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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132891
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
A01C11/02 350D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031611
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】大森 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】渡里 圭介
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064CA11
2B064CA19
2B064CA22
2B064CA23
(57)【要約】
【課題】空苗箱の返却作業を容易にする。
【解決手段】苗箱Bに収容された予備苗を走行機体4の前方から後部に供給する予備苗供給装置7を備える乗用田植機1であって、予備苗供給装置7の後部には、機体外方に並列する空苗箱載置台50が配置され、空苗箱載置台50は、複数の空苗箱Bを重合させて載置可能に構成される。空苗箱載置台50に空苗箱Bを重ねた状態で溜めておき、複数の空苗箱Bを重ねた状態でまとめて返却することで、空苗箱Bの返却作業が容易になる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗箱に収容された予備苗を走行機体の前方から後部に供給する予備苗供給装置を備える移植機であって、
前記予備苗供給装置の後部には、機体外方に並列する空苗箱載置台が配置され、
前記空苗箱載置台は、複数の空苗箱を重合させて載置可能であることを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記予備苗供給装置は、
前後方向に沿い、且つ左右に並列する左右一対のレール部と、
左右一対の前記レール部間で回転可能に支持され、前後方向に並列する複数の供給ローラと、を備え、
前記空苗箱載置台の空苗箱が載置される載置面は、前記レール部の上端と同じ高さ、又は前記レール部の上端よりも高い高さに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記空苗箱載置台は、前記予備苗供給装置の後部外側方に回動支点を介して回動可能に設けられ、前記回動支点を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢と、前記回動支点を中心として下向きに回動させた格納姿勢と、に姿勢が切換可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の移植機。
【請求項4】
前記空苗箱載置台は、前記予備苗供給装置の後部外側方に回動支点を介して回動可能に設けられ、前記回動支点を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢と、前記回動支点を中心として前記予備苗供給装置の下面側まで折畳み状に回動させた格納姿勢と、に姿勢が切換可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の移植機。
【請求項5】
前記予備苗供給装置を支持する支持フレームと、
前記支持フレームと前記予備苗供給装置との間に設けられ、前記予備苗供給装置の姿勢を、後側ほど低くなる後方搬送姿勢と、前側ほど低くなる前方搬送姿勢と、に切換可能な傾斜切換機構と、を更に備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用田植機などの移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体の後部に植付作業機を連結し、圃場を走行しながら苗を植付ける乗用田植機などの移植機が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。このような移植機を用いた苗の植付作業においては、植付作業中に苗載台に載置された苗の数が少なくなると、作業者は走行機体を畦に対して垂直につけ、畦際にいる補助者から予備苗を受取って苗載台へ補給していた。
【0003】
近年、このような予備苗の補給作業を軽減するために、走行機体の外側部に予備苗供給装置を備える移植機が増えている。予備苗供給装置は、走行機体の前方から後部まで予備苗を搬送可能なローラコンベアからなり、作業者は、予備苗供給装置によって搬送される予備苗を走行機体の後部で受け取ることができるので、予備苗を効率良く苗載台へ移載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-176812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、予備苗は、苗箱に収容した状態で供給されるため、予備苗を苗載台に移載した後、空になった苗箱(以下、適宜、空苗箱という。)を畦際にいる補助者に返却する作業が発生する。従来の移植機では、空苗箱を返却する際の作業性において改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、苗箱に収容された予備苗を走行機体の前方から後部に供給する予備苗供給装置を備える移植機であって、前記予備苗供給装置の後部には、機体外方に並列する空苗箱載置台が配置され、前記空苗箱載置台は、複数の空苗箱を重合させて載置可能であることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の移植機であって、前記予備苗供給装置は、前後方向に沿い、且つ左右に並列する左右一対のレール部と、左右一対の前記レール部間で回転可能に支持され、前後方向に並列する複数の供給ローラと、を備え、前記空苗箱載置台の空苗箱が載置される載置面は、前記レール部の上端と同じ高さ、又は前記レール部の上端よりも高い高さに配置されていることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の移植機であって、前記空苗箱載置台は、前記予備苗供給装置の後部外側方に回動支点を介して回動可能に設けられ、前記回動支点を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢と、前記回動支点を中心として下向きに回動させた格納姿勢と、に姿勢が切換可能であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の移植機であって、前記空苗箱載置台は、前記予備苗供給装置の後部外側方に回動支点を介して回動可能に設けられ、前記回動支点を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢と、前記回動支点を中心として前記予備苗供給装置の下面側まで折畳み状に回動させた格納姿勢と、に姿勢が切換可能であることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の移植機であって、前記予備苗供給装置を支持する支持フレームと、前記支持フレームと前記予備苗供給装置との間に設けられ、前記予備苗供給装置の姿勢を、後側ほど低くなる後方搬送姿勢と、前側ほど低くなる前方搬送姿勢と、に切換可能な傾斜切換機構と、を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、予備苗供給装置の後部には、機体外方に並列する空苗箱載置台が配置され、空苗箱載置台は、複数の空苗箱を重合させて載置可能なので、空苗箱載置台に空苗箱を重ねた状態で溜めておき、複数の空苗箱を重ねた状態でまとめて返却することができ、その結果、空苗箱の返却作業が容易になる。また、空苗箱載置台は、予備苗供給装置の後部外方に並列状に配置されているので、予備苗を苗載台に補給する流れのなかで、無理なく空苗箱を載置できるだけでなく、苗補給から空苗箱を返却するまでの作業者の移動量を最小限に抑えることができる。
また、請求項2の発明によれば、空苗箱載置台の空苗箱が載置される載置面は、予備苗供給装置のレール部の上端と同じ高さ、又はレール部の上端よりも高い高さに配置されているので、予備苗供給装置を使って空苗箱を畦側に返却する際、空苗箱載置台から予備苗供給装置上への空苗箱の移載が容易になる。
また、請求項3の発明によれば、空苗箱載置台は、予備苗供給装置の後部外側方に回動支点を介して回動可能に設けられ、回動支点を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢と、回動支点を中心として下向きに回動させた格納姿勢と、に姿勢が切換可能なので、移植機の輸送や倉庫への格納に際して空苗箱載置台を格納姿勢とすることで、移植機をコンパクト化できる。
また、請求項4の発明によれば、空苗箱載置台は、予備苗供給装置の後部外側方に回動支点を介して回動可能に設けられ、回動支点を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢と、回動支点を中心として予備苗供給装置の下面側まで折畳み状に回動させた格納姿勢と、に姿勢が切換可能なので、移植機の輸送や倉庫への格納に際して空苗箱載置台を格納姿勢とすることで、移植機をコンパクト化できる。
また、請求項5の発明によれば、予備苗供給装置を支持する支持フレームと、支持フレームと予備苗供給装置との間に設けられ、予備苗供給装置の姿勢を、後側ほど低くなる後方搬送姿勢と、前側ほど低くなる前方搬送姿勢と、に切換可能な傾斜切換機構と、を更に備えるので、予備苗供給装置を前方搬送姿勢に切換えて空苗箱を容易に畦側に返却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】乗用田植機の全体側面図である。
図2】乗用田植機の全体平面図である。
図3】後方搬送姿勢の予備苗供給装置を示す側面図である。
図4】折畳み状態の予備苗供給装置を示す側面図である。
図5】予備苗供給装置の傾斜切換機構を示す要部側面図である。
図6】前方搬送姿勢の予備苗供給装置を示す側面図である。
図7】空苗箱載置姿勢の空苗箱載置台を示す予備苗供給装置の正面図である。
図8】第1格納姿勢の空苗箱載置台を示す予備苗供給装置の正面図である。
図9】第2格納姿勢の空苗箱載置台を示す予備苗供給装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1は乗用田植機(移植機)であって、該乗用田植機1は、前輪2及び後輪3で支持される走行機体4を備えており、該走行機体4の前部には、エンジン(図示せず)を搭載するエンジン搭載部5が構成されている。エンジン搭載部5の左右両外側部には、それぞれサイドフレーム6が立設されており、その上方に後述する予備苗供給装置7が設けられている。
【0010】
また、エンジン搭載部5の後方には、作業者が乗車する操縦部8が構成されている。操縦部8は、ステアリングハンドル9、運転座席10などを備えて構成されており、運転座席10の前下方には、操縦部8の床面を形成するフロアステップ11が設けられている。
【0011】
フロアステップ11は、エンジン搭載部5の左右外側部に設けられるフロントステップ12や、フロアステップ11の左右幅を拡張するワイドステップ13と接続されており、作業者は、これらフロントステップ12やワイドステップ13を経由することにより、機体前方および側方のどちらからでも操縦部8に乗り込むことができるようになっている。
【0012】
一方、走行機体4の後部には、昇降リンク機構14を介して植付作業機15が昇降自在に連結されている。植付作業機15は、前高後低状に傾斜する苗載台16、該苗載台16から苗を掻取って圃場に植付ける植付機構17、田面を滑走するフロート18などを備えて構成されている。
【0013】
また、走行機体4の後部には、リヤステップ19が設けられており、作業者は、リヤステップ19上に立って、苗載台16に予備苗を補給することができ、その際に、後述する予備苗供給装置7を利用することにより、効率のよい苗補給が可能になる。
【0014】
つぎに、予備苗供給装置7について、図1図6を参照して説明する。図1及び図2に示すように、予備苗供給装置7は、走行機体4の左右両外側部に前後方向に沿うように配設されており、その前端部は走行機体4の前方に位置し、後端部は運転座席10の側方に位置している。
【0015】
本実施形態の予備苗供給装置7は、前後方向に沿い、且つ左右に並列する左右一対のレール部20と、左右一対のレール部20間で回転可能に支持され、前後方向に並列する複数の供給ローラ21とを備えた平面視矩形のローラコンベアであり、前高後低状の傾斜に沿って苗箱Bに収容された予備苗を自走式で搬送するように構成されている。
【0016】
また、本実施形態の予備苗供給装置7は、前部予備苗供給装置7F、中間予備苗供給装置7Mおよび後部予備苗供給装置7Rに分割形成されている。これらの予備苗供給装置7F、7M、7Rは、それぞれヒンジ22、23を介して連結されており、非作業時には、図4に示すように、中間予備苗供給装置7Mの上方に、後部予備苗供給装置7R及び前部予備苗供給装置7Fを折畳み状に収納することができる。
【0017】
図5などに示すように、予備苗供給装置7の支持部は、走行機体4の外側部であるサイドフレーム6上に立設される側面視冂型の支持フレーム24と、支持フレーム24と予備苗供給装置7との間に設けられる傾斜切換機構26と、を備える。
【0018】
支持フレーム24は、前後一対の支柱フレーム27、28と、前後の支柱フレーム27、28を一体的に連結する連結フレーム29とを一体的に備えて側面視冂型に形成されており、いずれのフレーム27、28、29も円筒状のパイプ材を用いて形成されている。
【0019】
傾斜切換機構26は、予備苗供給装置7の姿勢を、後側ほど低くなる後方搬送姿勢(予備苗後方搬送姿勢)と、前側ほど低くなる前方搬送姿勢(空苗箱前方搬送姿勢)と、に切換可能に構成される。本実施形態の傾斜切換機構26は、支持フレーム24上で予備苗供給装置7を支持する支持ベース30と、後側支柱フレーム28の上端部に左右を向いて設けられ、支持ベース30の後端側を上下回動自在に支持する回動支軸31と、前側支柱フレーム27に設けられ、支持ベース30の前端側を高さ調節可能に支持する高さ調節部32と、を備え、該高さ調節部32の高さ調節操作に応じて予備苗供給装置7の前後傾斜を切り換える。
【0020】
高さ調節部32は、前側支柱フレーム27で上下摺動自在に支持される摺動部材33と、摺動部材33の上端部と支持ベース30の前端側を融通状態で連結する連結部34と、前側支柱フレーム27に対して垂直方向に抜き差し可能に設けられる係合ピン35と、を備える。摺動部材33には、上下方向に所定の間隔を存して複数の係合孔(図示せず)が形成されており、摺動部材33を上下に摺動させつつ、いずれかの係合孔に係合ピン35を係合させることにより、摺動部材33の高さ位置が規定される。これにより、予備苗供給装置7の姿勢を、後側ほど低くなる後方搬送姿勢と、前側ほど低くなる前方搬送姿勢と、に切り換えることが可能になる。
【0021】
本実施形態の乗用田植機1は、予備苗供給装置7の後端部で係合ピン35の抜き差し操作を可能にする係合ピン操作機構36を更に備える。係合ピン操作機構36は、前側支柱フレーム27に設けられ、係合ピン35を前後方向摺動可能に支持する側面視コ字状の係合ピン支持部材37と、係合ピン35を係合方向に付勢する付勢部材38と、予備苗供給装置7の後端部内側面に上下回動可能に設けられる操作レバー39と、予備苗供給装置7の後端部内側面に設けられるアウタ受け40と、後側支柱フレーム28に設けられるアウタ受け41と、アウタ受け40、41間に設けられるアウタチューブ42と、アウタチューブ42に挿通され、後端がバネ44を介して操作レバー39に連結され、前端が係合ピン35に連結されるインナワイヤ43と、を備える。
【0022】
作業者が操作レバー39を上方に操作すると、インナワイヤ45を介して係合ピン35が引っ張られ、係合ピン35が摺動部材33の係合孔から抜ける。作業者は、操作レバー39の操作を継続しつつ、予備苗供給装置7の後端部を上下させ、予備苗供給装置7を所望の傾斜姿勢にする。その後、操作レバー39の操作を解除して予備苗供給装置7の後端部を上下方向に微動させると、摺動部材33の係合孔と係合ピン35の位置が一致し、付勢部材38の付勢力で係合ピン35が係合孔に係合し、予備苗供給装置7の姿勢切換操作が完了する。
【0023】
このような係合ピン操作機構36によれば、予備苗供給装置7の後端部に設けられる操作レバー39で係合ピン35を抜き差し操作し、予備苗供給装置7の姿勢を、後側ほど低くなる後方搬送姿勢と、前側ほど低くなる前方搬送姿勢と、に切り換えることができるので、後方搬送姿勢の予備苗供給装置7で予備苗を機体後部に供給した後、前方搬送姿勢に切換えた予備苗供給装置7で空苗箱Bを機体前方に返却することが可能になる。
【0024】
つぎに、空苗箱載置台50について、図1図9を参照して説明する。図2に示すように、空苗箱載置台50は、左右の予備苗供給装置7の後部に、機体外方に並列するように配置されている。図5及び図6に示すように、空苗箱載置台50は、複数の空苗箱Bを上下方向に重合させて載置することが可能であり、空苗箱載置台50に空苗箱Bを重ねた状態で溜めておき、複数の空苗箱Bを重ねた状態でまとめて返却することができる。また、空苗箱載置台50は、予備苗供給装置7の後部外方に並列状に配置されることで、予備苗を苗載台16に補給する流れのなかで、無理なく空苗箱Bを載置できるだけでなく、苗補給から空苗箱Bを返却するまでの作業者の移動量を最小限に抑えることができる。
【0025】
本実施形態の空苗箱載置台50は、図2及び図7に示すように、予備苗供給装置7の外側面部で支持されるベース部材51と、ベース部材51から外側方に延在する複数の第1線材52と、複数の第1線材52と直交する複数の第2線材53と、を一体的に備える。第1線材52の外端部及び第2線材53の前端部及び後端部には、上方に延在するストッパ52a、53aが形成されており、第1線材52及び第2線材53の上に載置された空苗箱Bの落下がストッパ52a、53aで規制される。このような空苗箱載置台50によれば、線材52、53を用いて形成されるので、空苗箱載置台50のコストや重量を抑えることができる。
【0026】
また、空苗箱載置台50の空苗箱Bが載置される載置面50aは、図5図7に示すように、予備苗供給装置7のレール部20の上端と同じ高さ、又はレール部20の上端よりも一段高い高さに配置されている。このようにすると、予備苗供給装置7を使って空苗箱Bを畦側に返却する際、空苗箱載置台50から予備苗供給装置7上に空苗箱Bを移し替える作業が容易になる。
【0027】
また、空苗箱載置台50は、図7図9に示すように、予備苗供給装置7の後部外側方に回動支点54を介して回動可能に設けられ、回動支点54を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢(図7参照)と、回動支点54を中心として下向きに回動させた第1格納姿勢(図8参照)と、回動支点54を中心として予備苗供給装置7の下面側まで折畳み状に回動させた第2格納姿勢(図9参照)と、に姿勢を切り換えることができる。
【0028】
具体的に説明すると、空苗箱載置台50は、予備苗供給装置7の後部外側面に固定され、回動支点54を介して支持ベース51を上下回動可能に支持するブラケット55と、ブラケット55に設けられる上下のナット部56、57と、ナット部56、57に選択的に螺合可能なノブ付きボルト58と、を更に備える。
【0029】
図3及び図7に示すように、支持ベース51に形成される孔51aを介して上側のナット部56にノブ付きボルト58を螺合させると、空苗箱載置台50が空苗箱載置姿勢に固定される。また、図8に示すように、支持ベース51の孔51aを介さずに上側のナット部56にノブ付きボルト58を螺合させた状態では、空苗箱載置台50が固定されずに垂れ下がった第2格納姿勢となる。また、図9に示すように、支持ベース51に形成される孔51aを介して下側のナット部57にノブ付きボルト58を螺合させると、空苗箱載置台50が第2格納姿勢に固定される。
【0030】
このような空苗箱載置台50によれば、空苗箱載置姿勢だけでなく、第1格納姿勢及び第2格納姿勢に切換可能なので、乗用田植機1の輸送や倉庫への格納に際して空苗箱載置台50を第1格納姿勢又は第2格納姿勢とすることで、乗用田植機1をコンパクト化できる。
【0031】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、苗箱Bに収容された予備苗を走行機体4の前方から後部に供給する予備苗供給装置7を備える乗用田植機1であって、予備苗供給装置7の後部には、機体外方に並列する空苗箱載置台50が配置され、空苗箱載置台50は、複数の空苗箱Bを重合させて載置可能なので、空苗箱載置台50に空苗箱Bを重ねた状態で溜めておき、複数の空苗箱Bを重ねた状態でまとめて返却することができ、その結果、空苗箱Bの返却作業が容易になる。また、空苗箱載置台50は、予備苗供給装置7の後部外方に並列状に配置されているので、予備苗を苗載台16に補給する流れのなかで、無理なく空苗箱Bを載置できるだけでなく、苗補給から空苗箱Bを返却するまでの作業者の移動量を最小限に抑えることができる。
【0032】
また、予備苗供給装置7は、前後方向に沿い、且つ左右に並列する左右一対のレール部20と、左右一対のレール部20間で回転可能に支持され、前後方向に並列する複数の供給ローラ21と、を備え、空苗箱載置台50の空苗箱Bが載置される載置面50aは、レール部20の上端と同じ高さ、又はレール部20の上端よりも高い高さに配置されているので、予備苗供給装置7を使って空苗箱Bを畦側に返却する際、空苗箱載置台50から予備苗供給装置7上への空苗箱Bの移載が容易になる。
【0033】
また、空苗箱載置台50は、予備苗供給装置7の後部外側方に回動支点54を介して回動可能に設けられ、回動支点54を中心として機体外方に展開させた空苗箱載置姿勢と、回動支点54を中心として下向きに回動させた第1格納姿勢と、回動支点54を中心として予備苗供給装置7の下面側まで折畳み状に回動させた第2格納姿勢と、に姿勢が切換可能なので、乗用田植機1の輸送や倉庫への格納に際して空苗箱載置台50を第1格納姿勢又は第2格納姿勢とすることで、乗用田植機1をコンパクト化できる。
【0034】
また、乗用田植機1は、予備苗供給装置7を支持する支持フレーム24と、支持フレーム27と予備苗供給装置7との間に設けられ、予備苗供給装置7の姿勢を、後側ほど低くなる後方搬送姿勢と、前側ほど低くなる前方搬送姿勢と、に切換可能な傾斜切換機構26と、を更に備えるので、予備苗供給装置7を前方搬送姿勢に切換えて空苗箱Bを容易に畦側に返却することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 乗用田植機
4 走行機体
7 予備苗供給装置
15 植付作業機
16 苗載台
20 レール部
21 供給ローラ
24 支持フレーム
26 傾斜切換機構
50 空苗箱載置台
50a 載置面
54 回動支点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9