(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132875
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】首掛け紐およびマスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220906BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 F
A41D13/11 Z
A62B18/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031585
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】398008099
【氏名又は名称】浜口ウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】浜口 弘睦
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
(57)【要約】
【課題】製造コストを低く抑えながら、手軽に洗うことができ、さらに、素早く乾かすことができる、首掛け紐およびそれを用いたマスクを提供する。
【解決手段】マスク10は、マスク本体12と、マスク本体12の左端部12aに設けられ、使用者Mの左耳に掛けられる第1耳掛け部14と、マスク本体12の右端部12bに設けられ、使用者Mの右耳に掛けられる第2耳掛け部16と、使用者Mの首に掛けられる首掛け紐18とを備える。マスク本体12は、発泡ウレタンなどの伸縮性を有する発泡樹脂で形成されたシートで構成されている。首掛け紐18は、発泡ウレタンなどの伸縮性を有する発泡樹脂で形成された線状の紐本体38を備えている。紐本体38の一方端部38aには、第1耳掛け部14に繋げられる環状の第1繋ぎ部40が設けられており、紐本体38の他方端部38bには、第2耳掛け部16に繋げられる環状の第2繋ぎ部42が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の首に掛けられる首掛け紐であって、
吊り下げ対象物を吊り下げる線状の紐本体を備え、
前記紐本体は、伸縮性を有する発泡樹脂で形成されている、首掛け紐。
【請求項2】
前記紐本体は、横断面形状が四角形となるように形成されている、請求項1に記載の首掛け紐。
【請求項3】
前記紐本体の一方端部には、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の第1繋ぎ部が設けられており、
前記紐本体の他方端部には、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の第2繋ぎ部が設けられている、請求項1または2に記載の首掛け紐。
【請求項4】
前記紐本体の一方端部には、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の繋ぎ部が設けられており、
前記紐本体の他方端部には、前記紐本体が線状に延ばされることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる自由端部が設けられている、請求項1または2に記載の首掛け紐。
【請求項5】
前記紐本体の一方端部および他方端部の少なくとも一方には、前記紐本体が折り返されたときに互いに重なる部分を接合する面ファスナーの第1ファスナー片および第2ファスナー片が設けられており、前記第1ファスナー片と前記第2ファスナー片とが接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の繋ぎ部が構成される、請求項3または4に記載の首掛け紐。
【請求項6】
前記紐本体の一方端部には、前記紐本体が線状に延ばされることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる第1自由端部が設けられており、
前記紐本体の他方端部には、前記紐本体が線状に延ばされることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる第2自由端部が設けられている、請求項1または2に記載の首掛け紐。
【請求項7】
発泡樹脂で形成されたシートで構成され、使用者の口および鼻孔を覆うマスク本体と、
使用者から見て前記マスク本体の左端部に設けられ、左耳に掛けられる第1耳掛け部と、
使用者から見て前記マスク本体の右端部に設けられ、右耳に掛けられる第2耳掛け部と、
請求項1に記載の首掛け紐とを備え、
前記首掛け紐を構成する前記紐本体の一方端部は、前記第1耳掛け部に繋げられており、
前記首掛け紐を構成する前記紐本体の他方端部は、前記第2耳掛け部に繋げられている、マスク。
【請求項8】
前記第1耳掛け部は、前記マスク本体の左端部に接続される第1マスク接続部と、前記第1マスク接続部から後方へ延びる棒状の第1棒状部とを有しており、
前記第2耳掛け部は、前記マスク本体の右端部に接続される第2マスク接続部と、前記第2マスク接続部から後方へ延びる棒状の第2棒状部とを有しており、
前記紐本体の一方端部には、前記第1棒状部の後端部が挿し込まれる環状の第1繋ぎ部が、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって形成されており、
前記紐本体の他方端部には、前記第2棒状部の後端部が挿し込まれる環状の第2繋ぎ部が、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって形成されている、請求項7に記載のマスク。
【請求項9】
前記マスク本体の左端部には、筒状の第1筒状部が設けられており、
前記マスク本体の右端部には、筒状の第2筒状部が設けられており、
前記第1マスク接続部は、前記第1筒状部に挿し込まれる棒状に形成されており、
前記第2マスク接続部は、前記第2筒状部に挿し込まれる棒状に形成されている、請求項8に記載のマスク。
【請求項10】
前記第1筒状部および前記第2筒状部は、使用時に水平方向に対して傾斜する方向へ延びるように形成されており、
前記第1マスク接続部および前記第2マスク接続部は、前記第1筒状部および前記第2筒状部のそれぞれに沿って延びるように形成されており、
前記第1棒状部および前記第2棒状部は、前記第1マスク接続部および前記第2マスク接続部のそれぞれの一方端部から後方へ延びるように形成されている、請求項9に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク、眼鏡および名札などの吊り下げ対象物を首から吊り下げる首掛け紐およびそれを用いたマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の首掛け紐の一例が下記特許文献1に開示されている。特許文献1の首掛け紐は、眼鏡等の吊り下げ対象物を使用者の首から吊り下げる紐本体と、紐本体の一方端部と他方端部とを繋ぐためのチューブ状のコネクターとを備えている。紐本体の一方端部および他方端部は、プラスチックカバーが被装されることによって細くかつ硬く形成されている。そして、紐本体の一方端部および他方端部がコネクターの一方端部および他方端部に離脱可能に挿し込まれることによって、首掛け紐の全体が環状に構成されている。したがって、首掛け紐に過大な力が作用した場合には、紐本体の一方端部および他方端部の少なくとも一方がコネクターから離脱されることによって、使用者の首に作用する力が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、特許文献1の首掛け紐では、紐本体の両端部にプラスチックカバーが被装されているので、製造工程が複雑であり、製造コストが高くなるという問題があった。また、紐本体を洗うときには、プラスチックカバーが脱落しないように注意する必要があり、手軽に洗うことができなかった。さらに、プラスチックカバーの内側に水が入り込むため、紐本体を素早く乾かすことが困難であった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、製造コストを低く抑えながら、手軽に洗うことができ、さらに、素早く乾かすことができる、首掛け紐およびそれを用いたマスクを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る首掛け紐の特徴は、使用者の首に掛けられる首掛け紐であって、吊り下げ対象物を吊り下げる線状の紐本体を備え、前記紐本体は、伸縮性を有する発泡樹脂で形成されていることにある。
【0007】
この構成では、紐本体は、伸縮性を有する発泡樹脂で形成されているので、使用者の首に掛けられた首掛け紐に急激に力が作用した場合には、紐本体が伸びることによって首に作用する力を軽減できる。また、首掛け紐に過大な力が作用した場合には、紐本体が切断されることによって、首に作用する力を解除できる。したがって、首に作用する力を軽減したり解除したりするための特別な機構は不要であり、製造コストを低く抑えることができる。紐本体の材料である発泡樹脂は多くの空気を含んで速乾性を有しているので、紐本体は、絡み難く、使用者は首に触れたときに暖かさを感じることができる。さらに、紐本体は、単純な構造であることから手軽に洗うことができ、紐本体を水洗いした後には、これを素早く乾かすことができる。これにより、ウイルス付着の心配を和らげることができる。
【0008】
本発明に係る首掛け紐の他の特徴は、前記紐本体は、横断面形状が四角形となるように形成されていることにある。
【0009】
この構成では、紐本体の横断面形状が四角形であるので、伸縮性を有する発泡樹脂で形成された平板状の板材を棒状に分割切断することによって、紐本体を簡単に形成できる。また、紐本体の端部に環状の繋ぎ部を形成する際には、紐本体を折り返して互いに重なる部分の平坦な表面どうしを両面テープなどの接合手段で接合できるので、繋ぎ部を形成し易い。
【0010】
本発明に係る首掛け紐の他の特徴は、前記紐本体の一方端部には、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の第1繋ぎ部が設けられており、前記紐本体の他方端部には、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の第2繋ぎ部が設けられていることにある。
【0011】
この構成では、吊り下げ対象物に繋げられる第1繋ぎ部および第2繋ぎ部が環状に形成されているので、吊り下げ対象物に設けられた棒状または突起状の部分を第1繋ぎ部および第2繋ぎ部に対して離脱可能に挿し込むことができる。また、第1繋ぎ部および第2繋ぎ部は、伸縮性を有する発泡樹脂からなる紐本体の一部で構成されているため、その弾性力によって棒状または突起状の部分を保持できる。
【0012】
本発明に係る首掛け紐の他の特徴は、前記紐本体の一方端部には、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の繋ぎ部が設けられており、前記紐本体の他方端部には、前記紐本体が線状に延ばされることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる自由端部が設けられていることにある。
【0013】
この構成では、吊り下げ対象物に繋げられる繋ぎ部が環状に形成されているので、吊り下げ対象物に設けられた棒状または突起状の部分を繋ぎ部に離脱可能に挿し込むことができる。また、繋ぎ部は、伸縮性を有する発泡樹脂からなる紐本体の一部で構成されているため、その弾性力によって棒状または突起状の部分を保持できる。一方、自由端部では、紐本体が線状に延ばされているので、使用者は、自由端部の紐本体を切断することによって、紐本体の長さを適宜調整できる。そして、長さ調整後には、紐本体の他方端部を折り返して互いに重なる部分を接合することによって、紐本体の他方端部に環状の繋ぎ部を形成できる。
【0014】
本発明に係る首掛け紐の他の特徴は、前記紐本体の一方端部および他方端部の少なくとも一方には、前記紐本体が折り返されたときに互いに重なる部分を接合する面ファスナーの第1ファスナー片および第2ファスナー片が設けられており、前記第1ファスナー片と前記第2ファスナー片とが接合されることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる環状の繋ぎ部が構成されることにある。
【0015】
この構成では、第1ファスナー片と第2ファスナー片とが接合されることによって、環状の繋ぎ部が構成されるので、第1ファスナー片と第2ファスナー片との接合を解除したときには、紐本体を線状に延ばすことができる。したがって、線状に延ばされた紐本体を吊り下げ対象物に巻き付けた後、第1ファスナー片と第2ファスナー片とを接合して環状の繋ぎ部を構成できる。これにより、例えば、一般的なマスクの環状の耳掛け部に対しても、環状の繋ぎ部を簡単に繋ぐことができる。
【0016】
本発明に係る首掛け紐の他の特徴は、前記紐本体の一方端部には、前記紐本体が線状に延ばされることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる第1自由端部が設けられており、前記紐本体の他方端部には、前記紐本体が線状に延ばされることによって、前記吊り下げ対象物に繋げられる第2自由端部が設けられていることにある。
【0017】
この構成において、第1自由端部および第2自由端部では、紐本体が線状に延ばされているので、使用者は、第1自由端部および第2自由端部の少なくとも一方の紐本体を切断することによって、紐本体の長さを適宜調整できる。そして、長さ調整後には、紐本体の一方端部および他方端部を折り返して互いに重なる部分を接合することによって、紐本体の一方端部および他方端部に環状の繋ぎ部を形成できる。したがって、環状の耳掛け部を有する一般的なマスクを吊り下げ対象物として用いる場合には、紐本体の一方端部および他方端部を折り返す際に耳掛け部の一部を挟むことによって、耳掛け部を環状の繋ぎ部に通すことができる。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係るマスクの特徴は、発泡樹脂で形成されたシートで構成され、使用者の口および鼻孔を覆うマスク本体と、使用者から見て前記マスク本体の左端部に設けられ、左耳に掛けられる第1耳掛け部と、使用者から見て前記マスク本体の右端部に設けられ、右耳に掛けられる第2耳掛け部と、上記の首掛け紐とを備え、上記の首掛け紐を構成する紐本体の一方端部は、前記第1耳掛け部に繋げられており、上記の首掛け紐を構成する紐本体の他方端部は、前記第2耳掛け部に繋げられていることにある。
【0019】
この構成では、マスク本体が発泡樹脂で形成されたシートで構成されており、首掛け紐の紐本体が、上記の通り、伸縮性を有する発泡樹脂で形成されている。したがって、マスク本体に孔が開いた際には、孔を埋めるための補修片を紐本体から切り取って、これをマスク本体の孔の部分に貼ることが可能であり、孔の応急処置ができる。
【0020】
本発明に係るマスクの他の特徴は、前記第1耳掛け部は、前記マスク本体の左端部に接続される第1マスク接続部と、前記第1マスク接続部から後方へ延びる棒状の第1棒状部とを有しており、前記第2耳掛け部は、前記マスク本体の右端部に接続される第2マスク接続部と、前記第2マスク接続部から後方へ延びる棒状の第2棒状部とを有しており、前記紐本体の一方端部には、前記第1棒状部の後端部が挿し込まれる環状の第1繋ぎ部が、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって形成されており、前記紐本体の他方端部には、前記第2棒状部の後端部が挿し込まれる環状の第2繋ぎ部が、前記紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって形成されていることにある。
【0021】
この構成では、紐本体は、伸縮性を有する発泡樹脂で形成されている。そして、紐本体の一方端部および他方端部には、環状の第1繋ぎ部および第2繋ぎ部が、紐本体が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって形成されている。したがって、第1繋ぎ部および第2繋ぎ部は、紐本体の弾性力によって第1棒状部および第2棒状部のそれぞれの後端部を保持できる。
【0022】
本発明に係るマスクの他の特徴は、前記マスク本体の左端部には、筒状の第1筒状部が設けられており、前記マスク本体の右端部には、筒状の第2筒状部が設けられており、前記第1マスク接続部は、前記第1筒状部に挿し込まれる棒状に形成されており、前記第2マスク接続部は、前記第2筒状部に挿し込まれる棒状に形成されていることにある。
【0023】
この構成では、第1マスク接続部および第2マスク接続部をマスク本体の第1筒状部および第2筒状部に挿し込むことによって、第1耳掛け部および第2耳掛け部をマスク本体に対して簡単に取り付けることができる。また、第1マスク接続部および第2マスク接続部をマスク本体の第1筒状部および第2筒状部から引き抜くことによって、第1耳掛け部および第2耳掛け部をマスク本体から簡単に取り外すことができる。
【0024】
本発明に係るマスクの他の特徴は、前記第1筒状部および前記第2筒状部は、使用時に水平方向に対して傾斜する方向へ延びるように形成されており、前記第1マスク接続部および前記第2マスク接続部は、前記第1筒状部および前記第2筒状部のそれぞれに沿って延びるように形成されており、前記第1棒状部および前記第2棒状部は、前記第1マスク接続部および前記第2マスク接続部のそれぞれの一方端部から後方へ延びるように形成されていることにある。
【0025】
この構成では、第1耳掛け部の第1マスク接続部と第1棒状部とを連続する1本の棒状に形成でき、第2耳掛け部の第2マスク接続部と第2棒状部とを連続する1本の棒状に形成できるので、これらを安価に形成できる。また、第1マスク接続部および第2マスク接続部と第1棒状部および第2棒状部とは、互いに異なる方向へ延びているので、使用者がマスクを使用している状態において、マスク本体が前方へ移動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係るマスクおよび首掛け紐の構成および使用方法を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るマスクおよび首掛け紐の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】第2繋ぎ部の形成工程を示す図であり、(A)は紐本体の線状に延ばされた他方端部を示す斜視図、(B)は紐本体を折り返して互いに重なる部分を接合する工程を示す斜視図である。
【
図4】(A)は、第2実施形態に係る首掛け紐の構成を示す斜視図、(B)は、第2実施形態に係る首掛け紐の長さ調整方法を示す斜視図である。
【
図5】(A)は、第3実施形態に係る首掛け紐の構成を示す斜視図、(B)は、第3実施形態に係る首掛け紐の長さ調整方法を示す斜視図である。
【
図6】第4実施形態に係る首掛け紐の構成および使用状態を示す斜視図である。
【
図7】第4実施形態に係る首掛け紐における第2繋ぎ部の形成工程を示す図であり、(A)は第1ファスナー片と第2ファスナー片との接合を解除した状態を示す斜視図、(B)は第1ファスナー片と第2ファスナー片とを接合した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る首掛け紐およびマスクの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第1実施形態に係るマスクの構成)
図1は、第1実施形態に係るマスク10および首掛け紐18の構成および使用方法を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係るマスク10および首掛け紐18の構成を示す分解斜視図である。本実施形態の首掛け紐18は、マスク10を構成する部品である。なお、以下の説明で用いる「上・下・左・右・前・後」の各方向は、使用者Mから見た方向であり、
図1および
図2において矢印で示す各方向と一致する。
【0029】
図1に示すマスク10は、ウイルス感染症、花粉症および大気汚染による健康障害などを防止するために、使用者Mが着用する衛生用品である。マスク10は、使用者Mの口および鼻孔を覆うマスク本体12と、マスク本体12の左端部12aに設けられて使用者Mの左耳に掛けられる第1耳掛け部14と、マスク本体12の右端部12bに設けられて使用者Mの右耳に掛けられる第2耳掛け部16と、首掛け紐18とを備えている。
【0030】
図1に示すように、マスク本体12は、同じ材料で同じ形状に形成された第1半体20および第2半体22を有している。第1半体20は、使用者Mの顔面Fの中央部から左側の頬の後部までを覆うシート状に形成されている。第1半体20の右側端縁20aは、使用者Mの鼻、口および顎に沿って湾曲した円弧状に形成されている。第1半体20の左側端縁20bには、筒状の第1筒状部24が設けられている。一方、第2半体22は、使用者Mの顔面Fの中央部から右側の頬の後部までを覆うシート状に形成されている。第2半体22の左側端縁22aは、使用者Mの鼻、口および顎に沿って湾曲した円弧状に形成されている。第2半体22の右側端縁22bには、筒状の第2筒状部26が設けられている。
【0031】
第1筒状部24は、第1半体20を構成するシートの左端部を折り返して互いに重なる部分を接合手段で接合することによって筒状に形成されている。第2筒状部26は、第2半体22を構成するシートの右端部を折り返して互いに重なる部分を接合手段で接合することによって筒状に形成されている。上記の各接合手段は、特に限定されるものではなく、溶着、接着および両面テープなどが用いられてもよいが、本実施形態では、溶着が用いられている。第1筒状部24および第2筒状部26が延びる方向は、使用時に水平方向に対して傾斜する方向である。当該方向の水平方向に対する傾斜角度は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、60度から90度の範囲内に定められている。
【0032】
第1半体20と第1筒状部24とは、伸縮性を有し、かつ、連続した多数の気泡を有する発泡樹脂製のシートによって一体に形成されている。また、第2半体22と第2筒状部26とは、伸縮性を有し、かつ、連続した多数の気泡を有する発泡樹脂製のシートによって一体に形成されている。本実施形態では、これらの各シートを構成する発泡樹脂として、柔らかくて伸縮性に富んだ軟質の発泡ウレタンが用いられている。
【0033】
発泡ウレタンの種類は、特に限定されるものではなく、ポリエーテル系の低反発ウレタンフォームやポリエステル系の高反発ウレタンフォームなどが用いられてもよい。ポリエーテル系の低反発ウレタンフォームを用いた場合には、耐水性がよく、クッション性がよく、肌の形状に沿った密着性が高いマスク本体12を構成することができる。一方、ポリエステル系の高反発ウレタンフォームを用いた場合には、伸縮性および耐引き裂き性がよく、気泡のサイズ調整が容易なマスク本体12を構成することができる。なお、上記の各シートを構成する伸縮性を有する発泡樹脂としては、発泡ウレタンに代えて、ゴムスポンジなどが用いられてもよい。
【0034】
図2に示すように、マスク本体12は、第1半体20の湾曲した右側端縁20aと、第2半体22の湾曲した左側端縁22aとが熱溶着で接合されることによって構成されている。したがって、マスク本体12を広げた状態では、湾曲した右側端縁20aおよび左側端縁22aが外側に膨らんだ立体形状となり、
図1に示す使用者Mの口とマスク本体12との間に空間を確保することができる。なお、右側端縁20aと左側端縁22aとを接合する接合手段は、本実施形態の熱溶着に限定されるものではなく、例えば、接着や縫合などが用いられてもよい。
【0035】
図2に示すように、第1耳掛け部14は、マスク本体12の左端部12aに接続される第1マスク接続部28と、第1マスク接続部28から後方へ延びる棒状の第1棒状部30とを有している。第1マスク接続部28は、第1筒状部24に上方から挿し込み可能なように棒状に形成されている。第1マスク接続部28の長さは、第1筒状部24の長さよりもやや長めに定められており、第1マスク接続部28の下端部には、第1筒状部24の下側の開口端縁に引掛けられるフック部28aが設けられている。
【0036】
第1マスク接続部28を第1筒状部24に挿し込んだ状態において、第1マスク接続部28は、第1筒状部24に沿って配置される。つまり、第1マスク接続部28は、第1筒状部24に沿って延びるように形成されている。上述のように、本実施形態では、第1筒状部24が延びる方向の水平方向に対する傾斜角度が60度から90度の範囲内に定められているので、第1マスク接続部28の水平方向に対する傾斜角度も60度から90度の範囲内に定められている。
【0037】
第1棒状部30は、第1マスク接続部28の一方端部(本実施形態では上端部)から後方(略水平方向)へ延びるように棒状に形成されている。第1棒状部30の後端部は、下方へ向けて緩やかに湾曲するように形成されており、かつ、後方へ向かうにつれて幅が徐々に広くなるように形成されている。つまり、第1棒状部30は、一般的な眼鏡のつる状に形成されている。第1マスク接続部28と第1棒状部30とは、合成樹脂の射出成形によって一体に形成されている。なお、第1マスク接続部28および第1棒状部30の材料は、本実施形態の合成樹脂に限定されるものではなく、金属および木材などが用いられてもよい。
【0038】
図2に示すように、第2耳掛け部16は、マスク本体12の右端部12bに接続される第2マスク接続部32と、第2マスク接続部32から後方へ延びる棒状の第2棒状部34とを有している。第2マスク接続部32は、第2筒状部26に上方から挿し込み可能なように棒状に形成されている。第2マスク接続部32の長さは、第2筒状部26の長さよりもやや長めに定められている。第2マスク接続部32の下端部には、第2筒状部26の下側の開口端縁に引掛けられるフック部32aが設けられている。
【0039】
第2マスク接続部32を第2筒状部26に挿し込んだ状態において、第2マスク接続部32は、第2筒状部26に沿って配置される。つまり、第2マスク接続部32は、第2筒状部26に沿って延びるように形成されている。上述のように、本実施形態では、第2筒状部26が延びる方向の水平方向に対する傾斜角度が60度から90度の範囲内に定められているので、第2マスク接続部32の水平方向に対する傾斜角度も60度から90度の範囲内に定められている。
【0040】
第2棒状部34は、第2マスク接続部32の一方端部(本実施形態では上端部)から後方(略水平方向)へ延びるように棒状に形成されている。第2棒状部34の後端部は、下方へ向けて緩やかに湾曲するように形成されており、かつ、後方へ向かうにつれて幅が徐々に広くなるように形成されている。つまり、第2棒状部34は、一般的な眼鏡のつる状に形成されている。第2マスク接続部32と第2棒状部34とは、合成樹脂の射出成形によって一体に形成されている。なお、第2マスク接続部32および第2棒状部34の材料は、本実施形態の合成樹脂に限定されるものではなく、金属および木材などが用いられてもよい。
【0041】
(第1実施形態に係る首掛け紐の構成)
図1に示すように、首掛け紐18は、使用者Mの首に掛けられる紐状の部材であり、吊り下げ対象物Xを吊り下げる線状の紐本体38を備えている。本実施形態の首掛け紐18は、マスク10を構成する部品であるため、吊り下げ対象物Xは、マスク本体12、第1耳掛け部14および第2耳掛け部16である。なお、首掛け紐18は、眼鏡、名札および定期券入れなどの他の吊り下げ対象物Xを吊り下げる用途にも、そのまま使用することができる。
【0042】
紐本体38は、伸縮性を有し、かつ、連続した多数の気泡を有する発泡樹脂によって、横断面形状が四角形(
図3(A))の線状に形成されている。本実施形態では、紐本体38を構成する発泡樹脂として、柔らかくて伸縮性に富んだ軟質の発泡ウレタンが用いられている。発泡ウレタンの種類は、特に限定されるものではなく、上述したポリエーテル系の低反発ウレタンフォームやポリエステル系の高反発ウレタンフォームなどが用いられてもよい。なお、紐本体38を構成する発泡樹脂としては、発泡ウレタンに代えて、ゴムスポンジなどが用いられてもよい。
【0043】
図2に示すように、紐本体38の一方端部38aには、紐本体38が折り返されて互いに重なる部分40a,40bが接合されることによって、吊り下げ対象物Xに繋げられる環状の第1繋ぎ部40が設けられている。紐本体38の他方端部38bには、紐本体38が折り返されて互いに重なる部分42a,42bが接合されることによって、吊り下げ対象物Xに繋げられる環状の第2繋ぎ部42が設けられている。
【0044】
そして、
図1に示すように、第1耳掛け部14を構成する第1棒状部30の後端部が、環状の第1繋ぎ部40に離脱可能に挿し込まれており、第2耳掛け部16を構成する第2棒状部34の後端部が、環状の第2繋ぎ部42に離脱可能に挿し込まれている。つまり、紐本体38の一方端部38aが、環状の第1繋ぎ部40を介して第1耳掛け部14に繋げられており、紐本体38の他方端部38bが、環状の第2繋ぎ部42を介して第2耳掛け部16に繋げられている。
【0045】
図3は、第2繋ぎ部42の形成工程を示す図であり、(A)は紐本体38の線状に延ばされた他方端部38bを示す斜視図、(B)は紐本体38を折り返して互いに重なる部分42a,42bを接合する工程を示す斜視図である。第1繋ぎ部40は、第2繋ぎ部42と同じ工程を経て形成されるので、その形成工程を示す図および説明は省略する。
図2に示す首掛け紐18を製造する際には、
図3(A)に示す線状に延ばされた他方端部38bを有する紐本体38を形成する「紐本体形成工程」と、
図3(B)に示す紐本体38を折り返して互いに重なる部分42a,42bを接合する「繋ぎ部形成工程」とをこの順に実行する。
【0046】
図3(A)に示す「紐本体形成工程」では、製造者は、まず、伸縮性を有する発泡樹脂で形成された平板状の板材(図示省略)を準備する。続いて、この板材を棒状に分割切断することによって、横断面形状が四角形である紐本体38を形成する。
図3(B)に示す「繋ぎ部形成工程」では、製造者は、紐本体38の他方端部38bにおいて紐本体38を折り返し、互いに重なる部分42a,42bを接合手段で接合する。本実施形態では、紐本体38が、横断面形状が四角形となるように形成されているので、「繋ぎ部形成工程」では、互いに重なる部分42a,42bの平坦な表面どうしを接合することができる。ここで用いられる接合手段は、特に限定されるものではなく、接着、溶着および両面テープなどが用いられてもよいが、本実施形態では、両面テープが用いられている。
【0047】
図1に示すマスク10の使用状態において、首掛け紐18は遊んだ状態にある。この状態から使用者Mがマスク本体12を顔面Fから取り外すと、首掛け紐18を含むマスク10の全体が大きな環状体となる。使用者Mは、この環状体を構成する首掛け紐18を首に掛けることによって、マスク本体12を首から吊り下げて保持できる。
【0048】
(第1実施形態に係るマスクおよび首掛け紐の効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、
図1に示す紐本体38は、伸縮性を有する発泡樹脂で形成されているので、使用者Mの首に掛けられた首掛け紐18に急激に力が作用した場合には、紐本体38が伸びることによって首に作用する力を軽減できる。また、首掛け紐18に過大な力が作用した場合には、紐本体38が切断されることによって、首に作用する力を解除できる。したがって、首に作用する力を軽減したり解除したりするための特別な機構は不要であり、製造コストを低く抑えることができる。
【0049】
図1に示す紐本体38の材料である発泡樹脂は多くの空気を含んで速乾性を有しているので、紐本体38は、絡み難く、使用者Mは首に触れたときに暖かさを感じることができる。さらに、紐本体38は、単純な構造であることから手軽に洗うことができ、紐本体38を水洗いした後には、これを素早く乾かすことができる。これにより、ウイルス付着の心配を和らげることができる。
【0050】
図3(A)に示すように、紐本体38の横断面形状が四角形であるので、伸縮性を有する発泡樹脂で形成された平板状の板材を棒状に分割切断することによって、紐本体38を簡単に形成できる。また、
図3(B)に示す「繋ぎ部形成工程」では、紐本体38を折り返して互いに重なる部分42a,42bの平坦な表面どうしを両面テープなどの接合手段で接合できるので、第2繋ぎ部42を形成し易い。同様に、第1繋ぎ部40(
図2)を形成し易い。
【0051】
図2に示すように、吊り下げ対象物Xに繋げられる第1繋ぎ部40および第2繋ぎ部42が環状に形成されているので、吊り下げ対象物Xに設けられた棒状の第1マスク接続部28および第2マスク接続部32を第1繋ぎ部40および第2繋ぎ部42に対して離脱可能に挿し込むことができる。また、第1繋ぎ部40および第2繋ぎ部42は、伸縮性を有する発泡樹脂からなる紐本体38の一部で構成されているため、その弾性力によって第1マスク接続部28および第2マスク接続部32を保持できる。
【0052】
図1に示すマスク本体12が発泡樹脂で形成されたシートで構成されており、首掛け紐18の紐本体38が伸縮性を有する発泡樹脂で形成されている。したがって、マスク本体12に孔が開いた際には、孔を埋めるための補修片を紐本体38から切り取って、これをマスク本体12の孔の部分に貼ることが可能であり、孔の応急処置ができる。
【0053】
図2に示す紐本体38は、伸縮性を有する発泡樹脂で形成されている。そして、紐本体38の一方端部38aおよび他方端部38bには、環状の第1繋ぎ部40および第2繋ぎ部42が、紐本体38が折り返されて互いに重なる部分が接合されることによって形成されている。したがって、第1繋ぎ部40および第2繋ぎ部42は、紐本体38の弾性力によって第1棒状部30および第2棒状部34のそれぞれの後端部を保持できる。
【0054】
図2に示すように、第1マスク接続部28および第2マスク接続部32をマスク本体12の第1筒状部24および第2筒状部26に挿し込むことによって、第1耳掛け部14および第2耳掛け部16をマスク本体12に対して簡単に取り付けることができる。また、第1マスク接続部28および第2マスク接続部32をマスク本体12の第1筒状部24および第2筒状部26から引き抜くことによって、第1耳掛け部14および第2耳掛け部16をマスク本体12から簡単に取り外すことができる。
【0055】
図2に示すように、第1耳掛け部14の第1マスク接続部28と第1棒状部30とを連続する1本の棒状に形成でき、第2耳掛け部16の第2マスク接続部32と第2棒状部34とを連続する1本の棒状に形成できるので、これらを安価に形成できる。また、第1マスク接続部28および第2マスク接続部32と第1棒状部30および第2棒状部34とは、互いに異なる方向へ延びているので、
図1に示す使用者Mがマスク10を使用している状態において、マスク本体12が前方へ移動することを抑制できる。つまり、第1筒状部24および第2筒状部26のそれぞれの壁部が第1マスク接続部28および第2マスク接続部32に当たるため、マスク本体12は前方へ移動しない。
【0056】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、
図2に示すように、上記実施形態では、耳掛け部14,16のマスク接続部28,32が、筒状部24,26に対して上方から挿し込まれているが、マスク接続部28,32は、筒状部24,26に対して下方から挿し込まれてもよい。この場合、棒状部30,34を上記実施形態と同じ位置に配置するために、マスク接続部28,32は、筒状部24,26の壁部を挟むU字状に形成されてもよい。また、この場合、マスク接続部28,32における筒状部24,26に挿し込まれる部分の上端部には、筒状部24,26の上側の開口端縁に引掛けられるフック部(図示省略)が設けられてもよい。
【0057】
図2に示すように、上記実施形態では、耳掛け部14,16の棒状部30,34が、マスク接続部28,32から後方へ延びるように棒状に形成されているが、耳掛け部14,16のそれぞれの全体は、一般的なマスクと同様に、伸縮性を有する紐状に形成されてもよい。この場合、紐状の耳掛け部14,16が筒状部24,26に挿通されるとともに、耳掛け部14,16に別途取り付けられた棒状または突起状の接続部材(図示省略)が首掛け紐18の環状の繋ぎ部40,42に挿し込まれてもよい。
【0058】
図2に示すように、上記実施形態では、耳掛け部14,16の棒状のマスク接続部28,32が、筒状部24,26に挿し込まれているが、筒状部24,26は省略されてもよい。この場合、マスク接続部28,32は、マスク本体12の左端部12aおよび右端部12bに接着されてもよいし、縫い付けられてもよい。また、マスク接続部28,32は板状に形成されてもよい。
【0059】
図3(A)に示すように、上記実施形態では、紐本体38の横断面形状が四角形に形成されているが、この横断面形状は四角形に限定されるものではなく、円形、楕円形、六角形、八角形および異形などに形成されてもよい。
【0060】
図3(B)に示すように、上記実施形態では、「繋ぎ部形成工程」が製造者によって実行されているが、すなわち、第1繋ぎ部40および第2繋ぎ部42が製造者によって工場で形成されているが、第1繋ぎ部40および第2繋ぎ部42の少なくとも一方は、使用者Mによって形成されてもよい。
【0061】
(第2実施形態に係る首掛け紐の構成)
図4(A)は、第2実施形態に係る首掛け紐44の構成を示す斜視図、
図4(B)は、第2実施形態に係る首掛け紐44の長さ調整方法を示す斜視図である。
図4(A)に示す第2実施形態に係る首掛け紐44は、第1実施形態に係る首掛け紐18と同様の紐本体38を有している。紐本体38の一方端部38aには、環状の第1繋ぎ部40が設けられており、紐本体38の他方端部38bには、紐本体38が線状に延ばされることによって、吊り下げ対象物Xに繋げられる自由端部46が設けられている。このような首掛け紐44は、製造者によって工場で製造される。
【0062】
図4(B)に示すように、首掛け紐44を入手した使用者Mは、自由端部46の紐本体38を切断することによって、紐本体38の長さを用途や好みに応じて調整する。その後、使用者Mは、紐本体38の他方端部38bを折り返して互いに重なる部分42a,42bを接合手段で接合して、環状の第2繋ぎ部42を形成する。
【0063】
第2実施形態に係る首掛け紐44によれば、使用者Mによって長さを適宜調整することができるので、眼鏡、名札および定期券入れなどの他の吊り下げ対象物Xを吊り下げる用途にも共通に使用することができる。
【0064】
(第3実施形態に係る首掛け紐の構成)
図5(A)は、第3実施形態に係る首掛け紐48の構成を示す斜視図、
図5(B)は、第3実施形態に係る首掛け紐48の長さ調整方法を示す斜視図である。
図5(A)に示す第3実施形態に係る首掛け紐48は、第1実施形態に係る首掛け紐18と同様の紐本体38を有している。紐本体38の一方端部38aには、紐本体38が線状に延ばされることによって、吊り下げ対象物Xに繋げられる第1自由端部50が設けられており、紐本体38の他方端部38bには、紐本体38が線状に延ばされることによって、吊り下げ対象物Xに繋げられる第2自由端部52が設けられている。このような首掛け紐48は、製造者によって工場で製造される。
【0065】
図5(B)に示すように、首掛け紐48を入手した使用者Mは、第1自由端部50および第2自由端部52の少なくとも一方の紐本体38を切断することによって、紐本体38の長さを用途や好みに応じて調整する。その後、使用者Mは、一方端部38aの紐本体38を折り返して互いに重なる部分40a,40bを接合手段で接合して、環状の第1繋ぎ部40を形成する。また、使用者Mは、他方端部38bの紐本体38を折り返して互いに重なる部分42a,42bを接合手段で接合して、環状の第2繋ぎ部42を形成する。
【0066】
第3実施形態に係る首掛け紐48によれば、使用者Mによって長さを適宜調整することができるので、眼鏡、名札および定期券入れなどの他の吊り下げ対象物Xを吊り下げる用途にも共通に使用することができる。また、環状の耳掛け部を有する一般的なマスクを吊り下げ対象物Xとして用いる場合には、紐本体38の一方端部38aおよび他方端部38bを折り返す際に耳掛け部の一部を挟むことによって、耳掛け部を環状の繋ぎ部40,42に通すことができる。
【0067】
図2に示す第1実施形態に係る首掛け紐18では、紐本体38の一方端部38aの互いに重なる部分40a,40bを両面テープなどの離脱し難い接合手段で接合し、紐本体38の他方端部38bの互いに重なる部分42a,42bを両面テープなどの離脱し難い接合手段で接合しているが、これらの接合手段の少なくとも一方には、離脱可能な接合手段が用いられてもよい。離脱可能な接合手段の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、
図6に示す第1面ファスナー58および第2面ファスナー60が用いられてもよいし、図示しない磁石およびボタンなどが用いられてもよい。
【0068】
(第4実施形態に係る首掛け紐の構成)
図6は、第4実施形態に係る首掛け紐56の構成および使用状態を示す斜視図である。
図6に示す第4実施形態に係る首掛け紐56は、吊り下げ対象物Xとしての一般的なマスク54の耳掛け部62a,62bなどに取り付けて用いられるものである。紐本体38の一方端部38aには、紐本体38が折り返されたときに互いに重なる部分40a,40bを接合する第1面ファスナー58が設けられており、紐本体38の他方端部38bには、紐本体38が折り返されたときに互いに重なる部分42a,42bを接合する第2面ファスナー60が設けられている。なお、第1面ファスナー58および第2面ファスナー60は、いずれか一方だけが設けられてもよく、この場合、他方は、紐本体38が線状に延ばされた自由端部に変更されてもよい。
【0069】
図7は、第4実施形態に係る首掛け紐56における第2繋ぎ部42の形成工程を示す図であり、(A)は第1ファスナー片60aと第2ファスナー片60bとの接合を解除した状態を示す斜視図、(B)は第1ファスナー片60aと第2ファスナー片60bとを接合した状態を示す斜視図である。
図7(A)に示すように、第4実施形態に係る首掛け紐56では、紐本体38の他方端部38bに、上記の第2面ファスナー60を構成する第1ファスナー片60aおよび第2ファスナー片60bが長さ方向に間隔を隔てて設けられている。そして、
図7(B)に示すように、環状の第2繋ぎ部42を形成する際には、第2面ファスナー60の第1ファスナー片60aと第2ファスナー片60bとが互いに接合される。
【0070】
図6に示すように、紐本体38の一方端部38aには、上記の第1面ファスナー58を構成する第1ファスナー片58aおよび第2ファスナー片58bが長さ方向に間隔を隔てて設けられている。環状の第1繋ぎ部40を形成する際には、第1ファスナー片58aと第2ファスナー片58bとが互いに接合される。なお、第1繋ぎ部40は、第2繋ぎ部42と同じ工程を経て形成されるため、その形成工程を示す図および説明は省略する。
【0071】
図6に示す第4実施形態に係る首掛け紐56によれば、第1ファスナー片58aと第2ファスナー片58bとの接合を解除したときに、紐本体38の一方端部38aを線状に延ばすことができる。また、第1ファスナー片60aと第2ファスナー片60bとの接合を解除したときに、紐本体38の他方端部38bを線状に延ばすことができる。したがって、線状に延ばされた一方端部38aおよび他方端部38bを吊り下げ対象物Xとしてのマスク54の耳掛け部62a,62bに巻き付けた後、第1面ファスナー58および第2面ファスナー60を用いて環状の繋ぎ部40,42を構成できる。つまり、環状の耳掛け部62a,62bに対しても、環状の繋ぎ部40,42を簡単に繋ぐことができる。
【符号の説明】
【0072】
F…顔面、M…使用者、X…吊り下げ対象物、10…マスク、12…マスク本体、14…第1耳掛け部、16…第2耳掛け部、18,44,48,56…首掛け紐、20…第1半体、22…第2半体、24…第1筒状部、26…第2筒状部、28…第1マスク接続部、30…第1棒状部、32…第2マスク接続部、34…第2棒状部、38a…一方端部、38b…他方端部、38…紐本体、40…第1繋ぎ部、42…第2繋ぎ部、46…自由端部、50…第1自由端部、52…第2自由端部。