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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132938
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】連結部材
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/08 20060101AFI20220906BHJP
   F16B 1/02 20060101ALI20220906BHJP
   F16D 41/06 20060101ALI20220906BHJP
   A47C 21/08 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
F16D41/08 A
F16B1/02 P
F16D41/06 A
A47C21/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031692
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】藤川 知寿
(57)【要約】
【課題】第1の部材と第2の部材とのなす角度によらず、第1の部材と第2の部材との相対回転を阻止することができる連結部材を提供する。
【解決手段】連結部材2は、第1の部材に固定される外輪4と、第2の部材に固定され少なくとも一部が外輪4の内側に配置された内輪6と、外輪4と内輪6との相対回転を阻止する阻止位置と前記相対回転を許容する許容位置との間で旋回自在に、かつ、径方向に延びる直線を対称軸として線対称に、外輪4の内周面と内輪6の外周面との間に配置された少なくとも一対のスプラグ8と、スプラグ8を阻止位置に位置づけるばね部材10と、阻止位置から許容位置にスプラグ8の向きを切り替える切り替え手段12とを備える。切り替え手段12は、ばね部材10によるスプラグ8の阻止位置への位置づけを許容する後退位置と、スプラグ8を許容位置に切り替える前進位置との間で軸方向に移動自在に配置された切り替えピン60を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と第2の部材とを連結する連結部材であって、
前記第1の部材に固定される外輪と、
前記第2の部材に固定され少なくとも一部が前記外輪の内側に配置された内輪と、
前記外輪と前記内輪との相対回転を阻止する阻止位置と前記相対回転を許容する許容位置との間で旋回自在に、かつ、径方向に延びる直線を対称軸として線対称に、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間に配置された少なくとも一対のスプラグと、
前記スプラグを前記阻止位置に位置づけるばね部材と、
前記阻止位置から前記許容位置に前記スプラグの向きを切り替える切り替え手段とを備え、
前記切り替え手段は、前記ばね部材による前記スプラグの前記阻止位置への位置づけを許容する後退位置と、前記スプラグの向きを前記許容位置に切り替える前進位置との間で軸方向に移動自在に配置された切り替えピンを含む連結部材。
【請求項2】
前記切り替え手段は前記切り替えピンを保持するピンリテーナを含み、前記ピンリテーナは軸方向に移動自在かつ前記ピンリテーナと前記内輪との相対回転が阻止された状態で前記内輪に装着されており、
前記外輪には径方向内側に突出する突出片が設けられており、
前記ピンリテーナには、前記外輪と前記内輪との周方向位置関係が所定の位置関係である場合に、前記突出片と軸方向において接触して前記切り替えピンの前記後退位置への移動を阻止する阻止部を有する、請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
前記阻止部は周方向に間隔をおいて一対設けられている、請求項2に記載の連結部材。
【請求項4】
前記切り替えピンは前記スプラグ側の軸方向端部にテーパー部を有し、前記後退位置において前記テーパー部は前記一対のスプラグ間に位置する、請求項1から3までのいずれかに記載の連結部材。
【請求項5】
前記阻止位置と前記許容位置との間で旋回自在に前記スプラグを保持するスプラグリテーナを備え、
前記スプラグリテーナは、前記切り替えピンが軸方向に移動する際に前記切り替えピンを案内する案内手段を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の部材と第2の部材とを連結する連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ベッドのサイドレール本体(第1の部材)とアーム(第2の部材)とを連結する連結部材であって、サイドレール本体に対するアームの回転を阻止する阻止状態と、サイドレール本体に対するアームの回転を許容する許容状態とに切り替え可能な連結部材が開示されている。この連結部材は、サイドレール本体に固定される本体側ロック部材と、アームに固定されるアーム側ロック部材と、本体側ロック部材に回転自在に支持されていると共にアーム側ロック部材に固定された回転軸とを含む。回転軸には、スライドギヤが上下方向に移動自在に装着され、本体側ロック部材には、スライドギヤと噛み合うロックギヤ部が設けられている。
【0003】
そして、この連結部材においては、スライドギヤが上端位置に位置づけられると、本体側ロック部材のロックギヤ部とスライドギヤとが噛み合い、本体側ロック部材に対するアーム側ロック部材の回転(すなわち、サイドレール本体に対するアームの回転)が阻止される。一方、スライドギヤが下端位置に位置づけられると、本体側ロック部材のロックギヤ部とスライドギヤとの噛み合いが解除され、本体側ロック部材に対するアーム側ロック部材の回転が許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-12356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された連結部材においては、ベッドのサイドレール本体に対するアームの角度が所定の角度でないと、本体側ロック部材のロックギヤ部とスライドギヤとが噛み合わず、サイドレール本体に対するアームの回転が阻止されない。言い換えると、サイドレール本体(第1の部材)とアーム(第2の部材)とのなす角度によらず、サイドレール本体(第1の部材)とアーム(第2の部材)との相対回転を阻止することが困難であるという問題がある。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、第1の部材と第2の部材とのなす角度によらず、第1の部材と第2の部材との相対回転を阻止することができる連結部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記課題を解決する以下の連結部材が提供される。すなわち、第1の部材と第2の部材とを連結する連結部材であって、前記第1の部材に固定される外輪と、前記第2の部材に固定され少なくとも一部が前記外輪の内側に配置された内輪と、前記外輪と前記内輪との相対回転を阻止する阻止位置と前記相対回転を許容する許容位置との間で旋回自在に、かつ、径方向に延びる直線を対称軸として線対称に、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間に配置された少なくとも一対のスプラグと、前記スプラグを前記阻止位置に位置づけるばね部材と、前記阻止位置から前記許容位置に前記スプラグの向きを切り替える切り替え手段とを備え、前記切り替え手段は、前記ばね部材による前記スプラグの前記阻止位置への位置づけを許容する後退位置と、前記スプラグの向きを前記許容位置に切り替える前進位置との間で軸方向に移動自在に配置された切り替えピンを含む連結部材が提供される。
【0008】
前記切り替え手段は前記切り替えピンを保持するピンリテーナを含み、前記ピンリテーナは軸方向に移動自在かつ前記ピンリテーナと前記内輪との相対回転が阻止された状態で前記内輪に装着されており、前記外輪には径方向内側に突出する突出片が設けられており、前記ピンリテーナには、前記外輪と前記内輪との周方向位置関係が所定の位置関係である場合に、前記突出片と軸方向において接触して前記切り替えピンの前記後退位置への移動を阻止する阻止部を有していてもよい。好ましくは、前記阻止部は周方向に間隔をおいて一対設けられている。前記切り替えピンは前記スプラグ側の軸方向端部にテーパー部を有し、前記後退位置において前記テーパー部は前記一対のスプラグ間に位置するのが好適である。前記阻止位置と前記許容位置との間で旋回自在に前記スプラグを保持するスプラグリテーナを備え、前記スプラグリテーナは、前記切り替えピンが軸方向に移動する際に前記切り替えピンを案内する案内手段を含むのが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の連結部材においては、ばね部材によるスプラグの阻止位置への位置づけを許容する後退位置に切り替えピンを移動させることにより、第1の部材と第2の部材とのなす角度によらず、第1の部材と第2の部材との相対回転を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本発明に従って構成された連結部材の正面図、(b)(a)に示す連結部材の右側面図、(c)(b)におけるA-A線断面図。
図2図1に示す連結部材の斜視図(ただし、外輪と、スプラグリテーナの本体と、ばね部材とが省略されている。)。
図3図1(c)におけるB-B線断面図。
図4図1に示す連結部材の分解斜視図。
図5】(a)図1に示す外輪の平面図、(b)(a)におけるA-A線断面図、(c)(a)に示す外輪の右側面図。
図6】(a)図1に示す内輪の正面図、(b)(a)に示す内輪の右側面図、(c)(a)におけるA-A線断面図。
図7】(a)図1に示すスプラグの左側面図、(b)(a)に示すスプラグの正面図。
図8】(a)図1に示すスプラグリテーナの本体の右側面図、(b)(a)におけるA-A線断面図、(c)(a)に示すスプラグリテーナの本体の斜視図。
図9】(a)図1に示す補助板の左側面図、(b)(a)に示す補助板の正面図。
図10】(a)図4に示すばね部材の正面図、(b)(a)に示すばね部材の右側面図、(c)(a)に示すばね部材の底面図、(d)(a)に示すばね部材の斜視図。
図11】(a)図1に示す切り替えピンの左側面図、(b)(a)に示す切り替えピンの正面図、(c)(a)に示す切り替えピンの右側面図。
図12】(a)図1に示すピンリテーナの左側面図、(b)(a)におけるA-A線断面図、(c)(a)に示すピンリテーナの正面図、(d)(a)に示すピンリテーナの右側面図、(e)(a)に示すピンリテーナの背面図、(f)(a)に示すピンリテーナの斜視図。
図13図1に示す入力軸の正面図。
図14】(a)図1に示す入力片の左側面図、(b)(a)に示す入力片の正面図、(c)(a)に示す入力片の右側面図、(d)(b)におけるA-A線断面図。
図15】(a)切り替えピンが前進位置に位置づけられた状態における連結部材の正面図、(b)(a)に示す連結部材の右側面図、(c)(b)におけるA-A線断面図。
図16図15に示す連結部材の斜視図(ただし、外輪と、スプラグリテーナの本体と、ばね部材とが省略されている。)。
図17図15(c)におけるB-B線断面図。
図18】(a)外輪の突出片とピンリテーナの阻止部とが軸方向において接触して切り替えピンの後退位置への移動が阻止されている状態における連結部材の正面図、(b)(a)に示す連結部材の右側面図、(c)(b)におけるA-A線断面図。
図19図18に示す連結部材の斜視図(ただし、外輪と、スプラグリテーナの本体と、ばね部材とが省略されている。)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された連結部材の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1ないし図4を参照して説明すると、全体を符号2で示す連結部材は、第1の部材(図示していない。)に固定される外輪4と、第2の部材に固定され少なくとも一部が外輪4の内側に配置された内輪6と、外輪4と内輪6との相対回転を阻止する阻止位置と前記相対回転を許容する許容位置との間で旋回自在に、かつ、径方向に延びる直線L(図3参照。)を対称軸として線対称に、外輪4の内周面と内輪6の外周面との間に配置された少なくとも一対のスプラグ8と、各スプラグ8を阻止位置に位置づけるばね部材10(図3および図4参照。)と、阻止位置から許容位置にスプラグ8の向きを切り替える切り替え手段12(図1および図4参照。)とを備える。
【0013】
第1の部材としては、たとえば、ベッドの使用者がベッドから転落するのを防止するためのサイドレール本体が挙げられる。また、第2の部材としては、たとえば、サイドレール本体に回転自在(開閉自在)に連結されるアームが挙げられる。しかしながら、第1・第2の部材は、このような部材に限定されるものではない。
【0014】
第1の部材に固定される外輪4は、図5に示すとおり、円筒状の大径部4aと、大径部4aの外径よりも外径が小さい円筒状の小径部4bとを有する。大径部4aの外周面には、周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数の溝14が形成されており、第1の部材の線状突起が外輪4の溝14に嵌め合わされることによって、第1の部材と外輪4とが固定される。また、小径部4bには、互いに対向する位置に配置された一対の円形の貫通穴16が形成されている。
【0015】
外輪4の内周面には、径方向内側に突出する突出片が設けられていてもよい。図1を参照することによって理解されるとおり、図示の実施形態においては、突出片としてのボールプランジャ18が一方の貫通穴16に装着され、図1(c)に示すとおり、ボールプランジャ18の先端側(ボールが付設されている側)が外輪4の内周面から径方向内側に突出している。なお、突出片は、ボールプランジャ18に限定されず、外輪4の内周面から部分的に径方向内側に突出していればよい。また、一対の貫通穴16の双方にボールプランジャ18が装着されていてもよい。
【0016】
第2の部材に固定される内輪6は、図6に示すとおり、円筒状の大径部6aと、大径部6aの外径よりも外径が小さい円筒状の段付きの小径部6bとを有する。大径部6aの外周面には、周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数の溝20が形成されており、第2の部材の線状突起が内輪6の溝20に嵌め合わされることによって、第2の部材と内輪6とが固定される。
【0017】
内輪6の大径部6aの軸方向片側端部(図6(c)における右側端部)には、凹所22が形成されている。内輪6には、凹所22の底面22aの中央部から軸方向に延びる円形穴24が大径部6aおよび小径部6bに跨って形成されている。凹所22の底面22aには、円形穴24の周縁から軸方向に突出する環状突起26が設けられている。小径部6bには、互いに対向する位置に配置された一対の貫通長穴28が形成されており、各貫通長穴28は軸方向に延びている。また、小径部6bの先端側には雄ねじ部30が設けられている。
【0018】
図1(c)に示すとおり、内輪6の小径部6bは外輪4に挿入されている。つまり、内輪6の一部が外輪4の内側に配置されている。内輪6の小径部6bの軸方向両側端部は、軸方向に間隔をおいて外輪4の内部に配置された一対の軸受部材32、34によって回転自在に支持されている。図1(c)、図2および図4に示すとおり、外輪4の内部には、軸受部材32、34に隣接して穴用のC型止め輪36、38が配置され、かつ、内輪6の雄ねじ部30にはナット40が嵌め合わされている。これによって、外輪4に対する内輪6の軸方向の移動が抑制されている。
【0019】
図示の実施形態のスプラグ8は、図3に示すとおり、外輪4の内周面と内輪6の外周面との間に、周方向に間隔をおいて複数(図示の実施形態では12個)配置されている。スプラグ8の断面(軸方向を横断する面)の形状については、径方向外側から径方向中間部に向かって周方向寸法が次第に小さくなると共に、径方向内側から径方向中間部に向かって周方向寸法が次第に小さくなっている。要するに、スプラグ8の断面形状は、径方向の中間部がくびれたヒョウタンのような形状である。
【0020】
図3と共に図7を参照して説明すると、外輪4側のスプラグ8の外周面は、円弧状の第1のカム面8aと、第1のカム面8aの半径よりも半径が大きい円弧状の第2のカム面8bとを有する。第1のカム面8aと第2のカム面8bとは、軸方向に延びる外側境界ライン8cによって区画されている。内輪6側のスプラグ8の外周面は、円弧状の第3のカム面8dと、第3のカム面8dの半径よりも半径が大きい円弧状の第4のカム面8eとを有する。第3のカム面8dと第4のカム面8eとは、軸方向に延びる内側境界ライン8fによって区画されている。図示の実施形態では、外輪4側の第1のカム面8aと、内輪6側の第3のカム面8dとが同一半径であり、外輪4側の第2のカム面8bと、内輪6側の第4のカム面8eとが同一半径である。
【0021】
外側境界ライン8cと内側境界ライン8fを結ぶ線分の寸法αは、外輪4の内周面と内輪6の外周面との間の径方向寸法と実質的に同一である。第2のカム面8bと第4のカム面8eとを結ぶ線分の寸法βは、寸法αよりも大きい(β>α)。逆に、第1のカム面8aと第3のカム面8dとを結ぶ線分の寸法γは、寸法αよりも小さい(α>γ)。
【0022】
図示の実施形態においては、スプラグ8は、外輪4の内周面と内輪6の外周面との間に配置されたスプラグリテーナ42(図4参照。)により、外輪4と内輪6との相対回転を阻止する阻止位置と、外輪4と内輪6との相対回転を許容する許容位置との間で旋回自在に保持されている。図4に示すとおり、スプラグリテーナ42は、本体44と、本体44に装着される環状の補助板46とを備える。
【0023】
図8を参照して説明すると、スプラグリテーナ42の本体44は、中央部に円形穴48aを有する環状の基板48と、周方向に間隔をおいて基板48の片面(図8(b)における右側の面)から軸方向片側に延びる複数の第1の支柱50と、周方向に間隔をおいて基板48の片面から軸方向片側に延びる複数の第2の支柱52とを含む。第1の支柱50と第2の支柱52とは、周方向において交互に配置されている。
【0024】
第1の支柱50の断面(軸方向を横断する面)の形状は、径方向外側から径方向内側に向かって周方向寸法が次第に小さくなる五角形状(野球で使用されるホームベースのような形状)である。第1の支柱50の先端面には、軸方向に突出する円形の突起54が形成されている。第2の支柱52は、基板48側の厚肉基部52aと、厚肉基部52aの径方向外側部分から軸方向片側に延びる薄肉案内部52bとを有する。薄肉案内部52bの径方向寸法は、厚肉基部52aの径方向寸法よりも小さい。また、薄肉案内部52bの径方向内側の側面は、径方向外側に凹んだ円弧状面となっており、後述する切り替えピン60の主部66の半径に対応する半径を有している。
【0025】
図9に示すとおり、補助板46の中央部には円形穴46aが形成されている。円形穴46aの周囲には、複数の第1の開口46bと、複数の第2の開口46cとが周方向に間隔をおいて交互に形成されている。第1の開口46bは、本体44の第1の支柱50の形状に対応した五角形状である。第2の開口46cの径方向外側部分は、第2の支柱52に対応して、角部が丸みを帯びた四角形状である。第2の開口46cの径方向内側部分は、切り替えピン60の主部66の半径に対応する半径を有する円形状であり、第2の開口46cの径方向内側部分を切り替えピン60が通過することができるようになっている。
【0026】
そして、第1の支柱50の先端が補助板46の第1の開口46bに圧入され、かつ、第2の支柱52の薄肉案内部52bの先端が第2の開口46cの径方向外側部分に圧入されることによって、本体44と補助板46とが連結される。図1(c)に示すとおり、本体44と補助板46とが連結されたスプラグリテーナ42は、内輪6の小径部6bの先端側(雄ねじ部30側)に配置されている。また、本体44の基板48の円形穴48aおよび補助板46の円形穴46aには、内輪6の小径部6bが挿入される。
【0027】
図1(c)に示すとおり、スプラグ8は、軸方向において本体44の基板48と補助板46との間に配置されている。図3を参照することによって理解されるとおり、スプラグ8は、周方向において第1の支柱50と第2の支柱52との間に配置されていると共に、上記のとおり、径方向において外輪4の内周面と内輪6の外周面との間に配置されている。
【0028】
図3に示すとおり、各スプラグ8は、第1のカム面8aおよび第4のカム面8eが第1の支柱50側を向き、第2のカム面8bおよび第3のカム面8dが第2の支柱52側を向くように配置されている。つまり、各スプラグ8は、第1の支柱50の周方向中間部を通って径方向に延びる直線Lを対称軸として線対称に配置されている。
【0029】
そして、スプラグ8が阻止位置に向かって旋回されると、第2のカム面8bが外輪4の内周面に接近すると共に、第4のカム面8eが内輪6の外周面に接近する。上記のとおり、第2のカム面8bと第4のカム面8eとを結ぶ線分の寸法βは、外輪4の内周面と内輪6の外周面との間の径方向寸法と実質的に同一である寸法αよりも大きい(β>α)ので、スプラグ8が阻止位置に位置づけられると、外輪4の内周面と内輪6の外周面との間にスプラグ8が噛み込まれ、外輪4と内輪6との相対回転が阻止される(図3参照。)。
【0030】
一方、スプラグ8が許容位置に向かって旋回されると、図17に示すとおり、第1のカム面8aが外輪4の内周面に接近すると共に、第3のカム面8dが内輪6の外周面に接近する。上記のとおり、第1のカム面8aと第3のカム面8dとを結ぶ線分の寸法γは寸法αよりも小さい(α>γ)ので、スプラグ8が許容位置に位置づけられると、外輪4の内周面とスプラグ8との間に隙間が生じると共に、内輪6の外周面とスプラグ8との間にも隙間が生じる。したがって、許容位置においては、外輪4と内輪6とによるスプラグ8の噛み込みが解除され、外輪4と内輪6との相対回転が許容される。
【0031】
図10を参照して、ばね部材10について説明する。ばね部材10は、スプラグリテーナ42の第1の支柱50の断面形状に対応する五角形状の基板56と、基板56の周縁から延びる一対の板状のばね部58とを有する。基板56には円形穴56aが形成され、円形穴56aに第1の支柱50の突起54が挿入されることにより、ばね部材10はスプラグリテーナ42に支持される。
【0032】
ばね部58は、スプラグ8と同様に、軸方向において本体44の基板48と補助板46との間に配置されている。また、図3に示すとおり、ばね部58は、周方向においてスプラグ8と第1の支柱50との間に配置されている。そして、ばね部材10は、図3に矢印d1で示す方向にスプラグ8を押し付けて、外輪4と内輪6との間にスプラグ8を噛み込ませ、スプラグ8を阻止位置に位置づけるようになっている。なお、図示の実施形態のばね部材10は、一対のばね部58が基板56によって連結されているが、ばね部同士が連結されていなくてもよい。
【0033】
そして、ばね部材10によってスプラグ8が阻止位置に位置づけられている際には、図3の紙面上方から見て、外輪4に対する内輪6の時計回りの回転および内輪6に対する外輪4の反時計回りの回転は、一対のばね部58の一方(第1の支柱50の右側に位置するばね部58)から力を付与されているスプラグ8によって阻止される。また、図3の紙面上方から見て、外輪4に対する内輪6の反時計回りの回転および内輪6に対する外輪4の時計回りの回転は、一対のばね部58の他方(第1の支柱50の左側に位置するばね部58)から力を付与されているスプラグ8によって阻止される。このように、第1の支柱50の周方向両側に直線Lを対称軸として線対称に少なくとも一対のスプラグ8が配置されていれば、回転方向に関係なく外輪4と内輪6との相対回転が阻止される。
【0034】
図4に示すとおり、切り替え手段12は、複数の切り替えピン60と、各切り替えピン60を保持する環状のピンリテーナ62と、各切り替えピン60およびピンリテーナ62を軸方向に移動させるための操作手段64とを含む。
【0035】
図11を参照して説明すると、切り替えピン60は、円柱状の主部66と、主部66の軸方向片側端部(図11(b)における左側端部)から軸方向片側に向かって直径が次第に小さくなる円錐台形状のテーパー部68と、主部66の軸方向他側端部から軸方向他側に延びる円柱状の被保持部70とを有する。被保持部70の直径は主部66の直径よりも小さい。
【0036】
そして、複数の切り替えピン60は、ばね部材10によるスプラグ8の阻止位置への位置づけを許容する後退位置(図1ないし図3に示す位置)と、スプラグ8の向きを許容位置に切り替える前進位置(図15ないし図17に示す位置)との間で軸方向に移動自在に、かつ、周方向に間隔をおいて外輪4の内周面と内輪6の外周面との間に配置されている。後退位置においては、図2および図3に示すとおり、周方向において隣接するスプラグ8同士の間に切り替えピン60のテーパー部68のみが位置する。一方、前進位置においては、図16および図17に示すとおり、周方向において隣接するスプラグ8同士の間にテーパー部68および主部66が位置する。
【0037】
図12に示すとおり、ピンリテーナ62の中央部には円形穴72が形成されており、円形穴72には、内輪6の小径部6bが挿入される。円形穴72の周囲には、周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数の円形の保持開口74が形成されている。各保持開口74に切り替えピン60の被保持部70が圧入されて、各切り替えピン60がピンリテーナ62に保持される。
【0038】
ピンリテーナ62は、大径部76と、大径部76の外径よりも外径が小さい小径部78とを有する。小径部78には、互いに対向する位置に配置された一対の円形の貫通穴80が形成されている。また、図示の実施形態の小径部78の外周面には、径方向外側に突出する阻止部82が周方向に間隔をおいて一対形成されている。なお、阻止部82の数量は任意であり、阻止部82は設けられていなくてもよい。
【0039】
図1および図4に示すとおり、操作手段64は、内輪6の円形穴24に軸方向に移動自在に部分的に挿入された円柱状の入力軸84と、入力軸84の端部に装着され入力軸84を内輪6の内部に押し込むための操作が加えられる入力片86と、入力軸84を内輪6から引き抜く方向に入力軸84および入力片86に力を付与するコイルばね88とを含む。
【0040】
図13に示すとおり、入力軸84には、軸方向に間隔をおいて一対の円形の貫通穴90、92が形成されている。図1および図4に示すとおり、入力軸84の貫通穴90およびピンリテーナ62の一対の貫通穴80を通る連結ピン94によって、入力軸84とピンリテーナ62とが連結されている。さらに、連結ピン94は、内輪6の一対の貫通長穴28(図6参照。)を通っている。これによって、入力軸84はピンリテーナ62と共に、軸方向に移動自在、かつ、入力軸84、ピンリテーナ62および内輪6の相対回転が阻止された状態で連結ピン94を介して内輪6に装着されている。
【0041】
図14に示すとおり、入力片86は、互いに対向する位置に一対の平坦面96aが形成された大径部96と、大径部96の外径よりも外径が小さい円筒状の小径部98とを有する。大径部96には、径方向に延びる円形の貫通穴96bが形成され、大径部96の軸方向片側端部(図14(d)における右側端部)には球面状の凹所96cが形成されている。また、入力片86には、小径部98の軸方向他側端部から貫通穴96bに達する円形穴100が形成されている。図1および図4に示すとおり、入力片86の円形穴100に入力軸84の端部が挿入され、入力片86の貫通穴96bおよび入力軸84の貫通穴92を通る連結ピン102によって、入力片86と入力軸84とが連結されている。
【0042】
図1(c)に示すとおり、コイルばね88は、内輪6の凹所22と入力片86との間に配置され、内輪6の環状突起26および入力片86の小径部98に嵌め合わされている。そして、コイルばね88は、入力軸84を内輪6から引き抜く方向に入力軸84および入力片86に力を付与することにより、後退位置に向かって複数の切り替えピンに力を付与している。
【0043】
次に、上述したとおりの連結部材2の作用について説明する。操作手段64の入力片86に対して、入力軸84を内輪6の内部に押し込むための操作が加えられていない場合には、コイルばね88によって入力軸84および入力片86が図1に示す後退位置に位置づけられる。また、入力軸84に連結されているピンリテーナ62、およびピンリテーナ62に保持されている切り替えピン60も図1ないし図3に示す後退位置に位置づけられる。
【0044】
切り替えピン60が後退位置に位置づけられているときは、図2および図3に示すとおり、周方向において隣接するスプラグ8同士の間に切り替えピン60のテーパー部68が位置しているものの、テーパー部68とスプラグ8とは接触していない。このため、図3に矢印d1で示す方向に、ばね部材10のばね部58によってスプラグ8が押し付けられ、外輪4と内輪6との相対回転を阻止する阻止位置にスプラグ8が位置づけられる。このように、切り替えピン60が後退位置に位置しているときは、ばね部材10によるスプラグ8の阻止位置への位置づけが許容される。
【0045】
一方、操作手段64の入力片86に対して、入力軸84を内輪6の内部に押し込むための操作が加えられ、入力軸84および入力片86が図15に示す前進位置に位置づけられると、ピンリテーナ62および切り替えピン60も図15ないし図17に示す前進位置に位置づけられる。
【0046】
切り替えピン60が前進位置に位置づけられると、図16および図17に示すとおり、周方向において隣接するスプラグ8同士の間に切り替えピン60の主部66が位置づけられる。そうすると、ばね部58の力に打ち勝って、図17に矢印d2で示す方向に、主部66がスプラグ8を押し付け、外輪4と内輪6との相対回転を許容する許容位置にスプラグ8を旋回させる。このように、切り替えピン60が前進位置に位置づけられると、スプラグ8の向きが許容位置に切り替えられるので、符号Oで示す軸線を中心として、外輪4に固定される第1の部材と、内輪6に固定される第2の部材との相対回転が可能となる。
【0047】
図示の実施形態では、後退位置においてテーパー部68が周方向において隣接するスプラグ8同士の間に位置しているため、切り替えピン60は、後退位置から前進位置に向かって移動する際に、スプラグ8に引っ掛かることなくスムーズに移動することができる。
【0048】
また、切り替えピン60が後退位置から前進位置に向かって移動する際は、補助板46の第2の開口46cの円形状の径方向内側部分(図9(a)参照。)と、本体44の第2の支柱52の薄肉案内部52bの径方向内側の側面とに切り替えピン60が案内される。これによって、ばね部58の力に打ち勝って切り替えピン60がスプラグ8を押し付けることができる所定位置から切り替えピン60がずれてしまうのが防止されている。このように、第2の開口46cおよび薄肉案内部52bは、切り替えピン60が軸方向に移動する際に切り替えピン60を案内する案内手段となっている。
【0049】
そして、第1の部材と第2の部材とが適宜回転された後、操作手段64の入力片86に対する押し込み操作が解除されると、コイルばね88によって入力軸84および入力片86が後退位置に位置づけられると共に、ピンリテーナ62および切り替えピン60も後退位置に位置づけられる。これによって、切り替えピン60によるd2方向へのスプラグ8の押し付けが解除されるため、ばね部材10のばね部58によってd1方向にスプラグ8が押し付けられ、許容位置から阻止位置にスプラグ8が旋回することになる。
【0050】
したがって、連結部材2においては、入力片86に対する押し込み操作を解除し、ばね部材10によるスプラグ8の阻止位置への位置づけを許容する後退位置に切り替えピン60を移動させることにより、外輪4に固定される第1の部材と、内輪6に固定される第2の部材とのなす角度によらず、第1の部材と第2の部材との相対回転を阻止することができる。
【0051】
ただし、外輪4と内輪6との周方向位置関係が所定の位置関係である場合に、切り替えピン60が前進位置から後退位置へ移動するのを阻止するようにしてもよい。
【0052】
図18および図19を参照して説明すると、図示の実施形態においては、外輪4と内輪6との周方向位置関係が、図1に示す位置関係を初期位置として図18(b)の紙面上方から見て時計回りに外輪4に対して内輪6が所定角度(たとえば30°)回転した位置関係である場合に、入力片86に対する押し込み操作が解除されたときには、コイルばね88によってピンリテーナ62および切り替えピン60が後退位置に向かって後退していくところ、ピンリテーナ62の小径部78に形成された阻止部82と、外輪4に装着されたボールプランジャ18(突出片)とが軸方向において接触する。
【0053】
そうすると、切り替えピン60の後退位置への移動が阻止されるため、図19に示すとおり、周方向において隣接するスプラグ8同士の間から切り替えピン60の主部66が完全には抜けきらず、スプラグ8が許容位置に位置づけられた状態が維持される。したがって、第1の部材と第2の部材との相対回転が許容された状態が維持される。
【0054】
上述の機能は、たとえば、第1の部材としてサイドレール本体が外輪4に固定され、第2の部材としてアームが内輪6に固定された場合に有効である。具体的には、ベッドの使用者あるいは介護者等が、入力片86に対して押し込み操作を加え、サイドレール本体に対するアームの回転を許容する状態にした後、入力片86に対する押し込み操作を解除した場合に、サイドレール本体とアームとのなす角度が、ベッドの使用者あるいは介護者等の手指がサイドレール本体とアームとの間に挟まれてしまうような狭い角度であるときである。このようなときに、切り替えピン60の後退位置への移動を阻止することで、サイドレール本体とアームとの間に手指が挟まれた状態で、サイドレール本体に対するアームの回転が阻止される状態となることを防止することができる。
【0055】
また、阻止部82が周方向に間隔をおいて一対設けられている場合には、サイドレール本体に対してアームが周方向片側又は周方向他側のどちらに回転した場合においても、サイドレール本体とアームとの間に手指が挟まれた状態で、サイドレール本体に対するアームの回転が阻止される状態となることを防止することができる。
【0056】
そして、切り替えピン60の前進位置から後退位置への移動が阻止された状態から、使用者等の手指がサイドレール本体とアームとの間に挟まれることのない角度まで、サイドレール本体に対してアームを回転させることにより、サイドレール本体とアームとをロック状態にすることができる。すなわち、ピンリテーナ62の阻止部82とボールプランジャ18(突出片)とが接触しない位置関係になるまで、外輪4と内輪6とを相対的に回転させると、コイルばね88によって切り替えピン60が後退位置に位置づけられるので、特に操作手段64の入力片86に操作を加えることなく、外輪4と内輪6との相対回転が阻止された状態となる。
【符号の説明】
【0057】
2:連結部材
4:外輪
6:内輪
8:スプラグ
10:ばね部材
12:切り替え手段
18:ボールプランジャ(突出片)
42:スプラグリテーナ
44:本体
46:補助板
46b:第1の開口
46c:第2の開口(案内手段)
50:第1の支柱
52:第2の支柱
52b:薄肉案内部(案内手段)
60:切り替えピン
62:ピンリテーナ
68:テーパー部
82:阻止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19