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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133102
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】熱硬化型エポキシ接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20220906BHJP
   C08G 59/06 20060101ALI20220906BHJP
   C08G 59/44 20060101ALI20220906BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220906BHJP
   C09J 163/02 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C09J163/00
C08G59/06
C08G59/44
C09J11/04
C09J163/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031977
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰裕
【テーマコード(参考)】
4J036
4J040
【Fターム(参考)】
4J036AD08
4J036DC31
4J036FA05
4J036FB12
4J036HA12
4J036JA06
4J036KA03
4J040EC001
4J040EC061
4J040HA306
4J040HB14
4J040HC16
4J040JB02
4J040KA16
4J040KA42
(57)【要約】
【課題】未硬化状態での形状保持性に優れた熱硬化型エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)を含有してなることを特徴とする熱硬化型エポキシ接着剤を用いる。ポリオキシアルキレン化合物(C)は式(1)で表される化合物が好ましい。
R{-(AO)-H} (1)
Rは炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、tは2~70の整数、pは1~6の整数を表し、一分子中に複数のtが存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく(すなわち、pが2以上の場合、p個のtはそれぞれ同じでも異なっていてもよい)、tの合計数(t及びpの積:t×p)は3~100の整数である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)を含有してなることを特徴とする熱硬化型エポキシ接着剤。
【請求項2】
ポリオキシアルキレン化合物(C)が、式(1)で表される化合物である請求項1に記載の熱硬化型エポキシ接着剤。
R{-(AO)-H} (1)
Rは炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、tは2~70の整数、pは1~6の整数を表し、一分子中に複数のtが存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく(すなわち、pが2以上の場合、p個のtはそれぞれ同じでも異なっていてもよい)、tの合計数(t及びpの積:t×p)は3~100の整数である。
【請求項3】
無機微粒子(B)が親水性シリカである請求項1又は2に記載の熱硬化型エポキシ接着剤。
【請求項4】
エポキシド(A)として、ビスフェノールA型液状エポキシド及び/又はビスフェノールF型液状エポキシドを含んでなる請求項1~3のいずれかに記載の熱硬化型エポキシ接着剤。
【請求項5】
硬化剤(D)として、ジシアンジアミドを含んでなる請求項1~4のいずれかに記載の熱硬化型エポキシ接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化型エポキシ接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板の防振や補強接着のため熱硬化型エポキシ接着剤が用いられているが、鋼板には防錆・加工性を与える為に防錆油やプレス油が塗られており、接着剤の硬化前に防錆油等を洗浄したり、硬化前に振動等で接着部位がずれたり接着剤がタレたりしないように未硬化状態での形状保持性が必要となる。
このような熱硬化型エポキシ接着剤として、「未架橋型及び/又は部分架橋型の合成ゴム、可塑剤、充填材及びコアシェル型アクリル樹脂を含む組成物に、希釈剤並びに接着付与剤を配合させてなることを特徴とする硬化性組成物」であって、「接着付与剤が、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤の組み合わせである」硬化性組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-272712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の接着剤では未硬化状態での形状保持性が不十分であるという問題がある。本発明は、未硬化状態での形状保持性に優れた熱硬化型エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の熱硬化型エポキシ接着剤の特徴は、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)を含有してなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱硬化型エポキシ接着剤は、未硬化状態での形状保持性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
エポキシド(A)としては、公知(たとえば、特開平6-248059号公報、特開平10-130467号公報)の液状エポキシド等が使用でき、これらのうち、ビスフェノールF型液状エポキシド、ビスフェノールA型液状エポキシド、フェノールノボラック型液状液状エポキシド、ナフタレン型液状エポキシド及びグリシジルアミン型液状エポキシドが好ましく、さらに好ましくはビスフェノールF型液状エポキシド、ビスフェノールA型液状エポキシド及びグリシジルアミン型液状エポキシド、特に好ましくはビスフェノールA型液状エポキシド及びビスフェノールF型エポキシドである。
【0008】
無機微粒子(B)としては、親水性ヒュームド金属酸化物、疎水性ヒュームド金属酸化物、親水性コロイダル金属酸化物及び疎水性コロイダル金属酸化物が含まれ、親水性ヒュームドシリカ、疎水性ヒュームドシリカ、疎水性コロイダル炭酸カルシウム、親水性コロイダルシリカ及び疎水性コロイダルシリカ等が使用できる。これらのうち、増粘性の観点から、ヒュームド金属酸化物が好ましく、さらに好ましくは親水性ヒュームドシリカである。
【0009】
ポリオキシアルキレン化合物(C)としては、式(1)で表されるポリエーテル化合物が好ましく例示できる。
【0010】
R{-(AO)-H} (1)
Rは炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、tは2~70の整数、pは1~6の整数を表し、一分子中に複数のtが存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく(すなわち、pが2以上の場合、p個のtはそれぞれ同じでも異なっていてもよい)、tの合計数(t及びpの積:t×p)は3~100の整数である。
【0011】
炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基(R)は、炭素数1~25の活性水素化合物から活性水素を除いた反応残基を意味する。炭素数1~25の活性水素含有化合物としては、水酸基(-OH)、イミノ基(-NH-)、アミノ基(-NH)及び/又はカルボキシル基(-COOH)を少なくとも1個含む化合物が含まれ、アルコール、アミド、アミン、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸及びアミノカルボン酸が含まれる。
【0012】
アルコールとしては、モノオール(メタノール、ブタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びイソステアリルアルコール等)及びポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、テトラグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジヒドロキシアセトン、フルクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、スクロース、ラクトース及びトレハロース等)等が挙げられる。
【0013】
アミドとしては、モノアミド(ギ酸アミド、プロピオン酸アミド及びステアリルアミド等)及びポリアミド(マロン酸ジアミド及びエチレンビスオクチルアミド等)等が挙げられる。
【0014】
アミンとしては、モノアミン(ジメチルアミン、エチルアミン、アニリン及びステアリルアミン等)及びポリアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン等)等が挙げられる。
【0015】
カルボン酸としては、モノカルボン酸(酢酸、ステアリン酸、オレイン酸及び安息香酸等)及びポリカルボン酸(マレイン酸及びヘキサン二酸等)等が挙げられる。
【0016】
ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸及び12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0017】
アミノカルボン酸としては、グリシン、4-アミノ酪酸、6-アミノヘキサン酸及び12-アミノラウリン酸等が挙げられる。
【0018】
炭素数2~4のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等が挙げられる。これらのうち、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましく、さらに好ましくはオキシプロピレンである。
【0019】
AOには2種以上のオキシアルキレン基が含まれていてもよく、2種以上のオキシアルキレン基が含まれる場合、結合様式はブロック状、ランダム状及びこれらの混合のいずれでもよい。
【0020】
tは、2~70の整数が好ましく、さらに好ましくは5~60の整数、特に好ましくは10~40の整数である。この範囲であると、未硬化状態での形状保持性がさらに良好となる。
【0021】
pは、1~6の整数が好ましく、さらに好ましくは2~5の整数、特に好ましくは2~4の整数である。この範囲であると、未硬化状態での形状保持性がさらに良好となる。
【0022】
tの合計数(t及びpの積:t×p)は3~150の整数が好ましく、さらに好ましくは20~100の整数である。この範囲であると、未硬化状態での形状保持性がさらに良好となる
【0023】
硬化剤(D)としては、加熱によりエポキシドと反応して硬化体を与えるものであれば制限なく、公知(たとえば、特開2011-6545号公報)のエポキシ樹脂用硬化剤等が使用でき、たとえば、アミン、カルボン酸、塩基性活性水素化合物、イミダゾール、ポリメルカプタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂及び潜在性硬化剤等が挙げられる。これらの 硬化剤(D)のうち、塩基性活性水素化合物及びイミダゾールが好ましく、さらに好ましくはジシアンジアミド、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール及び2-メチルイミダゾール、特に好ましくはジシアンジアミド及び1-イソブチル-2-メチルイミダゾールである。
【0024】
本発明の熱硬化型エポキシ接着剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに必要に応じて(1)硬化促進剤(第三級アミン{DMP-30:2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及びDBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等};シアノエチルイミダゾール{2E4MZ-CN:1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール及び2PZ-CN:1-(2-シアノエチル)-2-フェニルイミダゾール等};ホスフィン{TPP:トリフェニルホスフィン等}等)、(2)接着性付与剤(たとえば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペンーフェノール樹脂、ロジン樹脂及びキシレン樹脂等)、(3)可塑剤(ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート及びオレイン酸ブチル等)、(4)非反応性希釈剤(ベンジルアルコール等)、(5)反応性希釈剤(ブチルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル及び2-エチルヘキシルグリシジルエーテル等)、(6)有機充填剤(アラミド繊維粉、ナイロン繊維粉、アクリル繊維粉、アクリル樹脂粉及びフェノール樹脂粉等)、(7)難燃剤(ジメチルホスホネート及びメチルホスホネート等)、(8)充填剤(炭酸カルシウム、タルク及びケイ酸マグネシウム等)並びに/又は(9)消泡剤(シリコーン型消泡剤、鉱物油型消泡剤及びポリエーテル型消泡剤等)等の添加剤(E)を含有させることができる。
【0025】
エポキシド(A)の含有量(重量%)は、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)の重量に基づいて、45~95が好ましく、さらに好ましくは62~92である。無機微粒子(B)の含有量(重量%)は、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)の重量に基づいて、1~10が好ましく、さらに好ましくは2~5である。ポリオキシアルキレン化合物(C)の含有量(重量%)は、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)の重量に基づいて、0.5~5が好ましく、さらに好ましくは1~3である。硬化剤(D)の含有量(重量%)は、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)の重量に基づいて、3.5~40が好ましく、より好ましくは5~35である。添加剤(E)を含有する場合、各添加剤(E)の含有量(重量%)は、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)の重量に基づいて、10~50が好ましく、さらに好ましくは20~45である。以上の範囲であると、未硬化状態での形状保持性がさらに良好となる。
【0026】
本発明の熱硬化型エポキシ接着剤は、1液の形態でも2液の形態でもよい。すなわち、1液の形態では、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)並びに必要により添加剤(E)からなる。一方、2液の形態では、エポキシド(A)を含有するa液と硬化剤(D)を含有するd液とからなり、無機微粒子(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)並びに必要により添加剤(E)はa液、d液又はこれらの両方のいずれに含まれてもよいが、無機微粒子(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)はa液に含まれていることが好ましい。また、添加剤(E)の一部又は全部はa液、d液とは別にe液として3液の形態としてもよいし、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)並びに必要により添加剤(E)の一部を含むad液と添加剤(E)の一部からなるe液の2液の形態としてもよい。
【0027】
本発明の熱硬化型エポキシ接着剤は、1液の形態又は2液の形態に応じて、エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)並びに必要により添加剤(E)を公知の方法により均一混合して調製できる。
【0028】
本発明の熱硬化型エポキシ接着剤は、1液の形態又は2液の形態に応じて、公知の方法(ディスペンサーガン、シーラーガン、スプレー、刷毛及びヘラを用いる方法等)により基材へ塗布し、必要により予備加熱し、熱硬化させることができる。
【実施例0029】
以下、特記しない限り、部は重量部を意味する。
<実施例1>
エポキシド(A1){jER828、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、「jER(図形)」は同社の登録商標である。}62部、無機微粒子(B1){アエロジル380、日本アエロジル株式会社、親水性ヒュームドシリカ、「アエロジル」はエボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの登録商標である}2部、ポリオキシアルキレン化合物(C1){プロピレングリコールプロピレンオキシド20モル付加体}1部及び硬化剤(D1){jERキュアDICY15、ジシアンジアミド微粉砕品、三菱ケミカル株式会社、エポキシ樹脂硬化剤「jERキュア(図形)」は同社の登録商標である}35部を均一に混合して、本発明の熱硬化型エポキシ接着剤(1)を得た。
【0030】
<実施例2~11>
エポキシド(A)、無機微粒子(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び硬化剤(D)の種類及び使用量(部)を表1のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、熱硬化型エポキシ接着剤(2)~(11)を得た。
【0031】
【表1】
【0032】
エポキシド(A2):jER807、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社
無機微粒子(B2):アエロジル300、親水性ヒュームドシリカ、日本アエロジル株式会社
ポリオキシアルキレン化合物(C2):プロピレングリコールプロピレンオキシド(80モル)付加体
ポリオキシアルキレン化合物(C3):グリセリンプロピレンオキシド(30モル)付加体
ポリオキシアルキン化合物(C4):トリメチロールプロパンプロピレンオキシド(100モル)付加体
ポリオキシアルキレン化合物(C5):ペンタエリスリトールプロピレンオキシド(60モル)付加体
ポリオキシアルキレン化合物(C6):ペンタエリスリトールプロピレンオキシド(40モル)付加体
ポリオキシアルキレン化合物(C7):グリセリンエチレンオキシド(12モル)プロピレンオキシド(60モル)ブロック付加体
ポリオキシアルキレン化合物(C8):オレイルアルコールエチレンオキシド(5モル)プロピレンオキシド(40モル)ブロック付加体
硬化剤(D2):jERキュアIBMI12、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、三菱ケミカル株式会社
【0033】
<比較例>
特許文献1の実施例1の記載に準拠して、合成ゴム(BR1220、日本ゼオン株式会社)100重量部、炭酸カルシウム(サンライトSL-300、竹原化学株式会社)500重量部、可塑剤(DINP、積水化学工業株式会社)350重量部、コアシェル型アクリル樹脂(ダイヤナールLP-3106、三菱ケミカルホールディングス株式会社)30重量部、接着付与剤(jER828、三菱ケミカル株式会社)40重量部、硬化剤(jERキュアDICY15、三菱ケミカル株式会社)5重量部、硫黄(細井化学工業株式会社)10重量部、亜鉛華(ハクスイテック株式会社)10重量部、希釈剤(エクゾールD80、エクソンモービル株式会社)40重量部を均一混合して、比較用の接着剤(H1)を調製した。
【0034】
実施例で得た熱硬化型エポキシ接着剤(1)~(11)及び比較例で得た接着剤(硬化性組成物、H1)を評価試料として、以下のようにして形状保持性及び接着性の評価を行い、その結果を下表に示した。
【0035】
<形状保持性>
防錆油(コスモノンラストP-900、コスモ石油株式会社)を2g/mで塗布した 冷間圧延鋼板(SPC鋼板、幅70mm、長さ150mm)を水平に保持し、この上に直径10mmの半円形状で長さ100mmになるように評価試料をディスペンサーガンで塗布して半円形体を調製した後、SPC鋼板の上方700mmに下向きに設置した内径12mmのノズルから40℃の温水を5L/分で1分間吹き掛けて半円形体の形状を観察し、次の基準で形状保持性を評価した。
【0036】
評価基準
○:形状の変化がほぼ認められない
×:著しく形状の変化が認められた
【0037】
<接着性>
JIS K6850:1999、「接着剤-剛性被着材の引張りせん断接着強さ試験方法」に準じて、10mm×100mm×1.6mmのSPC鋼板(2枚1組)を用いて評価試料の厚さ0.15mm、重ね長さ10mmで重ね合わせた後、170℃で30分間加熱硬化させて接着試験体を作製した。この接着試験体について、株式会社引張り試験機(株式会社島津製作所)を用いて、引張り速度10mm/分、室温(20℃)で破断力(N)を測定した。この破断力(N)の5回測定値の算術平均値をせん断面積(mm)で除して、重ね合わせせん断強さ(MPa)を算出した。
【0038】
【表2】
【0039】
以上の通り、本発明の熱硬化型エポキシ接着剤を用いると、比較用の硬化性組成物に比べて未硬化状態での形状保持性に著しく優れていた。また、本発明の熱硬化型エポキシ接着剤の接着性は比較用の硬化性組成物の接着性に比べて優れていた。