(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132764
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】鶏肉用ハモネロ
(51)【国際特許分類】
A47J 43/28 20060101AFI20220906BHJP
A22C 21/00 20060101ALI20220906BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20220906BHJP
B25H 1/10 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A47J43/28
A22C21/00 Z
B26D3/28 640
B25H1/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031397
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】519102819
【氏名又は名称】株式会社白雉
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】福吉 正明
【テーマコード(参考)】
3C012
4B011
4B053
【Fターム(参考)】
3C012BC00
4B011FA05
4B053AA03
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】鶏肉の生ハム原木からナイフ等で生ハムを薄く切り出す際に該生ハム原木を安定的に固定支持するのに好適な鶏肉用ハモネロを提供する。
【解決手段】鶏肉の生ハム原木100から生ハムを薄く切り出すための鶏肉用ハモネロ10であって、基体12と、前記基体12に設置され鶏肉の大腿部102側を固定する大腿部側固定手段14と、前記大腿部側固定手段14と所定の間隔をあけて前記基体12に設置され、鶏肉の脚部102側を固定する脚部側固定手段16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏肉の生ハム原木から生ハムを薄く切り出すための鶏肉用ハモネロであって、
基体と、
前記基体に設置され鶏肉の大腿部側を固定する大腿部側固定手段と、
前記大腿部側固定手段と所定の間隔をあけて前記基体に設置され、鶏肉の脚部側を固定する脚部側固定手段と、を備えたことを特徴とする鶏肉用ハモネロ。
【請求項2】
前記大腿部側固定手段による鶏肉の大腿部の固定位置と、前記脚部側固定手段による脚部側の固定位置と、の間隔を調整する間隔調整機構を有することを特徴とする請求項1記載の鶏肉用ハモネロ。
【請求項3】
前記大腿部固定手段は、鶏肉の大腿部側を突き刺して固定する留め具と、
前記留め具を着脱可能に支持する支持部と、を有し、
前記留め具は、U字状に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の鶏肉用ハモネロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏肉の生ハムをナイフ等でカットするのに使用される鶏肉用ハモネロに関する。
【背景技術】
【0002】
生ハムは、豚のもも肉を塩漬けした後、乾燥熟成させたりして製造され、原木と呼ばれる骨付き生ハムの塊からスライス状に薄く切り出された状態で食べられている。生ハムは、生ハムの原木から切り出してすぐに食すると、食感や風味の劣化が少なく美味しく食することができるとともに、該原木からの切り出し作業がパフォーマンス的な魅力もあることから、適宜、生ハムの原木から生ハムを切り出して提供する店舗等も数多く存在している。生ハムの原木からナイフ等で薄く切り出しする際には、例えば、安定して生ハムを切り取るために該原木を保持する生ハム台、いわゆるハモネロが使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】MONTE NEVADO社,”/PRODUCTOS/ENTEROS+JAMONERO”,[online],インターネット<URL:https://www.montenevado.com/es/enteros-jamonero>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主として生ハムは豚肉が原料のものが多いが、鶏肉のもも肉を原料とした生ハムも豚肉とは異なった食感、風味を楽しむことができる。鶏肉は、一般的に豚肉と比較して安価であるとともに、サイズも小さくて輸送や保管、取り扱いもしやすいうえ、少人数でも比較的早く消費できる利点もあり、鶏肉の生ハムも広がってきている。しかしながら、豚肉の生ハム用のハモネロは従来より多数存在するが、鶏肉の生ハムの骨付き原木から生ハムをカットするためのハモネロが存在しないことから、鶏肉の生ハムの原木を安定に保持するための鶏肉用ハモネロの開発が強く望まれている。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、鶏肉の生ハム原木からナイフ等で生ハムを薄く切り出す際に該生ハム原木を安定的に固定支持するのに好適な鶏肉用ハモネロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、鶏肉の生ハム原木100から生ハムを薄く切り出すための鶏肉用ハモネロであって、基体12と、前記基体12に設置され鶏肉の大腿部102側を固定する大腿部側固定手段14と、前記大腿部側固定手段14と所定の間隔をあけて前記基体12に設置され、鶏肉の脚部102側を固定する脚部側固定手段16と、を備えた鶏肉用ハモネロ10から構成される。
【0007】
また、前記大腿部側固定手段14による鶏肉の大腿部102の固定位置と、前記脚部側固定手段16による脚部104側の固定位置と、の間隔を調整する間隔調整機構44を有することとしてもよい。
【0008】
また、前記大腿部固定手段14は、鶏肉の大腿部102側を突き刺して固定する留め具20と、前記留め具20を着脱可能に支持する支持部22と、を有し、前記留め具20は、U字状に設けられたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鶏肉用ハモネロによれば、鶏肉の生ハム原木から生ハムを薄く切り出すための鶏肉用ハモネロであって、基体と、前記基体に設置され鶏肉の大腿部側を固定する大腿部側固定手段と、前記大腿部側固定手段と所定の間隔をあけて前記基体に設置され、鶏肉の脚部側を固定する脚部側固定手段と、を備えたことから、鶏肉用のハモネロを具体的に実現することができ、鶏肉の生ハム原木からナイフ等で生ハムを薄く切り出す際に、該鶏肉の生ハム原木を安定的に固定支持することができる。
【0010】
また、前記大腿部側固定手段による鶏肉の大腿部の固定位置と、前記脚部側固定手段による脚部側の固定位置と、の間隔を調整する間隔調整機構を有する構成とすることにより、固体差がある鶏肉の生ハム原木の大きさに対応して調整しながら固定することができるので、鶏肉の生ハム原木の大きさにかかわらず生ハムの切り出し作業を安定して行うことができ、使い勝手が良い。
【0011】
また、前記大腿部固定手段は、鶏肉の大腿部側を突き刺して固定する留め具と、前記留め具を着脱可能に支持する支持部と、を有し、前記留め具は、U字状に設けられた構成とすることにより、留め具を手で安定して持ちながら鶏肉の生ハム原木の大腿骨への固定作業をスムーズに行うことができるとともに、生ハム原木を確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る鶏肉用ハモネロの全体説明図であり、(a)は留め具を取り外した状態の斜視図、(b)は鶏肉の生ハム原木をセットした状態の斜視図である。
【
図2】
図1の鶏肉用ハモネロに鶏肉の生ハム原木をセットする際の説明図である。
【
図3】
図1の鶏肉用ハモネロを使用して生ハムをカットする際の説明図である。
【
図4】
図1の鶏肉用ハモネロの大腿部側固定手段の留め具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しつつ本発明の鶏肉用ハモネロの実施形態について説明する。本発明に係る鶏肉用ハモネロは、例えば、鶏肉を原料とした生ハム原木から生ハムを薄くカットする際に好適に使用される生ハム支持台である。
図1ないし
図4は、本発明の鶏肉用ハモネロの一実施形態を示している。
図1に示すように、本実施形態では、鶏肉用ハモネロ10は、基体12と、該基体12に設置された大腿部側固定手段14と、同基体12に設置された脚部側固定手段16と、を備えている。
【0014】
図1(b)に示すように、本実施形態の鶏肉用ハモネロ10で支持される鶏肉は、例えば、鶏肉の大腿部102と脚部104が一体となった骨付きもも肉を塩漬けし乾燥熟成等した生ハム原木100からなる。
【0015】
基体12は、鶏肉用ハモネロ10をテーブル上等に安定して載置され、大腿部側固定手段14と脚部側固定手段16を支持するためのベース体である。本実施形態では、基体12は、例えば、一方に長い直方体状の木製のブロック状台部材からなり、底面の四隅位置にゴム等からなる滑り止め部材18が取り付けられている。なお、基体12は、例えば、板状に形成されていてもよく、その他、素材や大きさや形状は任意でもよい。
【0016】
大腿部側固定手段14は、鶏肉の生ハム原木100の大腿部102側を固定する第1の固定手段である。
図1に示すように、本実施形態では、大腿部側固定手段14は、例えば、基体12の一端側に設置されており、鶏肉の生ハム原木100の大腿部102側を貫通状に突き刺して固定する留め具20と、留め具20を着脱可能に支持する支持部22と、を有する。
【0017】
図1、
図4に示すように、留め具20は、例えば、ステンレス等の硬質の金属からなり、U字状に形成されている。留め具20は、U字状のうち平行に対向した2本の棒状の突き刺し部24の先端がとがって形成されており、それらの元側の接続部分に舌片板状のつまみ部26が一体的に形成されている。留め具20の2本の突き刺し部24には、つまみ部26に近接した位置に互いに外向きに突設したストッパ部28が形成され、つまみ部26とストッパ部28との間に係止溝30が形成されている。
【0018】
支持部22は、例えば、ステンレス等の硬質の金属からなり、U字状の留め具20を横向きにした状態で基体12から所定の高さ位置で着脱可能に支持する。
図1に示すように、支持部22は、横向きU字状の留め具20の両端を支持するように立設された二個一対の支持板部材32を有する。二個一対支持板部32は、板面が互いに平行となるように対向して配置され下端側が接続板部34で接続されており、該接続板34が基体12の上面側にねじ等の固定手段で固定されている。二個一対の支持板部32と接続板部34は一枚の板部材を略U字状に折り曲げて一体的に形成されている。各支持板部32は、留め具20の2本の突き刺し部24を上下に平行とした状態で該突き刺し部24を受け入れる開口部36が形成されている。各支持板部32の開口部36は、支持板部32の脚部側固定手段16とは反対側となる外部側を開放されているとともに、下端側に留め具20の下方側の突き刺し部24を受け入れるロック溝部38が形成されている。よって、支持板部32の開口部36は、留め具20の下方側の突き刺し部24がロック溝部38に挿入させた状態で、その開口部36に留め具20の上下2本の突き刺し部24が嵌り合い状に係着するように設定されている。一方の支持板部32の開口部36位置に留め具20の係止溝30を位置合わせして、留め具20の突き刺し部24を開口部36内へ係合しさらに下方側の突き刺し部24をロック溝部38内に係合して支持される。支持板部32の板厚と留め具20の係止溝30の幅が略同じ程度に設定されており、支持板部32に留め具20を支持させた状態でずれにくくなっている。
【0019】
脚部側固定手段16は、鶏肉の生ハム原木100の脚部104側を固定する第2の固定手段である。
図1に示すように、本実施形態では、脚部側固定手段16は、大腿部側固定手段14とは所定の間隔をあけて基体12の他端側に設置される。脚部側固定手段16は、例えば、ステンレス等の硬質の金属からなり、鶏肉の生ハム原木100の脚部104を下から受けるように上端部が略V字状に形成された脚部受け板部材40を有する。すなわち受け板部材40のV字開口部42内に生ハム原木100の脚部104を受け入れて該脚部104を支持する。本実施形態では、脚部受け板部材40を大腿部側固定手段14に対して近接又は離間自在に移動させて、大腿部側固定手段14による鶏肉の生ハム原木100の大腿部102側の固定位置と、脚部側固定手段16である受け板部材40による脚部104側の固定位置と、の間隔を調整する間隔調整機構44を有する。
【0020】
間隔調整機構44は、例えば、受け板部材40の下端側を大腿部側固定手段14に対して直線的にスライド移動可能とするスライド機構からなる。具体的には、受け板部材40の下端側に一体的に接続されたスライダ板部46と、該スライダ板部46を案内するように基体12上に設けられたレール部48と、を有する。受け板部材40とスライダ板部46は一枚の金属板を折り曲げて一体的に形成されており、スライダ板部46の中央には板面を貫通したネジ孔が形成されるとともに、該ネジ孔に固定ネジ50が螺合されている。固定ネジ50を締めることで、そのネジ先端が基体12の上面側に押圧されてスライダ板部46がその位置で固定される。レール部48は、ステンレス等の硬質の金属板を加工してレール固定板52と一体的に形成されており、スライダ板部46の対向辺にそれぞれ係合するように平行に配置されて基体12の上面側にレール固定板52を介して固定されている。間隔調整機構44は、固定ネジ50を緩めた状態で、レール部48に案内させながらスライダ板部46と一体的に受け板部材40をスライド移動して大腿部側固定手段14に対する間隔を調整し、所定の間隔に調整した位置で固定ネジ50を締めて位置固定できる。なお、間隔調整機構44は、上述の構成に限らず、任意の構成としてもよい。
【0021】
次に、
図1、
図2、
図3を参照しつつ本実施形態に係る鶏肉用ハモネロ10の使用例について説明する。予め鶏肉用ハモネロ10の間隔調整機構44の固定ネジ50を緩めておく。
図2(a)に示すように、大腿部側固定手段14の留め具20を取り外し、鶏肉の生ハム原木100の大腿部102に該留め具20を貫通状に突き刺す。
図2(b)及び(c)に示すように、支持させる生ハム原木100の大腿部102を大腿部側固定手段14の支持板部32の対向間隙内に入れつつ、該生ハム原木100の大腿部102側に突き刺した留め具20の突き刺し部24の両端側を支持板部32の開口部36に挿入する。この際、一方の支持板部32に留め具20の突き刺し部24の係止溝30に位置合わせして開口部36内に挿入する。留め具20の下方側の突き刺し部24を支持板部32の開口部36のロック溝部38内に入れて固定状に係止させる。
図2(c)に示すように、鶏肉の生ハム原木100の脚部104側を手で持った状態で、脚部側固定手段16の受け板部材40の位置を大腿部側固定手段14に対して近接又は離間移動するようにスライド移動させながらそれらの間隔を調整し、該生ハム原木100の大きさに対応する位置で受け板部材40のV字状開口42内に該生ハム原木100の脚部104を挿入する。
図2(d)に示すように、受け板部材40を大腿部側固定手段14に対して離隔する方向に引っ張り、生ハム原木100が大腿部側固定手段14の留め具20を支持板部32の開口部36に嵌り合い状に係着させる。
図2(e)に示すように、固定ネジ50を締めて、該受け板部材40を位置固定する。このように鶏肉の生ハム原木100を鶏肉用ハモネロ10に安定的に支持させた状態で、
図3に示すように、ナイフKN等で生ハム原木100から生ハム106を薄く切り出して、生ハムを美味しく食べることができる。
【0022】
以上説明した本発明の鶏肉用ハモネロは、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の鶏肉用ハモネロは、鶏肉の骨付き生ハム原木から生ハムをカッティングするのに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 鶏肉用ハモネロ
12 基台
14 大腿部側固定手段
16 脚部側固定手段
20 留め具
22 支持部
44 間隔調整機構
100 鶏肉の生ハム原木
102 大腿部
104 脚部