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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132799
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】防水シート固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 5/14 20060101AFI20220906BHJP
   E04D 11/00 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
E04D5/14 J
E04D11/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031460
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000178619
【氏名又は名称】アーキヤマデ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅史
(57)【要約】
【課題】防音、防振、防塵等に配慮しながらも、簡易な方法で防水下地にシート固定具をしっかりと支持できる防水シート固定方法の提供。
【解決手段】防水下地1の直上に敷設された断熱材2を含む表層2,3に防水シート4を敷設し、シート固定具61を用いて、防水シート4を防水下地1に固定する防水シート固定方法。防水シート固定方法に、表層2,3に孔部2hを穿孔して、防水下地1を露出させる穿孔工程と、孔部2hに接着剤8を充填する充填工程と、孔部2hに充填された接着剤8が硬化する前に、シート固定具61を連結固定可能なベース部材62を孔部2hに挿入する挿入工程と、表層2,3の上方から、ベース部材62にシート固定具61を連結固定する連結工程と、が含まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水下地の直上に敷設された断熱材を含む表層に防水シートを敷設し、シート固定具を用いて、前記防水シートを前記防水下地に固定する防水シート固定方法であって、
前記表層に孔部を穿孔して、前記防水下地を露出させる穿孔工程と、
前記孔部に接着剤を充填する充填工程と、
前記孔部に充填された前記接着剤が硬化する前に、前記シート固定具を連結固定可能なベース部材を前記孔部に挿入する挿入工程と、
前記表層の上方から、前記ベース部材に前記シート固定具を連結固定する連結工程と、が含まれる防水シート固定方法。
【請求項2】
防水下地の直上に敷設された断熱材を含む表層に防水シートを敷設し、シート固定具を用いて、前記防水シートを前記防水下地に固定する防水シート固定方法であって、
前記表層に孔部を穿孔して、前記防水下地を露出させる穿孔工程と、
前記シート固定具を連結固定可能なベース部材を前記孔部に挿入する挿入工程と、
前記ベース部材が挿入された前記孔部に接着剤を充填する充填工程と、
前記表層の上方から、前記ベース部材に前記シート固定具を連結固定する連結工程と、が含まれる防水シート固定方法。
【請求項3】
前記挿入工程において、前記ベース部材を前記防水下地に接地するまで挿入する請求項1または2に記載の防水シート固定方法。
【請求項4】
前記連結工程は、前記孔部に充填された前記接着剤の硬化後に行われる請求項1から3の何れか一項に記載の防水シート固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シートを防水下地に固定する防水シート固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋上における防水下地に防水シートを敷設する際に、一般的に、防水下地にボルト孔が穿孔され、シート固定具が防水下地にボルト固定され、防水シートがシート固定具に固定される。このような防水シートの敷設工事は、新築工事のみならず改修工事でも一般的に行われ、近年では防音、防振、防塵等に配慮することが特に重要となっている。例えば特許文献1では、防水下地(文献では「デッキプレート」)の直上に表層(文献では「既存防水層」)が敷設され、表層に対して防水シートが敷設されている。防水シートは締付式固定手段によって防水下地に固定され、この締付式固定手段では、表層の一部がくり抜かれて防水下地が露出し、露出した防水下地に、ベース部材(特許文献1では「下地側固定部材」)が接着によって固定される。そして、くり抜かれた表層が埋め戻され、ベース部材にシート固定具(特許文献1では「シート側固定部材」)が連結固定される。特許文献1に開示された方法であれば、防水下地にボルト固定用のボルト孔が穿孔される方法と比較して、防音性、防振性、防塵性の面で優位である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-203337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防水シートが風によって膨れ上がると、シート固定具及びベース部材に垂直方向及び水平方向の応力が作用する。特許文献1に開示された構成では、露出した防水下地の表面部分に接着剤が塗布され、ベース部材の下端部のみが接着剤に接触する。このため、ベース部材を下地に固定する接着剤は、そのような応力に抗してベース部材を固定し続けられるように、接着力及び耐久力を要求される。特に、近年の気候変動等の要因によって、従来よりも強固に防水シートを固定可能な方法が要求されているが、あらゆる事態を想定して高価な工法を採用すると普及が妨げられるため、コストを抑制した簡易な方法も要求されている。
【0005】
本発明の目的は、防音、防振、防塵等に配慮しながらも、簡易な方法で防水下地にシート固定具をしっかりと支持できる防水シート固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、防水下地の直上に敷設された断熱材を含む表層に防水シートを敷設し、シート固定具を用いて、前記防水シートを前記防水下地に固定する防水シート固定方法であって、前記表層に孔部を穿孔して、前記防水下地を露出させる穿孔工程と、前記孔部に接着剤を充填する充填工程と、前記孔部に充填された前記接着剤が硬化する前に、前記シート固定具を連結固定可能なベース部材を前記孔部に挿入する挿入工程と、前記表層の上方から、前記ベース部材に前記シート固定具を連結固定する連結工程と、が含まれることを特徴とする。また、本発明は、防水下地の直上に敷設された断熱材を含む表層に防水シートを敷設し、シート固定具を用いて、前記防水シートを前記防水下地に固定する防水シート固定方法であって、前記表層に孔部を穿孔して、前記防水下地を露出させる穿孔工程と、前記シート固定具を連結固定可能なベース部材を前記孔部に挿入する挿入工程と、前記ベース部材が挿入された前記孔部に接着剤を充填する充填工程と、前記表層の上方から、前記ベース部材に前記シート固定具を連結固定する連結工程と、が含まれることも特徴とする。
【0007】
本発明によると、表層に孔部が穿孔されると、孔部に接着剤が充填され、更に孔部に対してベース部材が挿入される。一般的に防水下地はコンクリートやステンレス鋼板等によって構成されているため、ベース部材が防水下地にボルト固定される構成では、防水下地にボルト固定用のボルト孔を穿孔する必要があり、騒音及び振動を伴い、塵埃も飛散する。本発明であれば、防水下地が穿孔されずに、防水下地の直上に敷設された表層のみに孔部が穿孔されるため、防水下地にボルト固定用のボルト孔が穿孔される方法と比較して、防音性、防振性、防塵性の面で優位である。また、接着剤が孔部に充填されるため、接着剤は防水下地と、孔部の外周に位置する表層と、孔部に挿入されたベース部材と、に接着作用する。このことから、接着剤が防水下地とベース部材とに対してのみ接着作用する構成と比較して、風による防水シートの膨れ上がりに起因する応力が分散され、ベース部材の防水下地に対する支持構造が強固になる。加えて、本発明であれば、接着剤が防水下地とベース部材とに対してのみ接着作用する構成と比較して、接着剤に作用する応力が分散されるため、接着剤が硬化した後も接着剤に割れが発生し難くなり、接着剤の耐久力も長くなる。これにより、防音、防振、防塵等に配慮しながらも、簡易な方法で防水下地にシート固定具をしっかりと支持できる防水シート固定方法が実現される。
【0008】
本発明の好適な実施形態の一つとして、前記挿入工程において、前記ベース部材を前記防水下地に接地するまで挿入すると好適である。
【0009】
本構成であれば、ベース部材が防水下地に接地しない場合と比較して、ベース部材が位置ズレし難くなる。このため、接着剤が硬化する前であっても、作業者は、ベース部材を防水下地に押さえ付けながら、ベース部材にシート固定具を容易に連結固定できる。
【0010】
本発明において、前記連結工程は、前記孔部に充填された前記接着剤の硬化後に行われると好適である。
【0011】
本構成によって、ベース部材は、硬化した接着剤によって強固に支持固定される。そして作業者は、ベース部材にシート固定具を容易に連結固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】防水改修を行う屋根を示す一部切欠き斜視図である。
図2】防水シートが敷設された状態を示す断面図である。
図3】穿孔工程を示す断面図である。
図4】充填工程を示す断面図である。
図5】挿入工程を示す断面図である。
図6】連結工程を示す断面図である。
図7】防水シートが敷設された状態を示す別実施形態の断面図である。
図8】防水シートが敷設された状態を示す別実施形態の断面図である。
図9】防水シートが敷設された状態を示す別実施形態の断面図である。
図10】防水シートが敷設された状態を示す別実施形態の断面図である。
図11】防水シートが敷設された状態を示す別実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のシート固定具設置方法を、以下に説明する。
【0014】
〔防水シートの固定構造について〕
図1及び図2に示されるように、例えばデッキプレートや折板屋根等の陸屋根である防水下地1の直上に既存断熱材2が敷設され、既存断熱材2の上に既存防水シート3が敷設されている。既存断熱材2及び既存防水シート3は、本発明の『表層』である。更に、既存断熱材2及び既存防水シート3を含む表層に改修用防水シート4が敷設されている。既存断熱材2は、例えばウレタン系のフォーム材であって、適度な強度及び断熱性を有する。既存断熱材2は本発明の『断熱材』である。既存防水シート3及び改修用防水シート4は、例えば塩化ビニル樹脂で構成され、可撓性を有する。既存防水シート3の防水性能は紫外線等の影響によって劣化しており、改修用防水シート4は既存防水シート3よりも新しい。
【0015】
既存防水シート3は既存シート固定具5によって防水下地1に固定されている。公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、防水下地1に既存シート固定具5の固定用のボルト孔が穿孔され、既存シート固定具5は、既存断熱材2を上下に貫通する状態で防水下地1のボルト孔に締結される。
【0016】
既存シート固定具5の上面部は、金属等の導電性材料で構成されている。既存シート固定具5の上面部は略円盤状に形成され、既存防水シート3と、既存シート固定具5の上面部と、が加熱融着によって接着している。即ち、既存防水シート3の施工時に、作業者が、誘導加熱装置(不図示)を既存防水シート3の上方から既存シート固定具5の上面部に押し当てて当該上面部を加熱し、既存防水シート3を既存シート固定具5の上面部に融着させている。
【0017】
シート固定機構6は、シート固定具61とベース部材62とを有する。既存断熱材2の上に敷設される改修用防水シート4が、シート固定具61及びベース部材62で防水下地1に固定される。
【0018】
改修用防水シート4を防水下地1に固定するため、既存断熱材2及び既存防水シート3に、所定の間隔で複数の円筒状の孔部2hが穿孔されている。孔部2hは、既存シート固定具5から概ね所定の距離だけ離れている。孔部2hは既存断熱材2及び既存防水シート3の上下幅に亘って穿孔され、これらの孔部2hの夫々にベース部材62が挿入されている。
【0019】
シート固定具61は、金属等の導電性材料で構成されている。シート固定具61は略円盤状に形成され、この略円盤状の中心領域に貫通孔61hが形成されている。ベース部材62にネジ受け部62Aとフランジ部62Bとが形成されている。フランジ部62Bはベース部材62の下部に形成され、ネジ受け部62Aはフランジ部62Bから上方に立ち上がる。ネジ受け部62Aの上端部は、既存防水シート3の上面部分よりも下側に位置するが、既存防水シート3の上面部分に近い高さに位置する。つまり、ネジ受け部62Aの上下高さは、既存断熱材2の上下幅と略同じ高さ、または、既存断熱材2の上下幅よりも若干小さい高さに構成されている。
【0020】
ネジ受け部62Aは、上下方向に延びるように円柱状に形成され、ネジ受け部62Aの径方向中心に、上下方向に延びるネジ孔62hが穿孔されている。貫通孔61hにボルト7が貫通されてボルト7の頭部が貫通孔61hの周囲に係止され、ボルト7のネジ部分と、ネジ受け部62Aのネジ孔62hと、が螺合することによって、シート固定具61とベース部材62とが締結される。
【0021】
孔部2hの夫々に、接着剤8が充填されて硬化し、ベース部材62の下部が接着剤8の中に埋まっている。フランジ部62Bの下面部と防水下地1の上面部とが接触する。なお、フランジ部62Bの下面部と防水下地1の上面部とが接触しなくても良く、フランジ部62Bの下面部と防水下地1の上面部との間に硬化した接着剤8が介在しても良い。要するに、フランジ部62Bが硬化した接着剤8の中に存在する構成であれば良い。接着剤8は、例えばアクリル樹脂系やエポキシ樹脂系や合成ゴム系等によって構成されている。
【0022】
シート固定具61と改修用防水シート4とが加熱融着によって接着している。即ち、作業者が、誘導加熱装置(不図示)を改修用防水シート4の上方からシート固定具61に押し当ててシート固定具61を加熱し、改修用防水シート4をシート固定具61に融着させている。これにより、改修用防水シート4がシート固定機構6(シート固定具61及びベース部材62)を介して防水下地1に固定される。
【0023】
〔防水シートの固定方法について〕
以下、改修用防水シート4の固定方法が示される。
(1.穿孔工程)
まず、図3に示されるように、作業者は、シート固定具61及びベース部材62を設置する施工箇所に、防水下地1が露出するように既存断熱材2及び既存防水シート3の上下に亘って孔部2hを穿孔する。この工程は本発明の『穿孔工程』である。穿孔工程で作業者は、既存断熱材2及び既存防水シート3のうち、既存シート固定具5の位置する箇所から概ね所定の距離だけ離れた箇所に、円筒状の孔部2hをコアドリル等の孔開け具で穿孔する。孔部2hの径は、シート固定具61の外径よりも小さい。孔部2hの上下高さは、既存断熱材2の厚み分と既存防水シート3の厚み分とに亘る。このため、孔部2hの底部において防水下地1の上面部分が露出する。このように、表層である既存断熱材2及び既存防水シート3に孔部2hを穿孔して、防水下地1を露出させる工程が穿孔工程である。
【0024】
(2.充填工程)
穿孔工程が完了すると、図4に示されるように、作業者は孔部2hに液体状の接着剤8を充填する。この工程は本発明の『充填工程』である。接着剤8は孔部2hの上部領域まで充填される。接着剤8は孔部2hの上下中間領域よりも上側まで充填されるのが望ましい。
【0025】
(3.挿入工程)
充填工程が完了すると、図5に示されるように、作業者は、孔部2hに充填された接着剤8が硬化する前に、シート固定具61を連結固定可能なベース部材62を孔部2hに挿入する。この工程は本発明の『挿入工程』である。挿入工程の時点で、シート固定具61とベース部材62とは分離されている。挿入工程で、フランジ部62Bの全体が接着剤8に浸される。挿入工程において作業者は、ベース部材62を防水下地1に接地するまで挿入するが、ベース部材62と防水下地1とが接地しなくても良い。ネジ受け部62Aの上端部は接着剤8の液面よりも上側に位置する。なお、ネジ受け部62Aの上端部と、接着剤8の液面の高さ、とが略同じであっても良い。
【0026】
(4.連結工程)
挿入工程が完了し、孔部2hに充填された接着剤8が硬化したら、図6に示されるように、作業者は、表層である既存断熱材2及び既存防水シート3の上方から、ベース部材62にシート固定具61を連結固定する。この工程は本発明の『連結工程』である。つまり、作業者は、シート固定具61の貫通孔61hにボルト7を挿通し、ボルト7のネジ部分をネジ孔62hに挿入して螺合させる。これにより、シート固定具61がベース部材62のネジ受け部62Aに取り付けられる。シート固定具61の外径は孔部2hの径よりも大きいため、シート固定具61が孔部2hに対して上方から覆い被さる。このため、シート固定具61の外周部が既存断熱材2における孔部2hの周囲の領域を上方から押し付ける。作業者は、既存断熱材2に対するシート固定具61の押付力に応じて、ボルト7のネジ孔62hに対するネジ込み深さを調整できる。
【0027】
上述の穿孔工程から連結工程までの施工が全ての孔部2hに対して行われた後、作業者は、既存防水シート3の上に改修用防水シート4を敷く(図1及び図2参照)。そして作業者は、シート固定具61の位置する箇所の夫々に、誘導加熱装置(不図示)を改修用防水シート4の上方から押し当てて、シート固定具61を加熱させる。シート固定具61が所定の温度に加熱すると、改修用防水シート4のうちシート固定具61と接触する部分の温度が融点に到達し、改修用防水シート4におけるシート固定具61との接触部分がシート固定具61に融着する。これにより、改修用防水シート4とシート固定具61とが接着し、改修用防水シート4がシート固定具61及びベース部材62を介して防水下地1に固定される。全てのシート固定具61に対して改修用防水シート4が加熱融着によって接着すると、改修用防水シート4の敷設作業が完了する。
【0028】
硬化した後の接着剤8は、防水下地1と既存断熱材2とベース部材62との夫々に対して強固に接着する。つまり、シート固定具61とベース部材62とが締結された状態で、既存シート固定具5は改修用防水シート4を強固に支持する。防水下地1の上面部分に細かい凹凸が形成されていると、孔部2hにおいて接着剤8は、下方の防水下地1の上面部分の凹凸に入り込むため、ベース部材62は防水下地1に一層強固に支持される。また、既存断熱材2における孔部2hの周面部分に細かい凹凸が形成されていると、孔部2hにおいて接着剤8は、側方の既存断熱材2の周面部分の凹凸に入り込むため、ベース部材62は既存断熱材2に一層強固に支持される。
【0029】
ネジ受け部62Aの上端部は、既存防水シート3の上面部分よりも下側に位置するが、既存防水シート3の上面部分に近い高さに位置する。また、接着剤8はネジ受け部62Aの上端部付近の領域まで充填される。このため、ネジ受け部62Aは硬化した接着剤8によってしっかりと位置保持され、シート固定具61はネジ受け部62Aによってしっかりと位置保持される。なお、接着剤8はネジ受け部62Aの上下中央領域まで充填される構成であっても良い。
【0030】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0031】
(1)上述の実施形態では、シート固定具61の上に改修用防水シート4が敷設されているが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、図7に示されるように、改修用防水シート4がシート固定具61よりも下側に位置し、シート固定具61と、平面視でシート固定具61の周囲の改修用防水シート4と、に亘って上方から増張シート9が覆い被さる構成であっても良い。この場合、穿孔工程よりも前に、既存防水シート3の上に改修用防水シート4を敷設する敷設工程がある。穿孔工程で、改修用防水シート4と既存防水シート3と既存断熱材2とに孔部2hが一体的に穿孔される。そして、上述の充填工程と挿入工程とが夫々行われ、連結工程で、シート固定具61が改修用防水シート4の上方に位置するように、シート固定具61がベース部材62に取り付けられる。増張シート9は、例えばシート用接着剤でシート固定具61と改修用防水シート4とに接着する。
【0032】
(2)上述の実施形態では、既存防水シート3の上に改修用防水シート4のみを敷設するが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、図8に示されるように、既存防水シート3の上に付加断熱材10が敷設され、付加断熱材10の上に改修用防水シート4が敷設される構成であっても良い。この場合、穿孔工程よりも前に、既存防水シート3の上に付加断熱材10を敷設する敷設工程がある。また、穿孔工程では、付加断熱材10と既存防水シート3と既存断熱材2とに孔部2hが一体的に穿孔される。そして上述の充填工程と挿入工程と連結工程とによって、接着剤8が充填された孔部2hにベース部材62が設置され、改修用防水シート4がシート固定具61の上方に敷設され、改修用防水シート4とシート固定具61とが加熱融着によって接着する。
【0033】
また、図9に示されるように、改修用防水シート4がシート固定具61よりも下側に位置し、シート固定具61と、平面視でシート固定具61の周囲の改修用防水シート4と、に亘って上方から増張シート9が覆い被さる構成であっても良い。この場合、穿孔工程よりも前に、既存防水シート3の上に付加断熱材10と改修用防水シート4とを纏めて敷設する敷設工程がある。穿孔工程で、改修用防水シート4と付加断熱材10と既存防水シート3と既存断熱材2とに孔部2hが一体的に穿孔される。そして、上述の充填工程と挿入工程とが夫々行われ、連結工程で、シート固定具61が改修用防水シート4の上方に位置するように、シート固定具61がベース部材62に取り付けられる。増張シート9は、例えばシート用接着剤でシート固定具61と改修用防水シート4とに接着する。
【0034】
(3)上述の実施形態では、改修用防水シート4を敷設するが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば図10に示されるように、新設の防水下地11に対して新設の防水シート13を敷設する際にも、本発明によるシート固定具設置方法は適用可能である。図10に基づいて説明すると、穿孔工程では、新設断熱材12に孔部12hが穿孔される。そして上述の充填工程と挿入工程と連結工程とによって、接着剤8が充填された孔部12hにベース部材62が設置され、防水シート13がシート固定具61の上方に敷設され、防水シート13とシート固定具61とが加熱融着によって接着する。
【0035】
また、図11に示されるように、防水シート13がシート固定具61よりも下側に位置し、シート固定具61と、平面視でシート固定具61の周囲の防水シート13と、に亘って上方から増張シート9が覆い被さる構成であっても良い。この場合、穿孔工程よりも前に、新設断熱材12の上に防水シート13を敷設する敷設工程がある。穿孔工程では、新設断熱材12と防水シート13とに孔部12hが一体的に穿孔される。そして、上述の充填工程と挿入工程とが夫々行われ、連結工程で、シート固定具61が防水シート13の上方に位置するように、シート固定具61がベース部材62に取り付けられる。増張シート9は、例えばシート用接着剤でシート固定具61と防水シート13とに接着する。
【0036】
(4)接着剤8はコーキング剤であっても良い。
【0037】
(5)上述の実施形態では、連結工程は、孔部2hに充填された接着剤8の硬化後に行われるが、連結工程は接着剤8の硬化前に行われても良い。また、上述した実施形態では、ネジ受け部62Aの上端部は接着剤8の液面よりも上側に位置するが、ネジ受け部62Aの全体が接着剤8の液面よりも下側に位置し、接着剤8の硬化前に連結工程が行われても良い。
【0038】
(6)上述の実施形態では、ベース部材62に一つのフランジ部62Bが備えられているが、フランジ部62Bが複数備えられても良いし、フランジ部62Bが備えられない構成であっても良い。
【0039】
(7)上述の実施形態では、充填工程の後に挿入工程が行われるが、挿入工程の後に充填工程が行われても良い。つまり、挿入工程は、シート固定具61を連結固定可能なベース部材62を孔部2hに挿入する工程であって、充填工程は、ベース部材62が挿入された孔部2hに接着剤8を充填する工程であっても良い。
【0040】
(8)上述の実施形態では、挿入工程の後に連結工程が行われるが、例えば、連結工程は、挿入工程よりも前に行われても良い。例えば、シート固定具61とベース部材62とが予め連結され、充填工程の後に、シート固定具61と連結された状態のベース部材62が孔部2hに挿入されても良い。
【0041】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、防水シートを防水下地に固定する防水シート固定方法に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 :防水下地
2 :既存断熱材(断熱材、表層)
2h :孔部
3 :既存防水シート(表層)
4 :改修用防水シート(防水シート)
8 :接着剤
10 :付加断熱材(断熱材、表層)
11 :防水下地
12 :新設断熱材(断熱材、表層)
12h :孔部
13 :防水シート
61 :シート固定具
62 :ベース部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11