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特開2022-132717チップトレイ、チップ保持装置、および外観検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132717
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】チップトレイ、チップ保持装置、および外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20220906BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01L21/68 U
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031324
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山下 元気
(72)【発明者】
【氏名】小寺 秀和
(72)【発明者】
【氏名】久保 祐輝
【テーマコード(参考)】
2G051
5F131
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB01
2G051AB02
2G051BB03
2G051CA04
2G051DA01
2G051DA07
2G051EA12
2G051EB01
5F131AA04
5F131CA32
5F131GA05
5F131GA33
5F131GA42
5F131GA52
5F131GA66
5F131GA94
5F131KA12
5F131KA42
5F131KB03
5F131KB04
5F131KB52
(57)【要約】
【課題】複数のチップ部品をまとめて渡すことができるチップトレイ、チップ保持装置、および外観検査装置を提供する。
【解決手段】複数のチップ部品を並べて支持するチップトレイであり、突出した形状に形成された突出部を有する載置テーブルに載置される際に、当該突出部へ、複数の前記チップ部品をまとめて保持させるための前記チップトレイであって、前記載置テーブルに載置される場合において、底部から前記突出部が貫通するよう設けられた開口部と、前記チップ部品が、前記開口部を貫通した前記突出部に保持されるような所定位置に各々の前記チップ部品を位置決めする位置決め部と、を備えた構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチップ部品を並べて支持するチップトレイであり、突出した形状に形成された突出部を有する載置テーブルに載置される際に、当該突出部へ、複数の前記チップ部品をまとめて保持させるための前記チップトレイであって、
前記載置テーブルに載置される場合において、
底部から前記突出部が貫通するよう設けられた開口部と、
前記チップ部品が、前記開口部を貫通した前記突出部に保持されるような所定位置に各々の前記チップ部品を位置決めする位置決め部と、を備えたことを特徴とするチップトレイ。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記チップ部品の外周よりも大きく形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載のチップトレイ。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記所定位置に支持される前記チップ部品の外周を囲むように設けられた複数の突起物であることを特徴とする請求項1に記載のチップトレイ。
【請求項4】
各々の前記チップ部品を支持した状態において、
前記チップ部品の側面を把持して前記チップ部品を移動させるチップ把持部が、前記チップ部品の側面にアクセスすることが可能な溝、または開口により形成されたアクセス部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のチップトレイ。
【請求項5】
外形が略円形であり、一部にオリフラまたはノッチを有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のチップトレイ。
【請求項6】
少なくとも前期チップ部品を支持する領域近傍が、略黒色であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のチップトレイ。
【請求項7】
複数のチップ部品をまとめて保持するチップ保持装置であって、
各々の前記チップ部品を所定位置に並べて支持するチップトレイにより、各々の前記チップ部品をまとめて渡されて保持する載置テーブルを備えており、
前記載置テーブルは、前記載置テーブルの表面上から突出して設けられた突出部を有し、
前記チップトレイが、前記載置テーブルに載置される場合に、底部から前記突出部が貫通するよう設けられた開口部と、前記チップ部品が前記開口部を貫通した前記突出部に保持されるような所定位置に各々の前記チップ部品を位置決めする位置決め部と、を有していることを特徴とするチップ保持装置。
【請求項8】
前記突出部は、前記チップ部品を保持した場合において、前記突出部の高さ寸法と前記チップ部品の高さ寸法とを合わせた寸法が、前記チップトレイの高さ寸法と比較して同一または大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項7に記載のチップ保持装置。
【請求項9】
前記突出部の前記頭頂部には、前記チップ部品を吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とする請求項7若しくは請求項8のいずれかに記載のチップ保持装置。
【請求項10】
チップ部品の外観検査を行うための外観検査装置であって、
複数の前記チップ部品をまとめて保持する載置テーブルを有するチップ保持装置と、
各々の前記チップ部品を所定位置に並べて支持し、前記載置テーブルに各々の前記チップ部品をまとめて渡すチップトレイと、
光学的手段によって前記載置テーブルに保持された前記チップ部品の外観検査を行う検査手段と、を備えており、
前記載置テーブルは、前記載置テーブルの表面上から突出して設けられた突出部を有し、
前記チップトレイが、前記載置テーブルに載置される場合に、前記本体部の底部から前記突出部が貫通するようにして設けられた開口部と、前記チップ部品が前記開口部を貫通した前記突出部に保持されるような所定位置に各々の前記チップ部品を位置決めする位置決め部と、を有しており、
前記突出部は、前記チップ部品を保持した場合において、前記突出部の高さ寸法と前記チップ部品の高さ寸法とを合わせた寸法が、前記チップトレイの高さ寸法と比較して同一または大きくなるよう形成されていることを特徴とする外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチップ部品をまとめて渡すチップトレイ、チップ保持装置、および外観検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスやICチップ、LEDチップなどのチップ部品の搬送のために、チップトレイと呼ばれる、複数の区画されたポケットを有するワッフル形状のチップトレイが用いられている(たとえば、特許文献1)。このチップトレイは、複数のチップ部品のそれぞれを各々のポケットに収納している。すなわち、チップトレイは複数のチップ部品を並べるようにして支持している。
【0003】
複数のチップ部品を支持したチップトレイは、カセットやマガジン、フープと呼ばれる多段収納治具に収納され、ここから一枚ずつ搬送ロボットで抜き出されて、チップ部品の外観検査を行う外観検査装置(たとえば、特許文献2)へと搬送される形態が一般的である。
【0004】
ここで、外観検査装置は、チップトレイを載置する載置テーブルと、チップ部品の外観検査を行う検査手段とを備えており、載置テーブルにチップトレイが載置される。そして、検査手段により載置テーブルに載置されたチップトレイが支持する複数のチップ部品のそれぞれの外観検査を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-240697号公報
【特許文献2】特開2010-164534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記外観検査装置では、自身の載置テーブルに載置された上記チップトレイが支持する複数のチップ部品のそれぞれの外観検査を行うようになっているが、このとき、チップ部品の外周がポケットにより囲まれているため、チップ部品に外観検査を行うことができないエリア(以下、非検査エリア)が生じる虞があった。これに対し、非検査エリアが生じることを防ぐことができるよう、チップ部品を一つずつ載置テーブルに渡して載置させることが考えられる。しかし、これは効率が悪く非現実的である。
【0007】
本発明は、上記の問題点を鑑みてされたものであり、複数のチップ部品をまとめて渡すことができるチップトレイ、チップ保持装置、および外観検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のチップトレイは、複数のチップ部品を並べて支持するチップトレイであり、突出した形状に形成された突出部を有する載置テーブルに載置される際に、当該突出部へ、複数の前記チップ部品をまとめて保持させるための前記チップトレイであって、前記載置テーブルに載置される場合において、底部から前記突出部が貫通するよう設けられた開口部と、前記チップ部品が、前記開口部を貫通した前記突出部に保持されるような所定位置に各々の前記チップ部品を位置決めする位置決め部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
上記チップトレイによれば、開口部と位置決め部とを備えている。そのため、チップトレイは、載置テーブルに載置される場合において、位置決め部により複数のチップ部品のそれぞれを載置テーブルの突出部に保持させるような所定位置に位置決めし、各々のチップ部品を並べて支持しているので、底部から開口部を通じて突出した載置テーブルの突出部に各々のチップ部品をまとめて保持させることが可能となる。すなわち、チップトレイに並べて支持した複数のチップ部品を載置テーブルにまとめて渡すことが可能となる。
【0010】
また、前記位置決め部は、前記チップ部品の外周よりも大きく形成された凹部であってもよい。
【0011】
この構成によれば、複雑な構成を必要とせずにチップ部品を所定位置に位置決めすることが可能となる。
【0012】
また、前記位置決め部は、前記所定位置に支持される前記チップ部品の外周を囲むように設けられた複数の突起物であってもよい。
【0013】
この構成によれば、複雑な構成を必要とせずにチップ部品を所定位置に位置決めすることが可能となる。
【0014】
また、各々の前記チップ部品を支持した状態において、前記チップ部品の側面を把持して前記チップ部品を移動させるチップ把持部が、前記チップ部品の側面にアクセスすることが可能な溝、または開口により形成されたアクセス部を備える構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、アクセス部を備えることにより、チップ把持部によってチップ部品を把持しやすくすることができる。
【0016】
また、外形が略円形であり、一部にオリフラまたはノッチを有している構成としてもよい。
【0017】
この構成によれば、チップトレイを所定の位置および角度に位置決めすることが可能となる。
【0018】
また、少なくとも前期チップ部品を支持する領域近傍が、略黒色であってもよい。
【0019】
この構成によれば、チップトレイに光が当てられる場合に、光が反射することを防ぐことが可能となる。
【0020】
上記課題を解決するための本発明のチップ保持装置は、複数のチップ部品をまとめて保持するチップ保持装置であって、各々の前記チップ部品を所定位置に並べて支持するチップトレイにより、各々の前記チップ部品をまとめて渡されて保持する載置テーブルを備えており、前記載置テーブルは、前記載置テーブルの表面上から突出して設けられた突出部を有し、前記チップトレイが、前記載置テーブルに載置される場合に、底部から前記突出部が貫通するよう設けられた開口部と、前記チップ部品が前記開口部を貫通した前記突出部に保持されるような所定位置に各々の前記チップ部品を位置決めする位置決め部と、を有していることを特徴としている。
【0021】
上記チップ保持装置によれば、載置テーブルと、この載置テーブルの表面上から突出して設けられた突出部とを有しており、開口部と位置決め部とを有したチップトレイが載置テーブルに載置されるとき、突出部が開口部を通じてチップトレイの底部から突出するので、チップトレイが並べて支持する各々のチップ部品をまとめて保持することが可能となる。すなわち、チップトレイに並べて支持した複数のチップ部品を載置テーブルにまとめて渡すことが可能となる。
【0022】
また、前記突出部は、前記チップ部品を保持した場合において、前記突出部の高さ寸法と前記チップ部品の高さ寸法とを合わせた寸法が、前記チップトレイの高さ寸法と比較して同一または大きくなるよう形成されている構成としてもよい。
【0023】
この構成によれば、光が当たらない部分がチップ部品に生じないようにチップ部品を保持することが可能となる。
【0024】
また、前記突出部の前記頭頂部には、前記チップ部品を吸引する吸引手段が設けられている構成としてもよい。
【0025】
この構成によれば、突出部がチップ部品を保持するときにチップ部品を吸引することができるので、チップ部品をより精度よく保持することが可能となる。
【0026】
上記課題を解決するための本発明の外観検査装置は、チップ部品の外観検査を行うための外観検査装置であって、複数の前記チップ部品をまとめて保持する載置テーブルを有するチップ保持装置と、各々の前記チップ部品を所定位置に並べて支持し、前記載置テーブルに各々の前記チップ部品をまとめて渡すチップトレイと、光学的手段によって前記載置テーブルに保持された前記チップ部品の外観検査を行う検査手段と、を備えており、前記載置テーブルは、前記載置テーブルの表面上から突出して設けられた突出部を有し、前記チップトレイが、前記載置テーブルに載置される場合に、前記本体部の底部から前記突出部が貫通するようにして設けられた開口部と、前記チップ部品が前記開口部を貫通した前記突出部に保持されるような所定位置に各々の前記チップ部品を位置決めする位置決め部と、を有しており、前記突出部は、前記チップ部品を保持した場合において、前記突出部の高さ寸法と前記チップ部品の高さ寸法とを合わせた寸法が、前記チップトレイの高さ寸法と比較して同一または大きくなるよう形成されていることを特徴としている。
【0027】
上記外観検査装置によれば、検査手段を有しており、開口部と位置決め部とを有したチップトレイが、表面上から突出して設けられた突出部を有する載置テーブルに載置されるとき、チップトレイが並べて支持する複数のチップ部品のそれぞれが載置テーブルにまとめて渡される。そして、突出部の高さ寸法とチップ部品の高さ寸法とを合わせた寸法が、チップトレイの高さ寸法と比較して同一または大きくなるよう形成され突出部により各々のチップ部品が保持されるので、検査手段によってチップ部品に非検査エリアを生じさせることなくチップ部品を検査することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のチップトレイ、チップ保持装置、および外観検査装置によれば、複数のチップ部品をまとめて渡すことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態における外観検査装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態におけるチップトレイを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A矢視図である。
図3】本発明の一実施形態におけるチップ保持装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B矢視図である。
図4】本発明の一実施形態における突出部を示す図である。
図5】本発明の一実施形態におけるチップトレイのバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態におけるチップトレイ、チップ保持装置、および外観検査装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX軸方向、Y軸方向と表現し、XY平面と垂直な方向(つまり、鉛直方向)をZ軸方向と表現する。
【0031】
図1は、一実施形態における外観検査装置1を概略的に示す図である。図2は、一実施形態におけるチップトレイ3を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A矢視図である。図3は、一実施形態におけるチップ保持装置2を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B矢視図である。図4は、一実施形態における突出部を示す図である。
【0032】
外観検査装置1は、チップ部品Wの外観検査を行うためのものである。本実施形態における外観検査装置1は、図1に示すように移動ステージ13を備えている。移動ステージ13は、X軸スライダ14と、Y軸スライダ15とを含み、X軸スライダ14は台部12上に配置され、Y軸スライダ15はX軸スライダ14上に配置されている。
【0033】
また、外観検査装置1は、チップ部品Wを保持するチップ保持装置2(詳細は後述する)を備えている。チップ保持装置2は、Y軸スライダ15上に配置されている。そして、チップ保持装置2は、移動ステージ13によってX軸方向およびY軸方向に移動されるように構成されている。また、チップ保持装置2は、複数のチップ部品Wを並べて支持するチップトレイ3(詳細は後述する)を載置するように構成されている。
【0034】
なお、チップ部品Wは、たとえば半導体チップやICチップ、LEDチップなどのことである。
【0035】
また、外観検査装置1は、チップ部品Wの外観検査を行う検査手段11を備えている。検査手段11は、光学的手段によってチップ部品Wの外観検査を行い、チップ部品Wの欠陥や異物の有無を検査するためのものである。本実施形態における検査手段11は、チップ部品Wの撮像を行う撮像部11aと、撮像部11aによる撮像のために必要な光(以下、照明光)をチップ部品Wに向けて照射する照明11fと、撮像部11aにより撮像された画像をもとにチップ部品Wの検査を行う検査部11bにより構成されている。
【0036】
撮像部11aは、チップ保持装置2に保持されたチップ部品Wを撮像するためのものであり、チップ部品Wの撮像を行い、その撮像したチップ部品Wの画像を検査部11bに出力する。本実施形態における撮像部11aは、カメラ11cと、鏡筒11dと、対物レンズ11eにより構成される。なお、対物レンズ11eは、倍率の異なるものを複数備えてもよく、これら倍率の異なる対物レンズ11eをレボルバーと呼ばれる回転機構で切替えできる構成としてもよい。また、撮像部11aは、複数のチップ部品Wを一括して撮像してもよい。以下の説明では、撮像部11aが撮像するこれら対象を総称して撮像対象と呼ぶ。
【0037】
また、撮像部11aは、撮像部11aに対して相対的に移動するチップ部品Wを順次、撮像する。具体的には、チップ部品Wが、前述した移動ステージ13により撮像部11aに対してX軸方向またはY軸方向に相対的に移動させられながら撮像部11aに撮像される。
【0038】
照明11fは、撮像部11aによる撮像のために必要な照明光を撮像対象に向けて照射するものである。本実施形態における照明11fは、鏡筒11dの側部に取り付けられ、鏡筒11d内に組み込まれたプリズムやハーフミラー等で撮像光軸と合致した状態で、対物レンズ11eを通じて撮像対象に照明光を照射する。
【0039】
検査部11bは、撮像部11aが撮像したチップ部品Wの画像情報をもとにチップ部品Wの欠陥や異物の有無を検査するためのものである。この検査部11bは、たとえば、汎用のコンピュータ装置によって構成されており、図示しない記憶手段と、図示しない画像処理手段とを備えている。
【0040】
記憶手段は、チップ部品Wの検査基準となる良品画像が予め記憶されるものである。ここでいう良品画像とは、欠陥や異物がないチップ部品Wを撮像して得られた画像のことである。また、ここでいう「予め」とは、検査対象のチップ部品Wを検査する前を意味する。また、この記憶手段には、様々なパターンの良品画像が記憶されているとよい。これにより、様々な種類のチップ部品Wに対応することができる。
【0041】
画像処理手段は、撮像部11aにより撮像された画像を処理するためのものである。具体的には、撮像部11aにより撮像された画像を取得し、取得した画像に対して所定の画像処理(たとえば、フィルタ処理など)を行う。そして、処理後の画像(検査対象)と、前述した記憶手段により記憶された良品画像を比較して検査処理を行う。これらの構成により、チップ部品Wの欠陥や異物の有無を検査することができる。
【0042】
また、検査手段11により、外観検査が行われる複数のチップ部品Wは、チップトレイ3に並べて支持された状態でチップ保持装置2上に順次搬送される。具体的には、複数のチップ部品Wを支持したチップトレイ3は、外観検査が行われるまで図示しない多段収納治具(たとえば、カセットやマガジン、フープ)に収納されている。この多段収納治具から図示しない搬送ロボットによりチップトレイ3が一枚ずつ抜き出されて、チップトレイ3がチップ保持装置2上に搬送され、載置される。
【0043】
そして、チップトレイ3が、チップ保持装置2に載置される過程で、チップトレイ3はチップ保持装置2へ複数のチップ部品Wをまとめて渡す。すなわち、検査手段11は、チップ保持装置2がチップトレイ3から渡された複数のチップ部品Wを保持した状態で、チップ部品Wの外観を検査する。
【0044】
チップ保持装置2は、複数のチップ部品Wを保持するためのものであり、本実施形態では、チップトレイ3が載置され、複数のチップ部品Wを保持する載置テーブル21により構成されている。
【0045】
本実施形態における載置テーブル21は、図3(a)および図3(b)に示すようにチップトレイ3が載置される載置面22と、載置面22(載置テーブル21の表面)上から突出して設けられた突出部23により構成されている。この突出部23は、複数のチップ部品Wのそれぞれに対して個別に設けられるとよい。そして、この突出部23の平坦に形成された頭頂部24でチップ部品を保持する。すなわち、載置テーブル21は、チップトレイ3を載置面22に載置することで、突出部23の頭頂部24でチップ部品Wを保持することができる。以下に、これを実現するためのチップトレイ3の構成を説明する。
【0046】
チップトレイ3は、複数のチップ部品Wを載置テーブル21にまとめて渡すものであり、本実施形態では、図2(a)に示すように外形が略円形に形成されている。また、この略円形の形状の一部にオリフラまたはノッチを有している。これにより、チップトレイ3が載置テーブル21の所定の位置、角度で載置されるよう位置決めすることができる。すなわち、確実にチップ部品Wを突出部23に渡すことができる。また、チップトレイ3は略黒色(たとえば、黒色や赤褐色など)であるとよい。これにより、検査手段11の照明により照明光が照射される際に、照明光が反射しにくくなっている。すなわち、外観検査時に照明光が反射することで生じる悪影響を防ぐことができる。なお、このチップトレイ3は、プラスチックなどの樹脂やアルミ等により形成されている。
【0047】
また、チップトレイ3は、図3(a)および図3(b)に示すように載置テーブル21に載置される場合において、底部から突出部23が貫通するよう設けられた開口部31と、チップ部品Wが開口部31を貫通した突出部23に保持されるような所定位置に複数のチップ部品Wのそれぞれを位置決めする位置決め部32により構成されている。
【0048】
開口部31は、所謂開口のことであり、本実施形態では複数のチップ部品Wのそれぞれに対して個別に設けられ、複数の開口部31同士が所定の間隔を空けて配置されている。そして、この開口部31上にチップ部品Wが支持される。また、この開口部31の寸法は、チップ部品Wよりも小さく突出部23の頭頂部24よりも大きくなっている。ここで、突出部23の高さ寸法は、開口部31の深さよりも大きくなっている。これにより、チップ部品31が開口部31から落下することなく、チップトレイ3を載置テーブル21に載置したときに、チップ部品Wがチップトレイ3の底部から開口部31を貫通した突出部23により保持される。
【0049】
位置決め部32は、チップトレイ3が載置テーブル21に載置される場合に、チップ部品Wが開口部31を貫通した突出部23に保持されるような所定位置にチップ部品Wを位置決めするためのものである。本実施形態における位置決め部32は、図2(a)および図2(b)に示すようにチップ部品Wを落とし込むための凹部32aにより構成されており、この凹部32aはチップ部品Wの外周よりも大きく形成されている。そのため、凹部32aにチップ部品Wを落とし込むことによりチップ部品Wを所定位置に位置決めすることができる。すなわち、複雑な構成を必要とせずにチップ部品Wを所定位置に位置決めすることが可能となる。また、位置決め部32は、複数のチップ部品Wのそれぞれに対応する所定位置のすべてに設けられる。これにより、複数のチップ部品Wのそれぞれを位置チップトレイ3の所定位置に並べて支持できる。
【0050】
これら構成により、複数のチップ部品Wを支持するチップトレイ3は、載置テーブル21の載置面22に載置されるときに、複数のチップ部品Wをまとめて突出部23に渡すことが可能となる。
【0051】
また、チップトレイ3にチップ部品Wを並べる、チップトレイ3に支持されたチップ部品Wを移動させる動作は、図示しないチップ把持部(たとえば、ピンセット)によって行われる。このチップ把持部は、チップ部品Wの側面を把持することで、チップ部品Wを並べる、移動させる動作を行うことができるようになっている。ここで、チップトレイ3には、チップ把持部がチップ部品Wの側面にアクセスすることを可能にするアクセス部33が設けられてもよい。本実施形態におけるアクセス部33は、溝または開口によって形成されている。このアクセス部33にチップ把持部を挿入することで、チップ把持部がチップ部品Wの側面にアクセスすることができる。これにより、チップ把持部がチップ部品Wを把持しやすくなる。すなわち、チップ把持部がチップ部品Wを把持した状態で、チップ部品Wを凹部32aに配置することができる。
【0052】
また、チップトレイ3におけるチップ部品Wを支持する面は、それぞれ平行であるとよい。そして、このチップトレイ3におけるチップ部品Wを支持する面は、突出部23の頭頂部24とも平行であるとよい。これにより、チップトレイ3を載置テーブル21に載置するときに、チップ部品Wの底面と突出部23の頭頂部24とが平行な状態でチップ部品Wを渡すことができる。すなわち、チップ部品Wをチップトレイ3から突出部23に渡すときにチップ部品Wがバタつくことを防ぐことができる。これにより、突出部23にチップ部品Wを精度よく保持させることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態における突出部23は、突出部23の高さ寸法が、チップトレイ3の高さ寸法と比較して大きくなるように形成されている。具体的には、突出部23は、図4に示すように突出部23の高さ寸法Sが、チップトレイ3の高さ寸法Uよりも大きくなるよう形成されている。そのため、チップ部品Wの外周が曝された状態で保持することができる。これにより、外観検査時に照明光が当たらない部分がチップ部品Wに生じることを防ぐことが可能となる。すなわち、外観検査ができない部分がチップ部品Wに生じることを防ぐことができる。なお、突出部23は、チップ部品Wを保持した場合において、突出部23の高さ寸法とチップ部品Wの高さ寸法とを合わせた寸法が、チップトレイ3の高さ寸法と比較して同一または大きくなるように形成されていてもよい。具体的には、突出部23は、図4に示すように突出部23の高さ寸法Sとチップ部品Wの高さ寸法Tの合計が、チップトレイ3の高さ寸法Uと同一、または突出部23の高さ寸法Sとチップ部品Wの高さ寸法Tの合計が、チップトレイ3の高さ寸法Uよりも大きくなるよう形成されている。これにより、外観検査時に最低でもチップ部品Wの表面(天部の面)に照明光を当てることができる。
【0054】
また、突出部23は、吸引口25を備えていてもよい。この吸引口25は、チップ部品Wの底面からチップ部品Wを吸引するためのものであり、本実施形態では、図3(a)および図3(b)に示すように突出部23の頭頂部24に設けられている。この吸引口25は、図示しない吸引手段(たとえば、ポンプなど)に接続され、吸引手段を動作させることで吸引力を発生させる。これにより、突出部23に保持されたチップ部品Wの底面を吸引することができるので、チップ部品Wが位置ずれすることを防ぐことができる。また、仮にチップトレイ3におけるチップ部品Wを支持する面が平行でない場合であっても、チップ部品Wを精度よく保持することができる。また、検査手段11によってチップ部品Wの外観検査が行われるときに、載置テーブル21の移動が伴ったとしても、チップ部品Wが突出部23上で動くことを防ぐことができる。
【0055】
また、突出部23は、スリット部26を備えていてもよい。本実施形態におけるスリット部26は、突出部23の頭頂部24にチップ部品Wが保持された場合において、図3(b)に示すようにチップ部品Wの底面と吸引口25の間に位置するよう設けられ、図3(a)に示すようにX軸方向に長くY軸方向に狭いスリットと、Y軸方向に長くX軸方向に狭いスリットにより構成されている。これらスリットが交差する位置に吸引口25が配置される。そして、吸引口25は、このスリット部26を介してチップ部品Wの底面を吸引する。これにより、吸引力がスリット部26に発生するので、チップ部品Wの底面の全体に吸引力を作用させることができる。すなわち、吸引口25のみでチップ部品Wの底面を吸引してチップ部品Wを保持する場合と比べて、外観検査時に載置テーブル2の移動が伴ったとしても、チップ部品Wが突出部23上で動くことを確実に防ぐことができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述したが、各実施形態における構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の追加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。たとえば、位置決め部32が、所定位置に支持されるチップ部品Wの外周を囲むように設けられた複数の突起物であってもよい。具体的には、位置決め部32は、図5(a)および図5(b)に示すように複数のガイドピン32bにより構成され、少なくとも所定位置で支持されるチップ部品Wの二つの角部を囲むようにして設けられている。そして、ガイドピン32bにしたがって、チップ部品Wを配置することで、チップ部品Wを所定位置に位置決めすることができる。すなわち、複雑な構成を必要とせずにチップ部品Wを所定位置に位置決めすることが可能となる。なお、位置決め部32がガイドピン32bにより構成されている場合、このガイドピン32bの高さ寸法Pとチップトレイ3の高さ寸法Qの合計が、チップトレイ3の高さ寸法Uとなる。すなわち、外観検査時に照明光が当たらない部分がチップ部品Wに生じることを防ぐことができる。
【0057】
また、上記実施形態では、開口部31が複数のチップ部品Wのそれぞれに対して個別に設けられている例について説明したが、これに限られない。たとえば、隣接する開口部31同士が繋がるように形成されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 外観検査装置
11 検査手段
11a 撮像部
11b 検査部
11c カメラ
11d 鏡筒
11e 対物レンズ
11f 照明
12 台部
13 移動ステージ
14 X軸スライダ
15 Y軸スライダ
2 チップ保持装置
21 載置テーブル
22 載置面
23 突出部
24 頭頂部
25 吸引口
26 スリット部
3 チップトレイ
31 開口部
32 位置決め部
32a 凹部
32b ガイドピン
33 アクセス部
W チップ部品
図1
図2
図3
図4
図5