(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132964
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】潤滑剤組成物及び潤滑剤組成物が充填されたころ軸受
(51)【国際特許分類】
C10M 169/02 20060101AFI20220906BHJP
C10M 101/02 20060101ALI20220906BHJP
C10M 115/08 20060101ALI20220906BHJP
C10M 129/74 20060101ALI20220906BHJP
F16C 19/26 20060101ALI20220906BHJP
F16C 33/66 20060101ALI20220906BHJP
F16C 33/78 20060101ALI20220906BHJP
F16J 15/3204 20160101ALI20220906BHJP
F16C 41/04 20060101ALN20220906BHJP
C10N 50/10 20060101ALN20220906BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
C10M169/02
C10M101/02
C10M115/08
C10M129/74
F16C19/26
F16C33/66 Z
F16C33/78 Z
F16J15/3204 201
F16C41/04
C10N50:10
C10N30:00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031731
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】島田 義洋
(72)【発明者】
【氏名】柳谷 明英
【テーマコード(参考)】
3J006
3J216
3J217
3J701
4H104
【Fターム(参考)】
3J006AE12
3J006AE15
3J006AE34
3J006AE40
3J216AA03
3J216AA12
3J216BA23
3J216BA26
3J216CA01
3J216CA04
3J216CB03
3J216CC14
3J217JC03
3J701AA13
3J701AA24
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701AA72
3J701BA80
3J701CA40
3J701EA63
3J701EA70
3J701FA46
3J701XE03
3J701XE33
3J701XE42
3J701XE50
4H104BB34C
4H104BE11B
4H104BE11C
4H104DA02A
4H104LA20
4H104QA18
(57)【要約】
【課題】ころ保持力の向上が可能な潤滑剤組成物及びこれが充填されたころ軸受を提供する。
【解決手段】潤滑剤組成物は、パラフィン系の鉱油及び/又は合成油からなる基油と、アミノ酸系のゲル化剤と、ポリオールエステルとを含む。ポリオールエステルの40℃における動粘度が300mm
2/s以上であることが好ましい。ポリオールエステルの潤滑剤組成物中の含有量は、20~30wt%であることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラフィン系の鉱油及び/又は合成油からなる基油と、アミノ酸系のゲル化剤と、ポリオールエステルとを含む、潤滑剤組成物。
【請求項2】
前記ポリオールエステルの40℃における動粘度が300mm2/s以上である、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオールエステルの含有量は、20~30wt%である、請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記ゲル化剤の含有量は、5~30wt%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
外輪と、前記外輪の内周側に配置された複数のころを備え、前記外輪と前記ころの間に請求項1~4のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物が充填されたころ軸受。
【請求項6】
環状のシールを備える請求項5に記載のころ軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤組成物及び潤滑剤組成物が充填されたころ軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外輪と、外輪の内周側に配列された複数のころとを備え、複数のころの間及び外輪ところの間の隙間に、潤滑油とゲル化剤の混合物からなるゲル状潤滑剤が充填されたころ軸受が記載されている。
特許文献2には、ポリオールエステル油にゲル化剤を混合した潤滑剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-189161号公報
【特許文献2】特開2015-229735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転動体であるころを保持するための保持器を持たない総ころ軸受では、外輪の内側に配列された複数のころにグリースを塗布することによって、グリースの粘着力で複数のころを外輪の内側に保持している。このような総ころ軸受では、グリースの保持力が低く、外輪を内輪等の軸体に組み付ける際に、外輪の内側からころが脱落し易く、スムーズな組み立てや搬送を行うことができないという問題があった。このような問題を解決するため、特許文献1に記載の総ころ軸受では、潤滑油とゲル化剤の混合物からなるゲル状潤滑剤をころと外輪の間の隙間に充填している。この総ころ軸受によれば、半固体化したゲル状潤滑剤によって、外輪の内側に複数のころを保持することができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の総ころ軸受では、外輪の内側にころを保持する力が十分とは言えず、ころ保持力のさらなる向上が望まれていた。また、特許文献2では、転動装置の高温耐久性の向上を目的とした潤滑剤組成物が提案されているが、ころ保持力の向上については考慮されていない。
【0006】
そこで本発明は、ころ保持力の向上が可能な潤滑剤組成物及びこれが充填されたころ軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)パラフィン系の鉱油及び/又は合成油からなる基油と、アミノ酸系のゲル化剤と、ポリオールエステルとを含む、潤滑剤組成物。
【0008】
(2)前記ポリオールエステルの40℃における動粘度が300mm2/s以上である、上記(1)に記載の潤滑剤組成物。
【0009】
(3)前記ポリオールエステルの含有量は、20~30wt%である、上記(1)又は(2)に記載の潤滑剤組成物。
【0010】
(4)前記ゲル化剤の含有量は、5~30wt%である、上記(1)~(3)のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
【0011】
(5)外輪と、前記外輪の内周側に配置された複数のころを備え、前記外輪と前記ころの間に上記(1)~(4)のいずれかに記載の潤滑剤組成物が充填されたころ軸受。
【0012】
(6)環状のシールを備える上記(5)に記載のころ軸受。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ころ保持力の向上が可能な潤滑剤組成物及びこれが充填されたころ軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の潤滑剤組成物は、パラフィン系の鉱油及び/又は合成油からなる基油と、アミノ酸系のゲル化剤と、ポリオールエステルとを含むことを特徴とする。
【0016】
[基油]
本実施形態に係る潤滑剤組成物は、基油としてパラフィン系の鉱油及び/又は合成油を含む。ここでいう「及び/又は」は、パラフィン系の鉱油及び合成油のいずれか一方のみを含んでもよく、両方を含んでもよいことを意味する。
【0017】
潤滑剤組成物中の基油の含有量は、特に限定されないが、好ましくは40~95wt%であり、より好ましくは45~90wt%であり、さらに好ましくは50~85wt%である。ここで、「wt%」は、潤滑剤組成物全体の質量を100%としたときの質量%を意味する。以下、「wt%」の意味は同様である。
【0018】
[アミノ酸系ゲル化剤]
本実施形態に係る潤滑剤組成物は、アミノ酸系ゲル化剤を含む。アミノ酸系ゲル化剤は、例えば、パウダー状であり、酸性アミノ酸であるグルタミン酸を主骨格とした油ゲル化剤である。アミノ酸系ゲル化剤は、例えば、液状油中でナノサイズの繊維状ネットワークを形成することによって油をゲル化することのできるジブチルエチルヘキサノイルグルタミドを含む。アミノ酸系ゲル化剤としては、例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-α,γ-n-ジブチルアミドとN-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを混合したものを使用することができる。
【0019】
潤滑剤組成物中のアミノ酸系ゲル化剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5~30wt%であり、より好ましくは10~30wt%であり、さらに好ましくは10~20wt%であり、最も好ましくは10~12.5wt%である。アミノ酸系ゲル化剤の含有量がこの範囲よりも少ないと、所望のころ保持力を得ることができないおそれがある。他方、アミノ酸系ゲル化剤の含有量がこの範囲よりも多いと、ゲル化した潤滑剤組成物が硬くなりすぎるため、高速回転(例えば、3300rpm以上)で使用すると軸受の耐久性が低下するおそれがある。軸受を高速回転で使用する場合は、潤滑剤組成物中のアミノ酸系ゲル化剤の含有量は12.5wt%以下であることが好ましい。
【0020】
[ポリオールエステル]
本実施形態の潤滑剤組成物は、ポリオールエステルを含む。ポリオールエステルとは、多価アルコール(ポリオール)と、直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和脂肪酸とのエステルをいう。
【0021】
ポリオールとしては、例えば、2~10価、好ましくは4~8価のポリオールを使用することができる。
【0022】
脂肪酸としては、例えば、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、2-エチルペンタン酸、2,2-ジメチルペンタン酸、2-エチル-2-メチルブタン酸、2-メチルヘプタン酸、2-エチルヘキサン酸、2-プロピルペンタン酸、2,2-ジメチルへキサン酸、2-エチル-2-メチルヘプタン酸、2-メチルオクタン酸、2,2-ジメチルヘプタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、2,2-ジメチルオクタン酸等を使用することができる。
【0023】
ポリオールエステルとしては、ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステルを用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールと上記の脂肪酸のいずれかとのエステルを用いることがより好ましい。
【0024】
ポリオールエステルの40℃における動粘度は300mm2/s以上であることが好ましく、330~480mm2/sであることがより好ましく、350~420mm2/sであることがさらに好ましく、380mm2/sであることが最も好ましい。動粘度は、例えばJIS K 2283-2000に準拠して測定することができる。このような動粘度をもつポリオールエステルとして、例えば、ISO規格のグレードVG380を満たすポリオールエステルを用いることができる。
【0025】
本発明者は、パラフィン系の基油に対してアミノ酸系ゲル化剤とポリオールエステルを加えた場合、パラフィン系の基油に対してアミノ酸系ゲル化剤のみを加えた場合と比較して、ゲル化した潤滑剤組成物によるころの保持力が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成させた。ころ保持力が向上する理由は明確ではないが、ポリオールエステルは極性油であるため、基油に対するアミノ酸系ゲル化剤の溶解量が増加したことがその理由であると考えられる。また、ポリオールエステルの40℃における動粘度が300mm2/s以上と高いことがその理由であるとも考えられる。
【0026】
例えば、ポリオールエステルに替えてオクチルドデカノールを用いた場合、基油に対するゲル化剤の溶解量は増加するが、潤滑剤組成物の潤滑性能が低下する。また、脂肪酸やジエステルを用いた場合、軸受に錆が発生するおそれがある。さらに、ジエステルは、樹脂、例えば、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)を腐食するという問題もある。本実施形態の潤滑剤組成物によれば、パラフィン系の基油に対してアミノ酸系ゲル化剤とポリオールエステルを加えているため、これらの問題を解決することが可能である。
【0027】
潤滑剤組成物中のポリオールエステルの含有量は、特に限定されないが、好ましくは20~30wt%であり、より好ましくは25~30wt%である。ポリオールエステルの含有量がこの範囲よりも少ない場合には、アミノ酸系ゲル化剤が潤滑剤組成物中に十分に溶解しないため、本発明の効果が十分に得られないおそれがある。
【0028】
[その他の添加物]
本実施形態に係る潤滑剤組成物には、上述した基油、アミノ酸系ゲル化剤、及びポリオールエステルのほかに、潤滑剤組成物に一般的に用いられる各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに配合することができる。具体的には、例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、耐摩耗剤等の添加剤をさらに配合することができる。
【0029】
[潤滑剤組成物の製造方法]
本実施形態に係る潤滑剤組成物は、上述した基油、アミノ酸系ゲル化剤、ポリオールエステル及び必要に応じてその他の成分を混合して製造することができる。これらの成分の混合には、公知の方法を用いることが可能である。これらの成分を混合した後、これらの成分を加熱(例えば170℃~180℃)することが好ましい。これらの成分の混合物を加熱することによって、潤滑剤組成物中にアミノ酸系ゲル化剤を容易に溶解させることができる。さらに、潤滑剤組成物中にアミノ酸系ゲル化剤を溶解させた後、潤滑剤組成物を常温(例えば25℃)まで冷却することが好ましい。アミノ酸系ゲル化剤を溶解させた後に潤滑剤組成物を常温まで冷却することによって、潤滑剤組成物をゲル化することが可能であり、潤滑剤組成物によるころの保持力をさらに向上させることが可能である。
【0030】
[ころ軸受]
本実施形態に係る潤滑剤組成物を充填するころ軸受としては、例えば、
図1に示すころ軸受を用いることができる。
図1に示すころ軸受10は、円筒状の外輪12と、外輪12の内周側に配置された複数のころ14を有する。ころ軸受10は、複数のころ14を保持するための保持器を持たない、いわゆる総ころ軸受である。外輪12の内周側に配列された複数のころ14の内周側に、内輪等の相手部材(図示せず)が挿入される。また、ころ軸受10は、内輪等の相手部材を挿入した状態で複数のころ14が配置された空間への異物の侵入や当該空間からの潤滑剤組成物の漏出を抑制するためのリング状のシール部材16を有する。リング状のシール部材16と複数のころ14の間には、環状のスラストワッシャ18が配置されている。
【0031】
このようなころ軸受10は、内輪等の相手部材が挿入される前は、外輪12の内周側に複数のころ14を保持するための手段を持たない。そこで、複数のころ14と外輪12の内周との間に本実施形態の潤滑剤組成物を充填することによって、外輪12の内周側に複数のころ14を保持する。
【0032】
潤滑剤組成物の充填には、どのような方法を用いてもよい。例えば、常温の潤滑剤組成物を、複数のころ14及び外輪12の少なくとも一方に塗布した後、外輪12の内周側に複数のころ14を配置してもよい。あるいは、加熱によって潤滑剤組成物を軟化させた後、外輪12の内周と複数のころ14の間に潤滑剤組成物を充填してもよい。
【0033】
潤滑剤組成物によるころ保持力を一層向上させるためには、潤滑剤組成物が充填されたころ軸受を加熱した後、常温(例えば25℃)まで冷却することが好ましい。例えば、潤滑剤組成物が充填されたころ軸受を120℃以上に加熱した後、常温まで冷却することが好ましい。この場合、潤滑剤組成物がより強固にゲル化するため、潤滑剤組成物によるころ保持力を一層高めることが可能である。
【0034】
樹脂製のシール部材16を用いる場合には、ころ軸受10を加熱した際に、シール部材16が熱によって損傷するおそれがある。そのため、樹脂製のシール部材16を用いる場合には、アミノ酸系ゲル化剤の含有量が10~12.5wt%であることが好ましい。潤滑剤組成物中のアミノ酸系ゲル化剤の含有量がこの範囲にある場合、潤滑剤組成物を加熱して常温まで冷却しない場合であっても、所定のころ保持力を得ることができるためである。
【実施例0035】
以下、本発明のさらに具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0036】
まず、潤滑剤組成物を調製するために、以下の原料を準備した。
(基油)
パラフィン系鉱油(ENEOS株式会社製、FBKオイルRO460、40℃動粘度460mm2/s)
(ゲル化剤1)
N-ラウロイル-L-グルタミン酸-α,γ-n-ジブチルアミドとN-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを質量比3:1で混合したもの
(ゲル化剤2)
N-ラウロイル-L-グルタミン酸-α,γ-n-ジブチルアミドとN-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを質量比3:2で混合したもの
(ポリオールエステル)
40℃動粘度がISO規格のグレードVG380を満たすポリオールエステル
【0037】
上記の原料を以下の表1に記載の質量比で混合した後、その混合物をゲル化剤の溶解温度以上に加熱することでゲル化剤を溶解させて潤滑剤組成物を調製した。その後、潤滑剤組成物を常温(25℃)まで冷却してゲル化させた。
【0038】
調製した潤滑剤組成物を用いて、以下の3つの試験を行った。
(1)溶解性試験
(2)ゲル強度試験
【0039】
(1)溶解性試験
溶解性試験では、ゲル化した潤滑剤組成物を切断して切断面におけるゲル化剤の析出の有無を目視で確認した。目視の結果、ゲル化剤の析出が確認されなかった場合には、ゲル化剤の溶解性が良好である(○)と判定した。ゲル化剤の析出が確認された場合には、ゲル化剤の溶解性が不良である(×)と判定した。溶解性試験の結果を、以下の表1に示す。
【0040】
(2)ゲル強度試験
ゲル強度試験では、アルミ製の円盤をゲル化した潤滑剤組成物の上に載せた後、オートグラフを用いて円盤に対して下方向への荷重を徐々に加えることによって、円盤を潤滑剤組成物に押し込んだときの面圧(N/cm2)を測定した。ゲル強度試験の結果を、以下の表1に示す。
【0041】
【0042】
表1に示す結果から分かる通り、ゲル化剤の配合量が同一の場合、ポリオールエステルを含む実施例1~9の潤滑剤組成物は、ポリオールエステルを含まない比較例1~6の潤滑剤組成物よりも、ゲル強度が高かった。また、ポリオールエステルを含む実施例1~9の潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物中へのゲル化剤の溶解性が良好であった。
【0043】
特に、ゲル化剤2を10~30wt%含む実施例2~6の潤滑剤組成物は、同じくゲル化剤2を10~30wt%含む比較例1~5の潤滑剤組成物よりも、ゲル強度が大幅に高かった。具体的には、ゲル化剤2の含有量が同一である実施例2と比較例1、実施例3と比較例2、実施例4と比較例3、実施例5と比較例4、実施例6と比較例5をそれぞれ比較した場合、ゲル強度が2倍以上に向上していた。
【0044】
ゲル強度が高くなると、ころ保持力も高くなるため、ゲル強度が高い実施例1~9の潤滑剤組成物の方が、比較例1~6の潤滑剤組成物よりもころ保持力が高くなる。
【0045】
これらの結果より、パラフィン系の基油と、アミノ酸系のゲル化剤と、ポリオールエステルとを含む本発明の潤滑剤組成物は、ころ軸受に適用した場合に、従来の潤滑剤組成物よりもころ保持力を大幅に向上させることが可能であることを実証できた。