業装置52とはX方向に沿って位置決めされている。
【0053】
重機制御装置29は、電気モータ44によりカウンタマス43を一対のベース部材46に沿って-X方向に移動させる(ステップS2)。なお、重機制御装置29は、
図8(a)に示すように、他方のドローン100の撮像装置102によりカウンタマス43周辺の撮像を行っている。また、重機制御装置29は、カウンタマス43の移動前に警告灯やスピーカなどを用いてカウンタマス43の移動を周知させることが望ましい。また、重機制御装置29は、イニシャルポジションにある一対のジャッキ47を作業ポジションに移動させて、一対のジャッキ47による杭打ちシステム1の転倒防止策を実施する。なお、
図9(b)にもステップS2が終了した状態が図示されている。
【0054】
重機制御装置29は、第1作業装置51と第2作業装置52とのそれぞれを杭打ち対象の2つの杭5のそれぞれに近づけるように制御するとともに、それぞれのチャック64を開いている状態から閉まっている状態として、2つの杭5のウェブ部分を2つの杭打ちアタッチメント60に把持させる(ステップS3)。
図8(b)はステップS3の作業の様子を示す図であり、カウンタマス43周辺の撮像を終えた他方のドローン100は離着陸部にて充電している。なお、一方のドローン100に加えて他方のドローン100により第1作業装置51および第2作業装置52周辺もしくは2つの杭打ちアタッチメント60周辺を撮像するようにしてもよい。
【0055】
重機制御装置29は、第1作業装置51と第2作業装置52とのそれぞれを制御して2つの杭5のそれぞれを引き起こす(ステップS4)。
図8(c)はステップS4により、引き起こされた杭5の様子を示している。
【0056】
重機制御装置29は、
図8(d)に示すようにH形鋼の杭5のウェブがX方向に沿うように(上フランジと下フランジとが紙面に直交する向きになるように)杭5の向きを調節する(ステップS5)。杭5の向きの調節は、杭打ちアタッチメント60に設けられた不図示の回転モータにより行ってもよく、作業者により行っても構わない。なお、ステップS5の後に、2つの杭5をほぼ同時に杭打ちするために、重機制御装置29は、2本の杭の間隔に基づいて、シフトシリンダ58を駆動して第1作業装置51と第2作業装置52とのY方向の間隔を予め調節する。
【0057】
重機制御装置29は、2つの起振機63によりそれぞれのH形鋼の杭5に振動を加えながら、
図8(e)および
図9(c)に示すように杭打ちを行う(ステップS6)。また、重機制御装置29は、ステップS6の杭打ち中に杭打ちの修正が必要かどうかを判断する(ステップS7)。
【0058】
図11は、杭打ちした杭5を2機のドローン100により撮像している様子を示す図である。
図11に示すように、重機制御装置29は、2機のドローン100を飛行させる。重機制御装置29は、一方のドローン100の撮像装置102にX方向からの撮像を行わせて
図11の上側の四角枠に示す画像IMG1を取得する。また、重機制御装置29は、他方のドローン100の撮像装置102にX方向とZ方向とに直交するY方向からの撮像を行わせて
図11の下側の四角枠に示す画像IMG2を取得する。なお、画像IMG1および画像IMG2において四角枠内のZ方向に伸びる太線はリファレンス画像を表している。重機制御装置29は、リファレンス画像と、取得した画像とを比較して杭打ちの修正が必要かどうかを判断する。
【0059】
ここでは、重機制御装置29は、杭打ちの修正が必要と判断してステップS8に進む。重機制御装置29は、ブームシリンダ54と、アームシリンダ56と、シフトシリンダ58と、シリンダ59とを適宜制御して杭5の位置を調節しながら杭打ち動作を続けるとともに、2つのドローン100の撮像装置102による画像の取得を行い、取得した画像とリファレンス画像とを比較して、杭5の姿勢調節を行う(ステップS8)。
【0060】
図11では、1つの杭5の姿勢を2機のドローン100で撮像するため2つの杭5をほぼ同時に杭打ちする場合には4機のドローン100が必要となる。
図12は、杭打ちした杭5を1機のドローンにより撮像している様子を示す図である。
図12では杭5のフランジ(例えば上フランジ)に円形のマークを形成している。1機のドローンの撮像装置102が撮像した画像には、Y方向の倒れを示す下フランジの画像と、X方向の倒れを示す円形マークの画像とが含まれている。X方向に倒れが無い場合にはドローンの撮像装置102が撮像した画像も円形となるが、X方向に倒れがある場合にはドローンの撮像装置102が撮像した画像は楕円形となる。なお、画像IMG3にはZ方向に伸びるリファレンス画像を表示しているが、これに加えて円形のリファレンス画像を表示するようにしてもよい。
【0061】
重機制御装置29は、それぞれの杭5が所定深さまで杭打ちされたかどうか判断する(ステップS9)。
図13は杭5の上フランジに形成された杭打ち深さマークDMを示す図であり、
図13(a)は杭打ち深さマークDMを杭5の下部に設けた例を示す図であり、
図13(b)は杭打ち深さマークDMを杭5の上部に設けた例を示す図である。なお、深さマークDMの一例としては横線である。
【0062】
重機制御装置29は、
図13(a)に示すように、杭5に対して斜め上方からドローン100の撮像装置102が撮像した画像から地表と杭打ち深さマークDMを形成する横線とがほぼ一致していれば杭5が所定深さまで杭打ちされたと判断してステップS10に進む。一方、重機制御装置29は、杭打ち深さマークDMを形成する横線が地表よりも上方に位置していれば所定深さまで杭打ちされていないとしてステップS6以降を繰り返す。
【0063】
また、重機制御装置29は、ステップS1の測量結果と、杭5の上部に形成された杭打ち深さマークDMの高さ情報と、に基づいてドローン100の高度を設定する。これはドローン100の高度を基準として、杭打ち深さマークDMの位置を検出するためである。UAV制御装置108は、設定された高度になるように気圧センサの出力に基づきドローン100の高度を制御する。ドローン100が設定した高度になると、UAV制御装置108は、撮像装置102に杭打ち深さマークDMを撮像させる。重機制御装置29は、
図13(b)に示すように、撮像装置102が撮像した画像から杭打ち深さマークDMが地表から所定の高さにあれば杭5が所定深さまで杭打ちされたと判断してステップS10に進む。一方、重機制御装置29は、杭打ち深さマークDMが地表から所定の高さよりも上にあれば所定深さまで杭打ちされていないとしてステップS6以降を繰り返す。
【0064】
重機制御装置29は、ステップS9においてそれぞれの杭5が所定深さまで杭打ちされたと判断した場合に、チャック64が閉まっている状態から開いている状態として、杭5のウェブの把持を解除する(ステップS10)。
【0065】
重機制御装置29は、杭打ちした2つの杭5のそれぞれに角度調整部材65と横梁部材66とを取り付ける(ステップS11)。角度調整部材65は、ソーラパネル67の傾き加減を調整する機械部品である。また、横梁部材66は、ソーラパネル67を取り付けるための機械部品である。なお、角度調整部材65と横梁部材66との取り付けは、不図示の組立てロボットにより行ってもよく、作業者により行っても構わない。
【0066】
重機制御装置29は、移動するのに先立って、一対のジャッキ47を作業ポジションからイニシャルポジションへと移動させる(ステップS12)。この場合、2つの杭打ちアタッチメント60は、杭5を把持していないため転倒の可能性は極めて低いが、重機制御装置29は、第1作業装置51および第2作業装置52の一部を-X方向に移動させてもよい。
【0067】
重機制御装置29は、予定している杭打ちが終了しているかどうかを判断する(ステップS13)。重機制御装置29は、予定している杭打ちが終了していなければ(ステップS13/NO)、次の杭打ち場所に移動して、予定している杭打ちが終了までステップS3以降の処理を繰り返す。一方、重機制御装置29は、予定している杭打ちが終了している場合(ステップS13/YES)は、本フローチャートを終了する。なお、本フローチャートを終了させるに際して、重機制御装置29は、杭打ちシステム1をイニシャルポジションに戻すとともに、カウンタマス43を本体装置40に収納する。そして、重機制御装置29は、杭打ちシステム1を所定の場所に移動させる。
【0068】
なお、本フローチャートの実施中において、重機制御装置29は、姿勢検出計42の出力をモニターし、風の影響や、地表の緩みなどにより所定以上に本体装置40が傾いた場合に杭打ち動作を中断して、杭打ちシステム1をイニシャルポジションに戻すようにしてもよい。この場合、重機制御装置29は、姿勢検出計42の出力に応じて、カウンタマス43を本体装置40の外側に位置させたままでもよく、カウンタマス43を本体装置40に収納させるようにしてもよい。
【0069】
(変形例)
図14は、第1実施形態の杭打ちシステム1の変形例を示す概要図である。第1実施形態では、第1作業装置51と第2作業装置52とをX方向に平行となるように本体装置40に接続した。本変形例では、第1作業装置51と第2作業装置52とをX方向から角度を持つように本体装置40に接続した。このため、一対のガイド48やブーム取付けベース57やシフトシリンダ58などに代えて、スイング部68とスイングシリンダ69とを設けた。
【0070】
スイング部68は、本体装置40に接続された部分と、ブーム53に接続された部分とがZ軸回りに回転可能なように軸支されている。スイングシリンダ69は一端が本体装置40に接続され、他端がスイング部68に接続された油圧シリンダであり、油圧装置41により伸縮動作がなされるものである。
【0071】
また、変形例の杭打ちシステム1は、本体装置40の上面に発電装置8を設けている。発電装置8としては、自然エネルギ由来の発電を用いるのが好ましく、本変形例では太陽光パネルを用いた太陽光発電としている。発電装置8が発電した電力は、不図示のバッテリーに充電され、エンジン23や、油圧装置41や、電気モータ44や、送電装置95などを駆動するのに用いられる。自然エネルギ由来の電力を杭打ちシステム1に用いることにより、杭打ちシステム1が発生する温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減することが可能となる。
【0072】
また、本体装置40の上面と発電装置8との間に、発電装置8を太陽に向けて傾斜させる傾斜機構を設けてもよい。この傾斜機構によって、旋回装置30の旋回に応じて発電装置8を傾斜させれば効率的な太陽光発電を行うことができる。なお、発電装置8は、第1実施形態および後述の第2実施形態の杭打ちシステム1にも適用することができ、本体装置40の上面にドローン100の離着陸部やドローン100の充電部としての機能に加えて、発電部としての機能を持たせることができる。
【0073】
また、変形例の杭打ちシステム1は、2つの起振機63のそれぞれに振動発電素子9を設けている。振動発電素子9は、圧電体を有しており、この圧電体に力が加わり変形することによる圧電効果により発電するものである。振動発電素子9の発電による電力も不図示のバッテリーに充電することにより、杭打ちシステム1が発生する二酸化炭素の排出量を低減することが可能となる。なお、振動発電素子9は、第1実施形態および後述の第2実施形態の杭打ちシステム1にも適用することができる。なお、発電装置8や振動発電素子9が発電した電力をドローン100のバッテリー105に充電させるようにしてもよい。
【0074】
なお、
図14では図面を簡単にするためにカウンタマス43と、ジャッキ47との図示を省略したが、本変形例にカウンタマス43と、ジャッキ47との少なくとも一方を付加することができる。
【0075】
(第2実施形態)
以下、
図15~
図19を用いて第2実施形態につき説明するが、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図15は本第2実施形態の杭打ちシステム1の概要図であり、
図16は本第2実施形態の杭打ちシステム1のブロック図である。
【0076】
本第2実施形態の杭打ちシステム1は、本体装置40の側面に発電装置8を設けている。本体装置40の側面をテーパ状にして発電装置8を太陽に向けて傾斜すれば効率的な太陽光発電を行うことができる。
また、本第2実施形態の杭打ちシステム1は、2つの起振機63に加えて一対の履帯22に接続されたアーム部材にも振動発電素子9を設けている。なお、振動発電素子9はエンジン23やドローン100の本体に設けてもよい。
また、本第2実施形態の杭打ちシステム1は、第1実施形態の構成に加えて、3つ目の作業装置50として、杭打ちされた杭5に対してソーラパネル67を搬送する第3作業装置35を有している。
【0077】
第3作業装置35は、第1作業装置51と第2作業装置52と同様に、ブーム53と、ブームシリンダ54と、アーム55と、アームシリンダ56とに加えて、変形例で説明したスイング部68と、スイングシリンダ69とを有している。なお、第3作業装置35は、X方向とZ方向とに直交するY方向において、本体装置40の中心位置に向けてスイング部68を介して接続されている。
【0078】
また、第3作業装置35は、ソーラパネル67を横梁部材66に取り付けるための取付けアタッチメント70を有している。取付けアタッチメント70は、取付けアーム71と、Y軸回転部72と、Z軸回転部73と、本体部74と、吸着部75と、を有している。
【0079】
取付けアーム71は、+X側の一端がアーム55および取付けアタッチメント70を回動させるシリンダ59に接続されている。また、取付けアーム71は、-X側の他端がY軸回転部72と接続されている。
Y軸回転部72は、モータを有しており、取付けアタッチメント70をX軸とZ軸とに直交するY軸回りに回転させるものである。また、Y軸回転部72は、+Z側の一端が取付けアーム71に接続され、-Z側の他端がZ軸回転部73に接続されている。
【0080】
Z軸回転部73は、モータを有しており、取付けアタッチメント70をZ軸回りに回転させるものである。また、Z軸回転部73は、+Z側の一端がY軸回転部72に接続され、-Z側の他端が本体部74に接続されている。
【0081】
本体部74は、長辺と短辺とからなる矩形状であり、吸着部75を用いてソーラパネル67を保持するものである。また、本体部74は、+Z側の一端がZ軸回転部73に接続されている。
【0082】
吸着部75は、本体部74に形成されており、ソーラパネル67を複数の吸着面により吸着するものである。吸着部75の吸着は、真空を用いた真空吸着や電磁石を用いた電磁吸着などを用いることができる。また、吸着部75は、真空吸着を行う真空吸着部と、電磁吸着を行う電磁吸着部と、を有したハイブリッド吸着部としてもよい。
【0083】
第3作業装置35は、第1作業装置51と第2作業装置52とが作業している際に杭打ちシステム1に作用する偏荷重を補正するカウンタマスとして機能させてもよい。第3作業装置35をカウンタマスとして駆動すれば、ジャッキ47を省略したり、カウンタマス43を軽量化したり省略することができる。また、カウンタマス43を移動式から固定式へとすることもできる。このため、
図16のブロック図では、カウンタマス43を移動させる電気モータ44およびジャッキ47などを省略している。なお、第3作業装置35をカウンタマスとして移動する際に、警告灯を設けて視覚的に注意を喚起したり、スピーカを設けて聴覚的に注意を喚起したり、その両方を実施するようにすることが望ましい。
以上のように構成された第2実施形態の杭打ちシステム1の動作につき以下説明を続ける。
【0084】
(フローチャートの説明)
図17は本第2実施形態の重機制御装置29により実行されるソーラパネル67の搬送・設置に関するフローチャートである。なお、
図17のフローチャートは、第3作業装置35をカウンタマスとして機能させる動作を説明するため、杭打ちの一部ステップを含ませているがこれに限定されるものではない。また、
図17のフローチャートにおいて、その一部を作業者により行っても構わない。
【0085】
図18はソーラパネル67設置の動作を示す図であり、
図18(a)は杭打ちの様子を示す図であり、
図18(b)は杭の把持を解除する様子を示す図であり、
図18(c)はソーラパネル67を吸着する様子を示す図である。
また、
図19もソーラパネル67設置の動作を示す図であり、
図19(a)はソーラパネル67を持ち上げる様子を示す図であり、
図19(b)は旋回する様子を示す図であり、
図19(c)は90度回転する様子を示す図であり、
図19(d)はソーラパネル67を設置する様子を示す図である。なお、図面の複雑化を避けるために
図18~
図19では説明に必要な構成のみに符号を付している。
以下、
図18および
図19を参照しながら
図17のフローチャートの説明を行う。
【0086】
重機制御装置29は、
図18(a)に示すように、第1作業装置51と、第2作業装置52と、2つの杭打ちアタッチメント60とを用いて、2つの短い杭5bの杭打ちを行う(ステップS101)。なお、重機制御装置29は、ステップS101の杭打ちの際に
図7のフローチャートのステップS7~ステップS9を併せて実施するが第1実施形態にて説明した通りであるので、その説明を省略する。
【0087】
重機制御装置29は、ステップS101の杭打ちの際に、第3作業装置35と取付けアタッチメント70とを用いた偏荷重補正を行う(ステップS102)。重機制御装置29は、第3作業装置35を-X方向に移動させることにより偏荷重補正を行う。
重機制御装置29は、ステップS101の杭打ちが終了すると、チャック64が閉まっている状態から開いている状態として、2つの短い杭5bのウェブの把持を解除する。なお、重機制御装置29は、短い杭5bの把持の解除に伴う動作に応じて、第3作業装置35と取付けアタッチメント70とを移動させて偏荷重補正を連続的に行うようにしてもよい。この場合、重機制御装置29は、姿勢検出計42の出力に応じて第3作業装置35を移動させればよい。
【0088】
重機制御装置29は、第3作業装置35と取付けアタッチメント70とを用いてソーラパネル67の吸着を行う(ステップS103)。重機制御装置29は、
図18(c)に示すように、ドローン100を取付けアタッチメント70の上方に飛行させて、ソーラパネル67と本体部74とを撮像装置102により撮像する。重機制御装置29は、ソーラパネル67と本体部74とのX方向とY方向との位置が一致するように第3作業装置35を移動させる。撮像装置102が撮像する画像は、ソーラパネル67と本体部74とのX方向とY方向との位置が一致した時には、ソーラパネル67が本体部74により大部分が隠れてしまう。このため、重機制御装置29は、リファレンス画像を用いたパターンマッチングによりソーラパネル67と本体部74とのX方向とY方向との位置が一致したことを判断することができる。なお、ソーラパネル67と本体部74とのX方向とY方向との位置合わせに関する判断は、作業者により行なうようにしてもよい。
【0089】
重機制御装置29は、ソーラパネル67と本体部74とのX方向とY方向との位置合わせに続いて、第3作業装置35を制御して取付けアタッチメント70を-Z方向に移動させた後に吸着部75によりソーラパネル67を吸着する。
【0090】
重機制御装置29は、
図19(a)に示すように、第3作業装置35と取付けアタッチメント70とを用いてソーラパネル67の持ち上げを行う(ステップS104)。
次いで、重機制御装置29は、
図19(b)に示すように、旋回装置30を180度旋回させる(ステップS105)。なお、ステップS105の終了後に2機のドローン100のうち1機を離着陸部に着陸させて充電を行うようにしてもよい。
【0091】
重機制御装置29は、
図19(c)に示すように、Z軸回転部73によりソーラパネル67をZ軸回りに90度回転させる(ステップS106)。ソーラパネル67は、
図10(c)にも示したように長辺と短辺とからなる矩形状である。ステップS105の旋回時にソーラパネル67の長辺方向とX方向とを一致させてしまうと、第3作業装置35よりもソーラパネル67がX方向に大きくはみ出してしまい必ずしも安全とは言えない。そこで、本実施形態では、旋回終了まではソーラパネル67の短辺方向とX方向と一致させており、旋回終了後にZ軸回転部73によりソーラパネル67をZ軸回りに90度回転させている。
【0092】
なお、吸着部75が上方からソーラパネル67を吸着すると、吸着部75に異常が生じたときにソーラパネル67が落下する虞がある。このため、Y軸回転部72を180度回転させて吸着部75が下方からソーラパネル67を吸着した状態で旋回装置30による旋回を行うようにしてもよい。
【0093】
重機制御装置29は、
図19(d)に示すように、第3作業装置35を制御して、ソーラパネル67を横梁部材66に設置する(ステップS107)。なお、横梁部材66に対するソーラパネル67の位置決めは、ドローン100の撮像装置102の撮像結果に基づいて行えばよく、リファレンス画像を用いたパターンマッチングにより行うことができる。なお、横梁部材66に対するソーラパネル67の位置決めや、横梁部材66に対するソーラパネル67の締結は作業者が行うようにしてもよい。重機制御装置29は、ソーラパネル67を横梁部材66に設置した後に、吸着部75によるソーラパネル67の吸着を解除する。なお、本実施形態では、ソーラパネル67が磁性体であるため、吸着部75は
図19(c)および
図19(d)に示すように、真空吸着部75aと電磁吸着部75bとからなるハイブリッド吸着部とした。
【0094】
重機制御装置29は、ソーラパネル67の設置が終了したか否かを判断する(ステップS108)。重機制御装置29は、次のソーラパネル67の設置があれば(ステップS108/NO)、旋回装置30を180度旋回させてステップS103以降を繰り返す。また、重機制御装置29は、予定していたソーラパネル67の設置が終了していれば(ステップS108/YES)、本フローチャートを終了する。なお、本フローチャートを終了させるに際して、重機制御装置29は、第1作業装置51と第2作業装置52とをイニシャルポジションに戻すとともに、杭打ちシステム1を所定の場所に移動させる。以上、詳述したように第2実施形態においては、杭打ちに続いてソーラパネル67の設置ができるので、効率的な工事が可能となり工期短縮を実現することができる。
【0095】
以上で説明した実施形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。例えば、撮像装置102として赤外線カメラを用いれば夜間においても杭打ち工事を行うことができ、工期を短縮することができる。上述の警告灯やスピーカは本体装置40以外の場所に設けてもよい。また、第1実施形態と、変形例と、第2実施形態とを適宜組み合わせてもよい。
【0096】
また、飛行しているドローン100のバッテリー105残量が少なくなった場合でも飛行していないドローン100は充電を行っているので、飛行させるドローン100を速やかに交換することができるので、ドローン100の飛行時間の制限を実質的に考慮しなくてもよくなる。また、本実施形態によれば、ドローン100が杭打ちシステム1のアシストをするので自動化した建設工事を効率良く実現することができる。
【0097】
発電装置8は、杭打ちシステム1に限らず、バックホウなど建設重機にも設けることができる。この場合、本実施形態のように運転席が無い自動運転タイプに採用することが好適である。また、振動発電素子9は、杭打ちシステム1に限らず、バックホウなど建設重機の走行装置を保持する機械部品や、エンジンにも設けることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 杭打ちシステム
10 ベースマシーン
20 走行装置
29 重機制御装置
30 旋回装置
35 第3作業装置
40 本体装置
41 油圧装置
50 作業装置
51 第1作業装置
52 第2作業装置
60 杭打ちアタッチメント
70 取付けアタッチメント
100 ドローン
102 撮像装置
103 受電装置
104 センサ群
105 バッテリー
108 UAV制御装置