(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132863
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】金属製カップに蓋をした容器及びその蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 43/04 20060101AFI20220906BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B65D43/04 200
B65D43/04 BRH
B65D43/04 ZAB
B65D1/26 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031570
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貴志
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA09
3E033DD02
3E033GA02
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA23
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC02
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC02
3E084FA09
3E084FC04
3E084GA08
3E084GB12
3E084KA20
3E084KB01
3E084LA17
(57)【要約】
【課題】リサイクル性を向上でき、かつ、蓋の装着が容易にできる金属製カップに蓋をした容器及びその蓋を提供する。
【解決手段】金属製カップに蓋をした容器であって、金属製カップは、アルミニウム合金からなり、胴部と、胴部よりも半径方向外側に膨出する膨出部と、垂直方向に延びる開口筒部とを有し、開口筒部は、カール部を有し、膨出部の内面は、開口筒部の内面よりも径方向外側に向けて凹む凹部を有し、蓋は、アルミニウム合金からなり、平面視円形状の天面部と、天面部の外周縁から垂下するスカート部と、を備え、スカート部は、エッジを含む端部を径方向外側に折り返して形成されたカール凸部を有し、カール凸部は、径方向外側に突出する突出部を有し、カール凸部が凹部に嵌まり込んで金属製カップを封止している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製カップに蓋をした容器であって、
前記金属製カップは、アルミニウム合金からなり、底部から開口に向かって延びる胴部と、該胴部に接続され、該胴部よりも半径方向外側に膨出する膨出部と、前記膨出部に接続され、垂直方向に延びる開口筒部とを有し、前記開口筒部は、エッジを含む端部を折り返して形成されたカール部を有し、前記膨出部の内面は、前記開口筒部の内面よりも径方向外側に向けて凹む凹部を有し、
前記蓋は、アルミニウム合金からなり、平面視円形状の天面部と、前記天面部の外周縁から垂下するスカート部と、を備え、前記スカート部は、エッジを含む端部を径方向外側に折り返して形成されたカール凸部を有し、前記カール凸部は、径方向外側に突出する突出部を有し、
前記カール凸部が前記凹部に嵌まり込んで前記金属製カップを封止していることを特徴とする金属製カップに蓋をした容器。
【請求項2】
前記突出部は、前記カール凸部の周方向に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属製カップに蓋をした容器。
【請求項3】
複数の前記突出部は、前記天面部の中心を通る中心線に沿ってそれぞれ180°反対側に1個ずつ形成されていることを特徴とする請求項2に記載の金属製カップに蓋をした容器。
【請求項4】
前記蓋部には、開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の金属製カップに蓋をした容器。
【請求項5】
前記開口部は、前記天面部に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の金属製カップに蓋をした容器。
【請求項6】
前記開口部は、前記天面部及び前記スカート部の一部を切り欠くように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の金属製カップに蓋をした容器。
【請求項7】
前記カール凸部の周方向の一部は、さらに折り返されており、前記開口部は、前記カール凸部のさらに折り返された部分と前記開口筒部との隙間からなることを特徴とする請求項4に記載の金属製カップに蓋をした容器。
【請求項8】
前記カール凸部は、周方向の一部に半径方向内側に凹んで前記凹部との間に隙間を形成するための隙間形成部を有し、前記開口部は、前記カール凸部が前記凹部に嵌まり込んだ際に前記隙間形成部と前記凹部との間に形成された隙間からなることを特徴とする請求項4に記載の金属製カップに蓋をした容器。
【請求項9】
金属製カップに装着される蓋であって、
前記蓋は、アルミニウム合金からなり、平面視円形状の天面部と、前記天面部の外周縁から垂下するスカート部と、を有し、前記スカート部は、エッジを含む端部を径方向外側に折り返して形成されたカール凸部を有し、前記カール凸部は、径方向外側に突出し、前記金属製カップの内面に形成された凹部に嵌合可能な突出部を有していることを特徴とする蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の内容物が充填される金属製のカップに蓋をした容器及びその蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等の小売店では、コーヒーや紅茶等の提供に使い捨て可能な飲料カップが使用されている。このような飲料カップは、紙や樹脂等により形成されるとともに、開口部に樹脂製の蓋が装着可能とされている。しかしながら、近年、環境保護を目的として、使い捨て容器の使用を抑制するため、紙や樹脂製の飲料カップに代えて、再利用可能な金属製のカップが提案されている。このような、再利用可能な金属製カップとして、例えば、特許文献1に記載の金属製カップが知られている。
【0003】
この特許文献1に記載の金属製カップは、断面テーパ状に形成されている。具体的には、金属製カップは、複数段の連続する区画からなり、底部から開口に向かうに従って拡径する形状である。また、開口部には、カール部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来から使用されている紙や樹脂製のカップの開口部に装着される蓋は、樹脂により形成されているため、環境への負荷が大きく、リサイクルすることが難しい。また、樹脂製の蓋を特許文献1に記載の金属製カップに装着しようとしても、装着時に金属製カップがたわみにくいので、蓋が樹脂製であっても、その装着は困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、リサイクル性を向上でき、かつ、蓋の装着が容易にできる金属製カップに蓋をした容器及びその蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属製カップに蓋をした容器であって、前記金属製カップは、アルミニウム合金からなり、底部から開口に向かって延びる胴部と、該胴部に接続され、該胴部よりも半径方向外側に膨出する膨出部と、前記膨出部に接続され、垂直方向に延びる開口筒部とを有し、前記開口筒部は、エッジを含む端部を折り返して形成されたカール部を有し、前記膨出部の内面は、前記開口筒部の内面よりも径方向外側に向けて凹む凹部を有し、前記蓋は、アルミニウム合金からなり、平面視円形状の天面部と、前記天面部の外周縁から垂下するスカート部と、を備え、前記スカート部は、エッジを含む端部を径方向外側に折り返して形成されたカール凸部を有し、前記カール凸部は、径方向外側に突出する突出部を有し、前記カール凸部が前記凹部に嵌まり込んで前記金属製カップを封止している。
【0008】
本発明では、蓋及び金属製カップのいずれもがアルミニウム合金により形成されているので、蓋と金属製カップを分離させ、それぞれを異なるごみ箱などに分別して廃棄する必要が無いことから、蓋が樹脂で形成されている場合に比べてリサイクル性を高めることができる。また、カール凸部に突出部が形成されていることから、カール凸部よりも突出部が凹部に深く嵌まり込むので、金属製カップを蓋により確実に封止できる。さらに、蓋を金属製カップに装着する場合においても、突出部が設けられているので、この蓋を金属製カップに押し付けると、蓋若しくは金属製カップが弾性変形した後、突出部を含むカール部が凹部に嵌まり込む。これにより蓋を金属製カップに固定して、金属製カップを封止できる。
【0009】
本発明の金属製カップに蓋をした容器の好ましい態様としては、前記突出部は、前記カール凸部の周方向に複数形成されているとよい。
上記態様では、突出部が複数形成されているので、蓋を金属製カップに向けて押圧したときの開口筒部の変形量を減らして嵌めやすくできる。また、突出部の数を調整することで、金属製カップに対する蓋の封止の強さを調整することが可能となる。
【0010】
本発明の金属製カップに蓋をした容器の好ましい態様としては、複数の前記突出部は、前記天面部の中心を通る中心線に沿ってそれぞれ180°反対側に1個ずつ形成されているとよい。
上記態様では、突出部が180°反対側に1個ずつ形成されているので、一方の突出部を凹部に嵌め込んだ状態で蓋の180°反対側の部位を金属製カップ内に押し込むと、この180°反対側の突出部により金属製カップの開口筒部の内面が押圧され、中心線に沿って開口筒部が延びるように変形する。そして、この状態のまま押圧してこの突出部が凹部に嵌まり込むとその変形が解除され、カール凸部全体が凹部に嵌まり込む状態となる。このように180°反対側に突出部が形成されているので、カール凸部における一方の突出部を凹部に嵌め込み、蓋の他方の突出部側を押圧するだけで蓋を容易に金属製カップに装着し、金属製カップを封止できる。また、開口筒部の内面をより変形しやすくでき、これにより蓋を金属製カップにより装着しやすくできる。
【0011】
本発明の金属製カップに蓋をした容器の好ましい態様としては、前記蓋部には、開口部が形成されているとよい。
上記態様では、蓋に開口部が形成されているので、蓋を外さなくても開口部から金属製カップ内の飲料を飲むことが可能となる。
【0012】
本発明の金属製カップに蓋をした容器の好ましい態様としては、前記開口部は、前記天面部に形成されている。
【0013】
本発明の金属製カップに蓋をした容器の別の態様としては、前記開口部は、前記天面部及び前記スカート部の一部を切り欠くように形成されている。
【0014】
本発明の金属製カップに蓋をした容器の別の態様としては、前記カール凸部の周方向の一部は、さらに折り返されており、前記開口部は、前記カール凸部のさらに折り返された部分と前記開口筒部との隙間からなる。
【0015】
本発明の金属製カップに蓋をした容器の別の態様としては、前記カール凸部は、周方向の一部に半径方向内側に凹んで前記凹部との間に隙間を形成するための隙間形成部を有し、前記開口部は、前記カール凸部が前記凹部に嵌まり込んだ際に前記隙間形成部と前記凹部との間に形成された隙間からなる。
【0016】
本発明の蓋は、金属製カップに装着される蓋であって、前記蓋は、アルミニウム合金からなり、平面視円形状の天面部と、前記天面部の外周縁から垂下するスカート部と、を有し、前記スカート部は、エッジを含む端部を径方向外側に折り返して形成されたカール凸部を有し、前記カール凸部は、径方向外側に突出し、前記金属製カップの内面に形成された凹部に嵌合可能な突出部を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、金属製カップに蓋をした容器のリサイクル性を向上でき、かつ、蓋の装着が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態の金属製カップに蓋をした容器の右半分を缶軸を通る断面にした正面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の金属製カップに装着される蓋の平面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態の金属製カップに装着される蓋の平面図である。
【
図8】本発明の第4実施形態の金属製カップに装着される蓋の平面図である。
【
図10】本発明の第5実施形態の金属製カップに装着される蓋の平面図である。
【
図11】
図10に示す蓋を金属製カップに装着した容器の右半分を缶軸を通る断面にした正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の金属製カップに蓋をした容器の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
本実施形態の金属製カップ100に蓋200をした容器300は、
図1に示すように、アルミニウム合金からなる金属製カップ100と、金属製カップ100に装着されるアルミニウム合金からなる蓋200とからなる。
【0021】
[金属製カップの構成]
金属製カップ100は、
図1に示すように、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属板をプレス成形により有底筒状に形成したものであり、底部11の直径より開口16を形成する開口筒部13の直径が大きく、全体として底部11から開口筒部13に向けて漸次拡径するテーパ状の胴部12を有している。また、開口筒部13に、エッジ部を含む端部を半径方向外側に折り返して形成されたカール部14が形成されている。この金属製カップ100の半径方向の中心を缶軸Cとする。
【0022】
底部11は、凹状に湾曲したドーム部111、その外周縁に連続し、缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する内側テーパ壁部112、内側テーパ壁部112の外周縁に連続し、金属製カップ100をテーブル等に置いたときに接地部となるリム部113、リム部113の外周端から胴部4の最下端につながるテーパ状の立ち上がり部114を連続させた形状である。ドーム部111は、缶軸C上の位置において、リム部113の先端からの距離が最も大きい凹状である。リム部113は、缶軸C周りにリング状に形成され、缶軸Cの下方に向けて凸となる屈曲面に形成され、その最も突出位置が接地部となる。リム部113の屈曲面の最外周端は胴部12の最も径の小さい最下端よりも小径に形成されており、このリム部113の最外周端と胴部12の最下端との間が立ち上がり部114により連結されている。
【0023】
胴部12は、底部11付近に缶軸Cに沿うストレート状の円筒部121が形成されており、底部11から連続する円筒部121の上端に、わずかな範囲で下部段部123が形成されている。また、カール部14に連続する開口筒部13の下端には、半径方向外側に向けて膨出する膨出部124が形成され、これら下部段部123の上端と膨出部124の下端との間が、下方から上方に向けて漸次直径が大きくなるテーパ筒部125に形成されている。また、開口筒部13は、膨出部124の上端から缶軸Cに沿うストレート状に形成されており、膨出部124は開口筒部13の内面よりも半径方向外側に突出している。この膨出部124の内面は、口部13の内面より径方向外側に向けて凹む凹部15とされており、この凹部15には、蓋200が装着される。
【0024】
これらの諸寸法は必ずしも限定されるものではないが、例えば、カール部14の直径(外径)D1が75mm以上100mm以下、全体の高さH1が80mm以上180mm以下、開口筒部13の直径D2が70mm以上95mm以下、膨出部124の直径(外径)D3が72mm以上97mm以下、カール部14の上端から膨出部124の上端までの長さH2が2mm以上15mm以下、に形成される。また、蓋200が装着される開口筒部13の厚さは、0.15mm以上0.5mm以下に形成される。
【0025】
[蓋の構成]
蓋200は、アルミニウム合金からなり、
図1に示すように、金属製カップ100を封止可能に形成されている。この蓋200は、
図2及び
図3に示すように、平面視円形状の天面部21と、天面部21の外周縁から垂下するスカート部22と、を備えている。このスカート部22は、垂直に延びる形状、若しくは、
図3に示すように、
図3の下方に向かうに従って徐々に拡径する形状とされ、エッジを含む端部を径方向外側に折り返して形成されたカール凸部23を有している。
【0026】
カール凸部23は、
図2及び
図3に示すように、基準部231と、周方向の一部に基準部231よりも径方向外側に突出する突出部232,233と、を有している。これら突出部232,233のそれぞれは、周方向において所定距離(例えば、50mm以上130mm以下)以上の間隔をあけて配置されている。具体的には、突出部232,233は、カール凸部23(天面部21)の中心を通る中心線C1(
図2の縦方向に延びる中心線)及びこれに直交する中心線C2(
図2の横方向に延びる中心線)のうち、中心線C1を介して両側にそれぞれ配置され、かつ、中心線C2に沿ってそれぞれ対向する位置に配置されている。つまり、突出部232及び突出部233は、中心線C2に沿ってそれぞれ180°反対側に1個ずつ形成されている。
【0027】
基準部231の曲率半径R1は、突出部232の曲率半径R2及び突出部233の曲率半径R3のそれぞれより小さく設定され、例えば曲率半径R1は35.5mm~48mm、曲率半径R2,R3は36.0mm~48.5mmに設定され、曲率半径R2と曲率半径R3とは同じとされている。また、突出部233の周方向の幅は、突出部232の周方向の幅より小さく設定されており、例えば、突出部232の周方向の幅が50mm~100mm、突出部233の周方向の幅が10mm~40mmとされている。
【0028】
これらの諸寸法は必ずしも限定されるものではないが、例えば、中心線C2に沿う突出部232の先端から突出部233の先端までの距離w1が72mm以上97mm以下、中心線C1に沿う基準部231の直径(外径)w2が71mm以上96mm以下、カール部23を含まない中心線C2に沿うスカート部22の下端部の直径w3(外径)が68mm以上93mm以下、天面部21の直径(外径)w4が67mm以上92mm以下とされている。これらのうち、距離w1は、金属製カップ100の円筒部13の内径より大きく、かつ、凹部15の内径と同じ又は小さく形成されている。
【0029】
また、天面部21には開口部24が形成されている。この開口部24は、蓋200が金属製カップ100に装着された際に金属製カップ100内に充填された飲料等の飲み口として使用される。
図2に示す例では、天面部21の外周縁に平面視楕円形状に形成されており、その面積は例えば15mm
2以上250mm
2以下とされている。
なお、この開口部24の形状は上記形状に限らず、ユーザに危害が及ばない形状であれば、その形状及び大きさは適宜変更可能である。また、天面部21には、開口部24とは異なる空気孔(例えば、直径0.5mm~5mm程度の空気孔)が形成されていることが好ましいが、形成されていなくてもよい。
【0030】
[蓋の金属製カップへの装着方法]
以上説明した金属製カップ100に蓋200を装着するためには、金属製カップ100の凹部15に蓋200のカール凸部23における一方の突出部232を嵌め込むとともに、他方の突出部232側を押し込むようにして装着する。具体的には、蓋200を傾けるようにしてカール凸部23の一方の突出部232を凹部15に嵌め込む。そして、突出部232を凹部15に嵌め込んだ状態で蓋200の180°反対側に位置する突出部233側の部位を金属製カップ100内に押し込む。この場合、他方の突出部233により金属製カップ100の開口筒部13の内面が押圧され、各突出部232,232を結ぶ方向(中心線C2)に沿って開口筒部13が延びるように変形する。そして、この状態のまま押圧してこの突出部233が凹部15に嵌まり込むと開口筒部13の変形が解除され、カール凸部23全体(基準部231及び突出部232,233)が凹部15に嵌まり込む状態となり、金属製カップ100に蓋200が装着される。
【0031】
本実施形態では、蓋200及び金属製カップ100のいずれもがアルミニウム合金により形成されているので、蓋200と金属製カップ100を分離させ、それぞれを異なるごみ箱などに分別して廃棄する必要が無いことから、蓋200が樹脂で形成されている場合に比べてリサイクル性を高めることができる。また、カール凸部23に突出部232,233が形成されていることから、カール凸部23の基準部231よりも突出部232,233が凹部15に深く嵌まり込むので、金属製カップ100を蓋200により確実に封止できる。さらに、蓋200を金属製カップ100に装着する場合においても、突出部232,233が設けられているので、この蓋200を金属製カップ100に押し付けると、蓋200若しくは金属製カップ100が弾性変形した後、突出部232,233を含むカール部23が凹部15に嵌まり込む。これにより蓋200を金属製カップ100に固定して、金属製カップ100を封止できる。また、突出部232,233が複数形成されているので、蓋200を金属製カップ100に向けて押圧したときの開口筒部13の変形量を減らして嵌めやすくできる。また、突出部232,233の数を調整することで、金属製カップ100に対する蓋200の封止の強さを調整することが可能となる。
【0032】
また、蓋200を金属製カップ100に装着する際に、カール凸部23における一方の突出部231を凹部15に嵌め込み、蓋200の他方の突出部233側を押圧するだけで蓋200を容易に金属製カップ100に装着し、金属製カップ100を封止して容器300とすることができる。この場合、突出部232,233がカール凸部23の180°反対側に1個ずつ形成されているので、一方の突出部232を凹部15に嵌め込んだ状態で蓋200の180°反対側の部位を金属製カップ100内に押し込むと、中心線C2に沿って開口筒部13が延びるように変形する。このように180°反対側に突出部232,233が形成されているので、開口筒部13の内面をより変形しやすくでき、これにより蓋200を金属製カップ100により装着しやすくできる。
【0033】
さらに、凹部15に嵌め込むカール凸部23がエッジを巻回すことにより形成される形状であるため、蓋200を金属製カップ100に装着する際にカール凸部23が開口筒部13の内面を傷つけることを抑制できる。また、蓋200の天面部に開口部24が形成されている、つまり、飲み口が蓋200の最も上側に位置しているので、容器300から飲料をより飲みやすくできる。
【0034】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態の金属製カップに蓋をした容器について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態では、蓋のみが上記第1実施形態と異なるため、蓋についてのみ説明する。また、第1実施形態の蓋200の構成と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図4は、本実施形態の蓋200Aの平面図であり、
図5は、
図4に示した蓋200Aの断面図である。本実施形態の蓋200Aは、開口部24Aの構成及び形成される位置が第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
【0035】
蓋200Aは、上記第1実施形態の蓋100と同様に天面部21、スカート部22、カール凸部23(基準部231及び突出部232,233)を備えている。また、この蓋200Aでは、開口部24Aの位置が第1実施形態と異なり、
図4及び
図5に示すように、天面部21及びスカート部22の一部を切り欠くように形成されている。この開口部24Aの形状は、
図4に示すように平面視半楕円形状であり、例えば、中心線C1に沿う方向の幅が10mm以上30mm以下、中心線C2に沿う方向の幅が3mm以上10mm以下とされている。
【0036】
本実施形態では、開口部24Aが天面部21及びスカート部22の一部を切り欠くように形成されていることから、蓋200Aが装着された容器からユーザが飲料を飲む場合、飲み口として機能する開口部24Aを覆うように口をつけることができるので、さらに飲料を飲みやすくできる。
【0037】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態の金属製カップに蓋をした容器について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態では、蓋のみが上記第1実施形態と異なるため、蓋についてのみ説明する。また、第1実施形態の蓋200の構成と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図6は、本実施形態の蓋200Bの平面図であり、
図7は、
図6に示した蓋200Bの断面図である。本実施形態の蓋200Bは、開口部24Bの形状及び形成される位置が第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
【0038】
蓋200Bは、上記第1実施形態の蓋100と同様に天面部21、スカート部22、カール凸部23(基準部231及び突出部232,233)を備えている。また、この蓋200Bでは、開口部24Bの位置が第1実施形態と異なり、
図6及び
図7に示すように、天面部21の中心に形成されている。この開口部24Bの中心は、金属製カップ100に装着された際の缶軸Cと一致し、その直径は、例えば、4mm以上10mm以下とされている。
【0039】
本実施形態では、開口部24Bが天面部21の中心に形成されているので、蓋200Bが装着された容器から飲料を飲む際には、開口部24Bにストローを挿通させ、そのストローを介して蓋200Bが装着された容器内に充填された飲料を飲むことが可能となる。
【0040】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態の金属製カップに蓋をした容器について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態では、蓋のみが上記第1実施形態と異なるため、蓋についてのみ説明する。また、第1実施形態の蓋200の構成と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図8は、本実施形態の蓋200Cの平面図であり、
図9は、
図8に示した蓋200Cの断面図である。本実施形態の蓋200Cは、カール凸部23Cの形状、並びに、開口部24Cの形状及び形成される位置が第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
【0041】
蓋200Cは、上記第1実施形態の蓋100と同様に天面部21、スカート部22を備えるとともに、
図8及び
図9に示すように、カール凸部23C(基準部231及び突出部232C,233)及び開口部24Cを備えている。このカール凸部23Cは、突出部232Cの形状が第1実施形態と異なり、
図9に示すように、その周方向の中央部がさらに折り返されている。また、開口部24Cは、カール凸部23Cの突出部232Cにおけるさらに折り返された部分234Cと開口筒部13との隙間からなる。この折り返された部分234Cの外周縁は、
図9に示すように、平面視円弧状に形成されており、中心線C2に沿う位置が最も半径方向内側に凹んだ形状であり、中心線C2から離れるに従って半径方向外側に突出する円弧状に形成されている。このため、開口部24Cにおいては、中心線C2に沿う部分の高さが最も大きく、中心線C2から離れるに従ってその高さが小さく形成されている。
【0042】
本実施形態では、スカート部22の一部がさらに折り返されて開口部24Cが形成されている、つまり、開口部24Cがスカート部22の下端側に位置することとなるため、蓋200Cが装着された容器を少し傾けるだけで容器内の飲料を開口部24C外に流出させることができる。このため、大きく容器を傾けなくても容器内の飲料を飲むことが可能となる。
【0043】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態の金属製カップに蓋をした容器について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態では、蓋のみが上記第1実施形態と異なるため、蓋についてのみ説明する。また、第1実施形態の蓋200の構成と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
図10は、本実施形態の蓋200Dの平面図であり、
図11は、
図10に示す蓋200Dを金属製カップに装着した容器の右半分を缶軸を通る断面にした正面図である。本実施形態の蓋200Dは、カール凸部23Dの形状、並びに、開口部24Dの形状及び形成される位置が第1実施形態と異なる。以下、詳しく説明する。
【0044】
蓋200Dは、上記第1実施形態の蓋100と同様に天面部21、スカート部22を備えるとともに、
図10及び
図11に示すように、カール凸部23D及び開口部24Dを備えている。このカール凸部23Dは、基準部231及び突出部233と、突出部232に代えて突出部235及び突出部236を備える他、半径方向内側に凹んで凹部15との間に隙間を形成するための隙間形成部237を備えている。突出部235は、
図10の中心線C2の上側に位置し、突出部236は
図10の中心線C2の下側に位置し、突出部233と突出部235,236とは中心線C1を介して反対側に配置されている。換言すると、これら突出部233,235,236のそれぞれが周方向において所定距離(例えば、15mm以上80mm以下)以上の間隔をあけて配置されている。また、これら突出部235の曲率半径R4及び突出部236の曲率半径R4は、突出部233の曲率半径R3と同じに設定され、その周方向の長さは同じとされている。
【0045】
また、隙間形成部237は、基準部231よりもさらに半径方向内側に凹んで形成されている。この隙間形成部237は、カール凸部23Dの周方向における突出部235と突出部236との間に形成され、その周方向の長さは15mm~80mmとされている。この隙間形成部237は、
図11に示すように、金属製カップ100に装着された際に凹部15との間に隙間を形成する。つまり、本実施形態の開口部24Dは、カール凸部23Dが凹部15に嵌まり込んだ際に、隙間形成部237と凹部15との間に形成された隙間により形成されている。
【0046】
本実施形態では、カール凸部23Dが凹部15に嵌まり込んだ際に、隙間形成部237と凹部15との間に形成された隙間が開口部24Dとなるため、開口部24Dを上記各実施形態に比べて最も下方に形成でき、また、周方向に幅広く形成することができるので、蓋200Cが装着された容器を少し傾けるだけで容器内の飲料を開口部24D外に流出させることができる他、容器内の飲料が開口部24Dを流通する際にその温度をより早く冷ますことができる。このため、容器内の飲料を容易に飲むことが可能となる。
【0047】
なお、本発明は上記各実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、カール凸部の突出部が2つまたは3つ形成される例を示したが、突出部の数は上記に限らず、1つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、隣り合う突出部のそれぞれが周方向において所定距離以上の間隔をあけて配置されることとしたが、これに限らず、隙間なく複数の突出部が形成されていてもかまわない。つまり、蓋を金属製カップ100に装着する際に適切に変形させて容易に装着できる範囲内であれば、突出部の数及び各突出部間の距離は適宜設定可能である。
【0048】
上記各実施形態では、蓋には飲み口として機能する開口部が形成されていることとしたが、これに限らず、開口部は形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0049】
11 底部
111 ドーム部
112 内側テーパ壁部
113 リブ部
114 立ち上がり部
12 胴部
121 円筒部
123 下部段部
124 膨出部
125 テーパ筒部
13 開口筒部
14 カール部
15 凹部
21 天面部
22 スカート部
23,23C カール凸部
231 基準部
232,233,232C,235,236 突出部
234C さらに折り返された部分
237 隙間形成部
24,24A,24B,24C,24D 開口部
100 金属カップ
200,200A,200B,200C,200D 蓋