(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132977
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ボビンリムーバ装置
(51)【国際特許分類】
B65H 73/00 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B65H73/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031750
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】592063397
【氏名又は名称】技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】裏野 祐介
(72)【発明者】
【氏名】北口 義治
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ボビンサイズの変動やばらつきに対する適応性を拡充し、使い勝手の向上を図ることができるボビンリムーバ装置を提供する。
【解決手段】製品Pが巻かれたボビンB内に挿入してボビンBを保持するホルダ10と、ボビンBの径方向に昇降し、軸方向に前後動するカッタ21と、ホルダ10と同軸状に配置するスクレーパユニット30と、ボビンBをスクレーパユニット30に進入させて貫通させる引抜ユニット40とを設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品が巻かれたボビン内に挿入し、外径を増大させてボビンを保持するホルダと、該ホルダ上のボビンの径方向に昇降し、軸方向に前後動するカッタと、前記ホルダと同軸状に配置し、放射状に配列する複数の可動爪を一斉に開閉するスクレーパユニットと、前記ホルダを軸方向に移動させて前記ホルダ上のボビンを前記スクレーパユニットに進入させて貫通させる引抜ユニットとを備えてなるボビンリムーバ装置。
【請求項2】
前記ホルダにおける外径の増減用、前記カッタの昇降用、前記カッタの前後動用、前記スクレーパユニットにおける前記可動爪の開閉用、前記引抜ユニットにおける前記ホルダの移動用にそれぞれ個別のサーボモータを設けることを特徴とする請求項1記載のボビンリムーバ装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記引抜ユニットによって駆動する移動フレームに搭載し、前記カッタは、前後に長く、上下に昇降するガイドフレームを介して固定の垂直フレームに搭載し、前記スクレーパユニットは、前記垂直フレームに搭載し、前記引抜ユニットは、固定の水平フレームに搭載することを特徴とする請求項1または請求項2記載のボビンリムーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製品が巻かれているボビンから製品を除去してボビンを再利用可能にするボビンリムーバ装置に関する。ただし、ここでいう製品とは、天然繊維、合成繊維、炭素繊維、金属繊維などの糸、テープ、シートなどの他、紙や、合成樹脂製のフィルムなどをいうものとする。また、ボビンとは、製品を巻くための筒状の巻心であって、その材質を問わないものとする。
【背景技術】
【0002】
ボビンリムーバ装置の一例として、紙管上の残糸を除去する残糸除去装置が知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
従来の残糸除去装置は、残糸付きの紙管を保持するホルダと、ホルダ上の紙管の外径に適合する開口部を有するブロック体と、ホルダ上の紙管の表面に沿って紙管の軸方向に相対移動するカッタとを設け、カッタを介して紙管上の残糸を切断しながらホルダ上の紙管をブロック体の開口部に進入させると、紙管上の残糸を剥ぎ取るようにして除去することができる。なお、ホルダは、紙管の内径に適合する円柱体を紙管に挿入し、カッタは、紙管の表面の直近位置において、紙管の軸方向に移動可能に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、ホルダ、ブロック体、カッタは、いずれも特定サイズの紙管のみに適用することが前提であり、紙管サイズの変動やばらつきに対する適応性に乏しく、必ずしも使い勝手がよくないという問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、新規のホルダ、カッタ、スクレーパユニット、引抜ユニットを導入することによって、ボビンサイズの変動やばらつきに対する適応性を拡充し、使い勝手の向上を図ることができるボビンリムーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、製品が巻かれたボビン内に挿入し、外径を増大させてボビンを保持するホルダと、ホルダ上のボビンの径方向に昇降し、軸方向に前後動するカッタと、ホルダと同軸状に配置し、放射状に配列する複数の可動爪を一斉に開閉するスクレーパユニットと、ホルダを軸方向に移動させてホルダ上のボビンをスクレーパユニットに進入させて貫通させる引抜ユニットとを備えることをその要旨とする。
【0008】
なお、ホルダにおける外径の増減用、カッタの昇降用、カッタの前後動用、スクレーパユニットにおける可動爪の開閉用、引抜ユニットにおけるホルダの移動用にそれぞれ個別のサーボモータを設けることができる。
【0009】
また、ホルダは、引抜ユニットによって駆動する移動フレームに搭載し、カッタは、前後に長く、上下に昇降するガイドフレームを介して固定の垂直フレームに搭載し、スクレーパユニットは、垂直フレームに搭載し、引抜ユニットは、固定の水平フレームに搭載してもよい。
【発明の効果】
【0010】
かかる発明の構成によるときは、ホルダは、外径を増大させてボビンを保持するから、ボビンの内径に変動やばらつきがあっても、容易に対応することができ、ボビンの径方向に昇降するカッタは、ボビンの外径の変動、ばらつきに対して対処可能である。また、スクレーパユニットは、複数の放射状の可動爪を一斉に開閉させることによりボビンの外径の変動、ばらつきに対処することができ、引抜ユニットは、ボビンの長さの変動、ばらつきに対処することができ、したがって、全体として、ボビンサイズの変動、ばらつきに対する適応性を大きくして使い勝手を向上させることができる。
【0011】
ホルダ、カッタ、スクレーパユニット、引抜ユニットの駆動制御用にそれぞれ個別に設けるサーボモータは、各駆動対象を互いに独立に連続的に制御することができ、ボビンサイズの変動、ばらつきがあったり、ボビン上の製品の巻付張力に起因するボビン外径の減少、いわゆる巻締りが発生したりしても、最良の動作性能を容易に実現することができる。
【0012】
ホルダを移動フレームに搭載し、ガイドフレームを介してカッタを垂直フレームに搭載し、スクレーパユニットを直接垂直フレームに搭載し、引抜ユニットを水平フレームに搭載することによって、全体を一体にコンパクトに組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0015】
ボビンリムーバ装置は、製品Pが巻かれたボビンBを保持するホルダ10と、カッタ21、スクレーパユニット30、引抜ユニット40とを備えてなる(
図1)。ただし、以下の説明において、
図1の右方、左方をそれぞれ前方、後方という。
【0016】
ホルダ10は、ウレタンゴムのような弾性材のリング状のパッド11と、テーパブロック12、複数の可動片13、13…とを組み合わせて構成されている(
図1、
図2(A))。テーパブロック12は、後方から前方に向けて外径がテーパ状に漸増する円錐台形の部材であり、延長ロッド12aを介して駆動ロッド14の前端に連結されている。
【0017】
可動片13、13…は、テーパブロック12の外周に沿って、たとえば8個以上が円形に均等に配置されている。可動片13、13…の内面側は、テーパブロック12の外面に沿って前後に摺動可能なテーパ状に形成されており、外面側は、軸方向にストレートに形成されている。また、パッド11は、可動片13、13…の外面に弾発的に嵌め込まれている。可動片13、13…は、ガイド部材13bを介し、段付円筒状のアダプタ13aの前端に径方向に移動自在に装着されている。アダプタ13aは、駆動ロッド14用の支持筒14aの前端に連結され、テーパブロック12用の延長ロッド12aは、アダプタ13a、ガイド部材13bを前後に摺動自在に貫通している。
【0018】
駆動ロッド14は、支持筒14a、支持台14bに前後に摺動自在に収納されている。また、駆動ロッド14は、支持台14bの後方において、所定長さのねじ軸14cを連結して後方に延長されている。ねじ軸14cは、ねじ部材14dに螺合し、ねじ部材14dは、タイミングベルト15aを介してサーボモータ15に連結されている。ただし、ねじ部材14dは、移動フレーム41上に立設するサーボモータ15用の支持フレーム15bに回転自在に組み付けられており、支持筒14a用の支持台14bも、移動フレーム41に積載されている。
【0019】
ホルダ10は、駆動ロッド14、延長ロッド12aを介してテーパブロック12を前進させると(
図2(A)の矢印方向)、可動片13、13…がアダプタ13aの軸心に向けて内向きに一斉に移動し、パッド11の外径を小さくすることができ、テーパブロック12を後退させると(同図(B)の矢印方向)、可動片13、13…が一斉に外向きに移動してパッド11の外径を増大させることができる。また、駆動ロッド14、延長ロッド12aは、サーボモータ15を正逆に駆動することにより、ねじ部材14d、ねじ軸14cを介して前後に駆動することができる。そこで、ホルダ10は、サーボモータ15を介してパッド11の外径、すなわちホルダ10の外径を小さくして、製品Pが巻かれたボビンB内に相対的に挿入し(
図2(A)の白抜き矢印方向)、サーボモータ15を介して外径を増大させてボビンBを着脱自在にクランプして保持することができる(同図(B)、
図1)。なお、ホルダ10上のボビンBは、たとえばアダプタ13aの基部の最大径部に突き当たるまでホルダ10を深く挿入して確実に保持する。
【0020】
ただし、ホルダ10は、アダプタ13a、延長ロッド12aとともに、ボビンBの内径や長さに合わせて適切なサイズのものに交換可能である。また、
図1において、ボビンBに適合するアダプタ13a、延長ロッド12aの図示が省略されている。
【0021】
カッタ21は、円板の全周に刃先を形成し(
図1)、前後に長いガイドフレーム22に搭載する下向きのブラケット21aの下端に回転自在に装着されている。ガイドフレーム22には、サーボモータ23に連結するねじ軸23aが組み込まれ、ブラケット21aは、ねじ軸23aを介し、ガイドフレーム22に沿って前後動させることができる。また、ガイドフレーム22は、サーボモータ24に連結するねじ軸24aを介し、固定の垂直フレーム25に沿って昇降させることができる。ただし、サーボモータ23、24は、それぞれガイドフレーム22の後端、垂直フレーム25の上端に搭載されている。そこで、カッタ21は、サーボモータ24、ねじ軸24aを介してホルダ10上のボビンBの径方向に昇降させ、サーボモータ23、ねじ軸23aを介してボビンBの軸方向に前後動させることができる。
【0022】
スクレーパユニット30は、垂直フレーム25の下部を前後に貫通するようにしてホルダ10と同軸状に配置され、ホルダ10用の駆動ロッド14、支持筒14aは、スクレーパユニット30を前後に貫通している。スクレーパユニット30は、放射状に配列する複数の可動爪31、31…と、テーパ状の大径部とストレートの小径部とを前後に組み合せるテーパ部材32と、リング状のベースブロック33とを一体に組み立てて構成されている(
図1、
図3)。
【0023】
各可動爪31は、前面内周側に爪先31aが形成され、ガイドブロック31bを介し、ベースブロック33の前面側に径方向に移動可能に組み付けられている。また、ベースブロック33の前面側の各可動爪31、31の間には、扇形のカバー33b、33b…が付設されている。ただし、
図3(A)~(C)は、それぞれスクレーパユニット30の全体斜視図、可動爪31、31…、ガイドブロック31b、31b…、テーパ部材32を示す要部斜視図、テーパ部材32、ガイドブロック31bを示す要部斜視図である。なお、
図3(B)、(C)において、テーパ部材32には、小径部の外周に嵌合してテーパ部材32を前後に摺動自在にガイドする固定のブッシュ32bが併せて図示されている。
【0024】
ベースブロック33の前面側には、断面T字状のガイド溝33a、33a…が放射状に形成されている。また、テーパ部材32の大径部のテーパ面には、断面T字状のガイド溝32a、32a…が均等に配列して形成されている。ガイドブロック31bは、ベースブロック33側のガイド溝33a、テーパ部材32側のガイド溝32aにそれぞれ係合する係合部31b1 、31b2 を有し、ガイド溝33a、32aの双方に同時に係合可能に形成されている。また、ガイドブロック31bの前面側には、可動爪31が着脱自在に位置決めしてねじ止めされている。
【0025】
スクレーパユニット30は、ベースブロック33を介して垂直フレーム25の前面側に固定されている(
図1)。垂直フレーム25の後面側に突出するテーパ部材32の後端には、板状のブラケット32cが付設され、ブラケット32cは、サーボモータ34に連結するねじ軸34aを介して前後に駆動し、テーパ部材32を前後動させることができる。
【0026】
そこで、スクレーパユニット30は、サーボモータ34を介してテーパ部材32を後退させると(
図1、
図3(C)の各矢印方向)、テーパ部材32のガイド溝32a、32a…を介して各ガイドブロック31bを内向きに駆動し、ガイドブロック31b、31b…、可動爪31、31…をベースブロック33のガイド溝33a、33a…に沿って一斉に内向きに移動させ、可動爪31、31…の爪先31a、31a…が形成する開口部Sを最小に閉じることができる(
図1、
図3(A))。逆に、サーボモータ34を介してテーパ部材32を前進させると(
図1の矢印と逆方向、
図4(C)の矢印方向)、各ガイドブロック31b、可動爪31を一斉に外向きに移動させて開口部Sを開くことができる(
図4(A))。すなわち、スクレーパユニット30は、サーボモータ34を介して可動爪31、31…を一斉に開閉することができる。ただし、
図4(A)~(C)は、それぞれ開口部Sを開いた状態を示す
図3(A)~(C)相当図である。
【0027】
なお、
図5には、カッタ21と、スクレーパユニット30の可動爪31、31…、ホルダ10上のボビンBとの相対位置関係が模式的に図示されている。ただし、
図5において、カッタ21の刃先は、ボビンBの表面の直近位置にまで下降しており、各可動爪31の爪先31aも同様である。
【0028】
引抜ユニット40は、サーボモータ42に連結するねじ軸42aと、ねじ軸42aに螺合するねじ部材42bと、連結部材42cを介してねじ部材42bに連結する移動フレーム41とを備えて構成されている(
図1)。
【0029】
移動フレーム41の下面には、スライダ41a、41aが付設され、スライダ41a、41aは、固定の水平フレーム43上のガイドレール43aに沿って前後に摺動可能である。なお、サーボモータ42、ねじ軸42a、ねじ部材42bは、水平フレーム43の下面側に装着されている。そこで、引抜ユニット40は、サーボモータ42を正逆に駆動し、ねじ軸42a、ねじ部材42b、連結部材42cを介して移動フレーム41を前後に移動させ、移動フレーム41上のサーボモータ15からホルダ10に至る一連の部材を一挙に前後動させることができる。すなわち、引抜ユニット40は、サーボモータ42を介してホルダ10を軸方向に移動させ、ホルダ10上のボビンBをスクレーパユニット30に進入させて貫通させることができる。なお、垂直フレーム25、水平フレーム43は、図示しない共通のベースフレーム上に一体に組み付けられている。
【0030】
かかるボビンリムーバ装置の作動は、たとえば次のとおりである。
【0031】
まず、ホルダ10、カッタ21を所定のスタート位置にセットして、製品Pが巻かれたボビンBをホルダ10上に搬入して保持させる(
図6(A))。すなわち、サーボモータ15を介して駆動ロッド14、テーパブロック12を後退させて(同図の矢印K1 、K2 方向)、パッド11の外径、すなわちホルダ10の外径を増大させて(同図の矢印K3 、K3 方向)、ボビンBをホルダ10上にクランプして保持する。
【0032】
次に、カッタ21によりボビンB上の製品Pを切断する(
図6(B))。すなわち、サーボモータ23を介してカッタ21を前後に往復移動させ(同図の矢印K1 方向)、カッタ21の前進、後退の各ストロークごとに、サーボモータ24を介してカッタ21を段階的に下降させると(同図の矢印K2 方向)、カッタ21は、ボビンBの軸方向、径方向にジグザグ状に進行し(同図の矢印K3 方向)、ボビンB上の製品Pのほぼ全層を切断してボビンBから除去することができ、除去された製品Pは、切屑として下方に落下して外部に搬出される。なお、カッタ21は、ボビンB上の製品Pの巻付長さLp の全長を切断し得るように前進、後退の各ストロークを設定し、最終的に、ボビンBの表面の直近位置にまで刃先を下降させる(同図の二点鎖線)。そこで、この行程終了後のボビンB上には、カッタ21によって切り残された少量の製品Pが残存するのみであり、以下の説明において、ボビンB上に残存する製品Pの図示を省略することがある。
【0033】
つづいて、スクレーパユニット30の可動爪31、31…を閉じる(
図7(A))。すなわち、サーボモータ34を介してスクレーパユニット30のテーパ部材32を後退させて(同図の矢印K1 方向)、可動爪31、31…を一斉に内向きに駆動し(同図の矢印K2 、K2 方向)、各可動爪31の爪先31aをホルダ10上のボビンBの表面の直近位置に閉じる。また、カッタ21は、刃先をボビンBの表面の直近位置に保ったまま、スクレーパユニット30の直近前方、すなわちボビンB上の製品Pの巻付長さLp (
図6(B))の始端位置相当にセットする。
【0034】
その後、サーボモータ23を介してカッタ21を小ストロークで連続的に前後動させるとともに(
図7(B)の矢印K1 方向)、引抜ユニット40のサーボモータ42を駆動して移動フレーム41を後退させ(同図の矢印K2 方向)、ホルダ10上のボビンBをスクレーパユニット30に進入させて(
図8(A))の矢印K2 方向)、ボビンB上に残存する製品Pの引抜動作を開始する。その後、カッタ21の小ストロークの前後動を継続しながら(
図8(A)~(C)の各矢印K1 方向)、引抜動作を続行すると(
図8(B)、(C)の各矢印K2 方向)、ボビンBをスクレーパユニット30の開口部Sに貫通させると同時にボビンB上に残存する製品Pの全部を除去することができる(
図8(C))。
【0035】
なお、ボビンB上の製品Pは、引抜動作中において、スクレーパユニット30の可動爪31、31…の前面側に堆積して盛上り部Pa を形成し(
図8(B))、可動爪31、31…の直近前方において製品Pの巻付張力が局部的に増大することがあるが、カッタ21は、引抜動作の開始とともに、小ストロークの前後動の範囲をスクレーパユニット30の前面側に速やかに変移させて盛上り部Pa を含む製品Pを確実に切断し(
図8(A)、(B))、巻付張力の増大を抑えて製品Pを円滑に除去することができる。なお、盛上り部Pa を含む製品Pは、ボビンBから引き抜かれて可動爪31、31…の前面に付着しても(
図8(C))、適宜機械的に掻き落して外部に搬出すればよい(
図9(A))。
【0036】
つづいて、カッタ21の前後動を停止させるとともに、カッタ21を
図6(A)のスタ
ート位置に復帰させ(
図9(B)の矢印K1 方向)、スクレーパユニット30の可動爪31、31…をスタート位置に開く(同図の矢印K2 、K3 、K3 方向)。また、引抜ユニット40を介してホルダ10をスタート位置に戻すとともに(同図の矢印K4 方向)、ホルダ10用の駆動ロッド14、テーパブロック12を前進させてホルダ10の外径を縮小させ(同図の矢印K5 、K6 、K7 、K7 方向)、ホルダ10上のボビンBを撤去して、製品Pが巻かれた新しいボビンBをホルダ10上に搬入して(
図6(A))、以下、同様の手順を繰り返せばよい。
【0037】
なお、製品Pが巻かれたボビンBは、製品Pの巻付張力に起因して巻締りを生じることがある(
図10(D))。すなわち、ボビンBの本来の外径d=do は、製品Pの巻付長さLp のほぼ全長に亘って外径d=d1 <do に縮径するため、ボビンBの外径dは、両端部においてd=do のままであるが、中間部においてd=d1 <do に変化する。
【0038】
そこで、このようなボビンB上に残存する製品Pを除去することを目的として
図7(B)、
図8の引抜動作を実行する場合、スクレーパユニット30の可動爪31、31…、小ストロークの前後動を継続するカッタ21は、外径dの軸方向の変化に合わせて追随制御することができる(
図10(A)~(C))。すなわち、可動爪31、31…、カッタ21は、引抜動作を開始する際には(
図10(A))、ボビンBの外径d=do の表面の直近位置に合わせ、ボビンBの中間部の縮径部分がスクレーパユニット30の可動爪31、31…の位置に挿入されると(
図10(B))、可動爪31、31…を内向きに移動させるとともにカッタ21を下降させて両者をボビンBの外径d=d1 <do の表面に対応させ、ボビンBの縮径部分が可動爪31、31…の位置を通過すると(
図10(C))、可動爪31、31…、カッタ21を元の位置に戻してボビンBの外径d=do の表面に対応させる。
【0039】
ただし、ボビンBの巻締りの態様は、
図10(D)のように製品Pの巻付長さLp の範囲で一様に縮径するばかりでなく、巻付長さLp の範囲で滑らかな曲線状に縮径することもあり得るが、この場合であっても、可動爪31、31…、カッタ21は、同様にボビンBの外径dの軸方向の変化に追随させて制御することができる。
【0040】
以上の説明において、サーボモータ15、23、24、34、42と、それに組み合わせるねじ軸14c、23a、24a、34a、42aは、前述の各種の制御形態を実現し得る限り、リニアアクチュエータを含む任意の直線駆動源に代えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、ボビン上の製品を速やかに安全に除去することができる上、多様なボビンサイズにも簡単に適応することができ、ボビンの再利用が要請される任意の用途に対して広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
B…ボビン
P…製品
10…ホルダ
15…サーボモータ
21…カッタ
22…ガイドフレーム
23、24…サーボモータ
25…垂直フレーム
30…スクレーパユニット
31…可動爪
34…サーボモータ
40…引抜ユニット
41…移動フレーム
42…サーボモータ
43…水平フレーム
特許出願人 技研株式会社