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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132812
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ゲート切断装置及び成形用金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/38 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B29C45/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031487
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】302067947
【氏名又は名称】株式会社テクノクラーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】反本 正典
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK02
4F202CK06
4F202CK35
4F202CK42
4F202CK52
4F202CK73
4F202CK84
(57)【要約】
【課題】無理なくゲートを切断することができる新規なゲート切断装置を提供する。
【解決手段】成形用金型に組み込まれ使用されるゲート切断装置1であって、ゲートを切断する切断駒11と、前記切断駒11と摺動可能に係合し、前記切断駒11をゲート形成位置又はゲート切断完了位置に移動させる保持駒31と、前記保持駒31に係合し、前記保持駒31を進退させる駆動駒51と、を備え、前記保持駒31は、ランナーの一部を形成するランナー形成部を有し、前記ランナー形成部は、前記切断駒11がゲート形成位置にあるとき前記ランナーを形成し、前記保持駒31の移動に伴い前記ランナー形成部が前記ランナーRを形成する位置から移動すると、元の位置には空間が形成され、前記ゲートは、前記保持駒31の移動に連動して前記切断駒11がゲート形成位置からゲート切断完了位置へ移動する過程で切断される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形用金型に組み込まれ使用されるゲート切断装置であって、
ゲートGを切断する切断駒と、
前記切断駒と摺動可能に係合し、前記切断駒をゲート形成位置又はゲート切断完了位置に移動させる保持駒と、
前記保持駒に係合し、前記保持駒を進退させる保持駒駆動手段と、
を備え、
前記保持駒は、ランナーRの一部を形成するランナー形成部を有し、
前記ランナー形成部は、前記切断駒がゲート形成位置にあるとき前記ランナーRを形成し、前記保持駒の移動に伴い前記ランナー形成部が前記ランナーRを形成する位置から移動すると、元の位置には空間が形成され、
前記ゲートGは、前記保持駒の移動に連動して前記切断駒がゲート形成位置からゲート切断完了位置へ移動する過程で切断されることを特徴とするゲート切断装置。
【請求項2】
前記切断駒は、前記ゲートG及びゲートGにつながるランナーRを形成するゲート形成部を備え、
前記切断駒がゲート形成位置にあるとき前記ゲート形成部が形成するランナーRと前記ランナー形成部が形成するランナーRとが連通することを特徴とする請求項1に記載のゲート切断装置。
【請求項3】
前記ランナーRにある成形品の成形に使用される成形材料は、前記切断駒のゲート形成位置からゲート切断完了位置への移動に連動して前記空間に逃げることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲート切断装置。
【請求項4】
前記ランナー形成部は、前記ランナーRにある前記成形材料が前記空間に逃げるとき前記保持駒、前記成形用金型による干渉を回避する傾斜面を有することを特徴とする請求項3に記載のゲート切断装置。
【請求項5】
前記保持駒駆動手段は、前記成形用金型の型開きに連動し前記保持駒を移動させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゲート切断装置。
【請求項6】
さらに前記切断駒及び前記保持駒駆動手段が係合した状態の前記保持駒を摺動自在に収容可能なホルダーを備え、これらが1つのユニットとして構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のゲート切断装置。
【請求項7】
前記ホルダーは、前記切断駒をゲート切断方向に案内する切断駒第1ガイドと、前記保持駒を進退方向に案内する保持駒ガイドと、
を備えることを特徴とする請求項6に記載のゲート切断装置。
【請求項8】
前記ホルダーは、さらに前記ゲートGを切断しゲート切断完了位置にある前記切断駒を退避位置に案内する切断駒第2ガイドを備え、
前記退避位置は、前記ゲートGが切断された、前記ランナーR又は成形用金型内にある成形品の成形に使用される成形材料を前記ランナーR又は成形用金型から取り出すにじゃまにならない位置であり、
前記切断駒は、前記保持駒の移動に連動して、前記切断駒第1ガイドに案内されゲート形成位置からゲート切断完了位置に移動し、さらに前記切断駒第2ガイドに案内されゲート切断完了位置から退避位置に移動可能なことを特徴とする請求項7に記載のゲート切断装置。
【請求項9】
前記切断駒は、ゲート形成位置からゲート切断完了位置へ移動するとき前記ゲートGを引きちぎるように又はカッティングするように前記ゲートGに剪断力を与え、前記ゲートGを切断することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のゲート切断装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のゲート切断装置を備える成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型内でゲートを切断可能なゲート切断装置及び成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形金型を用いて樹脂製品(成形品)を製造する場合、通常、溶融樹脂は、スプルー、ランナーを通じてキャビティに充填される。このため単に成形品を取り出すと製品にランナーが連結した状態である。このような成形品は、成形品を取り出した後に人の手でゲートを切断しランナーを切り落とす作業が必要となり工数が多くなる。
【0003】
上記問題を解決すべく金型内でゲートを切断し、製品のみを取り出すことのできる射出成形金型が開発されている。金型内でのゲート切断には種々の方法があり、型開きの動作に連動してゲートを切断する方法(例えば特許文献1参照)、型閉じ状態でゲートを切断する方法がある(例えば特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載の射出成形金型では、型締め型開きの動作に連動してスライドするスライドコアにゲートを切断する刃部を設け、型開きの動作に連動してスライドコアをスライドさせ刃部でゲートを切断する。
【0005】
特許文献2に記載の射出成形金型では、スライドコアにランナー部とゲート部とを有するサイドゲートを、ゲート部の先端にゲート切断部を設け、スライドコアに油圧シリンダを取付け、型閉じ状態でスライドコアをスライドさせゲート部を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-74138号公報
【特許文献2】特開2002-283404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日、成形用金型、成形用金型に組み込み使用するゲート切断装置に対するコンパクト化の要求は大きい。このため簡便な構成でコンパクトなゲート切断装置、成形用金型への組み込みが容易なゲート切断装置が求められている。また成形用金型に組み込み使用されるゲート切断装置において、ゲートを無理なく切断することは重要である。例えば、ゲート切断に伴いランナーにある成形材料(樹脂)に不要な荷重を加えると、成形材料が変形、破損し、ランナー又は成形用金型からの取り出しが難しくなる。
【0008】
本発明の目的は、無理なくゲートを切断することができる新規なゲート切断装置及び該ゲート切断装置を備える成形用金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成形用金型に組み込まれ使用されるゲート切断装置であって、ゲートGを切断する切断駒と、前記切断駒と摺動可能に係合し、前記切断駒をゲート形成位置又はゲート切断完了位置に移動させる保持駒と、前記保持駒に係合し、前記保持駒を進退させる保持駒駆動手段と、を備え、前記保持駒は、ランナーRの一部を形成するランナー形成部を有し、前記ランナー形成部は、前記切断駒がゲート形成位置にあるとき前記ランナーRを形成し、前記保持駒の移動に伴い前記ランナー形成部が前記ランナーRを形成する位置から移動すると、元の位置には空間が形成され、前記ゲートGは、前記保持駒の移動に連動して前記切断駒がゲート形成位置からゲート切断完了位置へ移動する過程で切断されることを特徴とするゲート切断装置である。
【0010】
本発明に係るゲート切断装置において、前記切断駒は、前記ゲートG及びゲートGにつながるランナーRを形成するゲート形成部を備え、前記切断駒がゲート形成位置にあるとき前記ゲート形成部が形成するランナーRと前記ランナー形成部が形成するランナーRとが連通することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るゲート切断装置において、前記ランナーRにある成形品の成形に使用される成形材料は、前記切断駒のゲート形成位置からゲート切断完了位置への移動に連動して前記空間に逃げることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るゲート切断装置において、前記ランナー形成部は、前記ランナーRにある前記成形材料が前記空間に逃げるとき前記保持駒、前記成形用金型による干渉を回避する傾斜面を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るゲート切断装置において、前記保持駒駆動手段は、前記成形用金型の型開きに連動し前記保持駒を移動させることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るゲート切断装置は、さらに前記切断駒及び前記保持駒駆動手段が係合した状態の前記保持駒を摺動自在に収容可能なホルダーを備え、これらが1つのユニットとして構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るゲート切断装置において、前記ホルダーは、前記切断駒をゲート切断方向に案内する切断駒第1ガイドと、前記保持駒を進退方向に案内する保持駒ガイドと、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るゲート切断装置において、前記ホルダーは、さらに前記ゲートGを切断しゲート切断完了位置にある前記切断駒を退避位置に案内する切断駒第2ガイドを備え、前記退避位置は、前記ゲートGが切断された、前記ランナーR又は成形用金型内にある成形品の成形に使用される成形材料を前記ランナーR又は成形用金型から取り出すにじゃまにならない位置であり、前記切断駒は、前記保持駒の移動に連動して、前記切断駒第1ガイドに案内されゲート形成位置からゲート切断完了位置に移動し、さらに前記切断駒第2ガイドに案内されゲート切断完了位置から退避位置に移動可能なことを特徴とする。
【0017】
本発明に係るゲート切断装置において、前記切断駒は、ゲート形成位置からゲート切断完了位置へ移動するとき前記ゲートGを引きちぎるように又はカッティングするように前記ゲートGに剪断力を与え、前記ゲートGを切断することを特徴とする。
【0018】
本発明は、前記ゲート切断装置を備える成形用金型である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、無理なくゲートを切断することができる新規なゲート切断装置及び該ゲート切断装置を備える成形用金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の外観図である。
図2】本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の構造を説明するための図である。
図3】本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の動作を説明するための斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の動作を説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の動作を説明するための斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の動作を説明するための図である。
図7】本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の分解構成図である。
図8】本発明の第2実施形態の成形用金型101の型閉じ状態及びゲート切断後の要部断面図である。
図9】本発明の第3実施形態の成形用金型102の型閉じ状態及びゲート切断時の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の外観図である。図2は、本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の構造を説明するための図であり、図2(A)は、図1のゲート切断装置1の平面図、図2(B)は、切断線A-Aの断面図である。図3は、本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の動作を説明するための斜視図、図4(A)は、図3のゲート切断装置1の平面図、図4(B)は、切断線B-Bの断面図である。図5は、本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の動作を説明するための斜視図、図6(A)は、図5のゲート切断装置1の平面図、図6(B)は、切断線C-Cの断面図である。図7は、本発明の第1実施形態のゲート切断装置1の分解構成図である。
【0022】
図及び明細書中のX方向、Y方向、Z方向は、3次元直交座標のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向と一致する。また明細書中、+X方向は図中に示されたX軸の矢印の方向を意味し、-X方向とは図中に示されたX軸の矢印と反対方向を意味する。+Y方向、-Y方向、+Z方向、-Z方向についても同様である。本実施形態のゲート切断装置1は、図1図6において、ホルダー61の底辺62、ホルダー61の後方上辺63、ホルダー61の後方側辺64が、それぞれZ軸、X軸、Y軸に平行である。
【0023】
ゲート切断装置1は、ランナーR及びランナーRと成形品PとをつなぐゲートGを形成すると共に成形品Pを成形後にゲートGを切断する装置であり、代表的には図8に示すように成形品Pの外面側を成形する固定型110と、成形品Pの内面側を成形する可動型150とを備える成形用金型101に組み込まれ使用される。以下、ゲート切断装置1の構成及び動きについて説明する。
【0024】
ゲート切断装置1は、ランナーRの一部とゲートGとを形成するとともにゲートGを切断する切断駒11と、切断駒11と協働しランナーRの一部を形成するとともに切断駒11と摺動自在に係合し切断駒11をスライドさせる保持駒31と、保持駒31と摺動自在に係合し保持駒31をスライドさせる駆動駒51と、保持駒31等を進退可能に収容するホルダー61と、ベース駒81とを備える。
【0025】
切断駒11は、底面が傾斜した正面視において略三角形のブロック状の部材であり、前面にランナーRの一部及びランナーRにつながるゲートGを形成する凹部17を備える。ここで正面視は、+X方向に見ることをいう。凹部17は、中央から上部に向かい流路が狭くなるように突出した先細り形状となっており、凹部17の上端15がゲートGを形成する。本実施形態において凹部17がゲート形成部である。切断駒11の前面、前方、先端は、凹部17のある方向であり、図7において左側である。
【0026】
切断駒11の背面壁23には背面壁23から突出するように爪20が設けられている。爪20は、ホルダー61に設けられた案内溝73に摺動自在に嵌まり込む。本実施形態において、爪20及び案内溝73は1つであるが(図7参照)、爪20及び案内溝73をそれぞれ2つ以上設けるのが好ましく、2つの爪20の間、2つの案内溝73の間に間隔を設けるのがよい。爪20及び案内溝73を2つ以上設けることでより確実にまたより正確に切断駒11を移動させることができ、さらに爪20に加わる力を分散し、切断駒11の回転を抑止することができる。
【0027】
爪20の左側面21及び右側面22は、ホルダー61の案内溝73の第1案内部74の左側面、右側面に接する第1摺動面である。また爪20の上側面、下側面は、案内溝73の第2案内部75の上側面、下側面に接する第2摺動面である。
【0028】
切断駒11の底面は、先端側が低く後端側が高い傾斜面となっており、正面側の下端に底面に沿うように凸条24が設けられている(図7参照)。この凸条24は、保持駒31に設けられた凹溝33に摺動自在に嵌まり込む。
【0029】
保持駒31は、正面視において略台形のブロック状の部材であり、幅(X方向)がホルダー61の内壁面の間隔と略同一であり、ホルダー61に摺動自在に収容され、切断駒11と係合し切断駒11がゲートGを切断するように切断駒11を動かす。
【0030】
保持駒31は、前面上部に切断駒11を収容する凹部35を有する。また保持駒31は、前面にランナーRの一部を形成する凹部36、37を有する。本実施形態において凹部36、37がランナー形成部である。凹部36は、正面側の上部に位置し、凹部37は、保持駒31の前面で高さ(Y方向)はほぼ中央に位置する。凹部37は、凹部36と連通する。このため保持駒31の前面上部には、凹部35、36、37に囲まれた突出部32が形成される。
【0031】
突出部32の背面側には切断駒11の凸条24が摺動自在に嵌り込む凹溝33が設けられている。凸条24を凹溝33に嵌め込み凹部35に収容された切断駒11は、凹部17が凹部37と連通する。また凹部36は、ホルダー61に設けられたランナー溝77につながる。これによりランナー溝77、凹部36、凹部37、凹部17が連通しランナーRが形成され、さらにランナーRは先端部でゲートGとつながる(図1図8参照)。
【0032】
切断駒11の収容部である凹部35の底面は、前下がりの傾斜面34となっている。切断駒11の凸条24を凹溝33に嵌め入れた状態で、切断駒11の底面は傾斜面34に摺動自在に接する。同様に、凹部37の底面は、前下がりの傾斜面38となっている。
【0033】
傾斜面38は、Z軸に対する傾斜角度をθとしたとき、傾斜角度θが式(1)を満たすのがよい(図2(B)参照)。式(1)を満足するように傾斜面38を設けることで切断駒11がゲートGを切断するとき、ランナーRにある成形材料が切断駒11と傾斜面38とに挟まれ圧縮されることなくゲートGを切断できる。
≦L・tanθ+h・・・(1)
ここで h:切断駒11により移動させられる成形品Pの-Y方向の移動距離
:保持駒31の-Y方向の移動距離
:保持駒31の+Z方向の移動距離
θ:傾斜面38のZ軸に対する傾斜角度
【0034】
本実施形態のゲート切断装置1のように切断駒11がゲートGを切断するときの移動方向が-Y方向に平行な場合には、式(2)を満足するように傾斜面38を設けることでランナーRにある成形材料が切断駒11と傾斜面38とに挟まれ圧縮されることなくゲートGを切断できる(図2(B)参照)。
θ≦θ・・・(2)
ここで θ:傾斜面34のZ軸に対する傾斜角度
θ:傾斜面38のZ軸に対する傾斜角度
【0035】
保持駒31の背面側には、駆動駒51に設けられた凸条53が摺動自在に嵌まり込む凹溝40が設けられている。保持駒31の後方壁面41は、上部に向かって先細りの傾斜面であり、駆動駒51の前面壁52が摺動自在に接する。また保持駒31の正面壁43及び背面壁の下部には、ホルダー61に設けられた凹溝71に摺動自在に嵌まり込む、Z方向に伸びる凸条45が設けられている。
【0036】
保持駒31の底面後端部には、下方(-Y方向)に突出する突起47が設けられている(図2(B)参照)。この突起47は、ベース駒81の収容溝84に位置しており、収容溝84に嵌り込むスプリング91の末端部が接する。
【0037】
駆動駒51は、正面視において上辺が広い台形状のブロック状の部材である。駆動駒51は、切断駒11がゲートGを切断するように保持駒31を動かすための駒であり、前側に保持駒31に設けられた凹溝40に摺動自在に嵌り込む凸条53を備える。駆動駒51の前面壁52は、傾斜面となっており、駆動駒51の突条53を保持駒31の凹溝40に嵌め込むと保持駒31の後方壁面41に摺動自在に接する。凸条53及び前面壁52は、底面を基準としたとき正面視において+Y方向かつ-Z方向に傾斜している。駆動駒51の後方壁面55も正面視において、僅かに+Y方向かつ+Z方向に傾斜しており、駆動駒51は、正面視において下方に向かって細くなる先細り形状を有する。
【0038】
ホルダー61は、2つの半割ホルダー部材61a、61bを組合せてなり、前面、上面及び底面が開口し、正面側内壁面67と背面側内壁面66とは平行であり、平面視においてコ字状である。ホルダー61は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、成形用金型に組み込み使用する場合には、成形用金型、成形用金型を構成する可動型又は固定型に一体的に形成されていてもよい。
【0039】
ホルダー61は、正面壁内面67の下部及び背面壁内面66の下部に、保持駒31をガイドする案内溝(凹溝)71を有し、保持駒31は凸条45を案内溝71を嵌め入れ、ホルダー61が形成する内部空間部に進退自在に収容される。本実施形態において案内溝71が、保持駒ガイドに相当する。案内溝71は、正確には正面壁内面67及び背面壁内面66の下端に設けられたZ軸に平行な切り欠きであり、ホルダー61がベース駒81に載置された状態で、ベース駒81の天井面82と協働して凹溝を形成する。
【0040】
またホルダー61は、上部に向かって広がるように傾斜した後方内壁面68を有する。保持駒31に係合した駆動駒51は、駆動駒51の後方壁面55がホルダー61の後方内壁面68に摺動自在に接するようにホルダー61に収容される(図2(B)参照)。
【0041】
またホルダー61は、保持駒31に係合する切断駒11がゲートGを切断するように案内し、さらにゲートGを切断した切断駒11をゲートG及びランナーRから遠ざけるように案内する案内溝73を有する。
【0042】
案内溝73は、背面壁内面66の前側上部に設けられた凹溝であり、逆L字状である(図7参照)。案内溝73は、切断駒11を第1方向に導く第1案内部74と、切断駒11を第2方向に導く第2案内部75とを有する。本実施形態において第1案内部74が切断駒第1ガイド、第2案内部75が切断駒第2ガイドに相当する。第1案内部74は、上下方向(Y方向)に延び、第2案内部75は、末端が後方側に位置するように水平方向(Z方向)に延びる。第1案内部74と第2案内部75とは繋がっており、第1案内部74の中心軸線と第2案内部75の中心軸線とは交差する(図7参照)。
【0043】
第1案内部74は、型開きに連動して切断駒11がゲートGを切断するように切断駒11を案内する。第1案内部74の始点は、ゲートGが形成されるゲート形成位置であり、第1案内部74の終点は、ゲートGが完全に切断されるゲート切断完了位置である。第2案内部75は、型開きに連動して、ゲートGを切断した切断駒11がゲートG及びランナーRから遠ざかるように案内する。第2案内部75の終点は、保持駒11の退避位置である。退避位置は、ゲートGが切断されランナーRに残った成形材料をランナーR又は成形用金型から取り出すにじゃまにならない位置である。
【0044】
またホルダー61は、半割れホルダー部材61aの先端上部にランナーRの一部を形成するランナー溝77を備える。このランナー溝77は、切断駒11がゲート形成位置にあるとき、保持駒31の凹部37と連通する(図1参照)。
【0045】
ベース駒81は、板状の部材であり、上面82に半割れホルダー61a、61b及び保持駒31が載置する。ベース駒81は、半割れホルダー61a、61bと協働し保持駒31が前進・後退するように案内する案内溝71を形成する。保持駒31は、底面がベース駒81の上面82に摺動自在に接し、案内溝71に沿って移動する。
【0046】
ベース駒81は、上面82に臨むスプリング91の収容溝84を有する。収容溝84は、上面82を彫り込む形で形成されZ方向に伸びる。ベース駒81の上に載る保持駒31の底面後端部に設けられた突起47は、収容溝84内に位置する。
【0047】
スプリング91は、退避位置にある切断駒11の位置を保持すべく切断駒11に係合する保持駒31を押圧する。スプリング91は、収容溝84に収容された状態で一端を収容溝84の先端部85に、他端を保持駒31の底面後端部に設けられた突起47に接し、保持駒31をランナーRから遠ざけるように押圧する。これにより保持駒31が駆動駒51から切り離されても保持駒31の位置を保持することができる。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態の成形用金型101の型閉じ状態及びゲート切断後の要部断面図である。成形用金型101は、公知の射出成形用金型と同様、成形品Pの外面側を成形する固定型110と、成形品Pの内面側を成形する可動型150と、さらにゲート切断装置1とを備える。ここでは成形用金型101が射出成形金型であるとして説明する。便宜上、図8の固定型110側を上、可動型150側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図8における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
【0049】
固定型110は、成形品Pの外面側を成形するキャビティ112を有する。可動型150は、成形品Pの内面側を成形するコアを有する可動側型板153を備える。さらに可動型150は、公知の射出成形用金型と同様に、図示を省略した可動側取付板、スペーサーブロック、エジェクタ台板、エジェクタピン、リターンピン、スプリング、エジェクタロッドを備え、エジェクタ台板、エジェクタピン及びエジェクタロッド等でエジェクタ機構を構成する。
【0050】
成形用金型101は、成形工程、冷却工程を経て型開きを行い、成形品Pの突き出し動作を行う。上記構成及び動作は、公知の成形用金型と同様であるため説明を省略する。ゲート切断装置1を組込み使用可能な成形用金型は、本実施形態に限定されるものではない。
【0051】
ゲート切断装置1は、切断駒11の凸条24が、保持駒31の凹溝33に嵌め込まれ、駆動駒51の凸条53が保持駒31の凹溝40に嵌め込まれ、ベース駒91と連結されたホルダー61に組み込まれる。このとき切断駒11の爪15は、ホルダー61の案内溝73の第1案内部74に、保持駒31の凸条45は、ホルダー61の案内溝71に嵌まり込んでいる(図1参照)。
【0052】
ベース駒91と連結されたホルダー61は、可動側型板153に設けられた凹部154に嵌め込まれ可動側型板153に固定される。ホルダー61は、可動側型板153に固定された状態で半割れホルダー部材61a、61bの上面70が可動側型板153の上面と面一となる。駆動駒51は、本体の上部に取付部57が設けられ、取付部57が固定型110に固定され、本体56が固定型110の底面115から突出している。
【0053】
型閉じ状態で切断駒11は、ゲートGを形成する位置(ゲート形成位置)にある。保持駒31は、切断駒11の隣に位置し、ホルダー61のランナー溝77と連通し、切断駒11及び保持駒31は、可動側型板153と協働し、ランナーRを形成する。型閉じ状態で、固定型110と可動型150とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成される(図8(A)参照)。図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、スプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填され、保圧、冷却工程を経て型開き、成形品Pの取り出しとなる。型開き、成形品Pの取り出しは、以下の要領で行われる。
【0054】
可動型150が後退し型開きが開始されると、ホルダー61に収容された保持駒31及び保持駒31に摺動自在に係合する切断駒11は、可動型150と一緒に下降する。一方、駆動駒51は、固定型110に固定されているため位置は変わらない。このため型開きが開始されると駆動駒51は、保持駒31に対して相対的に上昇することとなる(図8(B)参照)。
【0055】
これにより保持駒31は、ホルダー61の凹溝71にガイドされ後退(Z方向に移動)する。保持駒31に摺動自在に係合する切断駒11は、保持駒31が後退することで-Y方向に移動する。より詳細には切断駒11は、爪15を案内溝73の第1案内部74に摺動させ、第1案内部74をガイドとして成形品Pに対して-Y方向に移動する。切断駒11がゲート形成位置からゲート切断完了位置に達する過程でゲートGが引きちぎられ切断される。
【0056】
切断駒11がゲート形成位置からゲート切断完了位置に向け移動するときランナーRの樹脂は-Y方向に押し下げられる。このとき保持駒31はZ方向に移動しているため切断駒11の下方には空間ができる。特に保持駒31は、前面側にランナーRの一部を形成する前下がりの傾斜面38を有するため、ゲートGの切断に伴い押し下げられるランナーRの樹脂は、保持駒31及び成形用金型101に干渉されることなく前記空間に逃げることができる。これによりゲートGを切断するときランナーRの樹脂の破断を防ぐことができる。
【0057】
切断駒11がゲート切断完了位置に達した後、さらに固定型110と可動型150との間隔が大きくなると、切断駒11はZ方向に移動する。具体的には切断駒11は、爪15の第2摺動面を案内溝73の第2案内部75に摺動させ、第2案内部75に案内されゲート切断完了位置から退避位置に向け移動する。
【0058】
さらに可動型150が下降すると切断駒11は退避位置に達する。これにより切断駒11が成形品P及びランナーRから大きく離れ、成形品P及びゲートGが切断されたランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保される。その後、図示を省略したエジェクタ台板が上昇し、成形品P及びランナーRに残った樹脂は、それぞれエジェクタピンで突き出される。
【0059】
切断駒11が退避位置に達したとき、保持駒31は切断駒11と一緒にホルダー61内に位置する一方で駆動駒51が保持駒31から外れる。保持駒31は、駆動駒51から外れてもスプリング91によりZ方向に押圧されているので保持駒31及び切断駒11の位置は維持される。
【0060】
以上のようにゲート切断装置1、ゲート切断装置1が組み込まれた成形用金型101は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを切断することができる。またゲートGを切断した切断駒11は、型開きに連動してゲートG及びランナーRから遠ざかるように移動するので成形品P及びランナーRに残った成形材料の取り出しが容易となる。
【0061】
またゲート切断装置1は、ゲートG切断時にランナーRにある成形材料に圧縮荷重が加わらないように切断することができる。このように無理なくゲートGを切断することができるためランナーRにある成形材料が破断せず、ゲートGが切断された後のランナーRにある成形材料を取り出すための機構が簡便となる。
【0062】
また、ゲート切断装置1は、切断駒11、保持駒31をホルダー61内に収納した状態で成形用金型に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型への取付けが容易である。特に図1に示すようにホルダー61、切断駒11、保持駒31及び駆動駒51を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断装置1をユニット化することで成形用金型への取付けがより容易となる。
【0063】
図9は、本発明の第3実施形態の成形用金型102の型閉じ状態及びゲート切断時の要部断面図である。図1から図8に示すゲート切断装置1、成形用金型101と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。ここでは成形用金型102が射出成形金型であるとし、成形用金型101との相違点を中心に説明する。
【0064】
第3実施形態の成形用金型102は、第2実施形態の成形用金型101と同様に成形品Pの外面側を成形する固定型110と、成形品Pの内面側を成形する可動型150と、さらにゲート切断装置2とを備える。ゲート切断装置2は、第1実施形態のゲート切断装置1と同様に、切断駒12、保持駒31、駆動駒51、ホルダー61、ベース駒81及びスプリング91を備える。
【0065】
ゲート切断装置2は、ゲートGを切断するとき、ランナーRの成形材料を保持駒31が後退することでできた空間に逃がしながら切断駒12で切断する点において第1実施形態のゲート切断装置1と共通する。一方、ゲート切断装置2は、切断刃26によりゲートGを切断する点において、第1実施形態のゲート切断装置1と異なる。また切断駒12の動きも切断駒11と異なる。
【0066】
第2実施形態の成形用金型101は、型開きに連動して保持駒31が後退し、保持駒31に係合する切断駒11がホルダー61に設けられた案内溝73に案内され移動する。具体的には切断駒11は、案内溝73の第1案内部に案内され、ゲート成形位置からゲート切断完了位置に移動し、さらに案内溝73の第2案内部に案内され、ゲート切断完了位置から退避位置に移動する。ゲートGは、切断駒11がゲート成形位置からゲート切断完了位置に移動する過程で切断刃26によりカッティングされる。
【0067】
第3実施形態の成形用金型102において、型開きに連動して保持駒31が後退すると切断駒12は、案内溝73の第1案内部に案内され、-Z方向に前進し、先端に設けられた切断刃26でゲートGを切断する。ゲートGを切断した切断駒12は、その後案内溝73の第2案内部に案内され、+Z方向に後退し、ゲート切断完了位置から退避位置に移動する。
【0068】
第3実施形態の成形用金型102において使用されるゲート切断装置2は、切断駒12の凹部17の傾斜面18のZ軸に対する傾斜角度をθとしたとき、傾斜角度θが式(3)を満たすのがよい(図9(A)参照)。式(3)を満足するように傾斜面18を設けることで切断駒12がゲートGを切断するとき、ランナーRにある成形材料が切断駒12と傾斜面38とに挟まれ圧縮されることなくゲートGを切断できる。
・tanθ≦L・tanθ・・・(3)
ここで L:保持駒31の+Z方向の移動距離
:切断駒11の-Z方向の移動距離
θ:傾斜面38のZ軸に対する傾斜角度
θ:傾斜面18のZ軸に対する傾斜角度
【0069】
以上からなる成形用金型102は、切断刃26でゲートGを切断する点において成形用金型101と異なるものの作用効果は成形用金型101と共通する。またゲート切断装置2の成形用金型への組込みの容易性、コンパクト化、ユニット化についてもゲート切断装置1と基本的に同じである。
【0070】
以上、第1実施形態のゲート切断装置及び第2、第3実施形態の成形用金型を用いて、本発明のゲート切断装置、成形用金型を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形して使用することができる。
【0071】
本発明に係るゲート切断装置及び本発明に係るゲート切断装置を備える成形用金型は、切断駒によりゲートGを切断するとき、保持駒を移動させることで空間を作り、ここにゲートGにつながるランナーRにある成形材料を逃がしながらゲートGを切断する点に特徴がある。上記実施形態では、ランナーRの一部を傾斜面とし、保持駒の移動に伴いこれを移動させることで成形材料を逃がすための空間を作るが、空間の形成要領は、これに限定されるものではない。
【0072】
切断駒に係合し切断駒を移動させる保持駒を、切断駒の移動に先立ち移動させ、その後保持駒を移動させ係合する切断駒でゲートGを切断させてもよい。このように保持駒と切断駒との移動のタイミングをずらすことでランナーRにある成形材料を逃がすための空間を作り出すことができる。
【0073】
上記実施形態のゲート切断装置ではホルダー61とベース駒81とが分離しているが、ホルダー61とベース駒81とが一体化していてもよい。例えばベース駒を2分割し、それぞれの半割れベース駒と半割れホルダーとを接合し、又は半割れベース駒と半割れホルダーとを一体成形してもよい。
【0074】
上記実施形態のゲート切断装置1、2では、箱型のホルダー61を使用するが、本発明に係るゲート切断装置において、使用可能なホルダーの形状は限定されない。本発明に係るゲート切断装置においてホルダーは、保持駒など各種駒を進退可能に収容し、案内溝などのガイド手段を設けることができればよい。また保持駒など各種駒の収容も部分的な収容であってもよく、収容を保持と捉えてもよい。
【0075】
またホルダー、駆動駒などの固定位置も上記実施形態に限定されない。例えば、第2、第3実施形態の成形用金型101、102では、ホルダー61が可動側型板153に固定されているが、ホルダー61は、可動型150又は可動型150と一体的に動く部材に固定されていてもよい。同様に第2、第3実施形態の成形用金型101、102では、駆動駒51が固定型110に固定されているが、固定型110と一体的に動く部材に固定されていてもよい。
【0076】
上記実施形態において駆動駒51は、成形用金型101、102の型開きを駆動源とするが、駆動駒51の駆動源はこれに限定されるものではない。エジェクタプレートに連動させて駆動駒51を動かしてもよく、油圧シリンダ、エアシリンダ、スプリング・板バネなどの弾性体、磁石・電磁石などの磁性体、モーター、ガススプリングなどを用いて駆動駒51を動かすようにしてもよい。
【0077】
また第2、第3実施形態では、ホルダー61が可動型150に、駆動駒51が固定型110に組み込まれているが、ホルダー61を固定型110に、駆動駒51を可動型150に組み込むようにしてもよい。
【0078】
上記実施形態のゲート切断装置1、2では、駆動駒51を介して保持駒31、さらには保持駒31に係合する切断駒11、12を進退させるが、保持駒31、切断駒11、12の駆動機構・駆動源は本実施形態に限定されるものではない。エジェクタプレートに連動させて保持駒31及び/又は切断駒11、12を動かしてもよく、油圧シリンダ、エアシリンダ、スプリング・板バネなどの弾性体、磁石・電磁石などの磁性体、モーター、ガススプリングなどを用いて保持駒31及び/又は切断駒11、12を動かすようにしてもよい。
【0079】
また本発明に係るゲート切断装置1、2は、1つの成形用金型に2個または3個以上組み込まれていてもよい。
【0080】
上記実施形態のゲート切断装置1、2、成形用金型101、102において、保持駒31の後退位置を維持するための押圧手段としてスプリング91が用いられているが、スプリング(ばね)に代わる他の押圧手段を用いてもよい。他の押圧手段としては、ガススプリング、スプリング以外の弾性体、位置を固定するためのボールプランジャーなどが挙げられる。また油圧シリンダ、エアシリンダ、スプリング・板バネなどの弾性体、磁石・電磁石などの磁性体、モーター、ガススプリングなどを用いて保持駒31の位置を維持するようにしてもよい。
【0081】
また上記実施形態のゲート切断装置1、2、成形用金型101、102において、保持駒31を案内する凹溝71は、ホルダー61の正面壁内面67及び背面壁内面66にそれぞれ1つ設けられているが、保持駒31を案内する凹溝71の数は1つ(一対)に限定されるものではなく、正面壁内面67及び背面壁内面66にそれぞれ2つ(2対)以上設けられていてもよい。
【0082】
上記実施形態のゲート切断装置1、2、成形用金型101、102において、ガイド手段として凹溝、ガイド手段に係合する係合手段として爪・凸条を使用するが、凹溝と爪・凸条との配置が逆であってもよい。例えばホルダーに保持駒を案内する凸条を設け、保持駒に凸条に摺動自在に嵌り込む凹溝を設けてもよい。また凸条と凹溝とは、蟻溝構造(蟻溝機構)であってもよい。
【0083】
また本発明のゲート切断装置、成形用金型において、互いに嵌合又は係合する凹溝、斜溝、凸条、嵌合部、係合部又は係止部の断面形状は、図に示した矩形であるものに限定されるものではなく断面が円形、三角形等であってもよい。また本発明のゲート切断装置、成形用金型において、ホルダー、保持駒及び駆動駒のそれぞれのガイド手段、規制手段は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、リニアガイド等を用いてもよい。
【0084】
本発明のゲート切断装置及び成形用金型において、ゲートGの種類は特に限定されるものではない。サイドゲート、オーバーラップゲート、サブマリンゲートなど種々のゲートを採用することができる。またランナーもコールドランナーのみならずホットランナーにも適用することができる。
【0085】
本発明の第2、第3実施形態の成形用金型101、102では、成形品P及びランナーRに残った成形材料の取り出しにエジェクタ台板に固定されたエジェクタピンを使用するが、成形品P又はランナーRに残った成形材料の取り出しはこれに限定されるものではない。エジェクタピンに代えてロボットアーム、人の手を使用してもよい。
【0086】
また本発明のゲート切断装置及び成形用金型において、各構成部材の角及び側稜にR面取りやC面取り等が施されていてもよい。また本発明のゲート切断装置及び成形用金型に使用される各構成部材の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、公知のゲート切断装置及び成形用金型に使用される部材の材質と同様のものを適宜用いればよい。ただし各構成部材における摺動面は、摺動性の良好な材質又は摺動性の良好な表面処理が施された材料を用いることが好ましい。
【0087】
また本発明の成形用金型の型開きの方向は特に限定されるものではなく、水平、垂直又はその他の方向に開閉するものであってもよい。また本発明のゲート切断装置及び成形用金型は、射出成形金型以外にダイカスト金型のようなモールド金型、モールドプレス成形金型などに好適に使用することができる。
【0088】
上記実施形態に示すゲート切断装置1は、ゲートGを引きちぎるように剪断力を与え、、ゲート切断装置2は、刃でゲートをカッティングするように剪断力を与え、ゲートGを切断するが、用途によってはゲートに負荷を加え又はゲートを引き伸ばし又はゲートに亀裂を生じさせたいとの要求もある。また用途によってはゲートに負荷を加え又はゲートを引き伸ばし又はゲートに亀裂を生じさせ後に駒をゲート又はランナー又はランナーの一部から遠ざかるように移動させたいとの要求もある。このような要求に対しても本発明に係るゲート切断装置の機構を利用し、切断駒を用途に応じた駒に変更し、ゲート切断装置をスライド装置とすればよい。
【0089】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0090】
1、2 ゲート切断装置
11、12 切断駒
15 上端
17 凹部(ゲート形成部)
18 傾斜面
20 爪
24 凸条
26 切断刃
31 保持駒
32 突出部
33 凹溝
35 凹部(収容部)
36 凹部
37 凹部
38 傾斜面
40 凹溝
45 凸条
51 駆動駒
53 凸条
61 ホルダー
61a、61b 半割ホルダー部材
71 凹溝
73 案内溝
74 第1案内部
75 第2案内部
77 ランナー溝
101、102 成形用金型
110 固定型
150 可動型
G ゲート
P 成形品
R ランナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9