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  • 特開-ガス化炉および発電システム 図1
  • 特開-ガス化炉および発電システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132992
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ガス化炉および発電システム
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/02 20060101AFI20220906BHJP
   C10J 3/26 20060101ALI20220906BHJP
   C10J 3/36 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C10J3/02 M
C10J3/26
C10J3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031771
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】521087829
【氏名又は名称】EED株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】根本 貴宏
(57)【要約】
【課題】上下方向で重なる1次燃焼室と2次燃焼室とがガス化炉本体の内部に形成されるとともに木質チップから木質ガスを生成するガス化炉において、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制しながら木質ガスを取り出すことが可能なガス化炉を提供する。
【解決手段】ガス化炉2では、上下方向で重なる1次燃焼室10と2次燃焼室11とがガス化炉本体12の内部に形成されている。2次燃焼室11で生成された木質ガスを取り出すための取出用配管15の一端は、2次燃焼室11の上面側に繋がっており、取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の内部に配置されている。2次燃焼室11から取り出される木質ガスは、木質チップの加熱が行われている1次燃焼室10の内部に配置される取出用配管15の一部を通過する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質チップから木質ガスを生成するためのガス化炉において、
内部に1次燃焼室および2次燃焼室が形成されるガス化炉本体と、前記ガス化炉本体の内部に配置され前記ガス化炉本体の内部を前記1次燃焼室と前記2次燃焼室とに仕切る仕切り部材と、前記2次燃焼室で生成された前記木質ガスを取り出すための取出用配管とを備え、
前記ガス化炉本体の内部の、前記仕切り部材の上側が前記1次燃焼室となっており、
前記ガス化炉本体の内部の、前記仕切り部材の下側が前記2次燃焼室となっており、
前記仕切り部材には、前記1次燃焼室で生成された炭化物が前記2次燃焼室に向かって通過する複数の通過穴が形成され、
前記2次燃焼室では、前記1次燃焼室で生成された1次生成ガスと前記炭化物とを用いて前記木質ガスが生成され、
前記取出用配管の一端は、前記2次燃焼室の上面側に繋がり、
前記取出用配管の一部は、前記1次燃焼室の内部に配置され、
前記2次燃焼室から取り出される前記木質ガスは、前記1次燃焼室の内部に配置される前記取出用配管の一部を通過することを特徴とするガス化炉。
【請求項2】
前記1次燃焼室の内部に配置される前記取出用配管の一部は、前記1次燃焼室の中心に配置されていることを特徴とする請求項1記載のガス化炉。
【請求項3】
前記1次生成ガスを前記2次燃焼室に供給するための供給用配管を備え、
前記供給用配管の一端は、前記2次燃焼室の内壁の接線方向に前記1次生成ガスが供給されるように前記2次燃焼室の外周側から前記2次燃焼室に繋がっていることを特徴とする請求項1または2記載のガス化炉。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のガス化炉と、前記ガス化炉で生成された前記木質ガスが供給されるとともに前記木質ガスを燃焼させて水蒸気を生成するボイラーと、前記ボイラーで生成された水蒸気によって回転する蒸気タービンを有する発電機とを備えることを特徴とする発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質チップから木質ガスを生成するためのガス化炉に関する。また、本発明は、このガス化炉を備える発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオマス資源を乾留してガス化するためのガス化炉が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のガス化炉は、炉本体と、炉本体の上部に繋がる原料投入部と、炉本体内の収容部を上下方向で仕切るパンチングプレートとを備えている。原料投入部は、チップやペレット等の原料を炉本体の収容部に投入する。このガス化炉では、収容部に投入された原料がパンチングプレートに積載されるように、パンチングプレートの開口の大きさは投入時の原料の大きさよりも小さくなっている。収容部で炭化して細粒となった原料は、パンチングプレートの開口を通過してパンチングプレートから落下する。
【0003】
特許文献1に記載のガス化炉では、収容部内の、パンチングプレートよりも上の領域が1次燃焼室(第1ガス化室)となっており、収容部内の、パンチングプレートよりも下の領域が2次燃焼室(第2ガス化室)となっている。1次燃焼室で炭化して細粒となった原料は、パンチングプレートから落下して、2次燃焼室に堆積する。特許文献1に記載のガス化炉は、2次燃焼室に堆積した炭化物をさらに乾留することで、燃料ガスを生成する。2次燃焼室の側面には、送風機の吸気側が接続されている。送風機は、2次燃焼室で生成された燃料ガスをガスタービン等に向かって送出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-119771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、木質チップから木質ガスを生成するためのガス化炉において、特許文献1に記載のガス化炉のように、上下方向で重なる1次燃焼室と2次燃焼室とをガス化炉本体の内部に形成することを検討している。また、本願発明者は、木質ガスを燃焼させて水蒸気を生成するボイラーと、ボイラーで生成された水蒸気によって回転する蒸気タービンを有する発電機とを備える発電システムにおいて、このガス化炉を使用することを検討している。この発電システムでは、ガス化炉で生成された木質ガスがそのままボイラーに供給される。
【0006】
本願発明者の検討によると、この発電システムでは、ボイラーに供給される木質ガスの温度が低くなるにつれて、ボイラーのガス燃焼器で木質ガスを燃焼させにくくなる。そのため、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制しながら、ガス化炉から木質ガスを取り出してボイラーに供給することが好ましい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、上下方向で重なる1次燃焼室と2次燃焼室とがガス化炉本体の内部に形成されるとともに木質チップから木質ガスを生成するガス化炉において、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制しながら木質ガスを取り出すことが可能なガス化炉を提供することにある。また、本発明の課題は、このガス化炉を備える発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のガス化炉は、木質チップから木質ガスを生成するためのガス化炉において、内部に1次燃焼室および2次燃焼室が形成されるガス化炉本体と、ガス化炉本体の内部に配置されガス化炉本体の内部を1次燃焼室と2次燃焼室とに仕切る仕切り部材と、2次燃焼室で生成された木質ガスを取り出すための取出用配管とを備え、ガス化炉本体の内部の、仕切り部材の上側が1次燃焼室となっており、ガス化炉本体の内部の、仕切り部材の下側が2次燃焼室となっており、仕切り部材には、1次燃焼室で生成された炭化物が2次燃焼室に向かって通過する複数の通過穴が形成され、2次燃焼室では、1次燃焼室で生成された1次生成ガスと炭化物とを用いて木質ガスが生成され、取出用配管の一端は、2次燃焼室の上面側に繋がり、取出用配管の一部は、1次燃焼室の内部に配置され、2次燃焼室から取り出される木質ガスは、1次燃焼室の内部に配置される取出用配管の一部を通過することを特徴とする。
【0009】
本発明のガス化炉では、取出用配管の一端は、2次燃焼室の上面側に繋がっており、取出用配管の一部は、1次燃焼室の内部に配置されている。また、本発明では、2次燃焼室から取り出される木質ガスは、木質チップの加熱が行われている1次燃焼室の内部(すなわち、ガス化炉本体の外部の温度よりも温度が高くなっている1次燃焼室の内部)に配置される取出用配管の一部を通過する。そのため、本発明では、取出用配管の全体がガス化炉本体の外部に配置されている場合と比較して、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制しながらガス化炉から木質ガスを取り出すことが可能になる。
【0010】
また、本発明では、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を、1次燃焼室を利用して抑制することが可能になるため、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制するための構成を別途設ける必要がない。したがって、本発明では、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制することが可能であっても、ガス化炉の構成を簡素化することが可能になる。
【0011】
本発明において、1次燃焼室の内部に配置される取出用配管の一部は、1次燃焼室の中心に配置されていることが好ましい。このように構成すると、1次燃焼室の内部に配置される取出用配管の一部が、たとえば、1次燃焼室の端に配置されている場合と比較して、1次燃焼室の内部に配置される取出用配管の一部を通過する木質ガスの温度の低下を効果的に抑制することが可能になる。
【0012】
本発明において、ガス化炉は、1次生成ガスを2次燃焼室に供給するための供給用配管を備え、供給用配管の一端は、2次燃焼室の内壁の接線方向に1次生成ガスが供給されるように2次燃焼室の外周側から2次燃焼室に繋がっていることが好ましい。このように構成すると、2次燃焼室において、炭化物と1次生成ガスとを旋回させることが可能になる。そのため、本願発明者の検討によれば、2次燃焼室の温度を高めることが可能になり、その結果、より水分量の少ない木質ガスをガス化炉から取り出すことが可能になる。したがって、木質ガスがボイラーに供給される場合には、ボイラーのガス燃焼器で木質ガスをより燃焼させやすくなる。
【0013】
なお、本発明では、取出用配管の一端が2次燃焼室の上面側に繋がっているため、取出用配管の配置を考慮することなく、2次燃焼室の外周側から2次燃焼室に供給用配管を繋げることが可能になる。したがって、2次燃焼室の外周側から2次燃焼室に供給用配管が繋がっていても、2次燃焼室に供給用配管を繋げやすくなる。
【0014】
本発明のガス化炉は、ガス化炉で生成された木質ガスが供給されるとともに木質ガスを燃焼させて水蒸気を生成するボイラーと、ボイラーで生成された水蒸気によって回転する蒸気タービンを有する発電機とを備える発電システムに用いることができる。この発電システムでは、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制しながらガス化炉から木質ガスを取り出すことが可能になるため、ボイラーのガス燃焼器で木質ガスを燃焼させやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、上下方向で重なる1次燃焼室と2次燃焼室とがガス化炉本体の内部に形成されるとともに木質チップから木質ガスを生成するガス化炉において、2次燃焼室で生成された木質ガスの温度の低下を抑制しながらガス化炉から木質ガスを取り出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかる発電システムの構成を説明するための概略図である。
図2図1に示すガス化炉の下端部の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(発電システムおよびガス化炉の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる発電システム1の構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すガス化炉2の下端部の構成を説明するための断面図である。
【0019】
本形態の発電システム1は、ガス化炉2とボイラー3と発電機4とを備えている。ガス化炉2は、木質チップを乾留して木質チップから木質ガスを生成する。本形態の木質チップは、チップ状に粉砕された木材からなる木材チップである。木材チップの大きさは、数mm程度となっている。ボイラー3には、ガス化炉2で生成された木質ガスが供給される。具体的には、ガス化炉2で生成された木質ガスがそのまま、ボイラー3に供給される。ボイラー3は、木質ガスを燃焼させて水蒸気を生成する。ボイラー3は、木質ガスを燃焼させるガス燃焼器5等を備えている。発電機4には、ボイラー3で生成された水蒸気が供給される。発電機4は、ボイラー3で生成された水蒸気によって回転する蒸気タービン6等を備えている。
【0020】
ガス化炉2は、内部に1次燃焼室10および2次燃焼室11が形成されるガス化炉本体12と、ガス化炉本体12の内部に配置される仕切り部材13とを備えている。ガス化炉本体12は、底部を有する有底の筒状に形成されている。ガス化炉本体12は、たとえば、円筒状に形成されている。あるいは、ガス化炉本体12は、8角筒状等の多角筒状に形成されている。ガス化炉本体12の外周側には、ガス化炉本体12を冷却するための水冷ジャケット(図示省略)が形成されている。
【0021】
仕切り部材13は、平板状に形成されている。仕切り部材13は、上下方向でガス化炉本体12の内部を仕切っている。ガス化炉本体12では、ガス化炉本体12の内部の、仕切り部材13の上側が1次燃焼室10となっており、ガス化炉本体12の内部の、仕切り部材13の下側が2次燃焼室11となっている。すなわち、仕切り部材13は、ガス化炉本体12の内部を1次燃焼室10と2次燃焼室11とに仕切っており、ガス化炉本体12の内部には、上下方向で重なる1次燃焼室10と2次燃焼室11とが形成されている。また、1次燃焼室10の下に第2燃焼室11が配置されている。
【0022】
1次燃焼室10には、上側から木質チップが供給される。1次燃焼室10では、たとえば、300~600℃程度で木質チップが加熱される。1次燃焼室10では、炭化した木質チップからなる炭化物と1次生成ガスとが生成される。1次燃焼室10の下端側部分には、炭化物が充填されている。また、1次燃焼室10では、炭化物の上側に、炭化途中の木質チップおよび炭化前の木質チップが充填されている。仕切り部材13は、たとえば、パンチングメタルであり、仕切り部材13には、1次燃焼室10で生成された炭化物が2次燃焼室11に向かって通過する複数の通過穴が形成されている。通過穴は、上下方向で仕切り部材13を貫通している。通過穴の形状は、円形状、長円形状または長方形状等となっている。
【0023】
1次燃焼室10で生成された炭化物は、自重によって仕切り部材13の通過穴を通過して2次燃焼室11に落下する。2次燃焼室11では、1次燃焼室10で生成された炭化物が、たとえば、1000~1200℃程度で加熱される。2次燃焼室11には、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスが供給される。2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとを用いて木質ガスが生成される。具体的には、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとから木質ガスが生成される。
【0024】
また、ガス化炉2は、ガス化炉本体12に供給される木質チップが収容されるチップ収容部14と、2次燃焼室11で生成された木質ガスを取り出すための取出用配管15と、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスを2次燃焼室11に供給するための供給用配管16とを備えている。本形態のガス化炉2は、1本の取出用配管15と1本の供給用配管16とを備えている。
【0025】
チップ収容部14は、筒状に形成されている。チップ収容部14は、ガス化炉本体12の上側に配置されており、チップ収容部14の下端は、ガス化炉本体12の上端に繋がっている。チップ収容部14には、上側から木質チップが供給される。具体的には、粉砕機で粉砕された木材チップがコンベヤ等によって上側からチップ収容部14に供給される。ガス化炉本体12には、チップ収容部14に収容される木質チップが自重で順次供給される。
【0026】
取出用配管15は、2次燃焼室11とボイラー3のガス燃焼器5との間に配置されている。すなわち、取出用配管15の一端は、2次燃焼室11に繋がり、取出用配管15の他端は、ガス燃焼器5に繋がっている。取出用配管15の一端は、2次燃焼室11の上面側に繋がっている。取出用配管15は、2次燃焼室11から上側に向かって引き回されるとともに、ガス化炉本体12の上端よりも上側まで引き回されている。
【0027】
取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の内部、および、チップ収容部14の内部に配置されている。具体的には、取出用配管15の一端は、2次燃焼室11の中心に繋がっており、1次燃焼室10の内部に配置される取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の中心に配置されている。また、チップ収容部14の内部に配置される取出用配管15の一部は、チップ収容部14の中心に配置されている。
【0028】
2次燃焼室11から取り出される木質ガスは、1次燃焼室10の内部に配置される取出用配管15の一部を通過するとともに、チップ収容部14の内部に配置される取出用配管15の一部を通過する。すなわち、2次燃焼室11から取り出される木質ガスは、1次燃焼室10の内部を通過するとともに、チップ収容部14の内部を通過した後、ガス化炉2から取り出される。取出用配管15の内径は、ガス化炉本体12の内径の1/5程度となっている。なお、取出用配管15の途中には、2次燃焼室11で生成された木質ガスをガス燃焼器5に送る送風機が配置されている。
【0029】
供給用配管16は、2次燃焼室11と1次燃焼室10との間に配置されている。すなわち、供給用配管16の一端は、2次燃焼室11に繋がり、供給用配管16の他端は、1次燃焼室10に繋がっている。供給用配管16の一端は、2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に繋がっている。具体的には、供給用配管16の一端は、2次燃焼室11の内壁の接線方向(図2の矢印Vで示す方向)に1次生成ガスが供給されるように2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に繋がっている。また、供給用配管16の他端は、1次燃焼室10の外周側から1次燃焼室10に繋がっている。
【0030】
供給用配管16の途中には、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスを第2燃焼室11に送る送風機17が配置されている。2次燃焼室11において、1次生成ガスは、上述のように、2次燃焼室11の内壁の接線方向に供給される。そのため、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとが旋回する。すなわち、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとが旋回しながら燃焼する。
【0031】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、取出用配管15の一端は、2次燃焼室11の上面側に繋がっており、取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の内部に配置されている。また、本形態では、2次燃焼室11から取り出される木質ガスは、木質チップの加熱が行われている1次燃焼室10の内部(すなわち、ガス化炉本体12の外部の温度よりも温度が高くなっている1次燃焼室10の内部)に配置される取出用配管15の一部を通過する。そのため、本形態では、取出用配管15の全体がガス化炉本体12の外部に配置されている場合と比較して、2次燃焼室11で生成された木質ガスの温度の低下を抑制しながらガス化炉2から木質ガスを取り出すことが可能になる。したがって、本形態では、ボイラー3のガス燃焼器5で木質ガスを燃焼させやすくなる。
【0032】
また、本形態では、2次燃焼室11で生成された木質ガスの温度の低下を、1次燃焼室10を利用して抑制することが可能になるため、2次燃焼室11で生成された木質ガスの温度の低下を抑制するための構成を別途設ける必要がない。したがって、本形態では、2次燃焼室11で生成された木質ガスの温度の低下を抑制することが可能であっても、ガス化炉2の構成を簡素化することが可能になる。
【0033】
本形態では、1次燃焼室10の内部に配置される取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の中心に配置されている。そのため、本形態では、1次燃焼室10の内部に配置される取出用配管15の一部が、たとえば、1次燃焼室10の端に配置されている場合と比較して、1次燃焼室10の内部に配置される取出用配管15の一部を通過する木質ガスの温度の低下を効果的に抑制することが可能になる。
【0034】
本形態では、供給用配管16の一端は、2次燃焼室11の内壁の接線方向に1次生成ガスが供給されるように2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に繋がっており、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとが旋回しながら燃焼する。そのため、本願発明者の検討によると、本形態では、2次燃焼室11の温度を高めることが可能になり、その結果、より水分量の少ない木質ガスをガス化炉2から取り出すことが可能になる。したがって、本形態では、ボイラー3のガス燃焼器5で木質ガスをより燃焼させやすくなる。
【0035】
なお、本形態では、取出用配管15の一端が2次燃焼室11の上面側に繋がっているため、取出用配管15の配置を考慮することなく、2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に供給用配管16を繋げることが可能になる。したがって、本形態では、2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に供給用配管16が繋がっていても、2次燃焼室11に供給用配管16を繋げやすくなる。
【0036】
(他の実施の形態)
上述した形態において、2次燃焼室11に圧縮空気が供給されても良い。この場合には、圧縮空気を供給する空気供給用配管の一端は、たとえば、2次燃焼室11の内壁の接線方向に圧縮空気が供給されるように2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に繋がっている。また、この場合には、たとえば、2本の空気供給用配管が2次燃焼室11の中心に対して180°ピッチで2次燃焼室11に繋がっている。
【0037】
上述した形態において、ガス化炉2は、複数本の取出用配管15を備えていても良い。また、上述した形態において、ガス化炉2は、複数本の供給用配管16を備えていても良い。また、上述した形態において、1次燃焼室10の内部に配置される取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の中心からずれた位置に配置されていても良い。さらに、上述した形態において、供給用配管16の一端は、2次燃焼室11の内壁の接線方向からずれた方向に1次生成ガスが供給されるように2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に繋がっていても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 発電システム
2 ガス化炉
3 ボイラー
4 発電機
6 蒸気タービン
10 1次燃焼室
11 2次燃焼室
12 ガス化炉本体
13 仕切り部材
15 取出用配管
16 供給用配管
図1
図2