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特開2022-132993ガス燃焼器、ボイラーおよび発電システム
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  • 特開-ガス燃焼器、ボイラーおよび発電システム 図1
  • 特開-ガス燃焼器、ボイラーおよび発電システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132993
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ガス燃焼器、ボイラーおよび発電システム
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/02 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
F23D14/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031772
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】521087829
【氏名又は名称】EED株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】根本 貴宏
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AA01
3K017AB07
3K017AC06
3K017AD09
3K017AF03
(57)【要約】
【課題】木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器において、木質ガスを容易に燃焼させることが可能なガス燃焼器を提供する。
【解決手段】ガス燃焼器5は、外筒20と、外筒20の内側に配置される内筒21と、内筒21の内側に配置されるセラミック製のセラミック部材22とを備えている。外筒20の外側筒部20aと内筒21の内側筒部21aとの間、および、外筒20の外側底部20bと内筒21の内側底部21bとの間には、隙間が形成されており、外側筒部20a、外側底部20b、内側筒部21aおよび内側底部21bには、多数の貫通穴20c、21cが形成されている。ガス燃焼器5では、少なくとも外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で炎Bが発生する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器において、
筒状の外側筒部と前記外側筒部の一端を塞ぐ外側底部とを有する有底の筒状に形成される金属製の外筒と、筒状の内側筒部と前記内側筒部の一端を塞ぐ内側底部とを有する有底の筒状に形成され前記外筒の内側に配置される金属製の内筒と、前記内筒の内側に配置されるセラミック製のセラミック部材と、前記木質ガスを前記内筒の内側に向かって噴射する噴射ノズルとを備え、
前記内筒は、前記内側底部が前記外側底部側に配置されるように前記外筒の内側に挿入されており、
前記外側筒部と前記内側筒部との間、および、前記外側底部と前記内側底部との間には、隙間が形成され、
前記外側筒部、前記外側底部、前記内側筒部および前記内側底部には、多数の貫通穴が形成され、
少なくとも前記外側筒部の外側および前記外側底部の外側で炎が発生することを特徴とするガス燃焼器。
【請求項2】
前記セラミック部材は、前記内側底部に固定されていることを特徴とする請求項1記載のガス燃焼器。
【請求項3】
前記噴射ノズルは、水素ガスとプロパンガスと空気とが混合された前記木質ガスを噴射することを特徴とする請求項1または2記載のガス燃焼器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のガス燃焼器を備え、
前記ガス燃焼器で発生する熱によって水蒸気を生成することを特徴とするボイラー。
【請求項5】
請求項4に記載のボイラーと、前記噴射ノズルに供給される前記木質ガスを前記木質チップから生成するガス化炉と、前記ボイラーで生成された水蒸気によって回転する蒸気タービンを有する発電機とを備えることを特徴とする発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器に関する。また、本発明は、このガス燃焼器を備えるボイラー、および、このボイラーを備える発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送油ポンプによって送られた燃料を燃焼させるためのバーナー装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のバーナー装置は、外筒と、外筒の内側に配置される内筒と、内筒の内部に形成される燃焼室に向かって燃料を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルの近傍に配置される点火装置とを備えている。内筒の側面には、多数の2次空気噴出穴が形成されている。燃焼室には、セラミック製の燃料蒸発板が配置されている。噴射ノズルから噴射された燃料は、燃料蒸発板に当たる。燃料蒸発板は、着火当初に、噴射ノズルから噴射される燃料の吸湿を行っている。また、温度が上昇したときの燃料蒸発板は、蒸発器としての機能を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64-19211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器の構造を検討している。一般に、木質ガスに含まれる水分量は比較的多いため、木質ガスは燃えにくい。すなわち、ガス燃焼器において、木質ガスを燃焼させることは容易ではない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器において、木質ガスを容易に燃焼させることが可能なガス燃焼器を提供することにある。また、本発明の課題は、このガス燃焼器を備えるボイラー、および、このボイラーを備える発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本願発明者は種々の検討を行った。具体的には、本願発明者は、ガス燃焼器の構造に着目して、ガス燃焼器の構造に関して種々の検討を行った。その結果、本願発明者は、外筒と、外筒の内側に配置される内筒とを有する二重筒構造を採用し、かつ、内筒の内側にセラミック製のセラミック部材を配置するとともに、外筒および内筒の構造や、外筒と内筒との配置関係等を工夫することで、木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器において、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になることを知見するに至った。
【0007】
本発明のガス燃焼器は、かかる新たな知見に基づくものであり、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器において、筒状の外側筒部と外側筒部の一端を塞ぐ外側底部とを有する有底の筒状に形成される金属製の外筒と、筒状の内側筒部と内側筒部の一端を塞ぐ内側底部とを有する有底の筒状に形成され外筒の内側に配置される金属製の内筒と、内筒の内側に配置されるセラミック製のセラミック部材と、木質ガスを内筒の内側に向かって噴射する噴射ノズルとを備え、内筒は、内側底部が外側底部側に配置されるように外筒の内側に挿入されており、外側筒部と内側筒部との間、および、外側底部と内側底部との間には、隙間が形成され、外側筒部、外側底部、内側筒部および内側底部には、多数の貫通穴が形成され、少なくとも外側筒部の外側および外側底部の外側で炎が発生することを特徴とする。
【0008】
本発明のガス燃焼器は、外筒と、外筒の内側に配置される内筒と、内筒の内側に配置されるセラミック製のセラミック部材とを備えている。また、本発明では、外側筒部と内側筒部との間、および、外側底部と内側底部との間に、隙間が形成されている。さらに、本発明では、外側筒部、外側底部、内側筒部および内側底部に多数の貫通穴が形成されており、少なくとも外側筒部の外側および外側底部の外側で炎が発生する。そのため、本願発明者の検討によれば、本発明のガス燃焼器では、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になる。
【0009】
なお、本願発明者の検討によると、本発明のガス燃焼器では、内筒の内側に配置されるセラミック部材の作用によって内筒の内側で木質ガスの水分量を低減することができるため、また、熱せられたセラミック部材の作用によって内筒の内側の温度低下を抑制することができるため、さらに、内筒の貫通穴(すなわち、内側筒部の貫通穴および内側底部の貫通穴)から噴き出した木質ガスを内筒と外筒との間の隙間に滞留させることで内筒と外筒との間の隙間の温度低下を抑制することができるため、さらにまた、内筒の貫通穴から噴き出す木質ガスの作用によって内筒と外筒との間の隙間で滞留する木質ガスに乱流を生じさせて、内筒と外筒との間の隙間で滞留する木質ガスを攪拌させるとともに、攪拌されることで均質化された木質ガスを外筒の貫通穴(すなわち、外側筒部の貫通穴および外側底部の貫通穴)から噴き出させて外側筒部の外側および外側底部の外側で燃やすことができるため、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になると推定される。
【0010】
本発明において、セラミック部材は、内側底部に固定されていることが好ましい。このように構成すると、内筒の内側に配置されるセラミック部材を容易に位置決めすることが可能になるとともに容易に固定することが可能になる。
【0011】
本発明において、噴射ノズルは、水素ガスとプロパンガスと空気とが混合された木質ガスを噴射することが好ましい。このように構成すると、ガス燃焼器において、木質ガスをより容易に燃焼させることが可能になる。
【0012】
本発明のガス燃焼器は、たとえば、ボイラーで使用することができる。このボイラーは、ガス燃焼器で発生する熱によって水蒸気を生成する。また、このボイラーは、噴射ノズルに供給される木質ガスを木質チップから生成するガス化炉と、ボイラーで生成された水蒸気によって回転する蒸気タービンを有する発電機とを備える発電システムで使用することができる。このボイラーおよび発電システムでは、ガス燃焼器において、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器において、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかる発電システムの構成を説明するための概略図である。
図2図1に示すガス燃焼器の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(発電システム、ガス化炉およびガス燃焼器の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる発電システム1の構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すガス燃焼器5の構成を説明するための概略図である。
【0017】
本形態の発電システム1は、ガス化炉2とボイラー3と発電機4とを備えている。ガス化炉2は、木質チップを乾留して木質チップから木質ガスを生成する。本形態の木質チップは、チップ状に粉砕された木材からなる木材チップである。木材チップの大きさは、数mm程度となっている。ボイラー3には、ガス化炉2で生成された木質ガスが供給される。具体的には、ガス化炉2で生成された木質ガスがそのまま、ボイラー3に供給される。ボイラー3は、木質ガスを燃焼させて水蒸気を生成する。ボイラー3は、木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器5等を備えている。発電機4には、ボイラー3で生成された水蒸気が供給される。発電機4は、ボイラー3で生成された水蒸気によって回転する蒸気タービン6等を備えている。
【0018】
ガス化炉2は、内部に1次燃焼室10および2次燃焼室11が形成されるガス化炉本体12と、ガス化炉本体12の内部に配置される仕切り部材13とを備えている。仕切り部材13は、上下方向でガス化炉本体12の内部を仕切っている。ガス化炉本体12では、ガス化炉本体12の内部の、仕切り部材13の上側が1次燃焼室10となっており、ガス化炉本体12の内部の、仕切り部材13の下側が2次燃焼室11となっている。1次燃焼室10には、上側から木質チップが供給される。1次燃焼室10では、たとえば、300~600℃程度で木質チップが加熱されて、炭化した木質チップからなる炭化物と1次生成ガスとが生成される。
【0019】
仕切り部材13は、たとえば、パンチングメタルであり、仕切り部材13には、1次燃焼室10で生成された炭化物が2次燃焼室11に向かって通過する複数の通過穴が形成されている。1次燃焼室10で生成された炭化物は、自重によって仕切り部材13の通過穴を通過して2次燃焼室11に落下する。2次燃焼室11では、1次燃焼室10で生成された炭化物が、たとえば、1000~1200℃程度で加熱される。2次燃焼室11には、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスが供給される。2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとを用いて木質ガスが生成される。なお、2次燃焼室11には、圧縮空気が供給されても良い。
【0020】
また、ガス化炉2は、ガス化炉本体12に供給される木質チップが収容されるチップ収容部14と、2次燃焼室11で生成された木質ガスを取り出すための取出用配管15と、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスを2次燃焼室11に供給するための供給用配管16とを備えている。チップ収容部14は、ガス化炉本体12の上側に配置されている。チップ収容部14には、上側から木質チップが供給される。具体的には、粉砕機で粉砕された木材チップがコンベヤ等によって上側からチップ収容部14に供給される。ガス化炉本体12には、チップ収容部14に収容される木質チップが自重で順次供給される。
【0021】
取出用配管15は、2次燃焼室11とガス燃焼器5との間に配置されている。取出用配管15の一端は、2次燃焼室11の上面側に繋がっている。取出用配管15は、2次燃焼室11から上側に向かって引き回されており、取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の内部およびチップ収容部14の内部に配置されている。2次燃焼室11から取り出される木質ガスは、1次燃焼室10の内部およびチップ収容部14の内部に配置される取出用配管15の一部を通過する。取出用配管15の途中には、2次燃焼室11で生成された木質ガスをガス燃焼器5に送る送風機が配置されている。
【0022】
供給用配管16は、1次燃焼室10と2次燃焼室11との間に配置されている。供給用配管16の途中には、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスを第2燃焼室11に送る送風機17が配置されている。供給用配管16の一端は、2次燃焼室11の内壁の接線方向に1次生成ガスが供給されるように2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に繋がっている。そのため、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとが旋回する。すなわち、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとが旋回しながら燃焼する。
【0023】
上述のように、ボイラー3は、ガス燃焼器5を備えている。ガス燃焼器5は、ボイラー3の燃焼室の中に設置されており、ボイラー3は、ガス燃焼器5で発生する熱によって水蒸気を生成する。ガス燃焼器5は、有底の筒状に形成される金属製の外筒20と、有底の筒状に形成され外筒20の内側に配置される金属製の内筒21と、内筒21の内側に配置されるセラミック製のセラミック部材22と、ガス化炉2から供給される木質ガス(すなわち、木質チップから生成される木質ガス)を内筒21の内側に向かって噴射する噴射ノズル23とを備えている。外筒20および噴射ノズル23は、ガス燃焼器5のフレーム(図示省略)に固定されている。また、ガス燃焼器5は、木質ガスに火をつけるための着火機構(図示省略)を備えている。
【0024】
外筒20は、たとえば、ステンレス鋼で形成されている。外筒20は、筒状の外側筒部20aと、外側筒部20aの一端を塞ぐ外側底部20bとを備えている。本形態の外筒20は、有底の円筒状に形成されている。すなわち、外側筒部20aは、円筒状に形成され、外側底部20bは、円板状に形成されている。外側筒部20aおよび外側底部20bには、多数の貫通穴20cが形成されている。すなわち、外筒20には、多数の貫通穴20cが形成されている。貫通穴20cは、たとえば、丸穴である。
【0025】
内筒21は、たとえば、ステンレス鋼で形成されている。内筒21は、筒状の内側筒部21aと、内側筒部21aの一端を塞ぐ内側底部21bとを備えている。本形態の内筒21は、有底の円筒状に形成されており、内側筒部21aは、円筒状に形成され、内側底部21bは、円板状に形成されている。内側筒部21aの外径は、外側筒部20aの内径よりも小さくなっている。内側筒部21aおよび内側底部21bには、多数の貫通穴21cが形成されている。すなわち、内筒21には、多数の貫通穴21cが形成されている。貫通穴21cは、たとえば、丸穴である。内筒21は、外筒20を介してガス燃焼器5のフレーム(図示省略)に固定されている。
【0026】
内筒21は、内側底部21bが外側底部20b側に配置されるように外筒20の内側に挿入されている。すなわち、内筒21の開口は、外筒20の開口側に配置されている。本形態では、内筒21の全体が外筒20の内側に配置されている。外側筒部20aと内側筒部21aとの間には隙間が形成されている。すなわち、外側筒部20aの内周面と内側筒部21aの外周面との間には隙間が形成されている。また、外側底部20bと内側底部21bとの間にも隙間が形成されている。セラミック部材22は、円板状に形成されている。セラミック部材22には、所定の大きさの空隙が形成されている。セラミック部材22は、内側底部21bに固定されている。セラミック部材22は、噴射ノズル23から噴射された木質ガスが衝突する位置に配置されている。
【0027】
噴射ノズル23は、外筒20および内筒21の開口側に配置されている。また、噴射ノズル23は、外筒20および内筒21の外側に配置されている。噴射ノズル23には、取出用配管15が繋がっており、ガス化炉2で生成された木質ガスが供給される。また、本形態の噴射ノズル23は、多流体ノズルであり、噴射ノズル23には、木質ガスに加えて、水素ガスとプロパンガスと圧縮空気とが供給される。噴射ノズル23は、水素ガスとプロパンガスと空気とが混合された木質ガスを噴射する。
【0028】
すなわち、噴射ノズル23は、主成分となる木質ガスに水素ガスとプロパンガスと空気とが混合されたガスを噴射する。水素ガスとプロパンガスと空気とは、噴射ノズル23の噴射口において木質ガスと混合される。噴射ノズル23から噴射される木質ガスは、圧縮空気の作用によって細かな霧状になる。また、噴射ノズル23は、渦巻き状に旋回する木質ガスを内筒21の内側に向かって噴射する。すなわち、噴射ノズル23から噴射される木質ガスの流れは渦流となっている。
【0029】
噴射ノズル23から噴射された木質ガスは、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22に衝突した後、内筒21の貫通穴21cから内筒21と外筒20との間の隙間に噴き出す。内筒21と外筒20との間の隙間に噴き出した木質ガスは、その後、外筒20の貫通穴20cから外筒20の外側に噴き出す。木質ガスは、少なくとも外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で燃える。すなわち、ガス燃焼器5では、少なくとも外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で炎Bが発生する。なお、炎Bは、外筒20の内側で発生することもある。
【0030】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のガス燃焼器5は、外筒20と、外筒20の内側に配置される内筒21と、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22とを備えている。また、本形態では、外側筒部20aと内側筒部21aとの間、および、外側底部20bと内側底部21bとの間に、隙間が形成されている。さらに、本形態では、外側筒部20aおよび外側底部20bに多数の貫通穴20cが形成されるとともに、内側筒部21aおよび内側底部21bに多数の貫通穴21cが形成されており、少なくとも外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で炎Bが発生する。そのため、本願発明者の検討によれば、本形態のガス燃焼器5では、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になる。
【0031】
なお、本形態では、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22の作用によって、内筒21の内側で木質ガスの水分量を低減することが可能になる。また、本形態では、熱せられたセラミック部材22の作用によって、内筒21の内側の温度低下を抑制することが可能になる。さらに、本形態では、内筒21の貫通穴21cから噴き出した木質ガスを内筒21と外筒20との間の隙間に滞留させることで、内筒21と外筒20との間の隙間の温度低下を抑制することが可能になる。
【0032】
また、本形態では、内筒21の貫通穴21cから噴き出す木質ガスの作用によって、内筒21と外筒20との間の隙間で滞留する木質ガスに乱流を生じさせて、内筒21と外筒20との間の隙間で滞留する木質ガスを攪拌させるとともに、攪拌されて均質化された木質ガスを外筒20の貫通穴20cから噴き出させて外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で燃やすことが可能になる。本形態では、これらが相まって、ガス燃焼器5において、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になると推定される。
【0033】
本形態では、噴射ノズル23は、水素ガスとプロパンガスと空気とが混合された木質ガスを噴射している。そのため、本形態では、ガス燃焼器5において、木質ガスをより容易に燃焼させることが可能になる。また、本形態では、セラミック部材22が内側底部21bに固定されているため、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22を容易に位置決めすることが可能になるとともに容易に固定することが可能になる。
【0034】
(他の実施の形態)
上述した形態において、セラミック部材22は、内側筒部21aに、直接または所定の部材を介して固定されていても良い。この場合には、セラミック部材22と内側底部21bとの間に隙間が形成されていても良い。また、上述した形態において、噴射ノズル23に、水素ガスが供給されなくても良いし、プロパンガスが供給されなくても良い。さらに、上述した形態において、内筒21の一部分が外筒20の外側に配置されていても良い。また、上述した形態において、取出用配管15の一端は2次燃焼室11の側面に繋がっていても良いし、ガス化炉本体12の内部に1個のみの燃焼室が形成されていても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 発電システム
2 ガス化炉
3 ボイラー
4 発電機
5 ガス燃焼器
6 蒸気タービン
20 外筒
20a 外側筒部
20b 外側底部
20c 貫通穴
21 内筒
21a 内側筒部
21b 内側底部
21c 貫通穴
22 セラミック部材
23 噴射ノズル
図1
図2