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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132884
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/04 20210101AFI20220906BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
F24C1/04
F24C1/00 360
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031601
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】大矢 敏史
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晃央
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】横山 竜也
(57)【要約】
【課題】熱風を対流させて食材を加熱調理する加熱調理器において、加熱調理後の食材に焼き色を付与するときに、調理人によって焼き色にばらつきが生じにくくする。
【解決手段】加熱調理器10は、食材を加熱調理する調理庫20と、調理庫20内を加熱するヒータ25と、調理庫20内の空気を対流させる対流ファン26と、調理庫20内で加熱調理した食材に調理庫20外で焼き色を付与する焼き色用ヒータ40とを備え、焼き色用ヒータ40は作動時間を設定可能とするタイマ機能と、出力を調節可能とする出力調節機能を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理する調理庫と、
前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンとを備えた加熱調理器であって、
前記調理庫内で加熱調理した食材に前記調理庫外で焼き色を付与するための焼き色用ヒータを設け、
前記焼き色用ヒータは作動時間を設定可能とするタイマ機能を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記焼き色用ヒータは出力を調節可能とする出力調節機能を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には食材を加熱調理する加熱調理器の発明が開示されている。この加熱調理器は、ハウジング内に設けられて食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置とを備えている。この加熱調理器で調理プログラムを実行したときに、調理庫内に収容した食材はヒータと対流ファンと蒸気発生装置との作動によって対流する蒸気を含んだ熱風またはヒータと対流ファンとの作動によって対流する熱風によって加熱調理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-138573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器においては、調理庫内に収容したホテルパン等のトレイに載せた食材は対流する熱風によって全体に熱が付与されて加熱調理される。料理の種類によっては、食材の表面に適度な焼き色を付与した方が、食材の味や見た目を良好とすることができるものの、対流する熱風によって加熱調理する加熱調理器では、食材の表面に部分的に焼き色を付与することができなかった。また、厨房での調理過程の仕上げに別体のヒータやバーナを用いて食材に部分的に焼き色を付与することもできるが、別体のヒータやバーナで食材の表面に部分的に焼き色を付与するときには、食材の焼き色が調理人によってばらつきが生じることがあった。本発明は、熱風を対流させて食材を加熱調理する加熱調理器において、加熱調理後の食材に焼き色を付与するときに、調理人によって焼き色にばらつきが生じにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンとを備えた加熱調理器であって、調理庫内で加熱調理した食材に調理庫外で焼き色を付与するための焼き色用ヒータを設け、焼き色用ヒータは作動時間を設定可能とするタイマ機能を備えたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した加熱調理器においては、調理庫内で加熱調理した食材に調理庫外で焼き色を付与するための焼き色用ヒータを設け、焼き色用ヒータは作動時間を設定可能とするタイマ機能を備えている。調理庫内で加熱調理された食材を調理庫外で焼き色用ヒータにより焼き色を付与するときに、タイマ機能により設定された作動時間で焼き色用ヒータにより食材に焼き色を付与することができ、調理人によって焼き色を付与する時間のばらつきが生じないようになって、加熱調理後の食材に付与される焼き色は調理人によってばらつきにくくなる。
【0007】
上記のように構成した加熱調理器においては、焼き色用ヒータは出力を調節可能とする出力調節機能を備えるのが好ましい。このようにしたときには、焼き色用ヒータの出力を加熱調理後の食材に付与したい焼き色に適した出力とすることで、加熱調理後の食材に所望の焼き色を付与することができる。また、焼き色用ヒータで調節した出力に応じた作動時間となるようにタイマ機能により焼き色用ヒータの作動時間を設定することで、加熱調理後の食材に熱量と加熱時間が調節された適切な焼き色を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の加熱調理器の斜視図である。
図2図1の加熱調理器の扉を開放して、調理庫からトレイを取り出し、トレイの上側から焼き色用ヒータにより赤外線を照射するときの斜視図である。
図3】本発明の加熱調理器の前後方向の中央部の位置で左右方向に沿って切断した縦方向断面図である。
図4】焼き色用ヒータの斜視図(a)と、長手方向に沿った縦方向断面図(b)である。
図5】制御装置のブロック図である。
図6】焼き色用ヒータを水平軸線回りに45°傾けたときの後側から見た後面図である。
図7】他の実施形態の焼き色用ヒータの斜視図である。
図8図7の持手部の配置を変更した実施形態の焼き色用ヒータの斜視図である。
図9】主に図7の持手部の形状と配置を変更した実施形態の焼き色用ヒータの斜視図である。
図10図9を下側から見た斜視図である。
図11図9の持手部の配置を変更した実施形態の焼き色用ヒータの斜視図である。
図12図10のレールを前後に分割したときの下側から見た斜視図である。
図13図10のガラス板をねじ部材によりケーシングの下面に固定したときの下側から見た斜視図である。
図14図12のガラス板を網板に変更したときの下側から見た斜視図である。
図15図14の網板を上下に2枚重ねて配置したときの下側から見た斜視図である。
図16図14の網板を磁石により取り付けたときの下側から見た斜視図である。
図17】主に図7の持手部を回動可能な持手部に変更した実施形態の焼き色用ヒータの斜視図である。
図18図17のケーシングの右側部に断熱カバーを設けたときの斜視図(a)と、持手部を回動させたときの斜視図(b)である。
図19図18の断熱カバーの代わりに枠体を設けたときの斜視図(a)と、図18の断熱カバーの代わりに摘まみ部を設けたときの斜視図(b)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明による加熱調理器の一実施形態を図面を参照して説明する。図1図3に示したように、本発明の加熱調理器10は、調理庫20内に収容した食材をヒータ25と対流ファン26との作動によって対流する熱風によって加熱調理するものであり、調理庫20内で加熱調理した食材に調理庫20外で焼き色用ヒータ40によって食材の表面に部分的に焼き色を付与することができるようにしたものである。
【0010】
図1図3に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図1及び図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aには扉13が開閉自在に設けられている。扉13はハウジング11の右側部に鉛直軸線回りに回動可能に支持されている。
【0011】
図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。調理庫20の左右方向の中央部より左側には食材収容室21と熱風生成室22を仕切る仕切板23が設けられており、仕切板23は食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っている。仕切板23には多数の吸込口(図示省略)が形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口を通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に空気が通過可能な空間が形成されるように取り付けられることで、仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間には空気が通過する通風路が形成されており、熱風生成室22の空気は通風路を通って食材収容室21に送られる。
【0012】
図3に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイTを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。この実施形態の支持フレーム24は、トレイTを上下に3段で支持するものであり、左側の支持フレーム24は仕切板23に固定され、右側の支持フレーム24は調理庫20の右側壁に固定されている。
【0013】
図3に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン26は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ25の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン26は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口を通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された空気は上下及び前後の通風路を通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ25とともに対流ファン26を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン26の外側に配置されるヒータ25に吹き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路を通って食材収容室21に戻される。
【0014】
図3に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。この実施形態の蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものである。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は調理庫20の左側壁に形成された蒸気導入口(図示省略)に接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口から調理庫20内に送られる。
【0015】
図1及び図2に示したように、加熱調理器10は食材に焼き色を付与する焼き色用ヒータ40を備えており、焼き色用ヒータ40は調理庫20内で加熱調理した食材に調理庫20外で焼き色を付与するのに用いられる。図4に示したように、焼き色用ヒータ40は、ケーシング41と、ケーシング41内に直管状のガラス管に収容された赤外線のヒータ素子42とを備えている。ケーシング41は直円柱を横に倒して下部が平面状に欠けるようにした形状をしている。ヒータ素子42はケーシング41の下部にてケーシング41の軸線方向(長手方向)と平行に配置されている。ケーシング41の下面にはヒータ素子42から発する赤外線を照射する照射口41aが形成されており、ヒータ素子42から発する赤外線は照射口41aから下側に照射される。また、ケーシング41の上部には持手部43が設けられており、調理人は持手部43を持って食材に焼き色を付与する調理作業をすることができる。持手部43には操作スイッチ44が設けられており、操作スイッチ44をオン操作することによってヒータ素子42へ給電される。
【0016】
また、焼き色用ヒータ40は作動時間を設定可能とするタイマ機能を備えており、ヒータ素子42にはタイマ機能により設定した作動時間で給電される。ケーシング41にはタイマ機能により設定された作動時間の残り時間または作動時間を表示する表示部45と、タイマ機能の作動時間を設定操作する操作ボタン46が設けられている。操作ボタン46を操作することにより、タイマ機能でのヒータ素子42の給電時間(作動時間)が設定され、この設定された給電時間(作動時間)または残り時間が表示部45に表示される。
【0017】
焼き色用ヒータ40は出力を調節可能とする出力調節機能を備えており、ヒータ素子42には出力調節機能により調節された電流が供給されて発熱量が調節される。ケーシング41の後部には出力調節機能を操作する操作ダイヤル47が設けられており、操作ダイヤル47を操作することによりヒータ素子42への給電を調節することができる。操作ダイヤル47はヒータ素子42への給電を複数段階として例えば3段階に調節可能としたものであってもよいし、ヒータ素子42への給電を無段階に調節可能としたものであってもよい。
【0018】
図5に示したように、加熱調理器10は制御装置50を備えており、制御装置50は、ヒータ25、対流ファン26、調理庫20内に設けた温度センサ27、蒸気発生装置30及び焼き色用ヒータ40に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0019】
制御装置50は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理するための調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0020】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置30から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。
【0021】
各調理プログラムで食材を加熱調理した後で、トレイTを調理庫20からハウジング11の前側に取り出し、トレイTで加熱調理された食材に焼き色用ヒータ40を用いて焼き色を付与する。必要に応じて、操作ボタン46を操作することによりタイマ機能によりヒータ素子42への給電時間を設定するとともに、操作ダイヤル47を操作することによりヒータ素子42への給電(出力)を調節後に、操作スイッチ44をオン操作して焼き色用ヒータ40を加熱調理後の食材の上側に配置すると、加熱調理後の食材には焼き色用ヒータ40から赤外線が照射され、加熱調理後の食材に焼き色が付与される。
【0022】
上記のように構成した加熱調理器10は、食材を加熱調理する調理庫20と、調理庫20内を加熱するヒータ25と、調理庫20内の空気を対流させる対流ファン26と、調理庫20内で加熱調理した食材に調理庫20外で焼き色を付与するための焼き色用ヒータ40を備え、焼き色用ヒータ40は作動時間を設定可能とするタイマ機能を備えている。調理庫20内で加熱調理された食材を調理庫20外で焼き色用ヒータ40により焼き色を付与するときに、タイマ機能により設定された作動時間で焼き色用ヒータ40により食材に焼き色を付与することができ、調理人によって焼き色を付与する時間のばらつきが生じないようになって、加熱調理後の食材に付与される焼き色は調理人によってばらつきにくくなる。
【0023】
また、この加熱調理器10においては、焼き色用ヒータ40はヒータ素子42の出力(発熱量)を調節可能とする出力調節機能を備えている。これにより、焼き色用ヒータ40のヒータ素子42の出力を加熱調理後の食材に付与したい焼き色に適した出力とすることで、加熱調理後の食材に所望の焼き色を付与することができる。また、焼き色用ヒータ40のヒータ素子42で調節した出力に応じた作動時間となるようにタイマ機能により焼き色用ヒータ40の作動時間を設定することで、加熱調理後の食材に熱量と加熱時間が調節された適切な焼き色を付与することができる。また、上述した各調理プログラムに応じて焼き色用ヒータ40の作動時間とヒータ素子42の出力を設定することにより、各調理プログラムにより加熱調理された食材毎に適切な時間及び出力で焼き色を付与することができるようになる。
【0024】
なお、この実施形態の加熱調理器10においては、制御装置50が焼き色用ヒータ40のタイマ機能と出力調節機能を制御しているが、これに限られるものでなく、焼き色用ヒータ40がヒータ素子42の作動を制御する独自の制御部を備え、この制御部によりヒータ素子42の作動時間と出力を調節するように制御してもよい。また、この実施形態の加熱調理器10においては、操作ボタン46により作動時間の設定操作及び操作ダイヤル47によりヒータ素子42の出力を調節するようにしているが、これに限られるものでなく、加熱調理器10のハウジング11の前面の操作パネルを操作することで作動時間の設定操作とヒータ素子42の出力の調節をするようにしてもよい。
【0025】
また、この焼き色用ヒータ40のケーシング41は直円柱を横に倒して下部が平面状に欠けるようにした形状をしている。図6は焼き色用ヒータ40を操作ダイヤル47が配置された後側から見た図であり、焼き色用ヒータ40を水平軸線回りに45°傾けたときの図である。焼き色用ヒータ40を水平軸線回りに45°傾けたときに、ケーシング41が同じ幅及び高さの四角柱(直方体形状)であるときには(図6の二点鎖線に示した)、上側からの視界を妨げやすくなっているが、ケーシング41は直円柱を横に倒して下部が平面状に欠けるようにした形状でケーシング41の周面が曲面形状となっているので、上側からの視界が四角柱のときよりもαで示した幅の範囲で妨げられないようになっている。これにより、焼き色用ヒータ40を水平軸線回りに傾けて使用したときに、上側からの視界が妨げられにくくすることができ、食材の焼き加減を確認するために焼き色用ヒータ40を食材から離して加熱を中断する時間を短くすることができる。
【0026】
次に、他の実施形態の焼き色用ヒータ40について説明する。以下に示す各実施形態の焼き色用ヒータ40も上述したタイマ機能と出力調節機能とを備えている。図7に示した実施形態の焼き色用ヒータ40は、四角柱(直方体形状)のケーシング41を備え、ケーシング41内には直管状のガラス管に収容された赤外線のヒータ素子42が設けられている。ヒータ素子42はケーシング41の下部にてケーシング41の軸線方向(長手方向)と平行に配置されている。ケーシング41の軸線方向(長手方向)の中央部には持手部43が取り付けられており、持手部43はケーシング41の軸線方向と直交する直交方向の斜め上方に延びている。持手部43の上面には長手方向の中間部に操作スイッチ44が設けられており、操作スイッチ44は持手部43を握ったときに操作しやすい位置に配置されている。
【0027】
この焼き色用ヒータ40においては、持手部43がケーシング41の軸線方向(長手方向)と直交する方向の斜め上方に設けられているので、焼き色用ヒータ40を持つ手がケーシング41から離れるようになり、焼き色を付与しているときの食材を見やすくすることができる。また、持手部43はヒータ素子42の長手方向(軸線方向)と直交する方向に延びており、調理人の前側で持手部43を持ったときに、ヒータ素子42は左右方向に延びるように配置される。焼き色用ヒータ40により食材に焼き色を付与するときには、持手部43を前後に移動させることで、左右方向に延びるヒータ素子42を前後に移動させることができ、トレイTの食材の全体に焼き色を付与しやすくできる。なお、図8に示したように、持手部43をケーシング41の長手方向の一方の端部から他方の端部に延びるように取り付けたものであってもよい。
【0028】
図9に示した実施形態の焼き色用ヒータ40は、四角柱(直方体形状)のケーシング41を備え、ケーシング41内には直管状のガラス管に収容された赤外線のヒータ素子42が設けられている。ヒータ素子42はケーシング41の下部にてケーシング41の軸線方向(長手方向)と平行に配置されている。図10に示したように、ケーシング41の下面にはヒータ素子42から発する赤外線を照射する照射口41aが形成されており、ヒータ素子42から発する赤外線は照射口41aから下側に照射される。
【0029】
図10に示したように、ケーシング41の下面には照射口41aの左右両側に一対のレール41bが設けられており、一対のレール41bには照射口41aを覆うガラス板41cが着脱可能に取り付けられている。レール41bは照射口41aに沿ってケーシング41の長手方向に延びており、レール41bの長手方向の一方の端部(図10のレール11bの下端部)はガラス板41cが抜け落ちないように塞がれており、レール41bの長手方向の他方の端部(図10のレール11bの上端部)にはガラス板41cが抜け落ちるのを防ぐための板ばねよりなる抜け止め部材41dが設けられている。ガラス板41cは赤外線を通過可能に照射口41aを塞ぐものであり、食材から飛散する油等がヒータ素子42に付着するのを防ぐ機能を有している。また、ガラス板41cはケーシング41の下面に着脱可能に取り付けられているので、ガラス板41cに食材から飛散した油等が付着したときには、ガラス板41cを取り外して洗浄することができる。一対のレール41bにガラス板41cが取り付けられた状態では、ケーシング41の下面とガラス板41cとの間には隙間41eが形成されており、この隙間41eはケーシング41内の熱を排出する排熱機能を有している。
【0030】
図9に示したように、ケーシング41の長手方向の一方の端部(図9の左側の端部)には略C字形の形状をした持手部43が取り付けられている。持手部43のケーシング41の近傍の上面には操作スイッチ44が設けられており、操作スイッチ44は持手部43を握ったときに操作しやすい位置に配置されている。この焼き色用ヒータ40においては、持手部43がケーシング41の軸線方向(長手方向)の一方の端部に取り付けられているので、焼き色用ヒータ40を持つ手がケーシング41から離れるようになり、焼き色を付与しているときの食材を見やすくすることができる。また、調理人の前側で持手部43を持ったときに、ヒータ素子42は前後方向に延びるように配置される。焼き色用ヒータ40により食材に焼き色を付与するときには、持手部43を左右に移動させることで、前後方向に延びるヒータ素子42を左右に移動させることができ、トレイTの食材の全体に焼き色を付与しやすくできる。なお、図11に示したように、持手部43をケーシング41の軸線方向(長手方向)の中央部から軸線方向と直交する方向に延出するように取り付けたものであってもよい。
【0031】
また、この実施形態の焼き色用ヒータ40においては、図12に示したように、ケーシング41の下面に設けた左右一対のレール41bを前後に分割するようにしてもよい。このようにしたときには、前後のレール41bの間にもケーシング41の下面とガラス板41cと間の隙間が形成されるようになり、ケーシング41内の熱を排出する排熱機能を高くすることができる。なお、ガラス板41cを左右一対のレール41bにより取り付けるようにしたものに限られるものでなく、図13に示したように、ケーシング41には下側に突出する雄ねじ部材を設け、雄ねじ部材をガラス板41cの少なくとも四隅部に挿通した状態で雌ねじ部材よりなるナット41fにより締結することで、ガラス板41cをケーシング41の下面に固定したものであってもよい。
【0032】
また、この実施形態の焼き色用ヒータ40においては、図14に示したように、ガラス板41cに代えて金属製の網材を用いた網板41gを取り付けるようにしてもよい。網板41gは赤外線を通過可能に照射口41aを塞ぐものであり、食材から飛散する油等がヒータ素子42に付着するのを防ぐ機能を有している。網板41gはケーシング41の下面に着脱可能に取り付けられているので、網板41gに食材から飛散した油等が付着したときには、網板41gを取り外して洗浄することができる。一対のレール41bに網板41gが取り付けられた状態では、ケーシング41の下面と網板41gとの間には隙間41eが形成されているだけでなく、網板41gに多数の通気用の孔が形成されているので、ガラス板41cを使用したときよりもケーシング41内の熱を排出する排熱機能を高くすることができる。
【0033】
さらに、食材から飛散する油等が多い場合には、図15に示したように、左右一対のレール41bを上下に2段設けるようにし、網板41gを上下に2枚重ねて配置してもよい。網板41gを上下に2枚重ねて配置したときには、食材から飛散する油等をヒータ素子42に付着しない機能を高くすることができる。また、上記の各実施形態では、網板41gは左右一対のレール41bに支持させるようにしたが、図16に示したように、網板41gを磁石41hによりケーシング41の下面に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。磁石41hは網板41gの上面の四隅部に固定され、網板41gは磁石41hによる磁力によってステンレス等の強い磁性体材料からなるケーシング41に着脱可能に取り付けられている。なお、磁石41hは網板41gの上面に固定されているが、これに限られるものでなく、ケーシング41の下面に磁石41hを固定し、網板41gの周部に設けたステンレス等の強い磁性体材料からなる枠体を磁石41hの磁力によって吸着することで、網板41gをケーシング41の下面に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0034】
図17に示した実施形態の焼き色用ヒータ40は、持手部43をケーシング41に対して鉛直(垂直)軸線回りに回動可能としたものである。この実施形態の焼き色用ヒータ40は、四角柱(直方体形状)のケーシング41を備え、ケーシング41内には直管状のガラス管に収容された赤外線のヒータ素子(図示省略)が設けられている。ヒータ素子はケーシング41の下部にてケーシング41の軸線方向(長手方向)と平行に配置されている。ケーシング41の下面にはヒータ素子から発する赤外線を照射する照射口41aが形成されており、ヒータ素子から発する赤外線は照射口41aから下側に照射される。
【0035】
図18に示したように、持手部43を鉛直(垂直)軸線回りに回動させるときに、ケーシング41を持って持手部43を回動させる必要がある。ケーシング41の冷却ファンが配置されている右側部には樹脂材よりなる断熱カバー41iが設けられており、断熱カバー41iはヒータ素子によって熱くなったケーシング41を素手で掴むことを可能としている。持手部43を回動させるときには、断熱カバー41iの上側からケーシング41を掴み、持手部43をケーシング41の軸線方向(長手方向)と平行な平行位置(図18(a)に示した位置)から鉛直軸線回りに回動させてケーシング41の軸線方向と直交する直交方向(図18(b)に示した位置)に回動させる。このように、持手部43をケーシング41に対して回動可能に取り付けたことで、調理人の使用しやすい位置で持手部43を持つことができるようになり、焼き色用ヒータ40の操作性を向上させることができる。なお、持手部43を複数段として例えば3段階に角度調節可能としたものであってもよいし、無段階に角度調節可能としたものであってもよい。
【0036】
図18に示した焼き色用ヒータ40では、ケーシング41の右側部に樹脂材よりなる断熱カバー41iを設けたが、これに限られるものでなく、図19(a)に示したように、ケーシング41の右側部に外側に突出して設けた枠体41jを設けたものであってもよいし、図19(b)に示したように、ケーシング41の右側部上面に外側に突出して設けた樹脂材よりなる摘まみ部41kを設けたものであってもよい。これらであれば、持手部43を鉛直軸線回りに回動させるときに、熱くなったケーシング41を直接掴まなくてよくなる。
【0037】
上記の各焼き色用ヒータ40のヒータ素子41は、食材に特に焼き色を付与しやすい近赤外線を照射するものであるが、これに限られるものでなく、中赤外線を照射するものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…加熱調理器、20…調理庫、25…ヒータ、26…対流ファン、40…焼き色用ヒータ。
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