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特開2022-132854リクローズラベル、蓋体および包装体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132854
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】リクローズラベル、蓋体および包装体
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20220906BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20220906BHJP
   G09F 3/03 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G09F3/00 Q
B65D77/20 F
G09F3/03 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031552
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB01
3E067AB77
3E067AB81
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB18A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA21
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA37
3E067EB03
3E067EB11
3E067EB17
3E067EB19
3E067EB27
3E067EE02
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD07
3E067GD08
(57)【要約】
【課題】不正な開封が実施されたか否かを確認可能なリクローズラベル、蓋体および包装体を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るリクローズラベルは、収容物を取り出すための取出口が形成される支持部材に貼合されるとともに、取出口を開封および再封可能なリクローズラベルであって、開封の起点となる摘み部と、開封方向において摘み部と隣接しているラベル本体とを備え、ラベル本体には、摘み部からの開封以外の不正な開封を確認するための少なくとも1つの不正開封確認部が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を取り出すための取出口が形成される支持部材に貼合されるとともに、前記取出口を開封および再封可能なリクローズラベルであって、
開封の起点となる摘み部と、
開封方向において前記摘み部と隣接しているラベル本体と、
を備え、
前記ラベル本体には、前記摘み部からの開封以外の不正な開封を確認するための少なくとも1つの不正開封確認部が形成されている、
リクローズラベル。
【請求項2】
前記不正開封確認部は、第1端部と前記第1端部と反対側の第2端部を有する切込線であり、
前記切込線は、前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方が前記切込線の中央部より前記ラベル本体の外側に位置しない、
請求項1に記載のリクローズラベル。
【請求項3】
収容物を取り出すための取出口となるべき取出口予定部を規定する切込部が形成されている支持部材と、
前記支持部材に貼合されるリクローズラベルと、
を備え、
前記リクローズラベルは、
開封の起点となる摘み部と、
開封方向において前記摘み部と隣接しているラベル本体と、
を有し、
前記リクローズラベルは、前記切込部を前記ラベル本体が覆うように前記支持部材に貼合されており、
前記ラベル本体には、前記摘み部からの開封以外の不正な開封を確認するための少なくとも1つの不正開封確認部が形成されている、
蓋体。
【請求項4】
前記不正開封確認部は、第1端部と前記第1端部と反対側の第2端部を有する切込線であり、
前記切込線は、前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方が前記切込線の中央部より前記ラベル本体の外側に位置しない、
請求項3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記不正開封確認部は、前記ラベル本体における前記取出口に対応する取出口対応領域と前記摘み部との間の中間領域外に形成されている、
請求項3または4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記少なくとも1つの不正開封確認部は、第1不正開封確認部、第2不正開封確認部および第3不正開封確認部を有し、
前記第1不正開封確認部は、前記取出口対応領域からみて前記摘み部と反対側に位置しており、
前記第2不正開封確認部は、前記取出口対応領域の側方に位置しており、
前記第3不正開封確認部は、前記取出口対応領域の側方であって、前記取出口対応領域からみて前記第2不正開封確認部と反対側の側方に位置している、
請求項5に記載の蓋体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの不正開封確認部は、前記ラベル本体における前記取出口に対応する取出口対応領域と前記摘み部との間の中間領域以外の領域において前記取出口対応領域の周囲の一部に設けられたミシン線であり、
前記ミシン線の破断強度をαとし、前記ラベル本体と前記支持部材と間の粘着強度をβとした場合、α/βが2以下である、
請求項3に記載の蓋体。
【請求項8】
前記ミシン線は、前記中間領域を開放した状態で、前記取出口対応領域を囲んでいる、
請求項7に記載の蓋体。
【請求項9】
請求項1または2に記載のリクローズラベルを備える、包装体。
【請求項10】
請求項3~8の何れか一項に記載の蓋体を備える、包装体。
【請求項11】
収容物を取り出すための収容本体部であって、前記収容物を取り出すための取出口となるべき取出口予定部を規定する切込部が一面に形成されている前記収容本体部と、
前記収容本体部に貼合されるリクローズラベルと、
を備え、
前記リクローズラベルは、
開封の起点となる摘み部と、
開封方向において前記摘み部と隣接しているラベル本体と、
を有し、
前記リクローズラベルは、前記切込部を前記ラベル本体が覆うように前記収容本体部に貼合されており、
前記ラベル本体には、前記摘み部からの開封以外の不正な開封を確認するための少なくとも1つの不正開封確認部が形成されている、
包装体。
【請求項12】
前記不正開封確認部は、第1端部と前記第1端部と反対側の第2端部を有する切込線であり、
前記切込線は、前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方が前記切込線の中央部より前記ラベル本体の外側に位置しない、
請求項11に記載の包装体。
【請求項13】
前記不正開封確認部は、前記ラベル本体における前記取出口に対応する取出口対応領域と前記摘み部との間の中間領域外に形成されている、
請求項11または12に記載の包装体。
【請求項14】
前記少なくとも1つの不正開封確認部は、第1不正開封確認部、第2不正開封確認部および第3不正開封確認部を有し、
前記第1不正開封確認部は、前記取出口対応領域からみて前記摘み部と反対側に位置しており、
前記第2不正開封確認部は、前記取出口対応領域の側方に位置しており、
前記第3不正開封確認部は、前記取出口対応領域の側方であって、前記取出口対応領域からみて前記第2不正開封確認部と反対側の側方に位置している、
請求項13に記載の包装体。
【請求項15】
前記少なくとも1つの不正開封確認部は、前記ラベル本体における前記取出口に対応する取出口対応領域と前記摘み部との間の中間領域以外の領域において前記取出口対応領域の周囲の一部に設けられたミシン線であり、
前記ミシン線の破断強度をαとし、前記ラベル本体と前記一面と間の粘着強度をβとした場合、α/βが2以下である、
請求項11に記載の包装体。
【請求項16】
前記ミシン線は、前記中間領域を開放した状態で、前記取出口対応領域を囲んでいる、
請求項15に記載の包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リクローズラベル、蓋体および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
収容物を収容した包装体から収容物を取り出すために取出口を形成すべき領域に貼合されたラベルを剥離することで取出口を形成する技術がある(特許文献1参照)。このような包装体では、ラベルを再度貼合することで取出口を再封できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-24972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラベルの剥離および再貼合で取出口を開封および再封可能な包装体では、通常、ラベルを剥離する起点としての摘み部が設けられており、摘み部からの包装体を開封することが想定されている。換言すれば、摘み部からの開封が正規の開封方法である。しかしながら、たとえば、商品として商品棚に包装体が配置されていると、悪戯、収容されている収容物の確認などの目的で商品購入前に、摘み部以外から不正にラベルを剥離し、不正に包装体を開封する場合がある。
【0005】
本発明の一側面の目的は、不正な開封が実施されたか否かを確認可能なリクローズラベル、蓋体および包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るリクローズラベルは、収容物を取り出すための取出口が形成される支持部材に貼合されるとともに、上記取出口を開封および再封可能なリクローズラベルであって、開封の起点となる摘み部と、開封方向において上記摘み部と隣接しているラベル本体と、を備え、上記ラベル本体には、上記摘み部からの開封以外の不正な開封を確認するための少なくとも1つの不正開封確認部が形成されている。
【0007】
本発明の他の側面に係る蓋体は、収容物を取り出すための取出口となるべき取出口予定部を規定する切込部が形成されている支持部材と、上記支持部材に貼合されるリクローズラベルと、を備え、上記リクローズラベルは、開封の起点となる摘み部と、開封方向において上記摘み部と隣接しているラベル本体と、を有し、上記リクローズラベルは、上記切込部を上記ラベル本体が覆うように上記支持部材に貼合されており、上記ラベル本体には、上記摘み部からの開封以外の不正な開封を確認するための少なくとも1つの不正開封確認部が形成されている。
【0008】
本発明の更に他の側面に係る包装体は、収容物を取り出すための収容本体部であって、上記収容物を取り出すための取出口となるべき取出口予定部を規定する切込部が一面に形成されている上記収容本体部と、上記収容本体部に貼合されるリクローズラベルと、を備え、上記リクローズラベルは、開封の起点となる摘み部と、開封方向において上記摘み部と隣接しているラベル本体と、を有し、上記リクローズラベルは、上記切込部を上記ラベル本体が覆うように上記収容本体部に貼合されており、上記ラベル本体には、上記摘み部からの開封以外の不正な開封を確認するための少なくとも1つの不正開封確認部が形成されている。
【0009】
上記リクローズラベル、蓋体および包装体では、ラベル本体に不正開封確認部が形成されている。これにより、摘み部以外からの不正な開封が実施された場合、そのような開封が実施されたことを確認できる。
【0010】
上記リクローズラベル、蓋体または包装体の一実施形態では、上記不正開封確認部は、第1端部と上記第1端部と反対側の第2端部を有する切込線であり、上記切込線は、上記第1端部および上記第2端部の少なくとも一方が上記切込線の中央部より上記ラベル本体の外側に位置していなくてもよい。
【0011】
上記構成では、たとえば、不正開封確認部の外側から開封された場合、第1端部および第2端部の少なくとも一方からラベル本体の内側(或いは中央側)に向けて破断が生じる。そのため、破断の有無で不正な開封が実施されたか否かを確認可能である。
【0012】
上記蓋体または包装体の一実施形態では、上記不正開封確認部は、上記ラベル本体における上記取出口に対応する取出口対応領域と上記摘み部との間の中間領域外に形成されていてもよい。
【0013】
上記ラベル本体における上記中間領域は、摘み部を起点とした正規の開封で剥離される部分である。そのため、上記中間領域外に不正開封確認部が設けられていることで、不正な開封が実施されたか否かを確認できるとともに、正規の開封方法でリクローズラベルが剥離された際に、不正開封確認部からの破断が生じることを防止できる。
【0014】
上記蓋体または包装体の一実施形態では、上記少なくとも1つの不正開封確認部は、第1不正開封確認部、第2不正開封確認部および第3不正開封確認部を有し、上記第1不正開封確認部は、上記取出口対応領域からみて上記摘み部と反対側に位置しており、上記第2不正開封確認部は、上記取出口対応領域の側方に位置しており、上記第3不正開封確認部は、上記取出口対応領域の側方であって、上記取出口対応領域からみて上記第2不正開封確認部と反対側の側方に位置していてもよい。これにより、取出口対応領域の側方からの不正な開封の有無、および、取出口対応領域からみて摘み部と反対側からの不正な開封の有無を確認できる。
【0015】
上記蓋体または包装体の一実施形態では、上記少なくとも1つの不正開封確認部は、上記ラベル本体における上記取出口に対応する取出口対応領域と上記摘み部との間の中間領域以外の領域において上記取出口対応領域の周囲の一部に設けられたミシン線であり、上記ミシン線の破断強度をαとし、上記ラベル本体と上記支持部材と間の粘着強度をβとした場合、α/βが2以下でもよい。
【0016】
上記構成では、たとえば、上記ミシン線の外側から開封された場合、ミシン線の箇所からラベル本体の内側(或いは中央側)に向けて破断が生じる。そのため、破断の有無で不正な開封が実施されたか否かを確認可能である。
【0017】
上記蓋体または包装体の一実施形態では、上記ミシン線は、上記中間領域を開放した状態で、上記取出口対応領域を囲んでいてもよい。
【0018】
これにより、取出口対応領域の周囲からの不正な開封の有無をより確実に確認できる。上記ラベル本体における上記中間領域は、摘み部を起点とした正規の開封で剥離される部分である。そのため、上記ミシン線が、上記中間領域を開放した状態で取出口対応領域を囲むように形成されていることで、正規の開封方法でリクローズラベルが剥離された際に、不正開封確認部からの破断が生じることを防止できる。
【0019】
本発明の他の側面に係る包装体の他の例は、上記リクローズラベルまたは上記蓋体を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、不正な開封が実施されたか否かを確認可能なリクローズラベル、蓋体および包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、第1実施形態に係るリクローズラベルを備えた包装体の斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、リクローズラベルが剥離され取出口が形成された包装体の断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る蓋体の平面図である。
図5図5は、図4に示した蓋体が有するベースフィルムの層構成を説明するための図面である。
図6図6は、図4に示した蓋体が有するリクローズラベルの層構成を説明するための図面である。
図7図7は、図4に示したリクローズラベルの平面図である。
図8図8は、複数の不正開封確認部の配置箇所の一例を示す図面である。
図9図9は、不正開封確認部を示す図面である。
図10図10(a)~図10(d)それぞれは、不正開封確認部の他の例を示す図面である。
図11図11は、不正開封確認部の機能を説明するための図面である。
図12図12(a)は、ベースフィルムにリクローズラベルを貼合して製造した蓋体において不正開封確認部近傍を示す写真図であり、図12(b)は、図12(a)に示したリクローズラベルをベースフィルムから、図12(a)の白抜き矢印方向に剥離した後の状態の写真を示す図面である。
図13図13は、実験例1で準備したベースフィルムおよびリクローズラベルを示す平面図である。
図14図14は、実験例1における7個の不正開封確認部の配置状態を示す図面である。
図15図15(a)~図15(h)は、実験例1で採用した不正開封確認部を説明するための図面である。
図16図16は、図15(e)に示した不正開封確認部の取出口対応領域に対する配置状態を示す図面である。
図17図17は、実験例1において採用した開封部位を示す図面である。
図18図18は、実験例1の実験結果を示す図表である。
図19図19は、実験例1の実験結果を示す図表である。
図20図20は、第2実施形態に係る蓋体の平面図である。
図21図21は、第2実施形態におけるミシン線(不正開封確認部)を説明するための図面である。
図22図22は、破断強度の測定方法の一例を説明するための図面である。
図23図23(a)は、ベースフィルムにリクローズラベルを貼合して製造した蓋体においてミシン線近傍を示す写真図であり、図23(b)は、図23(a)に示したリクローズラベルをベースフィルムから、図23(a)の白抜き矢印方向に剥離した後の状態の写真を示す図面である。
図24図24は、実験例2で準備したベースフィルムおよびリクローズラベルを示す平面図である。
図25図25は、実験例2の実験結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係るリクローズラベルを備えた包装体の斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1および図2に示したように、包装体1は、収容物2を収容する収容容器3と、収容容器3の開口を塞ぐ蓋体4とを備える。収容物2の例は、食品、ウェットティッシュ、化粧品などである。図2では、シート状の収容物2を例示しているが、収容物2の形状はシート状に限らない。
【0024】
収容容器3は、底壁5および底壁5の周囲に設けられた側周壁6を有する収容部7と、側周壁6における底壁5と反対側の端部から外側に張り出したフランジ部8とを有する。第1実施形態において、底壁5の平面視形状およびそれに応じた収容容器3の平面視形状は、図1に示したように、長方形である。しかしながら、収容容器3の平面視形状は、円形、楕円形、多角形などでもよい。収容容器3の材料は、蓋体4と接合可能であり、且つ、収容物2を適切に収容可能な材料であればよい。収容容器3は、たとえばプラスチック製である。
【0025】
蓋体4は、ベースフィルム(支持部材)10にリクローズラベル20が積層された部材である。ベースフィルム10は、収容容器3の開口を塞ぐようにフランジ部8に接合されている。リクローズラベル20は、包装体1を開封および再封可能に、ベースフィルム10に貼合されている。
【0026】
包装体1から収容物2を取り出す場合、リクローズラベル20が有する摘み部21を持ち上げながら包装体1において予め設定されている(たとえば印刷などで表示されている)開封方向D1に沿ってリクローズラベル20を剥離する。これにより、図3に示したように、包装体1から収容物2を取り出すための取出口11がベースフィルム10に形成される。具体的には、リクローズラベル20の剥離に伴い、ベースフィルム10のうち取出口11となる領域が、フィルム片12としてリクローズラベル20側に引き起こされることによって、取出口11が形成される。
【0027】
第1実施形態では、開封方向D1において、リクローズラベル20およびフィルム片12のうち開封端と反対側の端側は、ベースフィルム10との貼合状態が維持される。この取出口11を形成した状態におけるリクローズラベル20およびフィルム片12とベースフィルム10との連結部が蝶番として機能するため、リクローズラベル20を再度ベースフィルム10に貼合することで、取出口11を確実に再封できる。
【0028】
以下、説明の便宜のため、開封方向D1において、摘み部21側を前側とも称し、摘み部21と反対側を後側とも称す。
【0029】
図4を参照して、蓋体4を更に説明する。蓋体4は、ベースフィルム10とリクローズラベル20とを有する。
【0030】
ベースフィルム10は、収容容器3側にシーラント層を有するフィルムである。ベースフィルム10の平面視形状は、収容容器3の平面視形状と同じでよい。第1実施形態では、ベースフィルム10の平面視形状は、長方形である。第1実施形態において、ベースフィルム10の長手方向の長さL1の例は、100mm~300mmであり、短手方向の長さL2の例は、50mm~450mmである。平面視において、ベースフィルム10の周縁は、収容容器3の周縁(フランジ部8の縁部)より外側にはみ出していてもよい。
【0031】
以下で説明する各種長さ及び距離などの例は、断らない限り、第1実施形態(特に図4に示した形態)におけるベースフィルム10およびリクローズラベル20の構成に基づいたものである。
【0032】
ベースフィルム10は、取出口11となるべき取出口予定部14を規定する切込部13を有する。切込部13は、平面視において、後側(摘み部21と反対側)の一部が開いている開環状を呈する。切込部13の内側が、取出口11が形成される取出口予定部14であり、フィルム片12となる部分でもある。
【0033】
切込部13は、開封方向D1に延びる第1領域131と、第1領域131と対向しており且つ第1領域131と平行な第2領域132と、第1領域131の前端部と第2領域132の前端部を連結する第3領域133と、第1領域131の後端部から第2領域132側に延びる第4領域134と、第2領域132の後端部から第1領域131側に延びる第5領域135とを有する。第1実施形態において開封方向D1は、ベースフィルム10(またはリクローズラベル20)の長手方向である。
【0034】
第1~第5領域131~135は、リクローズラベル20をベースフィルム10から剥離した場合、剥離に伴ってフィルム片12を形成可能な線である。第1~第5領域131~135は、ベースフィルム10の厚さ方向に全貫通した切込線でもよいし、または半貫通(ハーフカット)状態の切込線でよい。第1~第5領域131~135は、連続した切込線でもよいし、ミシン線でもよい。第1~第5領域131~135は、たとえば刃物加工で形成され得る。
【0035】
第1実施形態では、第3領域133は前側に凸となるように湾曲している。第4領域134は、開封方向D1に直交する方向に平行な平行領域を有し、その平行領域の第2領域132側の端から前側に折り返されている。同様に、第5領域135は、開封方向D1に直交する方向に平行な平行領域を有し、その平行領域の第1領域131側の端から前側に折り返されている。第4領域134および第5領域135における上記平行領域は同一直線上に位置し、切込部13の後端部(または取出口11の後端部)に相当する。第4領域134および第5領域135において折り返された部分の長さは同じである。したがって、第4領域134の端部134aと第5領域135の端部135aは、開封方向D1に直交する方向に沿って同一直線上に位置する。端部134aは、第4領域134における第1領域131の後端部と反対側の端部であり、端部135aは、第5領域135における第2領域132の後端部と反対側の端部である。
【0036】
切込部13の開封方向D1の長さL3(取出口11の開封方向D1の長さに相当)の例は、30mm~230mmである。長さL3は、第3領域133の頂部(最もベースフィルム10の前端部側に位置する部分)と、切込部13の後端部までの距離である。
切込部13の開封方向D1に直交する方向の長さL4の例は、30mm~130mmである。長さL4は、第1領域131と第2領域132との間の距離である。
端部134aと端部135aとの間の長さL5の例は、3mm~120mmである。
【0037】
ベースフィルム10の厚さの例は、30μm~150μmである。ベースフィルム10は、図5に示したように、シーラント層101と、シーラント層101に積層されたバリア性を有する基材102とを有する積層フィルムである。図5は、図2に示した領域Aにおけるベースフィルム10の部分を示している。
【0038】
シーラント層101は、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、アイオノマー等によって形成される層である。シーラント層には、シーラント層の材料の加工性、熱安定性などを考慮して、必要に応じて酸化防止剤、安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防雲剤、粘着調整剤、充填剤、着色剤などの添加剤等が添加されていてもよい。
【0039】
バリア性を有する基材102は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムであるポリビニルアルコール(PVA)フィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルムとポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムでポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂の押出しフィルムあるいは各種プラスチックフィルムにポリ塩化ビニリデンコーティングしたKコートフィルム等である。基材102は、シリカ、アルミナ、アルミまたはスズが蒸着されたフィルムでもよい。基材102は延伸されていてもよい。
【0040】
ベースフィルム10は、基材102上に他の基材を有してもよい。他の基材の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、2軸延伸ポリプロピレン(OPP:Oriented PolyPropylene)フィルム、紙シート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、セロハンフィルムなどである。
【0041】
上記構成のベースフィルム10では、リクローズラベル20を剥離することによって、切込部13の内側が、切込部13の外側から分離される。これにより、図3に示したように切込部13の内側部分がフィルム片12としてリクローズラベル20とともに引き上げられ、ベースフィルム10に取出口11が形成される。すなわち、包装体1が開封される。更に、リクローズラベル20を再度ベースフィルム10に貼合することで、フィルム片12が取出口11を塞ぎ、包装体1が再封される。
【0042】
切込部13は、開封方向D1における後端部側で一部が開いた開環状を呈することから、フィルム片12とベースフィルム10との連結状態は維持される。したがって、リクローズラベル20は、ベースフィルム10から完全に分離されず、図3を用いて説明した蝶番に相当する部分が存在する。よって、リクローズラベル20を再度ベースフィルム10に貼合した際、容易に取出口11を塞ぎ易い。
【0043】
切込部13は、端部134a近傍および端部135a近傍で前側に折り返された第4領域134および第5領域135を有する。よって、フィルム片12とベースフィルム10との連結部分におけるフィルム片12の開封方向D1に直交する方向の長さ(たとえば長さL5)が、切込部13における開封方向D1に直交する方向の長さL4より短い。そのため、開封状態におけるリクローズラベル20がフィルム片12に引っ張られて戻ることが抑制されている。すなわち、第4領域134および第5領域135を有する切込部13は、開封状態におけるリクローズラベル20の戻りを抑制する構成を有する。
【0044】
このようなリクローズラベル20の戻り抑制を実現するために、長さL5は、たとえば、ベースフィルム10およびリクローズラベル20の剛性、切込部13の大きさなどを勘案して設定されればよい。
【0045】
図4を再度参照してリクローズラベル20を説明する。リクローズラベル20は、再封性を有するラベルであり、包装体1を開封および再封可能に、ベースフィルム10に貼合されている。リクローズラベル20は、摘み部21とラベル本体22とを有する。リクローズラベル20は、ベースフィルム10側に粘着層を有するフィルムであって、粘着層のうち摘み部21に対応する領域上に糊殺し層が形成されたフィルムである。
【0046】
摘み部21は、包装体1を開封または再封する際にリクローズラベル20をユーザが指で摘まむ部分である。摘み部21は、開封時の起点となる部分である。摘み部21は、包装体1において予め設定してある開封方向D1においてリクローズラベル20の一端部を含む部分である。第1実施形態において、開封方向D1に直交する方向(以下、「幅方向」と称す)に沿った摘み部21の長さは、ラベル本体22の幅方向の長さより短い。
【0047】
ラベル本体22は、取出口予定部14を覆う部分であり、開封方向D1において摘み部21に隣接しているとともに、摘み部21に一体化している。第1実施形態において、ラベル本体22の平面視形状は、長方形状を有する。
【0048】
リクローズラベル20の開封方向D1に沿った長さ(長手方向の長さ)L6の例は、50mm~250mmである。
リクローズラベル20の幅方向の長さL7の例は、50mm~150mmである。
長さL6は、摘み部21の前端部と、ラベル本体22の後端部との間の距離である。長さL7は、ラベル本体22の両側縁部間の距離(第1実施形態では短手方向の長さ)である。
【0049】
リクローズラベル20の厚さの例は、65μm~120μmである。リクローズラベル20は、図6に示したように、粘着層201、粘着層201を支持する基材202と、基材202に積層された印刷層203と、印刷層203に積層されておりバリア性を有する基材204とを有する積層体である。積層体は、たとえばラミネート加工によって形成され得る。
【0050】
粘着層201は、リクローズラベル20をベースフィルム10に貼合するための層であり、粘着剤によって形成されている。粘着剤としては、たとえば、溶剤型、エマルジョン型若しくは無溶剤型(オリゴマー型、ホットメルト型)のアクリル酸エステル共重合体系粘着剤、天然ゴムまたは合成ゴムに粘着付与樹脂を配合してえられる溶剤型若しくはホットメルト型粘着剤、カレンダー塗工粘着剤、シリコン系粘着剤、ポリエーテルやジエン系のオリゴマに粘着付与樹脂を配合してえられる液状硬化型の粘着剤、その他の粘着剤が挙げられる。
基材202としては、たとえば、OPPフィルム、 紙シート、PETフィルムが挙げられる。
印刷層203は、印刷基材に印刷加工が施された層である。印刷基材としては、たとえば、PETフィルムまたはポリアミドフイルム等の印刷適性の良いプラスチック樹脂フィルムである。印刷層203には、たとえば、図柄、開封方向D1を示す矢印などが印刷される。
バリア性を有する基材204の例は、基材102の場合と同様である。
ここでは、印刷層203を上記のように印刷基材に印刷加工が施された層として説明したが、たとえば、基材202または基材204に印刷加工が施されていてもよい。
【0051】
図6に示したように、摘み部21における粘着層201上には、糊殺し層205が形成されている。糊殺し層205は、ニス等によって形成されている。これにより、摘み部21は粘着性を有さない。糊殺し層205は、粘着層201に糊殺し処理を施すことによって形成され得る。糊殺し処理とは、部分的に粘着力を封じる処理であり、糊殺し処理としては、例えば、粘着層にインク又はニス等を印刷する処理が挙げられる。
【0052】
図7を参照してリクローズラベル20を更に説明する。説明の便宜のため、ラベル本体22のうち取出口11に対応する領域(取出口11または取出口予定部14に対向する領域)を取出口対応領域25と称す。取出口対応領域25は、ラベル本体22の平面視において、取出口予定部14と重なっている部分である。図7では、取出口対応領域25を実線で囲むことによって取出口対応領域25を図示している。
【0053】
[不正開封確認部]
リクローズラベル20(具体的にはラベル本体22)は、少なくとも1つの不正開封確認部23を有する。第1実施形態では、図7に示したように、リクローズラベル20が7個の不正開封確認部23を有する場合を説明する。不正開封確認部23は、ラベル本体22において取出口対応領域25より外側に配置されている。第1実施形態における不正開封確認部23は、ラベル本体22のうち摘み部21と取出口対応領域25との間の中間領域26以外の領域に形成されている。中間領域26は、摘み部21の両端をそれぞれをとおり開封方向D1に平行な2本の直線26a(図7で破線で模式的に示す直線)と摘み部21と取出口対応領域25とで囲まれる領域である。
【0054】
7個の不正開封確認部23を区別する場合、7個の不正開封確認部23それぞれを、不正開封確認部(第1不正開封確認部)23A、不正開封確認部(第2不正開封確認部)23B、不正開封確認部(第3不正開封確認部)23C、不正開封確認部23D、不正開封確認部23E、不正開封確認部23Fおよび不正開封確認部23Gと称す場合もある。
【0055】
不正開封確認部23Aおよび不正開封確認部23Bは、取出口対応領域25の側方に位置する。不正開封確認部23Bは、取出口対応領域25からみて不正開封確認部23Aと反対側に位置する。
不正開封確認部23Cは、取出口対応領域25からみて摘み部21と反対側に位置する。
不正開封確認部23Dは、中間領域26と不正開封確認部23Aとの間に位置する。
不正開封確認部23Eは、不正開封確認部23Aと不正開封確認部23Cとの間に位置する。
不正開封確認部23Fは、不正開封確認部23Cと不正開封確認部23Bとの間に位置する。
不正開封確認部23Gは、中間領域26と不正開封確認部23Bとの間に位置する。
【0056】
したがって、7個の不正開封確認部23は、リクローズラベル20を平面視した場合において、取出口対応領域25(取出口予定部14)の周囲において中間領域26から時計回りに、不正開封確認部23D、不正開封確認部23A、不正開封確認部23E、不正開封確認部23C、不正開封確認部23F、不正開封確認部23Bおよび不正開封確認部23Gの順に配置されている。
【0057】
図8を参照して、7個の不正開封確認部23の配置形態の一例を更に具体的に説明する。図8に示したように、取出口対応領域25が内側に接する四角形Q(図8では長方形)を想定する。取出口対応領域25の中央部25a(四角形Qの中心)をとおり開封方向D1に平行な直線が中心線C1である。中央部25aを通り且つ中心線C1に直交する直線を直線C2と称す。四角形Qにおける2本の対角線を対角線C3および対角線C4と称す。この場合の7個の不正開封確認部23の配置形態の一例は次のとおりである。
【0058】
不正開封確認部23Aおよび不正開封確認部23Bは、直線C2上において取出口対応領域25の両側に配置される。
不正開封確認部23Cは、中心線C1上において取出口対応領域25からみて摘み部21と反対側に配置される。
不正開封確認部23Dは、対角線C3上において中心線C1(または図7に示した中間領域26)と不正開封確認部23Aとの間に配置される。
不正開封確認部23Eは、対角線C4上において不正開封確認部23Aと不正開封確認部23Cとの間に配置される。
不正開封確認部23Fは、対角線C3上において不正開封確認部23Cと不正開封確認部23Bの間に配置される。
不正開封確認部23Gは、対角線C4上において不正開封確認部23Bと中心線C1(または図7に示した中間領域26)の間に配置される。
【0059】
図9を参照して、不正開封確認部23を更に説明する。不正開封確認部23は、第1端部23aおよび第2端部23bを有する切込線である。不正開封確認部23は、リクローズラベル20の厚さ方向に全貫通した切込線でもよいし、または半貫通(ハーフカット)状態の切込線でもよい。不正開封確認部23は、たとえば刃物加工で形成され得る。
【0060】
不正開封確認部23は、第1端部23aおよび第2端部23bの両方が、不正開封確認部23の中央部23cより外側(ラベル本体22の縁部側)に位置しないように形成されている。
【0061】
「第1端部23aおよび第2端部23bの両方が、不正開封確認部23の中央部23cより外側(ラベル本体22の縁部側)に位置しない」という配置条件はたとえば次の配置条件を満たす。
【0062】
<配置条件>
図9に示したように、取出口対応領域25の中央部25a(図8参照)と不正開封確認部23の中央部23cとを結ぶ直線VL1を想定するとともに、直線VL1に直交し且つ中央部23cを通る直線VL2を想定する。この場合、第1端部23aおよび第2端部23bの両方が、直線VL2より外側(中央部25aと反対側)に位置しない。
【0063】
上記直線VL1は、不正開封確認部23の配置に応じて、たとえば、図8に示した中心線C1、直線C2、対角線C3または対角線C4それぞれに対応する。
【0064】
第1実施形態における不正開封確認部23は、断らない限り、上記配置条件を満たした状態で形成されている。
【0065】
図9に示した形態では、不正開封確認部23の形状は、中央部23cが不正開封確認部23において最も外側に位置する円弧状である。したがって、円弧状の不正開封確認部23では、第1端部23a及び第2端部23bが中央部23cより取出口対応領域25寄りに位置する。不正開封確認部23が円弧状である場合、円弧の曲率半径の例は、0.5mm以上50mm以下である。第1端部23aと第2端部23bの間の長さd1の例は、2mm以上25mm以下である。
【0066】
不正開封確認部23の形状は、図10(a)に示した直線状でもよい。図10(a)では、直線状の不正開封確認部23が、直線VL2に沿って配置されている場合を示している。直線状の不正開封確認部23の第1端部23aと第2端部23bとの間の長さd2は、図9に示した長さd1の例と同様とし得る。図10(b)に示したように、直線状の不正開封確認部23は、直線VL1に対して角度θ1で傾斜した状態で配置されてもよい。角度θ1は、0°より大きく90°未満または90°より大きく180°未満の角度である。
【0067】
不正開封確認部23の形状は、図10(c)に示したように、第1端部23aおよび第2端部23b近傍がラベル中央側(中央部25a側)に屈曲したU字状でもよい。図10(c)に示した不正開封確認部23は、直線VL2に沿った直線部231と、直線部231の両端から中央部25a側に屈曲した側辺部232とを有する。図10(c)に示した形態では、側辺部232は、直線部231に直交しており直線VL1に平行である。第1端部23aおよび第2端部23bの間の長さd3の例は、図9に示した長さd1の例と同様とし得る。側辺部232の長さd4の例は0.2mm以上25mm以下である。直線部231と側辺部232との角度は第1端部23aおよび第2端部23bの両方が、直線VL2より外側に位置しない角度であれば限定されない。
【0068】
不正開封確認部23の形状は、図10(d)に示したように、中央部23cの位置で屈曲したV字状でもよい。第1端部23aおよび第2端部23bの間の長さd5の例は、図9に示した長さd1の例と同様とし得る。中央部23cと第1端部23aとの間の直線部と、中央部23cと第2端部23bとの間の直線部とのなす角度θ2の例は1°以上180°以下(或いは180°未満)である。V字状の不正開封確認部23における屈曲位置は、中央部23cの位置に限定されない。
【0069】
リクローズラベル20を備えた包装体1では、摘み部21から開封方向D1に向かってリクローズラベル20を剥離することが正規の開封方法である。したがって、図11に示したように、摘み部21とは異なる箇所に配置された不正開封確認部23(図11では、不正開封確認部23が不正開封確認部23Aである場合を示している)の側方から、開封方向D2のように取出口対応領域25に向けてリクローズラベル20を剥離して包装体1を開封する場合、そのような開封は不正な開封である。
【0070】
不正開封確認部23は切込線である。不正開封確認部23において、第1端部23aおよび第2端部23bの両方が中央部23cより外側に位置しない。このような構成では、開封方向D2に沿って不正な開封が実施された場合、第1端部23aおよび第2端部23bの少なくとも一方から開封方向D2に沿って、取出口対応領域25まで破断が生じ、そのような破断によって再封機能が失われる。
【0071】
図12(a)および図12(b)を参照して具体的に説明する。図12(a)および図12(b)は、蓋体4を試作して実施した剥離の結果を示す図面である。図12(a)は、ベースフィルム10にリクローズラベル20を貼合して製造した蓋体4において不正開封確認部23近傍を示す写真を示す図面である。図12(a)に示した不正開封確認部23は、図9の場合と同様の円弧状であった。図12(b)は、図12(a)に示したリクローズラベル20をベースフィルム10から、図12(a)の白抜き矢印方向に剥離した後の状態の写真を示す図面である。図12(a)に示した不正開封確認部23の近傍からリクローズラベル20を剥離した場合、図12(b)に示したように、不正開封確認部23の部分からラベル中央側(切込部13側)に向けて破断が生じ、その破断によって、再封が不可能な状態に変形した。
【0072】
このように、不正開封確認部23がリクローズラベル20に形成されていることによって、摘み部21以外の不正な箇所から開封を実施した場合、不正開封確認部23から取出口対応領域25までの破断の痕が生じるとともに、その破断によって再封が不可能な状態にリクローズラベル20が変形する。そのため、摘み部21以外からの不正な開封が実施されたことを確実に確認できる。したがって、不正開封確認部23がリクローズラベル20に形成されていることによって、摘み部21以外からの不正な開封を抑制可能である。
【0073】
リクローズラベル20が複数の不正開封確認部23を有する場合、不正な開封が実施された否かを確認可能な位置が増加する。その結果、不正開封をより確認可能な割合が増加するとともに、不正開封の抑止効果が増大する。リクローズラベル20が不正開封確認部23A、不正開封確認部23Bおよび不正開封確認部23Cの3つを有する場合、取出口対応領域25の側方および後方からの不正開封を確認し易い。リクローズラベル20が不正開封確認部23A、不正開封確認部23Bおよび不正開封確認部23Cの他、更に、不正開封確認部23D、不正開封確認部23E、不正開封確認部23Fおよび不正開封確認部23Gを有する場合、取出口対応領域25の周囲からの不正開封の有無を一層確認し易い。不正開封確認部23は、取出口対応領域25寄りに形成されている方が一層不正な開封を確認し易い。
【0074】
中間領域26は、摘み部21を起点とした正規の開封で剥離される部分である。そのため、不正開封確認部23が、上記中間領域26の外側に形成されている形態では、不正な開封が実施されたか否かを確認できるとともに、正規の開封方法でリクローズラベル20が剥離された際に、不正開封確認部23からの破断が生じることを防止できる。
【0075】
不正開封確認部23の形状および取出口対応領域25に対する配置関係は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0076】
次に、蓋体4に関する実験例1を説明する。実験例1では、説明の便宜のため第1実施形態で説明したベースフィルム10およびリクローズラベル20と同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0077】
実験例1では、図13に示したベースフィルム10およびリクローズラベル20を用いた。
【0078】
<ベースフィルム>
ベースフィルム10は、多層バリア防雲シーラント層上にドライラミネート接着剤を介してPETフィルムが積層された積層フィルムであった。
【0079】
多層バリア防雲シーラント層として、三菱ケミカル株式会社製の「ダイアミロンV441」を用いた。多層バリア防雲シーラント層の厚さは、60μmであった。多層バリア防雲シーラント層は、ナイロン(NY)フィルムと、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルムと、防雲剤が添加されたエチレンプロピレン共重合体フィルムの積層フィルムであった。
PETフィルムには、東洋紡株式会社製の「エステルE5102」を用いた。PETフィルムの厚さは12μmであった。
ドライラミラミネート接着剤には、東洋モートン株式会社製の「TM242A」を主剤として含むとともに、東洋モートン株式会社製の「TM242B」を硬化剤として含む接着剤を用いた。
【0080】
ベースフィルム10の平面視形状は、長方形であった。ベースフィルム10の長手方向の長さL1は259mmであり、短手方向の長さL2は127mmであった。
【0081】
ベースフィルム10に切込部13を、刃物加工によって形成した。切込部13はミシン線であった。切込部13の中心線(長手方向に沿った中心線)の位置は、ベースフィルム10の中心線と一致していた。切込部13は、切込部13の中心線に対して対称であった。
【0082】
切込部13は、第1実施形態で説明した第1~第5領域131~135を有していた。第3領域133は、前方に凸であるように湾曲していた。第1領域131および第2領域132の後端部側は、図13に示したように内側に向けて屈曲していた。第4領域134および第5領域135は、第1実施形態で説明した平行領域(開封方向D1に直交する方向に平行な領域)を有し、端部134a側および端部135a側において前方に折り返されていた。
【0083】
以下、説明の便宜のため、第3領域133のうち最もベースフィルム10の前端部に近い部分を、第3領域133の頂部と称し、第4領域134(または第5領域135)における平行領域を、切込部13の後端部と称す。
【0084】
切込部13の長手方向の長さL3は171mmであった。
切込部13の短手方向の長さL4は83mmであった。
端部134aと端部135aとの間の長さL5は23mmであった。
【0085】
<リクローズラベル>
リクローズラベル20として、タックラベル上に紫外線硬化型接着剤(UV接着剤)を介してKOPフィルムを積層した積層体を用いた。タックラベルの一端部側の粘着層側に糊殺し層を積層し、摘み部21を形成した。
タックラベルには、エイブリィ・デニソン・ジャパン株式会社製の「CL BOPP/R1490」を用いた。タックラベルは、基材であるOPPフィルム(厚さ:50μm)上にアクリル粘着層(厚さ:約25μm)が形成されたものであった。
KOPフィルムには、ダイセルバリューコーティング株式会社製の「セネシKOP 1000」を用いた。KOPフィルムの厚さは、20μmであった。
UV接着剤には、ノーテープ工業株式会社製の「アクリタックL315」を用いた。
糊殺し層は、株式会社T&K TOKA製の「UVハクリOPニス」を、タックラベルの粘着層上に塗布することで形成した。
【0086】
リクローズラベル20は、摘み部21と、ラベル本体22とを有していた。リクローズラベル20の長手方向の長さL6は、204mmであった。リクローズラベル20の開封方向D1に直交する方向(幅方向)の長さL7は103mmであった。
【0087】
摘み部21は、摘み部21の幅方向の中心が、ラベル本体22(或いはリクローズラベル20)の中心線C1と一致するように配置されていた。摘み部21の幅方向の長さL8は73mmであった。
【0088】
ラベル本体22の平面視形状は、長方形であった。ラベル本体22の長手方向の長さL9は、193mmであった。
【0089】
リクローズラベル20は、7つの不正開封確認部23を有していた。すなわち、リクローズラベル20は、不正開封確認部23A、不正開封確認部23B、不正開封確認部23C、不正開封確認部23D、不正開封確認部23E、不正開封確認部23Fおよび不正開封確認部23Gを有していた。各不正開封確認部23は、ラベル本体22を厚さ方向に全貫通した切込線であった。各不正開封確認部23は、刃物加工によって形成された。
【0090】
7つの不正開封確認部23は、リクローズラベル20を平面視した場合において、取出口対応領域25(取出口予定部14)の周囲において中間領域26から時計回りに、不正開封確認部23D、不正開封確認部23A、不正開封確認部23E、不正開封確認部23C、不正開封確認部23F、不正開封確認部23Bおよび不正開封確認部23Gの順に配置されている。7つの不正開封確認部23は、図8を利用して説明したように、中心線C1、直線C2、対角線C3および対角線C4上に配置されていた。
【0091】
図14を利用して実験例1における7つの不正開封確認部23の配置状態を説明する。図14でも実線で取出口対応領域25を示している。以下の説明における直線VL1は、不正開封確認部23の配置箇所に応じて、中心線C1、直線C2、対角線C3および対角線C4に相当する。
【0092】
不正開封確認部23Aおよび不正開封確認部23Bは、直線C2上において取出口対応領域25の側方に配置されていた。不正開封確認部23Aおよび不正開封確認部23Bの中央部23cは、直線C2上に位置していた。不正開封確認部23Bは、取出口対応領域25からみて不正開封確認部23Aと反対側に配置されていた。
不正開封確認部23Cは、中心線C1上において取出口対応領域25からみて摘み部21と反対側に配置されていた。不正開封確認部23Cの中央部23cは、中心線C1上に位置していた。
不正開封確認部23Dは、対角線C3上において中間領域26と不正開封確認部23Aとの間に配置されていた。不正開封確認部23Dの中央部23cは、対角線C3上に位置していた。
不正開封確認部23Eは、対角線C4上において不正開封確認部23Aと不正開封確認部23Cとの間に配置されていた。不正開封確認部23Eの中央部23cは、対角線C4上に位置していた。
不正開封確認部23Fは、対角線C3上において不正開封確認部23Cと不正開封確認部23Bの間に配置されていた。不正開封確認部23Fの中央部23cは、対角線C3上に位置していた。
不正開封確認部23Gは、対角線C4上において不正開封確認部23Bと中間領域26の間に配置されていた。不正開封確認部23Gの中央部23cは、対角線C4上に位置していた。
【0093】
実験例1では、不正開封確認部23として、図15(a)~図15(h)に示した8つの不正開封確認部を使用して実験を実施した。
【0094】
図15(a)に示した不正開封確認部23_1は、図10(a)に示した直線状の不正開封確認部23であった。第1端部23aおよび第2端部23bの間の長さd2は10mmであった。不正開封確認部23_1は、図10(a)を用いて説明したように直線VL1に直交するように配置されていた。
【0095】
図15(b)に示した不正開封確認部23_2は、図9に示した円弧状の不正開封確認部23であった。不正開封確認部23_2は、第1端部23a及び第2端部23bが中央部23cよりラベル中央側に位置するように配置されていた。円弧の曲率は10mmであった。第1端部23aおよび第2端部23bの間の長さd1は10mmであった。
【0096】
図15(c)に示した不正開封確認部23_3は、図10(c)に示したU字状の不正開封確認部23であった。不正開封確認部23_3は、図10(c)を用いて説明したように直線部231と側辺部232とを有していた。直線部231の長さd4は10mmであった。側辺部232の長さd5は3mmであった。直線部231と側辺部232とは直交していた。不正開封確認部23_3は、第1端部23a及び第2端部23bが中央部23cよりラベル中央側に位置するように配置されていた。
【0097】
図15(d)に示した不正開封確認部23_4は、図10(d)に示したV字状の不正開封確認部23であった。不正開封確認部23_4は、図10(d)を用いて説明したように中央部23cで屈曲した形状を有していた。第1端部23aおよび第2端部23bの間の長さd5は10mmであった。角度θ2は120°であった。不正開封確認部23_4は、第1端部23a及び第2端部23bが中央部23cよりラベル中央側に位置するように配置されていた。
【0098】
図15(e)に示した不正開封確認部23_5は、図15(a)に示した不正開封確認部23_1を、図10(b)を用いて説明したように直線VL1に対して傾斜させた場合に相当する。直線VL1と不正開封確認部23_5との間なす角度θ1は75°であった。取出口対応領域25に対する7個の不正開封確認部23_5の配置状態は図16に示したとおりであった。
【0099】
図15(f)に示した不正開封確認部23_6は、図15(b)に示した不正開封確認部23_2を、第1端部23a及び第2端部23bがラベル外側に位置するように反転させたものであった。
【0100】
図15(g)に示した不正開封確認部23_7は、図15(c)に示した不正開封確認部23_3を、第1端部23a及び第2端部23bがラベル外側に位置するように反転させたものであった。
【0101】
図15(h)に示した不正開封確認部23_8は、図15(d)に示した不正開封確認部23_4を、第1端部23aおよび第2端部23bがラベル外側に位置するように反転させたものであった。
【0102】
実験例1では、図15(a)~図15(h)に示した不正開封確認部23_1~23_8それぞれが形成されたリクローズラベル20をベースフィルム10に貼合することによって、図13に示した蓋体4を作製した。実験例1の蓋体4では、切込部13と、ラベル本体22の側縁部との間の距離L10が10mmであり、切込部13の後端部とリクローズラベル20の後端部との間の距離L11が10mmであった。
【0103】
作製した蓋体4を用いて、摘み部21以外からの開封試験を実施した。開封試験では、不正開封確認部23D、不正開封確認部23A、不正開封確認部23E、不正開封確認部23C、不正開封確認部23F、不正開封確認部23Bおよび不正開封確認部23Gそれぞれの効果を確認するために、それらに対応した開封部位、すなわち、図17に白抜き矢印で示した開封部位X1、開封部位X2、開封部位X3、開封部位X4、開封部位X5、開封部位X6および開封部位X7から中央部25aに向けてリクローズラベル20をベースフィルム10から剥離した。図17でも取出口対応領域25を実線で示している。
【0104】
開封試験の結果は、蓋体4が以下の開封モードaおよび開封モードbのどちらのモードで開封されるか否かで評価した。
[開封モードa]
リクローズラベル20の剥離によって、不正開封確認部23の第1端部23aおよび第2端部23bの少なくとも一方から取出口対応領域25に向けて破断が生じ、リクローズラベル20の再封機能が失われた。
[開封モードb]
リクローズラベル20の剥離によって、不正開封確認部23の第1端部23aおよび第2端部23bから取出口対応領域25に向けて破断が生じず、且つ、リクローズラベル20の再封機能が維持された。
【0105】
実験例1では、不正開封確認部23_1を有するリクローズラベル20に対して、異なる開封部位からの開封試験をそれぞれ5回実施した。不正開封確認部23_2~23_8それぞれを有するリクローズラベル20に対しても同様の開封試験を実施した。開封試験毎に新しい蓋体4を準備した。試験結果は図18および図19に示した図表のとおりであった。
【0106】
図18および図19において、「不正開封確認部」の欄は、開封試験に使用した不正開封確認部23を示している。具体的には、次のとおりである。
直線型:図15(a)に示した不正開封確認部23_1
円弧型:図15(b)に示した不正開封確認部23_2
U字型:図15(c)に示した不正開封確認部23_3
V字型:図15(d)に示した不正開封確認部23_4
傾斜型:図15(e)に示した不正開封確認部23_5
逆円弧型:図15(f)に示した不正開封確認部23_6
逆U字型:図15(g)に示した不正開封確認部23_7
逆V字型:図15(h)に示した不正開封確認部23_8
【0107】
図18および図19において、「n」の欄は、「不正開封確認部」の欄で示した不正開封確認部に対する試験回数を示している。実験例1では、各nに対して7つの異なる開封部位からの開封試験を実施した。したがって、「不正開封確認部」の欄で示した不正開封確認部に対して35(5×7)回の開封試験を実施した。
【0108】
図18および図19における「開封モードaの確率」は、上記35回の開封試験にける開封モードaで開封された確率を示している。
【0109】
図15(f)に示した不正開封確認部23_6、図15(g)に示した逆U字型の不正開封確認部23_7および図15(h)に示した逆V字型の不正開封確認部23_8では、第1端部23aおよび第2端部23bのうちの両方が、中央部23cに対してラベル外側に位置していた。この場合、図19に示したように、開封モードaで開封される確率は、80%を大幅に下回った。
【0110】
これに対して、図15(a)に示した直線型の不正開封確認部23_1、図15(b)に示した円弧型の不正開封確認部23_2、図15(c)に示したU字型の不正開封確認部23_3、図15(d)に示した V字型の不正開封確認部23_4および図15(e)に示した傾斜型の不正開封確認部23_5では、第1端部23aおよび第2端部23bの両方が中央部23cよりラベル外側には位置していなかった。この場合、図18に示したように、開封モードaで開封される確率は、80%以上であった。
【0111】
開封モードaでは、リクローズラベル20の剥離によって、不正開封確認部23の第1端部23aおよび第2端部23bの少なくとも一方から取出口対応領域25に向けて破断が生じ、リクローズラベル20の再封機能が失われた。したがって、開封モードaでの開封であれば、不正な開封が実施されたことを確認できる。すなわち、第1端部23aおよび第2端部23bの両方が中央部23cよりラベル外側に位置していない不正開封確認部23が、不正な開封の有無の確認に有効であることが理解され得る。
【0112】
第1端部23a及び第2端部23bの両方が中央部23cよりラベル中央側に位置する円弧型、U字型およびV字型では、開封モードaの確率が100%であった。したがって、第1端部23aおよび第2端部23bの両方が中央部23cよりラベル中央側に位置していた円弧型、U字型およびV字型の不正開封確認部23は、不正な開封の有無の確認に一層有効であることが理解され得る。
【0113】
(第2実施形態)
図20は、第2実施形態に係る蓋体の平面図である。図20に示した蓋体4Aは、ベースフィルム10とリクローズラベル20Aとを有する。ベースフィルム10の構成は、第1実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0114】
リクローズラベル20Aは、摘み部21およびラベル本体22を有する。リクローズラベル20Aは、ラベル本体22が、不正開封確認部23の代わりにミシン線(不正開封確認部)27を有する点で、リクローズラベル20と相違する。この相違点以外のリクローズラベル20Aの構成は、リクローズラベル20と同様である。よって、相違点を中心にしてリクローズラベル20Aを説明する。図20では、図7と同様に中間領域26をハッチングで示すとともに、取出口対応領域25を実線で示している。
【0115】
ミシン線27は、ラベル本体22のうち、摘み部21と取出口対応領域25との間の中間領域26以外の領域において取出口対応領域25の周囲の一部に形成されている。第2実施形態では、図20に示したように、ミシン線27が、摘み部21と取出口対応領域25との間の中間領域26を開放した状態で取出口対応領域25を囲んでいる場合を説明する。
【0116】
図21に示したように、ミシン線27は、断続的に配置された複数の切込線(または切欠線)271を有する。切込線271は、リクローズラベル20Aの厚さ方向に全貫通した切込線でもよいし、または半貫通(ハーフカット)状態の切込線でもよい。切込線271は、たとえば直線状である。切込線271は、たとえば刃物加工によって形成され得る。隣接する切込線271の間の領域を繋ぎ部272と称す。切込線271の長さd6の例は、4mm以上25mm以下である。繋ぎ部272の長さd7の例は、0.4mm以上5mm以下である。
【0117】
リクローズラベル20Aは次の条件Iを満たす。
(条件I)
ミシン線27の破断強度をαとし、ラベル本体22とベースフィルム10との間の粘着強度をβとした場合、α/βが2以下である。
【0118】
上記破断強度αおよび粘着強度βは、JIS K 7161-1に準拠した方法で測定された破断強度および粘着強度とし得る。破断強度αおよび粘着強度βの測定方法の一例を説明する。
【0119】
[破断強度]
破断強度αの測定のために図22に示したサンプルSを準備する。サンプルSは、ミシン線27を形成したラベル本体22をベースフィルム10に貼合して得られるサンプルである。サンプルSを用いてJIS K 7161-1に準拠した方法でサンプルSの破断強度αを測定する。測定の際には、図22に白抜き矢印で示したように、ミシン線27に直交する方向に対してラベル本体22をベースフィルム10から剥離する。
[粘着強度]
ミシン線27がラベル本体22に形成されていない点は、破断強度αの測定の場合と同様のサンプルを準備する。準備したサンプルの粘着強度βを破断強度αの場合と同様の方法で測定する。
【0120】
リクローズラベル20Aが、ミシン線27を有し、上記条件Iを満たす場合、摘み部21以外の場所から開封しようとした場合、すなわち、不正な開封を実施しようとした場合、ミシン線27の箇所が、取出口対応領域25に向けて破断し、その結果、第1実施形態の場合と同様に、破断の痕が残るとともに、リクローズラベル20Aから再封機能が失われる。そのため、不正開封の実施の有無が確実に確認できる。よって、不正開封の抑止を図ることが可能である。
【0121】
図23(a)および図23(b)を参照して具体的説明する。図23(a)および図23(b)は、蓋体4Aを試作して実施した剥離の結果を示す図面である。図23(a)は、ベースフィルム10にリクローズラベル20Aを貼合して製造した蓋体4Aにおいてミシン線27近傍を示す写真図である。図23(b)は、図23(a)に示したリクローズラベル20Aをベースフィルム10から、図23(a)の白抜き矢印方向に剥離した後の状態の写真を示す図面である。図23(a)に示したミシン線27の近傍からリクローズラベル20Aを剥離した場合、図23(b)に示したように、ミシン線27の部分からラベル中央側(切込部13側)に向けて破断が生じ、再封が不可能な状態になっていた。
【0122】
図20に示したように、ミシン線27が、中間領域26を開放した状態で、取出口対応領域25を囲んでいる形態では、取出口対応領域25の周囲からの不正な開封を一層確認し易い。その結果、不正な開封の抑止効果が増大する。ミシン線27が取出口対応領域25寄りに形成されている場合、破断による再封機能の喪失が生じやすい。その結果、不正な開封を一層確実に確認できる。
【0123】
中間領域26は、摘み部21を起点とした正規の開封で剥離される部分である。そのため、ミシン線27が、上記中間領域26の外側に形成されている形態では、不正な開封が実施されたか否かを確認できるとともに、正規の開封方法でリクローズラベル20Aが剥離された際に、ミシン線27からの破断が生じることを防止できる。
【0124】
次に、蓋体4Aに関する実験例2を説明する。実験例2では、説明の便宜のため第2実施形態で説明したベースフィルム10およびリクローズラベル20Aと同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0125】
実験例2では、図24に示したベースフィルム10およびリクローズラベル20Aを用いた。
【0126】
実験例2で使用したベースフィルム10は、実験例1で使用したベースフィルム10と同じ構成を有していた。実験例2で使用したリクローズラベル20Aは、不正開封確認部としてミシン線27を使用した点以外は、実験例1で使用したリクローズラベル20と同様の構成を有していた。ミシン線27が有する切込線271は、ラベル本体22を厚さ方向に全貫通している切込線であった。ミシン線27は、刃物加工によって形成された。
【0127】
実験例2では、リクローズラベル20Aをベースフィルム10に実験例1の場合と同様にして貼合し、蓋体4Aを準備した。
【0128】
実験例2では、破断強度αを変化させる一方、粘着強度βを一定に維持することによって、破断強度αおよび粘着強度βの比(α/β)が異なる蓋体4Aを準備した。
【0129】
具体的には、粘着強度βには、リクローズラベル20Aに使用したタックフィルムとベースフィルム10との粘着強度を採用した。したがって、粘着強度βは一定であり、4.5N/30mmであった。一方、ミシン線27における繋ぎ部272の長さd7を1mmに固定する一方、切込線271の長さd6を変化させることによって、破断強度αを変化させた。このように破断強度αを変化させることによってα/βの異なる蓋体4Aを準備した。
【0130】
破断強度αは、図23を用いて説明したサンプルSを用いた方法で行った。実験例2におけるサンプルSは、ミシン線27を形成したラベル本体22をベースフィルム10に貼合したものであった。サンプルSの幅は30mmであり、サンプルSの幅方向に沿って幅方向全体にミシン線27が形成されいた。島津製作所製 オートグラフ AG-1Sを用いてJIS K 7161-1に準拠した方法でサンプルSの破断強度を測定した。破断強度の測定において、引張速度は300mm/minであり剥離角度は90°であった。
【0131】
粘着強度βは、ミシン線27が形成されていないラベル本体22を用いた点以外は、破断強度αの測定の場合と同様のサンプルを準備した。準備したサンプルにおける粘着強度βを破断強度αの場合と同様の方法で測定した。
【0132】
実験例2で採用した切込線271の長さd6、繋ぎ部272の長さd7、測定された破断強度αおよびα/βは図25に示した図表の通りであった。
【0133】
実験例2では、図25に示したα/βを満たす蓋体4A毎に、実験例1と同様の開封試験を5回実施した。実験例2でも開封試験毎に新しい蓋体4Aを準備した。実験例2においても実験例1の場合と同様に、α/βが異なる蓋体4A毎に、図24に白抜き矢印で示した開封部位X1、開封部位X2、開封部位X3、開封部位X4、開封部位X5、開封部位X6および開封部位X7から中央部25aに向けてリクローズラベル20Aをベースフィルム10から剥離し、開封状態を評価した。開封状態の評価方法は、実験例1の場合と同様であった。開封部位X1~X7それぞれに対する開封試験用に蓋体4Aを準備した。開封試験の結果は図25に示した図表のとおりであった。
【0134】
図25に示した図表中の「n」の意味は、図18および図19の場合と同様であり、図25に示した各α/βを満たすミシン線27を有する蓋体4Aに対して実施した5回の開封試験を示している。実験例2では、各nに対して7つの異なる開封部位からの開封試験を実施した。したがって、各α/βに対して35(5×7)回の開封試験を実施した。図25に示した図表における「開封モードaの確率」は、上記35回の開封試験にける開封モードaで開封された確率を示している。
【0135】
図25に示したように、α/βが2を超えている場合、開封モードaで開封される確率は80%を下回った。一方、α/βが2以下である場合、開封モードaで開封される確率は80%以上、より具体的には、90%以上であった。
【0136】
したがって、ミシン線27を有し且つα/βが2以下であるという条件Iを満たす蓋体4Aでは、不正な開封を確実に確認でき、その結果、不正な開封を抑制可能であることが理解され得る。
【0137】
第2実施形態においてもミシン線27の配置状態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。一実施形態では、ミシン線27は、取出口対応領域25の側方および取出口対応領域25の後方の少なくとも何れかに形成され得る。
【0138】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は、上記例示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれるとともに、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0139】
ベースフィルムに形成される取出口の形状は、例示した形状に限定されない。取出口を形成するための切込部(或いは取出口予定部)の形状も例示した形状に限定されない。たとえば、切込部は、図4における第4領域134および第5領域135を有しないU字状でもよい。あるいは、切込部は、第1領域131および第2領域132の後端部を切込線で連結した閉環状の切込部でもよい。切込部は、円形、楕円形、四角形(たとえば、長方形、正方形等)、四角形以外の多角形でもよい。
【0140】
リクローズラベルの平面視形状も例示した形状に限定されない。
【0141】
リクローズラベルを備えた蓋体が接合される収容容器は、図1に示したようなトレイ状の容器に限定されない。ベースフィルムおよびリクローズラベルの形状等は、収容容器の形状に応じた形状である。取出口の形状も例示した形状に限定されない。ベースフィルムおよびリクローズラベルの説明において、例示した寸法などは、前述したように、上記実施形態に基づいた例示である。
【0142】
包装体は、たとえば、収容物を収容するとともに、一面に取出口を形成するための切込部(図4における切込部13に相当)が形成され収容本体部(たとえば包装袋等)と、リクローズラベルとを備えた包装体でもよい。上記収容本体部は、たとえば図1において収容部とベースフィルムとが一体化されたものに相当する。この場合、収容本体部の一面が、リクローズラベルが貼合される支持部材として機能する。
【0143】
摘み部は、ラベル本体の粘着性より小さい粘着性を有してもよい。摘み部は、ラベル本体の粘着性より小さい粘着性を有する(粘着性を有しない場合を含む)ように形成されていれば、摘み部の形成方法は、糊殺し処理に限定されない。
【0144】
以上説明した種々の実施形態および種々の変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1…包装体、2…収容物、3…収容容器、4,4A…蓋体、10…ベースフィルム(支持部材)、11…取出口、13…切込部、14…取出口予定部、20,20A…リクローズラベル、21…摘み部、23,23_1,23_2,23_3,23_4,23_5,23_6,23_7,23_8…不正開封確認部、23A…不正開封確認部(第1不正開封確認部)、23B…不正開封確認部(第2不正開封確認部)、23C…不正開封確認部(第3不正開封確認部)。23C,23D,23E,23F,23G…不正開封確認部、23a…第1端部,23b…第2端部、23c…中央部、25…取出口対応領域、26…中間領域、27…ミシン線、D1…開封方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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