(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133076
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】窓開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05C 17/16 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
E05C17/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031922
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
(72)【発明者】
【氏名】武井 一樹
(57)【要約】
【課題】 障子の揺動角度を規制可能な窓開閉装置の一例を開示する。
【解決手段】 障子と窓枠とを連結するための規制アーム7と連結部91とが連結された状態では、障子5の揺動角度が換気角度を越えて揺動することが規制され、かつ、当該連結が解除された状態では、障子5は、換気角度を越えて揺動可能な状態となる。これにより、当該窓開閉装置では、規制アーム7と連結部91とが連結された状態、つまり、規制アーム7と規制ユニット9とが連結された状態では、障子5の最大揺動角度は換気開度以下に規制される。そして、当該連結が解除された状態では、障子5は、当該換気角度を越えて揺動可能な状態となるとともに、ばねの弾性力により、規制アーム7が自動的に収納位置に復帰する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓開口を縁取る窓枠と、
前記窓枠に揺動可能に連結された障子であって、前記窓開口を閉じた閉状態と当該窓開口を開いた開状態との間で揺動変位な障子と、
前記窓枠及び前記障子のうちいずれか一方を第1部材とし、他方を第2部材としたとき、当該第1部材に揺動可能に連結された規制アームと、
前記第2部材に設けられ、前記規制アームに連結される連結部を有する規制ユニットであって、前記連結部が連結位置と当該連結が解除された解除位置との間で変位可能な規制ユニットと、
前記規制アームを回転させる弾性力を発揮するばねとを備え、
前記規制アームと前記連結部とが連結された状態で前記障子が前記閉状態となったときの当該規制アームの位置を収納位置としたとき、前記ばねは、前記規制アームを前記収納位置に向けて回転させる弾性力を発揮し、
さらに、前記規制アームと前記連結部とが連結された状態では、前記障子の揺動角度が予め決められた角度(以下、換気角度という。)を越えて揺動することが規制され、かつ、当該連結が解除された状態では、前記障子は、当該換気角度を越えて揺動可能な状態となる窓開閉装置。
【請求項2】
前記規制ユニットは、少なくとも前記障子が前記閉状態になったときに前記解除位置の前記連結部を前記連結位置とする請求項1に記載の窓開閉装置。
【請求項3】
前記規制ユニットは、前記障子の枠部内に収納されており、
さらに、前記連結部を前記解除位置に変位させるための2つの操作部であって、前記障子の室内側から操作可能な第1操作部及び前記障子の室外側から操作可能な第2操作部が設けられている請求項1又は2に記載の窓開閉装置。
【請求項4】
前記第1操作部は、特定の操作キーにて操作可能であり、
前記第2操作部は、把持可能な操作ハンドルにて構成されている請求項3に記載の窓開閉装置。
【請求項5】
前記連結部はピン状の部材であり、
前記規制アームには、前記連結部が前記連結位置にあるときに当該連結部が嵌り込むガイド穴が設けられており、
前記ばねが前記規制アームを回転させる向きと反対向きを逆転の向きとしたとき、前記ガイド穴の延び方向先端側であって、前記規制アームの先端側に対応する部位には、前記逆転の向きに陥没した凹部が設けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の窓開閉装置。
【請求項6】
前記規制アームを前記逆転の向きに変位させる第3操作部が設けられている請求項5に記載の窓開閉装置。
【請求項7】
ピン状の前記連結部の先端側であって、前記開状態において前記収納位置側に面する部位には、当該連結部の軸線に対して傾斜した傾斜面が設けられている請求項5又は6に記載の窓開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障子の揺動角度を規制可能な窓開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の窓開閉装置は、アーム部材及び連結アーム等により、障子の揺動角度を規制する機能を実現している。アーム部材は、障子の下枠に固定されたレール状の部材である。連結アームは、一端側が窓枠に回転可能に連結され、他端側にアーム部材に回転可能に連結されている。そして、連結アームとアーム部材との連結部が当該アーム部材に対してスライド可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る窓開閉装置では、連結部のスライドを規制することにより、障子の揺動角度が規制される。本開示は、当該構成と異なる構成にて障子の揺動角度を規制可能な窓開閉装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
窓開閉装置は、例えば、窓開口を縁取る窓枠(3)と、窓枠(3)に揺動可能に連結された障子(5)であって、窓開口を閉じた閉状態と当該窓開口を開いた開状態との間で揺動変位する障子(5)と、窓枠(3)及び障子(5)のうちいずれか一方を第1部材(3)とし、他方を第2部材(5)としたとき、当該第1部材(3)に揺動可能に連結された規制アーム(7)と、第2部材(5)に設けられ、規制アーム(7)に連結される連結部(91)を有する規制ユニット(9)であって、連結部(91)が連結位置と当該連結が解除された解除位置との間で変位可能である規制ユニット(9)と、規制アーム(7)を回転させる弾性力を発揮するばね(11)とを備え、規制アーム(7)と連結部(91)とが連結された状態で障子(5)が閉状態となったときの当該規制アーム(7)の位置を収納位置としたとき、ばね(11)は、規制アーム(7)を収納位置に向けて回転させる弾性力を発揮し、さらに、規制アーム(7)と連結部(91)とが連結された状態では、障子(5)の揺動角度(θ)が予め決められた角度(以下、換気角度という。)を越えて揺動することが規制され、かつ、当該連結が解除された状態では、障子(5)は、当該換気角度を越えて揺動可能な状態となることが望ましい。
【0006】
これにより、当該窓開閉装置では、特許文献1に記載の窓開閉装置と異なる構成にて揺動角度が規制される。
【0007】
すなわち、規制アーム(7)と連結部(91)とが連結された状態、つまり、規制アーム(7)と規制ユニット(9)とが連結された状態では、障子(5)の最大揺動角度は換気開度以下に規制される。そして、当該連結が解除された状態では、障子(5)は、当該換気角度を越えて揺動可能な状態となるとともに、ばね(11)の弾性力により、規制アーム(7)が自動的に収納位置に復帰する。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る窓開閉装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る窓開閉装置を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る窓開閉装置を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る規制ユニットの分解図である。
【
図5】第1実施形態に係る規制ユニットの構造を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る規制ユニットの構造を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る規制ユニットの構造を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る窓開閉装置を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る窓開閉装置を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る窓開閉装置の構造を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【
図12】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【
図13】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【
図14】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【
図15】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【
図16】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【
図17】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【
図18】第1実施形態に係る窓開閉装置の作動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された窓開閉装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.窓開閉装置の概要>
本実施形態は、
図1に示されるように、ビル等の比較的大型の建物に用いられる窓開閉装置1に本開示に係る窓開閉装置の一例が適用されたものである。当該窓開閉装置1は、窓枠3及び障子5等に加え、
図2に示されるように、規制アーム7、規制ユニット9及びばね11等を少なくとも備える。
【0014】
<窓枠、障子>
窓枠3は、
図1に示されるように、建物に設けられた窓開口を縁取る枠体である。本実施形態に係る窓枠3は、矩形状の金属(アルミニウム等の軽金属)製の枠体にて構成されている。
【0015】
障子5は窓枠3に揺動可能に連結されている。当該障子5は、窓開口を閉じた閉状態と当該窓開口を開いた開状態との間で揺動変位する。本実施形態に係る障子5は、窓枠3の水平方向一端側に揺動可能に連結され、かつ、当該窓枠3に対して室内側に揺動変位することにより、開状態となる。
【0016】
<規制アーム、ばね>
規制アーム7は、
図2に示されるように、窓枠3及び障子5のうちいずれか一方と規制ユニット9とを連結する部材である。なお、本実施形態に係る規制ユニット9は、障子5の下枠5A内に収納されている。
【0017】
そして、本実施形態に係る規制アーム7の一端側は、ブラケット12を介して窓枠3の下枠3Aに揺動可能に連結されている。ばね11は、当該一端側を中心として規制アーム7を回転させる弾性力を発揮する。
【0018】
具体的には、当該ばね11は、規制アーム7を収納位置に向けて回転させる弾性力Fsを発揮する。本実施形態に係るばね11は、規制アーム7の揺動軸7Aにコイル部が配置された捻りコイルばねである。
【0019】
収納位置とは、
図3に示される規制アーム7の位置である。すなわち、収納位置とは、規制アーム7と規制ユニット9とが連結された状態で障子5が閉状態となったときの当該規制アーム7の位置である。
【0020】
本実施形態では、規制アーム7が収納位置にある状態では、当該規制アーム7は、その長手方向が窓枠3の下枠3Aと略平行となった状態で、下枠3Aと下枠5Aとの間に位置する。揺動軸7Aは、圧入又は溶接等により、規制アーム7に固定されている。
【0021】
ブラケット12には、軸穴(図示せず。)及びストッパ12Aが設けられている。当該軸穴は、揺動軸7Aが回転可能に挿入された貫通穴又は凹部である。ストッパ12Aは、ばね11の弾性力により規制アーム7が収納位置を越えて回転することを規制する。
【0022】
<規制ユニット>
規制ユニット9は、規制アーム7と障子5とが連結した連結状態と当該連結が解除された解除状態とを切り替えるための装置である。
【0023】
そして、連結状態では、障子5の揺動角度θ(
図1参照)が予め決められた角度(以下、換気角度という。)を越えて揺動することが規制される。解除状態では、障子5は、換気角度を越えて揺動可能な状態となる。
【0024】
なお、本実施形態では、窓開閉装置1が解除状態となると、障子5は、開閉自在な状態となる。つまり、障子5は、換気角度から更に開いた状態となること、及び換気角度から閉状態になることのいずれも可能である。
【0025】
因みに、換気角度とは、上記の定義から明らかなように、換気を行うための揺動角度に限定されるものではなく、予め決められた揺動角度θをいう。つまり、換気角度とは、換気に適した揺動角度θに限定されない。
【0026】
<2.規制ユニット及び規制アームの詳細>
<2.1 規制ユニット>
本実施形態に係る規制ユニット9は、
図4に示されるように、連結部91、第1操作部92、第2操作部93、第3操作部94、ハウジング95及びカバー96等を少なくとも有している。
【0027】
<連結部>
連結部91は、連結位置と解除位置との間で変位可能なピン状部材である。連結位置は、
図5に示されるように、連結部91が規制アーム7に対して連結可能となる位置である。解除位置は、
図6に示されるように、当該連結が解除された位置である。
【0028】
連結部91は、
図5に示されるように、挿入穴95Aに変位可能に挿入されている。挿入穴95Aは、ハウジング95に設けられた穴であって、障子5の揺動軸線方向(本実施形態では、上下方向)に当該ハウジング95を貫通する穴である。
【0029】
本実施形態に係る連結部91は、大径部91A及び小径部91Bを有する段付きピンである。小径部91Bは、大径部91Aより直径が小さい部位である。そして、少なくとも大径部91Aは、挿入穴95Aの内周面に滑り接触可能に接触している。
【0030】
小径部91Bは、連結状態時に規制アーム7に設けられたガイド穴71に嵌り込む部位である。つまり、連結部91が連結位置し、かつ、当該連結部91の小径部91Bがガイド穴71に嵌り込んだときに、規制アーム7と規制ユニット9とが連結状態となる。
【0031】
連結部91の大径部91A側には、押圧ばね91Cが設けられている。押圧ばね91Cは、連結部91を連結位置(本実施形態では、下方)側に変位させる弾性力を発揮する。このため、連結部91は、他の外力が作用していない状態では、連結位置にある。
【0032】
なお、連結部91が連結位置にある状態では、
図5に示されるように、挿入穴95Aの段部95Bに大径部91Aが係止される。これにより、連結部91が連結位置を越えて規制アーム7側に変位することが規制される。
【0033】
大径部91Aには、
図7に示されるように、径方向に突出した少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)の突起部91D、91Eが設けられている。各突起部91D、91Eは、ハウジング95に設けられた溝部95C、95Dにスライド可能に嵌り込んでいる。
【0034】
溝部95C、95Dは、挿入穴95Aの貫通方向(本実施形態では、上下方向)方向に延びている。そして、各突起部91D、91Eが対応する溝部95C、95Dの内壁に滑り接触する。このため、連結部91は、当該貫通方向を中心に回転することなく、貫通方向に変位する。
【0035】
なお、挿入穴95Aのうち押圧ばね91C側は、蓋部96Aにより閉塞されている。当該蓋部96Aは、
図4に示されるように、カバー96に設けられている。カバー96の本体部96Bは、第2操作部93及び第3操作部94をハウジング95に組み込むための開口を閉塞する。
【0036】
連結部91の先端、つまり小径部91Bの下端側には、
図8に示されるように、傾斜面91Fが設けられている。傾斜面91Fは、連結部91の軸線、つまり上記貫通方向に対して傾斜している。
【0037】
具体的には、傾斜面91Fは、連結部91と規制アーム7の端部とが接触した状態において、障子5を閉じる向きの力が連結部91に作用したときに、当該連結部91が挿入穴95Aに没する向きの力(以下、没力F4という。)が連結部91に発生するように傾斜している。
【0038】
傾斜面91Fは、連結部91の先端側であって、解除状態の障子5が閉じられる際に規制アーム7と接触する部位に設けられている。換言すれば、傾斜面91Fは、連結部91の先端側のうち開状態において収納位置側に面する部位に設けられている(
図9参照)。
【0039】
なお、規制アーム7の端部であって、解除状態の障子5が閉じられる際に傾斜面91Fが接触する部位には、傾斜面7B(
図8参照)が設けられている。傾斜面7Bは、傾斜面91Fが接触した際に互いに略平行となるように傾斜している。
【0040】
<第1操作部>
第1操作部92は、
図10に示されるように、連結部91を解除位置に変位させる際に、障子5に対して室内側から利用者により操作される部位である。そして、特定の操作キー92Aが規制ユニット9に挿入操作されたときに、連結部91が解除位置に変位する。
【0041】
具体的には、第1操作部92(以下、操作傾斜面92ともいう。)は、連結部91の変位方向(本実施形態では、上下方向)と直交する方向から力が作用したときに、連結部91を解除位置に変位させる力(以下、解除力という。)が発生するように傾いている。
【0042】
このため、利用者が操作キー92Aを規制ユニット9に挿入した状態で、挿入の向きの押圧力を操作キー92Aに作用させると、操作傾斜面92に接触した操作キー92Aの押圧力により、解除力が発生する。
【0043】
そして、操作キー92Aが挿入された状態(
図10参照)においては、連結部91が解除位置に保持される。操作キー92Aが抜き取られると、押圧ばね91Cの弾性力により、連結部91が連結位置に復帰する。
【0044】
<第2操作部93>
第2操作部93(以下、連結操作カム93ともいう。)は、連結部91を解除位置に変位させる際に、障子5に対して室外側から利用者により操作される部位である。すなわち、ハンドル93A(
図4参照)が利用者により回転操作されると、連結操作カム93は、
図11に示される位置と
図12に示される位置との間で回転変位する。
【0045】
連結操作カム93が
図11に示される位置にあるときには、連結操作カム93と連結部91とが非接触状態となっている。このため、連結部91は押圧ばね91Cの弾性力により連結位置にある。
【0046】
連結操作カム93が
図11に示される位置から
図12に示される位置に回転すると、連結操作カム93が突起部91Eに接触し、押圧ばね91Cを変形させながら連結部91を解除位置に変位させる。
【0047】
ハンドル93Aの軸部93Bは、
図4に示されるように、軸受プレート93Cを介してハウジング95に回転可能に支持されている。因みに、ハンドル93Aは、緊急時に、室外側から障子5を開ける際に利用されることが想定されたものである。
【0048】
このため、軸受プレート93Cに設けられた軸受部93Dは、比較的大きな回転抵抗を発生させる滑り軸受にて構成されている。したがって、利用者が誤ってハンドル93Aに触れた程度では、ハンドル93Aが回転しない。
【0049】
<第3操作部及び規制アーム>
規制アーム7のガイド穴71は、
図9に示されるように、連結部91が連結位置にあるときに嵌り込み可能な長穴状の貫通穴又は溝部にて構成されている。そして、ガイド穴71に嵌り込んだ連結部91は、当該ガイド穴71の延び方向に沿って変位可能である。
【0050】
具体的には、
図13~
図15に示されるように、連結部91がガイド穴71に嵌り込んだ状態で障子5の揺動角度θが変化すると、連結部91は、揺動角度θの変化に連動してガイド穴71内を変位する。
【0051】
図13に示されるように、ガイド穴71の延び方向先端側であって、規制アーム7の先端側に対応する部位には、逆転の向きに陥没した凹部71Aが設けられている。逆転の向きとは、ばね11が規制アーム7を回転させる向き(矢印Fsの向き)と反対向きをいう。
【0052】
つまり、凹部71Aは、ガイド穴71のうち揺動角度θが換気角度となるときに連結部91が位置する部位に設けられ、ばね11の弾性力の向きと反対向き、つまり逆転の向きに陥没した窪みである。
【0053】
なお、凹部71Aは、当該凹部71Aに連結部91が嵌り込んだ状態において、障子5を回転させる力F2又はF3が当該障子5に作用したときに、連結部91が逆転の向きに変位するように構成されている。このため、連結部91が凹部71Aに嵌り込むと、障子5の揺動が規制される。
【0054】
そして、第3操作部94(以下、閉操作カム94ともいう。)は、凹部71Aに嵌り込んでいる連結部91(
図9参照)を当該凹部71Aから離脱変位させる際(
図13参照)に利用者に操作される。なお、当該閉操作カム94は、障子5に対して室内側から操作される部位である(
図4参照)。
【0055】
すなわち、ハンドル94A(
図4参照)が利用者により回転操作されると、閉操作カム94は、規制アーム7から離間した位置(
図16参照)と規制アーム7に接触した位置(
図17参照)との間で回転変位する。
【0056】
閉操作カム94と規制アーム7とが接触した状態では、閉操作カム94は、
図13に示されるように、規制アーム7を逆転の向きに変位させる。これにより、凹部71Aに嵌り込んでいた連結部91は(
図9参照)、当該凹部71Aから離脱する(
図13参照)。
【0057】
つまり、例えば、利用者がハンドル94Aを右向きに回転させる操作を行うと、閉操作カム94は、規制アーム7に接触して逆転の向きの力(
図13のF1)を当該規制アーム7に作用させる。このとき、連結部91が不動であるため、規制アーム7が逆転の向きに回転し、連結部91が凹部71Aから離脱する。
【0058】
なお、閉操作カム94は、ばね94B(
図4参照)の弾性力により、規制アーム7と非接触となる位置に保持される。つまり、利用者がハンドル94Aを回転操作しときに限り、閉操作カム94が規制アーム7と接触可能な位置に変位する。
【0059】
<3.本実施形態に係る窓開閉装置の作動及び特徴>
<3.1 障子が開くときの作動>
障子5が閉状態にあるときには、規制アーム7は収納位置にあり、かつ、連結部91がガイド穴71に嵌り込んでいる(
図15参照)。この状態から障子5が開かれると、連結部91は、
図14→
図13の順に、ガイド穴71内を移動する。
【0060】
そして、連結部91が
図13に示す位置に到達したときに、更に障子5を開く向きの力(
図9の力F2)が作用すると、上述したように、連結部91が逆転の向きに変位するため、当該連結部91が凹部71Aに嵌り込む(
図9参照)。このため、障子5の揺動角度θが換気角度に保持される。
【0061】
<3.2 障子が閉じるときの作動>
連結部91が凹部71Aに嵌り込んだ状態(
図9参照)で、利用者がハンドル94Aを回転させると、閉操作カム94が規制アーム7を押圧するため(
図13参照)、規制アーム7が逆転の向きに回転し、連結部91が凹部71Aから離脱する。
【0062】
この状態で、利用者が障子5を閉状態の向き(
図9の力F3の向き)に揺動させると、連結部91は、
図14→
図15の順に、ガイド穴71内を移動し、障子5が閉じた状態となる。なお、本実施形態では、ハンドル94Aが操作されない限り、障子5は揺動変位できない。
【0063】
<3.3 連結状態及び解除状態>
連結部91がガイド穴71に嵌り込んでいる状態で、操作キー92Aが挿入された場合、又はハンドル93Aが回転操作されると、連結部91は、連結位置から解除位置に変位する。これにより、連結部91と規制アーム7との連結が解除された解除状態となる。
【0064】
このため、解除状態においては、規制アーム7と規制ユニット9との連結が解除されるため、障子5は、換気角度を越えて揺動可能な状態となる。これと同時に、規制アーム7は、ばね11の弾性力により自動的に収納位置に復帰する。
【0065】
なお、解除状態において、操作キー92Aが抜き取られた場合、又はハンドル93Aが逆向き回転操作されると、押圧ばね91Cの弾性力により、連結部91が連結位置に復帰する。
【0066】
障子5が解除状態のまま閉じられると、
図18に示されるように、規制アーム7の端部(傾斜面7B)に連結部91の傾斜面91Fが接触する。この状態で、障子5が更に閉じられると、連結部91に没力F4が作用するので(
図8参照)、当該連結部91は連結位置から解除位置側に変位する。
【0067】
そして、障子5が変位して閉状態になると、連結部91がガイド穴71に到達するので、当該連結部91は、押圧ばね91Cの弾性力により連結位置に復帰する。これにより、本実施形態では、障子5と規制アーム7との連結が解除された状態であっても、障子5が閉状態になると、自動的に障子5と規制アーム7とが連結される。
【0068】
なお、操作キー92Aが挿入された場合、又はハンドル93Aが回転操作された状態のままで障子5が閉状態となった後に、操作キー92Aが抜き取られた場合、又はハンドル93Aが逆向き回転操作された場合も、自動的に障子5と規制アーム7とが連結される。
【0069】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、障子5に規制ユニット9が配置され、規制アーム7の揺動中心が窓枠3に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、窓枠3に規制ユニット9が配置され、規制アーム7の揺動中心が障子5に設けられた構成であってよい。
【0070】
上述の実施形態では、障子5が閉状態になると、自動的に障子5(規制ユニット9)と規制アーム7とが連結される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、手動操作されたたときに、規制ユニット9と規制アーム7とが連結される構成であってよい。
【0071】
上述の実施形態では、第1操作部92及び第2操作部93が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1操作部92又は第2操作部93のみが設けられた構成であってよい。
【0072】
上述の実施形態に係る第1操作部92は、操作キー92Aにて操作する構成であった。では、しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1操作部92もハンドルにて操作可能な構成であってもよい。
【0073】
上述の実施形態に係る連結部91の先端側、及び規制アーム7の端部に傾斜面が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、それら傾斜面の全て、又はいずれか一方の傾斜面が廃止された構成であってもよい。
【0074】
上述の実施形態に係る規制ユニット9は、障子5内に配置されて、外観上、規制ユニット9が見えない構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、規制ユニット9が目視可能な位置に配置された構成であってもよい。
【0075】
上述の実施形態では、凹部71Aに嵌り込んだ連結部91を凹部71Aから離脱させる機能(以下、離脱機能という。)を備えていた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0076】
すなわち、当該開示は、例えば、凹部71Aが廃止された構成、又は離脱機能が廃止された構成としてもよい。なお、離脱機能が廃止された構成においては、凹部71Aに嵌り込んだ連結部91を利用者が手動にて離脱させる必要がある。
【0077】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1… 窓開閉装置 3…窓枠 5… 障子 7… 規制アーム
9… 規制ユニット 12…ブラケット 71… ガイド穴
71A… 凹部 91…連結部 92… 第1操作部(操作傾斜面)
92A… 操作キー 93…第2操作部(連結操作カム) 93A… ハンドル
94… 第3操作部(閉操作カム) 94A… ハンドル
95… ハウジング 95A…挿入穴