(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132693
(43)【公開日】2022-09-09
(54)【発明の名称】撹拌棒、撹拌装置及び撹拌システム
(51)【国際特許分類】
B01F 31/44 20220101AFI20220902BHJP
B01F 33/453 20220101ALI20220902BHJP
B01F 35/213 20220101ALI20220902BHJP
【FI】
B01F31/44
B01F33/453
B01F35/213
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113753
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2021024117の分割
【原出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】511146163
【氏名又は名称】中村科学器械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】関口 真宏
(57)【要約】
【課題】最適な撹拌条件で撹拌できる撹拌棒を備えた撹拌装置を提供する。
【解決手段】撹拌装置100は、磁石2と、撹拌する溶液の特性を検知する温度センサH1とを備える撹拌棒10Aと、溶液を収容するバイアル6と、バイアル6を載置するマグネティックスターラー9と、を備え、マグネティックスターラー9に備えられた磁性体の磁力により撹拌棒10Aを揺動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石と、撹拌する溶液の特性を検知する検知手段とを備えることを特徴とする、撹拌棒。
【請求項2】
前記検知手段は、温度センサであることを特徴とする、請求項1に記載の撹拌棒。
【請求項3】
前記撹拌棒は、樹脂チューブから構成されており、前記樹脂チューブの中において前記磁石と前記検知手段とが前記撹拌棒の長手方向に隣接して備えられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の撹拌棒。
【請求項4】
前記撹拌棒は、樹脂チューブから構成されており、前記樹脂チューブの中において前記検知手段が前記磁石と前記樹脂チューブとの間に備えられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の撹拌棒。
【請求項5】
撹拌される前記溶液の反応を促進する少なくとも一つの促進手段を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の撹拌棒。
【請求項6】
磁石と、撹拌する溶液の反応を促進する促進手段とを備えることを特徴とする、撹拌棒。
【請求項7】
前記促進手段は、ヒーターであることを特徴とする、請求項5又は6に記載の撹拌棒。
【請求項8】
前記促進手段は、特定の波長の光を発生する発光体であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の撹拌棒。
【請求項9】
前記撹拌棒は、樹脂チューブから構成されており、前記樹脂チューブの中において前記磁石と前記促進手段とが前記撹拌棒の長手方向に隣接して備えられていることを特徴とする、請求項5乃至8の何れか1項に記載の撹拌棒。
【請求項10】
前記撹拌棒は、樹脂チューブから構成されており、前記樹脂チューブの中において前記促進手段が前記磁石と前記樹脂チューブとの間に備えられていることを特徴とする、請求項5乃至8の何れか1項に記載の撹拌棒。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の撹拌棒と、
前記溶液を収容する容器と、
前記容器を載置する本体部と、を備え、
前記本体部に備えられた磁性体の磁力により前記撹拌棒を揺動させる撹拌装置。
【請求項12】
請求項11に記載の撹拌装置を制御する撹拌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌棒及び撹拌棒を用いた撹拌装置及び撹拌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁石を用いた撹拌装置として例えば、特許文献1には、溶液や粒子などの物質の物性を測定するセンサ部と磁性体を備えた回転子を用いて、物性を感知すると共に撹拌することができる撹拌装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された撹拌装置では、容器の底部において回転子が回転することにより、物質がすり潰される虞があり、物質によっては最適な撹拌になっていない。また、撹拌される物質を加熱あるいは保温するには、ホットプレートにより容器を底面から加熱するが、物質によっては最適な加熱になっていない。
【0005】
本発明は、最適な撹拌条件で撹拌できる撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の撹拌装置は、磁石と、撹拌する溶液の特性を検知する検知手段とを備える撹拌棒と、前記溶液を収容する容器と、前記容器を載置する本体部と、を備え、前記本体部に備えられた磁性体の磁力により前記撹拌棒を揺動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、最適な撹拌条件で撹拌できる撹拌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る撹拌装置100の概略図である。
【
図2】(A)実施例1Aの撹拌棒10Aの部分断面図である。(B)実施例1Bの撹拌棒10Bの部分断面図である。(C)実施例1Cの撹拌棒10Cの部分断面図である。
【
図3】(A)実施例2Aの撹拌棒20Aの部分断面図である。(B)実施例2Bの撹拌棒20Bの部分断面図である。
【
図4】(A)実施例3Aの撹拌棒30Aの部分断面図である。(B)実施例3Bの撹拌棒30Bの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明を実施するための例示的な実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の各実施例で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された各実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において、上下とは重力方向における上方向と下方向にそれぞれ対応する。
【0010】
図1は、本発明の揺動部材(撹拌棒)を適用可能な撹拌装置100の概略図であり、
図1を参照して撹拌装置100について説明する。撹拌装置100は、揺動部材(樹脂チューブ1)、揺動部材を支持する支持部材5、溶液を収容するバイアル6(容器)、蓋部材7、防振用シリコンシート8とバイアル6を載置するマグネティックスターラー9(本体部)を備える。防振用シリコンシート8は、バイアル6とマグネティックスターラー9の間に載置して用いられる。
【0011】
マグネティックスターラー9に備えられた不図示の磁性体を動かすことにより、揺動部材が磁性体の磁力により揺動する。撹拌装置100では、いわゆる振り子方式による無摺動撹拌が可能となっており、揺動部材は浮いた状態で揺動し、揺動部材の先端がバイアル6の内部、特に底面を摺動しないので撹拌の時に内容物が擦りつぶされない。このような撹拌装置100は、例えば、晶析操作、分子伸長、固液分散などの用途に適している。
【0012】
揺動部材は、フッ素樹脂チューブ(樹脂チューブ1)で構成され、詳細には透明なフッ素樹脂熱収縮チューブ(耐熱温度200℃)が用いられている。樹脂チューブ1の一端側の内部には、磁石2が設けられており、樹脂チューブ1の一端側と磁石2の間には、フッ素樹脂からなる封止部材3が配置され、樹脂チューブ1は封止(溶液から保護)されている。すなわち、揺動部材の接液部は全てフッ素樹脂で構成されている。磁石2には耐熱磁石であるサマリウムコバルト磁石(耐熱温度350℃)が用いられているので、滅菌処理における高温、高圧の条件に対応することが可能である。
【0013】
樹脂チューブ1の内部には、磁石2、封止部材3の他に、撹拌する溶液の特性を検知する手段4(検知手段)又は撹拌する溶液の変化を促進する手段4(促進手段)が備えられており、手段4に接続している配線4aが図面の上方に延在している。樹脂チューブ1の一端側の反対側である他端側は、支持部材5に固定され、支持部材5はバイアル6の入口に載置されると共に蓋部材7で共締め固定される。手段4に接続している配線4aは、支持部材5の中を貫通し、蓋部材7に形成された孔7aからバイアル6の外部へ延出する。以下、本発明の揺動部材の各実施例について、
図2(A)~
図4(B)を参照して説明する。
【0014】
(実施例1A)
図2(A)は、本発明の実施例1Aの揺動部材(撹拌棒10A)の部分断面図である。撹拌棒10Aは、溶液の温度を検知する検知手段である温度センサS1を備えている。温度センサS1には例示的に熱電対が用いられているが、他のセンサを用いることも可能である。温度センサS1は、磁石2と樹脂チューブ1の間に、磁石2の長手方向に沿って設けられており、樹脂チューブ1によって溶液から保護されている。また、樹脂チューブ1の一端側は、封止部材3で封止されている。温度センサS1からの配線4aは、樹脂チューブ1内を延在して不図示のバイアル6の蓋部材7の孔7aからバイアル6の外部へ延び、不図示の温度測定ユニットに接続される。
【0015】
実施例1Aの撹拌棒10Aには、磁石2の長手方向に沿って温度センサS1が設けられているので、バイアル6の中の溶液の温度を正確に検知することができる。また、このように磁石2の側面に温度センサS1を配置するので、既存の構成に対して比較的簡単に製造することができる。
【0016】
(実施例1B)
次に、実施例1Bについて説明するが、実施例1Aと相違する構成について説明し、同様の構成ついてはその説明を省略する。
図2(B)は、本発明の実施例1Bの撹拌棒10Bの部分断面図である。撹拌棒10Bは、溶液の温度を検知する検知手段である温度センサS2を備えている。
【0017】
温度センサS2は、絶縁体で覆われた熱電対により構成されている。より詳細には、耐薬品性能を有するカップ状の容器に絶縁体が充填されると共に熱電対をモールドすることにより形成され、充填された絶縁体とカップ状の容器により熱電対は溶液から保護されている。温度センサS2は、磁石12に隣接し、実施例1Aにおける封止部材3の替わりに樹脂チューブ1の一端側に設けられる。
【0018】
磁石12には、温度センサS2からの配線4aを通すための貫通孔12aが磁石12の中央に、長手方向に延在して形成されている。配線4aは、この貫通孔12aを通り、樹脂チューブ1内を延在して不図示のバイアル6の蓋部材7の孔7aからバイアル6の外部へ延び、不図示の温度測定ユニットに接続される。
【0019】
実施例1Bの撹拌棒10Bには、撹拌棒10Bの一端側の先端に温度センサS2が設けられているので、温度センサS2を完全に溶液の中に浸すことができ、バイアル6の底部近傍の溶液の温度を正確に検知することができる。また、封止部材3の替わりに温度センサS2が設けられているので、撹拌棒10Bの大きさは既存の物と同程度の大きさとなる。
【0020】
(実施例1C)
次に、実施例1Cについて説明するが、実施例1A、1Bと相違する構成について説明し、同様の構成ついてはその説明を省略する。
図2(C)は、本発明の実施例1Cの撹拌棒10Cの部分断面図である。撹拌棒10Cは、溶液の温度を検知する検知手段である温度センサS3を備えている。温度センサS3は、実施例1Bと同様に絶縁体で覆われており、溶液から保護されている。
【0021】
温度センサS3は、磁石2に隣接して封止部材3の反対側に設けられる。樹脂チューブ1の一端側は、封止部材3で封止されている。温度センサS3からの配線4aは、樹脂チューブ1内を延在して不図示のバイアル6の蓋部材7の孔7aからバイアル6の外部へ延び、不図示の温度測定ユニットに接続される。
【0022】
実施例1Cの撹拌棒10Cには、撹拌棒10Cの一端側の反対側に温度センサS3が設けられているので、バイアル6の上層部の溶液の温度を正確に検知することができる。また、このように磁石2の上側に温度センサS3を配置するので、既存の構成に対して比較的簡単に製造することができる。
【0023】
以上、実施例1A~1Cの各撹拌棒10A~10Cには、それぞれ温度センサS1~S3が内蔵されているので、別体でセンサを配置する必要がない。また、温度センサS1~S3を内蔵した撹拌棒10A~10Cが振り子のように撹拌するので、撹拌時に物質を擦りつぶす虞が無い。実施例1A~1Cによれば、溶液の温度を測定することができるので温度に関する撹拌条件を検知することが可能となる。温度の調整は、不図示の加熱装置で行うことが可能である。本発明によれば、最適な撹拌条件で撹拌することができる撹拌棒10A~10Cを提供すると共に、そのような撹拌棒10A~10Cの何れかを備えた撹拌装置100を提供することができる。
【0024】
(実施例2A)
図3(A)は、本発明の実施例2Aの撹拌棒20Aの部分断面図である。撹拌棒20Aは、溶液を加熱し、溶液の変化(反応)を促進する促進手段であるヒーターH1を備えている。ヒーターH1には例示的にフィルムヒーターが用いられているが、他の形態の加熱要素を用いることも可能である。ヒーターH1は磁石2と樹脂チューブ1の間に設けられており、溶液から保護されている。また、ヒーターH1はチューブ状あるいはシート状の形状をしており、磁石2と封止部材3の一部を取り囲むように配置されている。樹脂チューブ1の一端側は、封止部材3で封止されている。ヒーターH1からの配線4aは、樹脂チューブ1内を延在して不図示のバイアル6の蓋部材7の孔7aからバイアル6の外部へ延び、不図示のヒーター制御ユニットに接続される。
【0025】
従来では、水浴、湯浴やヒートブロックによる加熱であるが、これらはバイアル6を外側から加熱するため、装置が大型化し、また撹拌対象を直接加熱するには至っていなかった。一方、実施例2Aの撹拌棒20Aには、磁石2と封止部材3の一部の周囲を取り囲むように広範囲にヒーターH1が設けられているので、バイアル6の中の溶液を効率的に加熱することができる。また、このように磁石2と封止部材3の一部の周囲にヒーターH1を配置するので、既存の構成に対して比較的簡単に製造することができる。更に、実施例1Bの温度センサS2、実施例1Cの温度センサS3を組み合わせることが可能で、溶液の温度を測定しながら溶液を加熱することが可能となる。
【0026】
(実施例2B)
次に、実施例2Bについて説明するが、実施例2Aと相違する構成について説明し、同様の構成ついてはその説明を省略する。
図3(B)は、本発明の実施例2Bの撹拌棒20Bの部分断面図である。撹拌棒20Bは、溶液を加熱し、溶液の変化(反応)を促進する促進手段であるヒーターH2を備えている。
【0027】
ヒーターH2には例示的にカートリッジヒーターが用いられているが、他の形態の加熱要素を用いることも可能である。カートリッジヒーターは、電熱線を金属のパイプで保護した棒状の発熱要素である。ヒーターH2は、磁石22に隣接し、実施例2Aの封止部材3の替わりに樹脂チューブ1の一端側に設けられる。
【0028】
磁石22には、ヒーターH2からの配線4aを通すための貫通孔22aが磁石22の中央に、長手方向に延在して形成されている。配線4aは、この貫通孔22aを通り、樹脂チューブ1内を延在して不図示のバイアル6の蓋部材7の孔7aからバイアル6の外部へ延び、不図示の温度測定ユニットに接続される。
【0029】
実施例2Bの撹拌棒20Bには、撹拌棒20Bの一端側の先端にヒーターH2が設けられているので、ヒーターH2を完全に溶液の中に浸すことができ、バイアル6の底部近傍の溶液を加熱することができる。また、封止部材3の替わりにヒーターH2が設けられているので、撹拌棒20Bの大きさは既存の物と同程度の大きさとなる。更に、撹拌棒20Bには、実施例1Aの温度センサS1又は実施例1Cの温度センサS3を組み合わせることが可能で、溶液の温度を測定しながら溶液を加熱することが可能となる。
【0030】
以上、実施例2A、2Bの撹拌棒20A、20Bには、それぞれヒーターH1、ヒーターH2が内蔵されているので、別体で加熱要素を配置する必要がない。また、ヒーターH1、ヒーターH2を内蔵した撹拌棒20A、20Bが振り子のように撹拌するので、撹拌時に物質を擦りつぶす虞がない。実施例2A、2Bによれば、溶液を加熱することができるので、最適な温度となる撹拌条件で撹拌することができる撹拌棒20A、20Bを提供すると共に、そのような撹拌棒20A、20Bの何れかを備えた撹拌装置100を提供することができる。
【0031】
(実施例3A)
図4(A)は、本発明の実施例3Aの撹拌棒30Aの部分断面図である。撹拌棒30Aは、溶液を照射し、溶液の変化(反応)を促進する促進手段である特定の波長の光を発生する発光体L1を備えている。発光体L1には例示的にLED照明が用いられているが、他の形態の発光要素を用いることも可能である。発光体L1は、磁石32に隣接し、実施例1Aの封止部材3の替わりに樹脂チューブ1の一端側に設けられる。
【0032】
磁石32には、発光体L1からの配線4aを通すための貫通孔32aが磁石32の中央に、長手方向に延在して形成されている。配線4aは、この貫通孔32aを通り、樹脂チューブ1内を延在して不図示のバイアル6の蓋部材7の孔7aからバイアル6の外部へ延び、不図示の照明制御ユニットに接続される。
【0033】
実施例3Aの撹拌棒30Aには、撹拌棒30Aの一端側の先端に発光体L1が設けられているので、発光体L1を完全に溶液の中に浸すことができ、バイアル6の底部近傍の溶液を照射することができる。また、封止部材3の替わりに発光体L1が設けられているので、撹拌棒30Aの大きさは既存の物と同程度の大きさとなる。溶液を照射することによって、例えば光合成を促進させたりすることが可能となる。
【0034】
(実施例3B)
次に、実施例3Bについて説明するが、実施例3Aと相違する構成について説明し、同様の構成ついてはその説明を省略する。
図4(B)は、本発明の実施例3Bの撹拌棒30Bの部分断面図である。撹拌棒30Bは、溶液を照射し、溶液の変化(反応)を促進する促進手段である発光体L2を備えている。
【0035】
発光体L2は、磁石2に隣接して封止部材3の反対側に設けられる。樹脂チューブ1の一端側は、封止部材3で封止されている。発光体L2からの配線4aは、樹脂チューブ1内を延在して不図示のバイアル6の蓋部材7の孔7aからバイアル6の外部へ延び、不図示の温度測定ユニットに接続される。
【0036】
実施例3Bの撹拌棒30Bには、撹拌棒30Bの一端側の反対側に発光体L2が設けられているので、バイアル6の上層部の溶液を照射することができる。また、このように磁石2の上側に発光体L2を配置するので、既存の構成に対して比較的簡単に製造することができる。
【0037】
以上、実施例3A、3Bの撹拌棒30A、30Bには、それぞれ発光体L1、発光体L2が内蔵されているので、別体で照明要素を配置する必要がない。また、発光体L1、発光体L2を内蔵した撹拌棒30A、30Bが振り子のように撹拌するので、撹拌時に物質を擦りつぶす虞がない。実施例3A、3Bによれば、溶液を照射することができるので、最適な照度となる撹拌条件で撹拌することができる撹拌棒30A、30Bを提供すると共に、そのような撹拌棒30A、30Bの何れかを備えた撹拌装置100を提供することができる。
【0038】
本発明の撹拌装置100は、不図示の制御装置により、検知手段の検出値に基づいてマグネティックスターラー9に備えられた磁性体の駆動周期、促進手段の駆動等が制御される撹拌システムを構成することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 樹脂チューブ
2、12、22、32 磁石
6 バイアル(容器)
9 マグネティックスターラー(本体部)
10A、10B、10C 撹拌棒
20A、20B 撹拌棒
30A、30B 撹拌棒
100 撹拌装置
H1、H2 ヒーター(促進手段)
L1、L2 発光体(促進手段)
S1、S2、S3 温度センサ(検知手段)
【手続補正書】
【提出日】2022-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石と、撹拌する溶液の反応を促進する促進手段とを備える撹拌棒において、
前記撹拌棒は、樹脂チューブから構成されており、前記樹脂チューブの中において前記磁石と前記促進手段とが前記撹拌棒の長手方向に隣接して備えられており、
前記撹拌棒は、磁力により揺動可能であることを特徴とする、撹拌棒。
【請求項2】
磁石と、撹拌する溶液の反応を促進する促進手段とを備える撹拌棒において、
前記撹拌棒は、樹脂チューブから構成されており、前記樹脂チューブの中において前記促進手段が前記磁石と前記樹脂チューブとの間に備えられており、
前記撹拌棒は、磁力により揺動可能であることを特徴とする、撹拌棒。
【請求項3】
前記撹拌棒の一端側の先端に前記促進手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の撹拌棒。
【請求項4】
前記促進手段は、前記溶液を加熱するヒーターであることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の撹拌棒。
【請求項5】
前記撹拌棒の一端側の先端から順に封止部材、前記磁石、前記促進手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の撹拌棒。
【請求項6】
前記促進手段は、特定の波長の光を発生する発光体であって、前記溶液を照射することを特徴とする、請求項1又は3又は5に記載の撹拌棒。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の撹拌棒と、
前記溶液を収容する容器と、
前記容器を載置する本体部と、を備え、
前記本体部には磁性体が備えられ、前記磁力は前記磁性体により発生し、前記磁力により前記撹拌棒を揺動させる撹拌装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撹拌装置を制御する撹拌システム。