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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132777
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】紙幣処理装置及び紙幣処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20220906BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20220906BHJP
【FI】
G07D11/00 321
G07D11/60 101
G07D11/00 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031420
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西野 陽
(72)【発明者】
【氏名】府内 克好
(72)【発明者】
【氏名】跡治 昌吉
【テーマコード(参考)】
3E040
3E141
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040AA02
3E040EA06
3E040EA07
3E040FH04
3E040FJ10
3E141AA01
3E141AA02
3E141EA06
3E141EA07
3E141FH04
3E141FJ11
(57)【要約】
【課題】束巻き処理をやり直す必要が生じた場合に、簡易かつ短時間にて束巻きをやり直す。
【解決手段】束巻き処理をやり直して紙幣束を再結束する場合、制御部は紙幣束に含まれる任意の紙幣の記番号をキーとして記憶部を検索し、記番号に対応した識別情報を読み出し、印字部は記憶部から読み出された識別情報を前記束紙に再印字し、束巻部は紙幣束に識別情報が再印字された束紙を巻いて再結束し、結束紙幣放出口は再結束された結束紙幣を放出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を投入する入金部と、
少なくとも前記紙幣の記番号の識別を行う鑑別部と、
複数枚の紙幣の束である紙幣束に束紙を巻いて結束する束巻き処理を行うことにより結束紙幣を作成する束巻部と、
前記紙幣束に含まれる各々の前記紙幣の前記記番号と、前記紙幣束を識別する識別情報とを対応させて記憶する記憶部と、
所定の制御を行う制御部と、
前記束紙に前記識別情報を印字する印字部と、
前記結束紙幣を放出する結束紙幣放出口と、
を有し、
前記束巻き処理をやり直して前記紙幣束を再結束する場合、
前記制御部は、
前記紙幣束に含まれる任意の前記紙幣の前記記番号をキーとして前記記憶部を検索し、前記記番号に対応した前記識別情報を読み出し、
前記印字部は、
前記記憶部から読み出された前記識別情報を前記束紙に再印字し、
前記束巻部は、
前記紙幣束に前記識別情報が再印字された前記束紙を巻いて再結束し、
前記結束紙幣放出口は、
再結束された前記結束紙幣を放出することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
表示入力部を更に有し、
前記表示入力部は、
通常モードと、前記束巻き処理をやり直すための束巻やり直しモードが選択可能な動作モード選択画面を表示し、
前記束巻やり直しモードが選択された場合、前記紙幣束を再結束することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記束巻やり直しモードが選択された場合、
前記表示入力部は、
前記紙幣束に含まれる任意の前記紙幣の前記記番号を入力するための記番号入力画面を表示し、
前記制御部は、
前記記番号入力画面から前記記番号が入力されたことに応答して、前記記番号をキーとして前記記憶部を検索することを特徴とする請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記紙幣束を再結束する場合、
前記鑑別部は前記紙幣の前記記番号の識別を行うことなく、前記紙幣は前記束巻部に直接送られることを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記紙幣束を再結束する場合、
前記印字部は、
前記束紙に前記識別情報を印字すると共に、前記束巻き処理がやり直されたものか否かを判別する情報を併せて印字することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記紙幣束を再結束する場合、
前記印字部は、
前記束紙に前記識別情報を印字すると共に、前記束巻き処理のやり直し回数を判別する情報を併せて印字することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
前記印字部は、
前記識別情報を含む結束紙幣情報を二次元コードにて前記束紙へ印字することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項8】
束巻部直接入金部を更に有し、
前記紙幣束を再結束する場合、
前記束巻部は、
前記束巻部直接入金部から投入された前記紙幣束に対して、前記束巻き処理をやり直すことを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項9】
前記紙幣束を再結束する場合、
前記束巻部は、
前記結束紙幣放出口から投入された前記紙幣束に対して、前記束巻き処理をやり直すことを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項10】
紙幣を投入する入金部と、
少なくとも前記紙幣の記番号の識別を行う鑑別部と、
複数枚の紙幣の束である紙幣束に束紙を巻いて結束する束巻き処理を行うことにより結束紙幣を作成する束巻部と、
前記紙幣束に含まれる各々の前記紙幣の前記記番号と、前記紙幣束の境界を示す複数の境界符号とを記憶する記憶部と、
所定の制御を行う制御部と、
前記束紙に前記結束紙幣を構成する前記紙幣の記番号を印字する印字部と、
前記結束紙幣を放出する結束紙幣放出口と、
を有し、
前記束巻き処理をやり直して前記紙幣束を再結束する場合、
前記制御部は、
前記境界符号を用いて前記紙幣束を特定し、特定された前記紙幣束に含まれる任意の前記紙幣の前記記番号を読み出し、
前記印字部は、
前記記憶部から読み出された前記記番号を前記束紙に再印字し、
前記束巻部は、
前記紙幣束に前記記番号が再印字された前記束紙を巻いて再結束し、
前記結束紙幣放出口は、
再結束された前記結束紙幣を放出することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項11】
前記印字部は、
前記束紙に前記紙幣束の先頭紙幣の前記記番号を印字することを特徴とする請求項10に記載の紙幣処理装置。
【請求項12】
表示入力部を更に有し、
前記表示入力部は、
通常モードと、前記束巻き処理をやり直すための束巻やり直しモードが選択可能な動作モード選択画面を表示し、
前記束巻やり直しモードが選択された場合、前記紙幣束を再結束することを特徴とする請求項10に記載の紙幣処理装置。
【請求項13】
前記束巻やり直しモードが選択された場合、
前記表示入力部は、
前記紙幣束に含まれる任意の前記紙幣の前記記番号を入力するための記番号入力画面を表示し、
前記制御部は、
前記記番号入力画面から前記記番号が入力されたことに応答して、前記境界符号と前記記番号を用いて前記記憶部を検索することを特徴とする請求項12に記載の紙幣処理装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の紙幣処理装置を複数有する紙幣処理システムであって、
複数の前記紙幣処理装置と、
複数の前記紙幣処理装置と通信回線によって相互に接続された管理装置と、を有し、
前記管理装置は、
各々の前記紙幣処理装置にて前記束巻き処理を行った前記結束紙幣の前記記番号を記憶する記憶部を有し、
各々の前記紙幣処理装置から前記記憶部に記憶された前記記番号を参照することによって、前記束巻き処理を当初実施した前記紙幣処理装置とは異なる他の前記紙幣処理装置により前記束巻き処理をやり直すことを特徴とする紙幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置及び紙幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行本店や現金センター等では、持ち込まれた紙幣あるいは銀行支店等へ持ち込む紙幣を所定枚数(例えば100枚)ずつ帯テープ等で結束し、取り扱い易くすることが行われている。
【0003】
紙幣の結束処理に関連する技術として、例えば、特許文献1がある。特許文献1では、結束された紙幣各々の紙幣番号(記番号)を結束単位にデータベースへ記憶し、結束単位の識別番号(束ID)に紐づけするとともに、その識別番号を結束用帯テープへ印字することによって管理を容易とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2010/103620A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結束装置にて紙幣束を結束し帯テープへ束IDを印字後、結束された紙幣束を結束装置から放出した後に、帯テープが外れてしまったり、束IDの印字が不鮮明であるような場合、結束処理をやり直す必要がある。
【0006】
結束装置での通常の結束処理は、結束対象となる紙幣のみを識別計数して結束し、束IDを印字するため、処理に時間がかかる。また、結束対象となる紙幣が傷みの多い紙幣などでは、結束処理中に紙幣のジャム等が発生する可能性がある。このため、紙幣の識別計数のやり直しは極力避けることが望ましい。
【0007】
また、束IDと紙幣番号を紐づけてデータベース上に記録する場合、結束処理をやり直した際は同一の紙幣番号を含む異なる束IDが重複して存在することになってしまう。このため、先に記録した束IDと紙幣番号はデータベースから削除する必要があるなど、処理が複雑化するおそれがあった。
【0008】
特許文献1には、紙幣束の束紙が外れた場合や束紙への印字内容が不鮮明であって束巻き処理をやり直す必要が生じた場合の処理については考慮されていない。
【0009】
本発明の目的は、束巻き処理をやり直す必要が生じた場合に、簡易かつ短時間にて束巻きをやり直すことが可能な紙幣処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の紙幣処理装置は、紙幣を投入する入金部と、少なくとも前記紙幣の記番号の識別を行う鑑別部と、複数枚の紙幣の束である紙幣束に束紙を巻いて結束する束巻き処理を行うことにより結束紙幣を作成する束巻部と、前記紙幣束に含まれる各々の前記紙幣の前記記番号と、前記紙幣束を識別する識別情報とを対応させて記憶する記憶部と、所定の制御を行う制御部と、前記束紙に前記識別情報を印字する印字部と、前記結束紙幣を放出する結束紙幣放出口と、を有し、前記束巻き処理をやり直して前記紙幣束を再結束する場合、前記制御部は、前記紙幣束に含まれる任意の前記紙幣の前記記番号をキーとして前記記憶部を検索し、前記記番号に対応した前記識別情報を読み出し、前記印字部は、前記記憶部から読み出された前記識別情報を前記束紙に再印字し、前記束巻部は、前記紙幣束に前記識別情報が再印字された前記束紙を巻いて再結束し、前記結束紙幣放出口は、再結束された前記結束紙幣を放出することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様の紙幣処理装置は、紙幣を投入する入金部と、少なくとも前記紙幣の記番号の識別を行う鑑別部と、複数枚の紙幣の束である紙幣束に束紙を巻いて結束する束巻き処理を行うことにより結束紙幣を作成する束巻部と、前記紙幣束に含まれる各々の前記紙幣の前記記番号と、前記紙幣束の境界を示す複数の境界符号とを記憶する記憶部と、所定の制御を行う制御部と、前記束紙に前記結束紙幣を構成する前記紙幣の記番号を印字する印字部と、前記結束紙幣を放出する結束紙幣放出口と、を有し、前記束巻き処理をやり直して前記紙幣束を再結束する場合、前記制御部は、前記境界符号を用いて前記紙幣束を特定し、特定された前記紙幣束に含まれる任意の前記紙幣の前記記番号を読み出し、前記印字部は、前記記憶部から読み出された前記記番号を前記束紙に再印字し、前記束巻部は、前記紙幣束に前記記番号が再印字された前記束紙を巻いて再結束し、前記結束紙幣放出口は、再結束された前記結束紙幣を放出することを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様の紙幣処理システムは、複数の前記紙幣処理装置と、複数の前記紙幣処理装置と通信回線によって相互に接続された管理装置と、を有し、前記管理装置は、各々の前記紙幣処理装置にて前記束巻き処理を行った前記結束紙幣の前記記番号を記憶する記憶部を有し、各々の前記紙幣処理装置から前記記憶部に記憶された前記記番号を参照することによって、前記束巻き処理を当初実施した前記紙幣処理装置とは異なる他の前記紙幣処理装置により前記束巻き処理をやり直すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、束巻き処理をやり直す必要が生じた場合に、簡易かつ短時間にて束巻きをやり直すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の紙幣処理装置の構成図である。
図2A】束巻きされた紙幣と束紙への印字を説明する図である。
図2B】束巻きされた紙幣と束紙への印字を説明する図である。
図2C】束巻きされた紙幣と束紙への印字を説明する図である。
図2D】束巻きされた紙幣と束紙への印字を説明する図である。
図3】記番号データベースの記憶内容を説明する図である。
図4】表示入力画面の例を示す図である。
図5】表示入力画面の例を示す図である。
図6】実施例2の紙幣処理装置の構成図である。
図7】実施例3の記番号データベースの記憶内容を説明する図である。
図8】実施例3の束巻きされた紙幣と束紙への印字を説明する図である。
図9】実施例4の複数台の束巻機能付き紙幣仕分装置と管理装置からなる構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例0016】
図1を参照して、実施例1の束巻機能付きの紙幣仕分装置(紙幣処理装置)100の構成について説明する。
図1において実線と矢印は紙幣の搬送路とその搬送方向を示している。束巻機能付き紙幣仕分装置100は、入金部101、鑑別部102、複数の分離口108A~108D、返却部109、印字機能付束巻部105、結束紙幣放出口106、表示入力部110、制御部111、切替ゲート103及び複数の切替ゲート104A~104Dを有する。
【0017】
束巻機能付き紙幣仕分装置100は、入金部101にセットされた紙幣を、鑑別部102の鑑別結果と所定のルールとに基づいて分類し、切替ゲート104A~104Dにて紙幣の搬送方向を切り替えることによって各分離口108A~108Dへ収納する。分離口分離口108A~108Dは、開口構造となっており、係員が外部より紙幣を取り出すことができる。鑑別部102により分類対象外と鑑別された紙幣は、切替ゲート103にて搬送方向を切り替えて返却口109から係員へ返却される。
【0018】
鑑別部102は、紙幣の金種・真偽・正損判別と記番号識別を行う。印字機能付束巻部105は、入金部101にセットされた紙幣のうち束巻き対象となる紙幣を鑑別部102にて認識し、所定枚数(例えば100枚)毎に束紙にて束巻し、結束紙幣放出口106へ排出すると共に、束紙に所定の情報(束紙幣情報)を印刷することができる。また、後述するように、束巻き対象となる紙幣を直接、束巻部直接入金口や結束紙幣放出口106へセットすることによって、束巻きと束紙への印字を行うこともできる。
【0019】
尚、印字機能付束巻部105は、束巻処理を行う束巻部と、束紙に束紙幣情報を印刷する印字部により構成しても良い。
【0020】
表示入力部110は、例えばタッチパネルで構成され、束巻機能付き紙幣仕分装置100の動作状態を表示したり、係員が動作の指示入力を行うことができる。また、制御部111は、束巻機能付き紙幣仕分装置100全体の制御を行うだけでなく、各種情報を記憶する記憶部を有し、また、外部装置との通信機能も有している。なお、制御部111は、束巻機能付き紙幣仕分装置100全体の制御を行い、各種情報を記憶する記憶部を別途設けても良い。
【0021】
次に、図2及び図3を参照して、束巻機能付き紙幣仕分装置100による紙幣束の作成方法とそのデータ管理方法について説明する。
【0022】
銀行支店等へ持ち込む紙幣を準備するため、束巻機能付き紙幣仕分装置100は、所定枚数として100枚単位の束紙幣10を作る。紙幣束10を作成する際に、100枚の紙幣のそれぞれの記番号が読み取られ、制御部111の内部にある記番号記憶部へ図3に示すようなフォーマットで記録される。
【0023】
すなわち、記番号記憶部は、所定枚数の紙幣を有する紙幣束ごとにその紙幣束を識別する束ID12と共に記番号(紙幣番号)を記憶する。図2Aに示すように、束紙11には束ID12が印字される。したがって、束ID12をキーとして記番号記憶部を参照することにより、その紙幣束10に含まれる全ての紙幣の記番号を特定することができる。
【0024】
ここで、取り出した紙幣束10の束紙11が外れてしまったり、束ID12の印字状態が不鮮明であった場合など、再度、束巻きをやり直す必要がある。この際、通常の束巻き処理を再度実施すると、上述のように不良紙幣の処理によるジャム発生の危険性や、データベース(記番号記憶部)の再整備など、処理時間の増加も含めて好ましくない。
【0025】
そこで、本発明では、通常の処理に加えて束巻き処理のみをやり直すための「束巻きやり直しモード」を有する。「束巻きやり直しモード」を実施するためには、図4に示すように表示入力部110の束巻きやり直しモードボタン112を押下する。通常の処理を行う場合は通常モードボタン1111を押下する。
【0026】
束巻きやり直しモードに遷移すると、図5に示すように、表示入力部110へ記番号入力エリア113、記番号入力用キーボタン部114、確定ボタン115、取消ボタン116が表示される。紙幣束10が外れてばらけた紙幣の記番号を、記番号入力用キーボタン部114を使って入力する。記番号を入力する紙幣は、例えば紙幣束の最上面や最下面の1枚でもよいし、積み重なった途中の任意の1枚でもよく、特に制限はない。
【0027】
一例として、図3に示した束ID12として「00001」が束紙11へ印字された束紙幣10の束巻きをやり直す場合を説明する。
【0028】
まず、ばらけた紙幣束10を束巻機能付き紙幣仕分装置100の入金部101へセットする。次に、図4に示す動作モード選択画面にて束巻きやり直しモードボタン112を押下し、図5に示す記番号入力画面にて、入金部101へセットした紙幣束10の任意の1枚の紙幣の記番号を記番号入力エリア113へ入力する。
【0029】
ここでは、上から3枚目の紙幣の記番号「B43213093」を入力するものとする。制御部111は、記番号記憶部に記憶された記番号をスキャン・サーチし、記憶されている記番号「B43213093」を見つけると、その束IDが「00001」であることを認識する。入金部101にセットされた紙幣束10は再度束巻きを行うべく、鑑別部102、切替ゲート103、切替ゲート104A~104Dを通過し、印字機能付束巻部105へ到達すると、束紙10へ束ID「00001」を印字すると共に、束巻きを行う。束巻きのやり直しが完了した束紙幣10は、結束紙幣放出口106へ放出され、係員が取り出すことが可能となる。
【0030】
なお、上記の説明において鑑別部102における鑑別処理は行わずに、紙幣は通過するとの説明を行った。しかし、鑑別部102は、束紙幣10が外れてばらけた際に紛失した紙幣がないかを確認するための枚数チェック等、必要に応じて鑑別機能の一部を行っても良い。
【0031】
また、束紙11への印字内容については、図2に示した束ID12以外に、図2Aに示すように束巻きモード表示13を印字するようにしても良い。すなわち、通常の処理(自動)で束巻きがなされたのか(Auto:A)、束巻きやり直しモードで手動で束巻きがなされたのか(Mannual:M)を印字することによって、束巻きがやり直しされたものであるか否かを判別することができる。
【0032】
また、図2Bに示すように、束巻きのバージョン情報14を印字するようにしても良い。例えば、通常の処理で束巻きがなされると(初回)、バージョン情報14として「001」が印字される。その後、上述した束巻きやり直しモードで手動で束巻きがなされると、バージョン情報14が「001」から「002」に更新されて印字される。このように、束巻きがなされた状況も併せて束紙11へ印字することにより、束巻きされた紙幣に関して、そのトータル枚数が記番号記憶部へ記憶された内容と異なっていたり、束巻きすべき紙幣と異なる金種の紙幣が混入していたような異常が発生した場合に、どの時点でそのような異常が発生したのかをトレースすることができる。
【0033】
さらに、図2Cに示すように、束紙11への情報を二次元コード12Aで印字するようにしてもよい。二次元コード12Aで印字することによって、印字内容の情報量が格段に向上するので、上述のような束ID情報や束巻きモード情報、バージョン情報だけでなく、束巻きを行った日時、束巻きされた紙幣の品質、金種、数量、束巻きを行った係員の識別IDなども合わせて印字することができる。
【実施例0034】
図6を参照して、実施例2の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成について説明する。
図6に示す実施例2の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成が図1に示した実施例1の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成と異なる点は、束巻部直接入金口107が新たに追加されている点と、結束紙幣放出口106からも束巻き対象となる紙幣をセット可能な点である。その他の構成は、図1に示した実施例1の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成と同じなのでその説明は省略する。
【0035】
実施例2では、束巻部直接入金口107へやり直しする紙幣束10をセットする。あるいは、結束紙幣放出口106より手動にて紙幣を印字機能付束巻き部105に戻す。
【0036】
実施例2によれば、束巻きやり直し処理において、鑑別部102の動作を全く実施しない場合は、束巻部直接入金口107へ紙幣束10を直接セットすることにより、装置内の搬送経路を短縮することが可能となる。さらに、傷みの多い紙幣の束巻きをやり直す場合に紙幣ジャム等が発生する可能性を低くすることができる。
【実施例0037】
図7を参照して、実施例3について説明する。
使用する束巻機能付き紙幣仕分装置100は、図1に示した実施例1の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成あるいは図6に示す実施例2の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成と同じなのでその説明は省略する。
実施例3が実施例2又は実施例2と異なる点は、制御部111内部にある記番号記憶部における記憶フォーマットである。
【0038】
図7を参照して、制御部111内部にある記番号記憶部における記憶フォーマットについて説明する。
【0039】
実施例3では、紙幣束を識別する束IDの代わりに、紙幣束10の先頭紙幣の記番号を束紙11へ印字するようにしているため、記憶部には紙幣の記番号の記憶エリアのみが存在する。例えば、図7において200枚の紙幣束10の記番号が記憶された領域701では、先頭紙幣の記番号が「A2349303」(72)であり、紙幣束10の束紙11には図8に示すようにこの「A2349303」(72)が印字される。
【0040】
また、先頭紙幣の記番号であることを認識できるように、一群の紙幣束10に相当する記番号データの境界には、特定の符号(本例では「ZZZZZZZZZ」)70-1、70-2、70-3、70-4が記録されている。これにより、紙幣束701に含まれる紙幣の記番号を取得する場合は、束紙11に印字された先頭紙幣の記番号「A2349303」(72)をスキャン・サーチし、検出したならば次に境界フラグ70-3が検出されるまで読み取った記番号がその紙幣束に含まれる紙幣の記番号となる。
【0041】
次に、この構成において、束巻きのやり直しを行う場合を説明する。紙幣束701の束紙11が外れたものの、紙幣束が崩れておらず先頭紙幣の番号が明確である場合は、図5に示す表示入力部の入力画面において先頭紙幣の記番号「A2349303」(72)を入力し、束紙11へこの記番号「A2349303」(72)が印字され、上記と同様にして束巻き処理がなされる。
【0042】
また、束紙11が外れた際に束紙幣がばらけてしまい、どれが先頭紙幣がわからなくなってしまった場合は、任意の1枚の紙幣の記番号を入力してもよい。例えば、紙幣束701において、途中の紙幣の記番号「L0112511P」(74)を入力すると、この記番号「L0112511P」(74)を検索し、ヒットした後も境界フラグ70-3がヒットするまで検索を続け、さらに逆方向にも検索を行い境界フラグ70-2がヒットすると、この境界フラグ70-2と70-3との間の記番号データが紙幣束701の全記番号となる。また、当初先頭紙幣の記番号(当初束紙へ印字された記番号)が「A2349303」(72)であることを認識する。束巻き処理のやり直し時には、この当初束紙へ印字された記番号「A2349303」(72)を再度印字してもよいし、新たに先頭になった紙幣の記番号を印字してもよい。
【実施例0043】
図9を参照して、実施例4の紙幣処理システムの構成について説明する。
図9に示すように、実施例4の紙幣処理システムは、複数台の束巻機能付き紙幣仕分装置100-1~100-Nと、複数台の束巻機能付き紙幣仕分装置100-1~100-Nに通信回線920を介して接続された管理装置900を有する。管理装置900は、記憶部901を有する。束巻機能付き紙幣仕分装置100-1~100-Nの構成は、図1に示した実施例1の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成あるいは図6に示す実施例2の束巻機能付き紙幣仕分装置100の構成と同じなのでその説明は省略する。
【0044】
図3(実施例1)や図7(実施例3)に示す記憶部(記番号データベース)は、束巻機能付き紙幣仕分装置100の制御部111内部に存在するものとして説明した。実施例4では、同一拠点の現金センター内に複数台の束巻機能付き紙幣仕分装置100-1~100-Nが設置される場合、通信回線920を介して接続された別個の管理装置900の記憶部901に記番号データベースを記憶させる。
【0045】
すなわち、図9に示すように、複数台の束巻機能付き紙幣仕分装置100-1~100-Nは、通信回線920によって管理装置900と接続されており、管理装置900内の記憶部901には、束巻機能付き紙幣仕分装置100-1~100-Nで束巻きを行った全ての記番号データ等が記憶され、いずれの束巻機能付き紙幣仕分装置100-1~100-Nからも参照できるようになっている。
【0046】
これにより、例えば、束巻機能付き紙幣仕分装置100-1で実施した束巻き処理をやり直す場合、他の束巻機能付き紙幣仕分装置100-3で実施しても、正しい情報を束紙11へ印字することが可能となる。また、当初どの装置で束巻きを実施したものか、わからなくなったとしても、任意の装置で束巻きのやり直しが可能となる。
【0047】
上記実施例によれば、紙幣束の束紙が外れた場合や束紙への印字内容が不鮮明であって束巻き処理をやり直す必要が生じて束巻き処理をやり直す場合に、簡易かつ短時間にて束巻きをやり直すことができる。
【符号の説明】
【0048】
10 紙幣束
11 束紙
100 束巻機能付き紙幣仕分装置
101 入金部
102 鑑別部
103 切替ゲート
104A~104D 切替ゲート
105 印字機能付束巻部
106 結束紙幣放出口
107 束巻部直接入金口
108A~108D 分離口
109 返却部
110 表示入力部
111 制御部
900 管理装置
901 記憶部
902 通信回線
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9