(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132953
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】識別情報表示システム及び識別情報表示装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220906BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20220906BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06K19/06 112
G06K19/06 037
H02B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031714
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】榊原 大雄
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】コントロールセンタに係る装置情報を作業者に適切に提供する。
【解決手段】識別情報表示システムは、コントロールセンタに設けられる識別情報表示装置と、携帯通信端末とを備える。識別情報表示装置は、少なくともコントロールセンタへの電源供給が断たれた場合でも識別情報を呈示する識別情報呈示部と、当該コントロールセンタに係る装置情報を記憶する情報記憶部と、識別情報が携帯通信端末により読み取られたことに応じて携帯通信端末から送信されたデータ要求を受信すると、装置情報を携帯通信端末に送信するセンタ側通信部と、を備える。携帯通信端末は、識別情報を読み取る識別情報読み取り部と、識別情報を識別情報読み取り部により読み取ったことに応じてデータ要求を識別情報表示装置に送信し、識別情報表示装置から送信された装置情報を受信する端末側通信部と、端末側通信部により受信された装置情報を表示する情報表示部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロールセンタに設けられる識別情報表示装置と、携帯通信端末とを備える識別情報表示システムであって、
前記識別情報表示装置は、
少なくともコントロールセンタへの電源供給が断たれた場合でも識別情報を呈示する識別情報呈示部と、
当該コントロールセンタに係る装置情報を記憶する情報記憶部と、
前記識別情報が前記携帯通信端末により読み取られたことに応じて前記携帯通信端末から送信されたデータ要求を受信すると、前記装置情報を前記携帯通信端末に送信するセンタ側通信部と、を備え、
前記携帯通信端末は、
前記識別情報を読み取る識別情報読み取り部と、
前記識別情報を前記識別情報読み取り部により読み取ったことに応じて前記データ要求を前記識別情報表示装置に送信し、前記識別情報表示装置から送信された前記装置情報を受信する端末側通信部と、
前記端末側通信部により受信された前記装置情報を表示する情報表示部と、を備える識別情報表示システム。
【請求項2】
前記識別情報表示装置は、
当該コントロールセンタへの電源供給が断たれた場合に駆動する予備電源を備え、
前記識別情報呈示部は、外部から前記コントロールセンタに電源供給されることで前記識別情報を表示可能な表示器であり、外部から前記コントロールセンタへの電源供給が断たれた場合に前記予備電源が駆動することで、前記識別情報を表示する請求項1に記載した識別情報表示システム。
【請求項3】
前記識別情報呈示部は、マルチリレーからデータ情報を受信し、その受信したデータ情報に応じた前記識別情報を表示する請求項2に記載した識別情報表示システム。
【請求項4】
前記識別情報呈示部は、前記マルチリレーから前記データ情報として故障情報を受信し、その受信した故障情報に応じた前記識別情報を表示する請求項3に記載した識別情報表示システム。
【請求項5】
前記識別情報呈示部は、識別情報が印刷されている印刷物である請求項1に記載した識別情報表示システム。
【請求項6】
前記識別情報表示装置は、マルチリレーに組み込まれている請求項1から5の何れか一項に記載した識別情報表示システム。
【請求項7】
前記識別情報表示装置は、前記コントロールセンタに組み込まれるコントロールユニット毎に設けられる請求項1から6の何れか一項に記載した識別情報表示システム。
【請求項8】
前記識別情報表示装置は、前記コントロールセンタに組み込まれる複数のコントロールユニットに共通して設けられる請求項1から6の何れか一項に記載した識別情報表示システム。
【請求項9】
前記端末側通信部は、前記データ要求を有線通信により前記識別情報表示装置に送信し、前記センタ側通信部は、前記装置情報を有線通信により前記携帯通信端末に送信する請求項1から8の何れか一項に記載した識別情報表示システム。
【請求項10】
前記端末側通信部は、前記データ要求を無線通信により前記識別情報表示装置に送信し、前記センタ側通信部は、前記装置情報を無線通信により前記携帯通信端末に送信する請求項1から8の何れか一項に記載した識別情報表示システム。
【請求項11】
識別情報を読み取ったことに応じてデータ要求を識別情報表示装置に送信し、前記識別情報表示装置から送信された装置情報を受信すると、その受信した前記装置情報を表示する携帯通信端末と共に識別情報表示システムで用いられる識別情報表示装置であって、
少なくともコントロールセンタへの電源供給が断たれた場合でも識別情報を呈示する識別情報呈示部と、
当該コントロールセンタに係る装置情報を記憶する情報記憶部と、
前記識別情報が前記携帯通信端末により読み取られたことに応じて前記携帯通信端末から送信されたデータ要求を受信すると、前記装置情報を前記携帯通信端末に送信するセンタ側通信部と、を備える識別情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、識別情報表示システム及び識別情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コントロールセンタのメンテナンスやトラブル対応を行う場合、コントロールセンタに係る装置情報が必要となる。コントロールセンタに係る装置情報とは、コントロールセンタやコントロールユニット毎の装置情報であり、例えば外形図、回路図、端子図等の各種図面、機器設定の状態、取扱説明書や作業手順書等の各種書類を示す情報であり、メンテナンスやトラブル対応を行う場合に必要な情報である。これらの装置情報は従来では紙媒体により管理及び提供されていたが、その情報量が膨大であること、膨大な紙媒体を持ち運ぶことが現実的でないこと等の理由により、近年では、装置情報を電子データとして管理及び提供することが主流となっている。特に、例えばスマートフォン等の普及に伴い、QRコード(登録商標)等の識別情報を用いることで、専用端末ではなく、個人が日常的に使用する汎用性の高い携帯通信端末を介したデータ通信により装置情報を提供することが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、装置情報の電子データをサーバに一括して保存し、携帯通信端末がインターネット回線等の通信設備を介してサーバにアクセスすることで、携帯通信端末がサーバから装置情報をダウンロードし、装置情報を作業者に提供する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば停電等により外部からコントロールセンタへの電源供給が断たれたり、サーバや通信設備の通信障害等によりサーバへのアクセスが不能になったりすると、装置情報を作業者に提供することできない。
【0006】
実施形態は、上記した事情に鑑みたものであり、その目的は、コントロールセンタに係る装置情報を作業者に適切に提供することができる識別情報表示システム及び識別情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る識別情報表示システムは、コントロールセンタに設けられる識別情報表示装置と、携帯通信端末とを備える。前記識別情報表示装置は、少なくともコントロールセンタへの電源供給が断たれた場合でも識別情報を呈示する識別情報呈示部と、当該コントロールセンタに係る装置情報を記憶する情報記憶部と、前記識別情報が前記携帯通信端末により読み取られたことに応じて前記携帯通信端末から送信されたデータ要求を受信すると、前記装置情報を前記携帯通信端末に送信するセンタ側通信部と、を備える。前記携帯通信端末は、前記識別情報を読み取る識別情報読み取り部と、前記識別情報を前記識別情報読み取り部により読み取ったことに応じて前記データ要求を前記識別情報表示装置に送信し、前記識別情報表示装置から送信された前記装置情報を受信する端末側通信部と、前記端末側通信部により受信された前記装置情報を表示する情報表示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る識別情報表示システムの機能ブロック図
【
図10】第2実施形態に係る識別情報表示システムの機能ブロック図
【
図12】第3実施形態に係る識別情報表示システムの機能ブロック図
【
図15】第4実施形態に係る識別情報表示システムの機能ブロック図
【
図16】識別情報表示装置が設置される形態を示す図
【
図17】識別情報表示装置が設置される形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。複数の実施形態の説明において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1から
図9を参照して説明する。
図1に示すように、実施形態に係る識別情報表示システム1は、コントロールセンタ2(
図2及び
図3参照)に設けられている識別情報表示装置3と、携帯通信端末4とを備える。携帯通信端末4は、例えばスマートフォン、タブレット端末及びノート型パソコン等であり、通信機能を備える携帯可能な端末である。識別情報表示装置3及び携帯通信端末4は、両者の間で有線通信又は無線通信によりデータ通信可能となっている。
【0011】
図2に示すように、コントロールセンタ2は、外枠が四角柱形状の筐体5により構成されており、正面が開口する開口部に、複数(
図2では6枚)の横長形状の扉6が縦方向に並んで開閉可能に設けられていると共に、1つの縦長形状の扉7が開閉可能に設けられている。
【0012】
コントロールセンタ2の内部には、扉6,7に対応するスペースが設けられている。
図3に示すように、複数の扉6に対応するスペースには複数のスロットが設けられており、その複数のスロットに負荷制御装置としてのコントロールユニット8が組み込まれる。又、扉7に対応するスペースは電線(図示せず)及び端子台(図示せず)が収納される収納部9とされている。扉6が開放状態となることでコントロールユニット8が露呈され、扉7が開放状態となることで電線及び端子台が露呈される。コントロールユニット8はそれぞれ仕様が同じであっても良いし異なっていても良い。
【0013】
コントロールユニット8には、遮断器操作ハンドル10が設けられている共に、マルチリレーを収納可能な収納部が形成されており、マルチリレーが収納部に収納されない場合に、上記した識別情報表示装置3が収納部に収納される。扉6には開口部6a,6bが形成されており、扉6が閉鎖状態となったときに遮断器操作ハンドル10が開口部6aから露呈されると共に、マルチリレー又は識別情報表示装置3が開口部6bから露呈される。
図3では、上から1段目及び4段目の扉6、扉7が開放状態であり、1段目及び4段目のコントロールユニット8の収納部に識別情報表示装置3が収納されている場合を例示している。
【0014】
識別情報表示装置3は、電源供給部11と、記憶装置12と、通信装置13と、識別情報表示部14とを備える。記憶装置12は情報記憶部に相当し、通信装置13はセンタ側通信部に相当し、識別情報表示部14は識別情報呈示部に相当する。
【0015】
電源供給部11は、AC/DC変換回路15と、電源検出回路16と、充電回路17と、例えば蓄電池等から構成されている予備電源18と、電源切替回路19とを備える。AC/DC変換回路15は、モータコントロールセンタ(以下、MCCと称する)から供給された電源を交流電源から直流電源に変換して電源検出回路16、充電回路17及び電源切替回路19に供給する。
【0016】
電源検出回路16は、AC/DC変換回路15から供給された電源の電圧値を計測し、MCCからの電源供給が正常であるか否かを判定し、その判定結果を電源切替回路19に出力する。即ち、電源検出回路16は、AC/DC変換回路15から供給された電源の電圧値が所定値以上であれば、MCCからの電源供給が正常であると判定し、正常信号を電源切替回路19に出力する。電源検出回路16は、AC/DC変換回路15から供給された電源の電圧値が所定値未満であれば、MCCからの電源供給が正常でなく異常であると判定し、異常信号を電源切替回路19に出力する。MCCからのコントロールセンタ2への電源供給が断たれると、AC/DC変換回路15から供給された電源の電圧値が所定値未満まで低下するので、電源検出回路16は、異常信号を電源切替回路19に出力する。充電回路17は、AC/DC変換回路15から供給された電源を予備電源18に供給し、予備電源18を充電する。
【0017】
電源切替回路19は、固定接点19aが記憶装置12、通信装置13及び識別情報表示部14に接続され、第1可動接点19bがAC/DC変換回路15に接続され、第2可動接点19cが予備電源18に接続されている。電源切替回路19は、電源切替回路19から正常信号を入力している期間では固定接点19aと第1可動接点19bとを接続する第1接続状態(
図1にて実線で示す状態)を保持し、AC/DC変換回路15からの電源が記憶装置12、通信装置13及び識別情報表示部14に供給されるように切替える。一方、電源切替回路19は、電源切替回路19から異常信号を入力している期間では固定接点19aと第2可動接点19cとを接続する第2接続状態(
図1にて破線で示す状態)を保持し、予備電源18からの電源が記憶装置12、通信装置13及び識別情報表示部14に供給されるように切替える。
【0018】
記憶装置12は、コントロールセンタ2やコントロールユニット8毎の装置情報の電子データを記憶している。装置情報は、例えば外形図、回路図、端子図等の各種図面、機器設定の状態、取扱説明書や作業手順書等の各種書類を示す情報であり、例えば主回路相極色別・記号、電線の種類、補助回路配線、定格、構造、主要用品仕様、負荷容量、コントロールユニット8の形式等である。装置情報は、メンテナンスやトラブル対応を行う場合に必要な情報である
【0019】
通信装置13は、電源供給状態で携帯通信端末4との間でデータ通信を行い、後述する携帯通信端末4の通信部から送信されたデータ要求を受信すると、データ要求を記憶装置12に出力し、記憶装置12に記憶されている装置情報を読み出し、その読み出した装置情報を携帯通信端末4の通信部に送信する。識別情報表示部14は、例えば液晶ディスプレイであり、電源供給状態で識別情報を電気的に表示する。識別情報は、携帯通信端末4が光学的に読み取り可能な情報であり、
図4に示す例えばQRコード(登録商標)等の2次元コード、
図5に示す例えばバーコード等の1次元コード、
図6に示す任意のマーク等である。
図6では英字や数字の文字列を例示しているが、図形や記号等でも良い。
【0020】
図7に示すように、携帯通信端末4は、制御部20と、操作部21と、リーダ22と、通信部23と、記憶部24と、例えば液晶ディスプレイから構成される表示部25とを備える。リーダ22は識別情報読み取り部に相当し、通信部23は端末側通信部に相当し、表示部25は情報表示部に相当する。
【0021】
制御部20は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンを主体として構成されている。ROMには携帯通信端末4を制御する制御プログラムが格納されており、制御部20は、CPUにより制御プログラムを読み込んで実行することにより携帯通信端末4の各部を制御する等の処理を実行する。
【0022】
操作部21は、携帯通信端末4の筐体の所定箇所に設けられている機械的なボタンや表示部25に表示されるタッチキーであり、作業者が操作を行うと、その操作内容を示す操作通知を制御部20に出力する。リーダ22は、例えばカメラであり、制御部20から起動指示を入力すると起動し、識別情報を読み取り可能となる。リーダ22は、上記した識別情報表示部14に翳されると、識別情報表示部14に表示されている識別情報を読み取り、識別情報を正常に読み取ると、読み取り完了通知を制御部20に出力する。即ち、制御部20は、作業者が操作部21によりリーダ22を起動させる操作を行うと、起動指示をリーダ22に出力してリーダ22を起動させ、識別情報を読み取るアプリを起動し、作業者がリーダ22を識別情報表示部14に翳すと、識別情報表示部14に表示されている識別情報をリーダ22に読み取らせ、リーダ22から読み取り完了通知を入力することで、リーダ22が識別情報を正常に読み取ったことを特定する。
【0023】
通信部23は、制御部20から通信指示を入力すると、データ要求を送信する。又、通信部23は、送信したデータ要求が上記した識別情報表示装置3の通信装置13に受信されたことで、識別情報表示装置3の通信装置13から送信された装置情報を受信すると、受信完了通知を制御部20に出力する。制御部20は、通信部23から受信完了通知を入力すると、その受信された装置情報を記憶部24に記憶すると共に、表示指示を表示部25に出力し、その受信された装置情報を表示部25に表示させる。
【0024】
次に、上記した構成の作用について
図8及び
図9を参照して説明する。ここでは、MCCからの電源供給が正常なときの通常運転時、停電が発生したときの停電発生時について説明する。
【0025】
(1)通常運転時
識別情報表示装置3は、MCCからの電源供給が正常なときには、電源切替回路19が第1接続状態を保持しており、MCCから供給される電源を動作電源として動作し、識別情報を識別情報表示部14に表示している(A1)。この状態で作業者が携帯通信端末4のリーダ22を起動させて識別情報表示部14に翳すと、携帯通信端末4は、識別情報表示部14に表示されている識別情報をリーダ22により読み取り、識別情報の読み取りを正常に完了すると(B1)、データ要求を通信部23から送信する(B2)。
【0026】
識別情報表示装置3は、携帯通信端末4の通信部23から送信されたデータ要求を通信装置13により受信すると(A2)、記憶装置12に記憶されている装置情報の中から当該読み取られた識別情報に基づいて送信対象の装置情報を特定する(A3)。識別情報表示装置3は、送信対象の装置情報を特定すると、その特定した装置情報を記憶装置12から読み出し(A4)、その読み出した装置情報を通信装置13から送信する(A5)。
【0027】
携帯通信端末4は、識別情報表示装置3の通信装置13から送信された装置情報を通信部23により受信すると(B3)、その受信した装置情報を記憶部24に記憶し(B4)、表示部25に表示する(B5)。即ち、作業者は、識別情報表示装置3に表示されている識別情報をリーダ22により読み取らせることで、識別情報表示装置3に記憶されている装置情報を読み出して表示部25に表示させることができ、装置情報を閲覧することができる。
【0028】
(2)停電発生時
識別情報表示装置3は、停電が発生したことによりMCCからの電源供給が断たれると(A11)、電源検出回路16がMCCからの電源供給の異常を検出し(A12)、電源切替回路19が接続状態を第1接続状態から第2接続状態に切り替える(A13)。識別情報表示装置3は、電源切替回路19の接続状態が第1接続状態から第2接続状態に切り替わることで、予備電源18から供給される電源を動作電源として動作し(A14)、停電発生時でも識別情報を識別情報表示部14に表示可能となり、識別情報を識別情報表示部14に表示する(A15)。この状態で作業者が携帯通信端末4のリーダ22を起動させて識別情報表示部14に翳すと、携帯通信端末4は、識別情報表示部14に表示されている識別情報をリーダ22により読み取り、上記した通常運転時と同様の処理を行う(B1~B5)。又、識別情報表示装置3も、上記した通常運転時と同様の処理を行う(A2~A5)。即ち、作業者は、停電発生時においても通常運転時と同様に、識別情報表示装置3に表示されている識別情報をリーダ22により読み取らせることで、識別情報表示装置3に記憶されている装置情報を読み出して表示部25に表示させることができ、装置情報を閲覧することができる。
【0029】
以上に説明した第1実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。識別情報表示装置3において、コントロールセンタ2への電源供給が断たれた場合でも予備電源18により識別情報を表示し、識別情報が携帯通信端末4により読み取られたことに応じて携帯通信端末4から送信されたデータ要求を受信すると、装置情報を携帯通信端末4に送信し、携帯通信端末4において、識別情報表示装置3から送信された装置情報を受信すると、その受信した装置情報を表示するようにした。
【0030】
停電等により外部からコントロールセンタ2への電源供給が断たれた場合でも、通常運転時と同様に識別情報が識別情報表示装置3に表示され、識別情報の読み取りが可能となり、識別情報がリーダ22により読み取られることで、装置情報を携帯通信端末4により表示することができる。又、装置情報を外部のサーバに記憶せず、装置情報を記憶装置12に記憶しているので、サーバにアクセスする必要がなく、サーバや通信設備の通信障害等の影響を回避することができる。これにより、停電等により外部からコントロールセンタ2への電源供給が断たれたり、サーバや通信設備の通信障害等によりサーバへのアクセスが不能になったりした場合でも、コントロールセンタ2に係る装置情報を作業者に適切に提供することができる。
【0031】
識別情報表示部14を液晶ディスプレイから構成し、識別情報を電気的に表示するようにしたので、識別情報の内容をソフトウエア処理により容易に変更することができ、識別情報の内容を変更する要求に対して容易に対応することができる。
【0032】
識別情報表示装置3から携帯通信端末4への装置情報の送信を有線通信で行うようにすれば、電波環境の影響を受けることなく、装置情報を適切に送信することができる。識別情報表示装置3から携帯通信端末4への装置情報の送信を無線通信で行うようにすれば、ケーブル等の伝送路を省くことができ、識別情報表示装置3から携帯通信端末4への装置情報の送信を携帯通信端末4を携帯して移動しながら行うことができ、作業性を高めることができる。
【0033】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図10から
図11を参照して説明する。第1実施形態は、識別情報表示部14が例えば液晶ディスプレイであり、電源供給状態で識別情報を電気的に表示する構成であるが、第2実施形態は、識別情報が台紙に印字されているシールの形態で設けられている。
図10に示すように、識別情報表示装置31は、第1実施形態で説明した識別情報表示装置3から識別情報表示部14が省かれており、識別情報表示装置31とは別の識別情報表示部32が用意されている。
図11に示すように、識別情報表示部32は、識別情報が台紙33に印字されているシール34である。シール34は、例えば扉6,7の裏側、コントロールユニット8の前面、筐体5の所定箇所等の任意の箇所に貼り付けることができる。又、収納部9に設ける場合には、取付板35を設けることで、その取付板35にシール34を貼り付けることもできる。
【0034】
この場合、作業者は、通常運転時であるか停電発生時であるかに関わらず、シール34の台紙33に印字されている識別情報をリーダ22により読み取らせることで、第1実施形態と同様に、携帯通信端末4からデータ要求が識別情報表示装置31に送信され、識別情報表示装置31から装置情報が携帯通信端末4に送信されることで、識別情報表示装置3に記憶されている装置情報を読み出して表示部25に表示させることができ、装置情報を閲覧することができる。
【0035】
以上に説明した第2実施形態によれば、識別情報がシールの形態で設けられているようにした。停電等により外部からコントロールセンタ2への電源供給が断たれた場合でも、第1実施形態と同様に、識別情報の読み取りが可能となり、識別情報がリーダ22により読み取られることで、装置情報を携帯通信端末4により表示することができる。又、第1実施形態で説明した識別情報表示部14に対する予備電源18からの電源供給を省き、予備電源18からの電源供給を記憶装置12及び通信装置13に費やす分、省電力化を図ることができる。
【0036】
(第3実施形態)
第3実施形態について
図12から
図14を参照して説明する。第3実施形態は、識別情報表示装置がマルチリレーと連携し、マルチリレーから送信される故障情報に対応する識別情報を表示する構成である。
図12に示すように、識別情報表示装置41は、第1実施形態で説明した電源供給部11に代えて電源供給部42を備える。電源供給部42は、第1実施形態で説明した電源供給部11からAC/DC変換回路15が省かれており、マルチリレー43から電源が供給される。即ち、マルチリレー43の電源を流用している。
【0037】
マルチリレー43は、負荷制御装置毎に設置される制御監視装置であり、電子機器で構成されている。マルチリレー43は、データ情報として故障情報を通信装置13に送信する。通信装置13は、マルチリレー43から送信された故障情報を受信すると、その受信した故障情報を記憶装置12に出力する。記憶装置12は、複数の識別情報を記憶しており、通信装置13から故障情報を入力すると、その入力した故障情報を特定し、複数の識別情報の中から当該特定した故障情報に対応する識別情報を選択し、その選択した識別情報を識別情報表示部14に出力する。識別情報表示部14は、記憶装置12から識別情報を入力すると、その入力した識別情報特を表示する。即ち、識別情報表示装置41は、マルチリレー43から入力する故障情報を利用し、識別情報表示部14に表示する識別情報を変更する。尚、マルチリレー43が通信機能として有線通信の機能のみを備えていれば、故障情報を有線通信により送信し、マルチリレー43が通信機能として無線通信の機能も備えていれば、故障情報を無線通信により送信しても良い。
【0038】
次に、上記した構成の作用について
図13及び
図14を参照して説明する。ここでは、故障が発生したときの故障発生時、故障が復帰したときの故障復帰時について説明する。
【0039】
(1)故障発生時
マルチリレー43は、故障発生を検知すると(C1)、故障情報を識別情報表示装置41に送信する(C2)。識別情報表示装置41は、マルチリレー43から送信された故障情報を通信装置13により受信すると(A21)、その受信した故障情報を特定し(A22)、記憶装置12に記憶されている識別情報の中から当該特定した故障情報に対応する識別情報を選択し(A23)、その選択した識別情報を識別情報表示部14に表示する(A24)。この状態で作業者が携帯通信端末4のリーダ22を起動させて識別情報表示部14に翳すと、携帯通信端末4は、識別情報表示部14に表示されている識別情報をリーダ22により読み取り、上記した第1実施形態と同様の処理を行う(B1~B5)。又、識別情報表示装置41も、上記した第1実施形態と同様の処理を行う(A2~A5)。
【0040】
(2)故障復帰時
マルチリレー43は、故障復帰を検知すると(C11)、復帰通知を識別情報表示装置41に送信する(C12)。識別情報表示装置41は、マルチリレー43から送信された復帰通知を通信装置13により受信すると(A31)、故障復帰を特定し(A32)、記憶装置12に記憶されている識別情報の中から通常運転時の識別情報を選択し(A33)、その選択した通常運転時の識別情報を識別情報表示部14に表示する(A34)。この状態で作業者が携帯通信端末4のリーダ22を起動させて識別情報表示部14に翳すと、携帯通信端末4は、識別情報表示部14に表示されている識別情報をリーダ22により読み取り、上記した第1実施形態と同様の処理を行う(B1~B5)。又、識別情報表示装置41も、上記した第1実施形態と同様の処理を行う(A2~A5)。
【0041】
以上に説明した第3実施形態によれば、識別情報表示装置41がマルチリレー43と連携し、マルチリレー43から送信される故障情報に対応する識別情報を表示するようにした。トラブルの内容に適した手順書を提供する等、故障情報に対応する装置情報を選択した上で作業者に適切に提供することができる。又、マルチリレー43の電源を流用するようにした。AC/DC変換回路15を省くことで、電源供給部42を簡素化することができる。
【0042】
(第4実施形態)
第4実施形態について
図15を参照して説明する。第4実施形態は、識別情報表示装置がマルチリレーに組み込まれている構成である。
図15に示すように、識別情報表示装置41は、マルチリレー51に組み込まれている。この場合、識別情報表示装置41は、例えば基板実装される形態でマルチリレー51に組み込まれている。
【0043】
以上に説明した第4実施形態によれば、識別情報表示装置41がマルチリレー51に組み込まれている構成とした。マルチリレー51から送信される故障情報に対応する識別情報を表示することで、第3実施形態と同様に、トラブルの内容に適した手順書を提供する等、故障情報に対応する装置情報を選択した上で作業者に適切することができる。マルチリレー51と一体化することで、省スペース化を図ることができる。
【0044】
(その他の実施形態)
第1から第4実施形態では、
図16に示すように、識別情報表示装置3,31,41が複数のコントロールユニット8毎に設けられる構成を例示したが、
図17に示すように、
図17に示すように、識別情報表示装置3,31,41が複数のコントロールユニット8に共通して設けられる構成でも良い。又、第2実施形態で説明したように収納部9に取付板35を設けることで、その取付板35に識別情報表示装置3,31,41が設けられる構成でも良い。
【0045】
以上のように、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
図面中、1は識別情報表示システム、2はコントロールセンタ、3,31,41は識別情報表示装置、4は携帯通信端末、12は記憶装置(情報記憶部)、13は通信装置(センタ側通信部)、14,32は識別情報表示部(識別情報呈示部)、22はリーダ(識別情報読み取り部)、23は通信部(端末側通信部)、25は表示部(情報表示部)、43,51はマルチリレーである。